2012年01月18日

【本】妖精配給会社

ここんとこ古本屋の特価コーナーで大量に仕入れてきた星新一を散発的に読んでいるわけですが、本作がもっとも作品が短くまとまっていて歯切れが良くていいですな。

短い分、オチが唐突だったり強引だったりもするわけですが、それでもやっぱり星新一のショートショートはこのくらいの短さが至上だと思うわけです。

妖精配給会社 (新潮文庫)

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2011年12月28日

【本】新宿熱風どかどか団

「哀愁の町に霧が降るのだ」から始まり、「新橋烏森口青春篇」・「銀座のカラス」と続き、「本の雑誌血風録」と続く、自伝的シリーズの第5弾。
いよいよサラリーマンをやめ、文筆家として独立する時代が描かれています。
「本の雑誌血風録」がやたら面白かった分、物足りなさは感じるけど、相変わらずの椎名節の文章が楽しめました。

椎名誠はやたら本だしてますが、SF物(アド・バードとか)と、東ケト会物(わしら怪しい探険隊とか)と、この自伝シリーズは好きっす。

新宿熱風どかどか団 (朝日文庫)

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2011年12月11日

【本】孤宿の人

宮部みゆきの時代小説ときいて、もっとほんわかとした話かとおもってたら、やたらと人が死にまくる話でしたなぁ

善人も悪人も大人も子供も理不尽に命を奪われる。
そのあたりが描きたかったところかもしれないなぁ。

もやもやとしたものも残りましたが、そのあたりも含めて面白かったです。

しかし懐深いなぁ…宮部みゆき

(上下巻通した感想)

孤宿の人〈上〉 (新潮文庫)

孤宿の人〈下〉 (新潮文庫)

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2011年12月06日

【本】白い服の男

短めで綺麗にオチが決まる話が多くていいね。
そういや、デスノートが人気あった頃、星新一に似た話があるって聞いたことあったけど…
本書に収録されてる「特殊大量殺人機」がそれだな。

白い服の男 (新潮文庫)

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2011年12月04日

【本】エトロフ発緊急電

各登場人物の背景を丁寧に描いているところが、評価されているポイントの一つだと思うが、ストーリーを追いたがりな私には、まどろっこしく感じてしまった。

また、創作キャラクターの描写に力を入れた結果、前作にあったノンフィクションっぽさが消えてしまったのも残念でした。

ただ、自分の趣味にちょっと合わなかったとはいえ、太平洋戦争前夜の日本を舞台にした優れた冒険小説であるとは思う。

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2011年11月29日

【本】硝子戸の内

漱石の随筆を読むのは初めてだった…かな?

現在と過去、家族や知人の事や、ふとした風景などいろいろ描かれていて、人間漱石に触れるのには最適だったように思う。

文章は非常に読みやすいが、永井荷風や谷崎潤一郎を読んだ時のような文章に酔うといった感覚はえられなかったな。

投稿者 niimiya : 23:53 | コメント (0) | トラックバック

【本】氷河民族

山田正紀、最初期の作品。
唯一のSF的な設定である亜人類はマクガフィンとして登場し、基本的にはハードボイルド・サスペンスとして展開する。
主人公は何度も危機を迎えるが、毎回なぜか無事といったハリウッド的な展開はあまり好きではなかった。
いろいろ稚拙さも感じたが、一気に読ませるのは、デビュー直後ゆえの熱量のゆえかもしれない。

投稿者 niimiya : 23:48 | コメント (0) | トラックバック

2011年11月09日

【本】午後の恐竜

武蔵新田の古本屋の50円均一コーナーより発掘。
星新一のショートショートはだいぶ読んだつもりだけど、既読感はなかった。
特にこれって話はなかったかな。

時代背景を特定させない描き方なので、色あせない…とはいえ、広告や技術を皮肉った切り口はレトロな感じがしますな

あと5冊くらい買ってきたのでボチボチ読んできましょー

午後の恐竜 (新潮文庫)

投稿者 niimiya : 00:16 | コメント (0) | トラックバック

2011年11月04日

【本】巨人たちの星

これまた再読。
三作目にして、きわめてまっとうなSF小説な展開をするんですな。
陰謀あり、悪者ありと。
僕たちのよく知ってるホーガンらしい長編小説。
これはこれで面白いのですが、まぁご都合主義的な展開がちょっといただけない。
前二巻であっと驚いたところも、ひっくり返させられるし…
個人的な評価は前の二作からは落ちるのですが…
三部作まとめて読んで悔いのないシリーズだと思います。
(四作目は未読なんでこれから読みます)

巨人たちの星 (創元SF文庫 (663-3))

投稿者 niimiya : 00:05 | コメント (0) | トラックバック

2011年09月19日

【本】ルパンの消息

横山秀夫の作家デビューのきっかけになった作品(サントリーミステリー大賞佳作を受賞だそうな)。
つまりデビュー前の作品なわけですが、これが非常に完成度が高く面白かった。(大幅に加筆修正しているのだとは思うけど…)
著者の持ち味の警察官の内面描写などはまだ抑え気味なのだけど、謎解きに比重が置かれていて、最初から最後まで楽しめました。
お薦め!

投稿者 niimiya : 14:35 | コメント (0) | トラックバック

2011年09月18日

【本】星を継ぐもの

20年以上ぶりに再読。
子供の頃に読んで好きだった本を再読しても、当時の興奮は蘇らないこともままありますが…この本に関してはそんなことは一切なし。
月で見つかった5万年前の人類の死体。
その謎を科学者チームが淡々と解き明かしていくだけのストーリーなんですが…
それだけが実に手に汗握る展開なんですな…
で、ラストには胸の熱くなる種明かし

SFの名作中の名作。
読まなきゃ人生損。

星を継ぐもの (創元SF文庫)

投稿者 niimiya : 00:08 | コメント (0) | トラックバック

2011年09月12日

【本】花火・雨瀟瀟 ― 他二篇

古本屋の特価棚(100円)で、岩波の旧字版見つけたので買ってまいりました。
荷風さん本当に美しい文章を書きますね。
この文章を味わうにはやはり旧字で読むのがいいのですね。

表題の花火も雨瀟瀟も随筆で実に味わい深くていいのですが、一番長いのは二人妻という小説で、これはあまり趣味にあわなかったのです。

投稿者 niimiya : 00:26 | コメント (0) | トラックバック

2010年08月11日

【本】《知性化の嵐》三部作

《知性化の嵐》三部作

原題:The Uplift Storm Trilogy
著者:デイヴィッド・ブリン(David Brin)
訳者:酒井昭伸
装画:加藤直之
装丁:ハヤカワ・デザイン
出版:ハヤカワ文庫 
 知性化の嵐1 変革への序章(BRIGHTNESS REEF) 上 SF1371 P553 ¥900 初版2001/9
 知性化の嵐1 変革への序章(BRIGHTNESS REEF) 下 SF1372 P552 ¥900 初版2001/9
 知性化の嵐2 戦乱の大地(INFINTY'S SHORE) 上 SF1414 P591 ¥940 初版2002/9
 知性化の嵐2 戦乱の大地(INFINTY'S SHORE) 下 SF1415 P575 ¥940 初版2002/9
 知性化の嵐3 星海の楽園(HEAVEN'S REACH) 上 SF1460 P508 ¥920 初版2003/10
 知性化の嵐3 星海の楽園(HEAVEN'S REACH) 下 SF1461 P515 ¥920 初版2003/10
読んだ日:2010/7/28
感想書いた日:2010/7/30

■内容(第一部「変革への序章」上巻カバーより)
はるか昔の乱開発によって荒れた生態系を回復するべく“休閑地”の指定を受け、知性種属の立ち入りが禁じられた辺境の惑星ジージョ。だが、いつしかこの惑星には故郷を追われた難民が流れつくようになり、いまや六種属もの住民が、ひっそりと隠れ住んでいた。ところが、ある日、宇宙から記憶を失ったひとりのヒトの男がジージョに漂着してきた。やがて、その男のあとに続くかのように、巨大な宇宙船がやってくるが…。

■感想
三部作各上下巻で総ページ数3000ページくらいの超大作。
第一部は展開がおそく、六種族のどれがどれだかもよくわからなくて、だいぶ読終るまで時間かかった(実は一度、刊行当時に途中で挫折している)。
しかし、なんとか読み進めていくとだんだん面白くなってきて、第二部に突入。
ここでようやく「スタータイド・ライジング」と話がつながってきます。
この辺りからグングンと話のスケールも大きくなっていき、当初は惑星ジージョ上の話だったのが、第二部の後半で宇宙に飛び出て、第三部では五つの銀河と多重空間をまたにかける大展開。
種属(=星人)も当初はジージョに住み着いていた6種族が中心でしたが、どんどん新しいのがでてきて、酸素類だけじゃなくて、水素類やら機械類やら思念類やら…世界観がふくらみまくり。
このあたりエスカレーション具合や、スケール感は「タウ・ゼロ」などを思い出しました。

後半は先をむさぼるように一気に読み終えてしまいましたが、訳者あとがきにもあるようにもっとページ数欲しかった。
回収されてないエピソードもいくつかあるし、地球のその後も気になるし…

というわけで、まだ知性化シリーズは続くみたいですね。
本作を補完する短編もいくつか書かれているようです。
ブリンの公式HPに無料で全文のっておりました。(英語だけど)

しかし、こんな面白いのに絶版中とはもったいないよなぁ。導入 部が冗長だったから、いたしかたない気はするけど。
というわけでスケールの大きいSF好きの人には、前作「スタータイドライジング」からお勧め。
直接はあまりつながらないけど「知性化戦争」も面白いですよ。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆★
《薦》☆☆☆

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変革への序章〈上〉―知性化の嵐〈1〉 (ハヤカワ文庫SF)
変革への序章〈上〉―知性化の嵐〈1〉 (ハヤカワ文庫SF)

未読の方はこちらから↓

スタータイド・ライジング (上) (ハヤカワ文庫 SF (636))スタータイド・ライジング (上) (ハヤカワ文庫 SF (636))
デイヴィッド・ブリン 酒井 昭伸

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2010年07月30日

【本】グラスホッパー

グラスホッパー

著者:伊坂幸太郎
カバーフォト:横山孝一
カバーデザイン:高柳雅人(角川書店装丁室)
解説:杉江松恋
出版:角川文庫 い 59 1 P335 ¥590
版数:初版 2007/6
初出:単行本 2004/7
入手:もらいもの
読んだ日:2010/7/17
感想書いた日:2010/7/30

■内容(カバーより)
「復讐を横取りされた。嘘?」元教師の鈴木は、妻を殺した男が車に轢かれる瞬間を目撃する。どうやら「押し屋」と呼ばれる殺し屋の仕業らしい。鈴木は正体を探るため、彼の後を追う。一方、自殺専門の殺し屋・鯨、ナイフ使いの若者・蝉も「押し屋」を追い始める。それぞれの思惑のもとに―「鈴木」「鯨」「蝉」、三人の思いが交錯するとき、物語は唸りをあげて動き出す。疾走感溢れる筆致で綴られた、分類不能の「殺し屋」小説。「復讐を横取りされた。嘘?」元教師の鈴木は、妻を殺した男が車に轢かれる瞬間を目撃する。どうやら「押し屋」と呼ばれる殺し屋の仕業らしい。鈴木は正体 を探るため、彼の後を追う。一方、自殺専門の殺し屋・鯨、ナイフ使いの若者・蝉も「押し屋」を追い始める。それぞれの思惑のもとに―「鈴木」「鯨」 「蝉」、三人の思いが交錯するとき、物語は唸りをあげて動き出す。疾走感溢れる筆致で綴られた、分類不能の「殺し屋」小説。

■感想
今まで読んだ伊坂作品の中では一番地味な作品でした。でも、地味ながらきれいに作り込まれていて、さすがですね。例によって登場人物もおかしな人だらけですし。殺し屋たちの物語だけあって、内容はちょっと陰惨な部分もありますが、そこは例によってあっさりスタイルの文章で軽く読めました。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆☆

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グラスホッパー (角川文庫)
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【本】大学

大学

全訳注:宇野哲人
装丁:志賀紀子
解説:宇野精一
出版:講談社学術文庫 ¥540 P115
版数:初版 1983/1 21刷 1996/7
底本:1916/4 大同館「大学」
入手:古本 ¥100
読んだ日:2010/7/10
感想書いた日:2010/7/30

■感想
最近、孔子廟とかいくことがよくあったんで、なんとなく読んでみました。なんで「論語」でも「中庸」でもなく「大学」かというと、たまたまそれだけ積ん読棚に入ってたからです。
本文自体はわずかで、通釈もあわせて読んでもあっという間に読めてしまいます。

大学というのはWikipediaによると

朱子学において自己修養から始めて多くの人を救済する政治へと段階的に発展していく儒者にとっての基本綱領が示されているとして重要視された。その内容には「明明徳」「親民」「止於至善」の三綱領と「格物」「致知」「誠意」「正心」「修身」「斉家」「治国」「平天下」の八条目が提示されている。

ということらしいです。

「明徳」「親民」はそうですかって感じですが、「止於至善」はわからんかった。至善で止るってどういうこと?
内容はがあっさりすぎたんで、機会があれば、論語読んでみます。


■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》 ☆☆
《薦》 ☆☆

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宇野 哲人

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【本】星空の二人

星空の二人

著者:谷甲州
装画:水樹和佳子
装丁:ハヤカワ・デザイン
解説:林譲治
出版:ハヤカワ文庫 JA798 タ 4 19 P362 ¥680
版数:初版2005/5
入手:古本 BOOK OFF ¥400
読んだ日:2010/7/4
感想書いた日:2010/7/30

■内容(カバーより)
深宇宙で作業に取りくむ男性航宙士と情報プールを介して出会った女性航宙士との、時空を超えた切ない心の交流に魂が揺さぶられる書き下ろし表題作をはじめ、異星生命体とのさまざまな遭遇を描く「緑の星」「星の夢に」「彷徨える星」「繁殖」、破天荒な宇宙論SF「五六億七千万年の二日酔い」「スペース・ストーカー」、航空宇宙軍史初期作品を全面改稿した「ガネッシュとバイラブ」、ロマンチックでハードな宇宙SF全8篇を収録。

■収録
 緑の星
 星の夢に
 五六億七千万年の二日酔い
 彷徨える星
 繁殖
 スペース・ストーカー
 ガネッシュとバイラブ
 星空の二人

■感想
航空宇宙軍史の谷甲州さんの短編集。
航空宇宙軍史を思わす宇宙船という密閉空間のプロの話の他に、バカSFや、表題作のようなSFロマンスなどが収録されてます。
プロフェッショナルものは好きでしたが、他の系統の作品はちょっと私には合わなかったですね。
水樹和佳子さんの表紙も、私の中の谷甲州イメージとは違うんですよねぇ
読み始めるには、本作より航空宇宙軍史か山岳ものからのほうがいいですね、きっと。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆★
《薦》☆☆★

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星空の二人 (ハヤカワ文庫JA)星空の二人 (ハヤカワ文庫JA)
谷 甲州

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2010年07月24日

【本】ストレンジャーズ

ストレンジャーズ

原題:STRANGERS
著者:ディーン・R・クーンツ
訳者:宮脇孝雄
装画:藤田新策
装丁:坂田政則
出版:文春文庫 
    上巻 ク 5 3 ¥650 P533
    下巻 ク 5 4 ¥650 P522
版数:
 上巻 初版1991/8 6刷1994/6 
 下巻 初版1991/8 6刷1994/5
入手:
読んだ日:2010/7/24
感想書いた日:2010/7/30

■内容(上巻カバーより)
ラグーナ・ビーチに住む作家ドミニック・コーヴァイシスは、深刻な夢遊病に悩まされていた。朝、目を覚ますとクローゼットやガレージの中で丸まっているのだ。同じ頃、シカゴで、ラスヴェガスで、ボストンで、得体の知れない恐怖におびえる人たちがいた。彼らにその記憶はないが、一年前の夏、あるものを”見て”しまったのだ。

■感想
上巻途中からのめり込んで、一気に読み切りました、面白かったです。ただ、読み終ってみると、最後までひっぱってたオチが目新しさなかったりもして、ちょっと物足りない気もしました。どうもアメリカのベストセラーってのは、過程を楽しませるところに重点を置いてるような気がしますね、まぁ、判断できるほど読んだことないんですが…
この小説も、半分くらいでか書けたんじゃないの?とか思ったりもしました…
そういう意味で、映画ではなく、1クールくらいのシリーズドラマのような作品でした。
なんかけなしてるようになってしまいましたが、読んでる時はうんと面白かったです。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆☆

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2010年07月17日

【本】ラッシュライフ

ラッシュライフ

著者:伊坂幸太郎
装丁:三谷龍二
解説:池上冬樹
出版:新潮文庫 い 69 2 ¥629 P456
版数:初版2005/5 17刷2007/5
初出:単行本 新潮社 2002/7
入手:もらった
読んだ日:2010/7/14
感想書いた日:2010/7/17

■内容(カバーより)
泥棒を生業とする男は新たなカモを物色する。父に自殺された青年は神に憧れる。女性カウンセラーは不倫相手との再婚を企む。職を失い家族に見捨てられた男 は野良犬を拾う。幕間には歩くバラバラ死体登場――。並走する四つの物語、交錯する十以上の人生、その果てに待つ意外な未来。不思議な人物、機知に富む会 話、先の読めない展開。巧緻な騙し絵のごとき現代の寓話の幕が、今あがる。
■収録

■感想
交わりつつ平行で動く五つのエピソードの時系列がバラバラで、作中にも出てくるようにまさに騙し絵のような構造。
ただ、手掛りは豊富に用意されているので、読み終わってみるとあーそういうことかとわかるような仕組み。
解説にも書かれていたが、映画の「パルプ・フィクション」とか「フォールームス」を連想させるような構成です。
他の伊坂作品同様、仙台を舞台にしており、他作品へのリンクもいくつか埋め込まれているみたいですね。
著者の本を読むのはこれで4冊目だけど、ようやく熱心なファン がいる理由がわかってきた気がします。
お薦め。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆★
《薦》☆☆☆★

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ラッシュライフ (新潮文庫)
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2010年06月27日

【本】磁力と重力の発見(全3巻)

磁力と重力の発見(全3巻)

著者:山本義隆
装画:ケプラーの考えた大洋と惑星の磁気的相互作用
出版:みすず書房
版数:
入手:新刊購入
読んだ日:2010/5/17
感想書いた日:2010/6/26

■内容(3巻カバーより)
 近代物理学成立の真のキーは力概念の確立にある。そこから<遠隔力>概念の形成過程を追跡してきた長い旅は、第3巻でようやく近代科学の誕生に立ち会う。

■感想
うやく読み終わったぞぉ!6年前くらいに全三巻まとめて買って、断続的にちまちま読んでようやく読み終わった。
磁力を追ってギリシャ時代から近代の科学史を追い切った観があるなぁ。
近代になって急に重力にスポットがあたって磁力より先に数式化されてしまうのであった。
直接作用を元にした近代の機械論より、むしろ神秘主義に近い見方が磁力・重力という遠隔作用力を解き明かすのであった。

全3巻通して、ギリシア時代の黎明期、アリストテレス教条主義による停滞期、ルネサンスによる再進展期と実に見事に描かれていました。
しかし、読むのに時間かけ過ぎた…
1巻も2巻も面白くて思うこといろいろあったのですが、すっかり忘れてしまった…

著者は駿台講師の山本義隆氏。
勝手に恩師だと思っているのです。
ファインマンとこの人に出会って、物理を選んだのです。
才能も努力も足りずに道をあきらめましたが、後悔はしてない!!

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆★
《薦》☆☆☆

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磁力と重力の発見〈1〉古代・中世磁力と重力の発見〈1〉古代・中世
山本 義隆

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磁力と重力の発見〈2〉ルネサンス磁力と重力の発見〈2〉ルネサンス
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2010年06月26日

【本】大槻ケンヂが語る江戸川乱歩

大槻ケンヂが語る江戸川乱歩 私のこだわり人物伝

著者:江戸川乱歩 大槻ケンヂ
カバー写真:平井憲太郎
カバーデザイン:國枝達也(角川書店装丁室)
出版:角川文庫 わ 11-2 ¥552 P196
版数:初版2010/4
入手:新刊購入 ジュンク堂(SOGO忠孝店) 
読んだ日:2010/5/9
感想書いた日:2010/6/26

■内容(カバーより)
「少年探偵」シリーズに代表される少年ものや、怪奇浪漫文学の名品を数多く遺した江戸川乱歩―。小学2年で『電人M』を読んで以来、乱歩に惹かれ、音楽性にも多大な影響を受けた大槻ケンヂが、ロック・ミュージシャンの視点からとらえ、新乱歩論を展開する。同時収録は、乱歩の短編小説「鏡地獄」「押絵と旅する男」「踊る一寸法師」「人でなしの恋」。この1冊で評伝と作品が読める「私のこだわり人物伝」シリーズ第2弾。

■感想
「大槻ケンヂが語る」部分はあっという間に読み終えてしまった。
後半分には「鏡地獄」「押絵と旅する男」「踊る一寸法師」「人でなしの恋」が収録。
「踊る一寸法師」は初めて読んだと思う、結構、衝撃的な内容っすね。
こんなの子供の頃に読んだらトラウマになるだろうなぁ
他のはどれも何度か読んだことある話ですが、せっかくなので再読してみた。
なかなかいいチョイスなんじゃないでしょうか。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆☆

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大槻ケンヂが語る江戸川乱歩 私のこだわり人物伝 (角川文庫)
大槻ケンヂが語る江戸川乱歩 私のこだわり人物伝 (角川文庫)

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2010年05月16日

【本】ネバーランド

ネバーランド

著者:恩田陸
装丁:木村典子
解説:吉田伸子
出版:集英社文庫 お 48 2 ¥514 P271
版数:2003/5初版
初出:2000/7集英社より単行本刊行
入手:古本 ¥220
読んだ日:2010/4/21
感想書いた日:2010/5/16

■内容(カバーより)
舞台は、伝統ある男子校の寮「松籟館」。冬休みを迎え多くが帰省していく中、事情を抱えた4人の少年が居残りを決めた。ひとけのない古い寮で、4人だけの自由で孤独な休暇がはじまる。そしてイブの晩の「告白」ゲームをきっかけに起きる事件。日を追うごとに深まる「謎」。やがて、それぞれが隠していた「秘密」が明らかになってゆく。驚きと感動に満ちた7日間を描く青春グラフィティ。

■感想
冬休みの寮に残った三人+一人の男子高校生の物語。少女漫画風の汗臭くない男子高校生の描写っていいですね。面白かったです。
読んでいて映画「1999年の夏休み」(金子修介監督)を思い出しました。あれは監督は男性でしたが、男子役を女性が演じていて同じく汗臭くなかったなぁ。
「ネバーランド」の後書きに作者が「「トーマの心臓」をやりたかった」と書いてあって納得。「1999年~」の原案は「トーマの心臓」。
さらっと読めて、ほのかな懐かしさを残してくれる佳作。
お薦め。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆☆

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ネバーランド (集英社文庫)
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【本】井上成美

井上成美

著者:阿川弘之
解説:佐伯彰一
出版:新潮文庫 あ 3 14 ¥680 P589
版数:1992/7初版
初出:1986/9 新潮社単行本刊行
入手:BOOK OFF ¥100
読んだ日:2010/4/17
感想書いた日:2010/5/16

■内容(カバーより)
昭和五十年暮、最後の元海軍大将が逝った。帝国海軍きっての知性といわれた井上成美である。彼は、終始無謀な対米戦争に批判的で、兵学校校長時代は英語教育廃止論をしりぞけ、敗戦前夜は一億玉砕を避けるべく終戦工作に身命を賭し、戦後は近所の子供たちに英語を教えながら清貧の生活を貫いた。「山本五十六」「米内光政」に続く、著者のライフワーク海軍提督三部作完結編。

■感想
以前同じ著者の「米内光政」を読んだ時に、こりゃ「井上成美」も読まなきゃなるまいと思ったのです。
だいぶ間隔はあいてしまいましたが、このたび読み終えました。
最後の海軍大将、井上成美の生涯が、著書の歴史観を下敷きに語られます。
元海軍の著者は、陸軍の暴走に海軍の一部も引きづられて避けるべき対米開戦に突入したという見方をしており、このような陸軍悪玉論的な見方には異論がある人もいるかもしれないですね。
私は詳しくないのでそういうもんかなと思いながら読んでました。

井上の生涯を、幼い頃から時系列にそって描くわけではなく、大戦前と大戦後を交互に描くことで、飽きずに読めました。
論理的、頑固、潔癖で毀誉褒貶の激しい井上を、過度に賛美することなく、ありのままに書こうとしていて好感がもてました。
井上氏自体も自分を英雄視されることを特に嫌う人だったようなので、この内容なら許してくれるのではないでしょうか。

非常に面白かったです。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆★
《薦》☆☆☆★

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井上成美 (新潮文庫)井上成美 (新潮文庫)

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2010年04月19日

【本】流れよわが涙、と警官は言った

流れよわが涙、と警官は言った

原題:FLOW MY TEARS, THE POLICEMAN SAID
著者:フィリップ・K・ディック (Philip K. Dick)
訳者:友枝康子
装画:上原徹
装丁:小倉敏夫
解説:大森望
出版:ハヤカワ文庫 SF807 SF テ-1-8 ¥720 P364
版数:初版1989/2 12刷2005/5
初出:1974
入手:借用
読んだ日:2010/3/15
感想書いた日:2010/4/19

■内容(カバーより)
三千万人の視聴者から愛されるマルチタレント、タヴァナーは、ある朝見知らぬ安ホテルで目覚めた。やがて恐るべき事実が判明した。身分証明書もなくなり、世界の誰も自分のことを覚えてはいない。そればかりか、国家のデータバンクからも彼に関する記憶が消失していたのだ! “存在しない男”となったダヴァナーは、警察から追われながら悪夢の突破口を必死に探し求める……現実の裏に潜む不条理を描く鬼才最大の問題作!

■感想
学生の頃に一度読んだような気もするんだけど内容はさっぱり憶えてなかったっす。
当時は「なんだこれ?」だった気がする…ディックが離婚後のどん底で、アンフェタミンやりまくってたときの作品らしく、内容にもそれが反映されてますね。
ディック好きなら好きだろうし、そうじゃなければ取っつきにくい作品じゃないでしょうか。
初めて読むなら他の本がいい気もするけど、名前が思いつかない…

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆
《薦》☆☆

表紙は新装されたみたい

流れよわが涙、と警官は言った (ハヤカワ文庫SF)流れよわが涙、と警官は言った (ハヤカワ文庫SF)
友枝 康子

早川書房 1989-02
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【本】アイの物語

アイの物語
Tales of One Thousand and One Nights for Machine and Man

著者:山本弘
装丁:西村弘美(角川書店装丁室)
解説:豊崎由美
出版:角川文庫 や 40-4 ¥819 P577
版数:初版2009/3
初出:単行本刊行2006/5
入手:新刊購入(Amazon)
読んだ日:2010/3/20
感想書いた日:2010/4/19

■内容(カバーより)
人類が衰退し、マシンが君臨する未来。食糧を盗んで逃げる途中、僕は美しい女性型アンドロイドと出会う。戦いの末に捕えられた僕に、アイビスと名乗るそのアンドロイドは、ロボットや人工知能を題材にした6つの物語を、毎日読んで聞かせた。アイビスの真意は何か?なぜマシンは地球を支配するのか?彼女が語る 7番目の物語に、僕の知らなかった真実は隠されていた―機械とヒトの新たな関係を描く、未来の千夜一夜物語。

■収録
第1話 宇宙をぼくの手の上に (Space on My Hands)
第2話 ときめきの仮想空間(An Exciting Imaginary Space)
第3話 ミラーガール (Mirror Girl)
第4話 ブラックホール・ダイバー (Black Hole Diver)
第5話 正義が正義である世界 (Justice Are on Our Side)
第6話 詩音が来た日(The Day Shion Come Here)
第7話 アイの物語(A Tale of i )  

■感想
タイトルがちょっとケータイ小説っぽいのがナンだなぁと思いつつ、読み終えてみると秀逸なタイトルだったことがわかりました。
アイってのは、語り部 のアンドロイドの通称であり、一人称のIであり、愛でもあり、AIでもあり、おまけに複素数のiでもあるのですね。素晴らしい。
中編の連作なのですが、最後が語り部たるアイの物語になっている、千夜一夜物語のような構成。
それぞれの作品もどれも面白く、全体をとおしても面白い。
なかなか、ないですね、こういう本は。
大満足。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆★
《薦》☆☆☆★

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アイの物語 (角川文庫)
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【本】ぼんくら 上・下

ぼんくら

著者:宮部みゆき
装画:村上豊
装丁:緒方修一
解説:北上次郎
出版:講談社文庫 上下分冊
初出:小説現代連載 1996/3~2000/1、単行本2000/4刊行
入手:BOOK OFF 各100円
読んだ日:2010/3/27
感想書いた日:2010/4/15

■内容(カバーより)
「殺し屋が来て、兄さんを殺してしまったんです」――江戸・深川の鉄瓶長屋で八百屋の太助が殺された。その後、評判の良かった差配人が姿を消し、三つの家族も次々と失踪してしまった。いったい、この長屋には何が起きているのか。ぼんくらな同心・平四郎が動き始めた。著者渾身の長編時代ミステリー。

■感想
宮部みゆき作「ぼんくら」読んだ。江戸時代の長屋人情話連作だと思ったら、ミステリー長編でした。
おでこや弓之介などなかなか魅力的なキャラクターが出てくるのだけど、あまり十分には生かされてなかったのがおしい。
シリーズ化しそうだなと思ったら、「日暮し」という続編がすでに出てた。
シリーズの第一作と考えたら、まぁいいのかな。
満足度は高くないけど、飽きずに読み切れたのでよしとしますか。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆★
《薦》☆☆☆

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ぼんくら(上) (講談社文庫)
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ぼんくら(下) (講談社文庫)
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2010年03月13日

【本】ベルリン飛行指令

ベルリン飛行指令

著者:佐々木譲
装画:生頼範義
解説:藤田宣永
出版:新潮文庫 さ 24 1 ¥743 P536
版数:初版1993/1 17刷2010/1
初出:新潮社 1988年単行本刊行
入手:新刊購入
読んだ日:2010/3/7
感想書いた日:2010/3/13

■内容(カバーより)
1940年、欧州戦線で英国スピットファイアに苦汁をなめていたドイツ空軍は極秘情報を入手した。日本で画期的な戦闘機が開発されたというのだ。驚異的な航続距離を誇る新戦闘機、その名は“タイプ・ゼロ”。三国同盟を盾に取り日本に機体移送を求めるドイツ。日本海軍の札付きパイロット安藤、乾の二人に極秘指令が下った。張り巡らされた包囲網の下、零戦は遙かベルリンの灯を目指す!

■感想
※ちょっとネタバレ※

タイトル通り、日本から零戦をベルリンまで飛ばすというお話。
当時の情勢や実在の人物もうまく絡めて描かれていて、なかなか面白かったです。
ただ、ノンフィクションらしい導入部でしたが、そういうわけでもないと思うので、荒唐無稽でもいいから、もっと冒険小説らしくあったほうが好みですかね。
井上成美はじめ実在の人物をいろいろと出てくるのですが、ちょっとゲスト出演っぽくて、あまりメインのストーリーに絡んでこないのも物足りなかったかも。
米国の戦闘機のりは本当に出てきた意味よくわからなかった・・・
てっきり、空中戦やるんだと思ってたのに・・・
でも、設定は面白いですし、一気に読めました。
3部作らしいので、全部読んでみたいですね。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆☆

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ベルリン飛行指令 (新潮文庫)
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【本】宇宙創成

宇宙創成

原題:Big Bang
著者:サイモン・シン (Simon Singh)
訳者:青木薫
装丁:Stocktrek Images/ゲッティ イメージス
出版:新潮文庫 上下分冊 シ37-4/シ37-5
版数:2009/2 初版
初出:2006/6 新潮社 単行本刊行
入手:新刊購入
読んだ日:2010/3/1
感想書いた日:2010/3/13

■内容(カバーより)
宇宙はいつ、どのように始まったのか?人類永遠の謎とも言えるその問いには現在、ある解答が与えられている。ビッグバン・モデル。もはや「旧聞」の感さえあるこの概念には、実は古代から20世紀末の大発見へと到る意外なエピソードと人間ドラマが満ちていた―。有名無名の天才たちの挑戦と挫折、人類の夢と苦闘を描き出す傑作科学ノンフィクション。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

■感想
フェルマーの定理、暗号解読と鋭いところをついてきた、サイモン・シンが、本作ではビッグバンという、オーソドックスなテーマをとりあげてきました。
正直なんで今更という感は否めず、内容も以前読んだことあるような内容も多々あったのですが、最後に訳者のあとがきを読んで腑に落ちました。

以下に引用します

P.371 文庫版訳者あとがき より
本書は、宇宙論の最新の知見を紹介する本ではなかった。本書の真の主人公は≪科学的方法≫だったのだ。シンは、科学的方法をみんなに知ってほしかった。そしてその目的のために、誰もが一度は心に抱いたことのある問い、すなわち、「宇宙はどこから来たの?」「星はどうやって輝いているの?」という、もっとも素朴で深い問いを選んだに違いない。」

引用以上

たしかにそう考えると、ビッグバンモデルと定常宇宙モデルを常に比較して、その時点で両者がどれだけ実観測と合っているかということを明示しながら論は進むのでした。

基本的にはビッグバンが定説となるまでを中心に描かれていて、その後のさらに先を説明しようとするインフレーション理論などには軽く触れる程度だったのが残念でした(しかも佐藤勝彦氏の名前が訳注でしかでてこない・・)が、上記の本書の目的を考えると納得はできました。

例によって、科学者の人間性も焦点があたっていて、どえらくわかりやすく書いてあるので、宇宙論の入門の入門書としても最適だと思います。
各章の最後にまとめがあるのがわかりやすいです。
厚さのわり簡単に読めてしまいます。
その分、上下分冊にせず一巻にしてほしかった気はする。
お薦めです。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆★
《薦》☆☆☆★

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2010年02月05日

【本】澁澤龍彦 書評集成

澁澤龍彦 書評集成

著者:澁澤龍彦
装丁:菊地信義
解説:平出隆
出版:河出文庫 し 1-52 P474 ¥1400
版数:初版2008/10
入手:新刊購入
読んだ日:2010/1/29
感想書いた日:2010/2/5

■内容(カバーより)
書評には流儀がある。澁澤流の書評は、時に厳しく時に偏愛的に書物の間を逍遥しながら、簡潔にその要諦を示し、一瞬の独自な世界をつくりあげていく。一九五八年から最晩年の一九八七年にかけて発表されたおびただした数の書評を集大成した本書は、澁澤龍彦による時評とも、澁澤自身の軌跡とも読める。待望の文庫オリジナル・アンソロジー。

■感想
書評の対象が読んだことないどころか、知らないものばかりなんですが、それでもその書評を読むと面白いのですよね。
書評といえど澁澤節ともいえる、著者らしさがあふれでていて。
優れた書評は二次創作として、元の本を知らなくても十分に楽しめますなぁ。
澁澤龍彦好きにのみお薦めの一冊です。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆

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澁澤龍彦書評集成 (河出文庫)
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2010年01月24日

【本】前巷説物語

前巷説物語

著者:京極夏彦
装丁:FISCO、荒井良
解説:宇江佐真理
出版:角川文庫 き 26-5 P729 ¥857
版数:初版2009/12
初出:単行本刊行 2007/4 角川書店
入手:新刊購入(台北 紀伊国屋書店@微風廣場)
読んだ日:2010/1/10
感想書いた日:2010/1/24

■内容(カバーより)
理由あって上方から江戸へ流れてきた双六売りの又市は、根岸の損料屋「ゑんま屋」の手伝いをすることに。この店はれっきとした貸物業、しかし裏では、決して埋まらぬ大損を大金と引き替えに仕掛けであがなう……という稼業を営んでいた。渡世仲間らと共に、若き又市が江戸に仕掛ける妖怪からくりの数々。だがついに、とてつもない強敵が又市らの前に立ちふさがる。やるせなさが胸を打つシリーズ第4弾、百物語はじまりの物語。

■収録
寝肥(ねぶとり)
周防大蟆(すおうのおおがま)
二口女(ふたくちおんな)
かみなり
山地乳(やまちち)
旧鼠(きゅうそ)

■感想
巷説百物語の最新刊がようやく文庫版になったので買ってきました。
前半は上方から江戸に流れてきた又市が、損料屋「ゑんま屋」の手伝いを始めしかけの世界に足を踏み入れるところを描いています。
後半からは「続~」で語られた、稲荷坂の祇右衛門との因縁が話の中心になってきます。
前日譚といはいえ、後の話に繋げるための、つじつま合わせな感じは一切せず、この本だけでも、妖怪仕掛けモノ(?)として十分楽しめる内容でした。

百介さんが仲間になってないかわりに、久瀬棠庵という本草学者がいろいろと蘊蓄語ってくれます。
京極堂シリーズでも最近あまりみれなくなった、妖怪ルーツ話もあったりして、嬉しかったです。

あと、又市とおちかや林蔵の会話がテンポが良くて、読んでて気持ちが良かった。

これで前日譚と後日譚が語られたわけですが、本作で打ち止めなんですかね。
「続~」と「後~」の間などにはまだまだ語られてないこともありそうなんで、続編期待してもいいのかな?
(「新~」とか)

全部出たら、一度、時系列順で読み直してみたいところです。
ちなみに「嗤う伊右衛門」と「覘き小平次」は時系列的にはどこに入るんだろうか・・・

本作から読み出しても十分面白いと思いますが、できれば出版順に「巷説百物語」→「続~」→「後~」→「前~」と、読むことをお薦めします。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆★
《薦》☆☆☆

前巷説百物語 (角川文庫)
前巷説百物語 (角川文庫)

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2010年01月03日

【本】ポケットに名言を

ポケットに名言を

著者:寺山修司
装画:林静一
出版:角川文庫 て 1-3 P174 ¥340
版数:初版1977/8 55刷2002/6
入手:古本
読んだ日:2009/12/30
感想書いた日:2010/1/3

■内容(カバーより)
世に名言、格言集の類は数多いけれど、本書ほど型破りな名言集は珍しいのではないだろうか。畠山みどりの歌謡曲あり、懐かしい映画の名セリフあり、かと思うと、サルトル、エンツェンスゲルガー、マルクス…。しかつめらしく覚えたり、読むのではなく、Tシャツでも着るようにもっと気軽に名言を自分のものにしよう!思い出にすぎない言葉が、ときには世界全部の重さと釣合うことがあるのだから……。

■感想
寺山修司の集めた珠玉の名言の数々。
名言集なので、当然、各章冒頭の一文と、一部の引用を除いた大部分は他の人の文章や台詞なのですが、言葉の選び方、並べ方がやはり寺山修司で、読後感は寺山の本でした。
お薦めです

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆☆

■引用
P62 幸福 より
〔私のノート〕
 幸福とは幸福をさがすことである。
 ――私はこのルナアルの言葉を、高等学校の便所の落書の中で発見したのだ。私はこの大きな真理を何べんもよみながら、目にしみるような窓の青空に目をやった。
 人と人とに出会いがあるように、人と言葉のあいだにも、ふしぎな出会いがあるものだなあ、と思いながら。
 
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ポケットに名言を (角川文庫)ポケットに名言を (角川文庫)

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2010年01月02日

【本】旧約聖書 創世記

旧約聖書 創世記

訳者:関根正雄
出版:岩波文庫 青801-1
版数:1刷1956/5、17刷改版1967/8、41刷1987年2
入手:祖父蔵書
読んだ日:2009/12/30
感想書いた日:2010/1/1

■内容(表紙より)
罪を犯して神から追放を受けた人類とその人類に対する神の救いが聖書全体をつらぬく問題であるとすれば、旧約巻頭のこの書こそ、その問題への出発点である。天地の創造、人類のはじまり、楽園追放、ノアの洪水、その子孫の増加、そしてイスラエル民族の祖先たちの罪と罰の記録。次々に壮大な神と人類の物語が展開されてゆく。

■感想
ユダヤ警官同盟を読んで旧約聖書に興味を…
というわけではなくて、前回実家に帰った時に祖父の形見の蔵書の中から引っ張り出して読み出して、最近ようやく読み終わったところです。読み始めたのはこちらのほうが先。

創世記は旧約聖書の一番最初の部分で、天地創造の場面からユダヤの祖アブラハム~イサク~ヤコブ(イスラエルと改名)の話になっていき、ヤコブの12人の息子がユダヤ十二氏族の祖になるというところまで。
ですので、モーセの契約も、海を割って出エジプトする話もまだ出てきません。
前半は世界の成立ちを主に描いていて、アダムとイブの失楽園、カインの兄殺し、バベルの塔、ソドムとゴモラ、ノアの洪水と、どこかで見聞きしたエピソードがてんこもり。
後半はユダヤの民族の成立がメインです。

どうもこの旧約聖書というやつはいろいろな原典が入り交じって成立しているものらしく、注釈を読むと「ここは『祭司資料』、ここからは『ヤハウェ資料』と見られるなどと解説があって面白い。
用語などからどの資料から来たものか分析していくみたいですね、いわゆる聖書学ってのはこういうことをする学問なんですかね。
旧約聖書全部は読む自信ないですが、機会があれば続く出エジプト記あたりは読んでみたいっすね。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆★

旧約聖書 創世記 (岩波文庫)旧約聖書 創世記 (岩波文庫)
関根 正雄

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2009年12月26日

【本】ユダヤ警官同盟

ユダヤ警官同盟

原題:THE YIDDISH POLICEMEN'S UNION
著者:マイケル・シェイボン(MICHAEL CHABON)
訳者:黒原敏行
装画:影山徹
出版:上巻:新潮文庫 シ 39 1 ¥590 P312
   下巻:新潮文庫 シ 39 2 ¥629 P315
版数:上巻:初版2009/5、下巻: 初版2009/5 
入手:新刊購入
読んだ日:2009/12/18
感想書いた日:2009/12/26

■内容(上巻カバーより)
安ホテルでヤク中が殺された。傍らにチェス盤。後頭部に一発。プロか。時は2007年、アラスカ・シトカ特別区。流浪のユダヤ人が築いたその地は2ヶ月後に米国への返還を控え、警察もやる気がない。だが、酒浸りの日々を送る殺人課刑事ランツマンはチェス盤の謎に興味を引かれ、捜査を開始する――。ピューリッツァー賞受賞作家による刑事たちのハードボイルド・ワンダーランド、開幕!

■感想
イスラエルの建国が失敗して、代わりにユダヤ難民が集まったアラスカのシトカ特別区を舞台にした、架空歴史ハードボイルド小説。

架空歴史ものゆえに背景説明の多さと、翻訳ハードボイルドゆえに誰がしゃべってるのかよく分からない文章で、前半はぜんぜん面白く感じられずに、なかなか読み進みませんでした。
しかし、前巻の後半あたりからだんだんと面白くなってきて、下巻は一気に読み終わりました。

とっつきにくいですが、読み終わってみればいい話だったんじゃないでしょうか。
設定は架空ですが、SFってよりもハードボイルド小説でしたね。
タイトルから想像するような内容じゃなかったけど…

創作部分も多いとはいえ、奥深いユダヤの世界の一端を垣間見た気がします…

読み終わってみれば面白かったのですが、やはり私同様にユダヤもチェスも身近じゃない多くの日本人にはとっつきにくい本なんじゃないかも。
逆に言うと、ユダヤかチェスに興味がある人には入りやすいかもしれない。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆★

■引用 下巻 P164
「あの連中は何者なのかって?あれはユダヤ人だ。陰謀をめくらしているユダヤ人。くっつけたのは必要のない修飾語だがね」

ユダヤ警官同盟〈上〉 (新潮文庫)ユダヤ警官同盟〈上〉 (新潮文庫)
Michael Chabon

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ユダヤ警官同盟〈下〉 (新潮文庫)ユダヤ警官同盟〈下〉 (新潮文庫)
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2009年12月20日

【本】あやしい探検隊 海で笑う

あやしい探検隊 海で笑う

著者:椎名誠
写真:中村征夫
イラスト:椎名誠
カバーデザイン:和田誠
解説:小安稔一(陰気な小安)
出版:角川文庫 し 6-10 ¥660 P323
版数:初版1994/6 10版1997/7
初出:1993年 三五館 単行本刊行
入手:BOOK OFF ¥105
読んだ日:2009/12/10
感想書いた日:2009/12/20

■内容(カバーより)
世界最大のサンゴ礁が連なるオーストリアのグレートバリアリーフで、初のダイビング体験。行きあたりばったりでニュージーランドへ。サメ大群の追跡をしてみようと飛島へ――。
キャリアを積んでぐっと国際的にあってきた探検活動は、危険も感動もダイナミックに。
が、大目標にこだわらず、ビールや食事にこだわりながら、好奇心のままつき進んでいく、”あやしい初志”は変わらない。
中村征夫撮影のすばらしいカラー写真と共に楽しめる。豪快、素朴な海の行状記。シリーズ第四弾。
■収録
 第一章 巨大魚を抱きにいく
 第二章 あやしい探検隊 南太平洋ジグザク旅
 第三章 日本海のサメ穴でサメ頭なでなで作戦に挑む
 第四章 南国快晴。第一東ケト丸の進水
 第五章 あやしい探検隊 無人島へ行く
 第六章 南の海も笑ってる
 第七章 フグとカツオの大勝負
 第八章 半漁人たちの伝説
 あとがきにかえて――ドチザメA・Bのつぶやき
 奥尻島の津波 中村征夫
 元祖怪しい探検隊「東ケト会」の頃――陰気な小安の回想 小安稔市

■感想
えーーっと、シリーズ何作目でしたっけ?
前作からだんだんと出番が減っていましたが、完全に東ケト会で出かけることはなくなってしまいましたなぁ。
みなさん仕事や家庭の都合でなかなか集まれなくなってきたそうな
そのかわり職業アウトドア―な方々が集まって「いやはや隊」としていろいろ遊びにいってます。
いやはや隊のメンバーは本作に写真も載っている、写真家の中村征夫氏や、カヌーイストの野田知佑氏などなど、今や居酒屋の権威(?)の太田和彦氏も料理班で参加してるんですねぇ。
こりゃ豪華メンバー。
文庫版にもかかわらず写真がたっぷり掲載されているのは嬉しいですね。
いい写真ばかりで楽しい気分が伝わって来ます
しかし、椎名さんは本作で初めてダイビングをやったんですね、もっと昔からやってたのかと思ってました。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆☆

あやしい探検隊海で笑う (角川文庫)
あやしい探検隊海で笑う (角川文庫)

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【本】ムーミン谷の彗星

ムーミン谷の彗星

原題:KOMETEN KOMMER
作/絵:トーベ・ヤンソン(TOVE JANSSON)
訳者:下村隆一
解説:高橋静男
出版:講談社 青い鳥文庫 21-2 P219 ¥580
版数:第1刷1981/2 第36刷1999/2
初出:1946年 1956年改訂 1968年三訂
入手:古本 永康街 地下街
読んだ日:2009/12/9
感想書いた日:2009/12/20

■内容(カバーより)
 長い尾を光らせた彗星が、地球にやってくるというので、ムーミン谷は大さわぎ。ムーミントロールは、彗星をしらべるためスニフと天文台へ出発しますが……。
 ムーミン谷の愛すべき仲間たちの困惑を暖かいユーモアでつつみこんでえがく、トーベ=ヤンソンのファンタジーの傑作。

■感想
時系列的には、前巻の「楽しいムーミン一家」より前の話みたいですね。
スナフキンやスヌークおじょうさんともに初じめて出会う場面がありました。
書かれたのもこちらが最初なのかな?
たしかに、本作では彗星におびえる終末的な世界が描かれているのでシリーズ1作目にはちょっと重いですかね。
ある意味、もっともムーミンシリーズらしい話かもしれませんが、私はもそっと明るい話のほうが好きですなぁ。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆☆

4061470450ムーミン谷の彗星 (講談社青い鳥文庫 21-2)
Tove Jansson
講談社 1981-02-10

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2009年10月25日

【本】SF英雄群像 スペース・オペラへの招待

SF英雄群像 スペース・オペラへの招待

著者:野田昌宏
装画:小森誠
出版:ハヤカワ文庫 JA119 ノ 1 2
版数:初版1979/12 4刷2004/3
ISBN:4-15-030119-0
初出:SFマガジン 昭和38年9月号~40年5月号連載
入手:amazon
読んだ日:2009/10/24
感想書いた日:2009/10/25

■内容(カバーより)
地球滅亡後、宇宙人に助けられ不老不死の機械人間となったジェイムスン教授、宇宙の正義と平和のため、仲間とともに<コメット>号で宇宙を駆けめぐるキャプテン・フィーチャー、天涯孤独の身から銀河の無法者スターウルフの一員となり冒険を重ねるケイン……アメリカのパルプ雑誌で活躍したスペース・ヒーローたちのプロフィルを紹介しつつ、そのおもしろさをわかりやすく解説したスペース・オペラ・ガイドブックの名著

■感想
1930年代、40年代のアメリカパルプSF雑誌を彩った、スペースオペラを一挙紹介。
いやはや、原作より面白いといわれるだけあって、どれも面白い!
驚くのがこれをSFマガジンに連載していた時にはまだ、これらの翻訳はでてなかったてこと。
やっぱりパルプSF雑誌の第一人者だったんですねぇ。
レンズマン、スターウルフ、キャプテン・フィーチャー、火星シリーズとだいたい読んだはずですが、内容はまったく覚えてなかった…
そりゃもう20年もまえだもんなぁ…
改めて読みたくなりました・
キャプテン・フィーチャーは野田氏の書いた外伝もふくめて、創元で復刻されてるらしいですね。
買っちゃおうかなぁ…

SF好きは全員必読の本。
で、この本読んで、紹介されてる本読みたくならなかったら、もうハードSFだけ読んでた方がいい。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆☆
《薦》☆☆☆★

SF英雄群像―スペース・オペラへの招待 (ハヤカワ文庫 JA 119)
SF英雄群像―スペース・オペラへの招待 (ハヤカワ文庫 JA 119)

投稿者 niimiya : 13:46 | コメント (3) | トラックバック

【本】特集・本の雑誌2

特集・本の雑誌2 ブックガイド篇

編者:本の雑誌編集部
装画:沢野ひとし
出版:角川文庫 ほ 9-2 ¥680 P470
版数:初版1995/11
ISBN:74-04-196702-3
初出:本の雑誌 1989~1995
入手:古本
読んだ日:2009/10/18
感想書いた日:2009/10/25

■内容(カバーより)
「本の雑誌」は一九七六年に〔書評とブックガイド誌〕として創刊されたが、当初は季刊誌。八四年から〔活字のコラムマガジン〕に方針転換し、隔月刊を経て、八八年に月刊化。今年、創刊二〇周年を迎える。
この第二巻「ブックガイド篇」には、ホラー小説から、恋愛小説、スポーツ本、時代小説、絵本、ハードボイルド、青春小説、ギャンブル本、SFまで、様々な本を紹介するブックガイド特集を収録した。

■感想
本の雑誌の特集記事をまとめた本の第二弾。
前作は未読。
本作に収録されている特集は、「ホラー」「恋愛」「スポーツ」「時代小説」「絵本」「ハードボイルド」などなど…。
どのジャンルにも読んだことない面白そうな本が山のようにあるんですなぁ
読書熱を上げてくれる本です。
まぁ、でも、古い本ですし、まずは気に入った特集があったら「本の雑誌」本誌を買うのがいいかもね。

いまでこそ、本の雑誌といったら「ダヴィンチ」かもしれませんが、もともと本の雑誌といったら「本の雑誌」なんですよね、ってややこしいわ。

私は雑誌を買うことはほとんどないんですが、「本の雑誌」だけはたまに買います。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆

特集・本の雑誌〈2〉ブックガイド篇 (角川文庫)
本の雑誌編集部
4041967023

投稿者 niimiya : 12:54 | コメント (0) | トラックバック

【本】レモン月夜の宇宙船

レモン月夜の宇宙船

著者:野田昌宏
装画:加藤直之
装丁:東京創元社装幀室
解説:高橋良平
出版:創元SF文庫 SF の 1 1 ¥1000 P498
版数:初版 2008/11
ISBN:978-4-488-73101-4
初出:連載SFマガジン他。単行本「レモン月夜の宇宙船」早川書房刊行、「SFパノラマ館」北冬書房刊行
入手:新刊購入 AMAZON
読んだ日:2009/10/18
感想書いた日:2009/10/25

■内容(カバーより)
SF研究家、翻訳家、作家として活躍し愛された野田昌宏。その作家活動の第一歩となった作品を表題とした第一短編集を大幅増補、書籍初収録短編一編と初期の傑作エッセイの数々を加えて贈る。生涯の名台詞となる「SFってなァ、結局のところ絵だねェ」が誕生したエッセイ、生涯の愛称となった「宇宙郡大元帥」を初めて名乗った小説風記事も収録した。詩情に満ちた名品ぞろいである。

■感想
故野田昌宏さんの、初期短編とエッセイをあわせた本。
短編はすべて自分を主人公として、日常の延長線上に黄金時代のSFが展開される作りで、作者のSF愛が伝わってきます。
エッセイ部分からは、なおいっそうパルプ誌時代のSF(スペースオペラ)への愛があふれ出してますが、内容的に「スペース・オペラの読み方」とかぶりまくってしまっているのはちょっと残念。

でも、タイトルもカバーもいいし、オールドSF好きは買うべし。

あ、今気づいたんですが、この本、創元から出てるんですね、初出誌もSFマガジンが多いし、てっきりハヤカワ文庫だと思ってました(元々はハヤカワJAから出てたようです)。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆★
《薦》☆☆☆

レモン月夜の宇宙船 (創元SF文庫)
レモン月夜の宇宙船 (創元SF文庫)

投稿者 niimiya : 12:27 | コメント (0) | トラックバック

2009年10月24日

【本】ホームレス中学生

ホームレス中学生

著者:田村裕
装丁:lil.inc
出版:ワニブックス ¥1300 P191
版数:初版2007/9 14版2008/1
ISBN:978-4-8470-1737-7
入手:古本 永康街 地下街

読んだ日:2009/10/18
感想書いた日:2009/10/24

■感想
永康街の古本屋でトイレ借りて、そのまま帰るのは申し訳なくて購入。
今更内容の説明はいらないと思いますが、麒麟の田村さんの一家離散した過酷な中学時代から吉本に入るまでを描いてます。
ハードカバーですが、字も行間も大きいので、あっという間に読了。
このエピソード自体はTVで本人が語っているのを聞いてたので知ってはいましたが、あらためて大変なこと経験してるなぁと思いますな。
でも、偉いのは、悲壮感がまったくなくて、誰も責めずに、まわりへの感謝に溢れた内容であること。
人気商売の人なんで、好感度意識してるといえばそれまでですが、単純な私は彼が好きになりましたよ。
家に済ましてくれたり、みんなでお金だして、部屋かりてくれたりと、周りの人もいい人やなぁ。
そして、なにより兄ちゃんが偉いなぁ。
ただ、これだけあっさり読めてしまう分量の本をハードカバー&新刊で買うのは、貧乏性の私には無理だなぁ
でも、こういう利益率よさげな本がベストセラーになることで、出版社も書店も(取り次ぎも?)潤って、儲からない本も扱えるようになるんですよね、きっと。感謝せにゃ。
ついでに一家離散しないでくれた、両親にも感謝。

段ボール風の装幀は凝ってて面白いですね、剥がすとまきふん公園の写真ってのもいいですね。
こりゃ、たしかにまきふんだわ。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆★
《薦》☆☆★

ホームレス中学生
ホームレス中学生

投稿者 niimiya : 22:55 | コメント (0) | トラックバック

2009年10月21日

【本】町奉行日記

町奉行日記

著者:山本周五郎
装画:村上豊
出版:新潮文庫 や 2 29 ¥440 P388
版数:初版 1979/3 
ISBN:4-10-113430-8
入手:BOOK OFF ¥250
読んだ日:2009/9/30
感想書いた日:2009/10/21

■内容(カバーより)
着任から解任まで一度も奉行所に出仕せずに、奇抜な方法で藩の汚職政治を摘発してゆく町奉行の活躍ぶりを描いた痛快作『町奉行日記』。藩中での失敗事をなんでも<わたくし>のせいにして、自己の人間的成長をはかる『わたくしです物語』。娘婿の過誤をわが身に負ってあの世に逝く父親の愛情を捉えた短編小説の絶品『寒橋』。ほかに『金五十両』『落ち梅記』『法師川八景』など10編収録。

■感想
山本周五郎の本を読むのは「さぶ」以外では初めてです。
つまり初の山本周五郎の短編集ってことです。
BOOK OFFで見かけて適当に買ったんですが、内容も書いた時期もバラバラで入門としてはいいチョイスだったかもしれません。
戦国の名残の忠臣の話や、堪え忍ぶ信念の女性など、様々な人々が描かれています。
表題作は痛快な破天荒奉行の国直しのお話。

他にも作者の短編集いろいろ読んでみたくなりました。
また日本帰ったときに古本屋でいろいろ探してみよっと。
その前に、長編の「樅ノ木は残った」を読みたいのではあるけれど…

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆☆

町奉行日記 (新潮文庫)
町奉行日記 (新潮文庫)

投稿者 niimiya : 23:35 | コメント (0) | トラックバック

2009年10月17日

【本】ま・く・ら

ま・く・ら

著者:柳家小三治
装丁:南伸坊
解説:矢野誠一
出版:講談社文庫 や 44 1 ¥667 P411
版数:初版1998/6 27刷2006/4
ISBN:4-06-263777-4
入手:BOOK OFF ¥400
読んだ日:2009/10/17
感想書いた日:2009/10/24

■内容(カバーより)
枕は落語のイントロ。バイクの車庫に居ついたホームレス、英語留学の顛末、玉子かけご飯まで小三治にかかるとたまらなく面白い。旺盛な好奇心と確かな目、磨いた話術がくり出す枕は枕を超えた。長短18篇を取りそろえてご機嫌伺います。人生っていいなと心温まる、「まくらの小三治」の真骨頂、お楽しみの程を。

■感想
以前、続編の「もひとつ ま・く・ら」を人からもらって、すごく面白かったもんで、前作の「ま・く・ら」も探してたんですが、先日ようやく見つけました。
続編同様面白かったです。
アメリカに行く話が中心になってますね、全然英語できないのに、アメリカいって無理矢理短期留学しちゃうあたりとか、たくましい…
オーディオマニアらしい話もいろいろあって、CDに傷いれたらとか、二回出し入れしたらとか、冷蔵庫いれたら音がよくなるとか、そういう話ありましたなぁ
未だに本当??って思ってるんですが、どうなんでしょね…
他に定番のバイクや句会の話に加えて、借りてる屋外駐車場に浮浪者に住まれちゃった話がご本人のちょっとお人好しな性格が出てて面白かったです。

落語好きにも、そうでもない人にもお薦め。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆★
《薦》☆☆☆★

ま・く・ら (講談社文庫)
ま・く・ら (講談社文庫)

投稿者 niimiya : 22:02 | コメント (0) | トラックバック

2009年09月30日

【本】朝霧

朝霧

著者:北村薫(きたむら かおる)
装画:高野文子
出版:創元推理文庫 M き 3 5 ¥560 P247
版数:初版2004/4、再版2004/5
ISBN:4-488-41305-6
初出:オール讀物1995~1997、東京創元社 単行本刊行1998年
入手:新刊購入(Amzon)
読んだ日:2009/9/27
感想書いた日:2009/9/28

■内容(カバーより)
前作『六の宮の姫君』で着手した卒業論文を書き上げて、巣立ちの時を迎えたヒロインは、出版社の編集者として社会人生活のスタートを切る。新たな叙情詩を奏でていく中で、廻り合せの妙に打たれしばし呆然とする《私》。その様子に読み手は、従前の物語に織り込まれていた絲の緊密さに陶然とする自分自身を見る想いがするだろう。幕切れの寥亮たる余韻は次作への橋を懸けずにはいない。

■収録
山眠る
走り来るもの
朝霧

■感想
前作の「六の宮の姫君」は芥川龍之介の同名小説を俎上に、芥川と菊池寛の関係を追求した番外編的な存在でしたが、本作では本来の路線の日常謎解き連作集に戻りました。
このシリーズでは落語家円紫さんの謎解き小説でありつつ、同時に「私」の成長小説でもあるのですが、本作では『謎解き』より『成長』の部分に重きが置かれていたように感じました。
いよいよ、大学を出て就職した「私」の初々しい働きっぷりと、ちょっとずつ現れるすこし気になる男性。
続編が気になるところですが、えらい長いこと続きでてないんですよねぇ
もう書かないのでしょうか…

相変わらず、文学や落語のペダンチックなネタが満載なのですが、全然、鼻につかずに書くのがさすがですな。

好きなシリーズなんですが、最初の二冊のほうが謎解き部分が面白くて好みでした。
前作を読んでからだいぶ開いてしまったので、主人公に対する思い入れがちょっと薄まってしまってたかもです。

読むのであればシリーズ一作目「空飛ぶ馬」からどうぞ!
文学/落語好きには特にお薦め。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆★
《薦》☆☆☆

朝霧 (創元推理文庫)
朝霧 (創元推理文庫)
東京創元社 2004-04-09
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空飛ぶ馬 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書) 夜の蝉 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書) 秋の花 (創元推理文庫) 六の宮の姫君 (創元推理文庫)

投稿者 niimiya : 20:17 | コメント (0) | トラックバック

2009年09月27日

【本】横溝正史読本

横溝正史読本

編者:小林信彦
装画:杉本一文
解説:権田萬治
出版:角川文庫 よ 5-200 ¥514 P286
版数:初版1979/1、改版初版2008/9
ISBN:978-4-04-138216-5
入手:新刊(台北 紀伊国屋)
読んだ日:2009/9/27
感想書いた日:2009/9/27

■内容(カバーより)
 名探偵金田一耕助のモデルは?『獄門島』『八つ墓村』ほかのトリックはどのように思いついたのか?――作家小林信彦を相手に、主要作品の詳細な舞台裏を初めて明かした、巨匠みずから空前絶後の内容と称する<対談四部作>、貴重なエッセイ<探偵茶話>、乱歩、安吾、彬光による横溝正史作品論と、資料的価値も高い伝説の名著が、ここに甦る。今回、新たに現代までの詳細な横溝正史年譜を加えた。ミステリファン必読の書。

■収録
横溝正史の秘密
資料1 探偵茶話
資料2 作品評

■感想
小林信彦による、横溝正史のロングインタビューを中心にまとめられた本で、横溝正史ファンなら必読の書。
でも、そうじゃない人でも、戦前・戦後の新青年まわりの出版事情に興味がある人なら、面白く読めると思います。
他に横溝の手による探偵小説についてエッセイや、乱歩による「本陣殺人事件」批評なども収録されています。
ニッチな本なので、万人にお薦めというわけにはいきませんが、興味のある人はどうぞ。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆
《薦》☆★

横溝正史読本 (角川文庫)

投稿者 niimiya : 18:30 | コメント (0) | トラックバック

【本】素粒子物理学をつくった人びと 上・下

素粒子物理学をつくった人びと

原題:THE SECOND CREATION Makers of the revolution in 20th-Century Physics
著者:ロバート・P・クリース&チャールズ・C・マン
訳者:鎮目恭夫、林一、小原洋二、岡村浩
装画:いずもり・よう
装丁:守先正
出版:ハヤカワ文庫 ノンフィクション NF347/348 各¥1200、P525/P538
版数:初版2009/4
ISBN:978-4-15-050347-5/050348-2
初出:原著初版発行 1986年、翻訳版早川書店発行 1991年、原著改訂版(底本)1996年
入手:
読んだ日:2009/9/26
感想書いた日:2009/9/27

■内容(上巻カバーより)
広大な実験施設で大量のエネルギーを投入し、加速した粒子同士をぶつけて壊す。何のために?それh万物の成立ちの究極理論を実証するためだ。素粒子物理学と呼ばれ、数々のノーベル賞学者を輩出するこの学問は、20世紀初め、原子の構造の解明に頭を悩ませた学者が、波でも粒子でもある「量子」を発見したことから始まる……理論と実験の最先端でしのぎを削る天才たちの肉声で構成された、決定版20世紀物理学史(全2巻)

■感想
いやはや、なかなか読み応えありました。
実に面白かったです。
文庫本に拘わらず上下分冊それぞれ1200円となかなかのお値段ですが、買った甲斐がありました。
大学で物理を学んでいたにも拘わらず、素粒子論はいつも入り口で挫折をしてしまうのですが、本作は人々のエピソードが豊富で、理論についていけてなくなっても、楽しんで最後まで読めました。

アメリカ中心で、日本人の扱いがちいさいんじゃないって不満もなくもないですが、量子力学の誕生から弱電理論、標準模型、超弦理論へと素粒子物理の歩みを読みやすい形で提示してくれています。

上巻はボーア、ハイゼンベルグ、シュレディンガー、ディラックと慣れ親しんだ名前が出てきて、彼らの知らなかった一面が見られて実に面白かったです。
下巻はいよいよザ・素粒子論な話なので、出てくる人もあまりなじみがなかったのですが(ファインマンは別として)、こちらもみんな人間くさくていいですねぇ。

人間くさい物理学者がこの本にはつまっています。
試行錯誤し、間違ったアイデアにみんなで飛びつき、離れていきと…
そしてまた、理論と実験は科学の両輪なんだなぁとつくづく思いました。
理論で予想した結果を確かめるために実験する。
そして実験であらわれた現象を説明するために理論を作る。
こうして、素粒子論は前に前に進んできたのでした。
(でも、超弦理論など究極の統一理論は、現時点では実験では実証するすべがないそうな…うーん、こまったね。)

原著の初版が書かれたのは1986年とだいぶ前なのですが、今回の文庫化にあたり付録として、その後の素粒子物理の歩みも載っているのが親切です。

下巻は理論的な部分はぜんぜんついていけてなかったので、そのうち再読したいですね。
(といってしないのがいつものパターンですが…)

お薦めなんですが、ある程度、科学に対する素養がないと、読みにくいかもです。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆★
《薦》☆☆☆

■引用(P285 8ヒドラ退治(その1)から)

一九四八年三月三〇日の火曜日、第二回シェルターアイランド会議が開かれた。今度の会場はペンシルバニア州ポコノ・マナーのポコノ・マナー・インだった。前回の会議のメンバーの大部分が参加したが、新来者の中にニールス・ボーアがいた。今回の呼び物はジュリアン・シュウィンガーによる異例の五時間講演だった。ホテルのラウンジに置かれた携帯用黒板を方程式で埋めながら、彼は集まった物理学者たちに、量子電磁力学のめのくらむような完全な再構成を順々に示していった。それにより、あらゆる無限大は電子の観測される電荷と質量の中にくり込まれ、「裸」の質量と「裸」の電荷という概念と、それらに伴う電磁気的な付属物はすべて回避された。≪中略≫ その場にいた物理学者の一部は、シュウィンガーの駆使するきらびやかな数学的技術の列にアンビバレントな反応を示した。彼らは、彼の講演を、名演奏の極致だが、音楽よりは技術的な誇示、美しいが冷たい独唱曲と評した。彼が黒板に書いていったものの大半は、この理論にたどりついた道の記録に過ぎず、本当は物理ではない、と彼らは言った(シュウィンガーはそうは思わなかった)。とはいえ、居合わせた人は誰もが、自分は歴史的な場面に居るのだと感じた。新しい世代の物理学者がついに支配権を握った。ニールス・ボーアの眼前で、一人の若者――シュウィンガーはまだ三〇歳になったかならないか――が場の理論の正当性を立証し、量子電磁力学のくり込みに成功したのだった。

素粒子物理学をつくった人びと〈上〉 (ハヤカワ文庫NF―数理を愉しむシリーズ)

素粒子物理学をつくった人びと〈下〉 (ハヤカワ文庫NF―数理を愉しむシリーズ)

投稿者 niimiya : 17:24 | コメント (0) | トラックバック

2009年09月21日

【本】方丈記

方丈記

著者:鴨長明
校訂:山田孝雄
出版:岩波文庫 黄100-1 ¥100 P74
版数:初版1928/10、14刷改版1939/6、54刷1979/6
初出:鎌倉時代?
入手:古本
読んだ日:2009/9/20
感想書いた日:2009/9/21

■感想
今更、説明などはいらないと思いますが、なんとなく読んでみました。

岩波の古い版の古本で読んだので、注釈などはあまりなく、分からない部分も多々ありましたが、それでも頭の中で音読して読んでいくとリズムがよくて気持ちがいいですな。

ただ、内容は前半は当時続けざまに起きた厄災の様が描かれていて、ちょっと暗い気持ちになりました…
こりゃ、鴨長明の厭世観も納得。

およそ800年前に書かれたものですが、人の世の悩みは今と変わらないのですなぁ…

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆★
《薦》☆☆☆

現在の版はこちら↓
方丈記 (岩波文庫)
4003010019

投稿者 niimiya : 21:27 | コメント (0) | トラックバック

【本】放送禁止歌

放送禁止歌

著者:森達也
出版:光文社 も 2-1 ¥648 P256
版数:初版2003/6、11刷2005/4
ISBN:4-334-78225-6
初出:「放送禁止歌」解放出版社 2000/7刊行
入手:古本
読んだ日:2009/9/上旬
感想書いた日:2009/9/21

■内容(カバーより)
岡林信康『手紙』、赤い鳥『竹田の子守唄』、泉谷しげる『戦争小唄』、高田渡『自衛隊に入ろう』……。これらの歌は、なぜ放送さえなくなったのか?その「放送しない」判断の根拠は?規制したのは誰なのか?著者は、歌手、テレビ局、民放連、部落解放同盟へとインタビューを重ね、闇に消えた放送禁止歌の謎に迫った。感動の名著、待望の文庫化。

■感想
フジテレビの深夜枠で放映された30分のドキュメンタリー「放送禁止歌~唄っているのは誰?規制するのは誰?」のディレクターが、自ら番組を背景も含めて書籍化したものです。

結局、お上の規制なんてもんはなくて、「規制」の正体はテレビ/ラジオ局側の「事なかれ主義」に過ぎなかったという事を描き出しています。

本で読むからにはもう少し深掘りして欲しかった気もしますが、今まで知らなかった(知ろうとしなかった)ものに触れられました。

この本がもともとは解放出版社から出てたというのも興味深いところです。

元のドキュメンタリーが放映されたのは、10年前だそうですが、その後、テレビの世界はどうかわったのでしょうか?
ヨイトマケの唄はTVで聴けるようになったかもしれませんが、他のタブーはむしろ増えているような気もします…

それにしても、プロローグに書かれている岡林信康の「手紙」の歌詞は沁みる…(Youtubeで検索すると、このドキュメンタリーのエンドロールで流れているものが見つかります)

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆★

放送禁止歌 (知恵の森文庫)

投稿者 niimiya : 20:48 | コメント (2) | トラックバック

2009年08月30日

【本】官僚たちの夏

官僚たちの夏

著者:城山三郎
解説:神崎倫一
出版:新潮文庫 し 7 11 ¥360 P283
版数:初版1980/11、18刷1988/7
ISBN:4-10-113311-5
入手:古本屋20元(60円)
初出:週刊朝日連載「通産官僚たちの夏」。1975年単行本刊行(新潮社)
読んだ日:2009/8/13
感想書いた日:2009/8/26

■内容(カバーより)
「国家の経済政策は政財界の思惑や利害に左右されていはならない」という固い信念で通産行政を強引、着実に押し進め、次官への最短コースを疾走する“ミスター・通産省”風越信吾。高度成長政策が開始された60年代初めの時期に視点をすえ、通産省という巨大複雑な官僚機構の内側における、政策をめぐる政府・財界との闘いと、人事をめぐる官僚間の熱い闘いをダイナミックに捉える。

■感想
うちでは映らないのですが、ドラマで今やってる(やってた)みたいですね。
台北の古本屋でちょうど見つけたの読んでみました。
舞台は戦後から高度成長期にさしかかる日本。
通産省を舞台に、ばりばりワーカホリックな官僚達が、天下国家を思いながらも、政治家や産業界との駆け引きや、省内の軋轢などもありつつ暑い暑い夏を駆け抜けていくのですな。

主人公は大臣の前でも態度を変えない剛腕の風越。
彼も彼を慕う後輩たちも昼も夜もひたすら働くのですな。
彼らの対極にいる象徴的な存在として、あまり出番はないものの、残業はほどほど、趣味もたしなみ飄々と生きる片山という人物がでてきます。
最後のほうでこれからは彼のような人々の時代かななんて示唆もあったりしますが、どうも又聞きするところでは、今でもキャリア官僚の方々は深夜残業当然みたいな世界みたいですね。

その他の部分でも40年前の話にもかかわらず、今でもあまりかわってないなぁと思う部分は多かったです。

まぁ、時代背景はだいぶ違うので風越らがこだわっていた保護的な官僚主導政策は、今読むとだいぶ古く感じはしましたが。

しかし、現実に取材して描いた企業小説(本作は官庁が舞台ですが)は、展開が現実的ではあるのですが、物語的な起承転結はないので、読み終わったあと、ちょっと突き放されたような気分になりますね。
(読んでるときは手に汗を握ってるのですが…)
ま、そこが魅力のひとつでもあるのでしょう。

なお、出てくる大臣は実在の政治家をモデルにしてるみたいなんで、戦後政治に詳しい人はそれを想像して読むのも面白いかも。
池内、須藤、九鬼あたりは名前からすぐわかったけど。
田河は田中角栄、矢沢は宮澤喜一だったのか。
というか、官僚も含めて、みんなモデルがいるんすね。
Wikipedia

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆☆

官僚たちの夏 (新潮文庫)

投稿者 niimiya : 16:25 | コメント (0) | トラックバック

2009年08月08日

【本】経済ってそういうことだったのか会議

経済ってそういうことだったのか会議

著者:佐藤雅彦 竹中平蔵
出版:日本経済新聞社 日経ビジネス文庫さ4-1
版数:第1刷2002/9 第15刷2005/8
ISBN:4-532-19142-4
初出:日本経済新聞社 単行本刊行 2000/4
入手:古本(台北 永康街「地下街」)
読んだ日:2009/8/7
感想書いた日:2009/8/8

■内容(帯より)
あの竹中平蔵と、あの佐藤雅彦がこの地球の経済をやさしくするどく解き明かす、新・経済の入門書。

■目次
 第1章 お金の正体…貨幣と信用
 第2章 経済のあやしい主役…株の話
 第3章 払うか 取られるのか…税金の話
 第4章 なにがアメリカをそうさせる…アメリカ経済
 第5章 お金が国境をなくす…円・ドル・ユーロ
 第6章 強いアジア、弱いアジア…アジア経済の裏表
 第7章 いまを取るか、未来を取るか…投資と消費
 第8章 お金儲けはクリエイティブな仕事
 第9章 人間とは「労働力」なのか…労働と失業
 終章  競争か共存か
 会議を終えて
 会議 その後 

■感想
あぁ、経済ってそういうことだったのね。
どえらく今更のチョイスですが、最近古本屋で見つけたので買って見ました。
実にわかりやすくて、読みやすくいいですねぇ。

まぁ、読みやすすぎて、実は単行本が出た時点と、文庫本が出た時点でほとんどの章を立ち読みでよんじゃってたりもするのですが、改めて読んでみると、なかなか新しい発見がありますね。

詳しい人が読んだら「違う!」ってなとこもあるかもしれませんが、私のような素人には実に面白く読めました。

妙に湖池屋の話がよく例ででてくるなぁと思ったんだけど、よく考えたら、佐藤さんってポリンキーとかドンタコスのCM作った人か。
あのCM大好きでした。

デザインも秀逸。

経済ってわかったような…わかってないような…な人にはもれなくお勧め。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆☆
《薦》☆☆☆★

経済ってそういうことだったのか会議 (日経ビジネス人文庫)

投稿者 niimiya : 21:59 | コメント (0) | トラックバック

2009年08月02日

【本】劒岳 <点の記>

劒岳 <点の記>

著者:新田次郎(1912~1980)
装画:唐仁原教久
出版:文春文庫 に 1 34 ¥686 P407
版数:新装1刷2006/1 16刷2009/6
ISBN:4-16-711234-5
初出:1981/1単行本刊行
入手:新刊購入 石垣島のマックスバリューの並びの本屋
読んだ日:2009/7/26

■内容(カバーより)
日露戦争直後、前人未踏といわれ、また、決して登ってはいけない山と恐れられた北アルプス、劔岳山頂に三角点埋設の至上命令を受けた測量官、柴崎芳太郎、器材の運搬、悪天候、地元の反感など様々な困難と闘いながら柴崎の一行は山頂を目ざして進んでゆく。そして、設立間もない日本山岳会隊の影が。山岳小説の白眉といえる。

■感想
映画「劒岳」の原作。
普段は、映画化されたからといって原作読んでみようとかあんまり思わないのですが、これは興味をそそられまして、石垣島いったついでに買ってきました。
自分では山登りなぞとてもしようとは思わないのですが、山岳小説って結構好きなんですよね。
(まぁ好きと言えるほど読んでないのはいつものことですが…)

まぁよく知らないのですが、北アルプスに劔岳ちゅう険しい山があって、だれも登ってなかったんですわ。
とはいえ、Google Earthとかない当時のことなんで、地図をつくるために、測量のためにはいつかは登らないといけないわけなんですなぁ
そんなおりに日本山岳会なんて趣味登山の団体もできて、劔岳に食指をのばしちゃってるもんですから、参謀本部の陸地測量部さんとしては、「民間人に先を越されるわけにはイカン!」みたいなことになるんですな。

そんなわけで、本作の主人公の柴崎さんってのが、プレッシャーを受けながらも、地元のシェルパ(みたいな人)長次郎とともに頂上を目指すという、実話をもとにしたお話。

ただ、まぁ普通の山岳小説みたいに頂上へ頂上へってわけでもなくて、そこはあくまで目標は測量なわけで、そのあたりの仕事にむけてのストイックさがなかなかいい味をだしてるわけです。

山登りのシーンはわりとあっさり描写で、夢枕獏みたいに流れる汗が伝わるような感じではないのですが、三角測量のやり方などを丁寧に描いてて面白かったです。

実話を元にしているので、フィクションのような派手なサスペンスはないですが、それでもさまざまな葛藤の中で、劔岳を目指す主人公に感情移入して一気に読み終えてしまいました。

映画もぜひみてみたいですねぇ。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆☆

劒岳―点の記 (文春文庫 (に1-34))

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2009年07月25日

【本】ふらんす物語

ふらんす物語

著者:永井荷風
注解:三好行雄
解説:中村光夫
出版:新潮文庫 草69A ¥220 P248
版数:初版1951/7 18刷改版1968/11 29刷1974/9
初出:雑誌「新潮」「早稲田文学」ほか
入手:古本 ¥150
読んだ日:2009/7/13

■内容(カバーより)
フランスに来て初めて自分はフランス気候が如何に感覚的であるかを知った――。青年永井荷風が体験した「西洋」をつづったこの小品集は、その異国趣味と新鮮な近代感覚とで耽美派文学の源流となった。フランス渡航に先立ってアメリカ生活を送った荷風は、ヨーロッパをほとんどアメリカ人の眼で観察し、その独特な視野から西洋文化の伝統性と風土との微妙な調和を看破している。

■収録
船と車
ローン河のほとり
秋のちまた
蛇つかい
晩餐
祭りの夜がたり
霧の夜
おもかげ
再会
ひとり旅

巴里のわかれ
黄昏の地中海
ポートセット
新嘉坡の数時間
西班牙料理
橡の落葉
裸美人
恋人
夜半の舞踊
美味
ひるすぎ
舞姫

■感想
永井荷風って青年時代にフランスで1年ほどすごしているんですな。
で、帰ってきた後に発表したフランスを題材とした作品群がこの本。
もうほぼ全編から荷風のフランスへの愛が満ち溢れております。

そして、なにより描写が美しい!
普段は筋ばかり追ってて、文章を味わうなんてこと碌にしない私ですが、この本はスルメを食べるように、噛み締め噛み締め読みました。
成熟して時に退廃的なフランスの文化や風景が若き日の荷風の瑞々しい文章で描かれています。

アメリカからフランスに到着したところから始まり、最後にはついにフランスをさる場面がやってくるのですが、この時の惜別の想いが胸をうつのです。
今みたいに、その気になったらいつでもいけるという時代じゃないですから、今生の別れなわけですよ。

もう断然おすすめです。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆★
《薦》☆☆☆

■引用
P172 「巴里のわかれ」より

 朝日が早くもノートルダームの鐘楼に反射するのを見ながら、自分はとぼとぼとカルチェーラタンの宿屋に帰った。窓の幕を引き室中を暗くして、直様眠りに就こうとしたが、巴里に居るのもこの日一日と思えば、とても安々寝付かれるものではない。リュキザンブルの公園の森に勇ましく囀る夜明の小鳥の声とソルボンの時計台から鳴る鐘の音が聞える。市場(アール)に行くらしい重い荷車の音が遠くに響く。
 自分は寝台の上から仰向きに天井を眺めて、自分は何故一生涯巴里に居られないのであろう。何故仏蘭西に生まれなかったのであろうと、自分の運命を憤るよりははかなく思うのであった。自分には巴里で死んだハイネルやツルゲネフやショーパンなどの身の上が不幸であったとはどうしても思えない。とにかくあの人たちは駐まろうと思った芸術の首都に生涯滞在し得た芸術家ではないか。自分はバイロンの如く祖国の山河を罵って一度は勇ましく異郷に旅立ちはしたものの、生活という単純な問題、金銭という俗な煩いの為に、迷った犬のように、すごすご、おめおめ、旧の古巣に帰って行かねばならぬ。ああ何と云う意気地のない身の上であろう。

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2009年06月29日

【本】家出のすすめ

家出のすすめ

著者:寺山修司
装画:林 静一
解説:竹内 健
出版:角川文庫 て 1-1 ¥420 P230
版数:初版1972/3 58刷2001/8
ISBN:4-04-131502-6
初出:新聞連載(1962頃)
入手:古本
読んだ日:2009/6/27

■内容(カバーより)
「書を捨て、街に出よう」――若者の未来の自由は、親を切り捨て、古い家族関係を崩すことから始まる――。愛情過多の父母、精神的に乳離れできない子にとって、本当に必要なことは何なのか?「家出のすすめ」「悪徳のすすめ」「反俗のすすめ」「自立のすすめ」と4章にわたって現代の矛盾を鋭く告発する現代の青春論。

■感想
中学の時に学校の図書室で「地獄変」という怪しげな詩集に出会ってから、私はこの寺山修司という人が好きになってしまいました。
以来、古本屋で見かけるたびに買い求めて、わりと読んできたつもりなのですが、基本中の基本、デビュー作にして代表作の本作は今まで読んだことなかったのです。
先日(といっても去年)、ついに古本屋で出会ったので、これを機に今更、読んでみました。
絶版本じゃあるまいし、新刊で買えよというつっこみは冷静なツッコミは無用です。

「処女作にその作家のすべてが現れる」ってな批評・感想に便利な言葉がありますが、この本でも彼の生涯を通してのテーマの一つとなった、自立・親離れ(母離れ)が述べられているのです。
まぁこの本が処女作がどうかしらなかったりもするんですが…(オイオイ)

しかしこの本書いたの27才の時だってねぇ…
今の私よりだいぶ若いのに完成度がすごいなぁ。
やっぱり大好きな人ですわ。

もう半世紀近く前に書かれた本なんで、時代の差は感じるものの、「今の時代でも、いや今の時代だからこそ若い人に読んで欲しい」などとベタなことも思ったりもしました。

また、劇作家、詩人として知られた作者ですが、興味のある人はこの本あたりから入っていくのもいいのではないでしょうか。


■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆★
《薦》☆☆☆

■引用
(P49 「家出のすすめ」より)
 つまり、わたしがさきにあげたように、自分の「持っているもの」などというのは、たんに自分が管理している、というだけのことであって……しかも、そのことだけを比較するならば、誰も博物館の番人ほどにはたくさんのものを「持つ」ことはできないでしょう。
 けちくさい所有の単位とし「家」を考えるくらいなら、「家」などは捨てた方がよい。死体置場の番人になるくらいなら、街の群衆全体を「所有」する方が、はるかに人生に参加する意味がある。
 問題は、むしろ、「家」の外にどれだけ多くのものを「持つ」ことができるかによってその人の詩人としての天性がきまるのであり、新しい価値を生みだせるのだ……と知ることです。


(P77「家出のすすめ」より)
 家出の実践は、政治的な解放のリミットを越えたところでの、自立と自我の最初の里程標をしるすことになるでしょう。親との対話という名での、血的遺産のリレーを中断し、むしろ親とも「友情」を持てるような互角の関係を生みだすためには、幸福な家庭も捨てなければならないのです。自分ひとりでも歩かねばならない――むしろ、自分ひとりでこそ。わたしは、よく高群逸枝とう老詩人の望郷子守唄を思い出すが、それはこんな歌でした。

 風じゃこざらぬ汽笛でござる
 汽笛鳴るなよ 思い出す

 おどんがこまか時や寄田の家で
 朝も早から汽笛見てた

 汽車は一番汽車 八代くだり
 乗って行きたいあの汽車に

 望郷の歌をうたうことができるのは、故郷を捨てた者だけである。そして、母情をうたうこともまた、同じではないでしょうか?


家出のすすめ (角川文庫)
表紙変わった模様。
前のやつは林静一の絵がめちゃよかったのに…

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2009年06月28日

【本】シャングリ・ラ

シャングリ・ラ

著者:池上永一
装丁:デザイン:大久保伸子、Photo:The Bridgeman Art Library/AFLO
解説:筒井康隆
出版:角川文庫 
    上巻 い 51-4 ¥743 P502
    下巻 い 51-5 ¥743 P508
版数:上巻 2008/10初版、下巻2008/10初版
ISBN:上巻 ISBN978-4-04-364704-7、下巻ISBN978-4-04-364705-7
初出:単行本 角川書店 2005/9刊行
入手:新刊購入 紀伊国屋@台北
読んだ日:2009/6/27

■内容(カバーより)
加速する地球温暖化を阻止するため、都市を超高層建造物アトラスへ移して地上を森林化する東京。しかし、そこに生まれたのは理想郷ではなかった!CO2を削減するために、世界は炭素経済へ移行。炭素を吸収削減することで利益を生み出すようになった。一方で、森林化により東京は難民が続出。政府に対する不満が噴き出していた。少年院から戻った反政府ゲリラの総統・北条國子は、格差社会の打破のために立ち上がった。

■感想
裏カバーの内容紹介と装丁(ブリューゲルのバベルの塔)を見て、骨太な近未来SFかと思って買ったのですが、今風なのりのドンパチドタバタ活劇でしたね。
ブーメランをもった女子高生が主人公で、オカマさんやら、マッドサイエンティストな女医やらが、入り交じって戦って、関係ない人は死にまくりって感じ。
漫画でいうとブラックラグーンみたいなトリガーハッピー感。
まぁ重くてまじめなのが偉くて、軽いドタバタが偉くないってこともないので、別にこれはこれでいいんですが…
だったら表紙はもっとアニメ調の絵で登場人物書くとか、中身がわかりやすくしてほしかったなぁ。
まぁ作者のせいじゃないけど…

こういう話は、好きな人にはいいだろうけど、私みたいな脳内映像化が苦手なタイプには、展開が追えなくてつかれちゃいますな。
でも、それなりに引き込まれて一気に読み終えたりはしましたが…
漫画やアニメ向きな話っすね。(と思ったら、すでに漫画にもアニメにもなってる様子っす)

来るべき世界の話かとおもってたら、土台はなんか帝都物語みたいで目新しさがなかった。
あと、やたらギリシャ神話から名前もってくるのも、今時はチープに感じてしまうよのよぉ。
でも、そのわりにタイトルはシャングリ・ラなんだよなぁ…
表紙の絵はバベルの塔やし…

炭素経済が実質経済からはずれて暴走していくとことかは面白かったね、実際そんな感じになりそうな気配もあるしねぇ。

筒井康隆が解説書いてるんだけど、本作よりも次作「テンペスト」を持ち上げてて笑った。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆
《薦》☆☆

シャングリ・ラ 上 (角川文庫)

シャングリ・ラ 下 (角川文庫)

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2009年06月23日

【本】猫のいる日々

猫のいる日々

著者:大佛次郎(おさらぎじろう)
出版:六興出版 ¥1000
版数:初版1978/9 6刷1987/5
ISBN:4-8453-7023-9
入手:実家蔵書(祖父蔵書?)
読んだ日:2009/1/30

■感想
恥ずかしい話、大佛次郎って歴史小説の大家のわりに「だいぶつじゃないよ」ってくらいしか知らなかったりします。
著作も小学校のころに鞍馬天狗を1~2冊読んだくらい。
それもいまとなっては本作だったかどうかも記憶があやしい…
で、大人になってからの初大佛なわけですが、これが時代小説ではなく猫にまつわるエッセイ。
実家に転がってもんで…、猫好きとしてはほっておけんかと。

しかし、この人もえらい猫好きだったんですなぁ。
同じ猫好きといっても、内田百閒みたいに一匹の猫をとことん耽溺するのではなくて、大佛夫妻はもう来る者拒まずで、家中猫だらけ。

百閒先生と較べると個々の猫への思い入れは薄いなぁとは思うけど、これはこれですごい猫愛よのぉ…
しかも大佛次郎本人より奥様のほうが上手の猫好きっぽくていいですわ。
鎌倉のご自宅で猫に邪魔されながら、彼らの食い扶持を稼ぐために執筆活動に没頭する大佛氏を想像するとなんか楽しくなってきますな。

これを機会にひとつ彼の歴史物も読んでみようと思いましたわ。
はい。

猫好きは本屋や古本屋で見かけたら手に取ってみてくださいな。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆★

猫のいる日々 (徳間文庫)
猫のいる日々 (徳間文庫)
(私が読んだのは六興出版のでしたが絶版のようなので)

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2009年05月24日

【本】ネクロポリス 上・下

ネクロポリス 上・下

著者:恩田陸
装画:藤田新策
装丁:鈴木成一デザイン室
解説:萩尾望都
出版:朝日文庫 お 60-1/2
版数:上下とも 初版2009/1
ISBN:978-4-02-264469-5/264470-1
入手:新刊購入(茅ヶ崎 長谷川書店)
読んだ日:2009/5/10

■内容(上巻カバーより)
懐かしい故人と再会できる場所「アナザー・ヒル」。ジュンは文化人類学の研究のために来たが、多くの人々の目的は死者から「血塗れジャック」事件の犯人を聞きだすことだった。ところがジュンの目の前に鳥居に吊るされた死体が現れる。これは何かの警告か。ジュンは犯人捜しに巻き込まれていく―。

■感想
最初はちょっとぼんやりとした設定説明が多くて、なかなかはいりこめなかったですが、上巻の途中くらいから引き込まれてきました。
しかし、終わってみると…うーん、なんだったん?という感じは否めず。
謎解き小説なのかとおもったら、後半冒険的になりかけて、尻すぼみ…実に残念…
折角、時間かけて、架空のアナザーヒルを描いてきたんだから、もうちょっと大事にしてあげてもよかったような…
今作は単に「鋼鉄都市」みたいに、異世界での謎解き推理小説にしておいて、自作からその世界そのものの謎にせまるようにしておけばいいのに。

「血塗れジャック」って語呂の悪いネーミングセンスもどうかと思うしなぁ…

といいつつ、読んでるときはおもしろくて、一気によんでしまいましたわ。

後半の展開の評価はわかれるとは思いますが、ちょっと長めだけど読みやすい本など探してる方はどーぞ。

カバーのデザインはかなり好き。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆★
《薦》☆☆


ネクロポリス 上 (朝日文庫)

ネクロポリス 下 (朝日文庫)

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【本】愚か者死すべし

愚か者死すべし

著者:原尞
出版:ハヤカワ文庫 JA912
版数:初版2007/12
ISBN:978-4-15-030912-1
入手:新刊購入(茅ヶ崎 長谷川書店)
読んだ日:2009/5/3

■内容(カバーより)
大晦日の朝、私立探偵・沢崎のもとを見知らぬ若い女、伊吹啓子が訪れた。銀行強盗を自首した父の無実を証明してほしいという。彼女を父親が拘留されている新宿署に送り届けた沢崎は、狙撃事件に遭遇してしまう。二発の銃声が轟き、一発は護送されていた啓子の父親に、もう一発は彼を庇おうとした刑事に命中した! 9年もの歳月をかけて完成した、新・沢崎シリーズ第一弾。巻末に書き下ろし掌篇「帰ってきた男」を収録。

■感想
いっつのまにか1年以上も前に出てたんだなぁ、沢崎シリーズの新刊…
日本のハードボイルドものってたいして読んではないのですが、その中では文句なしに原尞の沢崎シリーズがいっちゃん好きですわ。
しかし、惜しむらくは、やたら寡作家なんですよねぇ…
前作から、えーっと、10年くらいはたっとるんかねぇ
すっかり内容も、その存在もわすれていましたが、ふと立ち寄った本屋で最新作をみつけてしまいましたよ。
いやぁうれしいねぇ。

買ったその日のうちに読んでしまいましたよ。
今作はちょっと展開はありがちではあったけど、雰囲気やセリフまわしは相変わらずでいいっすね。

その後も、あいかわず続刊でてないみたいですが、気長に待ちますか。

未読の人はシリーズ第一作「私が殺した少女」からどうぞ。大傑作っす。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆★
《薦》☆☆☆

愚か者死すべし

投稿者 niimiya : 11:56 | コメント (0) | トラックバック

【本】世界ケンカ旅

世界ケンカ旅

著者:大山倍達
装画:生賴範義
装丁:矢島高光
解説:平岡正明
出版:徳間文庫 お 11-1 ¥476 P209
版数:初版1985/3 12刷2008/3
ISBN:978-4-19-597822-1
初出:1968/11 KKベストセラーズより刊行
入手:新刊購入(成田空港TSUTAYA)
読んだ日:2009/5/6

■内容(カバーより)
 一九五二年、シカゴでの初リング以来、剛腕、怪力、凄腕の外人ファイターと数多くの死闘を演じてきた極真空手・大山倍達。香港の陳老人の円月殺法に教えられ、ボルネオで見た魚取りの少年の足技からついに必殺技『三段蹴り』を完成。空手の父として極真空手を世界に拡めた。
 本書は、空手一筋に生きてきた大山倍達の“男のためのケンカ術”である。その心構え攻撃法など絶好の参考書。

■感想
空港のTUTAYAでふと見つけて、思わず買ってしまった。
たわいもない内容だけど、飛行機の中で読むにはちょうどよかったかな。
極真空手を世界中に普及させたマス・オーヤマこと、大山倍達がアメリカいってはギャングにかこまれたり、ブラジルではナイフ使いと戦ったり、香港では拳法達人に弟子入りしたりとそういうお話。
で、各地での美女との出逢いや別れもふくめて赤裸々に書いてあります。
正直、どこまで本当なの?って気もしなくもないけど、そんなことを気にしながら読む本じゃなくて、「ワハハ、すげーな、マス・オーヤマ」って笑いながら読む本なんだろうな。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆
《薦》☆☆

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2009年04月21日

【本】白の鳥と黒の鳥

白の鳥と黒の鳥

著者:いしいしんじ
装画:池田進吾
解説:春日武彦
出版:角川文庫 P231 ¥476
版数:初版1998/11
ISBN:978-4-04-391801-0
初出:単行本刊行 角川書店 2005/1
入手:新刊購入
読んだ日:2009/4/19

■内容(カバーより)
たとえば某日。ねじまわしに導かれ、太ったひとばかりが住む村に行く。某夜、上野の立飲み屋台で国民作曲家のよた話をきく。またある日、謎の珍味“こぎゅんぱ”に随喜し、獰猛な巨大モミジをみんなで狩りに行く――いしいしんじが聴き取った、ちょっと奇妙な世界の消息をお届けします。生きていることの不思議さと不気味さ、そして愛しさがくるくるときらめく、万華鏡のようなショート・ストーリー集。

■収録
肉屋おうむ
しろねずみ
せみ子の黄色い傘
カラタチとブルーベル
薄い金髪のジェーン
オールド・ブラック・フォスター
赤と青の双子
魔法のリコーダー
紫の化粧
紅葉狩り顛末
すげ替えられた顔色
ボウリングピンの立つ所
緑春
私の千食一夜
白黒の鳥の声
おっとせいを飼う
薄桃色の猫たち

■感想
カバーの紹介文にもあるように、「不思議さ」と「不気味さ」のいりまじった短編集です。

稲垣足穂みたいにもそっと不思議側に倒れたほうが、私にはドンピシャだったかな。
そういう意味では収録作のうち「緑春」や「透明に関する四つの小話」などはよかったです。
逆に「赤と青の双子」とか「薄桃色の猫たち」などの不気味系はちょっと苦手だな。

別の本が出たら、すぐ買いに行くか?と聞かれれば行きませんが、電車の待ち時間に駅の本屋をぶらついてるときに見かけたら買ってしまいそうな感じっす。
うーん、わかりにくい。

ただ、はまる人はめちゃはまりそうな気はします。
でも、この本より長編だけど「ぶらんこのり」から入ったほうが入りやすいかも。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆★
《薦》☆☆★

白の鳥と黒の鳥 (角川文庫)

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2009年04月18日

【本】鴨川ホルモー

鴨川ホルモー

著者:万城目学
装画:石居麻耶
装丁:岩瀬聡
解説:金原瑞人
出版:角川文庫 ま 28-1 ¥514 P294
版数:初版2009/2
ISBN:978-4-04-393901-5
初出:単行本 産業編集センター刊行 2006/4
入手:新刊購入(台北 紀伊国屋 微風店)
読んだ日:2009/4/5

■内容(カバーより)
このごろ都にはやれるもの、勧誘、貧乏、一目ぼれ、葵祭の帰り道、ふと渡されたビラ一枚。腹を空かせた新入生、文句に誘われノコノコと、出向いた先で見たものは、世にも華麗な女(鼻)でした。このごろ都にはやるもの、協定、合戦、片思い。祇園祭の宵山に、待ち構えるは、いざ「ホルモー」。「ホルモン」ではない、是れ「ホルモー」。戦いのときは訪れて、大路小路にときの声。恋に、戦に、チョンマゲに、若者たちは闊歩して、魑魅魍魎は跋扈する。京都の街に巻き起こる、疾風怒濤の狂乱絵巻。都大路に鳴り響く、伝説誕生のファンファーレ。前代未聞の娯楽大作、碁盤の目をした夢芝居。「鴨川ホルモー」ここにあり!!

■感想
「ホルモー」という競技をのぞけばとりたて特別なことはない青春小説なわけですな。
青春小説というジャンルがあるのかどうかは知らないのですが、普段そういう類の小説はさっぱり読まないので、この本の「青春」部分がいかほど優れているかというところはひとつよくわからなかったりします。
まぁ変わった主人公に、これまた変わった友達がいて、変わったヒロインが出てくるわけですな。
どうでしょうか、それなりに楽しめたようなきもしますが、もう少し前半から盛り上がってくれるとよかったかもねぇ。

はてさて、「ホルモー」についてなんですが、これはあれかね、鬼をつかった「ボコスカウォーズ」みたいなもんっすかね。
はたまたピグミン?(やったことないのでCMで見たイメージのみでそう思いました)

私はどうも想像力が貧困なもので、あんまり架空の競技の描写をされても、イマイチおもしろさがわからなかったりするんですわ。
そういう意味では、先にもうすぐ公開という映画をみてから読んだ方がよかったかもなぁ

先日読んだ「夜は短し歩けよ乙女」と同じく、京都を舞台にしているのですが、「夜は~」の方が(虚構も交えつつ)上手に舞台をつかっていたような気もします。
較べるもんでもないですが。

表紙はいいですな。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆★
《薦》☆☆☆

鴨川ホルモー (角川文庫)

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2009年03月28日

【本】夜は短し歩けよ乙女

夜は短し歩けよ乙女

著者:森見登美彦
装画:中村祐介
装丁:高柳雅人
解説:羽海野チカ(はちみつとクローバー)
出版:角川文庫も19-2 P320 ¥552
版数:初版2008/12 再版2009/1
ISBN:978-4-04-387802-4
初出:2006/11単行本刊行(角川書店)
入手:新刊購入
読んだ日:2009/1/29

■内容(カバーより)
「黒髪の乙女」にひそかに想いを寄せる「先輩」は、夜の先斗町に、下鴨神社の古本市に、大学の学園祭に、彼女の姿を追い求めた。けれど先輩の想いに気づかない彼女は、頻発する“偶然の出逢い”にも「奇遇ですねえ!」と言うばかり。そんな2人を待ち受けるのは、個性溢れる曲者たちと珍事件の数々だった。山本周五郎賞を受賞し、本屋大賞2位にも選ばれた、キュートでポップな恋愛ファンタジーの傑作!

■感想
京都にいくときに駅で買って、京都のホテルで読んだんです。
ちょっとオタクっぽい内容で、最初ついていけてなかったんですが…
章を進むうちに結構はまっていってる自分に気づきましたわ。
現実と幻想がごっちゃになって展開するスラップスティックラブコメディっぷりは、マンガっぽいなと思いましたよ。(けっして小説である必要ないという意味ではなくて)。
しかし京都ってのは、現代の小説でも、なかなか舞台になるもんですな。
続編もありそうですが、読んでみたいと思わされました。
好き嫌いわかれる気もしますが、マンガ好きと京都好きにはおすすめかな。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆☆

夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫)

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【本】蒸発した男

蒸発した男

原題:THE MAN WHO WENT UP IN SMOKE
著者:マイ・シューヴァル&ペール・ヴァールー
訳者:高見浩
装画:日暮修一
出版:角川文庫 赤520-5 ¥380 P
版数:初版1977/5 6刷1984/4
ISBN:4-04-252005-7
初出:原著刊行1966年
読んだ日:2009/1/25

■内容(カバーより)
 取材でハンガリーを訪れたルポ・ライター、アルフ・マトソンは、そのまま消息を絶ってしまった。ハンガリーを出国した形跡もない。
 この失踪事件が表沙汰になれば、両国の関係にひびが入りかねない。単身ブダペストに飛び、マトソン蒸発の真相を探るのが、マルティン・ベックに課せられた使命だった。(以下略)

■感想
マルティン・ベック シリーズ第2弾
前作はオーソドックスな警察小説でしたが、本作はやや国際的そしてミステリーらしいトリックも盛り込まれてます。でも、最後は社会派なのだな。
休暇から呼び出されちゃったベックさんはハンガリーに出張です。
その地で消えたジャーナリストを捜し出さなければならないのです。
共産圏の異国の地で、謎のヤングガールに誘惑されながらも、一人孤軍奮闘なベックさん。

そして最後はいつものように切ない結末。

このシリーズ、やっぱ、おもしろいわ。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆★
《薦》☆☆☆

蒸発した男 (角川文庫 赤 シ 3-2)

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【本】シャドー81

シャドー81

原題:SHADOW 81
著者:ルシアン・ネイハム (Lucien Nahum)
訳者:中村圭二
装丁:ハヤカワ・デザイン 写真:Yasuhide Fumoto/Getty Image
出版:ハヤカワ文庫 NV1180 ¥1000 P491
版数:初版2008/9
ISBN:978-4-15-041180
初出:原著刊行1975年、新潮文庫1977/4
入手:新刊購入
読んだ日:2008/11/30

■内容(カバーより)
ロサンゼルスからハワイに向かう747ジャンボ旅客機が無線で驚くべ通告を受けた。たった今、この旅客機が乗っ取られたというのだ。犯人は最新鋭戦闘爆撃機のパイロット。だがその機は旅客機の死角に入り、決して姿を見せなかった。犯人は二百余名の人名と引き換えに巨額の金塊を要求、地上にいる仲間と連携し、政府や軍、FBIを翻弄する。斬新な犯人像と周到にして大胆な計画――冒険小説に新たな地平を切り拓いた名作

■感想
機体の外からハイジャックってのはアイデアっすな。
準備段階から緻密に描写するスタイルは読ませますな。

残りページも少なくなってきて、ここから事件はどう解決するのかと思ってたら…
なんと、そうきましたか。

ちょっと、それでいいの??って思わないこともないエンディングですが、それもあの時代をならではなんですかねぇ

ネタバレしないように書いたら、なんかさっぱりわからん感想になってしまった…

まぁ復刊されるだけあって、なかなか面白いので読んでみてくださいな。

あと、表紙がいかすね。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆☆

シャドー81 (ハヤカワ文庫NV)

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【本】嵐の眼

嵐の眼

原題:EYE OF THE STORM
著者:ジャック・ヒギンズ (Jack Higgins)
訳者:黒原敏行
装画:生頼範義
出版:ハヤカワ文庫 NV852 初版1997/10 P386 ¥720
版数:初版1997/10
ISBN:4-15-040852-1
読んだ日:2009/3/28

■内容(カバーより)
狙いは英国首相官邸――! 湾岸戦争のさなか、西欧に力を誇示しようとするイラクのフセイン大統領の指嗾によって、希代の国際テロリストが動きだした。ショーン・ディロン、演技と変装の名人で元IRA闘志。いっぽう、危険を察知した英国国防情報部は、かつてIRAに属していた大学教授マーティン・ブロスナンに協力を求めた。因縁ある二人の男に対決の時が迫る!現実に起きた官邸迫撃事件をもとに描く冒険アクション

■感想
湾岸戦争の直前、イラクの富豪の依頼で、イギリス官邸を狙う元IRA闘志と、それを阻止しようとするこれまた元IRA闘志。という、いかにもジャック・ヒギンズらしい話。
(まぁ「鷲は舞い降りた」くらいしか読んだことないんだけど…)

まぁ多少手に汗にぎらないこともないですが…目新しさもない話なんで、「ヒギンス大好き!」って人向けの本かな…

肝心の官邸迫撃のシーンがやけにあっさりと失敗するんですが、どうもその部分は実際にあった事件のようですね。

いかにもな敵役の変装の名人ショーン・ディロンですが、1作で捨てるのがもったいなくなったのか、このあと主人公に転身して何作か書かれてるらしいです。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆
《薦》☆☆

嵐の眼 (ハヤカワ文庫 NV (852))

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2009年03月17日

【本】方法序説

方法序説

原題:DISCOURS DE LA METHODE
著者:デカルト
訳者:落合太郎
出版:岩波文庫 青613-1
版数:初1953/8 改1967/3 41刷1985/8
入手:祖父蔵書(1985/11/5購入)

読んだ日:2009/1/30

■内容(カバーより)
理性はすべての人間に平等に備わっており、正しく用いれば人は誰でも自分の精神を最高の点まで高め得るという『方法序説』の言葉は、中世的迷妄主義からの独立宣言であり、近代精神の確立を告げる画期的なものであった。徹底的な疑いを通じて確実な真理に迫ろうとしたデカルト(1596-1650)の体験と思索が集約された思想的自叙伝。

■感想
タイトルからの連想で、デカルト版の考え方ハウツー本みたいなんかと、勝手に思い込んでましたが、そうでもなかったっす。

自分の考え方をちょっと説明させてもらいます、でも、別に強制するわけじゃなくて、あくまで、えーっと、なんか私が教会にたいして不遜な考え方をしてるんじゃないかって人もいるので、でも、そんなことはなくてですねぇ…

ってな本なんだな。

もそっと、ちゃんとした本だそうとしてたみたいなんだけど、ガリレオさんが破門されちゃったもんで、どうも奥歯にものの挟まったような表現のこの本が出たのかな。

とはいえ、デカルトの考え方は提示されております。

いろいろ信じちゃってるものはいろいろあるけど、ここで根拠のないもんは全部いったん否定してゼロベースで考え方を構築しようじゃないか!
ということで、やってみました。
どんどん否定してったら、そう考えてる自分は否定できんじゃないか。
(ここで、自分すら疑っちゃうと懐疑主義になるのかな?違う?)
よっしゃ、まずはそこを肯定してみて、そっから再構築だっ!ってことなんだよね、きっと。
これがかの有名な「我思う故に我あり」なんですな。
ま、そんなことはWikipediaのデカルトの項目を読めばもっとわかりやすく書いてあったりするんですが、わざわざ本を読むと当時の雰囲気が伝わってくるのがいいですな。
近代思想の夜明けの時期、まだまだ好きなことをなんでも言える時代ではなかったのでしょうね。

そして、彼の考え方の延長線上に今日の科学的な思考もあると思うのですよね。
なので、ここで全理系諸君、デカルト先輩に最敬礼しておきましょう。

デカルトは敬虔なクリスチャンだったんですな。
神の存在を見事に論理的に述べてくれるのですが、ちょっと途中からついていけなくった…

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆★

方法序説 (岩波文庫)

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2009年03月03日

【本】ロゼアンナ

ロゼアンナ

原題:ROSEANNA
著者:マイ・シューヴァル/ペール・ヴァールー
訳者:高見浩
装画:日暮修一
出版:角川文庫 赤520 4
版数:初版1975/3 12版1985/4
読んだ日:2009/1/?

■内容(内カバーより)
 さんさんと照る夏の日の午後、うら若い女性の死体が、遊覧船の行きかう運河から上った。
 何一つ身にまとわぬ無惨な姿。被害者の身元は?犯行現場は?容疑者は?綿密な聞き込みと手配にも拘わらず、僅かな手掛りもなく時は過ぎていく。やがて事件発生後三ヶ月、憔悴したマルティン・ベックの下に一通の電報が届く。“名前はロゼアンナ。アメリカ人……”。遙か海を隔てたアメリカ人刑事の協力を得て、マルティン・ベックは被害者の異常な性格が自ら死を招いたことを知る。”ミステリー界に君臨するキングとクィーン”と評されるヴァールー=シューヴァル夫妻のデビュー作。

■感想
ヴァールー&シューヴァル夫妻のマルティン・ベックシリーズの1作目。

読んだのは四作目の「笑う警官」のほうが読んだのは先だったんですが、遅ればせながら、最初の話を読んでみました。

運河で若い女性の死体があがるのですが、いくらたっても彼女が誰なのかの手がかりが得られない…という始まりのお話。

「笑う警官」同様こちらもおもしろかったです。
やるせない読後感もいいっ。

やはり、私には探偵小説より警察小説のが趣味にあう気がするなぁ。
エド・マクベインの72分署とかも読み出してやろうかなぁ

あぁ…「笑う警官」で悲しくスポットライトがあたるステンストルム君が、ちょい役で出てきてるでないですか…

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆★
《薦》☆☆☆

■引用(P368より)
 小刻みに揺れ動く白い霧の中を、マルティン・ベックは肩を丸め、口笛を吹き吹き地下鉄の駅めざして歩いていった。彼を見やる人々が、そのとき彼の心中にあった思いを知ったなら、さぞかし驚いたにちがいない。
 さあマルティン・ベックのお帰りだぞ、と彼は胸の中でつぶやいていたのである。帽子には雪が積み、おれは歌をうたい、よろけながら歩いていく!元気かね、きょうだいや友人たち、足の下で雪が鳴る、冬の夜をおれは歩いていく。元気かね、人間たち。さあ電話をかけてストックホムの南に帰ろうじゃないか!地下鉄に乗って、おれの住むバガモッセンに。
 彼は家路についた。

ロゼアンナ (角川文庫 赤 520-4)

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2009年02月25日

【本】革命戦争回顧録

革命戦争回顧録

原題:Reminiscences of the Cuban Revolutionary War(英語版)
著者:チェ・ゲバラ
訳者:平岡緑
装丁:中央公論新社デザイン室
解説:伊高浩昭
出版:中公文庫 ケ 3 2 895円 P420
版数:初2008/2 再2008/12
ISBN:978-4-12-204981-9
初出:Pasajes de la Guerra Revolucionarra
入手:新刊
読んだ日:2009/2/7

■内容(カバーより)
カストロとの運命的な出逢いからキューバ革命を達成するまでを回想する。困難を乗り越えて、状況分析、人心掌握の才を発揮する軌跡を克明に描く。本書はゲバラ本人による加筆訂正を反映した二部構成の決定版。過去の戦いを追想する一方で思慮深い政治的分析を加えている。生誕80年を記念し訳し下ろし。

■収録
編集ノート
エルネスト・ゲバラの伝記覚書
序文 アレイダ・ゲバラ
第一部 キューバ革命戦争回顧録
第二部 キューバ革命戦争について
小事典
訳者あとがき
解説 伊高浩昭
関連写真

■感想
先頃、日本でも公開された映画(Che)の前編(Part1)の原作にあたります。
ボリビア時代の日記(ゲバラ日記 Part2の原作)は読んだことあったのですが、キューバ革命について書いた本書は気になりつつも未読でした。
今回、映画の公開にあわせて新訳版が書店にならんでいたので買ってみました。
新訳というだけあって、平易な文で読みやすかったです。
なれないラテン系の人の名前がいっぱいでてきて、混乱しっぱなしなところは、ゲバラ日記と一緒なんですが…
なかなか面白かったですが、やはりゲバラ日記のほうが結末が結末だけに印象は深いですな。

グランマ号でのキューバ上陸から、革命戦争の勝利までを当時の日記をもとに記しているのですが、前半の試練の時期について筆を多く費やし、映画ではクライマックスとなるバチスタ軍を倒すあたりは実にあっさりとしか触れていません。
このあたり、ゲバラが革命の課程のどこを重要視していたかが現れているようで面白いですね。

革命というとかく誇大的、喧伝的になりがちなものを、虚栄心を捨ててできるだけ正確に記そうとしているところが理想主義者のゲバラらしくて好感が持てます。
映画版ではあっさりとしか取り上げられなかった、革命の暗い部分、処刑/粛正/内部闘争/誤爆についても、詳細とは言わないまでも、隠すことなくとりあげていました。(子犬のエピソードとても切ない…)

その粛正や内部闘争の部分を読みながら、ふと、同じく武力闘争で革命を勝ち取ろうとしながら、自滅の道を選んだ連合赤軍のことを考えました。
南米と日本では社会の状況がまるっきり違うので単純に比較などもちろんできないのですが、何が彼らとカストロ/ゲバラ達との違いだったのだろうかと。
民衆からの乖離といえば簡単かもしれないけど、後のボリビア時代のゲバラ一行も同様な状況にありながら力のベクトルはつねに外(政府軍)に向かっていたのに対して、連合赤軍がどうして内ゲバ殺人という内のベクトルをもってしまったのかな。
うむむ。

それにしても、本書からも伝わってくる、この人の人間的な魅力は大きいですね。
理想主義で、高潔で、男前で、ジャングルの中でも葉巻と文学を愛し続けた男。
ぬるま湯日本で育った私には、彼が選んだ武力による革命はどうしても肯定できないのですが、それでも人として惹かれてしまいますよ。
世界中の若者達に現在でも支持され続けているのも頷けます。

映画を見る前に読み終わりたかったのですが、結局、読んでる途中に見てしまいました。
まぁそれでも多少はわかりやすかったかな。

なお、映画を見る前に読んどいた方が、映画はわかりやすいでしょう。
でも、本を読む前に映画を見といた方が、本はわかりやすいでしょう。
当たり前だっちゅうの。

これから映画を見ようとしている人、映画を見たけどよくわからなかった人、もれなく読もう。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆☆

革命戦争回顧録 (中公文庫)

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2009年01月18日

【本】スペース・オペラの読み方

スペース・オペラの読み方

著者:野田昌宏(のだ まさひろ)
装画:加藤直之
出版:ハヤカワ文庫 JA ノ 1 26 P446 ¥840
版数:初版2008/8
ISBN:978-4-15-030932-9
初出:1994/5 早川書房刊行『愛しのワンダーランド』
入手:新刊(アマゾン)
読んだ日:2008/12/7

■内容(カバーより)
稀代の“スペオペ大王”にして伝道師が、SF作家志望者のためにSF黄金時代の必読書を紹介するブックガイド。また、海外書籍の入手に奮闘した、日本SF黎明期の想像を絶する爆笑話や落涙必至の感動エピソードも多数収録した。「作品そのものより、野田氏のストーリー紹介のほうが面白い」とまで噂された、野田節全開の痛快エッセイ、名著『スペース・オペラの書き方』の姉妹篇!(『愛しのワンダーランド』改題文庫化)

■感想
昨年、惜しくも亡くなられた野田元帥。
私がいちばんSFを読んでた高校生のころにSFマガジンでよくコラムなど書いてたんですよね。
とはいえ、いままでちゃんと著作を読んだことはなかったのです。
古本屋で銀河乞食軍団シリーズなどちょこちょこ買ってたんだけど、全部そろったら読もうと思って読まずじまいになってしまいましたよ。
お亡くなりになられて今更ですが、初めて本を買って読みました。
全編からSFへの愛がにじみ出てる、というかしたたり落ちてますなぁ。
タイトルは前作(?)「スペースオペラの書き方」にならい「スペース・オペラの読み方」となっていますが、スペオペというよりも古き良きSF黄金時代の巨匠への思いが綴られています。
クラーク、アシモフ、ハインラインの三巨頭から、ブラッドベリ、ブラウン、シェクリィと・・・(ね、どこがスペオペやねん!でしょ)。
それぞれの作品が氏の独特の語り口で面白く解説されてて、もうひさびさにSFがむさぼり読みたくなってしまいましたよ。

かつてのSF少年たちにうむを言わせずお勧め。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆★
《薦》☆☆☆

スペース・オペラの読み方 (ハヤカワ文庫JA)

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2009年01月17日

【本】チャイルド44

チャイルド44

原題:Child 44
著者:トム・ロブ・スミス(Tom Rob Smith)
訳者:田口俊樹
解説:田口俊樹
出版:新潮文庫  
    上巻 ス 25 1 P394 ¥705
    下巻 ス 25 2 P373 ¥667
版数:初版2008/9 4刷2008/12
ISBN:978-4-10-216932-2
入手:新刊
読んだ日:2008/12/6

■内容(上巻カバーより)
 スターリン体制下のソ連。国家安全省の敏腕捜査官レオ・デミドフは、あるスパイ容疑者の拘束に成功する。だが、この機に乗じた狡猾な副官の計略にはまり、妻ともども片田舎の民警へと追放される。そこで発見された惨殺体の状況は、かつて彼が事故と遺族を説得した少年の遺体に酷似していた……。ソ連に実在した大量殺人犯に着想を得て、世界を震撼させた超新星の鮮烈なデビュー作!

■感想
タイトルとカバーの解説から、実在した連続殺人犯チカティロを逮捕するまでを小説家したのかとおもって読んだのですが、チカティロからはアイデアを得た程度で内容は創作でした。
連続殺人ものを読むときには、捜査線かいくぐり犯行を続ける犯人と執念で追い詰める捜査陣(官)の息詰まる駆け引き、なんてのを期待してしまうのですが、本作では、スターリン時代の恐怖政治の下、体制側からはずれて追われる側に回りながらも犯人を捜す捜査官自体に焦点があたっています。
それなりに読ませてくれますし、一気に読み切ってしまったのですが、ちょっと好みとは違ったかな。
サスペンスというよりはアクション小説って印象でしょうか。
同じく圧政下で犯人を捜す「頭蓋骨のマントラ」をちょっと思い出しましたよ。
どちらも作者が舞台となった国の人ではないのが読んでて伝わってきて、ちょっとだけ違和感。

まぁそれなりに手に汗にぎって読ませますので、興味ある方は読んでみてもいいのではないでしょうか。
「このミステリーがすごい」の2008年海外版1位みたいですし。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆★
《薦》☆☆☆

チャイルド44 上巻 (新潮文庫)

チャイルド44 下巻 (新潮文庫)

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【本】タウ・ゼロ

タウ・ゼロ
原題:TAU ZERO
著者:ポール・アンダース(Pail Anderson)
訳者:浅倉久志
装画:Dave Archer/Edgerly Associates
出版:創元SF文庫 SF ア 2 5 P365 ¥580 
版数:1992/2
ISBN:4-488-63805-8
初出:1970年アメリカ
入手:BOOK OFF ¥100
読んだ日:2009/1/7

■内容(カバーより)
50人の男女を乗せ、32光年彼方のおとめ座ベータ星第三惑星をめざして飛びたった恒星船。だが不測の事態が発生する。生まれたばかりの小星雲と衝突s、その衝撃で場サード・エンジンの減速システムが破壊されたのだ!亜光速の船を止めることもできず、彼らはもはや大宇宙を果てしなく飛び続けるしkないのだろうか……?現代SF史上に一時代を画したハードSFの金字塔登場!

■感想
この本は私が大学にはいるかはいらないかのころの日本で翻訳が出て、当時、SF好きの間ではかなり話題になったと記憶しています。
その頃は、新刊で本買う余裕もあまりなかったんで、気になりつつも古本屋で出回ってきたら読もうと思いつつ、早幾とせ。
数年前に古本屋で出会ったときは、めっきりSF読まなくなってしまってたんで、買ったものの積ん読棚にほおりこみっぱなしになってました。
しかし、先日、野田元帥の「スペースオペラの読み方」読んだら、またぞろSF熱が蘇ってきたもんで、引っ張り出し的と読んでみました。
いやはや、読みだしてみたら、これがめっぽう面白い。
出張先のホテルで明日も仕事なのに夜更かしして読み切ってしまいましたよ。

簡単にいうと、恒星間宇宙船の減速システムが故障して、限りなく加速してしまうお話です。
一見そりゃもうおしまいだろって気がしますが、主人公がへこたれない男でして、失敗しても次から次に解決策をおもいつくんですな、そのアイデアがまさにセンス・オブ・ワンダー。
こりゃぁ、SFでしか味わえない醍醐味ですなぁ。

タイトルのタウ・ゼロの意味ですが、タウ(τ)ってのは、相対性理論の運動方程式に出てくる因子で、ある物体(宇宙船)が速度Vで移動してるときに、τはルート[1-(v^2/c^2)]になるんですな(cは光速)。
で、物体の速度Vが光速に近づいていくとτは0に近づくわけです。
まぁ質量のある物質は光速にはなれないので、実際はτはゼロにはならないのですが、限りなくどこまでもそれに近づいていくと。
で、τがゼロにちかづいてくと、なにがおこるかというと、宇宙船の外の系(地球)からみると、宇宙船の質量はどんどん大きくなっていって、船内の時間はどんどんゆっくりになっていくんですなぁ(いわゆるウラシマ効果)。
なもんで加速がすすんで、光速に近づけば近づくほど、外の世界の時間の流れがどんどん早くなってしまうというところがこの小説の胆です。
船内で何気なくすごす1日、1時間、1分、1秒がやがて地球の1日、1月、1年、10年…となっていく、この切なさ。
まさにSFでなければ描けない世界です。

日本で出版されたがのが1992年なんで、その数年前くらいに書かれたのかと思ってたんですが、アメリカでは1970年に出版されているんですね。
翻訳が新しいせいもあると思いますが、恒星間宇宙せんの原理描写などもふくめて全然古い感じがしないのはたいしたもんです。
ただ、背景に描かれる宇宙論が膨張/収縮宇宙論(っていうのかな)なんですよね。
そんなわけで、後半は現在支持されているビッグバン宇宙論とは相容れない展開なんですが、それでもこの作品の魅力はそこなわれていないです。(このあたりは巻末の役者による解説に詳しいです)
その時代にしか生み出し得なかった名作中の名作だと思います。

未読でしたら、ぜひ一読を。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆☆
《薦》☆☆☆☆

タウ・ゼロ (創元SF文庫)

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2008年10月11日

【本】ハリウッド・サーティフィケイト

ハリウッド・サーティフィケイト

著者:島田荘司
装丁:Getty Images
出版:角川文庫 し 9-7 ¥952 P828
版数:初版 2003/10
ISBN:4-04-168207-X
初出:単行本 2001年
入手:新刊
読んだ日:2008/10/4

■内容(カバーより)
LAPDに持ち込まれたスナッフフィルム。そこにはハリウッドの有名女優、パトリシア・クローガーが惨殺される様が映っていた。そして発見された死体からは、子宮と背骨が奪われていた!彼女の親友で女優のレオナ・マツザキが犯人探索を始めた。その過程で、女優志望のジョアンと出会う。彼女は記憶を失っており、何者かの手によってその体から子宮が摘出されているというのだ。事件との奇妙な符号を覚えるレオナ。そして第二の殺人が発生し……。なぜ女優の子宮は奪われたか?「虚構の都」ハリウッドを舞台に奇才が放つ長編本格ミステリ!!


■感想
この作者の御手洗潔シリーズは学生のころ好きでよく読んだのですが、本作はそのスピンオフ作品ってのかな。
御手洗シリーズの「水晶のピラミッド(だったかな)」にでてきたレオナ・マツザキが主人公となってます。

この本、5年ほど前に文庫化されてすぐに買ったのですが、なんども途中で投げ出して、ようやく読み終えました。

別に難しい内容なわけじゃないんですが、スナッフフィルムとか臓器売買とか、いまいち気が滅入る題材なものでねぇ、どうも入り込めなくて…
まぁ半分すぎてからようやく面白くなってきましたが…

それに、よく調べてハリウッドの暗部を描いてるのですが、正直あんまり興味がないというか…
また、ケルトの話もはいってくるのですが、いまいち、現代ハリウッドの舞台とはなじんでなかったような。

読み終わってもどうもしっくりこないというかねぇ
トリックなどは良くできた話なんですけどね(そうでもない?)。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆
《薦》☆☆

ハリウッド・サーティフィケイト (角川文庫)

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【本】美女と野球

美女と野球

著者:リリー・フランキー
装画:リリー・フランキー
出版:河出文庫 り 1-1 ¥520 P260
版数:7刷 2005/11 (初版 2005/10)
ISBN:4-309-40762-5
初出:雑誌「クロスビート」他、単行本刊行 1998年
入手:古本
読んだ日:2008/10/11

■内容(カバーより)
 好きなものは美女と野球。のんべんだらりんと、底の浅い濁流のような毎日。タキシードを着て司会をし、双子の姉妹やコントの国の人に会い、レコード会社を作り、オカンとオトンと三人で夜の東京タワーを見て……コク深くて笑いに満ちた、愛と哀しみのエッセイ集。「とっても思い入れのある本です」――リリー・フランキー

■感想
リリー・フランキーの本はじめて読みました。
書かれた時期的にはもっとも古い時代のものだそうです。
主にクロスビートに連載してたものをまとめたエッセイ集。

下ねたぶっちゃけ系のエッセイが苦手なもんでねぇ
いくつかかなり面白い話もあったけど、それ以上にちょっぴく話がおおかったなぁ

連載時にちょっと軽く読むくらいならいいっすけど。
まとめたのをいっきに読むとちょっとあくが強すぎて、お腹がもたれるねぇ

ただ、作者が、ミラクルタイプでみる以上に、奥の深い面白い人だとはわかりました。

東京タワー(未読)の下敷きになったと思われる、オカン(リリー・ママンキー)とのやりとりものってました。
(そこはわりと面白かった。)

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆
《薦》☆☆

美女と野球 (河出文庫)

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2008年08月23日

【本】完全復刻 妖怪馬鹿

完全復刻 妖怪馬鹿

著者:京極夏彦 多田克己 村上健司
装丁:妖怪製作 荒井良、デザインFISCO
出版:新潮文庫 き 31 1 ¥629 P413
版数:初版2008/8
ISBN:978-4-10-135351-7
初出:2001/2 新潮OH!文庫『妖怪馬鹿』
入手:新刊購入
読んだ日:2008/8/18

■内容(カバーより)
妖怪馬鹿――お化けを愛してやまぬ者どものこと。本書は小説家・京極夏彦が、盟友である多田克己、村上健司と、妖怪という文化現象

■感想

タイトルどおり自他共に認める妖怪馬鹿の三人が妖怪について語りあう対談集。

鼎談のはずなんですが、進行役の(この本の企画人でもある)青木って編集者も話にはいりこんでいて、実際のところ四人でだべってるのを本におこしたって感じっすね。

まぁバカ話が多かったりするんですが、その隙間から三人三様の妖怪観が垣間見えてきて興味深い。(バカ話自体もそれなりに面白いんですが。)
一口に「妖怪」といっても奥が深くて、それ以上にとらえどころのないモノなのだなぁ。

しかし、この三人が話しをしていると、なにかっていうと水木しげる御大の話になるのね、これが。
この世界だともう別格なんだね。
生きている妖怪だそうな。

妖怪好きにはお勧め。

ちなみに京極夏彦自身がいろんな漫画家のパロディで書いたイラストが豊富に収録されていて、それを見てるだけでも結構面白い。
芸達者な人だわ、ホントに。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆★

妖怪馬鹿 完全復刻 (新潮文庫 き 31-1)

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【本】どちらかが彼女を殺した

どちらかが彼女を殺した

著者:東野圭吾
装丁:石倉ヒロユキ
解説:西上心太(推理の手引き)
出版:講談社文庫 ひ 17 20 ¥590 P355
版数:38刷 2008/1 (初版 1997/7)
ISBN:4-06-264575-0
初出:1996/6 講談社ノベルス
入手:新刊購入 台北 紀伊国屋 微風広場店 NT$289
読んだ日:2008/8/7

■内容(カバーより)
最愛の妹が偽装を施され殺害された。愛知県警豊橋署に勤務する兄・和泉康正は独自の“現場検証”の結果、容疑者を二人に絞り込む。一人は妹の親友。もう一人は、かつての恋人。妹の復讐に燃え真犯人に肉迫する兄、その前に立ちはだかる練馬署の加賀刑事。殺したのは男か?女か?究極の「推理」小説。

■感想
推理小説はちょくちょく読むのですが、基本的に頭つかわない(つかえない)ので、読者に挑戦系の推理小説はこまっちゃうんですよねぇ
探偵さんか刑事さんか早く謎解きしてよーって人任せスタンス。

ところが、この本はまさに読者に挑戦系のさいたるもの、なんてったって最後まで犯人明示されないんですから・・・
(ま、巻末の袋とじのヒントみるとだいたいわかりますけどね。)

でも文章が読みやすいのと、自力で犯人をつきとめようとする被害者兄と加賀刑事との頭脳戦が面白かったので、そんな私でも面白く読めました。

犯人あてが好きな人には是非お勧めしたい作品です。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆☆

どちらかが彼女を殺した (講談社文庫)

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【本】覗き小平次

覗き小平次

著者:京極夏彦
装丁:造形製作 荒井良、デザイン FISCO
解説:宇月原晴明
出版:角川文庫 き 26-12 ¥629 P407
版数:初版2008/6
ISBN:978-4-04-362006-7
初出:2005/2 中央公論社 C★NOVELS
入手:新刊購入
読んだ日:2008/8/16

■内容(カバーより)
押入で死んだように生きる木幡小平次は、天下随一の幽霊役者。ある時、旅巡業の声がかかるが、それは凝り続けた愛と憎しみが解き放たれる修羅の幕開けであった。女房・お塚をはじめ、小平次の周りに蠢く生者らの欲望、悲嘆、執着が十重二十重に渦巻き絡み合い炸裂し――やがて一つの異形の愛が浮かび上がる。人間という哀しい華が圧倒的に咲き乱れる、これぞ文芸の極み。古典怪談に材を取った『嗤う伊右衛門』に続くシリーズ第二弾。

■感想

小平次ものってのはオリジナルをよくしらないんのですが、悪妻と間男に殺された幽霊役者が化けて出るって話ですよね、たぶん。

前作の『嗤う伊右衛門』同様、設定は押さえつつ京極流に新しい物語に仕上がっています。
もとの話が話しだけに、伊右衛門のように綺麗にできあがってはないような気もしますが、なかなか読ませてくれます。

小平次、お塚、多九郎、歌仙、動平と登場人物それぞれが複雑な内面を持っているんですが、だれにも共感できんかった。

彼らを通して人の在ること、在り様(ハイデガーっぽく言うならSeinか?)を描こうとしたのではないかと感じました。

ちなみに『怪』シリーズの又市が直接は登場しないのですが、裏で仕掛けをやっています。事触れ治平は堂々と登場。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆☆

覘き小平次 (角川文庫 き 26-12 怪BOOKS)

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【本】オタク学入門

オタク学入門

著者:岡田斗司夫
装丁:新潮社装幀室
出版:新潮文庫 お 71 1 ¥629 P415
版数:初版2008/4
ISBN:978-4-10-134451-5
初出:1996年5月 太田出版、2000年10月新潮社OH!文庫
入手:新刊購入
読んだ日:2008/8/23

■内容(カバーより)
 1980年代に発生し、今や世界中の若者に浸透した「オタク」文化。本書は、第一人者がその本質を明らかにした、教養としての「オタク学」の金字塔である。「うる星やつら」「スター・ウォーズ」などを教材にした生態研究から見えてくるのは、ジャンルを超えることを恐れず、努力を厭わない、知的冒険者の姿である。「ガンダム」総監督・富野由悠季氏との対談「『ガンダム』は何を教えてくれるのか」収録。

■感想
レコーディングダイエットで有名な(???)著者の10年以上前の著作の再文庫化。
書き下ろされた当時と今では、世の中の状況や、「オタク」に対する世間の見方などもだいぶかわってきていて、ちょっと今更な部分もあるんですが、概ね楽しく読めました。
当時は「オタク」に対する世間の風当たりが強い時期でその擁護のためにも本書はかかれているそうな。

オタクってのは単に「マンガ」「アニメ」が好きな人のことではない、その本質は対象へのモノの見方にある。ってな、ことをいってるんですな。

ただ個人的にはあまり「オタクとは」的なことには興味はなくて
例としてでてくる「2001年宇宙の旅」や「ブレードランナー」の撮影方法や、少年マンガ誌変遷とかが「へ~」「ほ~」と単純に面白かったです。

昔、単行本出たての頃に買って読んだ気もするんだけど・・・
内容に覚えはまったくなかった…

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆★

オタク学入門 (新潮文庫 (お-71-1))

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2008年07月06日

【本】星々の悲しみ

星々の悲しみ

著者:宮本輝
装画:佐藤忠良
解説:饗庭孝男
出版:文春文庫 348-1 ¥300 P230 初1984/8
ISBN:4-16-734801-4 C0193
初出:別冊小説新潮ほか(1979-1981)
単行本 1981/4 文藝春秋刊
入手:BOOK・OFF ¥100
読んだ日:2008/6/13

■内容(カバーより)
 喫茶店の壁にかかっていた一枚の絵「星々の悲しみ」。この薄命の画家の作品を盗み出し、ひとり眺め入る若者を描く表題作のほか、不思議なエネルギーをもつ輝かしい闇の時代・青春のさなかに、生きているあかしを、はげしく求める群像を、深い洞察を巧みな物語展開で、みごとに描いた傑作短編の数々。

■収録
 星々の悲しみ
 西瓜トラック
 北病棟
 火
 小旗
 蝶
 不良馬場

■感想
私世代にはネスカフェのCMでおなじみの宮元輝氏。
こんな著名な人なのに、著作を読むの初めてだったりします。
まぁとくに食わず嫌いをしてたわけでもないんですが縁がなかったというか…
んで、先日、Bookoffの100円コーナ漁ってたときに、大学のころ後輩のムラ君に薦められた記憶がふとよみがえたので、買ってきました。

タイトルが気に入ってこれを選んだので、代表作かどうかはしらないっす。
(代表作は「優駿」なのか??)
他の作品もこういう話なのかどうかもしらないっす。

表題作は実によかったですなぁ。

表題作以外にも他にも全体的に死をみつめた作品が多かったです。
結核をあつかった話もいくつかあったので、作者もかつて病んだことあるのかなぁって
ちょっと思いました。

こういう文学っぽいの普通よめるようになったんだなぁ
俺。
すごいぞ。

学生のころなら読み終わった後に間違いなくいってるなぁ
「で、オチは??」って。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆★

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【本】ナインスゲート

ナインスゲート
原題:EL CLUB DUMAS
著者:アルトゥーロ・ペレス・レベルテ(Arturo Perez-Reverte)
訳者:大熊榮
出版:集英社文庫レ5-1 初2000/4 ¥895 P562
ISBN:4-08-760373-3 C0197
初出:1993年原書出版、1996年 集英社単行本『呪いのデュマ倶楽部』
入手:BOOK・OFF ¥100
読んだ日:2008/6/15

■感想
昔、映画版を見たときに、「原作はもっと面白いに違いない!」とセンサーが働きまして。
先日、ブックオフの100円コーナーで発掘して買ってまいりました。

まぁ面白かったです。
面白かったですが…
ちょっと想像してたのと違ってたなぁ
もそっとオカルトな話かと思ってましたよ。

映画は『九つの扉』にまつわる話がメインでしたが、原作ではそれと同時にデュマの『三銃士』の肉筆原稿の話もからんできます。

原題の直訳は『デュマ倶楽部』だそうなんで、作者的にはデュマがメインだったんかな。(まぁタイトルは作者が決めてるとは限りませんが…)

この二つのネタがからんできつつ最後でうまくリンクするのかとおもいきや…
まぁネタばれになるんで詳しくは書きませんが…
最後まで二つの話が平行し続けたような小説でしたなぁ

オカルトネタが少なくてちょっと残念でしたが、そのぶんデュマがらみの薀蓄が豊富でそこは面白かったです。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆★

ナインスゲート (集英社文庫)


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2008年07月05日

【本】硫黄島 / 菊村到

題名:硫黄島
著者:菊村到(きくむら いたる)
表紙:生頼範義(カバーイラスト)
解説:三好徹
出版:角川文庫 き 29-1 ¥590 P309 初2005/9 4刷2007/2
ISBN:4-04-380001-0-C0193
初出:1957~1958 文学界、別冊文芸春秋、三田文学
入手:忘れた…
読んだ日:2008/7/1頃

■内容(カバーより)
 終戦から六年後のある日の夕方、ひとりの男が新聞社に勤める私のところに訪ねてきた。投稿前に硫黄島の岩穴にうずめてきた日記を米軍当局の許可を得て掘り出せることになった。そのことを記事にしてほしいという。
 私はいくつか疑念を抱きながらも記事にした。ところが、後日、彼は硫黄島に渡り、現地で自殺してしまう。男を死に向かわせたものは何だったのか。私は男の足跡を辿りはじめる。昭和文学史に名を残す不朽の戦争文学。

■収録
 硫黄島(芥川賞受賞作)
 しかばね衛兵
 奴隷たち
 きれいな手
 ある戦いの手記
 不法所持(文学界新人賞受賞作)

■感想
 戦争で文学なんですなぁ
 どれも戦争中の話か戦争が終わった後でも戦争を引きづった男のお話。
  
 しかし、残念ながら、まったくもって私のこころまで届いてくるものがなかったのですよ。
 波長があわなかったのか…
 私が戦争をしらない世代のせいか…
 
 ひとつ明確な理由は字の大きさ…
 最近の大手の文庫本はどれも比較的字は大きいですが、それにしてもこの本はデカイ、そして行間も広い… 
 お年よりや子供にも読みやすいという配慮なのかもしれないので、文句をつけるつもりはないんですが…
 小さい字がギュッとつまったような本のが好きなもんで、ここまでスカスカだと全然頭に内容がはいってこない…
 うーむ、こまったもんだ。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆
《薦》☆☆

硫黄島 (角川文庫)

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2008年04月11日

【本】Q&A / 恩田陸

題名:Q&A
著者:恩田陸
解説:森川嘉一郎(建築学者)
出版:幻冬舎文庫 お 7 8 ¥600 P374 初版2008/4/10
ISBN:978-4-344-40936-1
初出:単行本 2004/6 幻冬舎
入手:新刊購入
読んだ日:2008/4/10

■内容(カバーより)
都下郊外の大型商業施設において重大死傷事故が発生した。死者69名、負傷者116名、未だ原因を特定できず――多数の被害者、目撃者が召還されるが、ことごとく食い違う証言。防犯ビデオに写っていたのは何か?異臭は?ぬいぐるみを引きずりながら歩く少女の存在は?そもそも、本当に事故なのか?Q&A

■感想
会話形式で出来てる話とはしってましたが、謎解き系の推理小説だと思ってました。
これがじんわり怖いお話でした・・・
対話により輪郭は語られるのですが、核心は藪の中…
群盲象をなでるとはこのことか
結局なんだったぁぁ
まぁどんな内容にしろ、ネタあかしをしちゃうと「な~んだ」になってしまうんでしょうけどね。
最後の一章の意図はいまいち読みきれず…

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆☆

Q&A

投稿者 niimiya : 00:01

2008年04月10日

【本】ネコを撮る

ネコを撮る

著者:岩合光昭(いわごう みつあき)
出版:朝日新聞社 朝日新書033 ¥720 P206 初2007/3
ISBN:978-4-02-273133-3
入手:戴き物
読んだ日:2008/4/10

■感想
動物写真家として著名な岩合さん。
トーシロの私が知ってるくらいだから、その世界では超有名なはず。
が、ネコを撮る心得をしたためた本。

技術論というより、猫に対する思いや撮影時の心構えといった内容がメイン。

作者の猫に対する愛情もつたわってきます。

写真もいくつかのってるんですが…
やっぱうまいわー(←あたりまえ)

軽く読めるので、下記のような人にはお薦め。
岩合さんが好きな人。
ノラ猫みかけるとついカメラ向けちゃう人。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆

ネコを撮る (朝日新書 33)

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2007年11月29日

【本】チーム・バチスタの栄光

題名:チーム・バチスタの栄光
著者:海堂尊(かいどう たける)
表紙:赤津美和子(イラスト)、松崎理(デザイン)
解説:茶木則雄(書評家)
出版:宝島社文庫 上・下巻 599/600 ¥476/476 P237/261
ISBN:978-4-7966-6161-4 / 978-4-7966-6163-8
初出:2006/2 宝島社 単行本刊行
入手:新刊 紀伊国屋 台北微風広場店 NT$233/233

■内容(上巻カバーより)
東城大学医学部付属病院の“チーム・バチスタ”は心臓移植の代替手術であるバチスタ手術専門の天才外科チーム。ところが原因不明の連続術中死が発生。高階病院長は万年講師で不定愁訴外来の田口医師に内部調査を依頼する。医療過誤死か殺人か。田口の聞き取り調査が始まった。第4回『このミス』大賞受賞、一気にベストセラー入りした話題のメディカル・エンターテイメントが待望の文庫化。

■感想
文庫化されたようなのでさっそく読んでみました。
評判どおりおもしろいっすね。

現役医師ならではの専門的な描写もさることながら、インタビューが中心に進んでいく展開が、個人的には目新しくてよかったです。(今までなかったわけでもないと思いますが…)

専門表現もちりばめながら、この読みやすさはなかなか見事ですな。ベストセラーになるのも納得。

あっ!とおどろくオチがあるわけでもないのですが、それでも、ものたりなさはなく、読後感も満足。

ちらりちらりと現役のお医者さんならではの問題意識などが、登場人物の口を借りて覗いてて、興味深かったです。

結構早く文庫化されたのは映画化のおかげでしょうか?
ハードカバーが苦手な身にはありがたいこってす。
でも、たかがこのページ数で二分冊するのはやめてほしいなぁ・・・
まぁ営業的にはわけたほうがいいのかもしれんが・・・

シリーズ続編も早期の文庫化希望!

えらいいまさら感がありますが…一応、万人にお薦め。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆★
《薦》☆☆☆★

チーム・バチスタの栄光(上) 「このミス」大賞シリーズ [宝島社文庫] (宝島社文庫 599)

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2007年11月17日

【本】ぬしさまへ

ぬしさまへ

著者:畠中恵
装画/挿画:柴田ゆう
解説:藤田香織
出版:新潮文庫 は 37 2 ¥476 P311
版数:初版2005/12 22刷2007/10
ISBN:978-4-10-146122-9
初出:2003年5月
入手:古本
読んだ日:2007/11/17
感想書いた日:2010/1/3

■内容(カバーより)
きょうも元気に(?)寝込んでいる、若だんな一太郎の周囲には妖怪がいっぱい。おまけに難事件もめいっぱい。幼なじみの栄吉の饅頭を食べたご隠居が死んでしまったり、新品の布団から泣き声が聞こえたり…。でも、こんなときこそ冴える若だんなの名推理。ちょっとトボケた妖怪たちも手下となって大活躍。ついでに手代の仁吉の意外な想い人まで発覚して、シリーズ第二弾、ますます快調。

■感想
前作「しゃばけ」にははまらなかったのですが、あわせて買っていたので、続けて読みました。
こちらは中編の連作で、このスタイルのほうがあっているように感じました。
連作を通して家を出た腹違いの兄さんのエピソードなどが絡んできます。
シリーズ2作目として、いい作りなんではないでしょうか。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆
《薦》☆☆★

ぬしさまへ (新潮文庫)

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2007年11月04日

【本】何を根拠に

何を根拠に

著者:ナンシー関
版画:ナンシー関
装丁:坂本志保
出版:角川文庫 な 30-1 P245 ¥514
版数:初版2007/3
ISBN:978-4-04-198614-1
初出:
 徳間書店「SFアドベンチャー」、講談社「Hot-dog PRESS」連載
入手:古本
読んだ日:2007/11/4
感想書いた日:2010/1/3

■内容(カバーより)
「でっちあげられた評判の嘘をあばいていこう」テレビ局のキャンペーンCMのみっともなさ、秋葉原への不可解な幻想、ファミリーレストランの「とほほ」、乱立するクイズバラエティの中身の無さ…。冴え渡るメディア批評に加えて、激レアな映画批評も収録。『エルム街の悪夢』『ダイ・ハード2』から『男はつらいよ』まで。人類史上至高の消しゴム版画家による、幻の批評コラム集。
■収録
 でたとこ映画
 メディアジャンキー

■感想
ナンシー関の映画評とTV評。
ナンシー関といえばTVのイメージで、映画は結びつかないんですが、実際にあんまり見ないらしい。
それが、今はなきSFアドベンチャーの連載企画として映画評をやることになったようです。
映画素人を隠そうともしないながら、ナンシー関らしい鋭いかつ面白いつっこみでなかなか楽しいです。
とりあげる映画も「あぁ、そういえばこんなのあったなぁ」というトホホ路線が多いのも楽しいです。

後半のTV評はこちらも今はなきHotDogPressの連載のようです。
こっちは本業(?)だけ切れ味抜群。

どちらも、もう20年前の連載なんで、ネタはかなり古いですが、今読むと懐かしさも加味されてなかなか良かったです。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆☆

■引用
何を根拠に (角川文庫)

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【本】しゃばけ

しゃばけ

著者:畠中恵
装画/挿画:柴田ゆう
解説:小谷真理
出版:新潮文庫 は 37 1 ¥514 P335
版数:初版2004/4、29刷2007/10
ISBN:978-4-10-146121-2
初出:2001年 単行本刊行
入手:BOOK OFF ¥300
読んだ日:2007/11/4
感想書いた日:2010/1/3

■内容(カバーより)
江戸有数の薬種問屋の一粒種・一太郎は、めっぽう体が弱く外出もままならない。ところが目を盗んで出かけた夜に人殺しを目撃。以来、猟奇的殺人事件が続き、一太郎は家族同様の妖怪と解決に乗り出すことに。若だんなの周囲は、なぜか犬神、白沢、鳴家など妖怪だらけなのだ。その矢先、犯人の刃が一太郎を襲う…。愉快で不思議な大江戸人情推理帖。日本ファンタジーノベル大賞優秀賞。

■感想
妖怪ものと時代小説をあわせるのはなかなかいいアイデアですね。
どちらも好きなので買ってみました。
京極夏彦の妖怪ものは結局いるのかいないのかはっきりしないまま、それこそが妖怪というスタンスですが、本シリーズはもうはっきりといるんですねぇ。
妖怪が見えるひ弱な主人公をささえる犬神と白沢と、漫画家出身らしい上手い設定だと思いました。
本書は長編ですが、この設定だと中編連作のほうが向いていそうですね。
ただ、良くも悪くも漫画っぽさを感じてしまって、ちょっと私は肌があわないところもありました。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆★
《薦》☆☆☆

しゃばけ (新潮文庫)

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2007年11月01日

【本】裁判狂時代

裁判狂時代

著者:阿曽山大噴火
装丁:五十嵐たかし
出版:河出文庫 あ 15-1 P272 ¥680
版数:初版2007/2 5刷2007/9
ISBN:978-4-309-40833-0
初出:単行本「裁判大噴火~若手芸人渾身の裁判傍聴記~」 2004年
入手:新刊
読んだ日:2007/11/1
感想書いた日:2010//

■内容(カバーより)
「石原裕次郎の弟」を自称する窃盗犯、エロに暴走する検察官、極刑を望む痴漢など、法廷では日々、実にリアルな人間ドラマが炸裂している。新聞やテレビ報道では決してわからない事件の裏側を、「傍聴ブーム」の火付け役が独自の視点で活写。究極のオモシロ裁判全二十五編で、今日からあなたも傍聴マニア。

■感想
大川興業の芸人さん(?)で、著者は知る人ぞ知る裁判傍聴マニア。
どこかのサイトで連載している、裁判傍聴記が面白くて、本書を買ってみました。
期待してたのは世間的に注目されていない事件の裁判の光景を淡々と描写してくれるような内容を期待してたんだけど、なんか下手に話をふくらませようとしてて、あまり面白くなかった。
ちょっと、期待と内容がうまく合致しませんでしたね。残念。
まぁあっさり読めるので、新幹線乗る前とかにKIOSKでとりあえず買ったりするのはいいかも…(ひどい薦め方)。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆★
《薦》☆★

■引用
裁判狂時代―喜劇の法廷★傍聴記 (河出文庫)

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2007年10月27日

【本】変な映画を観た!!

変な映画を観た!!

著者:大槻ケンヂ
装丁:原条令子
解説:江戸木純
出版:ちくま文庫 ¥680 P290
版数:初版2007/6
ISBN:978-4-480-42324-5
入手:新刊 台北 紀伊国屋書店
読んだ日:2007/10/27
感想書いた日:2010/1/3

■内容(カバーより)
大槻ケンヂが目撃した変テコ映画を一挙公開。カルト、怪獣、エロ、不条理、狂気…。知られざる必笑ムービーから爆眠必至の文化的作品の意外な見どころまで。オーケン・セレクション・シネマを、ご案内します。オーケンの創作の源泉は、この映画体験から生まれた?!
三留まゆみのイラスト多数。

■感想
容易に想像できますが、オーケンはいろいろカルト(というかトンデモ)な映画みてるなぁ。
なんかオカシイ映画がオーケン節で語られるとノホホンとしていいですな。
B級映画好きとオーケン好きは絶対読むべき本ですね。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆☆

変な映画を観た!! (ちくま文庫)

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2007年10月15日

【本】パンドラアイランド

パンドラアイランド
著者:大沢在昌
出版:徳間書店

■内容(Amazonより)
南海の孤島で“保安官”として平穏に暮らすことを望んだ元刑事・高州。だが、一人の老人の死をきっかけに、キナ臭い秘密が浮かび上がる…。島の人間が守ろうとする“秘密”とは。

■感想
ギュウさんに借りてよんだ久々の大沢在昌作品。
しかも、久々のハードカバー!
久々すぎて、最初、ちょっと手がつかれた(オイオイ)

元警官が主人公の和製ハードボイルドは珍しくないですが(というか、和製だとこれ以外の設定は無理があるかも…)、いいキャラで読ませてくれました。

日本国内で保安官って、一見無茶な設定も、わりとちゃんと成立させてたかな。

プロットもそこそこ凝ってて面白かったですよー

読み終わってからもともとは新聞(東中)連載作品だって知りました。
私、あまり新聞連載の作品ってどうも展開が唐突な気がしてあまりいい印象ないんですが(実際、同じ作者の新宿鮫シリーズのどれかもイマイチに感じたし)、この作品はそんな感じ全然なくて、普通に楽しめたなぁ。


■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆☆

パンドラ・アイランド

文庫版もあり↓
パンドラ・アイランド〈上〉 (徳間文庫)

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2007年10月07日

【本】博士の愛した数式

博士の愛した数式
著者:小川 洋子
出版:新潮社 P255
読んだ日:2007/10/7
感想書いた日:2009/11/16

■内容(出版社HPより)
彼のことを、私と息子は博士と呼んだ。そして博士は息子を、ルートと呼んだ。ルート記号の中に数字をはめ込むとどんな魔法が掛かるか、三人で試した日のことはよく覚えている――。記憶を失った天才数学者と幼い息子を抱えて働く私の出会いと幸福な一年。小説の奇跡とも言える、上質でせつなく知的な、至高のラブ・ストーリー。

■感想
世間的には今更かもしれませんが、実家にあったのでようやく読みました。
フェルマーの最終定理から意図したわけでないのですが、最近数学づいてます。
映画化もされてたので、だいたいあら筋は知っていたのですが、改めて読むと想像してたよりいい話です。
何度も読みたくなりますね。
とりあげられる数学ネタもかみ砕かれてて、おもしろわかりやすいし。
そして、表紙がまたいい。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆★
《薦》☆☆☆★

博士の愛した数式 (新潮文庫)

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2007年10月06日

【本】暗号解読 / サイモン・シン

題名:暗号解読 上・下
原題:The Code Book
著者:サイモン・シン(Simon Singh)
訳者:青木薫
表紙:新潮社装幀室
出版:新潮文庫 上巻 シ-37-2 ¥590 P340 初2007/7
 下巻 シ-37-3 ¥629 P366 初2007/7
ISBN:978-4-10-215972-9, 978-4-10-215973-6
入手:紀伊國屋 台北微風店(289元、308元)

■内容(上巻カバーより)
 文字を入れ換える。表を使う。古代ギリシャの昔から、人は秘密を守るため暗号を考案してはそれを破ってきた。密書を解読されて処刑された女王。莫大な宝を今も守る謎の暗号文。鉄仮面の正体を記した文書の解読秘話・・・・・・。カエサル暗号から未来の量子暗号に到る暗号の進化史を、『フェルマーの最終定理』の著者が豊富なエピソードとともに描き出す。知的興奮に満ちた、天才たちのドラマ!

■目次
 上巻
 第Ⅰ章 スコットランド女王メアリーの暗号
 第Ⅱ章 解読不能の暗号
 第Ⅲ章 暗号機の誕生
 第Ⅳ章 エニグマの解読

 下巻
 第Ⅴ章 言葉の壁
 第Ⅵ章 アリスとボブは鍵を公開する
 第Ⅶ章 プリティー・グッド・プライバシー
 第Ⅷ章 未来への量子ジャンプ
 
■感想
 先日読んでベラボーに面白かった「フェルマーの最終定理」の作者の新作(といってもオリジナルが発行されたのは1999年ですが・・・)が文庫になったので買ってまいりました。
 前作よりボリューム増ですが、あいかわらず面白い!!
  
 「フェルマー~」もそうだったけど、この作者の魅力は、専門的で難解な事柄を非常にわかりやすく書いてくれることと、今まであまり光の当たらなかった人たちも丁寧に描いていることですな。
 本作でも暗号作成者と解読者の人間ドラマに引き込まれます。
 特にエニグマ(WW2のドイツ軍の暗号)の解読にまつわる、ポーランドとイギリス(ブレッチレー)の栄光無き暗号解読者達の努力が読ませますなぁ。もちろんアラン・チューリングも出てきまっせ。

 上巻は古代ギリシャからはじまり、カエサル暗号、メアリー女王の処刑、エニグマ解読、そしてチューリングの最期で終わります。
 初めて知ったんだけど、ビール暗号っちゅう、金の隠し場所を示したといわれる未解読暗号(一部解読ずみ)の暗号があるんね。日本の徳川埋蔵金みたいなのりでいまだに探しているマニアがいるらしい。
 さらに19世紀にようやく解読された17世紀のルイ14世の宮廷文書にはかの鉄仮面とおぼしき人物の記述があるそうな。敵前逃亡した将軍らしい。結構がっかりな正体です・・・。
 さらにさらに、ワンタイムパッド(平文と同じ長さの使い捨てキーワードをつかった暗号)は原理的に絶対解読不可能だそうな。
 でも実用性ないからほとんど使われない(鍵の配送問題は残るしね)らしい、米露のホットラインくらいだそうな。うーむ、ためになる(か?)。
  
 下巻はWW2のときの米軍のナバホ語の暗号(映画「ウィンドトーカーズ」になった話やね)から始まり、古代言語解読(ヒイエログリフ、線文字B)、そして現代のDES暗号、RSA暗号へとつづきます、そして話題は未来へと・・・量子コンピューターと量子暗号。
 解決不可能かとおもわれた鍵配送問題の解決のくだりは興奮しますなぁ。
 
 そして、いまいちわかってるようでわからんかった、一方向関数(素因数分解)を用いた公開鍵と個人鍵の概念がようわかったわい。
 量子コンピューターと量子暗号については今まで読んだ本の中で一番わかりやすかった。

 いやはや、もりだくさん。
 それぞれの暗号そして解読の仕組みを丁寧に説明してくれているので、そのぶん前作よりもちょっと読みにくい部分はあったかも。
 未読の方はまずは「フェルマーと竜」・・・じゃなくて「フェルマーの最終定理」からお勧めしますわ~。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆★
《薦》☆☆☆

■引用(上巻 P339 エニグマの解読より)
 アラン・チューリングもまた、世間の認知を待たずに死んだ暗号解読者の一人だった。英雄として歓呼されるどころか、チューリングは同性愛者として迫害を受けたのである。
(中略)
 1945年6月7日、チューリングは青酸カリ溶液の入ったビンとりんごを一個もって寝室に入った。16年前、彼は悪い魔女の呪文を歌うように口ずさんでいた――魔法の秘薬にりんごを浸けよう、永遠の眠りがしみ込むように。そして今、彼は自らその呪いにかかろうとしていたのだ。チューリングはりんごを青酸カリに浸けると、何口かかじった。こうして、暗号解読における真の天才の一人は、わずか41歳にして自ら命を絶ったのである。 


暗号解読 上巻 (1) (新潮文庫 シ 37-2)

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2007年08月12日

【本】陽気なギャングが地球を回す

陽気なギャングが地球を回す

著者:伊坂幸太郎
装丁:松 昭教
解説:村上貴史
出版:祥伝社文庫 い 14-1 ¥629 P381
版数:初版2006/2 18刷2007/6
読んだ日:2007/8/12
感想書いた日:2009/11/16

■内容(カバーより)
嘘を見抜く名人、天才スリ、演説の達人、正確な体内時計を持つ女。この四人の天才たちは百発百中の銀行強盗だった……はzが、思わぬ誤算が。せっかくの「売上」を、逃走中に、あろうことか同じく逃走中の現金輸送車襲撃犯に横取りされたのだ!奪還に動くや、仲間の息子に不穏な影が迫り、そして死体も出現。映画化で話題のハイテンポな都会派サスペンス!

■感想
伊坂幸太郎の本、初めて読んだ。
期待が高すぎたのか、ちょっとあっさりすぎた気もするけど、なかなかテンポがあって一気に読めました。
ひと癖ふた癖あるスペシャリスト四人組ってのがいいですね。
続編も出てるみたいなんで、機会があれば読みたし。


■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆☆

■引用

陽気なギャングが地球を回す (祥伝社文庫)

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2007年08月07日

【本】フェルマーの最終定理

フェルマーの最終定理

原題:Fenmat's Last Theorem
著者:サイモン・シン(Simon Singh)
訳者:青木薫
出版:新潮文庫 シ 37 1 ¥781 P495
ISBN:978-4-10-215971-2
初出:単行本刊行 新潮社 2000年
読んだ日:2007/8/7
感想書いた日:2009/10/25


■内容(カバーより)
17世紀、ひとりの数学者が謎に満ちた言葉を残した。「私はこの命題の真に驚くべき証明をもっているが、余白が狭すぎるのでここに記すことはできない」以後、あまりにも有名になったこの数学界最大の超難問「フェルマーの最終定理」への挑戦が始まったが――。天才数学者ワイルズの完全証明に至る波乱のドラマを軸に、3世紀に及ぶ数学者たちの苦闘を描く、感動の数学ノンフィクション!


■感想
フェルマーの最終定理にまつわる物語。
これまでの数学のテクニック総動員だったんですねぇ
つまりフェルマーの最終定理証明にまつわるアレコレを描いているうちに、数学そのものの発展を描いていることになってるわけです、こりゃすげぇ。
もう手に汗にぎって、興奮しまくりました。
こんな面白い本にはなかなか出会えないですなぁ
数学者達の人間ドラマが豊富にもりこまれてますので、(たぶん)文系の人にも面白くよめるはず。
そして、人間ドラマの中でもある日本人数学者の悲劇が胸をうちます・・

もう、絶対のお薦め!!

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆☆
《薦》☆☆☆☆

フェルマーの最終定理 (新潮文庫)

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2007年07月23日

【本】人質カノン

人質カノン

著者:宮部みゆき
装画:井筒啓之
解説:西上心太
出版:文春文庫 み 17 4 P309 ¥476
版数:初版2001/9
ISBN:4-16-754904-2
初出:オール讀物、小説新潮 1993~1995
   単行本刊行 文藝春秋社 1996
入手:BOOK OFF ¥250
読んだ日:2007/7/?
感想書いた日:2009/9/23

■内容(カバーより)
「動くな」。終電帰りに寄ったコンビニで遭遇したピストル強盗は、尻ポケットから赤ちゃんの玩具、ガラガラを落として去った。事件の背後に都会人の孤独な人間模様を浮かび上がらせた表題作、タクシーの女性ドライバーが遠大な殺人計画を語る「十年計画」など、街の片隅、日常に潜むよりすぐりのミステリー七篇を収録。

■収録
 人質カノン
 十年計画
 過去のない手紙
 八月の雪
 過ぎたこと
 生者の特権
 漏れる心

■感想
オール讀物と小説新潮に掲載した作品を集めた短編集。
宮部みゆきの短編は、すかっと爽快なものも多いけど、この本に収録された作品はいじめや裏切りなどが背景にあるものが多く、やり切れなさが残るものがいくつかありました。
それでも、全体的には前向きに終わる話が多いのは救われます。
相変わらずのストーリーテラーで、あっという間に読み終わってしまいました。
「代表作」や「一番すきな作品」を選んだ時に、名前が挙がるような作品ではないかもしれませんが、ちょっと心に残るいい本だと思います。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆☆

■引用
人質カノン (文春文庫)

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2007年07月13日

【本】極大射程

極大射程

原題:Point of Impact
著者:スティーヴン・ハンター(Stephen Hunter)
訳者:佐藤 和彦
出版:新潮文庫 上下分冊
入手:古本
読んだ日:2007/7/13
感想書いた日:2009/9/21

■内容(Amzonより)
ボブはヴェトナム戦争で87人の命を奪った伝説の名スナイパー。今はライフルだけを友に隠遁生活を送る彼のもとに、ある依頼が舞い込んだ。精密加工を施した新開発の308口径弾を試射してもらいたいというのだ。弾薬への興味からボブはそれを引受け、1400ヤードという長距離狙撃を成功させた。だが、すべては謎の組織が周到に企て、ボブにある汚名を着せるための陰謀だった…。

■感想
出版当時はだいぶ評判になったので、読んでる人も多いと思いますが、映画化もされたことですし読んでみました。

世捨て人のように暮らすベトナム戦争の元英雄が、騙されて陰謀に荷担させられ、罪をきせられ、復習するっという、もう王道すぎる筋立てなんですが、王道だけに興奮して読ませます。
新しいところといえば、主人公がいかにもな南部の白人男なんですねぇ。
私の読んだ冒険小説の中では他にちょっと思いつかないです。
なかなか、上手に描いていて、南部男の不器用さが好印象です。

映像化には向いてそうな話なので、ぜひ映画のほうもいずれ見たいところです。
小説のほうもシリーズ化されてるそうなので、そちらもそのうち読みたいですね。

あんまり難しいこと考えずにスカッとしたい時におすすめ。
上下分冊ですが、あっという間に読めます。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆★
《薦》☆☆☆★

極大射程〈上巻〉 (新潮文庫)

極大射程〈下巻〉 (新潮文庫)

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2007年06月28日

【本】華やかな食物誌

華やかな食物誌

著者:澁澤龍彦
出版:河出文庫 P228
ISBN:978-4309402475
入手:古本屋
読んだ日:2007/6/28
感想書いた日:2009/8/30

■内容(amazonより)
美食家の中にはたんに食欲が肥大し、味覚が鋭敏になっただけでなく、美味なものを食べたいという欲望を上まわる妄想や衝動に憑られた人たちがいる。表題作「華やかな食物誌」は、古代ローマやフランスの宮廷の豪華なる食卓へと読者をいざないながら、そういった美食に憑かれた奇人たちのさまざまな奇行や妄想を物語る。表題作他絵画や寺院などに関する18篇のエッセイを収録。

■感想
表題のほか中編程度のエッセイをいくつか収録されています。
作者の相変わらずの博覧強記ぶりが堪能できて面白かったですが、表題作以外はちょっと知識が届かなすぎて難しかったかな。
初めての人は手帳シリーズなどテーマが一貫している作品から読まれたほうが入りやすいと思います。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆★
《薦》☆☆

華やかな食物誌 (河出文庫)

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2007年06月18日

【本】黄昏の百合の骨

黄昏の百合の骨

著者:恩田 陸
装画:北見隆
出版:講談社
読んだ日:2007/6/18
感想書いた日:2009/8/30

■内容(Amazonより)
強烈な百合の匂いに包まれた洋館で祖母が転落死した。奇妙な遺言に導かれてやってきた高校生の理瀬を迎えたのは、優雅に暮らす美貌の叔母二人。因縁に満ちた屋敷で何があったのか。「魔女の家」と呼ばれる由来を探るうち、周囲で毒殺や失踪など不吉な事件が起こる。将来への焦りを感じながら理瀬は―。

■感想
「麦の海に沈む果実」の続編。
講談社から出てる恩田陸の本は少女漫画趣味満開で読んでてなかなか楽しいのですが、どうも背景の設定は現実ばなれしすぎててちょっと苦手…
本作も非常に面白く展開するんですが、最後にその設定が表にでてきて、ちょっと引いた…
図書館の海にも前日譚がでてきたし、作者的にはまだまだ展開させたい話なんかな?

まぁでも、話の大筋自体は面白かったです。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆☆

黄昏の百合の骨 (講談社文庫)

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2007年05月06日

【本】後巷説百物語

後巷説百物語(のちのこうせつひゃくものがたり)

著者:京極夏彦
表紙:(造形製作)荒井良、(デザイン)FISCO
解説:小野不由美
出版:角川文庫 き 26-4 ¥857 P779 初2007/4
ISBN:978-4-04-362004-3
初出:単行本刊行 2003/11
入手:新刊 台湾紀伊国屋 NTD420

■内容(カバーより)
 文明開化の音がする明治十年。一等巡査の矢作剣之進らは、ある島の珍奇な伝説の真偽を確かめるべく、東京のはずれに庵を結ぶ隠居老人を訪ねることにした。一白翁と名のるこの老人、若い頃怪異譚を求めて諸国を巡ったほどの不思議話好き。奇妙な体験談を随分と沢山持っていた。翁は静かに、そしてゆっくりと、今は亡き者どもの話を語り始める。第130回直木賞受賞の妖怪時代小説の金字塔!

■収録
 赤えいの魚(うお)
 天火(てんか)
 手負蛇(ておいへび)
 山男
 五位の光
 風の神

■感想
百物語シリーズ第3弾。
2作目で綺麗に終わってたんでシリーズもおしまいかと思ってたら、3作目もありましたなぁ
1作目は仕置き人風だなぁとおもったのですが、本作では、なんとなく半七捕物帳を思い出しましたよ。ご一新後に、若者が尋ねていって、隠居した年寄りが回顧して語りだす形などがね。
一作ごとにスタイルを変えてくるのはさすがですなぁ

京極夏彦の本でシリーズ3作目ともなると、設定などがいろいろと複雑になってきてたりしますが、栞と一緒に挟まってた「巷説百物語シリーズ解説書」なるものがなかなか理解を助けてくれました。

今回は最後に百介が仕掛けて百物語をやるのですよねぇ
で、円朝なんかもでてきたりしちゃって。
ちょうど、去年見に行ったのよね、谷中の全生庵に円朝の幽霊画コレクション。
http://niimiya.akatsukinishisu.net/blog/archives/2006/08/26/

そんなわけもあって、なかなか興味深く読めました。
百物語(小豆洗い)で始まり、百物語(風の神)で終わるっと。
綺麗じゃないですか。

他にも由良伯爵の祖先もでてきたりして、京極堂シリーズといろいろつながってるのがわかったのも面白かったです。
狂骨の夢などには、背景に直接関係してたのですなぁ…
又市があんなこといわなかったら、狂骨事件もおこらなかった????
今後の京極堂シリーズにも、まだまだ百物語の登場人物の子孫とか(山岡ナントカとか)でてきそうですなぁ

ちなみに、綺麗に終わったとおもいきや、
第4弾として、前日譚も出版されてるそうですな… ^^;
まぁ、こちらも文庫になるのが楽しみでござんす。
(その前に「覘き小平次」かな。)
4作目も一通り読み終わったら、そのうち時系列にそって読み直してみたいですなあぁ
(ということを「半七」読みわった後にも思ったなぁ…)

あ、どうでもいいけど、直木賞の受賞はこの本が対象だったのね。
忘れてました。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆★
《薦》☆☆☆

■引用(P771 「風の神」より)

 その時。
 百介は微かに、りんという音を聞いた。
 そして。
 
 ――御行奉為。
 
 そう。
 又市の声を、その時山岡百介は慥かに聞いたのだった。
 
後巷説百物語 (角川文庫)

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2007年04月16日

【本】地獄変・邪宗門・好色・藪の中 他7篇

地獄変・邪宗門・好色・藪の中 他7篇

著者:芥川竜之介
解説:中村眞一郎
出版:岩波文庫 P234 初1956/1 15刷1970/6
初出:1917-1923 大阪毎日新聞ほか
入手:古本
読んだ日:2007/4/16

■収録

道祖問答
袈裟と盛遠
地獄変
邪宗門(未完)

往生絵巻
好色
藪の中
六の宮の姫君
二人小町

■感想
 芥川の作品の中で、今昔物語や宇治拾遺などから題材をとった平安時代を舞台にした一群の短編を王朝物と呼ぶそうです。
 これはその王朝物を集めた岩波文庫の2冊目。
 1冊目のほうには「鼻」とか「羅生門」が収録されております。
 
 先日、芥川の王朝物にまつわる、北村薫の小説(そのものズバリのタイトル「六の宮の姫君」)を読んだ際に、気になって買おうとおもってたら…
 部屋の片隅の未読書棚の中にひっそりあった…
 買ったのすっかりわすれてたんですねぇ
 しかも、旧字旧仮名版じゃないですか!
 えらすぎるぞ>俺
 
 はてさて、上にも書いたとおり舞台は平安時代なのですが、人間は非常に近現代的に描かれていて、芥川の小説らしく、悩み深い、業深い人ばかり。
 内容の重さはあるものの、文章が実に美しいので読みにくいということはまったくないです。
 文体は伝聞や独白や戯曲風だったりするのですが、どれも読んでるのに耳に心地よい感じを受けました。
 この文章の素晴らしさを存分に堪能したい人には、古本屋をめぐって旧字旧仮名版を入手することを俄然お薦めしたい。

 まぁとにもかくにもお薦め!
 
 しかし、邪宗門が未完なのが実に惜しいなぁ…
 
 ちなみに、岩波は「竜之介」表記なのだな…
 世間的には「龍之介」のが一般的か?
 どうでもいいけど

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆★
《薦》☆☆☆

地獄変・邪宗門・好色・薮の中 他七篇 (岩波文庫)

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2007年04月04日

【本】山口組三代目 / 飯干晃一

山口組三代目 1野暮篇/2怒涛篇

著者:飯干晃一
出版:1:徳間文庫 426-1 P186 ¥240 初1982/8 3刷1985/4 絶版中
2:徳間文庫 426-2 P185 ¥240 初1982/8 絶版中
ISBN:4-19-597344-9 / 4-19-597345-7
初出:アサヒ芸能連載、単行本刊行1971/2(徳間書店)
入手:古本屋

■内容(1巻カバーより)
 淡路島出身の山口春吉が作業員50人を擁して神戸に山口組の看板をかけたのが大正4年3月。それが三代目田岡一雄の昭和39年には、424団体、9450人を配下にもつ最強最大の軍団になっていた。それはまた荷役、興行等、暗黒の巨大コンツェルンでもあった。英国製の高級背広を着用し、日に3度理髪店に行くという田岡一雄がいかにして地下王国を築いていったのか――アウトローの歴史を活写した気魄の野心作!

■感想
初代と二代目のことも描かれていますので、山口組の発祥から日本全国に拡大する黎明期の様子を知ることができます。

なんとなくしかしらなかった、美空ひばりや田端義男との関係や、鶴田浩二の襲撃の件、今話題(??)の吉本興業との初期の関係などが、ちょいとわかりましたよ。

アサヒ芸能に連載してたということもあってか、いまいち、暴力団肯定なのか否定なのか作者のスタンスがよくわからないんですけど…(暴力団否定の任侠礼賛なのかな???)
まぁ、そこはこの手の本には珍しいこっちゃないですかな。
あんまり、否定口調で書いてたら襲われちゃうしね(って、実際襲われたことあったよね飯干さんって)。

今の世の中からはなかなか想像できないですが、一昔前はこういう方々が表舞台を肩で風切って歩いていた時代がたしかにあったのですよねぇ。(裏の世界では引き続き肩で風切ってると思いますが…)

仁義なき戦いとか好きな人にはお勧めっす。
(ちなみに「仁義~」のほうも原作は飯干晃一っす。)

そうそう、上にも写しましたが、カバーに「日に3度理髪店~」って書いてあるのは本文だと「月に3度」なんですよねぇ、たぶんカバーが間違ってると思います。
どうでもいいことですが…

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆★

■引用(P141より)
 法の裏側に、一つの王国が着々と建設されつつあった。彼らは合法的な世界から王国の資産を蓄積していた。その王国の帝王こそ山口組三代目であった。
 その王国を華やかに彩るものは、美空ひばり、田端義夫らの歌手や、また俳優たちであった。そして王国を支える底辺には、船倉のなかに閉じこめられ、重量物とホコリと疲労のなかで働くアンコたちがいた。
 山口組三代目は感傷にふけるわけにはいかなかった。田岡一雄は山口組の棟梁として、法の裏側の王国を築かねばならない運命を背負っていた。
 人間とはいったい何だろう。

山口組三代目 (1) (徳間文庫)

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2007年04月03日

【本】禁じられた楽園

禁じられた楽園
著者:恩田陸
出版:徳間文庫 お 30-2 ¥800 P518 初2007/3
ISBN:978-4-19-892569-7
初出:2004/4 単行本刊行(徳間書店)
入手:新刊

■内容(カバーより)
 平口捷は、若き天才美術家の烏山響一から招待され、熊野の山奥に作られた巨大な野外美術館を訪れた。そこは、むせかえるような自然と奇妙な芸術作品、そして、得体の知れない“恐怖”に満ちていた。現代の語り部が贈る、幻想ホラー超大作。

■感想
本編にも名前がでてきますし、後書きにも書かれていますが、恩田版「パノラマ島奇談」なわけですな。

本家のパノラマ島読んだときもおもったんだけど、私はどうも想像力が貧困でねぇ…
折角の奇想天外な楽園風景が、なかなかビジュアルで頭の中にでてこないんですよねぇ
そんなわけで、あまり楽しめなかったなぁ
それなりに読ませてくれましたが、今まで読んだ恩田陸作品のなかでは一番好みにあわなかったような気がします。
タイトルも安直な感じが…

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆
《薦》☆☆

禁じられた楽園 (徳間文庫)

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2007年03月31日

【本】つかぬことをうかがいますが…

つかぬことをうかがいますが…

原題:The Last Word
編者:ニュー・サイエンティスト編集部
訳者:金子浩
表紙・挿画:水玉蛍之丞
出版:早川文庫 NF232 P336 ¥720 初1999/7
ISBN:4-15-050232-3
初出:初出New Scientist、単行本Oxford University Press 1998刊行
入手:新刊

■内容(カバーより)
 くしゃみをすると目をつぶってしまうのはなぜ? 魚っておならをするの? 瞬間接着剤はどうしてチューブの内側にくっつかないのかな? ふと疑問に思っても、なかなか人に聞けずにいる、“つかぬこと”をみなさんお持ちのはず。そんな疑問が本書を読めば解消します!各分野の専門科学者からSF作家、在野の一言居士まで、あらゆる識者が身近な科学上の疑問にこぞって回答を寄せた、いつでもどこでも楽しめる究極の雑学Q&A本。

■感想
ニュー・サイエンスという雑誌にのっている読者が質問して、読者が答えるというコーナーを本にしたものなんですが、これが、まさに「はてな」とかと同じ人力検索なんですなぁ
ちなみに、現在はWebでも回答を募集してるそうな。
http://www.newscientist.com/lastword.ns

ちなみに最新の質問はこれでした
"Have you ever wondered how long it would take to fill the Grand Canyon with milk?"
く、くだらん…(失礼)

科学雑誌だけあって、読者も専門家が多いわけで、回答もかなり詳しいです。
でも、感心した、その後に、「それは間違いです」とか他の回答者の投稿がのってたりして侮れない。

中にはあきらかにウケねらい(これがたいてい面白くない…)や、茶化した答えもあって、ますます「はてな」などとそっくり。

ひとつ感心したのが、錯覚に関する下記の例題。
Fはいくつあるでしょー

FINISHED FLIES ARE THE RE-
SULT OF YEARS OF SCIENTIF-
IC STUDY COMBINED WITH
THE EXPERIENCE OF YEARS.

私しゃ、3回目まで3つしかみつけられませんでした…
正解はもちろん6つ

あと、冷凍庫の中のお湯は水よりも早く氷になることとか(本当っぽい)はお勉強になりました。

イギリスの雑誌だけあって(?)、紅茶をいれるときはくみたての水を使ったほうがいいのか?については喧々諤々でした。

まぁ軽くよめて、内容はところどころ深かったので、よかったかな。
まぁ、ここまでネットでいろいろ調べられる世の中でわざわざ本でこういう本を読む価値があるかどうかは定かでないですが…

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆★
《薦》☆☆

■引用(P21より)

Q 暗いところからまばゆい光のなかに出たとき、くしゃみをする人が多いようです。どうして? 
 D・ブースロイド
 ハーフォードシャー州ハーペンデン

(中略)

A 明るい光にさらされるとくしゃみをするという反応は、“光くしゃみ”と呼ばれます。これは世代から世代へと受け継がれる遺伝的な形質で、総人口の約18から35パーセントが因子をもっています。くしゃみが出るのは、目の防御反射(この場合はまばゆい光にさらされたせい)で、鼻も密接にかかわっています。そのうえ、くしゃみをするとき、人は目を閉じ、涙を流してしまいます。そのため、光くしゃみは戦闘機パイロットのあいだでは事故要因として恐れられています。とくに太陽の方向へ旋回したときや、夜間に対空砲火の炎にさらされたときに出やすいのです。
 R・エクルズ
 風邪と鼻研究所
 カーディフ

つかぬことをうかがいますが…―科学者も思わず苦笑した102の質問 (ハヤカワ文庫NF)

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2007年03月11日

【本】吉田電車

題名:吉田電車
著者:吉田戦車
表紙:吉田戦車、(デザインVERSO)
挿絵:吉田戦車
解説:酒井順子
出版:講談社文庫 よ 32 2 ¥514 P235
ISBN:978-4-06-275631-0
初出:Web現代 2002/12-2003/5 単行本2003/9
入手:新刊

■内容(カバーより)
 人気漫画家が鉄道の気配と麺を求めて全国を巡る「電車の旅」エッセイ。懐かしいセンスあふれる近鉄特急で「いつもと違う感」を満喫。伊勢うどんをすすれ!大江戸線では異様な駅名「面き番」に困惑し、西部多摩川線で八王子系ラーメンに邂逅。健康的イラスト&写真満載の○車シリーズ第2弾。解説・酒井順子

■感想
 自転車でぶらぶらして麺(じゃなくてもいいのだが)を喰らう楽しさを教えてくれた、俺の心のバイブル「吉田自転車」の続編。
 タイトルはズバリ「吉田電車」……ってオイ^^;
 まぁ、電車も好きだったのかと、読み進めて見れば、別に鉄道マニア的に好きというわけでもないみたい。
 
 そんなわけで、ぶらぶら電車のって、どうでもいいものに感心して、麺くってという内容。
 
 こういうエッセイって文章の上手下手ってのも大事なんだと思いますが、本人らしさ(オリジナリティといってもいいかも)が肝要だわね。

 その点では、この人の書く文章は上手というわけではないのですが、文字と文字の間からも「吉田戦車」が滲み出てて、実にいいねぇ

 ぶらっとしてるだけなのに、目のつけどころが実に面白いのよのぉ

 えらいあっさり読めるので、疲れた方に、また、どこかにぶらっとでかけたい人にお勧め。

 第3弾も期待!こんどは世界の戦車にのりまくる、「吉田戦車の吉田戦車」か!??

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆★

■引用(P186 「第17回 毛の謎! 前厄軍団がゆく)

 俺は昭和三十八年生まれで、今年前厄だ。
 前厄とはなんだろうか。
 いうまでもなく本厄が一番気をつけなければならない年だが、辞書を調べると、前も後も「本厄についでやばいので、気をつけろ」ということだった。
 つまり前厄後厄は、厄の野郎のいわばウォーミングアップ、クールダウンなのであろうと考えた。
 うかうかしてはいられない。厄の体がまだ暖まらないうちに、先制の一撃を加えることにした。

吉田電車

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2007年02月25日

【本】職業としての政治

職業としての政治
原題:POLITK ALS BERUF
著者:マックス・ヴェーバー Max Weber
訳者:脇 圭平
出版:岩波文庫 白209-7 ¥260 P116 初1980/3 15刷1989/4
ISBN:4-00-342097-7
入手:古本屋(自由が丘 西村文生堂) ¥70

■内容(カバーより)
 あらゆる政治行動の原動力は権力(暴力)である。政治は政治であって倫理ではない。そうである以上、この事実は政治の実践者に対して特別な倫理的欲求をつきつけずにはいない。では政治に身を投ずる者のそなうべき資格と覚悟とは何か。ヴェーバー(1864-1920)のこの痛烈な問題提起は、時代をこえて今なおあまりに生々しく深刻である。

■感想
 す、すんません・・・
 あんま、わかんなかったっす・・・
 
 あとがきによると、奇しくも「君主論」と本作は政治学の古典の二大名著だそうですな。君主論はめっちゃ面白かったんだけどなぁ、こっちはよくわからんかった…
 
 話の内容が、二つの世界大戦の間のドイツという特殊な背景に密接に結びついているので、そこから現在の状況でも通用する主張を吸い出す能力が私にはちと、足りなかったですなぁ。(ドイツ料理屋でビールガブガブ飲みながら読んでたことにも原因があるやも…)
 
 政治家というものは、当然権力を行使し、一側面なのか本質なのかは別として「暴力」(「警察」であったり「軍隊」であったり)を行使するものであるわけで、それに適した人間とはいったいどういう人物であろうか?
ということを述べた本であるわけですね、これは。(大学での講演をおこしたものだそうです)。
 で、結論としては、それは「挫けない人」なわけですな。
 うむうむ。(いいのかそんなシンプルな解釈で…)
 
 つまり、私はすぐ挫けちゃうから、政治家はムリ!!
 …という個人的な結論で読み終えてしまって、とりあえずはいいでしょうか。
 うむむ。
  
■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆
《薦》☆☆

■引用(P105より)
 政治とは、情熱と判断力の二つを駆使しながら、堅い板に力をこめてじわじわっと穴をくり貫いていく作業である。もしもこの世の中で不可能事を目指して粘り強くアタックしないようでは、およそ可能なことの達成も覚束ないというのは、まったく正しく、あらゆる歴史上の経験がこれを証明している。しかし、これをなしうる人は指導者でなければならない。いや指導者であるだけでなく、――はなはだ素朴な意味での――英雄でなければならない。そして指導者や英雄でない場合でも、人はどんな希望の挫折にもめげない堅い意思でいますぐ武装する必要がある。そうでないと、いま、可能なことの貫徹もできないであろう。自分が世間に対して捧げようとするものに比べて、現実の世の中が――自分の立場からみて――どんなに愚かであり卑俗であっても、断じて挫けない人間。どんな事態に直面しても「それにもかかわらず!(デンノッホ)」と言い切る自信のある人間。そういう人間だけが政治への「天職(ベルーフ)」を持つ。


職業としての政治 (岩波文庫)

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2007年02月20日

【本】地を這う虫 / 高村薫

地を這う虫
著者:高村薫
装画:西口司郎
装幀:多田和博
出版:文春文庫 た-39-1 P227 ¥448 初1999/5 3刷1999/6
ISBN:4-16-761601-7
初出:単行本(文藝春秋刊)1993/12
入手:BOOK・OFF ¥100

■内容(カバーより)
 「人生の大きさは悔しさの大きさで計るんだ」。拍手は遠い。喝采とも無縁だ。めざすは密やかな達成感。克明な観察メモから連続空き巣事件の真相に迫る守衛の奮戦をたどる表題作ほか、代議士のお抱え運転手、サラ金の取り立て屋など、日陰にありながら矜持を保ち続ける男たちの、敗れざる物語です。深い余韻をご堪能ください。

■収録
 愁訴の花
 巡り逢う人びと
 父が来た道
 地を這う虫
 
■感想
 上の内容にうまくまとめられてる通りのお話です。
 社会の傍流に押しやられて、日のあたらない人たちを主人公に据えて、高村薫らしいタッチで描写しております。
 長編向きの作家さんだとおもってましたが、短編もなかなかいいっすね。
 

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆☆

地を這う虫 (文春文庫)

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2007年02月10日

【本】哀愁の町に霧が降るのだ

哀愁の町に霧が降るのだ
著者:椎名誠
表紙・挿絵:沢野ひとし
解説:嵐山光三郎
出版:上巻 新潮文庫 し 25 6 ¥520 P371 初版2001/10
   下巻 新潮文庫 し 25 7 ¥520 P355 初版2001/10
ISBN:上4-10-144807-8 下4-10-144806-X
初出:単行本 情報センター出版局 1981年 上・中・下巻
入手:古本屋 上下セット¥520

■内容(上巻カバーより)
脚本学校に通い、小さな雑誌社でアルバイトをしている椎名誠、大学生の沢野ひとし、弁護士をめざす木村晋介、唯一の給料取りイサオ。東京のはずれ、江戸川区小岩の中川放水路近くにあるアパート〈克美荘〉の、昼でも陽のささない汚い六畳の部屋で、四人の男たちの共同生活ははじまった……。椎名誠とその仲間たちの、悲しくもバカバカしく、けれどひたむきな青春の姿を描いた長編。


■感想
椎名誠の自伝的な小説を読むのは「本の雑誌血風録」「新橋烏森口青春篇」につづいて3作目になるのですが、描いてる時代は高校生から社会に出て行くまでと、一番早い時期なんですな。

読む順番バラバラや…

「克美荘」ってボロ(失礼)アパートの一室での男4人で共同生活が話の中心なんですが、実に楽しそう。
例によって(というか、他の本よりはるかに激しく)、話は過去・現代とあちこち飛びますが、そこもなかなか椎名誠らしく、楽しいでした。

俺もここまでじゃないけど、大学徒歩0分のところで、下宿してて毎日楽しかったなぁ~ (^^)
青春やったなぁ
と、過去を美化しつつ、お勧め。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆★
《薦》☆☆☆

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【本】牌の魔術師 / 阿佐田哲也

牌の魔術師
著者:阿佐田哲也
表紙:黒鉄ヒロシ
解説:伊集院静
出版:角川文庫 あ 4-15 P274 ¥514 初2002/2 絶版中
ISBN:4-04-145968-0 
初出:角川文庫1980/7刊行
入手:BOOKOFF ¥105

■内容(カバーより)
 終戦後間もない、昭和二十年代。巷では、驚異的な技術を誇るプロのイカサマ師たちが、その悪魔のような腕を競いあっていた。"二の二の天和"、エレベーター、ガン牌、三色爆弾、切返し・・・・・・。「麻雀放浪記」の坊や哲と、"牌の魔術師"たちとの息詰まる死闘の数々。麻雀の面白さ、勝負の醍醐味を味わい尽くせる不朽の名作が、今、時代を超えて新装刊!

■収録
 天和の職人
 捕鯨船の男
 ブー大九郎
 黒人兵キャブ
 赤毛のスーちゃん
 イッセイがんばれ
 まんしゅうチビ
 留置場麻雀
 ベタ六の死
 山谷雀ゴロ伝
 ブー大九郎の復讐
 左打ちの雀鬼
 イーペイコウの女
 ごきぶりタミイ
 "切返し"の寒三郎
 南の三局一本場

■感想
 阿佐田哲也の本は高校のころに麻雀放浪記からはいって何冊か読んだのですが、今になってみるとどれが読んだやつだかさっぱり忘れてしまいました。

この本はタイトルに覚えがなかったので初読のつもりだったんですが、どの話もなんとなく記憶に残っていたので、読んだことあったみたい。
まぁ、何度読んでも面白いのは面白いけどね。

 ブー大九郎にダンチに柴久と味のあるバイニンたちが、しのぎを削るやり取りがねぇ、実にいいのですよ。
 
 手に汗にぎるわー
 あー、麻雀やりたいなぁ…
 
 麻雀好きなすべての人にお薦め。
 
■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆★
《薦》☆☆☆★

牌の魔術師 (角川文庫)

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2007年02月06日

【本】オトナ語の謎。

オトナ語の謎。
監修:糸井重里
編者:ほぼ日刊イトイ新聞
イラスト:森川幸人
デザイン:清水肇
出版:新潮文庫 い-36-2 ¥552 P398
ISBN:4-10-118312-0
初出:ほぼ日刊イトイ新聞
入手:BOOKOFF(川崎モアーズ) ¥105

■内容(カバーより)
「バンザイ」と「バンバンザイ」の違いとは何か。家でも学校でも教わらないが、カイシャのオトナたちが、自由自在に使いこなす不思議で奇怪な言葉の数々。全国津々浦々のオフィスで密かに増殖していた未確認言語を大発見! オトナはときに「とんでもございません」とへりくだり、ときに「無理は承知」で果敢に攻める。言葉に込めたオトナの意図、意志、謀略を伝授する社会人の新教養。

■感想
ほぼ日のコーナーをまとめた本です。
オトナ語ってのは、社会人が仕事の中で駆使する、文法的にはちょっとどうかわからないけど、なにかと便利な言葉たちのこと。

「たしかに使ってる!」ってのから、「うちの業界ではつかわないなぁ」ってのや、「あ、これって全国区だったの?うちの会社だけかと思ってた」まで、いろんな言葉が網羅されて、気の利いた(?)説明がついております。

そういえば、私も会社はいりたてのころは結構とまどった言葉あったなぁ。
「これ焼いといて(コピーしといて)」とかねぇ
そんな私も今ではこの本読みながら「うん、うん、使う、使う」とうなずいてしまいますよ、うむ光陰矢のごとし。

でも、オトナ語を使いこなすのもなかなか達成感あるのだよね、普通にいったら角が立つ話も、オトナ語で丸めて丸めてね、うまい文章かけたときみょうに達成感が… ^^;

えらくあっさり読めますんで、社会人が暇つぶしにうなずきながら読むのがいいんじゃないでしょーか。
学生さんが読んでも面白いかどうかは判断つきませんが、就職した後の予習にはなるかもしれません。
まぁ、そもそも予習なんてする必要あるのかどうかはよくわかりませんが… ^^;

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆☆

■引用
某(P55より)
 会社や個人の名称を伏せて伝えたいときに使う言葉だが、オトナが「某大手代理店が・・・・・・」などというふうに使う場合は、その場にいる全員がその名称を知っていることがほとんどである。ということは、「某」なんて言わなくていいわけなんだけど、なんか、そうやったほうが、秘密っぽいし、業界っぽいし、言ったほうも言われたほうも「にひひ」って感じがするので、いいのだよ。

名刺を切らす(P73)
 出先で、自分の名刺を忘れてきたことに気づいた。もちろんオトナは自分のミスを告白したりしない。
「ただいま名刺を切らしておりまして・・・・・・」
 ひょっとしたらこれ、名刺を持ってくるのを忘れてしまったビジネスマンが100パーセントに近い確率で口にしている言葉かもしれない。

マスト(P97より)
 船やヨットで帆をはる柱のこと、ではない。非常に重要で外せないものごとを指す。
「この項目はマストです!」
 合ってるのか?じゃあ、ナニか?ヨットの話を続けて悪いけど、「ヨットの件では帆がマストです」ってなやり取りもありえるのか?なんの話だ?

なにしてる人?(P170より)
 今日の夜ってなにしてる人?明日の午後ってなにしてる人?来週の・・・・・・いいからさっさとたのんでくれ


オトナ語の謎。 (新潮文庫)

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2007年01月25日

【本】六の宮の姫君 / 北村薫

六の宮の姫君
著者:北村薫
表紙:(イラスト)高野文子、(デザイン)小倉敏夫
解説:佐藤夕子
出版:創元推理文庫 M-き-3-4 P268 ¥480 初版1999/6 再版1999/7
ISBN:4-488-41304-8
入手:BOOKOFF ¥300

■内容(カバーより)
最終学年を迎えた〈私〉は、卒論のテーマ「芥川龍之介」を掘り下げていくかたわら、出版社で初めてのアルバイトを経験する。その縁あって、図らずも文壇の長老から芥川の謎めいた言葉を聞くことに。《あれは玉突きだね。・・・・・・いや、というよりはキャッチボールだ》――王朝物の短編「六の宮の姫君」に寄せられた言辞を巡って、〈私〉の探偵が始まった・・・・・・。

■感想
 いやいや、こうきましたか…
 日常の些細な謎を解く連作で始まったこのシリーズも、前巻ではついに大きな出来事がおきる長編になりましたが、本巻では事件らしい事件は一切なく、ひたすら芥川龍之介が「六の宮の姫君」という作品を執筆するにいたった動機を「私」がいろいろな本から探る過程が描かれています。
 ダヴィンチ・コードなんかに比べりゃはるかに地味なんですが、文献をいろいろ掘り起こすところなんか丁寧に書いてあって、謎解き(ってほどでもないけど)の過程は私にはこっちのほうが面白く感じられました。
 「文学」を研究する醍醐味ってのはこういうところにあるんですかねぇ
 ちなみに、あとがきによると、この作品のテーマは実際に作者が卒論でとりあげたものだそうな。
 うーん、ナイスリサイクル!
 
 芥川の「六の宮の姫君」って未読なんですが、ずいぶん壮絶な話なのね…、タイトルからはなんか西洋のお伽の世界想像してました…
 
 文学謎解きだけじゃなくて、その合間に、いよいよ社会にでようとする「私」の成長もしっかり描かれているので、そっちに興味がある人も一安心。
 
 しかし、芥川と菊池寛ってこんな親しかったんだねぇ
作家同士の交友なんて全然知らんもんで、この二人の関係も初耳でしたよ。
 まぁ、たしかに考えてみれば芥川賞も直木賞も菊池寛がつくったわけだし、そんな驚くようなことではないのか…

 菊池寛ってまったく興味なかった(失礼・・・)けど、ちょっと興味がわいてきましたよ。
 こんど日本に帰って古本屋よることあったら、ちょっと探してみるかな。
 まぁ、真珠婦人はちょっと…、あれですが…
 (好きな人。読まず嫌いですみません。趣味の問題です)

 そういうわけで、普通の推理小説からはだいぶかけはなれていますが、今までのシリーズを順に読んできた人には楽しめるでしょう。
 あと本好きだったら、この巻だけでもおもしろいかもしれませね。
 ただ、主人公の成長を追う意味では、できればシリーズの最初から読むほうがいいと思いますが。
 
■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆★
《薦》☆☆☆

六の宮の姫君 (創元推理文庫)

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2007年01月21日

【本】柿の種

柿の種
著者:寺田寅彦
表紙:矢崎芳則
解説:池内了
出版:岩波文庫 緑37-7 P287 ¥600 初版1996/4 18刷2004/5
ISBN:4-00-310377-7
初出:俳句雑誌「渋柿」掲載 大正9年~昭和10年。単行本 小山書店『柿の種』『橡の実』。
入手:古本 ¥320

■内容(カバーより)
 日常のなかの不思議を研究した物理学者で,随筆の名手としても知られる寺田寅彦の短文集.大正9年に始まる句誌「渋柿」への連載から病床での口授筆記までを含む176篇.「なるべく心の忙(せわ)しくない,ゆっくりした余裕のある時に,一節ずつ間をおいて読んでもらいたい」という著者の願いがこめられている.

■収録
 自序
 短章 その一 (「渋柿」掲載作)
 短章 その二  

■感想
 著者が「渋柿」という俳句雑誌に連載していた小編と晩年の短い随筆をまとめた作品です。
 著者の他の随筆より短いですし、それほど難しい話題でもないので、枕のとなりにおいておいて、寝る前にちょっと読むのに最適でした。
 また、とっつきやすいので入門篇としても適しているのではないでしょうか?
 ただ、寺田寅彦という人物の思想、人となり、そして科学と文学の絶妙な混ざり具合をじっくりと味わうなら、やはり随筆集のほうが好いかなとも思います。
 一編が短いこともあり、大正9年から晩年の昭和10年までと比較的長い期間にわたった作品が収録されているので、全体をとおして著者の後半生が伝わってきました。特に大震災後の記述は興味深かったです。また、晩年に近い作品は自分の死や戦争へすすんでいく国家情勢への予感が感じとれ胸を打つものがありました。
 
 著者に興味はあるけど、他の著作にちょっと手をだしにくい人は、まずはこれから読んでみてはいかがでしょうか?
 
■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆☆

■引用(P21より)
 気象学者がcirrusと名づける雲がある。
 白い羽毛のようなのや、刷毛で引いたようなのがある。
 通例券雲(けんうん)と訳されている。
 私の子供はそんなことは無視してしまって、勝手にスウスウ雲と命名してしまった。
(大正九年十二月、渋柿)

柿の種 (岩波文庫)

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2007年01月14日

【本】秋の花

秋の花
著者:北村薫
表紙:高野文子
解説:北村暁子
出版:創元推理文庫 M-き-3-2 P256 ¥480 初版1997/2 17版2004/4
ISBN:4-488-41303-X 
入手:BOOK・OFF ¥300

■内容(カバーより):
 絵に描いたような幼なじみの真理子と利恵を過酷な運命が待ち受けていた。ひとりが召され、ひとりは抜け殻と化したように憔悴の度を加えていく。文化祭準備中の事故と処理された女子高生の墜落死――親友を喪った傷心の利恵を案じ、ふたりの先輩である《私》は事件の核心に迫ろうとするが、疑心暗鬼を生ずるばかり。考えあぐねて円紫さんに打ち明けた日、利恵がいなくなった・・・・・・

■感想
 前作どおり短編または中篇集だと思って読んでたら長編だった…
 しかも、本作ではついに死者が…
 
 人が死ぬなんて推理小説のほとんど必要条件のようなもんで、普通たいして心が動くこともないですが、このシリーズでは、いままで日常の些細な謎を扱ってたので、読者としてもちょっと吃驚です。
 しかも、亡くなったのが前作にちょっと仲良さげ出てきてた二人のうち一人としって、登場人物のように「え、あの人が?」と思わされてしまいました。
下種な見方をするとこのあたり実にうまいなぁ。

 一見、密室殺人のような設定で、今回は普通の推理小説のようにすすむのかとおもいきや、そこは最後まで読むと、やはり「私と円紫さん」シリーズなんですなぁ

  人を亡くす喪失感、そして取り返しのつかない後悔の念(ネタバレのため秘す)が胸を打ちます。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆★
《薦》☆☆☆

■引用 P244より
「私達って、そんなにもろいのでしょうか」
 円紫さんは回しかけたエンジンキーを停めて、私を見た。深い目だった。そして私のために真剣に言葉を探してくれている目だった。
「もろいです。しかし、その私達が、今は生きているということが大事なのではありませんか。百年生きようと千年生きようと、結局持つのは今という一つの時の連続です。もろさを知るからこそ、手の中から擦り抜けそうな、その今をつかまえて、何かをしようと思い、何者かでありたいと願い、また何かを残せるのでしょう」
「でも――」と私はいっていた。「明日輝くような何かをしようと思った、その明日が消えてしまったら、どうなのですか。その人の《生きた》ということはどこに残るのです」
 円紫さんは、大切なものを運ぶように、静かに、ゆっくりと答えた。
「それでも、その意思が残ると思います。(後略)」

秋の花 (創元推理文庫)

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【本】李陵・山月記

李陵・山月記
著者:中島敦
解説:瀬沼茂樹
注解:吉田精一
出版:新潮文庫 草-77 P115 ¥140 シ初版1969/9 13刷1976/6
入手:BOOK・OFF ¥105

■内容(カバーより):
 中島敦は、幼時よりの漢学の教養と広範な読書から得た独自な近代的憂愁を加味して、知識人の宿命、孤独を唱えた作家で、三十四歳で歿した。彼の不幸な作家生活は太平洋戦争のさなかに重なり、疑惑と恐怖に陥った自我は、古伝説や歴史に人間関係の諸相を物語化しつつ、異常な緊張感をもって芸術の高貴性を現出させた。本書は中国の古典に取材した表題作のほか『名人伝』『弟子』を収録。

■収録:
 山月記
 名人伝
 弟子
 李陵

■感想
 「山月記」は、国語の教科書にのってたか、読書感想文の宿題の対象になってたかして、若い時分に読んだ記憶があります。
 当時は随分奇妙な話だなとしか思いませんでしが、あらためて読んでみると、余計なものが一切ない文章が虎に変身してしまった男の痛切と、古き友の哀憫を見事に描きだしてますなぁ。
 収録作はどれも、良かったですが、子路に視点をあわせて孔子一門を描いた「弟子」が一番気に入りました。
 また、最近ちょこちょこと史記読んでるので、「李陵」の中でで描かれる司馬遷が興味深かったです。

 しかし、作者は今の私とほぼ同じ歳で夭逝してしまったのですね…
 中国古典の英雄のように短い人生でありました…
 合掌。
      
■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆★
《薦》☆☆☆

李陵・山月記 (新潮文庫)

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【本】山伏地蔵坊の放浪

山伏地蔵坊の放浪
著者:有栖川有栖
表紙・挿絵:北見隆
解説:戸川安宣
出版:創元推理文庫 M-あ-2-4 P345 ¥640 初版2002/7
ISBN:4-488-41404-4
入手:BOOK・OFF ¥105

■内容(カバーより):
 地蔵坊先生お気に入りのカクテル『さすらい人の夢(ボヘミアン・ドリーム』の二杯目が空く頃、物語は始まる。土曜の定例会で山伏の先生が聞かせてくれる体験談ときたら、ローカル線の犯人消失、崖に住む新興宗教家の死、トリュフに端を発する真夏日の事件、雪と共に降って湧いた博士邸の怪など、揃いも揃って殺人譚。ことごとく真相を看破したという地蔵坊が、名探偵行脚さながらの見聞を語る七話を収録。

■収録(初出):
 ローカル線とシンデレラ (コットン)
 仮装パーティーの館   (コットン)
 崖の教祖        (小説NON)
 毒の晩餐会       (コットン)
 死ぬ時はひとり     (コットン)
 割れたガラス窓     (小説推理)
 天馬博士の昇天     (書き下ろし)

■感想
 主人公が山伏ってのが新しいです。
 で、その山伏が酒場でとりまいた皆に語るというスタイルなんで、実際ありえないような設定でも、なんとなくまぁ納得させられるという仕掛け。
 実際、作品の中でも聞き手は実際にあったかどうかはともかく面白い話として受け取ってるスタンスです。
 まず、これこれこういう事件に巻き込まれたと、あらましを語って、後半謎解きすることになってまして、謎解きの前には聞き手(と読者)がいろいろ考えるのですな。
 でも、私はまったく考えずにすぐ答えを知りたがっちゃう性分なもんで、こういうパズル系の推理小説とはどうも相性が悪いのですよねぇ…
 そんなわけで、この作品にもあんまりのめりこめなかったかな。

 主人公のモデルは実際に山伏の修行をしていた編集者で、この本の解説書いてる人がズバリその人だそうな。

  なお解説によると、探偵が一人称で語る推理小説(しかもシリーズ通して)というのは珍しいらしいです。
 たしかに言われてみると、心当たりないね。
 
■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆
《薦》☆☆

山伏地蔵坊の放浪 (創元推理文庫)

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2007年01月11日

【本】聞く猿

聞く猿

著者:ナンシー関
装画:ナンシー関
装丁:出下武司
出版:朝日文庫 な 14-3 P213 ¥520 初版1999/5 5刷2002/11
ISBN:4-02-264191-6
初出:「週間朝日」連載 1995/9~1997/2、単行本 朝日新聞社刊行 1997/7
入手:BOOK・OFF ¥105

■内容(カバーより):
『週刊朝日』の人気連載「小耳にはさもう」文庫版、第3弾登場。今回も、辛口なのに笑わせる独特の語りが冴える。テレビ界65人の何気ない「ひとこと」が見事に突っ込まれて痛快至極。木村拓哉 神田うの タモリらを次々と俎上にのせる。版画はケビン・コスナーに注目(似てない、とは著者の弁)

■感想
 このあいだ読んだ「聞いて極楽」と一緒に買ってきました。
 連載時期も「聞いて~」の次にあたるわけですが、分析も語り口もだいぶずいぶん研ぎ澄まされていて、完成度が高い。
 とりあげられる話題も95~97年となると、わり記憶にも残っていて面白です。
 ちょうどアトランタオリンピックやったり、アムラーがはやったり、藤田朋子がヘアヌードだしてたころっす。
 あ、あと、水野晴郎のシベ超が公開になってたり・・・

 まぁ、テレビとかみてて、イライラすること多い人は、読んでくださいな。
 著者と思考・視点の波長があえばたぶんはまります。

 しかし、毎度、毎度、同じこというのもなんですが、本当に惜しい人を亡くしたなぁ…

 ちなみにケビン・コスナーの版画は本当に似てないっす
 
■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆★
《薦》☆☆☆

■引用(P74より)
「いいんです、知らなくて。それをやれって言われたらやるけれど、そんなのつまんないじゃないですか」神田うの発言

 本当に、自分が敬語もソツなく使えるキチンとした人間であることを「いいんです、知らなくて」と思うのであれば、いっさい「キチンとしたところ」など見せるべきではないと思う。
 とりあえず、神田うののキャラクターを「非常識」としよう。しかし「非常識を意識的に自分の役割として認識して振舞っている常識ある私」を語るのは、「非常識」で稼いでいる限りは禁じ手のはずだ。わかっていながら「演じている」ことをエンターテインメントだと思っているなら大間違いだ。いわゆる舞台上の芸ではなく、ある程度の私生活をも含めた「芸能人としての芸能界の泳ぎ方」を見てもらうことで芸能が成り立っている現状を考えれば、「演じている」というネタばらしを墓の中まで持っていってこそ、エンターテインメントは成立するのではないのか。
 (中略)
 私には「うのでーす」と叫ぶ神田うのを、芸能界の一風景として認めるくらいの度量はあるけど、それ以上の「本当の神田うの」を消費する気はない。

聞く猿 (朝日文庫)

投稿者 niimiya : 00:15 | コメント (0) | トラックバック

2007年01月09日

【本】夜の蝉

夜の蝉 (蝉の字は旧字体(虫+單))
著者:北村薫
表紙:(イラスト)高野文子、(デザイン)小倉敏夫
解説:吉田利子
出版:創元推理文庫 M-き-3-2 P270 ¥480 初版1996/2 20版2001/7
ISBN:4-488-41302-1
入手:BOOK・OFF ¥300

■内容(カバーより):
呼吸するように本を読む主人公の「私」をい取り巻く女性たち――ふたりの友人、姉――を核に、ふと顔を覗かせた不可思議な事どもの内面にたゆたう論理性をすくいとってみせてくれる錦繍の三編。色あざやかに紡ぎ出された人間模様に綾なす巧妙な複線が読後の爽快感を誘う。第四十四回日本推理作家協会賞を受賞し、覆面作家だった著者が素顔を公開するきっかけとなった第二作品集。

■収録:
朧夜の底
六月の花嫁
夜の蝉

■感想
 前作より収録作品がすくなくなったぶん、一話あたりは長くなっています。短編というより中篇という印象。
 「朧夜~」は長さのわりには事件の内容が浅くてちょっと冗長に感じましたが、他の2作は「私」のとても親しい二人の女性(友人と姉)の日ごろは窺い知れない機微が見事に描かれていて、うならされました。
  前作(空飛ぶ馬)まで、ちょっとしか触れられていなくて、読む側としてもあまり意識していなかった「姉」について、本作では実に丁寧に踏み込んで人間として掘り下げて描いているのに関心しました。
 ただ、前作同様、文学・文芸関係の薀蓄が豊富にでてくるのですが、それを主人公のふつうの女子大生らしからぬ特徴をあらわすものと素直に読めればいいのですが、作者から読者への薀蓄と感じてしまうとちょっと鼻についてしまうかも。

 興味をもたれたかたは、ぜひ第一作「空飛ぶ馬」から読んでみてくださいなー

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆★
《薦》☆☆☆

夜の蝉 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)

投稿者 niimiya : 23:07

2007年01月08日

【本】池波正太郎の映画日記

池波正太郎の映画日記 1978・2~1984・12

著者:池波正太郎
編者:山口正介(映画評論家・山口瞳の息子)
表紙:(カット)池波正太郎、(デザイン)多田進
解説:山口正介
出版:講談社文庫 い-4-23 P451 ¥680 初版1995/10 絶版中
ISBN:4-06-263073-7
初出:講談社刊行「最後のジョン・ウェイン」(1980/7)、「ラストシーンの夢追い」(1983/4)、「スクリーンの四季」(1985/2)から編集
入手:古本 ¥290

■内容(カバーより):
 スクリーンに男と女がめぐり合い、時が流れる。あふれる生活感と隙のない脚本、心うつ見事な演出。さまざまな感懐を胸に、銀座に酒飯して帰る……。どのような映画でも、楽しむ術を知っていた池波正太郎が、息づまる執筆の間に堪能した映画と、面白い身近の出来事をつづった、興趣尽きない好読物。全一巻。

■感想
池波正太郎が映画好きとは知らなんだ。それも、時代物に限らずアメリカ・ヨーロッパ・日本と実に幅広くいろいろ見てるですなぁ。
それも劇作家としての経験も長いせいか、作る側の目線も併せ持った論評がなかなか的確です。
かといって、辛口のぶった切りってわけじゃなくて、どの作品もいいところを見つけようとしていて、映画全体への愛がとても感じられます。
配給会社の試写にウキウキしながら向かうところが眼に浮かんできます。
映画日記とありますが、他の日常のことなどもいろいろ綴られていて、そのあたりも読んでいて楽しいです。(中には映画のことにはまったく触れられてない日もあったり…)
当然、試写おわりで銀座の店で一杯やったり、家でいろいろ料理つくったりと、食道楽な一面も描かれています。
でも、ちょっと食べすぎだったのかなぁ。
もっと健康に気使って長生きしてほしかったです・・
(そして梅安を完結させてほしかったなぁ)

お酒のんでご飯たべるときに、「酒飯」って表現をしばしつかってるんですが、なかなか味があって良い言葉だねぇ
真似して、これからちょくちょく使うことにしよっと。

映画が好きな人にも池波正太郎の小説が好きな人にもお薦め。
どっちもな人にはなおさらお薦め。
どちらでもない人は…う、うーん。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆★

■引用
(P31より) 
 *月*日

 夕飯後、ベッドで転寝をしていたら、足許で猫が鳴く。聞きなれぬ鳴声だとおもって見たら、一度も見たことがない三毛猫が二階の書斎までのこのこと入って来たのだ。捨て猫らしい。このように人懐かしげにされると、追い出す気にもなれぬ。
 捨てるくらいなら、飼わなければいいのだ。
 これで、合わせて五匹の猫を食べさせなくてはならぬ。さあ、稼がなくてはと起き出し、机に向う。

(P86より) 
 *月*日
 
 朝、眠っているところをM新聞からの電話に起される。柴田錬三郎氏が急に亡くなられたという。びっくりするというより、がっかりしてしまう。柴田氏とは一度だけ雑誌の対談をしただけなのだが、そのときの柴田氏が好きだった。今月は茂出木心護、尾上多賀之丞、柴田錬三郎と、好きな人が三人も亡くなってしまった。好きな人の葬式には行きたくない。
 その中でも今朝のショックが最も大きかった。まだ亡くなる年齢ではなく、それに私と同じ時代小説家だからだろう。
 午後からヘラルドへ行き〔兵士トーマス〕の試写を観たが、観ながら、柴田氏のことをおもい浮かべたりしている。
 第二次世界大戦のクライマックスの一つ、ノルマンディ上陸作戦に呆気なく流弾に即死する二十一歳の新兵トーマス。
 イギリスの戦争博物館に秘蔵されている未公開の戦争フィルムの迫力の中に、この若い一人の兵士の出征と訓練と淡い恋愛と戦死が、空しく寂しく、そして恐ろしいまでの簡明さで語られていく。
(イギリスの兵士も、日本の兵士と同じだったのだ・・・・・・)
 それは、まぎれもなく、私の年代の青春の一ページだった。
 
池波正太郎の映画日記 (講談社文庫)

投稿者 niimiya : 23:39

2007年01月05日

【本】夜のピクニック

夜のピクニック
著者:恩田陸
表紙:唐仁原教久
解説:池上冬樹(文芸評論家)
出版:新潮文庫 お-48-6 ¥629 P447 初2006/9/5 4刷2006/9/30
ISBN:4-10-123417-5
初出:単行本(新潮社)2004/7
入手:新刊(成田空港の三省堂)

■内容(カバーより):
 高校生活最後を飾るイベント「歩行祭」。それは全校生徒が夜を徹して80キロ歩き通すという、北高の伝統行事だった。甲田貴子は密かな誓いを胸に抱いて、歩行祭にのぞんだ。三年間、誰にも言えなかった秘密を清算するために――。学校生活の思い出や卒業後の夢など語らいつつ、親友たちと歩きながらも、貴子だけは、小さな賭けに胸を焦がしていた。本屋大賞を受賞した永遠の青春小説。

■感想
歩行祭!
いやー一晩中ただ歩くだけとは、すごい行事だね。
Wikipediaで調べてみたら、実際に著者の母校(水戸一校)ではこういう行事をやってるんだそうな。
たしかに実際に経験してないと、これをネタに一冊青春小説を書いたろうとは、なかなかおもいつかんよな。

しかし、ひたすら歩く(ちょっと休憩もありますが)だけで、よくもここまでドラマを描けますなぁ
宮部みゆきを読み出したころ、たいそう物語るの上手な人がいるもんだと思いましたが、この人も実に上手いねぇ
物語の中心を安直に男女の淡い恋心などにもってこないあたりが、たいしたもんだ。

恩田陸の小説でいままで読んだのは、わりと幻想的な話が多かったんですが、今回はそういう要素一切なしですな。
でも、ちょっとどこかそういう香りが漂っているのがよいね。

個人的には幻想的な話や事件がらみの話のが好みだったりしますが、比較的、誰にでもお薦めできるんじゃないでしょーか。

あー俺にもこんな輝いた青春があったなぁ・・・・・ん?
あれ?あったっけか??んんんーん??

あ、内容と一切関係ないけど、ファンは「夜ピク」とか略したりするのだろうか?
・・・と思って、ググったら既に映画の公式サイトでもそう略されてた。
まぁそうだろうねぇ

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆☆★

夜のピクニック (新潮文庫)

投稿者 niimiya : 23:09 | コメント (0) | トラックバック

2007年01月02日

【本】聞いて極楽

聞いて極楽
著者:ナンシー関
表紙:出下武司
出版:朝日文庫 な14-2 ¥520 P211 初1998/7 5刷2002/8
ISBN:4-02-261233-9
初出:週間朝日連載 1994/4~1995/8 単行本
入手:BOOK・OFF ¥105

■内容(カバーより):
「週刊朝日」大人気連載中の痛快・抱腹絶倒エッセイの文庫化第2弾。小室哲也から小柳ルミ子、羽田孜ら、テレビ界に棲息する旬の人・時の人64人の思わず漏らした“ひとこと”の、本音のホンネ、裏のウラを鋭くえぐり、辛辣にブッタ斬る。消しゴム版画付「芸能版」社会時評は、超ド迫力の面白さ。

■感想
 ナンシー関の本は古本屋でみかけるたびちょこちょこと買って、読んだ後、人にあげちゃうことが多いので、自分でもどれを読んでて、どれを読んでないのかよくわからなくなってます。
 が、この本はたぶん初めて読んだような気がします。
 週間朝日で連載していた、芸能人のひと言をとりあげてつっこむコラムの94/4~95/8にかけての分です。
 分析力もツッコミ力も晩年の作品のが鋭いと思いますが、それでも十分おもしろいっすね。
 10年以上前の話なんで、懐かしかったり、完全に忘れてたりして、愉快愉快。
 94年から95年というとちょうどオウム騒動があり、羽賀研二と梅宮アンナがごちゃごちゃしてたりしたころです。
 取り上げられてる人も「きよ彦」など、最近はテレビではお見かけしなくなった人なんかも含まれてて、なんとも懐かしく感じられます。
 飛行機の中で軽く読むのなどに最適(実際、飛行機の中で読みました)。
 
■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆☆

聞いて極楽 (朝日文庫)

投稿者 niimiya : 19:36 | コメント (0) | トラックバック

【本】新橋烏森口青春篇

新橋烏森口青春篇

著者:椎名誠
表紙:イラスト沢野ひとし、デザイン平野甲賀
出版:新潮文庫 し-25-5 ¥440 P265 初1991/5 12刷1994/6 
ISBN:4-10-144805-1
初出:単行本刊行 新潮社1987/12
入手:BOOK・OFF ¥105

■内容(カバーより):
 偶然見た新聞の求人広告が、二十三歳のシーナマコトに新しい世界をひらいた。彼は友人たちとの共同下宿ぐらしとアルバイトの日々に別れを告げて、小さな業界新聞社に編集者として入社した。そこで出合った怪しく個性的な人物たち。そして、淡い恋の挫折と一人の女性との決定的な出会い・・・・・・。明るくおかしくて、でも少しかなしい青春を描いた<愛と勇気と闘魂>の自伝的青春小説。

■感想
 著者がモラトリアムを終え、初めて社会に足を踏み出した時期を描く自伝的小説。
 この前の話が「哀愁の町に霧が降るのだ」で、この後の話が「銀座のカラス」で、そのさらに後の話が「本の雑誌血風録」になるわけですな。
 シーナの就職した業界新聞社という、ちょっとあやしい会社のちょっとあやしい面々の姿が克明に描かれています。
大企業じゃなくて、中小企業の内幕ってとこが新鮮でなかなか面白いですな。
 自伝小説の中では、本作だけ上下巻にわかれていず分量も少ないので、内容はわりとあっさりとした印象。
 
■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆★


新橋烏森口青春篇 (新潮文庫)

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2007年01月01日

【本】国家の品格

国家の品格
著者:藤原正彦
出版:新潮新書 P191 ¥714 初2005/11 23刷2006/4
ISBN:4-10-610141-6

■感想
あまり興味なかったんですが、帰省中に他に読む本なかったんで、親から借りて読みました。

講演の内容を文章におこしたものなので、ずいぶんとあっさりした内容ですぐ読めます。
この内容ならもうちょっと薄い本でもいいんじゃないかなという気もしますが、そのあたりは売れる本の厚さというのがあるのでしょう。

帯にでかいフォントで「画期的日本論」などと朱記してあるわりには、そんなに目新しさはなく、わりと正論というか、よく読み聞きするような主張に感じました。

内容は、えーっと、戦後日本がありがたがって戴いていた資本主義・民主主義・自由・平等なんっつお題目は決して完全・万能・普遍の原理じゃないっすよって話で、その欠けてる部分を補うに、この作者は「武士道精神」が必要と説いています。(あってる?)

そういや、学生時代によんだ呉智英も同じようなことをいってたような気がします。
あれは武士道じゃなくて、封建主義の復権だっけな?

まぁたいした根拠もなくイラクに戦争しかけちゃったり(根拠があれば攻めていいってもんでもないと思うが)、ファンドだデリバティブだと自分の儲けのためなら、他国の金融不安引き起こしても知ったこっちゃねぇみたいな、いわゆる「アメリカ的な価値観」に辟易している人には受け入れやすい論理だと思います。

私もアンチ=アメリカ民主主義万能説には大いに賛成なのですが、でも今の日本に「武士道」から、いいところだけもってくるようなことできるんですかねぇ
なんかマイナス(差別とか階級とかね)なもんも一緒についてきちゃうような気もするなぁ

まぁそんな心配しなくても、やっぱり、歴史は良くも悪くも後ろに戻ることはないんで、失われてしまったものはなかなか戻ってくることはないんだろうね。
この本がたくさん売れたことでなんかかわるんだったら、それはそれで見てみたい気もするけど・・・

全体的に「日本は特別」みたいな感じな漂っててね。
そこはちょっとやだったなぁ
まぁ日本人よ自信をもて!ってことなんだと思うけど。

古典を読むことを奨励してるんですが、自分のこういう軽く読める本がベストセラーになっても、対して古典文学復権の兆しがまったく見られないってのは作者にしてみると、結構複雑な気持ちかもね。
でも、読書が大事ってのは同感。

論理の限界を論理だてて書いてあるところは、面白かった。
曰く、現実社会は数学とは違って、100%正しいってことはほとんどないので、長いステップを踏む論理なんか信用できんよと。
(たしかに、90%正しいロジックでも5回書けたら確率50%くらいだもんね)
ついでに(?)ハイデガーなんかもちだしてきちゃったりして、さすが数学者!

まぁ長々ととりとめもなく感想かいたわりには、とくにお薦めもしませんし、逆に読むなともいいません。
でも、1冊しか読む時間しかないなら、新渡戸稲造の「武士道」読んだほうが面白いかも・・・

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆
《薦》☆☆

国家の品格 (新潮新書)

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2006年12月28日

【本】長いお別れ / レイモンド・チャンドラー

長いお別れ
原題:THE LONG GOODBYE
著者:レイモンド・チャンドラー(Raymond Chandler)
訳者:清水俊二
出版:早川ミステリ チ 1-1 ¥660 初1976/4 47刷1992/7
ISBN:4-15-070451-1

■内容(カバーより):
 コーヒーをつぎ、タバコに火をつけてくれたら、あとはぼくについてすべてを忘れてくれ――妻を殺したと告白して死んだテリー・レノックスからの手紙にはそう書かれていた。彼の無実を信じ逃亡を助けた私立探偵マーロウには、心の残る結末だった。だが、別の依頼でテリーの隣人の失踪の理由を探るうち、マーロウは再度事件の渦中へと・・・・・・ハードボイルドの巨匠が瑞々しい文体と非情な視線で男の友情を描きだす畢生の傑作。

■感想
 ハードボイルド探偵の代名詞フィリップ・マーロウ(と書くと、サム・シェパードファンに怒られたりするのだろうか?)が主人公のチャンドラーの最長編(かな)。

 これぞ、ハードボイルド!ですなぁ
 脅されようが、殴られようが、友達は裏切らないし
 絶世の美女にいいよられてもやせ我慢だし
 すぐ相手怒らすようなこというし(乾いたユーモアってやつ?)

 長編だけあって、そんな世界に、どっぷり、たっぷり、肩まで浸れます。

 レノックスとのバーでのやりとりなんていいね。
 俺も似合わないの承知でギムレットのみてぇなぁ
   
 でも、ちょっと独特の文章なんで、慣れないと話の筋追いにくいかも・・・
 なもんで、初めての人はまずは短い話から入ったほうがいいかもしれません。
 早川じゃなかったと思うけど、どっかからチャンドラー短編集みたいなのが出てたような気がします(絶版かも)。
 
■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆★

長いお別れ (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 7-1))

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2006年12月20日

【本】星は、昴 / 谷甲州

星は、昴
著者:谷甲州(たに こうしゅう)
表紙:浅田隆
解説:水樹和佳
出版:ハヤカワ文庫 JA586 P361 ¥600 初1997/9 (絶版中?)
ISBN:4-15-030586-2
初出:徳間書店SFアドベンチャー掲載(1988~91)
   「猟犬」のみ早川書店SFマガジン95年秋の増刊号掲載
入手:ブックマート ¥100

■内容(カバーより):
 君の国では、あの星をすばると呼んでいるのか・・・・・イギリス人のターナー博士の声が、遠い宇宙空間から流れてくる。博士と日本人の私は、ともに隔たった観測基地の研究室。孤独のなかで通信をかわすうちに友情がめばえたのだが、やがて私は、規則正しかった博士からの受信時間がずれていくことに気づく。表題作『星は、昴』をはじめ、ハードSFの旗手が、宇宙を舞台に多彩なアイディアと雄大なスケールで贈る、傑作短編集

■収録:
 フライデイ
 私の宇宙
 コズミック・ピリグリム
 敗軍の将、宇宙を語らず
 星は、昴
 時の檻
 道の道とすべきは
 ホーキングはまちがっている・殺人事件
 星殺し
 猟犬

■感想
 実に久方ぶりのSF。
 この著者の航空宇宙軍史シリーズは好きなんですが、それ以外のSF作品読むのは初めてでした。
 航空宇宙軍史は緻密で地味な設定での話が多かったですが、本作に収められてる話は実にスケールが大きいですなぁ
 まさにセンス・オブ・ワンダー・・・
 「宇宙論」や「情報」などもろハードSFな小道具がもりだくさんなんですが、全然堅苦しくない話ばかりです
 連作短編集ではないので、収録作のバリエーションはいろいろで、わりとふざけた話もあったりしますが、表題作は宇宙SFに真正面からとりくんだ傑作です。
 SFじゃなきゃできない話ってのはありますなぁ
 実にいい話です。

■評価
《俺》☆☆☆★
《薦》☆☆☆

星は、昴 (ハヤカワ文庫JA)

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2006年12月08日

【本】続百鬼園随筆 / 内田百閒

続百鬼園随筆
著者:内田百閒
表画:芥川龍之介
出版:新潮文庫 う-12-2 P254 ¥438 初2002/5
ISBN:4-10-135632-7
初出:三笠書房 1934/9刊行
入手:新刊

■内容(カバーより):
 好評を博した『百鬼園随筆』に続く内田百閒の第二随筆集。早熟の百閒17歳の作品「文章世界入選文」、親友の死を悼む「鶏蘇仏」「破軍星」、理不尽な世間の仕打ちに怒りが爆発する「立腹帖」「続立腹帖」等、初期の作品を中心に33篇を収録。諧謔精神に富む練達の文章と、行間に滲む我儘で頑固で、羞恥心いっぱいの百閒の素顔。ファン必読の名著が、読みやすい新字新かな遣いで復活。

■感想
作者の「のら」や「クルツ」にまつわる話は猫好きを大いに涙させてくれましたが、本作には友人の死を悼む稿が3作ほどのっていて、こちらもどうもしんみりときてしまいます。

 また、17歳のときの作品も掲載されてたりするのですが、これが実にしっかりした文章…
 歳はダブルスコアだっちゅうのに、わたしゃこの一割もまともな文章かけないっすヨ…

 どの文章にも本人の人柄・性格が滲み出ていて実によいですなぁ。

 しかし、本人も旧字旧仮名にこだわりもってたようですが、やはりこの人の文章はそちらで読んだほうがきっといいですなぁ。
 繁体字の中でくらしているせいかなおさらそう思います。
 日本にいたころころから古本屋でさがしてるんだけど、やっぱり人気あるのか結構高いのよねぇ…
 
 あ、あと、前作同様、表紙がいいねぇ。
 画 芥川龍之介っすよ。
 質感もよいし、これだけで買う価値あるんじゃない?

■評価
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆☆

■引用(P152 「鶏蘇仏」より)

 鶏蘇仏の遺友は、君が生前の友誼のかたみとして、若き日と分れた。これから後の年月に、蚊柱の夕、落葉の暁を数えつくして、黄壌の君が僕を忘れる時があろうとも、僕は嘗て君と共に花を踏んで惜しんだ少年の春をいつまでも偲ぶであろう。

 入る月の波きれ雲に冴え返り

続百鬼園随筆 (新潮文庫)

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2006年12月07日

【本】もひとつ ま・く・ら / 柳屋小三治

もひとつ ま・く・ら
著者:柳屋小三治
カバーデザイン:南伸坊
出版:講談社文庫 や-44-2 P467 ¥733 初2001/5
ISBN:4-06-264791-5

■内容(カバーより):
お待たせしました!小三治まくら。出演料の代わりにマタギから手に入れた熊の胆に始まり、芸者屋の娘・笑子(えみこ)との切ない、数奇な縁、句会、パソコンはバカだ!!まで、いよいよ面白く、辛口で温かい長短21編。再度、ご機嫌伺います。少しお高い枕ですが読み心地抜群。人生の滋味あふれるスーパーエッセイ、お楽しみの程を。

■感想
 まくらってのは本来は落語の本筋にはいる前の導入部分であって、それだけ集めても面白いわきゃないはずなんですが…
 これが、しっかり面白いんですなぁ
 著者の趣味や興味の範囲の広さから繰り出されるたわいもない話の数々が実に楽しいのですわ
  
 しかし、こんなに枕が長くていいのかね ^^;
 
 前作「ま・く・ら」も是非読みたくなってしまいました。
 今度、帰国したおりに古本屋でさがそう。
 
■評価
《俺》☆☆☆★
《薦》☆☆☆★

もひとつま・く・ら (講談社文庫)

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2006年11月23日

【本】活字探偵団 増補版

活字探偵団 増補版
編 :本の雑誌編集部
出版:角川文庫 ほ9-4 ¥648 P346 初版2000/1
初出:連載「本の雑誌」、単行本(本の雑誌社)1994/10
入手:古本
内容(カバーより):
 結論。防御率のいちばん悪い探偵は金田一耕助である!
 戦慄。ミステリー作家は一年間に何人殺すか?
 煩悶。渋谷駅で待ち合わせの人々は何を読んでいるのか?
 ――活字界のさまざまな領域に広がる謎と疑問を、本雑誌特別取材班が好奇心だけを頼りに東奔西走、徹底調査。
 「本の雑誌」人気連載企画四年分の汗と涙と笑いの成果六十二件に、秘蔵の十八件をええい、豪華に補充。
 活字を愛する人も、疎む人も、思いも寄らぬ活字界の奥深さに仰天必死は間違いなし。

■感想
 京都の丸善にはいまだに月に数個の檸檬が置かれていること(梶井基次郎やね)やら東京の東西南北の端っこの本屋はどこも苦戦してることなどがわかっておもろいだす。
 結構バカバカしいこと調べてたりもするんですが、本(とその周辺)に対する愛情がひしひしと伝わってきてます。
 ちなみに、本屋に行くとトイレにいきたくなる現象は「青木まりこ現象」らしいぞ、知らなかった。

■評価
《俺》☆☆☆★
《薦》☆☆☆

活字探偵団 (角川文庫)

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2006年11月21日

【本】自転車とろろん銭湯記

自転車とろろん銭湯記
著者:疋田智
出版:早川文庫 NF298 ¥580 P270 初2005/5
入手:BOOKOFF ¥105

内容(カバーより):
自転車通勤暦7年のヒキタは、妻と一人息子を養う38歳のサラリーマン。テレビ局のディレクターとして仕事三昧の日々を送っている。そんなヒキタの趣味は銭湯巡り。会社帰りや散歩の途中で見つけた銭湯でほっと一息つくのが何よりの楽しみなのだ。東京都内に残る銭湯の魅力を「自転車ツーキニスト」こと疋田智が小説風エッセイでご紹介。庶民文化研究の第一人者、町田忍博士の薀蓄コラムが付録についた、憩いの銭湯読本!

■感想
 遠出してゆったり温泉ってのも好きですが、街歩きの途中に銭湯はいるのも大好きです。
 銭湯を目的にしてどこかいくってことはないですが、自転車でぶらぶらしてる途中でたまに銭湯によったりもしてました。別に風呂の準備なんてしてなくてもどうにかなるもんです(タオル1枚くらいもってるとよいね)。
 そういう意味ではこの作者の趣味「自転車での銭湯巡り」には大いに共感できるのです。

 都内の銭湯の紹介に終始する本かとおもいきや、意外に銭湯にまつわるエピソードがいろいろでてきて面白かったすねぇ
 ゆで蛸三匹やら、銭湯で知り合った証券会社社長やら
 特に戦艦長門の話はちょっとできすぎだけどよかったねぇ、

 一人称じゃなくて三人称(ヒキタ)で書いてるのが、初めのほうはちょっと鼻につきましたが、途中からあまり気にならなくなりました。

 銭湯とは関係ないけど、ワイドショーをつくる側の人の考えなどを読めたのも貴重でしたね。
 まぁ、それでもワイドショー好きになれないけどね。

■評価
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆★

■引用 P120より
 日々、次の次の事件を追っていく。理不尽なイジメを受けて死を選んだ少年、単なる人違いで暴走族に殺された青年。コノ野郎と思って、原稿を書いて、でも、そのいっときが過ぎると、やはり視聴者もメディアも忘れてしまうのだ。
 サウナから出て、広い湯に浸かる。アタマの中の色々なよしなしごとが浴槽に溶けていく。忘れてしまいたいような悲惨な事件も、いつの間にか過去のものとして流れていく。自らのため息と、お湯の流れる音しか聞こえない浴室。
 都会の未明。浴槽に漂う孤独。だけどその孤独は必ずしも悪いものというわけじゃないとヒキタは思う。ここで孤独になれるから、人はその人に戻れる。その人に戻り、そして、忘れていきたいものを置いていく。

自転車とろろん銭湯記 (ハヤカワ文庫 NF)

投稿者 niimiya : 23:51

2006年11月19日

【本】邪魅の雫 / 京極夏彦

邪魅の雫
著者:京極夏彦
出版:講談社ノベルズ キF-13 ¥1600 P817

■内容(カバーより):
 「殺してやろう」「死のうかな」「殺したよ」「殺されて仕舞いました」「俺は人殺しなんだ」「死んだのか」「――自首してください」「死ねばお終いなのだ」「ひとごろしは報いを受けねばならない」
 昭和二十八年夏。江戸川、大磯、平塚と連鎖するかのように毒殺死体が続々と。警察も手を拱く中、ついにあの男が登場する!「邪なことをすると――死ぬよ」

■感想
 京極堂シリーズ久々の新刊だよー
 「陰摩羅鬼の瑕」が「姑獲鳥の夏」系の話だったとすると、本作は「絡新婦の理」系のお話かな。
 私はこっちの系統のが好きですな、久々に複雑にからまった糸が最後にほどけるお話で大満足。

 今回の事件の中心は榎木津でした。
 彼が珍しくシリアスだったりします
 そして今まで脇役感の強かった益田と青木が結構活躍!
 
 「塗り仏~」で登場した、あの邪な男の影もちらりとでてきます。

 そういえば、京極堂によるタイトル妖怪の解題のシーンなかったけど、あれはもうやらなくなっちゃったのかなぁ、好きだったのに…

 次回作は「鵺の碑」だそうです。
 はて次は何年後でしょうか?
 
■評価
《俺》☆☆☆★
《薦》☆☆☆★

■引用(P12より)
 貴女の呉れた雫が果たして邪悪なものだったのか否か、私には判断することが出来ない。ただ、それがどれだけ邪なものであったとしても、勘違いをしていた私にとって、それは限りなく魅惑的な一滴であったことは疑いようがないことである。

 邪魅の雫――。
 
 私は邪魅の雫に吸われてしまったようだ。
 

邪魅の雫 (講談社ノベルス)


文庫版↓ 
文庫版 邪魅の雫 (講談社文庫)

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2006年11月06日

【本】蛇を踏む

蛇を踏む
著者:川上弘美
表紙:河原朝生(画) 大久保明子(AD) 
出版:文春文庫 か 21-1
ISBN:4-16-763101-6
初出:文学界・野生時代、単行本 文芸春秋刊 1996

■内容(カバーより):
 藪で、蛇を踏んだ。「踏まれたので仕方ありません」と声がして、蛇は女になった。「あなたのお母さんよ」と、部屋で料理を作って待っていた……。若い女性の自立と孤独を描いた芥川賞受賞作「蛇を踏む」。〝消える家族〟と〝縮む家族〟の縁組を通して、現代の家庭を寓意的に描く「消える。」ほか「惜夜記」を収録。

■収録:
 蛇を踏む
 消える
 惜夜記

■感想
 そうそう、これこれ。
 こういうわけわからん(大変失礼… ;)のが俺のでの芥川賞のイメージ。
 前に読んだパークライフが淡々とした本だったんで、なんとなく安心しました(←なんでや?)。
 まぁ、何賞とってようが内容とはまったく関係ないんですけどね…^^;
 内容は上手に説明できないのですが、まぁ簡単にいうとわけわからん話(だから…悪い意味じゃなくてね)なんですな。
 
 上っ面ばっか読んじゃってるので、カバーに書いてある「若い女性の自立と孤独~」「現代の家庭を寓意的に~」なんてのは当然読み取れず、結局の感想が…わけわからんのぉ…でした。
 でも、わけわかんないのは基本的に嫌いじゃないです。
 ただ、狙いだと思いますが、「蛇を踏む」と「消える」はちょっと気持ち悪いわけわからなさなんですな、どうも腸の奥のほうがモヤモヤする感じ…
 なんかいや~~な感触がしばらく残りました
 「惜夜記」は短い話が19話つまってる、「一千一秒物語」みたいな構成で、この本の中では一番好きかな。

■評価
《俺》☆☆★
《薦》☆☆★

蛇を踏む (文春文庫)

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2006年10月15日

【本】淋しい狩人 / 宮部みゆき

淋しい狩人
著者:宮部みゆき
表紙:方緒良
出版:新潮文庫 み-22-7 ¥514 P318 初版1997/2 14刷1999/4
ISBN:4-10-136917-8
初出:単行本 新潮社刊 1993
入手:ブックマート ¥100
内容(カバーより):
 東京下町、荒川土手下にある小さな共同ビルの一階に店を構える田辺書店。店主のイワさんと孫の稔で切り盛りするごくありふれた古書店だ。しかし、この本屋を舞台に様々な事件が繰り広げられる。平凡なOLが電車の網棚から手にした本に挟まれていた名刺。父親の遺品の中から出てきた数百冊の同じ本。本をきっかけに起こる謎をイワさんと稔が解いていく。ブッキッシュな連作短編集
目次:
 六月は名ばかりの月
 黙って逝った
 詫びない年月
 うそつき喇叭
 歪んだ鏡
 淋しい狩人

■感想
 古本屋の親父(と孫)が主人公のミステリー連作。
 主人公が古本屋の親父だけあって、本好き好み(←ややこしい)のお話です。
 同じ古本がらみのミステリでも紀田ナントカさんのだと珍しいキコウ本をめぐっての諍いなどが原因で事件がおきたりしますが、こちらは身近で起こったものばかりです。
 とはいえこないだ読んだ「空飛ぶ馬(北村薫)」などとは違って、しっかり(?)人は殺されたりしてます。
 物騒だなぁ荒川区…(ちがう?)
 シリーズ化しそうだけどいまのところ続編はないみたいね
 ところで、ブッキッシュってどういう意味??

■評価
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆☆

淋しい狩人 (新潮文庫)

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2006年10月14日

【本】あやしい探検隊 不思議島へ行く

あやしい探検隊 不思議島へ行く
著者:椎名誠
表紙:沢野ひとし
出版:角川文庫 し6-8 ¥560 P299 初版1993/7 6刷1994/11
ISBN:4-04-151008-2
初出:単行本 光文社刊 1985/9
入手:BOOK OFF ¥105
内容(カバーより):
 日本の最南端、与那国島でカジキマグロの漁に出る。北端のイソモシリ島でカニ鍋に満足しながら、国境という厳しい現実を知る。スリランカで純正ニッポンカレーの勝負にでたり、お説教島浮島に愛想をつかす。東ケト会の面々が心と足の赴くままに、さいはてや無人の島々にワッセワッセと出かけて行った、ユニークな探検記である。
 東ケト会の黄金期といえる80年代姑0う半、原始的手作りの、焚火、酒宴の夜は、陽気に、あやしく、更けていくのであった――。「あやしい探検隊」シリーズ、第三弾!

■感想
 椎名誠と仲間達がどっかでかけてワイワイするシリーズの…えーっと、第3弾だ
 タイトルどおり島がメイン(そういや、いままでもそうだっけ?) 
 あぁ!私もどっか行きたいわぁ…
 みんなと焚火かこんでわいわいしたいわぁ…
 っと、例によって思わせてくれる本です。
 東ケト会でわいわいする話もありますが、半分くらは少人数での旅行記だったね。
 スリランカとかいってみたいなぁ
 アーサー・C・クラークとか住んでんだっけ?

■評価
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆★

あやしい探検隊 不思議島へ行く (角川文庫)

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2006年10月10日

【本】水域

水域
著者:椎名誠
出版:講談社文庫 し-32-5 ¥480 P278 初版1994/3
入手:BOOK OFF ¥105
初出:BRUTUS連載 1989/3~1990/2
   単行本 講談社刊行 1990/9

■内容
 いつのころからか水に覆われた地球。忿怒奔流に翻弄され、広大な水平線を漂う青年ハル。美しいズーとのつかのまの愛の暮しは黒い男たちの襲撃で終焉し、絶望するハルは7本鰭の怪魚に勇気づけられるのだった。そして嵐に運ばれた新空間で出会ったのは――。椎名誠(シーナ・ワールド)の贈物、水の国の不思議な愛と冒険の物語(ファンタスティック・アドベンチャー・ロマンス)。

■感想
いわゆる椎名SF3部作の最後の一作を読みました。

アド・バード、武装島田倉庫でも水際の話はいろいろでてきましたが、
今度はタイトルどおり最初から最後までほとんどず~~~っと水の上。

この世界では陸地はもうほとんど沈んじゃってるみたいで、どこもかしこも水水水(現在の海水ほどしょっぱくないみたい)。

当然、前作以上に危険な世界…かと、おもいきや、わりと調和のとれたところでもあるんですよね。いろいろ危険な動植物などもでてきますが、どれも慎重にしていれば避けられる(避けられないにしてもめったにでくわさない)でしたから。
前2作の舞台は世界がどんどん崩壊していく過程にあったけど
本作の崩壊しきって平衡状態にたっした、それなりに調和のある世界だからでしょうか。
個人的には一番この世界が好きです。

よく出来たロードムービーのように、いろいろな人に出会って、裏切られたり、恋に落ちたり、悲しい別れがあったりしますが、前向きな話です。
おすすめー

ウォーターワールドと較べて読んでみたりしてもおもしろいかもねー
(私は映画しか見たことないですが)

■評価
《俺》☆☆☆☆
《薦》☆☆☆

水域 (講談社文庫)

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【本】螢・納屋を焼く・その他の短編 / 村上春樹

螢・納屋を焼く・その他の短編

著者:村上春樹
表紙:安西水丸
出版:新潮文庫 む 5-3 ¥320 P189 初版1987/9 14刷1991/5
ISBN:4-10-100133-2
初出:単行本 新潮社 1984/7
入手:古本 ¥80
内容(カバーより):
 秋が終り冷たい風が吹くようになると、彼女は時々僕の腕に体を寄せた。ダッフル・コートの厚い布地をとおして、僕は彼女の息づかいを感じとることができた。でも、それだけだった。彼女の求めているのは僕の腕ではなく、誰かの腕だった。僕の温もりではなく、誰かの温もりだった……。もう戻っては来ないあの時の、まなざい、語らい、想い、そして痛み。リリックな七つの短編。

目次:
 螢
 納屋を焼く
 踊る小人
 めくらやなぎと眠る女
 三つのドイツ幻想
  1 冬の博物館としてのポルノグラフィー
  2 ヘルマン・ゲーリング要塞1983
  3 ヘルWの空中庭園
 あとがき
 
■感想
 は、恥ずかしい…
 いやなに、別にこの本の内容が恥ずかしいわけでなくて…
 今更、こんな初期(なんだよね?)の村上春樹を読んで
 今更、いいなぁとか思ってることをだねぇ
 今更、Blogに書いたりするわけですよ
 それが、ちょっと恥ずかしかったり
 
 食わず嫌いしないで学生時代に読んでおけばよかったなぁとあらためて思いましたよ。
 まぁあのころ読んでたらそれはそれで鼻についていよいよ本格的に嫌いになってたのかもしれませんが…
 なにしろ、こんな洒落た生活してなかったからねぇ ^^;
 
 まぁそんなわけで、今更ですが、まだ村上春樹読んだことない人などいたりしたら、短編集なんで読みやすいし、いろんな種類の話が入ってるので、この作品あたりからはいって、相性をはかるのもいいのじゃないでしょうか?

■評価
《俺》☆☆☆★
《薦》☆☆☆★

螢・納屋を焼く・その他の短編 (新潮文庫)

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2006年10月09日

【本】空飛ぶ馬 / 北村薫

空飛ぶ馬
著者:北村薫
カバー:高野文子
出版:創元推理文庫 M-き-3-1 初版1994/4 26刷1999/2 ¥580 P347
入手:BOOK OFF ¥105
初出:1989 東京創元社 単行本
内容(カバーより):
 どの一編もごく日常的な観察の中から、不可解な謎が見出される。本格推理小説が謎と論理の小説であるとするなら、殺人やことさら事件が起こらなくとも、立派に作品は書ける。勿論、これは凡百の手の容易になし得るものではないが。北村氏の作品は読後に爽やかな印象が残り、はなはだ快い。それは、主人公の女子大生や円紫師匠の、人を見る目の暖かさによるのだろう。鮎川哲也

目次:
 織部の霊
 砂糖合戦
 胡桃の中の鳥
 赤頭巾
 空飛ぶ馬

■感想
殺人も傷害も誘拐もおきない推理小説。
謎解き役が落語家ってのもなかなか面白い設定ですね。

前に読んだ恩田陸の「象と耳鳴り」もこんな感じでしたが、とにかく人が死なないってのはいいやね。

表題作の「空飛ぶ馬」は謎自体は一番シンプルですが、謎が解けた後ほのぼのと幸せになる一品でした。

対してその前の「赤頭巾」はぞくりと怖くなる話。
最後の一行がうまいねぇ。

話の順番が逆じゃなくてよかったよかった…

高野文子の表紙もいとよろしい。
(まぎらわしい名前に加えてこの拍子のせいで長らく作者を女性だと思っていたのだな、きっと)。

■評価
《俺》☆☆☆★
《薦》☆☆☆★

■引用(P77 「織部の霊」より)
 また、研究室はしんと静まった。円紫さんの話は終わった。
 織部の像は明るい光の中にある。謎めいた思い出の霧をはらわれたせいか、その姿はむしろ日向ぼっこをしている無骨な老人のように見えた。
 やがて、遠く潮騒のように、学生達の声や足音が響き始めた。午前の授業が終わったのだ。先生は顔を上げた。
「いや、これは、これは――」
 先生はいった。涙をながしてはいないのに、何だか泣き笑いのような表情だった。
 七十に遠くない先生は、そのままゆっくりと立ち上がった。そして窓辺に向かい、指の太い手を後ろに組むと、硝子や金属を光らせて広がる東京の街と、そこに残された柔らかい緑とに目をやった。がっしりとした背中が暖かそうだった。
 先生はきっと今あの夏の日の松風の音を聞いているのだろう、と私は思った。

空飛ぶ馬 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)

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2006年09月15日

【本】破獄

破獄
著者:吉村昭(よしむらあきら)
出版:新潮文庫 よ-5-21 ¥552 初版1986/12 38刷2002/12
ISBN:4-10-111721-8
入手:BOOKOFF ¥105

■内容(カバーより)
 昭和11年青森刑務所脱獄。昭和17年秋田刑務所脱獄。昭和19年網走刑務所脱獄。昭和23年札幌刑務所脱獄。犯罪史上未曽有の4度の脱獄を実行した無期刑囚佐久間清太郎。その緻密な計画と大胆な行動力、超人的ともいえる手口を、戦中・戦後の混乱した時代背景に重ねて入念に追跡し、獄房で厳重な監視を受ける彼と、彼を閉じこめた男たちの息詰る闘いを描破した力編。読売文学賞受賞作。

■感想

 昭和の脱獄王 白鳥栄の話。
 ノンフィクションタッチの描写ですが、あくまで小説ということで、登場人物の名前も仮名です。
 戦中の刑務所の描写がすごかった。
 網走は苛酷な印象があるが、戦争中はむしろ広大な土地で農作物がつくれたため内地の刑務所よりはるかによかったらしい。
 また、受刑者から志願者をつのり舞台を編成して南方戦線などにも出征していた話など、初めて見聞きする話が豊富にありました。
お薦め。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆★
《薦》☆☆☆

破獄 (新潮文庫)

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2006年09月01日

【本】麻雀狂時代

麻雀狂時代
著者:阿佐田哲也
出版:角川文庫 ¥560 初版1981/5 13刷1993/3
ISBN:4-04-145960-5
入手:BOOKOFF ¥105

■内容(カバーより)
博打打ちは例外なく、皆、臆病である。何千万、何億あろうと、スッカラカンになるかもしれず、明日、また復活して倍になるかもしれない。博打で生きている限り、現金以外は武器にならない。彼らにとっての恐怖は負け続けることではなく、負けて現金が尽きることである。――
絶対ガン札は出来ないといわれているヴァイスクルの封切版カードを使って、日本ギャンブラーを手玉にとるメリケンお玉。韓国のカジノで15分で1500万稼ぎ、勝ち役の名が鳴り響いている空野とノミ屋ゴロシのプロ車券師、通称関プロの壮絶な闘い。ギャンブルを通して、人間の切なさ、哀しさ、凄まじさを描いた阿佐田哲也の傑作小説。

■感想
前半は作者目線の実録ギャンブル日記風で、それもかなりおもしろいのですが、後半の空野と関プロの競輪のノミ勝負(関プロが賭けて、空野がのむ)に焦点あてたとこがこれまたべらぼうに面白い。

いやはや、すごい世界だよ、本当に。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆★
《薦》☆☆☆

麻雀狂時代 (角川文庫 緑 459-60)

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2006年08月30日

【本】ぶらんこ乗り

ぶらんこ乗り
著者:いしいしんじ
出版:新潮社 い-76-1 P269 ¥476 初版2004/8 3刷2004/11
ISBN:4-10-106921-0
入手:新刊購入(ヴィレッジ・ヴァンガード 自由が丘店)

■内容(カバーより):
 ぶらんこが上手で、指を鳴らすのが得意な男の子。声を失い、でも動物と話ができる、つくり話の天才。もういない、わたしの弟。――天使みたいだった少年が、この世につかまろうと必死でのばしていた小さな手。残された古いノートには、痛いほどの真実が記されていた。ある雪の日、わたしの耳に、懐かしい音が響いて……。物語作家いしいしんじの誕生を告げる奇跡的に愛おしい第一長篇。

■感想
 不思議な小説だなぁ。
 一見、子供向けの本かとおもったけど、そうでもなさそうねぇ
 大人向けの童話といってもいいかもしれん…
 つたないながら、ときどき胸の奥をぐっとつかむ表現はすごい

 わかり易い話じゃないので、賛否分かれるかもしれませんが、すぐ読みおわるので、試してみる価値はあるのじゃないでしょーか
 人によっては、宝物のように大切な一冊になる気がします。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆☆★

ぶらんこ乗り (新潮文庫)

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2006年08月15日

【本】後宮小説

後宮小説
著者:酒見賢一
出版:新潮文庫 さ-25-1¥440 初版1993/4
ISBN:4-10-128111-4

■内容(カバーより)
 時は槐暦元年、腹上死した先帝の後を継いで素乾国の帝王となった槐宗の後宮に田舎娘の銀河が入宮することにあいなった。物おじしないこの銀河、女大学での奇抜な講義を修めるや、みごと正妃の座を射止めた。ところが折り悪しく、反乱軍の蜂起が勃発し、銀河は後宮軍隊を組織して反乱軍に立ち向かうはめに…。さて、銀河の運命やいかに。第一回ファンタジーノベル大賞受賞作。

■感想
古代ヨーロッパ風のファンタジー小説が掃いて捨てるほどあるなかで、古代中国風ってのはあんまりなかったので新鮮かな。
でも、個人的には、架空の世界を描いた本作より、実際の古代中国を描いた「墨攻」のが面白かったかな。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆★
《薦》☆☆★

後宮小説 (新潮文庫)

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2006年07月18日

【本】パーク・ライフ / 吉田修一

パーク・ライフ
著者:吉田修一
出版:文春文庫 よ-19-3 ¥390 P177 初版2004/10
入手:BOOK OFF ¥100
初出:パーク・ライフ 文学界 2002/6月号、flowers 文学界 1999/8月号
   単行本 2002/8月 文芸春秋刊
 
内容:(カバーより)
 公園にひとりで座っていると、あなたには何が見えますか?スターバックスのコーヒーを片手に、春風に乱れる髪を押さえていたのは、地下鉄でぼくが話しかけてしまった女だった。なんとなく見えていた景色がせつないほどリアルに動きはじめる。日比谷公園を舞台に男と女の微妙な距離感を描き、芥川賞を受賞した傑作小説。

■感想
うーん、感想書きにくい本読んじゃったなぁ
こまっちゃうなぁ
素直に書いたら「ふ~ん、だからどうしてん?」で終わりなんだけどなぁ
なんか、バカっぽいしなぁ…(まぁ否定はしませんが…)
どうしようかなぁ…

どうも、ついつい話の筋を追ってしまう性質で、昔はこういう特に大事件がおきるわけでもない小説って存在意義がまったくもって理解できませんでした。

それでも、最近は文章の味わいなんてもんをいっちょまえにわかった気になってきたつもりだったんですが、それはちょい昔の人の書いたものであったり、現代の作家でも表現が独特だったりした場合なんですよねぇ

どうもこういう自然体な文章で、大きな出来事もない日常を切り取って描かれちゃうとねぇ、「ふ~~ん」以外の感想がでてこない…

もっと主人公なりだれかに共感とか抱いたりして読まないといけんのかねぇ?

まぁ、この自然体の文章を書くってのはじつは自然にはできないことで、結構すごいことだったりするのかもしれませんなぁ、芥川賞もとってるくらいだし。

余談ですが、なんとなく芥川賞って小難し~い作品がとるものかとおもってましたがそんなこともないんですね(以前読んだ「日蝕」って受賞作はわりと小難しかったな)。

表題作以外に「flowers」って話も収録されてまして、そちらはわりと出来事があったりします。そっちのほうが多少印象が残ってるかな?

あ、あと内容とは関係ないですが、文庫本のデザインがすごくよいね。

■評価
《俺》☆☆
《薦》☆☆

パーク・ライフ (文春文庫)

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2006年07月17日

【本】頭蓋骨のマントラ

頭蓋骨のマントラ
原題:THE SKULL MANTRA
著者:エリオット・パティスン
訳者:三川基好(みかわきよし)
出版:早川書房 HM244-1 上下2分冊 各¥660 初2001/3
ISBN:(上)4-15-172351-X, (下)4-15-172351-8
入手:古本 上下¥700

■内容(上巻カバーより):
 中国経済部の主任監察官だった単道雲(シヤン・タオユン)は大物が絡んだ汚職事件を追求したことから北京を追われ。今はチベットの奥地、ラドゥン州の強制労働収容所で苛酷な日々を送っていた。ある日、作業現場で首なしの死体が発見された。折悪しく州の検察官は不在、しかも司法部の監査が入る予定になっていた。困惑した州の軍最高責任者は、単に事件の解決を命じるが・・・・・・アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀処女長篇賞を受賞した話題の大作

■感想
どうも、展開がちょっとわかりにくくて、字幕なしの外国映画をみているようなもどかしさがありました。

しかし、チベットほど日本と欧米での注目度の違う地域もめずらしいね
なんでだろ…
日本では極端にとりあげられる機会が少ないように思うけどなんでだろ?
中国への遠慮???

本作はいかにもアメリカ人の目からみたチベット像なんで、新鮮ではありました。どこまで実像に迫れているかはわかりませんが…

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆★
《薦》☆☆★

頭蓋骨のマントラ〈上〉 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

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2006年07月11日

【本】偽史冒険世界 ――カルト本の百年

偽史冒険世界 ――カルト本の百年
著者:長山靖生(ながやまやすお)
解説:鹿島茂
出版:ちくま文庫 な-29-1 P288 ¥700 初版2001/8 絶版中
ISBN:4-480-03658-X
入手:古本

■内容(カバーより):
 どうしてカルトにはまるのか?義経=ジンギスカン説、日ユ同祖論、ムー大陸・・・・・・。だれもが少年時代に一度は胸躍らせて読んだトンデモナイ歴史や奇想天外な冒険の世界を、大人になっても抜け出せない人もいる。それらの人々のバイブルともいうべきカルト本とその背景を日本近代百年のなかにさぐる。大衆文学研究賞受賞作。

■感想
 いわゆる「トンデモ本」研究の本なんですが、とりあげられているのは主に戦前の本。
 現代の「トンデモ本」を扱う本は、どちらかというと「笑い飛ばす」というスタンスが多かったんですが、この本は結構真面目に、そういう思想にいたった経緯やそれをささえた時代背景などをしっかりと研究してかかれています。
 特に戦前の日本のおおっていた雰囲気と、それとトンデモ思想のかかわりなど、なかなか読み応えあって面白かったです。 
  
■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆★

偽史冒険世界―カルト本の百年 (ちくま文庫)

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2006年07月02日

【本】板垣恵介の激闘達人烈伝

板垣恵介の激闘達人烈伝
著者:板垣恵介
表紙:板垣恵介
出版:徳間文庫 ¥552 初版2005/12
ISBN:4-19-892345-0
初出:単行本刊行(徳間書店)2001/1
入手:BOOKOFF ¥105

■内容(カバーより):
「強さ」とは何かと追い求め続けている、格闘マンガの第一人者が、武道にたどり着いたのはある意味必然だった。拳の意味を、技の重みを、ただただ極めようとする心に武は宿っている。フィクションではない伝説が、人による神業が、いまここに甦る!

■感想
漫画家さんなので、文章はやはりつたないところもあるのですが、取り上げられてる人達が凄すぎるので、一気によまさせられます。
「バキ」や「餓狼伝」に出てくる、スゴイ人たちのルーツはここにあったのか…

どのくらいすごいのかというと、咽頭ガンを焼き火箸で直しちゃったりするくらいなのですわ…

「それ本当?」とか思わず、素直に吃驚しながら読んだほうがおもしろいでせう。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆★

板垣恵介の激闘達人烈伝 (徳間文庫)

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2006年07月01日

【本】ドンキホーテのリボン

ドンキホーテのリボン
著者:鴻上尚史
表紙・挿絵:中川いさみ
出版:扶桑社文庫 ¥600 初版2000/8 ※絶版中※
ISBN:4-594-02965-5
入手:BOOK・OFF ¥105

■内容(カバーより):
鴻上尚史の人気エッセイ「ドン・キホーテのピアス」文庫化第3弾。なぜ伝言ダイヤルに電話しただけなのに、イスラエルに国際電話をかけたことになり、KDDから料金支払いのお知らせが来るのか?このなぞを解き明かすべく、著者はKDDに問い合わせをする。普通だったら、「んっ」と思うだけで流してしまう日常のなにげないエピソードが、著者の目を通すと1つの物語となるのだ。毎回話題を呼ぶ芝居を作り続ける鴻上尚史のストーリーテラーとしての原点がここにある。

■感想
このシリーズ読むのは3作目くらいかな?
他の作品同様楽によめてよいねぇ
中川いさみの絵も楽しいしねぇ

太田和彦氏と劇評をめぐって論争になってたんだえねぇ
結局どーなったんでしょ
太田氏って居酒屋に詳しいだけじゃなくて、演劇評論なんかする人だったのですねぇ…しらなんだ。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆★
《薦》☆☆☆★

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2006年06月25日

【本】ダ・ヴィンチ・コード

ダ・ヴィンチ・コード
原題:THE DA VINCI CODE
著者:ダン・ブラウン
訳者:越前俊弥
装丁:片岡忠彦
出版:角川文庫 上中下3分冊 各¥580 (上)初2006/3 中)初2006/3 6刷2006/4 (下)初2006/3
■感想
まぁ正直、こんなもの?って感じは否めなかったなぁ
謎といっても、最後の晩餐の絵の謎解きくらいで、あとは作中で死んじゃったおじさんが自分で作ったものばっかりだったからねぇ
作り物の謎解きにはあんまり興奮しなかった。

肝心の最後の晩餐の謎解きも、映画の紹介のために、あちこちでばらされまくりだしねぇ
この謎ときを知らずに読めばもう少しおもしろかったのかなぁ

正直、キリスト圏に生きていない身としては、衝撃の真実が全然衝撃的じゃないのよねぇ。「ふ~ん、まぁそういうこともあるかもねぇ」ってなもんでねぇ^^;。

まぁ映画向きな話ではありますな。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆★
《薦》☆☆★

ダ・ヴィンチ・コード(上) (角川文庫)

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2006年06月14日

【本】武蔵野

武蔵野
著者:国木田独歩
解説:塩田良平
出版:岩波文庫 緑19-1 初版1939/2 37刷改版1972/8 56刷 1988/7

■内容(カバーより):
 武蔵野を愛しながら独歩(1871-1908)は愛着をこめて「生活と自然とがこのように密接しているところがどこにあるか」と言っている。作者は、常に自然を通じて人生を、また人間を通じて自然を見、その奥に拡がる広々とした世界を感じとっていた。このことは表題作を始め、所収作品のすべてからうかがうことができる。

■収録:
 「武蔵野」「源叔父」「初恋」他、全18篇

■感想
表題作はいいっ!
本当にいいっ!!
私も何気ない自然の風景を感じて一緒に生きていきたい。
他の収録作は概ね小説なのですが、個人的には表題作のような随筆風のをもっと読みたかったなぁ

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆☆

武蔵野 (岩波文庫)

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2006年05月25日

【本】平成講釈 安倍晴明伝

平成講釈 安倍晴明伝
著者:夢枕獏
出版:中央公論社 ¥1000 初版2001/4
ISBN:4-12-500708-X
初出:単行本(中央公論社)1998/4
入手:BOOKOFF ¥500

■感想
「陰陽師」シリーズとはまた一線をかくした晴明もの。
こっちの晴明は伝統の講談もの。
これから面白くなりそうなところでおわっちゃいました。
続きものだったのですねぇ
内容憶えてるうちに続きだしてほしいなぁ…

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆★

平成講釈 安倍晴明伝 (C・NOVELS BIBLIOTHEQUE)


文庫版も出てます↓
平成講釈 安倍晴明伝 (中公文庫)

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2006年05月20日

【本】らんぼう

らんぼう
著者:大沢在昌(おおさわ ありまさ)
表紙:西原理恵子
出版:新潮文庫 お-54-1¥590 初版2002/3
ISBN:4-10-126031-1
初出:単行本刊行(新潮社)1998/9

■内容(カバーより):
185センチ・柔道部出身の「ウラ」、小柄ながら空手有段者の「イケ」。凸凹刑事コンビの共通点はキレやすく凶暴なこと。検挙率は署内トップだが無傷で彼らに逮捕された被疑者はいない。ヤクザもゾクもシャブ中も、彼らの鉄拳の前ではただ怖れをなすばかり。情け無用、ケンカ上等、懲戒免職も何のその! 「最凶最悪コンビ」が暴走する痛快無比の10篇。こんな刑事にはゼッタイ捕まりたくない!

■感想
その男凶暴につきが二人組みになってる感じ。
凶暴さはましましですが、明るさがあるのが救いがあっていいね。
西原理恵子の表紙がまたよいですな。
続編あったら読みたいかも。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆★

らんぼう (新潮文庫)

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【本】プリズム

プリズム
著者:貫井徳郎
表紙:(写真)Theodora Vambounakis (装幀)岩郷重力+WONDER WORKZ
出版:創元推理文庫 Mぬ-1-2 初2003/01
ISBN:4-488-42502-9
入手:古本 ¥100

■内容(カバーより):
 小学校の女性教師が自宅で死体となって発見された。傍らには彼女の命を奪ったアンティーク時計が。事故の線も考えられたが、状況は殺人を物語っていた。ガラス切りを使って外された窓の鍵、睡眠薬が混入された箱詰めのチョコレート。彼女の同僚が容疑者として浮かび上がり、事件は容易に解決を迎えるかと思われたが…『慟哭』の作者が本格ミステリの極限に挑んだ衝撃の問題作。

■感想
各章ごとに前の章で犯人だと思われた人が推理をするというスタイルで、芥川の藪の中(さすがに被害者の本人の推理はないですが…)の推理小説版のような話です。

で、真相は読者にあずけられて、最後まで明示されませんので、モヤモヤするかも。

私も、あんまり考えない人間なんで、
モヤモヤ、モヤモヤ、モヤモヤ…

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆★
《薦》☆☆★

プリズム (創元推理文庫)

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2006年05月14日

【本】木曜組曲

木曜組曲
著者:恩田陸
出版徳間文庫 ¥495 初版2002/9
ISBN:4-19-891759-0
初出:単行本刊行(徳間書店)1999/11
入手:古本

■内容(カバーより):
耽美派小説の巨匠、重松時子が薬物死を遂げてから、四年。時子に縁の深い女たちが今年もうぐいす館に集まり、彼女を偲ぶ宴が催された。ライター絵里子、流行作家尚美、純文学作家つかさ、編集者えい子、出版プロダクション経営の静子。なごやかな会話は、謎のメッセージをきっかけに、いつしか告発と告白の嵐に飲み込まれてしまう。はたして時子は、自殺か、他殺か―?気鋭が贈る、長篇心理ミステリー。

■感想
いやはやよくできた話ですな。

この人のちゃんと人が死ぬ(??)推理小説、読むのは初めてでしたが、非常によくできた話でした。

鈴木京香主演で映画化されてたんだね、しらなかった…

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆★
《薦》☆☆☆

木曜組曲 (徳間文庫)

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2006年05月13日

【本】眠たい奴ら

眠たい奴ら
著者:大沢在昌(おおさわありまさ)
出版:角川文庫 ¥857 初版2000/10 12版2003/7
ISBN:4-04-167118-3
入手:BOOKOFF ¥105

■内容(カバーより):
組織に莫大な借金を負わせ、東京から地方の温泉街に逃げ込んだ経済ヤクザ・高見。一方、大阪から単独捜査のため、その街を訪れたはみ出し刑事・月岡。街で二人を待っていたのは、地元の政治家や観光業者をまきこんだ巨大新興宗教団体の跡目争いと、闇にうごめく寄生虫たち――。惚れた女のために、そして巨大な悪に立ち向かうため、奇妙な友情で結ばれた一匹狼たちの闘いが始まる!圧倒的なスケールで描く大沢ハードボイルドの巨編。

■感想
地方の温泉街を舞台にハードボイルド書こうってんだからすごいなぁ
なんかちょっと温泉の香りはただよってましたが、それなりに読み応えある作品にしあがってたんじゃないでしょーか。

でも、やっぱハードボイルドは都会の喧騒の下でこそだよなぁ…
と、私は思った。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆★
《薦》☆☆★

眠たい奴ら (角川文庫)

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2006年05月08日

【本】光の帝国 常野物語

光の帝国 常野物語
著者:恩田陸
解説:久美沙織
出版:集英社文庫 ¥495 P283 初2000/9 5刷2001/6
入手:BOOK・OFF ¥250

■内容(カバーより):
 膨大な書物を暗記するちから、遠くの出来事を知るちから、近い将来を見通すちから―「常野」から来たといわれる彼らには、みなそれぞれ不思議な能力があった。穏やかで知的で、権力への志向を持たず、ふつうの人々の中に埋もれてひっそりと暮らす人々。彼らは何のために存在し、どこへ帰っていこうとしているのか?不思議な優しさと淡い哀しみに満ちた、常野一族をめぐる連作短編集。

■感想
 なんか半村良がとりあげそうな設定ですが、この作者らしいやさしい世界観で描かれておりました。
 シリーズもののようなので、続きもそのうち読んでみたいですな。
 ちなみに常野は「とこの」と読みます。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆★

光の帝国―常野物語 (集英社文庫)

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2006年05月06日

【本】君たちはどう生きるか

君たちはどう生きるか
著者:吉野源三郎
解説:丸山真男
出版:岩波文庫 青138-1 P305 ¥620 初版1982/11 29刷1992/1
ISBN:4-00-331581-2
初出:「日本少国民文庫」1937/7
入手:BOOKOFF ¥100

■内容(カバーより):
 著者がコペル君の精神的成長に託して語り伝えようとしたものは何か。それは、人生いかにいくべきかと問うとき、常にその問いが社会科学的認識とは何かという問題と切り離すことなく問われねばならぬ、というメッセージであった。著者の没後追悼の意をこめて書かれた「『君たちはどう生きるか』をめぐる回想」(丸山真男)を付載。

■感想
 私もふくめて、子供のころに読んだという人も多いとおもいますが、改めて大人になってから読むとまた心動かされます。
 あ頃は読み取れなかった、自由にモノを言うことが難しくなってきた時代の背景なども感じ取れました。
 すべての人に読んで欲しい…

 で、僕たちはどう生きているんだろうねぇ?
 コペル君にはずかしくないように生きていきたいものです。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆☆
《薦》☆☆☆☆

■引用(P298より)
 僕は、すべての人がおたがいによい友だちであるような、そういう世の中が来なければいけないと思います。人類は今まで進歩して来たのですから、きっと今にそういう世の中に行きつくだろうと思います。そして僕は、それに役立つような人間になりたいと思います。

 急にあたりが明るくなったので、コペル君は顔をあげました。窓にいっぱい日がさしています。太陽が靄を破って、真新しい光を地上に投げはじめたのでした。
 
君たちはどう生きるか (岩波文庫)

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2006年05月02日

【本】あやしい探検隊 北へ

あやしい探検隊 北へ
著者:椎名誠
出版:角川文庫  ¥520 初版1992/7
ISBN:4-04-151007-4
入手:古本

■感想
最近では「北」というとめっきり某国のことを指す言葉になってしまいましたが、本作では純粋に北のほうに行ってます。
行ってもロシアに撃たれない範囲でもっとも北の粟島でのキャンプ。
北方領土も目の前。
寒そう…

でも、全体的には南のほうにいってる話のほうが多いような気も…
ちなみに、東ケト会でバカバカしいキャンプやってるのはこの本がピークらしいので、お薦めです。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆★
《薦》☆☆☆

あやしい探検隊北へ (角川文庫)

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【本】敦煌

敦煌
著者:井上靖
出版新潮文庫 い-7-4 ¥320 初版1965/6  46刷1986/4
ISBN:4-10-106304-4
入手:古本 ¥100

■内容(カバーより):
 官吏任用試験に失敗した趙行徳は、開封の町で、全裸の西夏の女が売りに出されているのを救ってやった。その時彼女は趨に一枚の小さな布切れを与えたが、そこに記された異様な形の文字は彼の運命を変えることになる……。西夏との戦いによって敦煌が滅びる時に洞窟に隠された万巻の経典が、二十世紀になってはじめて陽の目を見たという史実をもとに描く壮大な歴史ロマン。

■感想
 実際に発見された経典から、想像をふくらまして描いたそうです。
 頁数はそれほどないのですが、読後には頁数以上の壮大な戦場を駆けた印象が残りました。
 作者の他の中国ものも読んでみたくなりました。
 そういや家に祖父の遺した全集があったっけか。
 うむうむ。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆☆

敦煌 (新潮文庫)

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【本】神様からひと言

神様からひと言
著者:荻原浩(おぎわらひろし)
出版:光文社文庫 ¥686 初版2005/3 3刷2006/1
ISBN:4-334-73842-7
入手:借り物

■内容(カバーより):
 大手広告代理店を辞め、「珠川食品」に再就職した佐倉凉平。
 入社早々、販売会議でトラブルを起こし、リストラ要員収容所と恐れられる「お客様相談室」へ異動となった。クレーム処理に奔走する凉平。実は、プライベートでも半年前に女に逃げられていた。ハードな日々を生きる彼の奮闘を、神様は見てくれているやいなや……。サラリーマンに元気をくれる傑作長編小説!

■感想
サラリーマン小説…なのかな。
なんか、前向きでいいね。
あんまり自分の仕事と置き換えては読んだりはしませんでしたが、さらっと読めて、なかなか楽しかったです。
タイトルはSF好きにはおなじみのブラウンの「スポンサーから一言」からとったのかな?
オリジナルは本当に「神様からひと言」だったねぇ
「世界の中心~」もそうだったっけど、SF古典のタイトル使うのってはやってんのかしら??

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆☆

神様からひと言 (光文社文庫)

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2006年04月11日

【本】武装島田倉庫 / 椎名誠

武装島田倉庫
著者:椎名誠
出版:新潮文庫 し-25-11 初1993/10
入手:古本屋(西村文生堂@自由が丘) ¥100
内容:(カバーより)
 時はおそらく近未来。ある「戦後」の国境地帯。街や道路は破壊され、油泥にまみれた海には、異態進化した獰猛な生物が蠢く。混沌としたこの世界に、組織略奪団や「北政府」と呼ばれる謎の勢力と闘いながら、たくましく生きる男たちがいた。頼れるものは、自らの肉体と才覚のみ――異様だが、どこかノスタルジックな世界を、独特の言語感覚で描きだしたシーナ・ワールドの真骨頂。
目次:武装島田倉庫(ぶそうしまだそうこ)
   泥濘湾連絡線(でいねいわんれんらくせん)
   総崩川脱出記(みなくずれがわだっしゅつき)
   耳切団潜伏峠(みみきりだんせんぷくとうげ)
   肋堰夜襲作戦(あばらだむやしゅうさくせん)
   □□白浜騒動(かみつきうおしらはまそうどう)
   開帆島田倉庫(かいはんしまだそうこ)
   
   ※□は変換断念

■感想
以前読んだ「アドバード」と未読の「水域」そして本作をして、椎名誠のSF三部作だそうです。
今回は長編ではなく連作中篇集。
全編主人公は異なるのだが、舞台は同じ近未来のある地域で、それぞれ少しづつ話が繋がってしております。

アドバードもそうでしたが、戦争で生態系狂ってしまっているんですが、狂ったなりに奇妙なバランスをたもっていてね、その中でたくましくも人類がいきているわけですわ。

どの話も主人公が流されつつも後ろ向きじゃないのがいい。

独特の言葉廻しは健在。耳切団やら肋堰(あばらダム)やらよいよね。
なによりもタイトルがよろしい。

■評価
《俺》☆☆☆★
《薦》☆☆☆

武装島田倉庫 (新潮文庫)

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2006年04月07日

【本】99%の誘拐

99%の誘拐
著者:岡嶋二人
出版:講談社文庫 お 35-27 ¥695 P431 初2004/6 14刷2006/2
入手:借用
内容:(カバーより)
 末期ガンに冒された男が、病床で綴った手記を遺して生涯を終えた。そこには八年前、息子をさらわれた時の記憶が書かれていた。そして十二年後、かつての事件に端を発する新たな誘拐が行われる。その犯行はコンピュータによって制御され、前代未聞の完全犯罪が幕を開ける。第十回吉川英治文学新人賞受賞作!

■感想
おもろいね。
いっきに読んでしもうたよ。
物語自体はそんなに奥深いものないんで、
誘拐のやり方を楽しんで読みましょう。
30才以上の人には、MS-DOS時代のPC世界がなつかしいかも~
なんにしても、人が傷つかない話はよいやね。

■評価
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆☆★

99%の誘拐 (講談社文庫)

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2006年04月01日

【本】武士道

武士道
原題:BUSHIDO, THE SOUL OF JAPAN
著者:新渡戸稲造
訳者:矢内原忠雄
出版:岩波文庫118-1 P150 ¥300 初1938/10 改15刷1974/11 29刷1985/5
入手:古本屋
内容:(カバーより)
 「武士道はその表徴たる桜花と同じく、日本の土地に固有の花である」――こう説きおこした新渡戸(1862-1933)は以下、武士道の淵源・特質、民衆への感化を考察し、武士道がいかにして日本の精神的土壌に開花結実したかを説き明かす。「太平洋の懸橋」たらんと志した人にふさわしく、その論議は常に世界的コンテクストの中で展開される。

■感想
著者が誤解されている「武士道」を正しく紹介するために、欧米の読者向けに英語で書いたものです。
が、当然、読んだのは日本語訳。^^;

いい面ばかりちょっと強調し気味な気もしますが、上記の主旨からいったらいたしかたないところでしょう。

著者のキリスト教徒としての視点がときおりまぜられているのが興味深かったです。
こういうところは西欧人への説得力はあるんでしょうな。

非常におもしろかったです。

現役五千円札のうちに読めばよかった…

■評価
《俺》☆☆☆★
《薦》☆☆☆★

武士道 (岩波文庫)

投稿者 niimiya : 16:59

2006年03月03日

【本】イシャーの武器店

イシャーの武器店(THE WEAPON SHOPS OF ISHER)
著者:A・E・ヴァン・ヴォークト(A.E.Van Vogt)
出版:創元推理文庫 609-2 ¥200 P268 初1966/7 13刷1974/4 絶版中
入手:古本(自由が丘 西村文生堂)¥200
内容:(カバーより)
 二十世紀のアメリカに突然、ふって湧いたように出現した武器店――特種を求めて新聞記者マカリスターは、この幻のような店に乗りこむ。気がついた時、彼は七千年の未来にいた。地球全体を支配するイシャー大帝国と、これに対立する地下組織、武器製造者ギルド。地球の運命を賭けた大決戦が行われようとしていたが、偶然まぎれこんで来たマカリスターが危機をもたらした。彼の体内には太陽系が破壊しつくすほどの時間エネルギーが蓄積されていたからだ。絶縁宇宙服を着せられ、何十兆年の過去と未来のあいだを時間振子となって往復する男……。

■感想
久々にSF読んだなぁ

しかも、ヴォークト!
レ、レトロだ。

昔のSFって小難しいこといわずに話がどんどん進むからよいね。
ただ、この作品はちょっと展開が唐突すぎるような気もするなぁ
でも、最後はセンスオブワンダーだったなぁ
マ、マカリスター君よ…

武器店の設定は全米ライフル協会の人とか好きそうね。
「武器」=「自由」みたいでね^^;

ちなみに「武器製造業者」の前日譚なんですが、解説によるとこちらのほうが書かれたのは後らしいっす。
「武器~」は昔読んだはずなんだけど、すっかり忘れたぁ

これからヴォークト読む人は
いやさ、なつかしSFに興味ある人は
「宇宙船ビーグル号の冒険」が激おすすめだぁ
まず、そちらから、読みましょう。
宇宙犬ビーグル号ってのもあるから間違えちゃだめよー
(タイトルパロディにしておるのだ)

■評価
《俺》☆☆★
《薦》☆☆

イシャーの武器店 (創元SF文庫)

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2006年01月27日

【本】ベトナム戦記

ベトナム戦記
著者:開高健(かいこう たけし)
出版:朝日文庫 ¥540 P300 初1990/10
入手:古本

■感想
開高健って、お酒と釣りのイメージしかなかったですが、こんな死線を潜り抜けていたんですなぁ
そして名前の読みは「けん」じゃなく、本当は「たけし」だっての初めて知った。

いまでこそ、人それぞれ「ベトナム戦争」に対してあるていど固まった知識やイメージが定着していると思いますが、このルポの連載時は北爆の始まりかけ(アメリカが片足から両足を泥沼に入れ始めた頃ですな、きっと)で、まだ何が起きているか皆さっぱりわからなかった頃です。
そんなときに、週刊朝日の契約ルポライターとして、開高とカメラマン秋元は現地にとびこんだんですねぇ。

従軍記事といっても、実際は前線基地あたりまでで、実際の戦闘のど真ん中飛び込んでるわけでないのが普通ですが(それでも十分危険だし、なにより生きて帰って報道するのが最も重要なんだろうしね。)、彼らは北ベトナム兵(いわゆるベトコン)に包囲され、実際に頭を銃弾が掠め、まわりでバタバタと政府軍兵士が倒れていくような状況にまで飛び込んでおります。

第2次大戦以降の地域紛争の中で、ベトナム戦争が一番われわれが情報に触れる機会が多いわけですが、この本からは他の本やニュースや映画からは得られなかった息づくような、生生しい、そのとき、その場所、ならではの空気が伝わってきます。

お薦めです。
ぜひ本書を読んで、行間からニョック・マムの匂いを嗅ぎなさい!

■評価
《俺》☆☆☆★
《薦》☆☆☆★

■引用
P168 「ベトコン少年、暁に死す」より
(ベトコン少年の公開処刑を見て。)

銃音がとどろいたとき、私のなかの何かが粉砕された。膝がふるえ、熱い汗が全身を浸しむかむかと吐気がこみあげた。たっていられなかったので、よろよろと歩いて足をたしかめた。もしこの少年が逮捕されていなければ彼の運んでいた地雷と手榴弾はかならず人を殺す。五人か一〇人かは知らぬ。アメリカ兵を殺すかもしれず、ベトナム兵を殺すかもしれぬ。もし少年をメコン・デルタかジャングルにつれだし、マシン・ガンを持たせたら、彼は豹のようにかけまわって乱射し、人を殺すであろう。あるいは、ある日、泥のなかで犬のように殺されるであろう。彼の信念を支持するかしないかで、彼は《英雄》にもなれば《殺人鬼》にもなる。それが《戦争》だ。しかし、この広場には、何かしら《絶対の悪》と呼んでよいものがひしめいていた。あとで私はジャングルの戦闘で何人も死者を見ることとなった。ベトナム兵は、何故か、どんな傷をうけても、ひとことも呻かない。まるで神経がないみたいだ。ただびっくりしたように眼をみはるだけである。呻めきも、もだえもせず、ピンに刺されたイナゴのように死んでいった。ひっそりと死んでいった。けれど私は鼻さきで目撃しながら、けっして汗もかかねば、吐気も起さなかった。兵。銃。密林。空。風。背後からおそう弾音。まわりではすべてのものがうごいていた。私は《見る》と同時に走らねばならなかった。体力と精神力はことごとく自分一人を防衛することに消費されたのだ。しかし、この広場では、私は《見る》ことだけを強制された。私は軍用トラックのかげに佇む安全な第三者であった。機械のごとく憲兵たちは並び、膝を折り、引金をひいて去った。子供は殺されねばならないようにして殺された。私は目撃者にすぎず、特権者であった。私を圧倒した説明しがたいなにものかはこの儀式化された蛮行を佇んで《見る》よりほかない立場から生れたのだ。安堵が私を粉砕したのだ。私の感じたものが《危機》であるとすると、それは安堵から生れたのだ。広場ではすべてが静止していた。すべてが薄明のなかに静止し、濃縮され、運動といってはただ眼をみはって《見る》ことだけであった。単純さに私は耐えられず、砕かれた。


P178 「”ベン・キャット砦”の苦悩」より

最前線がどこにもない、いや、全土が最前線だというのがこの国の戦争の特長である。ベン・キャットも最前線ならサイゴンのマジェスティック・ホテルだって最前線である。いつフッとばされるかわからないのである。戦争は水銀の粒のように、地下水のように、たえまなく流動して、つかまえようがない。いつどこでプラスチック爆弾が炸裂するか知れず、いつどこから狙撃兵のライフル銃弾がとんでくるか知れないのである。たった一人しか死なないこともあるし、三〇〇人が一度に死んでしまうこともある。十分か十五分で終わってしまうこともあるし、一週間ぶっつづけに殺戮がおこなわれることもある。虎をつかまえるワナで人間が芋刺しになることもあるし、超音速ジェット機のロケット弾で殺されることもある。石器時代から原始時代までのあらゆる武器が使われているのだ。要するに、"すべて"である。全土、全人民、全武器、朝から晩まで、季節を問わず、戦争は巨大で微細な多頭多足の不死の怪物となってこの小さな国でのたうちまわっているのである。


P259 「姿なき狙撃者!ジャングル戦」より

"I am very sorry."(たいへんすみません)
満月のハイ・ウェイを戦略村に向って歩きながら中学生のように小さいその砲兵隊将校は私にあやまった。
"Oh. What has happened?"(どうしたんです?)
将校はぽつりと、ひとこと
"My country is war"(私の国、戦争です)
とつぶやいた。

ベトナム戦記 (朝日文庫)

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2005年12月22日

【本】ルバイヤート

ルバイヤート(RUBA'IYAT)
著者:オマル・ハイヤーム('Umar Khaiyam)
訳者:小川亮作
出版:岩波文庫 赤783-1 ¥360 P106 初出1949/1 23刷改版1979/9 45刷1992/11
入手:古本 ¥90
内容:(カバーより)
 生への懐疑を出発点として、人生の蹉跌や苦悶、望みや憧れを、短い四行詩(ルバイヤート)で歌ったハイヤームは、十一世紀ペルシアの詩人である。詩形式の簡潔な美しさとそこに盛られた内容の豊かさは、十九世紀以後、フィッツジェラルドの英訳本によって多くの人びとに知られ、広く愛読された。日本最初の原典訳。

■感想
いや~これでもかってくらい、繰り返し繰り返し世の無常を詠うのですよ。
んで、酒よ呑め呑め~ってね。

現在のイスラム社会(トルコは除く)のイメージからは程遠いことに驚きます。
妙に親近感わいちゃいますなぁ

お酒を愛する全ての人にお薦め。

■評価
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆★

■引用
P17より
 われらが来たり行ったりするこの世の中、
 それはおしまいもなし、はじめもなかった。
 答えようとて誰にもはっきり答えられよう――
  われらはどこから来てどこへ行くやら?

P19より
 この道を歩んで行った人たちは、ねえ酒姫(サーキィ)
 もうあの誇らしい地のふところに臥したよ。
 酒をのんで、おれの言うことをききたまえ――
  あの人たちの言ったことはただの風だよ。
  
P47より
 われらの後にも世は永遠につづくよ、ああ!
 われらは影も形もなく消えるよ、ああ!
 来なかったとてなんの不足があろう?
 行くからとてなんの変わりもないよ、ああ!
 
P66より
 今宵またあの酒壺をとり出してのう、
 そこばくの酒に心を富ましめよう。
 信仰や理知の束縛(きずな)を解き放ってのう、
 葡萄樹の娘を一夜の妻としよう。

P68より
 墓の中から酒の香が立ちのぼるほど、
 そして墓場へやって来る酒のみがあっても
 その香に酔い痴れて倒れるほど、
 ああ、そんなにも酒をのみたいもの!
 
 
ルバイヤート (岩波文庫 赤 783-1)

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2005年11月19日

【本】オーケンののほほんと熱い国へ行く

オーケンののほほんと熱い国へ行く
著者:大槻ケンヂ
出版:新潮文庫 お 44 2 ¥438 P225 初1998/10 2刷1998/11
初出:単行本 学習研修社 1991/12
入手:BOOK-OFF ¥105 
内容:(カバーより)
熱い国を歩きたい。たとえ試練が待ち受けようとも、それがカルマなのだから…。まずはインド。カルカッタでは、街の毒気に圧倒され、聖地ベナレスでは、物売りと物乞いの奇襲に負けてしまった。はたまたタイでは、バンコクやチェンマイの安宿で眠れぬ夜を過ごし、つかのまコ・サメットのビーチで楽園の日々を送る。なんだかなぁの胸中で、のほほんホテホテと旅行くバックパッカー道中記。

■感想
大槻ケンヂの旅行記。
熱い国とはインドとタイ。
そこにのほほんとでかけていってます。

「ホテホテ歩く」って表現、気に入りました。
彼のこういう擬態語(オノマトペ?)の選び方が好きです。
オーケンの本が好きか嫌いはこのあたりで別れるかも。

私は結構すきでしたが、初めて読むなら別の本からのがいい気がします
じゃあどれ?っていわれても思い浮かばないけど…
(小説なら「くるぐる使い」かな?)

特に意識してませんでしたが、紀行モノって普段ぜんぜん読んでいないことに気がつきました。
前いつ読んだかもチョット思い出せないくらい・・・
まさか、学ランきてたころの「深夜特急」以来かな・・・

■評価
《俺》☆☆★
《薦》☆☆

オーケンののほほんと熱い国へ行く (新潮文庫)

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2005年11月08日

【本】双頭の悪魔

双頭の悪魔
著者:有栖川有栖
出版: 創元推理文庫 Mあ2-3 ¥1040 P683 初1999/4
入手:古本(西村文生堂@自由が丘) \275 初版
初出:単行本 1992/2
内容:(カバーより)
 他人を寄せつけず奥深い山で芸術家たちが創作に没頭する木更村に迷い込んだまま、マリアが戻ってこない。救援に向かった英都大学推理研の一行は、大雨のなか木更村への潜入を図る。江神二郎は接触に成功するが、ほどなく橋が濁流に呑まれて交通が途絶。川の両側に分断された木更村の江神・マリアと夏森村のアリスたち、双方が殺人事件に巻き込まれ、各々の真相究明が始まる・・・・・。

■感想
推理小説らしい推理小説ですな
(なんかしょっちょうこの言いまわしつかってる気が・・・)

嵐で橋がおちて外界から孤立しちゃうし
読者への質問状とかもついてるし(しかも3回も)
作者と同じ名前の人でてくるし
あーこの予定調和さが、至極おちつく。

結構厚い(P683)のですが、文体があっさりなせいか(違うか・・・)、あまりそうは感じず。一気に読めて、おもしろかったっす。

「月光ゲーム」「孤島パズル」から続くシリーズなんですが、前の2作の内容はすっかり忘れました…
内容忘れましたが、そちらもよくできた話だったような気がするので興味ある方は順番に読んでいくほうがよいかも。
でも、前作のネタバレはないのでいきなり読んでも大丈夫。

そういや、この話ってだいぶ前にWOWOWでドラマ化してたんよね。
それも見てたはずなのに犯人わからず・・・
マリア役が渡辺まりなだったのだけなんとなく憶えてます


■評価
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆☆

双頭の悪魔 (創元推理文庫)

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2005年10月15日

【本】わしらは怪しい探険隊

わしらは怪しい探険隊
著者:椎名誠
出版:角川文庫 し 6-Y P219 ¥420 初版1982/6 46版1993/7
入手:BOOKOFF ¥105
内容:(カバーより)
 離島でのきつい天幕生活に挑む会「東日本何でもケトばす会」の、結成当時の行状記。椎名隊長ほか隊員たちの個性が光る、前代未聞の面白さ!
 酒と食糧の大移動、テント張り、かまど設置、ゴミの穴ほり、蚊の大襲来等々、夜明けとともに雑用と自然との戦いが始まり、美しい夕焼け空が疲れきた一日の終わりを告げる―。
 海と冒険と仲間、椎名文学の三大要素がたのしめる「怪しい探検隊」ものの、記念すべき第一書。

■感想
離島でテントで焚き火で酒で…
あああっ、楽しそう!
実際やるといろいろ大変なんだろうけど、やっぱ楽しいんだろうなぁ
そして、お釜のゴハンがめちゃめちゃ美味しそうだわ。

暖かくなったらね、アウトドアーズな友達にくっついてキャンプいきたいのぉ(あくまで他力本願)

話があっちこっちに飛ぶ独特の文体なので好き嫌いは別れそうですが、はまる人にはかなり面白いはず。

■評価
《俺》☆☆☆★
《薦》☆☆☆★

わしらは怪しい探険隊

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2005年10月04日

【本】半七捕物帳(五)

半七捕物帳(五)
著者:岡本綺堂
出版:光文社時代小説文庫 お6-5¥583 P364 初版1986/10 9刷1997/9
入手:古本
内容:(カバーより)
 『半七捕物帖』は、著者綺堂が江戸末期の切絵図をはじめ、古今東西にわたる広汎な史料を渉猟する中から生まれた。 簡潔でメリハリのある文体に、江戸文化を身近に感じさせた、探偵小説の先駆的名作!「新カチカチ山」「河豚太鼓」「吉良の脇指」等十編収録。(全六巻) 
目次:
新カチカチ山
唐人飴
かむろ蛇
河豚太鼓
幽霊の観世物
菊人形の昔
蟹のお角
青山の仇討
吉良の脇指
歩兵の髪切り

■感想
だから面白いんだってばさ!
お角は悪い人だから要注意だってばさ!

■評価
《俺》☆☆☆★
《薦》☆☆☆

半七捕物帳〈5〉 (光文社時代小説文庫)

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2005年09月23日

【本】半落ち

半落ち
著者:横山秀夫
出版:講談社文庫 よ-30-1  P357 ¥590 初版2005/9
入手:新刊(東京駅 ブックガーデン)
初出:単行本2002/9
内容:(カバーより)
 「妻を殺しました」。現職警察官・梶聡一郎が、アルツハイマーを患う妻を殺害し自首してきた。動機も経過も素直に明かす梶だが、殺害から自首までの2日間の行動だけは頑として語ろうとしない。梶が完全に“落ち”ないのはなぜなのか、その胸に秘めている想いとは――。日本中が震えた、ベストセラー作家の代表作。
 
■感想
容疑者の身柄とともに舞台がうつっていくってのは新しいアイデアですねぇ。
そこに得意の人間描写が加味されて、アイデア倒れでないしっかりとした作品になってます。
ラストは「まぁそうだろうな」という感じで驚きはないですが、オチで驚かすような本ではないのでいいんでしょう。
ただ、リアリティ重視でずっときてたのに、最後の最後で展開にちょっと無理があったのが惜しいなぁ。
まぁあれ以外に解はなかったとは思うのですが・・・

■評価
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆☆

半落ち (講談社文庫)

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2005年09月20日

【本】半七捕物帳(四) 新装版

半七捕物帳(四) 新装版
著者:岡本綺堂
出版:光文社時代小説文庫 ¥648 P439 初版2001/12
入手:BOOKOFF ¥300
内容:(カバーより)
著者綺堂が、長く病に臥せっていたとき『江戸名所図絵』を通読、これが『半七捕物帖』を書くきっかけになったという。 人間味豊かな捕物帖の世界を描いて、江戸の風物詩を現代に伝える永遠の傑作! 「柳原堤の女」「ズウフラ怪談」「妖狐伝」等十一編収録。(全六巻) 推理、怪談小説、新歌舞伎の劇作家として高名な著者の代表作、より読みやすく新装刊!
目次:
仮面
柳原堤の女
むらさき鯉
三つの声
十五夜御用心
金の蝋燭
ズウフラ怪談
大阪屋花鳥
正雪の絵馬
大森の鶏
妖狐伝

■感想
おもろいねぇ
半七は本当におもろいねぇ

半七は芝居が好きなのですよ。
知ってました?

■評価
《俺》☆☆☆★
《薦》☆☆☆

半七捕物帳〈4〉 (光文社時代小説文庫)

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2005年09月19日

【本】暗黒日記

暗黒日記
著者:清沢洌(きよさわきよし)
出版:岩波文庫 青178-1 ¥620 P343 初版1990/7 
入手:古本屋(ブックワンダー@神保町) ¥420
内容(表紙より):
 太平洋戦争下,豊かな国際感覚と幅広い交友をもとに,当時の政治・経済状況や身辺の生活をいきいきと記した希有な記録(原題「戦争日記」).外交評論家・清沢洌(一八九〇―一九四五)は,将来日本現代史を書くための備忘録として,この日記を書きつづけたが,その鋭い時局批判はリベラリズムの一つの頂点を示している.人名・事項索引を付す.

■感想
南米の密林で消息をたった冒険家の残した日記。
邪教の存在、一人一人消えていく仲間達、そしてたどりついたのは邪神ダゴンの神殿…
とかいう本ではなくて!

外交評論家 清沢洌が、太平洋戦争中に書いていた日記の抜粋。

この人まさにザ・リベラリスト。

あの時代にここまでしっかりと世界も見つめられている人がいたとは…

戦後復興に欠くべからず人物と思われた清沢ですが終戦3ヶ月前に肺炎で命を落としてしまうのでした。
無念であったでしょうなぁ…

戦後60年たって、官吏の無責任主義はいまだ健在なり…
(とか青いこと言ってみたりして)

■評価
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆

■引用
(1944 1/4より)
 東条は官吏を昔の士族と心得ている。したがって民間を一歩下の被統治階級と心得ている。
 大東亜戦争――満州事変以来の政情は、軍部と官僚との握手である。戦争を目的とする者と、一部しか見えない事務家、しかも支配意識を有している者とが混合妥協した結果生れたものである。

(1944 4/30より)
 日本はこの興亡の大戦争を始むるのに幾人が知り、指導し、考え、交渉に当たったのだろう。おそらく数十人を出でまい。秘密主義、官僚主義、指導者原理というようなものがいかに危険であるかがこれでも分る。
 来るべき組織においては言論の自由は絶対に確保しなくてはならぬ。また議員選挙の無干渉も主義として明定しなくてはならぬ。官吏はその責任を民衆に負うのでなくては行政は改善出来ぬ。

(1944 11/4より)
 神風特攻隊が、当局その他から大いに奨励されている。ガスリンを片方しか持っていかないのらしい。つまり、人生二十何年を「体当り」するために生きて来たわけだ。人命の粗末な使用ぶりも極まれり。しかも、こうして死んで行くのは立派な青年だけなのだ。

(1944 11/16)
 この世界から戦争をなくすために、僕の一生が捧げられなくてはならぬ。

暗黒日記―1942‐1945 (岩波文庫)

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【本】アド・バード

アド・バード
著者:椎名誠
カバー:たむらしげる
出版:集英社文庫 し 11 19 ¥730 P564 初1997/3 2刷1998/6
入手:BOOK OFF \105
初出:1987/7~1989/12 「すばる」連載
   1990/3 単行本刊行
内容(カバーより):
 マサルと菊丸の兄弟は、行方不明の父親を探しに、マザーK市へと冒険の旅に出た――。そこは、異常発達した広告が全てを支配する驚愕の未来都市だった! 赤舌、地ばしり、蚊食い虫・・・・・珍妙不可思議な生物たちの乱舞。どこかなつかしさを誘う歌声。椎名誠独自の世界を打ち立てた記念碑的長編。「夢見る心を忘れない読者なら絶対にこの小説の虜になる」(目黒孝二氏)。第11回・日本SF大賞受賞作。

■感想
最近はハードSFもニューウェーブもサイーバーパンクもめっきりですが、

こういうロードムービーのようなSFってすきだな。

連載作品だけあって、ちょっとはりっぱなしの伏線とか、いきあたりばったりっぽさも感じましたが(狙い?)、この辺も椎名誠っぽさなのかな。
続編ありそうな終り方ですが、今んとこないみたい。

SF好きにもそうじゃない人にもお薦め。

■評価
《俺》☆☆☆★
《薦》☆☆☆

アド・バード (集英社文庫)

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2005年08月17日

【本】ドン・キホーテのロンドン

ドン・キホーテのロンドン
著者:鴻上尚史
イラスト:中川いさみ
出版:扶桑社文庫 こ4-4 P253 ¥619 初版2001/8
入手:BOOKOFF \105 初版
初出:SPA連載 1997年8月13・20日号~1998年9月2日号
   単行本 1998/10 (扶桑社)
内容(カバーより):
 鴻上尚史の人気エッセイ「ドン・キホーテのピアス」文庫化第4弾。芸術家在外研修制度の一員として、一年間ロンドンに留学。「あなたの英語の知識の欠如によって授業の進行が妨げられることがあれば、ただちにあなたの参加を禁止する」と通告された演劇学校に、無事一年通えるのか?ぴちぴちタイツ姿でミアキャットになったり、部屋が汚いと大家さんに追い出されそうになったり、ビッグマック(!?)になってタンゴを踊ったりと、著者ならではの抱腹絶倒のロンドン生活を、とくとごらんあれ!

■感想
鴻上尚史が第三舞台たたんで、イギリスに留学しに行ったことは、なんとなしに知っていましたが、演劇学校の生徒として行ってたんですねぇ
つまり、役者の卵たちと一緒に動物のマネしたり、全身タイツ汗だくになってたりしてたのですねぇ…。

文章も実際の語り口と一緒で飄飄としてて面白いです。
昔聞いてた、オールナイトニッポンを思い出しちゃいました。

そういえば、この人、昔テレビで、地球ZIGZAGって番組(素人版のウルルン滞在記な番組)やってて、よく見てたんですが、
今回は、まさに本人が地球ZIGZAGしちゃってますねぇ、たいした行動力です。

あと「こうがみしょうじ」だと思っていたけど本当は「こうかみしょうじ」だったのね
(昔は自分でも「こうがみ」と名乗ってたようですが)

ちなみに、中川いさみの挿絵もいい味だしてます。

おすすめ

■評価
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆☆

ドン・キホーテのロンドン (扶桑社文庫)

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2005年08月15日

【本】刑事一代 平塚八兵衛の昭和事件史

刑事一代 平塚八兵衛の昭和事件史
著者:佐々木嘉信
編集:産経新聞社
出版:新潮文庫 さ-57-1 ¥667 P509 初版2004/12
入手:BOOKOFF ¥105 初版
初出:単行本「刑事一代」日新報道出版部 1975年
内容(カバーより):
 捜査は、ホシとデカの命がけのぶつかり合いだ──警視庁捜査一課勤務30年の名刑事・平塚八兵衛が、昭和史に残る大事件の捜査現場を語る。地を這うような徹底捜査で誘拐犯・小原保を自供へ追い込んだ吉展ちゃん事件から、帝銀事件、下山事件、そして未解決に終った三億円事件まで、貴重な証言が満載。事件捜査の最前線に立ちつづけた男の言葉からは、熱すぎるほどの刑事魂が迸る。


■感想
警視庁にこの人ありといわれた、平塚八兵衛さんという名刑事の産経新聞での連載インタビューをまとめたもの。

吉展ちゃん事件、帝銀事件、下山事件、三億円事件戦後の都内の有名な事件にほとんど関わっているんですねぇ。

帝銀事件については、とかく冤罪を主張する側からの視点で書かれたものしか読んだことがなかったので、平沢の犯行を確信する平塚氏の証言は新鮮でした。

しかし、上司にはかみつくし、捜査方針には従わないし、こんなドラマにでてくるような刑事が本当にいたんですねぇ
周りの人はだいぶ苦労してそう・・・ ^^;

聞き語り形式で書かれているので、独特の語り口が再現されてて面白かったです
その分、かなり主観的な内容なので、それぞれの事件について客観的に全体像を知りたい人は、他の資料で補完されることをお薦めいたします。

■評価
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆☆

刑事一代―平塚八兵衛の昭和事件史 (新潮文庫)

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2005年08月02日

【本】地底旅行

地底旅行
原題:VOYAGE AU CENTRE DE LA TERRE
著者:ジュール・ベルヌ(Jules Vernr)
訳者:朝比奈弘治
出版:岩波文庫 赤569-2 770円 P455 
入手:ブックオフ 100円
内容(カバーより):
 十六世紀の錬金術師の謎の文字を苦心の末解読してみると、そこにはアイスランドの火山の噴火口から地球の中心に達することができると書かれていた。これが十三週間におよぶ地球内部への旅の始まりになった。ヴェルヌ(1828-1905)の最高傑作。挿絵多数。

■感想
SFの祖なんかいわれたりするジュール・ベルヌ。
古き良き空想科学小説ですなぁ
「空想」よりも「科学」に重きを置いている人なんでね、描写が科学的だすな。

し・か・し、と・に・か・く、地底に下りるまでが……  長いっ!!!!
全体の半分くらいすぎてようやく地底におりだします。
それまでは、アイスランド(地底への入り口があるのだ)への旅行記様相。

そして、ついてからはあっさり地底に行って、帰ってくるだけのお話です。
地底世界のお姫さまを助けたりはしないので、ペルシダーのような物語を期待すると肩透かしをくらいまっせ。

ベルヌ初めての人は「海底2万マイル」とか「15少年漂流記(2年間の夏休み)」とかから読まれることをお薦めします。

私は「神秘の島」が好きです。

■評価
《俺》☆☆☆
《薦》☆★

地底旅行 (岩波文庫)

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【本】高円寺純情商店街

高円寺純情商店街
著者:ねじめ正一
出版:新潮文庫 ね 1 1 400円 P232 初版1991/4 22刷2001/6
初出:単行本 1989/2 新潮社
入手:ブックオフ 100円

内容(カバーより):
 高円寺北口「純情商店街」。魚屋や呉服屋、金物店などが軒を並べる賑やかな通りである。正一少年は商店街の中でも「削りがつをと言えば江州屋」と評判をとる乾物屋の一人息子だった――感受性豊かな一人の少年の瞳に映った父や母、商店街に暮らす人々のあり様を丹念に描き「かつてあったかもしれない東京」の佇まいを浮かび上がらせたハートウォーミングな物語。直木賞受賞作。

目次:
天狗熱
六月の蝿取紙
もりちゃんのプレハブ
にぼしと口紅
富士山の汗
真冬の金魚

■感想
有名な作品ですし、評価も高いのですが、あんまりピンとこなかったなぁ。
私の心の原風景にはこういう情緒ある商店街の情景といものはないのかも

作者が詩人のわりには普通の文章でしたね。
まぁ「普通」の文章を書くってのが実は難しかったりするのかもしれませんが。

しかし、タイトルはいいよね。
実際の商店街も既に「高円寺純情商店街」になっちゃってますしね。 →高円寺純情商店街HP
影響力大です。

中央線沿線ってあまりぶらついたことないので、今度行ってこよっかな。

■評価
《俺》☆☆
《薦》☆☆★

高円寺純情商店街 (新潮文庫)

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【本】夢十夜 他二編

夢十夜 他二編
著者:夏目漱石
出版:岩波文庫 緑11-9 P164 360円 初版1986/3 24刷1995/10
入手:古本屋 150円
内容(カバーより):
 漱石には小品とよばれる一群の短編がある。小品とはいうがその存在は大きく、戦後の漱石論は『夢十夜』の読み直しから始まったとさえ言われる。ここには荒涼たる孤独に生きた漱石の最暗部が濃密に形象化されている。
目次:
 夢十夜
 文鳥
 永日小品

■感想
漱石の作品の中で一番好きです。
特に第一夜と第三夜が幻想的でよいね。

夢十夜は読むの何度目かですが、永日小品はちゃんと読んだのは初めてでした。
少し不思議な感じのエッセイでした。

■評価
《俺》☆☆☆☆
《薦》☆☆☆★

■引用
「百年はもう来ていたんだな」とこの時始めて気が付いた。

夢十夜 他二篇 (岩波文庫)

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2005年07月30日

【本】雑学 世界の有名人、最期の言葉

雑学 世界の有名人、最期の言葉
[原題]FAMOUS LAST WORDS
[編者]レイ・ロビンソン(Ray Robinson)
[訳者]畔上司
[出版]ソニー・マガジンズ ヴィレッジブックス P169 \660 初版2003/12
[入手]新刊 ヴィレッジヴァンガード(自由ヶ丘)
[内容](裏表紙より)
「わたしの健康を祝福して乾杯してくれ!」ピカソ(画家)
「あそこはとてもきれいだ」エジソン(発明家)
「医者をよぶつもりなら、わたし、今なら会うわよ」E・ブロンテ(作家)
「ちょっと待って」ポンパドゥール公爵夫人(ルイ15世の愛人)
「シャワー・カーテンはバスタブの内側に入れておくように」ヒルトン(ホテル経営者)
 人はこの世を去るとき、どんな思いで、どんなことを言っているのか。
 俳優、政治家、学者、殺人犯……有名人、最期の言葉150選。

■感想
 この間読んだ遺言集めた本のほうが面白かったな。
 イマイチ。

 しかし、なかなか、気の利いたこと言ってから死ぬってのも大変だよね。
 その後になんかいっちゃったら、そっちが最期の言葉になっちゃうしね。

■評価
《俺》☆★
《薦》☆☆

雑学 世界の有名人、最期の言葉 (ヴィレッジブックス)

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2005年07月15日

【本】沈黙のファイル 「瀬島龍三」とは何だったのか

沈黙のファイル 「瀬島龍三」とは何だったのか
編者:共同通信社社会部
出版:新潮文庫 き 18 1 P430 \629 初1999/8 四刷1999/11
入手:ブックオフ \100
内容(カバーより)
敗戦、シベリア抑留、賠償ビジネス、防衛庁商戦、中曽根政権誕生……。元大本営参謀・瀬島龍三の足跡はそのまま、謎に包まれた戦中・戦後の裏面史と重なる。エリート参謀は、どのように無謀な戦争に突っ走っていったのか。なぜ戦後によみがえり、政界の「影のキーマン」となりえたのか。幅広い関係者への取材により、日本現代史の暗部に迫ったノンフィクション。日本推理作家協会賞受賞。
目次:
 第一章 戦後賠償のからくり
 第二章 参謀本部作戦室
 第三章 天皇の軍隊
 第四章 スターリンの虜囚たち
 第五章よみがえる参謀たち
 資料(インタビュー全文)、年表
 
■感想
途中、瀬島氏とは直接関係ないエピソードも多々あったりして、「瀬島龍三」の半生というより、「瀬島龍三」をキーワードにした、戦中~戦後史といった内容。

知ってる人には知ってる話なんでしょうが、私なんかには新鮮な事実がいろいろ出てきて興味深く読めました。

だれも責任をとらない日本独特の体制のあり方に敗戦の原因を指摘しています。

いつまでも無くならない役所不祥事などを見ていると頷ける部分もあったりします。

詳しい人には物足りないかもしれませんが、そうじゃない人にはだいぶお薦め。

■評価
《俺》☆☆☆★
《薦》☆☆☆★

沈黙のファイル―「瀬島 龍三」とは何だったのか 新潮文庫

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2005年06月15日

【本】顔 FACE

顔 FACE
著者:横山秀夫
出版:徳間文庫 よ 17-1 \590 P370 初2005/4
初出:単行本(徳間書店) 2002/10
入手:古本(ブックマート) \360 初版
内容(カバーより):
 「だから女は使えねぇ!」鑑識課長の一言に傷つきながら、ひたむきに己の職務に忠実に立ち向かう似顔絵婦警・平野瑞穂。瑞穂が描くのは、 犯罪者の心の闇。追い詰めるのは「顔なき犯人」。鮮やかなヒロインが活躍する異色のD県警シリーズ。
目次:
 プロローグ 5
 魔女狩り 7
 決別の春 55
 疑惑のデッサン 118
 共犯者 179
 心の銃口 243
 エピローグ 367

■感想
舞台は「陰の季節」と同じD県警の中編集。
本作では、「陰の」で出てきた似顔絵描きの婦警さんに焦点あてて描かれています。

この作者、警察に限らずどこでもありそうな、人間関係の難しさを上手に描くんですな。
なもんで、就職前の学生さんにはよませたくないねぇ。
本当はそんな大変なコトばっかりでもないんだけどね(人によるか…)。

ちょっと主人公の女々しさが気になっちゃったんで、個人的には「陰の~」の方が面白かったかな。
とはいえ、読ませる技術はたいしたもんなんで、お薦めですわい。

■評価
《俺》☆☆★
《薦》☆☆☆

顔 FACE (徳間文庫)

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2005年06月01日

【本】国家と革命

国家と革命
著者:レーニン
訳者:宇高基輔
出版:岩波文庫 初版1957/11 22刷1974/22 P181
入手:古本 \100

■感想
ゲバラ、エンゲルス、レーニンと左傾化著しい最近の読書傾向ですが、本人はあいかわらず筋金入りのノンポリなのでご安心を(?)。

こないだ読んだエンゲルスは優しく教えてくれる感じでしたが、レーニンは徹底してアジってきますなぁ

日和見主義者へ徹底した攻撃は、ちょっと興奮しちゃっいますよ。 ^^;
内容はタイトルどおり、国家と革命の関係。

資本主義から共産主義に行く途中に、最初のうちは国家いるけど、そのうちいらなくなるよーってこと言ってます(多分)。

今読むと、矛盾点などいろいろと思うところもありますが、それも含めて読んでおいた方がよい本なんじゃないでしょうか、勉強になりました。

しかし、社会主義(国家)と資本主義(国家)は本質的にもう相容れないものなんだね。
ソビエトが資本主義国家との不可侵条約なんか平気で破っちゃうのも至極納得。

■評価
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆

国家と革命 (岩波文庫 白 134-2)
宇高 基輔
4003413423

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2005年05月25日

【本】君主論

君主論
[原題]IL PRINCIPE
[著者]マキアヴェッリ(Nicollo Machiavelli)
[訳者]黒田正利
[出版]岩波書店 白3-1 初1935/8、18改刷1959/11 39刷1976/9 P171 \200
[入手]古本屋

■感想
 名前だけは妙に有名な、ご存知、君主のHowTo本。
 いかにして国を広げ、克つ安定させるかという方法論が、系統だって説明されています。
 予想外にわかりやすくて、おもしろい。
 私も兵を起こそうかなって気になっちゃうなぁ(オイオイ)
 
 この頃は、著者の故郷のイタリアが小国乱立で戦争が絶えず、大国にいいようにやられていた時期で、悪名高き「ボルジアの毒薬」ことチェーザレ・ボルジアがもうすこしでイタリア平定しかけたのにあっさり死んじゃった、ちょっと後にこの本を書いたそうな。
 
 著者もチャーザレ本人から話を聞いたりしたこともあって、だいぶこの人から影響を受けているのが見受けられます。
 時に苛烈な彼の行動を(ある状況下では)理想的な君主の行動と賞賛しています。

 また、この乱れたイタリアを統べる強力な君主の出現を待望する気持ちが、この本を書く動機にもなってるそうです。。

 「マキャベリズム」とか「マキャベリスト」なんて言葉のイメージで、「苛政のススメ」のような本かと思っていましたが、そこまでではなかったですね。
 まぁ領土拡大のための戦争などを肯定している辺りは今の人の感覚で読むと違和感はありますが…

 ところどころ、現代でもあてはまるなぁと思うところがあったりもしますが、あんまり古い本から安易に教訓とかひっぱりだすのはやめときますわー

 君主論の話とか持ち出されてもびびらないためには読んでおいたほうがいいかもー
 まぁ私の場合、今まで生きてきてそういう場面に出会ったことはまだないですが…

 よし、次はクラウセヴィッツ(?)の戦争論じゃ
 でも、厚いんだよなぁ…あれ。

■評価
《俺》☆☆☆★
《薦》☆☆☆

■引用(P51 第7章 他人の武力を借りて、または僥倖によって得た新主権について)

 そこで今大公の取ったあらゆる処置を想い合わせて見るとき、彼を非難することはできない。それどころか、上に述べたように、幸運とかつ他人の兵力によって政権を握るようになった人々の鑑として、この人を推薦したいと思う。何となれば、いかに高慢な志と遠大な目的を持っていた彼でも、これ以外のことはできるものではないからである。ただアレクサンデル法王の短命であったことと彼自身の病気とが計画を中絶させたまでのことである。これによって見るに、必要欠くべからざることは、新しく獲得した領土においては、敵におびやかされる心配をなくすこと、自分の味方を造ること、実行でもいいし詐術をもってしてもいいから敵に勝つこと、領民に愛せられると同時に畏れられること、軍人にはなつかれるとともにうやまわれること、自分に危害を加えまたはそのおそれのある者を除いてしまうこと、旧制度を新制度によって革新すること、寛にして厳なること、寛大で物おしみをしないこと、不忠実な軍隊を廃して新たに軍隊を造ること、諸君主と誼(よしみ)を結び、彼らをして喜んで自分を助けるようにし容易に背くことがないようにすることである。この大公の行状ほど生々しい模範は他にあり得ない。

《引用終わり》

 ※大公とはチェーザレ・ボルジア。アレクサンデル法王はその父。
 
 
新訳版↓
君主論 (岩波文庫)

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2005年05月21日

【本】本の雑誌血風録

本の雑誌血風録
[著者]椎名誠 
[出版]朝日文庫 し 16-4 P554 \760 初2000/8
[入手]ブックオフ \400
[内容](カバーより)
 1976年4月、「本の雑誌」創刊!椎名誠はひたすら書いた、沢野ひとしもひたすら描いた、目黒考二はひたすら読んだ、そして木村晋介はひたすら歌った――「本の雑誌」をめぐって熱く燃えていた人たちと、そこで起きるさまざまな出来事をどーんと描いた、著者念願の”実録”!

■感想
読まず嫌いしてたわけでもないのだけど、椎名誠の本読むの初めてですわ。
読んでみたらすごい面白いじゃないですか。

何冊か書きつづけている自伝小説の3冊目あたりで、タイトルどおりちょうど『本の雑誌』を作る頃の話がとりあげられとります。

この行き当たりばったりに見える文章は、私がかきちらかしてるものに近いところがあるのかもと思いました。
まぁ、中身の濃さが違いすぎるけどね…
私のは「行き当たりばったりに見える」じゃなくて、単に「行き当たりばったり」なだけやし…

「本の雑誌」自体は知ってたけど、社長が北上次郎(本名は目黒孝二というのだねぇ)で、編集長が椎名誠だったんだねぇ、知らなかった(恥)。
さらに最初の社員が群ようこ…
んで、「群ようこ」の「群」は目黒孝二のペンネームの一つ「群一郎」から贈られたそうな…
ふむふむ。

なんか気楽ーに読めて面白いので、珍しく万人にお薦め。
時系列的によみたければ下の順だそうだ。
わっしもそのうち他のヤツよんでみよう。

「哀愁の町に霧が降るのだ」
「新橋烏森口青春篇」
「銀座のカラス」
 本書

沢野ひとしのイラストも脱力でイカス。

■評価
《俺》☆☆☆☆
《薦》☆☆☆★

本の雑誌血風録 (朝日文庫)

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2005年05月15日

【本】ダウンタウン・ヒーローズ

ダウンタウン・ヒーローズ
[著者]早坂暁(あきら)
[出版]新潮文庫 は-13-3 \400 P343 初1989/11
[入手]古本(ブックマート@南多摩) \200
[内容](カバーより)
[目次]
 刺青
 わが大正座
 女相撲
 別嬪さん
 続・別嬪さん
 夏が来れば思い出す
 「理髪師チッターライン」
 松山マフィア

■感想
太平洋戦争前後の松山を舞台にした自伝的連作中編。
その時代、その場所だけがもつ独特の雰囲気を見事に伝えていて面白かったです。
軽く読めるしお薦め。

旧制松山高校時代の話が特に面白かったですな。
その辺のエピソードを膨らませて、山田洋次が同名の映画を撮っているんですが、
これがだいぶん面白かったんで、こちらも機会があったら見てつかーさい。

■評価
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆☆

ダウンタウン・ヒーローズ (新潮文庫)
4101006334

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2005年05月11日

【本】奇妙な遺言100(THE LAST CAPRICE)

奇妙な遺言100(THE LAST CAPRICE)
[著者]R・S・メンチン(Robert S.Menchin)
[訳者]中西秀男
[出版]ちくま文庫 め-1-1 P198 \470 初1993/10
[入手]古本(自由ヶ丘 西村文生堂)\240

■感想
ダマでもハネマンありそうな名前の作者が、いろいろ面白い遺言を集めて紹介してます。
本当に100あるかは不明…

太っ腹だったり、みみっちかったり、執念深かったり、気が利いてたりいろんな遺言がありますなぁ。

面白かったッス。
アッサリ読めるのでお薦めです。

ちなみに、シェークスピアは遺言で奥さんに「二番目に上等なベット」を遺したそうな。
謎だ…

■評価
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆☆

■引用
(P42 ブエノス・アイレスの演劇好きの実業家の遺言)
 拙者はむかしから熱心に俳優を志願していたが、若いころは才能のないため望みがかなわず、後年は市の実業界に重要な地位を占めていたため、舞台に立つことは不可能となった。
 拙者は二十万ペソ(五万ドルに相当する)を遺贈して基金とし、才能ある若き俳優に対し年々奨学金を与えることとする。ただし、拙者の頭部はこれを保存し、「ハムレット」上演の際ヨリックの頭蓋骨として使用することを条件とする。
 
(P68 ペンブローグ伯爵(17世紀)の遺言から)
一、陸軍中将クロムウェルに対しては、「約束」の一語を遺贈す。彼は約束を守りしこと一度もなき男なれば、彼に取りて最も必要と思わるる一語を贈るなり。

奇妙な遺言100 (ちくま文庫)
Robert S. Menchin
4480027807

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2005年05月10日

【本】水妖記(ウンディーネ)

水妖記(ウンディーネ)
[著者]フゥケー(フーケー) 
[訳者]柴田治三郎
[出版]岩波文庫 P128 初1938/10 12刷1965/6 《重版未定》
[入手]古本屋 \200

■感想

水の精と騎士の悲恋。
そのまま歌劇(っての?)になりそうなお話でした。
解説によるとドイツ後期ロマン派だそうです。
(何が前期で何が後期かもわからんけど…)

そういうの好きな人は読んでみてもいいじゃないでしょーか。

■評価
《俺》☆☆
《薦》☆☆

水妖記―ウンディーネ (岩波文庫 赤 415-1)

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2005年04月13日

【本】テレビ消灯時間6 天地無用

テレビ消灯時間6 天地無用
[著者]ナンシー関
[出版]文春文庫 な-36-9 初 2004/9 P237 \448
[初出]連載「週刊文春 2001/9~2002/6」「オール読物1999/12~2001/12」
   単行本 文藝春秋刊 2002/9 
[入手]ブックオフ \100
[内容](カバーより)
 古館の塩でも「みそぎ」にならぬ三田佳子の底無しをのぞき込み、昼ドラの珍品「真珠夫人」の眉運動を鑑賞しつつ、小泉孝太郎に「さわやかさ」という不毛を見いだす。この人の前に道はない。この人の後に道はできた――。これが本当に最後のテレビ批評集。さよなら、ナンシー画伯。山藤章二、南伸坊との鼎談収録。 解説・坪内祐三

■感想
「週刊文集」連載のこのシリーズもこれでおしまい。
2002年6月に急逝されるまでが収録されています。
最後に斬ったのはW杯一色のニッポンでした。

ご冥福を…

■評価
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆

天地無用 テレビ消灯時間6 (文春文庫)

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2005年04月05日

【本】読書家の新技術

読書家の新技術
[著者]呉智英(くれ ともふさ)
[出版]朝日文庫 く5-1 初1987/10 4刷1990/3 \450 P247 
[初出]単行本 情報センター出版局 1982
[入手]ブックオフ \105
[内容](カバーより)
 わけ知り顔のオトナの現実主義ばかりが巾をきかす現代をいかに主体的に生き抜くか。自称知識人やえせインテリがうそぶく怪しげな論理と俗物教養主義にだまきれない”知的武装”の方法は。若き評論家が、古典の読み方、探書手帳の作り方、書評の読み方、ブックガイドなど読書のノウハウを具体的に示し、知的「生活者」に贈る異色の読書論。

■目次
第一部 知の篇
第二部 技術篇
第三部 ガイド篇

■感想
うなずく部分もあるんですが、20年ほど前の作品なんでやはり内容が古いのですねぇ
特に一部、三部は鮮度不足なので読むなら二部だけでよいかも。

■評価 
《俺》☆☆
《薦》☆★

読書家の新技術 (朝日文庫)
4022604697

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2005年04月01日

【マンガ】失踪日記

失踪日記
[著者]吾妻ひでお
[出版]イーストプレス P199 \1140 初2005/3 3刷2005/4
[入手]新刊
[目次]
 ・夜を歩く
 ・街を歩く
 ・アル中病棟
 ・巻末対談 吾妻ひでお×とり・みき

■感想
吾妻ひでおって人は私よりちょっと上のそっち系(どっちじゃ?)の方々に、かなり人気の漫画家さんでした。
ここ十数年、音信を聞いてないと思ったら、こんなことになってたんですねぇ

こんなこととは…
 自殺未遂
 失踪
 ホームレス
 復帰
 失踪
 ホームレス
 肉体労働
 アル中
 入院…

なにがすごいって、これ全部実話なんだねぇ。
さらに全然辛気くさくないのだねぇ。

なんか、ちょっと失踪してみたくなるなぁ…

かなり面白いんで、そっち系じゃない(だからどっち?)人にもお薦め。

ただ、面白いのはいいけど、こういう私小説的なネタで好評博しちゃうと今後がちょっと心配ですねぇ
ネタのために無理したりしませぬよーに。

■評価
《俺》☆☆☆☆
《薦》☆☆☆★

失踪日記

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【本】空想より科学へ -社会主義の発展-

空想より科学へ -社会主義の発展-
[原題]Die Entwicklung des Sozialismus von der Utopie zur Wissenshaft
[著者]エンゲルス(FRIEDRICH ENGELS)
[訳者]大内兵衛
[出版]岩波文庫 白6 初1946/9 40刷1969/7 P130 ¥200
[入手]鎌倉の古本屋 \100 書き込みあり
[内容](帯より)
 世界の労働者が目指す未来社会へのゆるがぬ確信と科学的洞察によって、本書は社会主義理論への絶好の入門書として生き続けている。

■感想
マルクスの盟友エンゲルスが自著『反デューリング論』より3章を選んで抜粋し作ったパンフレット。
マルクス・エンゲルスの社会主義思想が非常にわかりやすく説かれていて、入門書として最適なんではないでしょうか。
社会主義が新しい思想として生き生きとしていたころの熱い息吹が伝わってきます。

当然、良くできた思想書は説得力がある分危険でもあるわけで、この本に多感な学生時代に出会っていたら、今頃、ゲバ棒とヘルメットの似合うナイスガイになっていたかも… ^^;

共産党宣言や資本論に行き成り突進して敗れ去った経験のある人には強くお薦め。(俺?)
「英語版への序文」という本文と同じくらい長い附録もついていますが、こちらはあんまり面白くないから特に読まなくてもいいかも。

「資本家による搾取を糾弾して、現状の問題を指摘するだけじゃなんも解決しないんすよ。歴史を科学的に分析して、歴史的条件を理解したうえで、行動しないとね。」ってなことを言いたいんだと思います。
タイトルはそのあたりから来てまして「空想(的社会主義)から科学(的社会主義へ)」ということ。

歴史的条件ってのは、私の理解だと下記のような感じ、相当おおざっぱですが…

1)本来、人間は自分(と領主)の必要なものを作って、余剰分を他の人の余剰分と交換(間に貨幣が入ることはあるが)するもので、当然、その場合の余剰分は生産者の所有となる。
2)産業が発展し、工場などで集団でものを作る(社会的生産)ようになっても、この所有の方式は変わらず、作られたものの所有はその集団のオーナー(資本家)のものになる。
資本家は他の資本家に負けないように、どんどんどんどん物をつくり、機械もどんどんどんどん改良して、生産性を向上する。
3)機械の向上で労働者はへるのに、品物だけわんさか世の中にあふれる(生産の無政府状態)。
必然として恐慌が起こり社会は大混乱(現にこのころはほぼ10年周期で恐慌がおきていた)。
4)生産を秩序だてる必要性に資本家も気付く。株式会社→寡占→国家によるコントロール。
5)うーむ、ここまでくると資本家っていらなくなっちゃったなぁ・・・
ほな労働者が全部ひっくるめて面倒みましょかー(プロレタリア革命)
みんな幸せ~

まぁ現実をみるとそう上手くはいかなかったようで…残念。
結局、競争がないと働かないのよね…私達。
人間のできがもう少し進化しないと、まだまだマルクス・エンゲルスの考える理想には到達できそうにないのでありました。
うむ。

■評価

《俺》☆☆☆☆
《薦》☆☆☆


■引用(P69~ 三「資本主義の発展」より)

中世に発達していたような商品生産のもとにおいては、労働の生産物が誰に属すべきものかという問題は、おこりようがなかった。個々の生産者は、普通、彼に属する原料、時としては自家製の原料に対して、自分自身の労働手段を用い、自分自身もしくは家族の手労働で生産したのであった。彼はそれを改めて自ら取得する必要はなく、初めから彼に属した。したがって生産物に対する所有権は自己の労働に基づいていた。《中略》そこへ大作業場やマニュファクチャーにおける生産手段の集中、それの事実上の社会的生産手段への転化が出現した。それで、この社会的な生産手段と生産物は、これまでのように、個人のものであるかのように取扱われた。従来、労働手段の所有者がその生産物を取得したのは、その生産物が普通に彼自身生産した物であり、他人の補助労働は例外だったからであったのに、今やそれは彼の生産した物ではなくて、全然他人の労働の生産物であるにかかわらず、労働手段の所有者がこれまでどおりその生産物を取得することになったのである。こうなると、社会的に生産されることになった生産物を取得する人は、生産手段を現実に動かし、生産物を現実に生産する人ではなくて、資本家であった。生産手段と生産は本質的に社会的なものになった。が、それらを規制する取得形態は、個人的な私的生産を前提とする。《中略》かくして生産方法は、このような取得形態の前提をなくしたにもかかわらず、依然としてこれまでどおりの取得形態に規制されている。この矛盾こそ、新しい生産方式に、資本主義の性質を与えるものであり、この矛盾の内に現代の一切の衝突の萌芽が含まれている。

空想より科学へ―社会主義の発展 (岩波文庫 白 128-7)

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2005年03月23日

【本】文章読本

文章読本
[著者]谷崎潤一郎
[出版]中公文庫 A1-8 初1975/1 19刷1985/2 P186 ¥260 新カナ
[解説]吉行淳之介
[入手]古本屋 150
[内容](カバーより)
 正しく文学作品を鑑賞し、一行でも美しい文章を書こうと願うすべての人々の必読書。

■感想
よい文章のための技術ではなく、心構えとでもいうべき部分が書かれています。
読めばすぐに素晴らしい文章が書けるようになるわけはないのですが、美しい日本語を読むための心得はある程度得られた気がします。

記憶に残っている内容だと
曰く、日本語は欧米の言語のように文法がしっかりしていない所が長所。
曰く、過度の形容、難しい言葉はなるべく少なく、使う言葉は吟味して。
曰く、多くを語りすぎず、含蓄・余韻を大事に。
てなことが書いてあったでしょうか
はっきりいって耳が痛いです… ^^;

時代も違うのでそのまま通用するものばかりでもないのですが、本質的な部分では教えられる部分が大きかったです。

しかし、ひとかどの文筆家ってのは非常に深く考えて書いているんですねぇ

ちなみに、技術面での教授を求める方は『日本語の作文技術(本田勝一)』や『理科系の作文技術(木下是雄)』をおすすめいたします。

そういえば谷崎潤一郎の本読んだの初めてでした。
小説のほうはどうも食指が動きませんので…
HPのタイトルぱくってた癖に… ^^;

■評価
《俺》☆☆☆☆
《薦》☆☆☆

■引用(P86 「三 文章の要素」より)
そのことについて思い出しますのは、たしか佛蘭西(フランス)の或る文豪の云ったことに、「一つの場所に当て嵌まる最も適した言葉は、たゞ一つしかない」と云う意味の言がありますが、この、最適な言葉はたゞ一つしかないと云うことを、よくよく皆さんは味わうべきでありまして、数箇の似た言葉がある場合に、孰れでも同じだとお思いになるのは、考え方が緻密でないのであります。なお注意して思いを潜め、考えを凝らして御覧になると、必ず孰れか一つの言葉が、他の言葉よりも適切であることがお分かりになります。

文章読本 (中公文庫)

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2005年03月10日

【本】玉川兄弟 江戸上水ものがたり 

玉川兄弟 江戸上水ものがたり 
[著者]杉本苑子
[出版]文春文庫す-1-19 初版1994/12 ¥670 
[初出]新聞「赤旗」連載1973/4~1974/5。 単行本 朝日新聞社 1975 ※絶版
[入手]古本 初版 ¥320
[内容](カバーより)
 若年ながら包容力のある穏和な兄・庄右衛門。男気で人を集めるいな
 せな弟・清右衛門。二人を玉川上水開鑿に駆り立てたものは何か!?
 立ちはだかる自然の猛威に二度も工事中断を強いられながら、幕府
 の仕掛けた思わぬワナ、信頼する普請奉行の切腹など多くの困難を
 乗り越え、江戸に命の水をひいた兄弟の感動巨編
 
[感想]
 玉川から水不足の江戸まで上水をひっぱてきた兄弟の話です。

 工藤兄弟、吉田兄弟、堂本兄弟、LLブラザースと世に兄弟は多かれど(兄弟じゃないのも入ってますが)、兄弟界の元祖といったらなんといっても玉川兄弟ですわな。あ、蘇我兄弟のが古いか…
 
 えーたわごとはさておき、歴史・時代小説というと、史実の解説などに重きをおき、半分ノンフィクションっぽいのもありますが、この作品はかなり創作部分の比重が大きかったです。
 もっと史実に即してるほうが好きなんですが、あとがきを読むとそもそも玉川兄弟に関する資料ってのはあんまり残ってないみたいですね。
 小説に徹している分、逆に普段、現代小説しか読まない人にもとっつきやすいかもしれません。
  
 余談ですが、先日、三鷹のほうまで自転車でぷらぷら行った折に、玉川上水脇を通りましたが、お役目を終えた今はちょろちょろとしか流れていないんですねぇ…

 あれでは太宰さんもくるぶしくらいまでしかつかれなそうです…
 
 まぁそんなわけで(?)、お薦め度ちゅうくらい。

[評価]
《俺》☆☆★
《薦》☆☆☆

玉川兄弟―江戸上水ものがたり (文春文庫)
4167224208

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2005年02月25日

【本】そして誰もいなくなった

そして誰もいなくなった
[原題]TEN LITTLE NIGGERS
[著者]アガサ・クリスティ
[訳者]清水俊二
[出版]ハヤカワ・ミステリ文庫 HM1-1 P258 \280 初1976/4
[入手]古本屋 初版 \200(ヤケ)
[内容](カバーより)
 それぞれ見も知らぬ、さまざまな職業、年齢、経歴の十人の男女が、U・N・オ
 ーエンと名乗る一人の男からの招待状を手に、デヴォン州沖にあるインディアン
 島へとむかっていた。不気味な、岩だらけの島だった。やがて一行は豪奢な大邸
 宅へとついたが、肝心の招待主は姿を見せず、そのかわりに見事な食卓が待って
 いた。不審に思いながらも十人が食卓についたとき、どこからともなく古い童謡
 がひびいてきた。つづいて、十人の客たちの過去の犯罪を、一人ずつ告発してい
 く不気味な声が……!
 クリスティー、最高の異色作。

[感想]
この間、アガサ・クリスティの文庫(ハヤカワ・ミステリの赤背表紙のやつね)が妙に揃っている古本屋を見つけまして、妙に感動して最初の2冊買ってしまいました。
クリスティは数えるほどしか読んだことないんですが、本作は数少ない既読の一冊で、内容が衝撃的だったせいかガキのころに読んだわりには珍しく犯人もオチも憶えてました。
そんな状態でよんでもなかなか面白いですねぇ。

内容は今更ですが、孤島に取り残された過去に傷を持つ10人が一人ずつ消えていく…というアレです。
わたしゃ、屋敷の見取り図がでてきて「作者から読者に挑戦!」みたいなのより、こういうやつのがいいねぇ。
見立て殺人はそんなに興味を惹かれないけどね。

未読な人には是非おすすめ。
フォロワーの作品読み慣れちゃってると、ちょっと淡白に感じるかもしれませぬが…

ちなみに映画化もされてるんですが、内容が少し小説とは違っていて、「そして誰もいなくな…ってないじゃんよーー!」とつっこみたくなる結末でした。
脚本家が勝手に変えたのかと思ってたら、舞台版のためにクリスティが別の結末をつくって、それが映画化されたってのが本当みたいです(あとがきに書いてあった)。

それにしても原題は「ちび●サンボ」なみに際どいな…(というか今なら完全にアウトか…)

[評価]
《俺》☆☆☆★
《薦》☆☆☆★

新装版↓
そして誰もいなくなった (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

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2005年02月24日

【本】寺田寅彦随筆集 第二巻

寺田寅彦随筆集 第二巻
[著者]寺田寅彦
[編者]小宮豊隆
[出版]岩波文庫 緑37-2 P304 \400 初版1947/9 改版(22刷)1964/1
[入手]古本屋 \250 46刷 1983/5 

[感想]
 半年前ばかりに読んだ第一巻につづいて第二巻。
 前作、同様、文学と科学の調和といいますか、文系文章と理系文章の理想的な一体化といいましょうか。
 とにかく、理系出身の私にはとかく見習いたいところです。 
   
[評価]
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆★

[引用](P91 「子猫」より)
 私は猫に対して感ずるような純粋なあったかい愛情を人間に対していだく事のできないのを残
念に思う。そういう事が可能になるためには私は人間より一段高い存在になる必要があるかもし
れない。それはとてもできそうもないし、かりにそれができたとした時に私はおそらく超人の孤
独と悲哀を感じなければなるまい。凡人の私はやはり子猫でもかわいがって、そして人間は人間
として尊敬し親しみ恐れはばかりあるいは憎むよりほかはないかもしれない。

寺田寅彦随筆集 (第2巻) (岩波文庫)

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2005年02月21日

【本】磁力と重力の発見 1 古代・中世

磁力と重力の発見 1 古代・中世
[著者]山本義隆
[出版]みすず書房 \2940 P394 初2003/5
[入手]新刊(bk1) 11刷2004/3

[内容](カバーより)
近代物理学成立のキー概念は力、とりわけ万有引力だろう。天体間にはたらく重力を太陽系に組み込むことで、近代物理学は勝利の進軍の第一歩を踏み出した。
ところが、人が直接ものを押し引きするような擬人的な力の表象とちがって、遠隔作用する力は〈発見〉され説明されなくてはならなかった。遠隔力としての重力は実感として認めにくく、ニュートンの当時にも科学のリーダーたちからは厳しく排斥された。むしろ占星術・魔術的思考のほうになじみやすいものだったのである。そして、古来ほとんど唯一顕著な遠隔力の例となってきたのが磁力である。
こうして本書の追跡がはじまる。従来の科学史で見落とされてきた一千年余の、さまざまな言説の競合と技術的実践をたどり、ニュートンとクーロンの登場でこの心躍る前=科学史にひとまず幕がおりるとき、近代自然科学はどうして近代ヨーロッパに生まれたのか、その秘密に手の届く至近距離にまで来ているのに気づくにちがいない。

[感想]
駿台時代の恩師(と勝手に思っている)山本先生の本です。
思えば高校時代にこの先生とファインマンの本に出会ったせいで…じゃなくて、おかげで、物理の道を選んだんですなぁ。
根気とセンスのどっちも欠けていたせいで、学究の道から遠ざかって久しいですが、いまでも物理の道を選んだことは後悔してませんぞ。
大学に女子がすくないくらなんぼのもんぢゃーい (`_´メ)

閑話休題

みすず書房のハードカバーなんて読むのは大学以来ですが、いやはや、実に面白いですは、この本。
久々に知的興奮といっていいような感覚味わいました、脳みその普段使ってないところに久々に血が廻った感じ。

本作は全3巻の第1巻目で、ギリシャ時代から中世ヨーロッパの主に磁力の解釈のされ方に焦点があてて描かれています。
ある程度の教育を詰め込まれた今にしてみれば当然のように思ってますが、子供のころは「磁石が鉄を引き寄せる」って現象はとっても不思議でしたよね。
同じことを賢い先人達も考えて、ありったけの知恵と知識を駆使して、その現象を説明しようとしているのですよ。なかなか皆さんいろんなこと考えてらっしゃって、そこが面白い。

タイトルどおり、「磁力と重力」という遠隔力の発見を主題に書かれてはいますが、科学史の入門書としても最適かもしれない。
科学史の本ってのはとかく、ギリシャ時代を描いたあとはルネッサンまでひとっとびするもんですが(たいして読んだことないくせに断定してます)、この本では従来無進歩とされ割愛されていた、キリスト信仰下の中世も丁寧に光を当てていて、新鮮。

難しそうなテーゼですが、駿台での授業と一緒にわかりやすいです。
文章の論理構造がすっきりしすぎ!
理路整然とはこういうことをいうのだねぇ。
(全共闘世代(っていうか議長だったけど)だけあって(?)ちょっと難しい言葉なども使われたりするんですが、ほとんど前後の文脈から判断できます。)
普段、真逆の文章を書きつづけている身にはちとまぶしすぎましたわい。

理系の諸君にはかなりお薦め。
文系諸兄にはわずかばかりハードルが高い気もしますが、哲学史とか学んだことある人なら、少なくとも1巻はおもしろく読めると思います。

まぁちょっと高いので、買うのは図書館ででも探して味見してからのほうがいいかもしれませんが。

ひさびさに長文かいたら、手が寒い…

[評価]
《俺》☆☆☆☆
《薦》☆☆☆

[引用] (磁気学の始まり-古代ギリシャ P54~)
 古代ギリシャは、遠隔的に作用するように見える磁力を原子論やプラトンのように眼に見えない物質の近接作用に還元するか、それともタレスのように霊的で生命的な働きとみるか(物活論)、その二通りの路線において磁力を説明するという思想をはじめて産み出し、その意味「力の発見」の第一歩を踏み出した。

磁力と重力の発見〈1〉古代・中世

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2005年01月25日

【本】ソクラテスの弁明・クリトン

ソクラテスの弁明・クリトン
[著者]プラトン
[出版]岩波文庫 青601-1 P88 \200 初1927/7 改23刷 1964/8
[入手]ブックオフ \100 57刷 1988/7
[内容](カバーより)
 自己の所信を力強く表明する法廷のソクラテスを描いた「ソクラテスの弁明」、不正な死刑の宣告を受けた後,国法を守って平静に死を迎えようとするソクラテスと,脱獄を勧める老友クリトンとの対話よりなる「クリトン」。ともにプラトン(前427-347年)初期の作であるが,芸術的にも完璧に近い筆致をもって師ソクラテスの偉大な姿を我々に伝えている.

■感想
なんなんだこの高潔さは!
言行一致の極みのようなおっさんやで。

「ソクラテスの弁明」はほとんどモノローグで
「クリトン」は老友クリトンとのダイアローグ
なんですが、どちらもドラマがヒシヒシと伝わってきます。

面白かったわぁ

さらっと読めるわりに奥がずずっと深いので、
哲学の本とか堅く考えずに是非よんでみてくだせい。

■評価
《俺》 ☆☆☆☆
《薦》 ☆☆☆☆

ソクラテスの弁明・クリトン (岩波文庫)

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2005年01月20日

【本】オー・ヘンリー傑作選

オー・ヘンリー傑作選
[著者]オー・ヘンリー
[訳者]大津栄一郎
[出版]岩波文庫 赤330-1 初(1979/11) \400 P253
[入手]ブックオフ \100 17刷(1988/5)
[内容](カバーより)
 
■感想
いやはや、今更ながら初めてちゃんと読んだなぁ

なんとなく知っている話が多いのだけれども、オリジナル(っても訳文ですが)を読むと意外と新鮮であったりしますねぇ

「最後の一葉」なんかも、なんとなく「可哀想な幼い少女のために老画家が…」ってなイメージで捉えてたけど、微妙に違うのね。

必ずしもいい話ばかりでもないんですが、サキなんかと違って全篇通して人生に肯定的な優しさが感じられました。

今更すぎて特にお薦めはしませんが… ^^;

どうでもいいけど、オー・ヘンリーって本名じゃないのね。

■評価
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆


■引用(P246 「伯爵と結婚式の客」より)
 若者の悲しみと老人の悲しみの違いは、こうだ。若者の重荷はだれかと分かち持てばそれだけ
軽くなるが、老人はどんなに人に分け与えても、同じ悲しみが残るのだ。

オー・ヘンリー傑作選 (岩波文庫 赤 330-1)

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2005年01月01日

【本】タイタンの妖女

タイタンの妖女
[原題]THE SIRENS OF TITAN
[著者]カート・ヴォネガット・ジュニア
[出版]早川文庫 SF262 初1977/10 \480 P340 ※絶版※
[入手]古本屋(羊頭書房)\300 10刷(1988/7)
[内容](カバーより)
 時空を越えたすべての時と場所に存在するウィンストン・N・ラムファードは、もは
 や神のごとき全能者になっていた。だが、無言の神と違い、彼は戦いに明け暮れる人
 類の未来を救おうと実際にその計画に手をくだしたのである。そして、その計画に操られ
 た受難者こそ、全米一の大富豪マラカイ・コンスタントであった。悲惨な運命に翻弄
 され、星から星へ流浪する彼の使命とはなにか?最後の目的地タイタンがその謎を
 解明するはずであったが、それは人類にとりあまりにも皮肉な終幕となったのだ!
 心優しきニヒリスト、注目の作家ヴォネガットが、ブラックな味わいで描いた傑作。


[感想]
祝・ホイヘンス タイタン着陸記念。

と狙ったわけじゃないんですが、古本屋でめっけたもんでたまたま読んでました。

昔はねぇSFばっか読んでたんですけどねぇ
最近はめっきりで、たまに読んでも昔読んだのばっかしでやんす。
ヤレヤレ…

コアなファンがついてそうなカート・ヴォネガット・Jrですが、
個人的には同じジュニアでもジェームズ・ディプトリー・Jrのが好きだったりします。
どういう基準で較べてるのかよくわかりませんが…

はてさて、有名すぎて、いまさら下手な感想書くのも恥ずかしいんですが、このスケール感はすごいねぇ

前に読んだときには、よくわからんけど文明やら宗教諷刺がこめられてんのかなぁと思ってましたが、今回読んで・・・・・・相変わらずよくわからず~。

余談ですが、爆笑の太田がこの本好きで、事務所の名前にタイタンってつけたってのは(そこそこ)有名な話。

あ、あと、天国にいる誰かさんは俺のこともきにいってくれてないかなぁ

[評価]
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆★

タイタンの妖女 (1977年) (ハヤカワ文庫―SF)

新装版が出たみたい↓
タイタンの妖女 (ハヤカワ文庫SF)

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2004年12月22日

【本】ワンダフル・ライフ バージェス頁岩と生物進化の物語

ワンダフル・ライフ バージェス頁岩と生物進化の物語
[著者]スティーヴン・ジェイ・グールド
[訳者]渡辺政隆
[出版]早川文庫 NF236 \940 P571 初2000/3
[入手]古本屋 \600
[内容](カバーより)
 1909年、カナダで5億年前の不思議な化石小動物群が発見された。
 当初、節足動物と思われたその奇妙奇天烈、妙ちくりんな生きもの
 たちはしかし、既存の分類体系のどこにも収まらず、しかもわれわ
 れが抱く生物進化観に全面的な見直しを迫るものだった……100点
 以上の珍しい図版を駆使して化石発見と解釈にまつわる緊迫のドラ
 マを再現し、歴史の偶発性と生命の素晴らしさを謳いあげる、進化
 生物学の旗手グールドの代表作。

[感想]
 どうも、この地球ではカンブリア紀の始まりにいっきに多種多様の多細胞生物が、わっと増えたらしいのですよ。 (生物がわっと増えたところで先カンブリアとカンブリアを分けているといったほうが正確なのかも。)
 で、この本がとりあげるバージェス頁岩ってのは、その直後の化石群のことで、これが骨だけじゃなくて内部の構造も残していて(ペッタンコなんですが)なかなか興味深いんですわ。
 
 復元画でみるとどいつもナウシカの腐海にいそうな奇妙奇天烈な姿形なんですが、興味深いのは外見よりもそいつらの中に現存種の分類体系から根本的にはずれてる(ように見える)やつがわんさかいる点のようです。
 (まぁ、あとがき読むと、この本が出た後の研究でその辺りもまた変わっては来ているようですが)

 で、その研究結果から導かれる進化のシナリオってのが、地球上の生命は最初にものすごい多様性があったのだけれども、その中のいくつを残してあとは絶滅して、たまたま生き残ったやつが再びいろいろと枝分かれしていったというモデル…っと作者は考えていて。
 だから、いま人類が進化の頂点にいるのはなんも必然でなくて偶然で、進化のテープをカンブリアまで巻き戻して再生したら、今度はどんな展開するかはわからんぞと熱心に主張してます。
 どうも、キリスト教圏のアメリカでは、人類進化は必然って考えが根深いみたいでねぇ、くどいくらいに上の結論にこだわってるんだよねぇ。
 日本人からすると(すくなくとも私は)、このオッサン(失礼)の理屈も結構普通に「まぁそうかもねぇ」と思えちゃうんですけどね。
 
 まぁ全体的にかなり個性的な文章(特に話の展開の仕方が)で好き嫌いはわかれるかとも思いますが、古生物博物学(?)の世界に触れるには非常にいい本だと思います。

 4章はなんかどうでもいい話だったんで飛ばし読みしました。。

[評価]
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆★

ワンダフル・ライフ―バージェス頁岩と生物進化の物語 (ハヤカワ文庫NF)

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2004年12月03日

【本】学生街の殺人

学生街の殺人
[著者]東野圭吾
[出版]講談社文庫 ひ17-3 \750 P482 初1990/7
[初出]単行本(1987/6)
[入手]32刷(2004/1)
[内容](カバーより)

[感想]
喰わず嫌いをしていたわけでもないんですが、この作者の本読むの初めてです。
読みやすいし、オチもきちんとしてるしで、おすすめ。

[評価]
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆☆

学生街の殺人 (講談社文庫)

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2004年12月01日

【本】怪談 -不思議な事の研究と物語-

怪談 -不思議な事の研究と物語-
[著者]ラフカディオ・ヘルン
[出版]岩波文庫 ¥80 P173 初1940/10 8刷(1951/6) 絶版中
[入手]古本屋 \125 
[内容](HPより)
 日本を終生愛してやまなかったハーン(一八五〇―一九〇四)が我が国古来の文献や民間伝承に取材して創作し
 た短編集.『怪談』は俗悪な怪奇小説の類から高く抜きんでて,人間性に対する深い洞察力につらぬかれている.
 有名な『耳なし芳一のはなし』『雪おんな』など十七編の他に『虫の研究』三編を収めた.

[感想]
 怪談といっても、怖い話ではなくて、不思議な話なのだな。
 「耳なし芳一」やら「雪をんな」もよいのですが、個人的に「をしどり」ってが気に入りました。
 あと、「怪談」じゃねーんだけど、併録の「蟲の研究」が結構おもしろかったぞえ。
 
[評価]
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆

[引用](P84 「雪をんな」より)
 かう叫んでゐるうちに、お雪の聲は次第に風のひゞきのやうに細くなつて行き、やかてその姿
が白くきらめく霧となつて屋根の棟木の方へのぼつて行くと見る間に、引窓から顫(ふる)ふがごとくに
消え去つて行つた。それきり、お雪の姿は再び見ることが出來なかった。


改訂版↓
怪談―不思議なことの物語と研究 (岩波文庫)

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2004年11月30日

【本】何だかんだと

何だかんだと
[著者]ナンシー関
[出版]角川文庫 P193 \438 初2004/11
[初出]雑誌連載「噂の真相」等  、単行本 世界文化社 2002/11
[入手]新刊(初版)
[内容](カバーより)
 野口五郎&三井ゆり結婚式の「しょっぱさ」の理由、広末涼子の値崩れぶりにみる悲哀、バ
 ラエティ番組における橋田壽賀子の邪魔者感、石田純一の「とんちんかん」のルーツ、渡辺満里
 奈の「台湾通宣言」に潜む意図とは……。
 世紀をまたいでテレビ界をめった斬り!さらに芸能人のホームページも斬りまくり!21世
 紀を迎えても、やっぱりテレビは「とほほ」でした。天下無双のテレビ批評第7弾!!

[感想]
 相変わらず切れ味するどいですなぁ
 毎度毎度同じこと言うのもなんですが、
 やっぱりつくづく惜しい人をなくしたのぉ

[評価]
《俺》☆☆☆★
《薦》☆☆

何だかんだと (角川文庫)

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2004年11月29日

【本】たのしいムーミン一家

たのしいムーミン一家
[著者]ヤンソン
[訳者]山室静
[出版]講談社文庫 や16-1 \448 P233 初1978/4
[入手]新刊 ヴィレッジ自由ヶ丘店
[内容](カバーより)
 長い冬眠からさめたムーミントロールと仲よしのスナフキンとスニフが、海ベリの山の頂上で黒いぼうしを発見。ところが、それはものの形をかえてしまう魔法のぼうしだったことから、次々にふしぎな事件がおこる。国際アンデルセン大賞受賞のヤンソンがえがく、白夜のムーミン谷のユーモアとファンタジー。
 
[感想]
 先日、北欧旅行した友人にムーミン柄のネクタイをもらいましでん。
 で、そういえば、学生時代にK村君がムーミンは大人の鑑賞に堪える名作だと力説していたなぁと思い出して、本屋で買ってきました

 なるほど、これは大人でも十分おもしろいですわい。
 魅力的な登場人物(人じゃないけど)の数々がいいですねぇ

 ちなみに、絵も本人が描いているそうです。
 
 あと、昔みてたアニメとは微妙にキャラ設定が違ってたりしてます
 スナフキンがムーミン達と無邪気に遊んでいたりと…

 あぁ、ムーミン谷に住みたい…
 
[評価]
《俺》 ☆☆☆
《薦》 ☆☆☆


[引用]
 ムーミン谷に、もう秋がきたのでしょうか。でも、それでなくては、春はまためぐってきませんものね。

たのしいムーミン一家 (講談社文庫 や 16-1)

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2004年11月25日

【本】江戸川乱歩全集 第2巻 パノラマ島綺談

江戸川乱歩全集 第2巻 パノラマ島綺談
[著者]江戸川乱歩
[出版]光文社文庫 \1000 P678 初版(2004/8)
[入手]新刊 初版
[収録作品]
 闇に蠢く 湖畔亭事件 空気男 パノラマ島綺譚 一寸法師
 自作解説 解題 注釈 解説 長編作家乱歩の誕生/新保博久

[感想]
 先日読んだ乱歩の文庫全集の第2巻。
 前巻は短編を集めていましたが、本巻は最初期の長編を収録。
 内容も段々と猟奇色が濃くなってきました…
 しかし完成度というと、いやはや、これがどうにもこうにも…
 「闇に蠢く」から「空気男」は、本人も認めているとおりいきあたりばったりの展開で、最後は無理矢理辻褄合わせだったり、未完だったりと、若気のいたり臭ぷんぷん。
 まぁ選集にははいらなそう作品なんで、こんなん読めるのも全集ならではかな。
 「パノラマ島~」と「一寸法師」は有名なだけあって、比較的まとまっております。
  
 なかでも「パノラマ島」は乱歩好きの素質があるかどうかのリトマス試験紙のような作品だねぇ
 この話気に入ったら、あとはもう全集全巻そろえてくださいな。

 わたしゃちょっとイマイチだったりするんですけんども…
 
 結論、やっぱり横溝派だな、俺は。

[評価]
《俺》☆★
《薦》☆

パノラマ島綺譚―江戸川乱歩全集〈第2巻〉 (光文社文庫)

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2004年11月20日

【本】戦争と平和(四)

戦争と平和(四)
[著者]トルストイ
[訳者]米川正夫
[出版]岩波文庫 赤618-4 \450 P544 改版1刷 1984/11
[入手]祖父蔵書(1984/12/5 丸善)
[内容](カバーより)
 ナポレオンの大軍もついにロシヤの大地を潰走してゆく――。トルストイが創作力・生活
力ともにもっとも充実しきった最良の時期に五年にわたって書きつづけたこの叙事詩的巨編
には、全篇を通じて作者の生命讃美、人生肯定の思想がみなぎっている。

[感想]
 ついに終りました。
 ナポレオンはロシアの焦土作戦と冬将軍に敗れたと単純に思ってましたが、本作では随分違った描かれ方してました。
 エピローグの第2章では作者の歴史観・人間観がたっぷりと書いてあるので興味のある人はそこだけ読んでも面白いかも。
 
 ロシア文学に対する喰わず嫌いも解けたので、またこんどなんか読んでみますわ―
 次はイワンの馬鹿あたりかなぁ
 敷居低っ!
 
[評価]
《俺》☆☆☆★
《薦》☆☆☆★

藤沼貴の新訳版になったようです↓
戦争と平和〈4〉 (岩波文庫)

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2004年11月05日

【本】戦争と平和(三)

戦争と平和(三)
[著者]トルストイ
[訳者]米川正夫
[出版]岩波文庫 赤618-3 \500 P622 改版1刷 1984/10
[入手]祖父蔵書(1985/2/20)
[内容](カバーより)
1812年、ナポレオンの大軍は怒涛のごとくロシヤの曠野になだれこんだ。ボロジノ平
原に衝突した両軍の凄絶な戦いに、ロシヤ民族の底に秘められたたくましい力は、ついに
常勝のフランス軍を打ち破るが、激戦のさなか、アンドレイは砲弾に倒れる。

■感想
遂にフランス軍がロシヤに侵入し、モスクワまで迫る。
それぞれの人生を抱えながら、否応無く戦火に巻き込まれていくお馴染みの面々。

戦争の趨勢を軍を指導する英雄に帰納させず、全ての人間の衝動の必然と見る著者の歴史観が強く現れてきました。
頷く部分多し。

■評価
[評価]
《俺》☆☆☆☆
《薦》☆☆☆★

■引用(P12)
 人間は意識的には自己のために生活している。けれど歴史的、全人類的目的を達するためには、
無意識的な道具となって働いている。いったん行われた行為は二度とかえらない。そして時間
のなかで、他人の数限りなき行為と合して、一つの歴史的意義をおびてくる。人間は社会的階段
の高みに昇れば昇るだけ、また多くの人に結び合わされればされるだけ、ますます他人に対して
権力を持ち、その行為の決定性と必然性とがますます明瞭になる。
 「王者の心は神の掌中にあり。」
 王は――歴史の奴隷である。
 歴史、すなわち人類の無意識的、社会的、集団的生活は、王の生活のあらゆる瞬間を自分のた
め、自分の目的を達するための道具として用いるものである。

藤沼貴の新訳版になったようです↓
戦争と平和〈3〉 (岩波文庫)

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【本】辞書はジョイスフル Let's En-joyce in Dictionaries

辞書はジョイスフル Let's En-joyce in Dictionaries
[著者]柳瀬尚紀
[出版]新潮文庫 や-41-1 \440 P275 初1996/7
[初出]単行本刊行 1996/8 TBSブリタニカ 
[入手]古本屋 \220 初版

[感想]

いきなりですが、ジェイムズ・ジョイスってふアイルランドのおっさんが書いた
「フィネガンズウェイク」っちゅう、ものごっついわけわからん本がありましてね。
これが、もういろんな言語が入り乱れ、アナグラムに地口に掛詞にと、えらく複雑怪奇な文章らしくて
、翻訳は不可能と言われてたんだそうですわ。
おれが大学のころ、それの完訳版が出版になって、結構話題になったのをなんとなく憶えております。

どうでもいいけど、翻訳不可能とか映像化不可能ってよく言うけど、
実際、翻訳したり映像化される前に云われてたのきいたことないな。

閑話休題

で、その翻訳をした人がこの本の著者。

辞書好きの辞書愛に満ち満ちた本です。
私もわりと好きなほうなので、影響されて、おもしろそうな辞書一冊注文してまいました…(述語本位英和辞典) ^^;

辞書好きにはお薦め。

[評価]
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆


[引用](P86)
 辞書は、引くだけでなく読むものだ。

辞書はジョイスフル (新潮文庫)

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2004年10月26日

【本】戦争と平和(二)

戦争と平和(二)
[著者]トルストイ
[訳者]米川正夫
[出版]岩波文庫 赤618-2 \500 P611 改版1刷 1984/9
[入手]祖父蔵書(1984/10/9 丸善)
[内容](カバーより)
 講和が結ばれ束の間の平和がロシヤに訪れた。人生の懐疑から領地へ引きこもったアンド
 レイも、生気あふれる少女ナターシャと出会い、ふたたび青春の血がもえるのをおぼえる。
 一方親友のピエールは、重なる精神的危機に救いを求めて宗教の門をたたく。

■感想
第一部からうってかわってペテルブルグとモスクワ(当時はやや田舎)の話が中心。

ナポレオンとアレクサンドル皇帝も束の間の蜜月関係を続けます。
歴史的には嵐の前の静けさかもしれませんが、人間関係はメロドラマ的に(失礼)に渦巻いてるんだな、これが。

再び愛に目覚めたボルコンスキィ伯爵

あいかわらず熱血バカのニコライ・ロストフ
その妹の夢見るバカ少女のナターシャ
悪いやつじゃないんだけど、真性(神聖)バカのピエール
ろくでもない色バカのアナトーリ
主要キャラではないけど単にバカなベルグ

いろんな人が絡まりあって
いよいよ次巻で運命の1812年を迎えるわけですな。

■評価
《俺》☆☆☆★
《薦》☆☆☆★

藤沼貴の新訳版になったようです↓
戦争と平和〈2〉 (岩波文庫)

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2004年10月25日

【本】河鍋暁斎戯画集

河鍋暁斎戯画集
[編者]山口静一 及川茂
[出版]岩波文庫 青560-1 \670 P324 初版(1988/8)
[入手]古本屋 \470 5刷(1993/11)
[内容](カバーより)
 葛飾北斎を師と仰ぎ、幕末から明治中期にかけて活躍した反骨の絵師、河鍋暁斎(1831―89)
 の戯画集。頑固な旧弊と皮相な文明開化を痛烈に諷刺した暁斎の戯画には、健康な笑いと
 新時代の息吹があふれ、当時、東京名物の一つとして人気を博した。代表作を満載。

[感想]

上に書いてあるとおりの本です。
まぁ画集なんで特に書くことも無いんですが、こんなのをぱらぱら見てるの好きなんですわ。

ただ、文庫なんでねぇ
小さいしモノクロなんだよねぇ

もそっと大判で総天然色なもんないもんかなぁ…

と、おもって探してみたら…発見!

河鍋暁斎画集 全3巻  六耀社
http://www.jbook.co.jp/product.asp?isbn=4897372038

えー定価が…
に、にじうまん!!

やっぱ文庫がいいや ^^;

[評価]
《俺》☆☆★
《薦》★

河鍋暁斎戯画集 (岩波文庫)

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2004年09月20日

【本】寺田寅彦随筆集 第一巻

寺田寅彦随筆集 第一巻
[著者]寺田寅彦
[編者]小宮豊隆
[出版]岩波文庫 緑37-1 P296 \600 初版1947/2 改版(28刷)1963/10
[入手]新刊 87刷2003/2
[内容](カバーより)
 寺田寅彦(1878-1935)の随筆は芸術感覚と科学精神の希有な結合から生まれ、それらが
 みごとな調和をたもっている。しかも主題が人生であれ自然であれ、その語り口からはい
 つも暖かい人間味が伝わってくる。寅彦を知ること深い小宮豊隆が選び五冊に編んだ。

[感想]
 良かった!!
 上記の内容を繰り返すだけになっちゃいますが、素晴らしい科学と芸術の調和。
 理科系人間でもここまでの文学性を獲得し得るのかと感心至極。
 個人的にやぁ辿り着きたい理想の文章といっても過言でないかも。
 
 随筆ってのは、今まで箸休め的に読むことが多かったんですが、
 この人のはメインディッシュでしたねぇ、満腹、満腹。
 
 この間2巻を古本屋でみつけたので買ってきました。
 
 ちなみに著作権は切れているの、青空文庫でいろいろ読めます。
 興味のある方はどうぞ。
 青空文庫(寺田寅彦作品リスト)

[評価]
《俺》☆☆☆★
《薦》☆☆☆

[引用](P118 「病室の花」より)
 三週間余り入院している間に自分の周囲にも内部にもいろいろの出来事が起こった。いろいろ
の書物を読んでいろいろの事も考えた。いろいろの人が来ていろいろの光や影を自分の心の奥に
投げ入れた。しかしそれについては別に何事も書き残しておくまいと思う。今こうしてただ病室
をにぎわしてくれた花の事だけを書いてみると入院中の自分の生活のあらゆるものがこれで尽く
されたような気がする。人が見たらなんでもないこの貧しい記録も自分にとってはあらゆる忘れ
がたい貴重な経験の総目次になるように思われる。

寺田寅彦随筆集 (第1巻) (岩波文庫)

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2004年09月15日

【本】日本の選択9 「ヒトラー」に派遣されたスパイ

日本の選択9 「ヒトラー」に派遣されたスパイ
[編者] NHK取材班
[出版] 角川文庫ん3-11 \480 P234 初(1995/8)絶版
[入手] 古本屋(ナンタマ) ¥220 初版
[内容](カバーより)
 日独防共協定――国際連盟を脱退し、世界の孤児となった日本とナチス・ドイツの同盟。緊迫
 の続く国際外交の舞台裏では、常に何層幾重もの思惑が交差し、権謀術数が行き交う。誰が、ど
 のように仕組んだのか。普段は巧妙に糊塗されたものが、ある時僅かな綻びを見せ、歴史の背
 景が顔を出す。
 ハックもクリビッキーも、そしてゾルゲも、それぞれの信ずるものに導かれ、悲劇の歴史を駆
 け抜けた。

[感想]
 ソ連への牽制として日本との協定を必要としたドイツのために、日独接近の立役者となったドクター・ハック。
 その日独の防共協定の行方を探るべく暗躍したソレンのクリビッキー
 かのゾルゲ同様、彼らも 互いに信念に基づき諜報活動を行い、やがて信じた祖国から背信していく…
 ってな内容ですな。
 
 NHKスペシャルの書籍化なんですが、NHKのドキュメンタリー作成の経緯が垣間見えて面白い
 何かと評判の悪い昨今ですが、取材のフットワークの軽さと、信頼に裏打ちされた取材力の強さは
 なかなか民法には真似の出来ないところだねぇ
 あくまで一次資料を追求する姿勢は立派(当たり前か…^^;)

 歴史となってから振り返ってみると、日独防共協定はやはり世界大戦突入への大きな一里塚だったんだね。
 その舞台裏が上記の二人のスパイを中心に描かれていて面白い。
 
 正規外交ルート(外務省)シカトで、対独協調を推し進める陸軍
 と慎重な海軍、そして真っ向から反対する駐英大使 吉田茂(お!)。
 
 歴史の必然だったのかもしれませんが、この協定を機に日本は破滅を突き進んでしまったのかも知れません。
 
 薄くて読みやすいので、ノンフィクション苦手な人にもお薦め。
 
[評価]
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆☆

[引用](P221 スパイたちがたどった道 より)
  日章旗とハーケンクロイツ、ともにおよび腰ではじめた日独防共協定であった。そして
 締結当時は、米英を敵にまわすことになろうとは夢想だにしなかった日独両国であったが、
 ついには国家の破滅にまでいたる。まんさにこれは、ナチス・ドイツと日本の軍部独裁によ
 る、素人外交がもたらした悲劇であった。
 
日本の選択〈9〉「ヒトラー」に派遣されたスパイ (角川書店)
日本の選択〈9〉「ヒトラー」に派遣されたスパイ (角川書店)

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【本】日本の選択9 「ヒトラー」に派遣されたスパイ

日本の選択9 「ヒトラー」に派遣されたスパイ
[編者] NHK取材班
[出版] 角川文庫ん3-11 \480 P234 初(1995/8)絶版
[入手] 古本屋(ナンタマ) ¥220 初版
[内容](カバーより)
 日独防共協定――国際連盟を脱退し、世界の孤児となった日本とナチス・ドイツの同盟。緊迫
 の続く国際外交の舞台裏では、常に何層幾重もの思惑が交差し、権謀術数が行き交う。誰が、ど
 のように仕組んだのか。普段は巧妙に糊塗されたものが、ある時僅かな綻びを見せ、歴史の背
 景が顔を出す。
 ハックもクリビッキーも、そしてゾルゲも、それぞれの信ずるものに導かれ、悲劇の歴史を駆
 け抜けた。

[感想]
 ソ連への牽制として日本との協定を必要としたドイツのために、日独接近の立役者となったドクター・ハック。
 その日独の防共協定の行方を探るべく暗躍したソレンのクリビッキー
 かのゾルゲ同様、彼らも 互いに信念に基づき諜報活動を行い、やがて信じた祖国から背信していく…
 ってな内容ですな。
 
 NHKスペシャルの書籍化なんですが、NHKのドキュメンタリー作成の経緯が垣間見えて面白い
 何かと評判の悪い昨今ですが、取材のフットワークの軽さと、信頼に裏打ちされた取材力の強さは
 なかなか民法には真似の出来ないところだねぇ
 あくまで一次資料を追求する姿勢は立派(当たり前か…^^;)

 歴史となってから振り返ってみると、日独防共協定はやはり世界大戦突入への大きな一里塚だったんだね。
 その舞台裏が上記の二人のスパイを中心に描かれていて面白い。
 
 正規外交ルート(外務省)シカトで、対独協調を推し進める陸軍
 と慎重な海軍、そして真っ向から反対する駐英大使 吉田茂(お!)。
 
 歴史の必然だったのかもしれませんが、この協定を機に日本は破滅を突き進んでしまったのかも知れません。
 
 薄くて読みやすいので、ノンフィクション苦手な人にもお薦め。
 
[評価]
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆☆

[引用](P221 スパイたちがたどった道 より)
  日章旗とハーケンクロイツ、ともにおよび腰ではじめた日独防共協定であった。そして
 締結当時は、米英を敵にまわすことになろうとは夢想だにしなかった日独両国であったが、
 ついには国家の破滅にまでいたる。まんさにこれは、ナチス・ドイツと日本の軍部独裁によ
 る、素人外交がもたらした悲劇であった。
 
日本の選択〈9〉「ヒトラー」に派遣されたスパイ (角川書店)
日本の選択〈9〉「ヒトラー」に派遣されたスパイ (角川書店)

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2004年09月01日

【本】生ける屍の死 (DEATH OF THE LIVING DEAD)

生ける屍の死 (DEATH OF THE LIVING DEAD)
[著者]山口雅也
[出版]創元推理文庫 \980 P650 初1996/3
[入手]古本屋 \500 12刷(2000/2)
[内容](カバーより)
 ニューイングランドの片田舎で死者が相次いで甦った! この怪現象の中、霊園経営者一族の上に殺人者の魔手が
 伸びる。死んだ筈の人間が生き還ってくる状況下で展開される殺人劇の必然性とは何なのか? 自らも死者となった
 ことを隠しつつ事件を追うパンク探偵グリンは、果たして肉体が崩壊するまでに真相を手に入れることができるか?
 著者会心の長編第一作、全面改稿による待望の文庫化。

■感想
推理小説です…がっ、世紀末なもんで(?)世界各地で死人が生き返っちゃってるって状況下。
そもそも探偵役の主人公からして真っ先に死んじゃってて・・・ ^^;

設定はジョージ・ロメロばりだけど、中身は真っ当な本格トリック謎解き小説。
ラストは関係者(死者含む)集っての名探偵(死人)の犯人当てシーンもあり!

ただ、俺は筋追うだけで、謎とか解いたりしないので、謎やら伏線とかちょっとうるさかったかな…
(そんなヤツが推理小説読むなっつの… ^^;)

でも、まっとうな推理小説好きにはかなり評判いいみたいです。
(何年か前の「このミス」のここ10年の国内1位でした)

ちょっと厚いですが、苦にならない人にはお薦め。

『死』にまつわるウンチクがいっぱい出てくるんですが、
全篇通してスラップスティックな雰囲気が漂っているんで、
全然、辛気くさくなかったっす。
個人的には小栗虫太郎ばりにオドロオドロしてるほうが好みかも

あ、アメリカの葬儀にちょっと詳しくなったぞ。
あっちでは、埋葬する前にエンバーミングっちゅう、死体長持ちさせ術を施して暫く生者とご対面できるようにしておいてから、埋葬(基本的に土葬)するそうな。
国土が広いから、遠くから縁者が来るまで死体を持たせておかなきゃいけなかったんですなぁ

うむうむ。

■評価

《俺》☆☆☆
《薦》☆☆☆

■引用(P616 第32章 生ける屍の死 より)

「死者が次々に蘇るこのおかしな状況の中で、なぜ、犯人は殺人などという無駄なことをした
のか?――俺たちは、こいつをまず考えなきゃならなかったんだ」

生ける屍の死 (創元推理文庫)

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2004年08月25日

【本】江戸川乱歩全集 第1巻 屋根裏の散歩者

江戸川乱歩全集 第1巻 屋根裏の散歩者
[著者]江戸川乱歩
[出版]光文社文庫 \1000 P651 初版(2004/7)
[入手]新刊 『江戸川乱歩と大衆の20世紀展』会場にて購入 初版
[内容](光文社HPより)
 何をやって見ても、一向この世が面白くない。そんな男が発見した最後の楽しみ。それは屋根裏を歩きまわり、他人に見せない醜態をのぞき見ることだった。淫靡な快楽の虜となった男が、ついには完全犯罪を目論むが!? 表題作の他、「二銭銅貨」「D坂の殺人事件」「人間椅子」など最初期の傑作群を収録。

[感想]
 池袋の東武で上記の展示会やってたんで見に行ってきまして、そんときに物販のところで、文庫の全集が出てるのを始めて知りまして、とりあえず1巻目かってきたわけです。
 時系列順に収録しているので、最初期の作品郡になります。
 この辺りは結構読んでるつもりだったんですが、半分以上初読でした、さすが全集。

 一編ごとに自作解説があわせて収録されてるんで、それを書いたときの背景や思いなどがわかって面白いねぇ。
 (おもしろいなぁとか思ってた読んでたのが愚作とか書かれてたりもするけど ^^;)
 
 ただ旧字旧カナで当時の挿絵も同時収録とかだとなお一層よかったなぁ(無茶)

 次の話、次の話と読んでいたらあっという間に読み終わってしまった、おもしろかったぁ
 第2巻も買ってこよっと
 
 折角だからすべて読みたいものだが、全30巻なんだよねぇ
 萎えるゼ

 なんかモノローグかダイアローグで描かれたモノが圧倒的に多かった気がします。

[評価]
《俺》☆☆☆★
《薦》☆☆☆

江戸川乱歩全集 第1巻 屋根裏の散歩者 (光文社文庫)

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2004年08月20日

【本】動機

動機
[著者]横山秀夫
[出版]文春文庫 よ-18-2 \476 P304 初版(2002/11)
[初出]単行本 文藝春秋刊(2000/10)
[入手]古本屋 \210 16刷(2004/1)
[内容](カバーより)
 署内で一括保管される三十冊の警察手帳が紛失した。犯人は内部か、外部か。男たちの矜持がぶつ
かりあう表題作(第53回日本推理作家協会賞受賞作)ほか、女子高生殺しの前科を持つ男が、匿名の
殺人依頼電話に苦悩する_逆転の夏_。公判中の居眠りで失脚する裁判官を描いた「密室の人」など珠
玉の四篇を収録。

[感想]
 以前読んだ陰の季節が面白かったんで、古本屋でみっけていそいそ買ってきました。
 
 『陰の~』では地方の警察署内という括りがありましたが、本作は特に接点なく集められた中編4本。
 共通項を挙げるとすると、どの話も主人公が不可避的な危機に陥いってる点かな、
 その状況描写のたくみさで冒頭から一気に感情移入させられてしまいます。
 やっぱりこの人の中編はおもしろいやね、お薦め!
 
 中編向きの作家のような気がするんだけど、長編はどんなもんざんしょ、読んでみたいぞ。
 『半落ち』文庫化まだかぁぁ~~


[評価]
《俺》☆☆☆★
《薦》☆☆☆★

動機 (文春文庫)

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2004年08月01日

【本】猫楠

猫楠
[著者]水木しげる
[出版]角川ソフィア文庫 P414 \660 初1996/10
[初出]講談社「ミスターマガジン」 1991年1号~1992年1号
[入手]新刊 8刷(2004/2)
[内容](カバーより)
 没後半世紀を経てもなお、骨太で天衣無縫な南方熊楠の生涯は、人々の関
 心を惹きつけてやまない。日本が国際化とはまだ程遠かった明治時代中頃
 に英国に渡ると、「ネイチャー」誌に論文を寄稿し、大英博物館の嘱託とな
 り、孫文と親交を深めるなど八面六臂の大活躍。帰国後も民俗学や粘菌学
 の研究を行いつつ、神社合祀令に反対し熊野の森を守る運動の中心となる
 など、時代の先を行く活動で世間を驚かせた。そんな日本史上最もバイタ
 リティに富んだ大怪人の生きざまを、妖怪博士水木しげるが独特のペーソ
 スを交えて描く。
 
[感想]
 水木しげるが描く南方熊楠の生涯。と来たら買うしかないべ。
 タイトルは狂言廻し的な役割をする熊楠の飼猫の名前(たぶん創作)
 
 水木しげるが好きで、南方熊楠にも興味ある人にはお薦め。

[評価]
《俺》☆☆★
《薦》☆★

猫楠―南方熊楠の生涯 (角川文庫ソフィア)

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【本】金なら返せん 天の巻

金なら返せん 天の巻
[著者]大川豊
[出版]幻冬舎アウトロー文庫 \495 P249
[初出]「ぴあ」連載
[入手]BOOK OFF \105
[内容](カバーより)
 日本一経済効率の悪い笑いを提供するお笑い集団大川興業の総裁が、”借金が消えるまで”
 と書き始めた返済日記。始めは約九〇〇万円だった借金は、「奨学金疑惑」が発覚したり、
 構成員江頭の借金の保証人になったり、ついには商法違反で起訴されたりと日を追うごと
 になぜか増える一方。果たして完済の日は来るのか?恐怖と笑いの平成の奇書。

[感想]
 なつかしいねぇ
 学生の頃、本屋またはコンビニで「ぴあ」の映画欄チェックした後、必ず読んでましたよ。
 (で、その後、棚に戻すと…)
 
 いやぁ、あらためてまとめて読むとすごい活動してたんだねぇ…頭下がります。
 
 なんか、大物芸人が逝去するたびに、TVで誰ぞかが「今はこういう芸人らしい芸人さんはいなくなりましたねぇ」的な発言をしてるような気がしますが、 大川(前?)総裁のことを考えると「いるじゃんいるじゃん!あんたがたTVが出してあげないだけで!」と云いたくなるね。
 ネタの内容には賛否あるでしょうが、やっぱりこの人は生き様がすごいよな。
 
 最近すっかりブラウン管では見かけなくなってしまいましたが、お元気なんでしょうか。
 なんかエガちゃんに総裁の座を奪われたとか聞いたきもしますが…
 
 余談…この本ほど、「アウトロー文庫」から出版されてるのが似合う本も珍しいね。^^;

[評価]
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆

金なら返せん! 天の巻 (幻冬舎アウトロー文庫)

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2004年07月26日

【本】米内光政

米内光政
[著者]阿川弘之
[出版]新潮文庫 草110-6 \520 P551 初1982/5 6刷1984/9
[初出]1977~73「週刊読売」連載、1978/12 単行本刊行(新潮社)
[入手]父蔵書
[内容](カバーより)
 「米内光政は国に事がなければ、或いは全く世人の目につかないままで終る人であったかも知れない」(小泉
 信三)。海軍兵学校の席次は中以下、無口で鈍重と言われた人間が、日本の存亡のときに当り、自らの手で帝
 国海軍七十余年の栄光を葬り去った。一億玉砕よりも、未来ある敗戦に賭けて……。最後の海相の人物と識見
 を描いて、危機に際しての真の指導者とは何かを問う、感動の記録文学。

[感想]
 海軍提督3部作の2作目っす(他は「山本五十六」と「井上成美」)。
 何故かよりによって一番地味な(失礼)人から読んでしまっております。

 無口で底が伺えない人物の生き様をさまざまな逸話で描きだしてて面白い。
 
 米内大将って総理大臣もやってたんですね、さっぱりしらなんだ。
 日本史はとってなかったせいか、どうも常識的なところでポツポツしらんことあるなぁ・・・
 
 余談ですが、著者の阿川弘之はTVタックルでお馴染みの阿川佐和子のお父上。
 末の息子さんと中学時代同級だったんですが、わっしと違って文武両道のハンサムガイでした。はい。
 
 さらに余談ですが、「井上成美」を古本の特価本コーナーでみつけたので100円で買いました。
 そのうち読みます。はい。
 
[評価]
《俺》☆☆☆★
《薦》☆☆☆

米内光政 (新潮文庫)

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2004年07月21日

【本】チョコレート工場の秘密

チョコレート工場の秘密
[著者]ロアルド・ダール
[挿絵]ジョセフ・シンデルマン
[訳者]田村隆一
[出版]評論社 てのり文庫 \600 P277 初1988/7
[入手]新刊 ビレッジバンガード 6刷 2004/5
[内容](カバーより)
 まずしい少年チャーリーに、世界一のお菓子工場見学の金券が当たった。一緒に招待された5人のこどもたちに次々と明かされる、アッとおどろく工場のものすごい秘密ー!?笑いと涙と心にしみる感動がいっぱいの傑作童話。

[感想]
 いい歳してなに読んでんだ? と笑われてしまいそうですが…
 おもいっきり児童本です
 それもハリポッターのような「大人にも子供にも」ではなく、本当に児童のための児童本です
 もちろん大人でも好きな人はいるでしょうが…
 
 ちょっと前に読んだ恩田陸の「三月は深き紅の淵を」の巻頭にこの本からの引用があってね
 たまたま本屋で見かけたんで、俺にも意外にこういう本に感動できる感性が残ってるんじゃないかと変な期待をして買ってしまいました

 が、駄目だねぇ
 どうも筋ばっか追っちゃって…
 チョコレートとか甘いものが好きじゃないってのもあるかもなぁ…
 実際に子供の時に読んで感動した本だとまた違うんだろうけど残念ながら心動かなかったねぇ
  
 ちなみに子供向けってわりには、結構、差別的とみられかねない際どい部分も結構あったりする… ^^;
 
[評価]
《俺》☆☆
《薦》☆☆

チョコレート工場の秘密 (てのり文庫 (566C008))

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2004年07月20日

【本】ポトマック

ポトマック
[著者]ジャン・コクトー
[訳者]澁澤龍彦
[出版]河出文庫 P202 \680 
[入手]新刊 ビレッジバンガード自由ヶ丘店
[内容](カバーより)
 ロマネスクな筋や構成を全く無視して、全篇を一種の散文詩、寓話、アネクドット、対話、ア
 フォリズムのようなものから成り立たしめているのが、この変ったスタイルの小説『ポトマッ
 ク』の第一の特徴であろう。さらに本文と同時に描かれた、六十四のデッサンがこれに加わっ
 て、この風変わりな小説はいよいよユニークなものとなる。……       ――澁澤龍彦

[感想]
 名前はなんとなく有名な(?)ジャン・コクトーのデビュー作。

 う~~ん、わけわんねーっす。
 でも、なんか、時たまわけわかんない本とか映画とかが欲しくなるんだよね。
 で、わけわからなきゃなんでもいいってんじゃなくて、俺には理解できないけどなんか確固たる思想
 が背景にあるんだろうなぁってのがいいんだよね、所々ちょっと理解できた気になったりして。
 そんな私にゃ、最適な本だったよ。
 文章も平易で、最後まで読めたし(バロウズの『裸のランチ』とかと違って^^;)。
 これは訳者の澁澤の力による部分が大きかったかも。
 
 ちなみに、コクトーの本では「ぼく自身あるいは困難な存在」ってのが先に読み出したんだけど、
 こちらは読みかけのままここ数年本棚に置きっ放し。
 「ポトマック」と違ってわけはわかるんだけど、文章が堅くて消化しながら読むのが疲れてね
 これを気に引っ張りだしてきて布団の横においておこー。
 近日中に感想が上がるか否か、請うご期待(まぁ否だろうけど)
  
 たまたま同時に読んでた芥川龍之介の「或阿呆の一生」に神を信じれない自分(芥川)とコクトーを
 比較する部分があって、ちょっと感慨深いものがありやした。

[評価]
《俺》☆☆★
《薦》☆★

ポトマック―渋澤龍彦コレクション   河出文庫

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2004年07月18日

【本】河童・或阿呆の一生

河童・或阿呆の一生
[著者]芥川龍之介
[出版]新潮文庫 \100 P198 初版1968/12
[入手]古本 \100 八刷1972/6
[内容]珍妙な河童社会を通して自身の問題を切実にさらした「河童」、自らの芸術と生涯を凝縮した「或阿呆の一生」等、最晩年の傑作6編
[初出]
 ・大導寺信輔の半生 1925/1 『中央公論』
 ・玄鶴山房     1927/1~2 『中央公論』
 ・蜃気楼      1927/3 『婦人公論』
 ・河童       1927/3 『改造』
 ・或阿呆の一生   1927/10 『改造』(死後発表)
 ・歯車       1927/10 『文芸春秋』(死後発表)

[感想]
 中学とか高校の頃って専らSFやらスパイ小説とかばっか読んでて、
 国語の教科書に出てくるような方々は食わず嫌いしてたんですが、
 そんななかでも芥川は比較的親しみやすかった方で、わりと当時も読んでました。
 ただ、『河童』とか『或阿呆』はねぇ、なんか自殺直前の作品だけに、妙に暗そうで読む気はしなかったなぁ…
 
 今回は古本屋で100円で売ってたのを何かの縁として読んでみたわけです。
 
 まぁたしかに暗いっちゃぁ暗くて、特に『歯車』なんぞ、遺書に近いものがあるんだけど、つまらないかというと、そうでもない。
 
 『或阿呆~』はスタイリッシュにシニカル(??)でかなり気に入りました。
 
 「信じる者は救われる」ってことが逆説的にわかるなぁ…

 そういえば学生時代に先輩が「河童はSFだぜ」って言ってたのを思い出した。

[評価]《俺》☆☆☆
   《薦》☆☆

[引用](P155 『或阿呆の一生』より)
 彼はすっかり疲れ切った揚句、ふとラディゲの臨終の言葉を読み、もう一度神々の笑い声を感 じた。それは「神の兵卒たちは己をつかまえに来る」と云う言葉だった。彼は彼の迷信や彼の感 傷主義と闘おうとした。しかしどう云う闘いも肉体的に彼には不可能だった。「世紀末の悪鬼」は実際彼を虐んでいるのに違いなかった。彼は神を力にした中世紀の人々に羨しさを感じた。しかし神を信ずることは――神の愛を信ずることは到底彼には出来なかった。あのコクトオさえ信じた神を!

河童・或阿呆の一生 (新潮文庫)

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2004年07月09日

【本】芭蕉臨終記 花屋日記

芭蕉臨終記 花屋日記
[著者]文曉
[校訂]小宮豊隆
[出版]岩波文庫 黄246-1 \250 P102 初1935/10  【絶版】
[入手]祖父蔵書 11刷(1986/4)
[収録]
 花屋日記
 芭蕉翁終焉記(其角)
 前後日記(支考)
 行状記(路通)

[内容](カバーより)
 芭蕉翁最後の旅・病中・終焉・葬送・追悼・遺物などについて、
 翁を囲む門人たちの手記・物語・書簡を日記体で記したもの。

[感想]
 花屋でアルバイトしながら、舞台役者としての成功を夢見る若者の話…
 ではなくて、芭蕉が旅の途中で倒れそのまま不帰の人となった花屋の主人が芭蕉の最後を綴った日記、
 と見せかけて、その実、江戸後期の文曉って人が書いた真っ赤なニセモノ。
 
 ニセモノとはいえ、芭蕉の人柄が偲ばれてねぇ
 しんみりさせてくれるんだこれが…
 まぁ「芭蕉に興味が!!」って人以外には全くお薦めはしませんが… ^^;
 
 ちなみに弟子達(十哲ってやつか?)によるホンモノの臨終記も収められてますのでご安心を(?)
 
[評価]
《俺》☆☆★
《薦》★

[引用](P23より)
  大勢の集會なりければ、よろこび興じて師を慰め申しけり。木節、
 去來に申けるは、今朝御脈を伺見申に、次第に氣力も衰給ふと見え
 て、脈體わろし。最初に食滞より起りし泄瀉なれども、根元脾腎の
 虚にて、大虚の痢疾なり。故に逆逸湯主方なり。猶又加減して心を
 直すといえども、薬力とゞかず。願はくは、治法を他醫にもとめん
 とおもふ。去來、師にまうす。師曰、木節が申條尤なれども、いか
 なる仙方ありて虎口龍鱗を醫すとも、天業いかんかせん。我かく悟
 道し侍れば、我呼吸の通はん間は、いつまでも木節が神方を服せむ。
 他に求むる心なしとののたまひける。風流・道徳人みな間然すること
 なし。
 
芭蕉臨終記花屋日記―附・芭蕉翁終焉記・前後日記・行状記 (岩波文庫 黄 246-1)
芭蕉臨終記花屋日記―附・芭蕉翁終焉記・前後日記・行状記 (岩波文庫 黄 246-1)

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2004年07月06日

【本】六番目の小夜子

六番目の小夜子
[著者]恩田陸
[出]新潮文庫 お-48-2 \514 P323 初版2001/2
[初出]1992/7新潮文庫ファンタジーノベルシリーズとして発表、加筆のうえ1998年単行本化
[入手]ブックオフ \300 6刷(2003/5)
[内容](カバーより)
 津村沙世子――とある地方の高校にやってきた、美しく謎めいた転校生。高校には十数年間にわたり、奇妙な
 ゲームが受け継がれていた。三年に一度、サヨコと呼ばれる生徒が、見えざる手によって選ばれるのだ。そし
 て今年は、「六番目のサヨコ」が誕生する年だった。学園生活、友情、恋愛。やがては失われる青春の輝きを
 美しい水晶に封じ込め、漆黒の恐怖で包みこんだ、伝説のデビュー作。

[感想]
 最近、はまり気味な恩田陸のデビュー作。
 デビュー作がいちばん面白いって人もままいたりしますが
 この作者はそういうことは無いようで、やっぱり最近の作品のほうが断然完成度は高いっすね。

 いきおいにまかせて書いてて、収まるところに収まってない感じ。
 とはいえ魅力的な世界を描く能力はこのころからしっかりあったようです。

 前によんだ「象と耳鳴り」の主人公(関根多佳雄)の息子が主役(?)でした。
 親父もちょっとでてます。

[評価]
《俺》☆☆★
《薦》☆☆★

六番目の小夜子 (新潮文庫)

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2004年07月02日

【本】レター教室

レター教室
[著者]三島由紀夫
[出版]ちくま文庫 み-13-1 \520 P221 1991/12初版
[入手]ブックオフ \100
[内容](カバーより)
 職業も年齢も異なる5人の登場人物が繰りひろげるさまざまな出来事をすべて手紙形式
 で表現した異色小説。恋をしたりフラレたり、金を借りたり断られたり、あざけり合っ
 たり、憎しみ合ったりと、もつれた糸がこんがらかって……。山本容子のオシャレな挿画を
 添えて、手紙を書くのが苦手なあなたに贈る粋な文例集。

[感想]
 三島由紀夫の小説はねぇ…
 ちょっと読まず嫌いな作家なんですよ…
 「仮面の告白」とか「美徳のよろめき」なんていわれちゃうと、どうにも手が伸びなくて…
 そんなわけで、俺にも読めそうなのをちょっとよんでみましたわ。

 全て手紙で物語をみせるって手法は斬新で飽きずに読めました。
 三島好きの人からすると、変化球にみえる作品なんだろうけどね。
 
[評価]
《俺》☆☆★
《薦》☆☆

三島由紀夫レター教室 (ちくま文庫)

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2004年07月01日

【本】大誘拐

大誘拐
[著者]天藤 真
[出版]創元推理文庫 408-09 P444 \840 初版2000/7
[初出]単行本 カイガイ出版 1978/11
[入手]新刊 7刷 2001/7
[内容](カバーより)
 三度目の刑務所生活で、スリ師戸波健次は思案に暮れた。しのぎ稼業から足を洗い社会復帰を果たすには元手が要
 る。そのためには――早い話が誘拐、身代金しかない。雑居房で知り合った秋葉正義、三宅平太を仲間に、準備
 万端調えて現地入り。片や標的に定められた柳川家の当主、お供を連れて持山を歩く。……時は満ちて、絶好の
 誘拐日和到来。三人組と柳川としの熱い日々が始まる!

[感想]
 岡本喜八の映画でお馴染みの「大誘拐」の原作小説。
 傑作の呼び声どおりやっぱりおもしろいねぇ。
 犯罪小説でありながら、根っから悪人はでてこないし、最後もめでたしめでたしでいい読後感でした。
 万人にお薦め。

[評価]
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆☆★

大誘拐―天藤真推理小説全集〈9〉 (創元推理文庫)

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2004年06月22日

【本】物理学者はマルがお好き

<数理を愉しむ>シリーズ
物理学者はマルがお好き
―牛を球とみなして始める物理学的発想法

[著]ローレンス・M・クラウス(Lawrence M. Krauss)
[出]ハヤカワ文庫 NF291 \800 P335 初2004/5
[初出]原書1993「FEAR OF PHYSICS ― A Guide for the Perplexed」
   単行本1996/4「物理の超発想―天才たちの頭をのぞく』講談社 
[入手]新刊 初版
[内容](カバーより)
 高速で移動する人の時計が遅れたり、波であり粒子でもる物体がみつかったり、物理学の超絶理論
 は常識の遥か高みをいく、ファンタスティックな現象の目白押しだ。しかし、それを唱えるに至った物
 理学者たちの考えは、ジョークの種になるほどシンプルないくつかの原則に導かれている。その一つ
 が「牛を球とみなす」ことだ……天才物理学者が備える物理マインドの秘密を愉しみながら共有でき
 る傑作科学読本。解説・佐藤文隆

[感想]
 なんかタイトルはいまいちですが、中身は目茶目茶おもしろいっす。
 物理学者が如何なる発想で既知世界を拡張していったかが非常に判り易く書いてあります
 またいわゆる古典のニュートン力学・電磁気学から相対論・量子論・素粒子理論まで網羅して取上げられているので、
 「物理学」というものを(つまりこの「世界」を)俯瞰で眺めるのにも最適な一冊かな。

 後半はスケーリング則やら量子色物理やら、専門で物理とってないとちょっと難しい話になってくるんですが、前半だけでも是非、非物理専攻の人たちによんでほしいなぁ。
 「天才の突然のヒラメキで全く新しい理論が出来て、過去の理論が捨て去られて進歩していく」っていう物理のイメージを壊してくれまっせ。
  
 惜しむらくは、原著が10年前ということもあり、ちょっと古いとこがあってねぇ
 今回の文庫版の際に現時点での最新情報をいれこんでほしかったなぁ
 
 
[評価]
《俺》 ☆☆☆☆
《薦》 ☆☆☆★


[引用]
 ただし、「アインシュタインだって、はじめは頭がおかしいと言われたんだぞ!」などと言って自分の アイデアを売り込みたい人にひとこと忠告しておこう。アインシュタインは、実地の試練に耐えた物理 法則が間違っているなどとは決して言わなかった。彼は、それらの物理法則から、従来気付かれていなかった意味が引き出せることを示したのである。
 
物理学者はマルがお好き (ハヤカワ文庫・NF)

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2004年06月20日

【本】五重塔

五重塔
[著者]幸田露伴(蝸牛露伴)
[出版]岩波文庫 \100 P88 初1927/7 改1956/11
[初出]新聞「国会」連載(明治24年11月~明治25年3月)
[入手]古本屋 \100 63刷1979/3
[内容](帯より)
 谷中感応寺五重塔の造営をめぐるのっそり十兵衛の意地と義理の物語、その塔をゆるがす
 嵐の夜の描写は日本文学中の名文と謳われる。
 
[感想]
 国語の授業で名前くらいは聞いたことある五重塔。
 代表作…だよね。多分。よーしらんが…
 
 まぁうだつのあがらん職人が、義理のある親方の顔にも泥をぬってでも、念願の五重塔を建てる。
 ってだけの話なんすがね。
 
 文章がめちゃめちゃいいんだわ。
 粋で鯔背なリズムが江戸っ子丸出しの職人世界に嵌っちゃうんだわ。
 くぅ~源太親方かっこよすぎるぜぇ
 
 古本屋で買ったんで旧仮名旧字だったんだけど、これがまたこの文章にめちゃめちゃあっててねぇ
 旧仮名旧字好きで、現代仮名をディスっちゃう人の気持ちがちょっとわかった。^^;
 
 今日みたいな嵐の日に、嵐のシーンを読みなおしちゃったらますますよいねぇ
 
 ちなみに谷中の感応寺はいまは天王寺となっておりまして、件の五重塔は昭和三十二年の放火心中で焼失していらい
 再建されてないそうです。(迷惑な死に方…)
 
[評価]
《俺》☆☆☆★
《薦》☆☆☆

五重塔 (岩波文庫)

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【本】三月は深き紅の淵を

三月は深き紅の淵を
[著者]恩田陸
[絵]北見隆
[出版]講談社文庫 お83-1 \667 P431 2001/7
[初出]1997/7 単行本刊行
[入手]新刊 9刷(2004/3)
[内容](カバーより)
 鮫島巧一は趣味が読書という理由で、会社の会長の別宅に2泊3日の招待
 を受けた。彼を待ち受けていた好事家たちから聞かされたのは、その屋
 敷内にあるはずだが、10年以上探しても見つからない稀覯本(きこうぼ
 ん)「三月は深き紅の淵を」の話。たった1人にたった1晩だけ貸すこと
 が許された本をめぐる珠玉のミステリー。

[感想]
 この間読んだ、「麦の海に沈む果実」の中にも出てきた謎の小説「三月
 は深き紅の淵を」を廻る四つの中編からなる連作集。
 
 話の中にでてくる「三月は深き~」も四つの中編からなっており、それ
 ぞれ話に共通性があるという、なかなか凝ったつくり。
 
 それぞれの話、単独でもいろんなパターンがあって面白かったっす。
 
[評価]
 《俺》 ☆☆☆
 《薦》 ☆☆

三月は深き紅の淵を (講談社文庫)

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2004年06月10日

【本】がんになる人ならない人

がんになる人ならない人
[著者]津金昌一郎
[出版]講談社 ブルーバックスB1437 P264 \980 
[入手]新刊 初版
[内容](帯/カバーより 抜粋)
 国立がんセンター予防研究部長が自ら書いた!
 がん予防をうたった健康食品や特殊な民間療法が人気を集めているが、
 大半のものには科学的根拠はない。疫学研究者として、がん予防研究に
 長年従事してきた著者が提唱するがん予防法を実践すれば、わずかな努
 力で、発がんリスクは確実に低減できる。

[感想]
 去年あたりから、疫学(統計的に病気のリスク等を研究する学問)に関する判り易い本を探
 してて、たまたま見つけたこの一冊。
 帯/カバーのコピーをみるとちょっと胡散臭いですが、科学的で非常に判り易い本でした。
 
 上記のとおり、元々がんの予防に興味があったわけじゃないんですが、一冊読んでみると
 結構思うところがあったりして。
 
 結論としては、タバコはやめて、お酒、塩分は控えめにしてバランスのいい食事(とくに野菜)
 をとれ…って、思いっきり内容なんですが、しっかりしたデータで語られると、重みがちがうねぇ
 
 この辺りは世間よりは知ってるつもりになってたけど結構、誤解してること多かったねぇ…ためになりました。
 
 あるある大辞典でとりあげられた食材に殺到してしまう方々に是非読んでいただきたい一冊。
 
[評価]
《俺》 ☆☆☆☆
《薦》 ☆☆☆☆(みんなに是非よんで欲しい一冊)

がんになる人ならない人 (ブルーバックス)

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2004年06月05日

【本】言葉につける薬

言葉につける薬
[著者]呉智英
[出版]双葉文庫 P219 \457 1998/1
[初出]クロスワード・デイ連載(1990/5~1994/1)、単行本刊行1994/9
[入手]ブックオフ \300 2刷(2000/5)
[内容](カバーより)
 日本語が乱れている。単語の混乱ではない。「名」の混乱なのである。だから
 孔子にならい、呉智英も言う。「必ずや名を正さんか」と。誤字を笑い、誤文に怒
 ながら、著者は、言葉と思想について、言葉と文化について、根源的な「知」の面
 白さを開示する。目からウロコが落ちまくる。知的エッセイの名著。
 
[感想]
 まぁ上にもあるとおり、言葉関係のエッセイっす。
 相変わらずいろいろ知ってんねぇ 
 さらっと読めるんでお薦めですが、著者の衒学的なとこが鼻につく人もいるかも。
 
 忘備メモもかねて、ちょっとホォ~とおもったことをちょっと抜粋。

・「大山鳴動して鼠一匹」の由来って紀元前のローマの書物からなんだってさ
  てっきり中国って思ってたっしょ、俺もそうじゃ。
 だから「泰山鳴動して~」は由来からいったら正しくないらしい。(泰山は中国の有名な山ね)

・でもって、「笛吹けど踊らず」は聖書(マタイ福音書)からだってー

・長野の「白馬」はもともと「しろうま(代馬)」

・英語のRiceと日本語のうるちは同語源(古代インド語Vrihih)という説がある(岩波古語辞典)。 
[評価]
《俺》 ☆☆★
《薦》 ☆☆★

言葉につける薬 (双葉文庫―POCHE FUTABA)

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2004年06月01日

【本】半七捕物帳(三)

半七捕物帳(三)
[著者] 岡本綺堂(おかもときどう)
[出版] 光文社時代小説文庫 \648 P416 2001/11初版
[入手] ブックオフ\300(初版)
[内容](カバーより)
 歌舞伎を好んだ著書綺堂は、江戸の風土と季節感を巧みに描きながら、随所に江戸っ子のしゃれた会話をもりこんでいる。
一話一話が今なお新鮮で、推理小説の先駆として生きつづける、捕物帳の最高傑作!
「雪達磨」「雷獣と蛇」「一つ目小僧」等十四編収録。(全六巻)
 江戸のシャーロック・ホームズ、半七が活躍する!不朽の名作をより読みやすく新装刊。

[感想]
 半七捕物帖第三巻。
 あいかわらずいいやね。

[評価]
 《俺》☆☆☆
 《奨》☆☆☆

半七捕物帳〈3〉 (光文社時代小説文庫)

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【本】麦の海に沈む果実

麦の海に沈む果実
[著者]恩田陸
[絵]北見隆
[出版]講談社文庫 お83-2 \714 P493 2004/1初版
[初出]2000/7 単行本刊行
[内容](カバーより)
三月以外の転入生は破滅をもたらすといわれる全寮制の学園。二月最後の
日に来た理瀬の心は揺らめく。閉ざされたコンサート会場や湿原から失踪した生
徒たち。生徒を集め交霊会を開く校長。図書館から消えたいわくつきの本。理瀬
が迷いこんだ「三月の国」の秘密とは?この世の「不思議」でいっぱいの物語。

■感想
人が死んでも警察出てこないド直球の学園ファンタジー
おれにもまだこんなジャンルを楽しめる部分が残っておったんやねぇ…
おもしろかったっす

この人はイメージを浮かばせる言葉の選び方が非常に上手っすね。

レイブラッドベリっぽい世界だなぁと思ったら、本人も意識してるみたいで
章の名前にブラッドベリの作品名を使っていたりしました。

カバーと挿絵の北見隆の絵がまた幻想的な世界に合っていてよかね。

■評価
《俺》☆☆☆★
《薦》☆☆☆

麦の海に沈む果実 (講談社文庫)

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2004年05月01日

【本】地雷を踏んだらサヨウナラ

地雷を踏んだらサヨウナラ
[著者]一ノ瀬泰造
[出版] 講談社文庫 い-38-1 \695 P322 初版1985/3
[入手] 新刊(ビレッジバンガード自由ヶ丘店) 2003/11 23刷
[解説](カバーより)
 「アンコールワットを撮りたい、できればクメール・ルージュと一緒に。地雷の位置もわからず、行き当たり
 ドッカンで、最短距離を狙っています……」フリーの報道写真家として2年間、バングラデシュ、ベトナム、カ
 ンボジアの激動地帯を駆け抜け、26歳で倒れた青年の鮮やかな人生の軌跡と熱い魂の記録。

[感想]
 クメール・ルージュ(ポル・ポト派ね)の支配区域のアンコールワットに単身潜入し消息をたった戦場カメラマ
ン一ノ瀬泰造の日記や書簡をまとめたものです。
 なんか暗そうな気がするかもしれませんが、なんとも明るい文体で滅法面白い。
 
 登山家にしろ戦場カメラマンにせよ、命を顧みず危険な場所に赴く人々に対して、「なんでまた、そんなと
 こに…?」という通り一遍の感想しか持てない我々ですが、この本を読んで、なんとなくかれらの心情がわかる
 ような気がしました。

 あっさりと読めるのでお薦めです。

[引用](P70 4・23母上様へ より)
 3日間、その食堂にこなかったら、そこの友だちが日本大使館に連絡し、荷物を揚げて貰うことになっている。
 好きな仕事に命を賭けるシアワセな息子が死んでも悲しむことないヨ、母さん。

[評価]
 《俺》☆☆☆★
 《薦》☆☆☆★

地雷を踏んだらサヨウナラ (講談社文庫)

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2004年04月04日

【本】幻の動物たち 下

幻の動物たち 下
Les Survivants de l'ombre

[著者]
 ジャン=ジャック・バルロワ
[訳者〕
 ベガエール直美
[出版]
 ハヤカワ文庫 NF139 \600 P251
[入手]
 新刊
[HP]
 http://www.hayakawa-online.co.jp/bookbody.asp?MENUID=03&ORDER_CD=90139
[解説](カバーより)
 アルプスの高山に住む奇妙な爬虫類タッツェルヴルム、二本の角を持つ

[感想]
 高校生の頃のこの本の上巻を古本屋で見つけまして、なかなか面白かったんでその後しばらく下巻をさがしたけど見付からなかったのです。
 そんなこともすっかり忘れてたんですが、先ごろ渋谷の文庫タワーで見つけたもんで新刊で購入しました。
 絶版になってなかったとは…

 内容はタイトルからもわかる通り、未確認生物(UMA)の本です。
 上巻が海のもの、下巻は陸のものがメインです。

 ちゃんとツチノコとかヒバゴンの記載もありまっせ。
 UMA関連とはいってもそうそう胡散臭くなくて、わりと冷静な目線で書いてます。
 ただ話がどんどん飛ぶのでついていくのがちょっと疲れる…

 個人的には前に映画でみて興味もってた「ジェボーダンの獣」について詳しく書いてあって面白かったです。
 統計学も用いたアプローチってのはなかなかいいね。

 しかし、未確認生物ってのは未確認だからロマンがあるんで、いざみつかってみると「まぁそんな動物もおるやろ」ってなっちゃうんだろうなぁ…


[評価]
 《俺》☆☆☆
 《薦》☆☆☆
 
幻の動物たち―未知動物学への招待〈下〉 (ハヤカワ文庫NF)
幻の動物たち―未知動物学への招待〈下〉 (ハヤカワ文庫NF)

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2004年03月14日

【本】マークス山 上・下

マークス山 上・下

[著者]
 高村薫

[出版]
 講談社 (上)2003/1 P374 \648 
     (下)2003/1 P348 \648
[初出]
 単行本刊行 1993/3 早川書房

[入手]
 古本屋 各290円

[解説](講談社HPより)
俺は今日からマークスだ! マークス!いい名前だろう!――
精神に〈暗い山〉を抱える殺人者マークス。南アルプスで播かれた犯罪の種子は16年後発芽し、東京で連続殺人事件として開花した。被害者たちにつながりはあるのか?
姿なき殺人犯を警視庁捜査第1課第7係の合田雄一郎刑事が追う。直木賞受賞作品。

[感想]
映画を先にみてたのでだいたいストーリーはわかっていたんですが、ストーリーテリングの旨さに引きこまれました。
マークス…
切ないねぇ…
いろいろ解決されないままのこともあるので、人によってはちょっと消化不良のこるかも。
崔洋一が監督してる映画版もお薦め。

[評価]
 《俺》☆☆☆
 《薦》☆☆☆

[引用(冒頭部より)]
 この暗い壁は何だろう――――――――。ぼくは目を見開き、上も下もない闇が割
れるような音を立てているのを聞く。
 山だ。黒一色の山だ。顔に刺さる冷たい棘は風か、雪か。覚えているのは、少し前
まで身体じゅうの穴という穴を塞いでいたガス臭だ。夢中でその臭いから逃れた後、
気がつくとぼくはそそり立つ真っ黒な垂壁の底におり、足の下の凍ったアスファルト
が微かに光っていたのだった。しかし辺りは暗すぎ、道路らしいものがどこへ続いて
いるのかも見えなかった。

マークスの山(上) 講談社文庫

マークスの山(下) 講談社文庫

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2004年03月02日

【本】豆腐小僧双六道中 ふりだし

豆腐小僧双六道中 ふりだし

[著者]
 京極夏彦
[出版]
 講談社 2003/11 P656 \2000
[初出]
 週刊現代連載「本朝物怪盛衰緑」(1999/4~2000/4)
[入手]
 新刊購入 初版
[解説](講談社HP(http://shop.kodansha.jp/bc2_bc/search_view.jsp?b=2122146)より)
これぞ妖怪。
私は誰、此処は何処。小僧は彷徨(さまよ)う。小僧は進む。
妖怪豆腐小僧がアイデンティティーを捜す!?
「なぜ、手前は豆腐を持っているんでしょうか?」自己の存在理由、存在意義にうすーく不安を抱く小さな妖怪が数々の異種妖怪に出会い、「世間」を知る立志篇。
 
[感想]
おとぼけの豆腐小僧とともに珍道中を歩んでいくと、いつのまにやら「妖怪」というものが段々とわかっていくという、この作者じゃなけりゃ絶対書けない小説ですなぁ

UMAのような実体としてではなく、概念としての「妖怪」を描いていくところに奥の深さがありますなぁ
講談口調と妖怪の位置付けに最初はちょっと戸惑いましたけど、後半はのめりこんで読むことができました。

とかく妖怪小説の第一人者(二人目がいるのかどうか知りませんが)と目される京極夏彦ですが、
実際に「妖怪」が出てきて話す小説って初めてのような…

妖怪学(?)の入門書(?)として最適かも

[評価]
 《俺》☆☆☆
 《薦》☆☆★

豆腐小僧双六道中ふりだし

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2004年02月01日

【本】スクリーンの夢魔

スクリーンの夢魔

[著者]
 澁澤龍彦
[出版]
 河出文庫(し1-16) P171 \440 初版1988/2 絶版
[初出]
 潮出版 1978年
[入手]
 古本(東京書房@自由ヶ丘) \300
[解説](カバーより)
 偏愛する映画作家ブニュエル、ベルイマンなどの諸作品をめぐって独特の批評をくりひろげ、
 愛する女優カトリーヌ・ドヌーブの妖しい魅力を分析し、はたまたお得意のドラキュラ物をは
 じめとする怪奇・恐怖映画の数数をとりあげながら、そのおもしろさについて薀蓄を傾ける、
 映画エッセイ集。「書斎派ダンティ」として知られた著者がまとめた唯一の映画の本!!
 
[感想]
 澁澤龍彦が主に『映画評論』誌などに書いたエッセイをまとめたものです。
 解説にも書かれているとおり、ブニュエルにドヌーヴと著者の趣味がおもいっきり伝わってくるのが面白いです。
 オレなんか「アンダルシアの犬」なんかみての「???」だったけど、この人くらい知識と教養があると、
 あの映像からいろいろなものくみとるもんですなぁ。
 ちなみにカバーの絵はそのアンダルシアの犬の強烈な1シーン。

 澁澤龍彦と映画の両方好きな人にだけお薦め。

[引用](P64 『ルイス・ブニュエルの汎性欲主義』より)
  利いた風な説明をつけないと何事も納得しないひとのために、このブニュエルのやみく
 もの暴力への衝動を、文明の告発とか、確立された秩序に対する反逆とか、呼んでも差支
 えないと思うけれども、そう呼んだところで、暴力の本質が一向に解明されるわけのもの
 でもないことは、銘記しておく必要があろう。ブニュエルは説明され解釈される作家では
 なく、強迫観念のように私たちに呼びかけてくる作家なのである。

[評価]
 《俺》☆☆☆
 《薦》☆☆
 
スクリーンの夢魔 (河出文庫)
4309402127

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2004年01月31日

【本】笑う街角

笑う街角

[著者]
 南伸坊
[出版]
 ちくま文庫(み5-6) P213 \700 初版1993/7 <絶版中>
[初出]
 1986~87『漫画サンデー』(実業之日本社)連載。
 1989/3 単行本刊行『路上観察ファイル』(実業之日本社)
[入手]
 BOOKOFF \350
[解説](カバーより)
 街には、不必要に凝視することで、不思議に味わいの湧く、奇妙な現象や物件が確かに存
 在している。そんなバカバカしいもの、ヘンなものをチマナコで捜し歩いた。シンボー
 の路上観察ファイル。
 この本はタメになるかもしれないと思っているアナタ、正直言ってこの本を読んでも、
 ナーンの役にも立ちません。ただただ、オモシロがってください。 
 解説 上野千鶴子
 
[感想]
 
 街中のヘンなものを集めたいわゆる「路上観察学」系の本です。
 私もこの手のモノには吸い寄せられるタチの人間ですが、
 意外にも路上観察やらトマソンやらの本を読むのは初めてだったりします。(VOWは別として)
 
 写真じゃなくて、イラストで載っているところが味があっていいねぇ。

 ただ、目線というかツッコミところがちょっと自分とは違って、すこし物足りなさがありました。

解説が上野千鶴子ってのはなんかすごいな。
接点なさそうだけど…

[評価]
 《俺》☆☆★
 《薦》☆☆

笑う街角 (ちくま文庫)
4480027599

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2004年01月27日

【本】貸しボート十三号

貸しボート十三号

[著者]
 横溝正史
[カバー]
 杉本一文
[出版]
 角川文庫 緑 304 -30- \340 初1976/3 絶版
[入手]
 再版(1976/3)
[内容](カバーより)
 白昼の隅田川にポツンと漂う一艘の貸しボート。そのボートの中を見た人は一斉に悲鳴を上げた。
 中には、首を途中まで挽き切られ、血まみれになって横たわる男女の惨死体が!
 金田一耕助と等々力警部はただちに現場へ急行した。 
 綿密な聞込みの結果、事件直前に、金縁眼鏡に鼻ひげを蓄えた中年紳士がボートを借りたことが判明。
 この謎の人物を追って捜査が開始された。だが、事件の進展は意外な方向に……。
 表題作ほか二篇を含む横溝正史の本格推理傑作選。

[感想]
 金田一ものの中編集。表題作の他に「湖泥」「堕ちたる天女」が収録。
 なんかかなり毛色の違う作品が3作バンドルされております。
 やはり表題作が一番よかったかな。

 学生時代は横溝正史に傾倒しておりまして、角川から出てる黒い背表紙のやつは随分古本屋で集めたもんです。(30~40冊くらいかな?)
 この本は当時持ってたかどうかはよく憶えてないですが、少なくとも読んだのは初めてでした。
 どちらも金田一シリーズの名脇役である、等々力警部(警視庁)と磯川警部(岡山県警)が初めて顔を会わせるという、
 金田一ファンにはたまらない、そうじゃない人にはまったくどうでもいいシーンがあったりします。
 
 まぁ読みたがる人もいないだろうけど、横溝正史を読むならもっと有名なものからどーぞ。
 わたしゃ「夜歩く」とか好きです。

[評価]
 《俺》☆☆★
 《薦》☆★
 
貸しボート十三号 (角川文庫 緑 304-30)

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2004年01月26日

【本】空飛び猫

空飛び猫

[著者]
 アーシュラ・K・ル・グウィン
[訳者]
 村上春樹
[挿絵]
 S・D・シンドラー
[出版]
 講談社文庫 P78 \619 初1996/4
[入手]
 13刷(2003/7)
[内容](カバーより)
 仲よし4兄弟、セルマ、ロジャー、ジェームス、ハリエットは、お母さんもため息をついたくらい、
 翼をはやして生まれてきた猫たちです。荒れた街から森へ飛んでいった彼らはハンクとスーザンの
 心やさしい兄妹に出会うのですが。ル=グウィンの世界を村上春樹さんが美しい日本語に翻訳した
 素敵な童話です。

[感想]
 ル・グウィンといったら中学生のときに従兄弟の家にあった「ゲド戦記」を夢中で読んだものだす。
 高校時代に「闇の左手」を読んだ時には、地球と似ているが全く違う価値観で動く別世界の見事な描写に舌を巻いたものです。

 しかし、こんな童話も書いていたんですね。
 しかも村上春樹が訳してるんだ、しりませんでした。

 えーっと、内容は…

 え、絵が可愛くていいね(←ル・グゥイン関係ないやん…)
 619円はちょっと高いかな…(^^)

[評価]
 《俺》☆☆★
 《薦》☆☆

空飛び猫 (講談社文庫)

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2004年01月18日

【本】サキ短編集

サキ短編集

[著者]
 サキ
[訳者]
 中村能三
[出版]
 新潮文庫 P181 \280 初1958/2
[入手]
 47刷(1991/10)
[内容](カバーより)
 ビルマで生れ、幼時に母と死別して故国イギリスの厳格な伯母の手で育てられたサキ。豊かな海外旅行の経
 験をもとにして、ユーモアとウィットの糖衣の下に、人の心を凍らせるような冷たい風刺を隠した彼の作品
 は、ブラックユーモアと呼ぶにはふさわしい後味を残して、読者の心に焼きつく。『開いた窓』をはじめとす
 る、笑いと幻想と残酷さにみちた代表的短編21編を収める。

[感想]
 解説によるとサキは欧米ではO・ヘンリーと並ぶ有名な短編作家だそうです。
 それほどブラックとも思えなかったですが、なかなか面白かったですわ。
 「開いた窓」は特によかったねぇ

[評価]
 《俺》☆☆☆
 《薦》☆☆☆

サキ短編集 (新潮文庫)

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2004年01月12日

【本】航空宇宙軍史 最後の戦闘航海

航空宇宙軍史 最後の戦闘航海

[著者]
 谷 甲州
[出版]
 ハヤカワ文庫 JA355 \540 P296 初発1991/7
[入手]
 新刊 2刷(1997/10)
[内容](上記HPより)
外惑星連合軍と航空宇宙軍の壮絶な闘いが終結し、戦後処理のため、敗戦軍側のガニメデ宇宙軍に所属する掃海艇に、
敵軍が敷設した宇宙機雷処分の命が下された。そして、掃海艇CCR ‐42の艇長・田沢に、厳重に機雷封鎖された
木星の小衛星に設置された研究所のデータ回収が言い渡され……。

[感想]
ひさびさのSFだすよー
学生時代に好んで読んでいた航空宇宙軍史シリーズの第1?作目。
科学考証をしっかりしたSFをハードSFというんですが、
この人の作品はハードSFとエンターテイメントがうまく調和していてよいですなー


[評価]
 《俺》☆☆☆
 《薦》☆☆

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2003年12月29日

【本】ヤバ市ヤバ町雀鬼伝 1・2

ヤバ市ヤバ町雀鬼伝 1・2

[著者]
 阿佐田哲也
[出版]
 講談社文庫 ※絶版※
[入手]
 BOOKOFF 各100円
[内容](上記HPより)
バクチ打ちの血が騒ぐ。レートは一晩数億円、勝負のアヤで命も賭ける。不動産屋やソープランド経営者たち今風成り金
の集まる街に吸い寄せられた雀プロ、警官、ヤクザの群れ。ギャンブル・サバイバルの種目もどんどん広がって、いった
い生き残るのは誰か!?トボケた雀鬼の奇策、秘技が満載の長編小説。

[感想]
角川文庫から出ている阿佐田哲也モノは学生時代にだいぶ読んだんですが、講談社からも出てたんやね。
ブックオフの100円コーナーで見つけたので買ってきてまいました。
例によってギャンブル連作長編なんですが、麻雀放浪記からはだいぶ時代が経っていまして、もう当時のようなバイニンど
うしのギラギラした戦いではなくて、小金をもてあました株屋や風俗店主の博打好きが、悪知恵凝らして化かし合います。
結構酷い目にあったりもするのですが、トーンが妙に明るいんで軽く読めます。
なかなか面白かったですが、阿佐田哲也読んだことない人は、「麻雀放浪記」からどうぞ。

[評価]
 《俺》☆☆☆
 《薦》☆★

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2003年12月27日

【本】邪馬台国はどこですか?

邪馬台国はどこですか?
鯨 統一郎


[著者]
 鯨 統一郎
[出版]
 創元推理文庫 \520 P305 初1995/5
[入手]
 古本屋 16刷 2000/5  
[内容](カバーより)
このところバーテンダーの松永は忙しい。常連の三人がいきなり歴史検証バトルを始めてしまうので油断は禁物。
話についていくため予習に励む一方、機を捉えて煽ることも。そつなく酒肴を供して商売も忘れず。苦しまぎれ
のフォローを試み……。またもや宮田六郎の独壇場か、幕引きのカシスシャーベットがお出ましに。三谷教授は
いつもながら従容不迫、おおっと静香が切札をだした!

[感想]
Barのカウンターでの掛け合いで、歴史の新説を説明していく中編が6本。
なんてジャンルになるんだろ…歴史ミステリー(歴史安楽椅子探偵モノ?)なのかな?

表題作の「邪馬台国は~」はなかなか読ませてくれました。
最後の一行なんてなかなかカタルシスでしたよ。
他のはまあまあかな。

全体的に牽強付会が多いんだけど、読みやすいので、そこそこお薦め。

会話スタイルにしたのはどうだったんだろうねぇ
パターン化してて、後半はだいぶ飽きちゃいました。
静香は記号的すぎるし…
三谷教授もキャラたってないし…

[評価]
 《俺》☆☆★
 《薦》☆☆☆

邪馬台国はどこですか? (創元推理文庫)

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2003年12月20日

【本】墨攻(ぼくこう)

墨攻(ぼくこう)

[著者]
 酒見賢一
[画]
 南伸坊
[出版]
 新潮文庫 \362 P145 初1994/7
[入手]
 古本屋 10刷 1999/3  
[初出]
 単行本刊行 1991/3
[内容](上記URLより)
専守防衛を説く謎の墨子教団。その俊英、革離が小国・梁に派遣された。
徹底的に不利な状況で、獅子奮迅の働きを見せる革離の運命は。

[感想]

墨者の革離がまさに攻め落とされんとする小国にやってきて、ひたすら城を強化し守るだけの話ですが…
巧みな展開で一気に読ませますな。

あまり記録の残っていない墨子教団ですが、その分自由度が大きく想像力豊かに描けてるのが良かったのかも。

南伸坊の挿絵がまたいい味だしております。

お薦め。

[評価]
 《俺》☆☆☆
 《奨》☆☆☆
 
墨攻 (新潮文庫)

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【本】クリスマス・キャロル

クリスマス・キャロル

[著者]
 ディケンズ
[訳者]
 北川悌二
[出版]
 講談社文庫 \120 P152 初1972/11 ※絶版
[入手]
 古本屋 2刷 1973/10  
[初出]
 1843年
[内容](上記URLより)
ほんものの愛とは何?幸福とは何?クリスマスの前夜、欲ばりで残酷な老商人が、
過去・現在・未来の三幽霊とむかしの友人の幽霊の教えによって、守銭奴の生活の愚かしさを悟り、
善意と良心をとり戻す――文豪ディケンズが人生の真実についてきびしく問いかけ、こころあたたまる名作の読みやすい決定訳。

[感想]

いまさらですが、文学史上でシャムロックと並ぶ銭ゲバ老人スクルージの改心譚。
読むの何度目かですが、
どーも最近、考え方が自己中心的だなぁと思うところあって、
ひとつ読むクスリとして処方してみました。
ちょっとだけ、優しくなれたような気がします。

ちなみにビル・マーレイの映画「3人のゴースト」の原作でもあります。

改心後のエピソードがわりとあっさりしてた気がするけど、こんなもんだっけ?

[評価]
 《俺》☆☆☆★
 《奨》☆☆☆☆

クリスマス・キャロル (講談社文庫 て 4-1)

集英社版↓
クリスマス・キャロル (集英社文庫)

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2003年12月08日

【本】R.P.G.

R.P.G.

[著者]
 宮部 みゆき
[出版]
 集英社文庫 み27-2 P298 \476 初2001/8
[入手]
 古本 5刷 2001/10  
[初出]
 文庫書下ろし
[内容](カバーより)
 ネット上の擬似家族の「お父さん」が刺殺された。その3日前に絞殺された女性と遺留 品が共通している。合同捜査の過程で、「模倣犯」の武上刑事と「クロスファイア」の 石津刑事が再会し、2つの事件の謎に迫る。家族の絆とは、癒しなのか?呪縛なのか?
 舞台劇のように、時間と空間を限定した長編現代ミステリー。宮部みゆきが初めて挑んだ文庫書下ろし。

[感想]
 いや、ホントにこの人ハズレがねーなー
 しかも、作品ごとになんか新しいことやってるし。 
 脱毛…じゃなくて、脱帽。

 上にもかいてあるけど、たしかに舞台向き。
 「12人の優しい日本人」をちょっと思い出しました。
 お薦め~

[評価]
 《俺》☆☆☆★
 《奨》☆☆☆★
 
R.P.G. (集英社文庫)

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2003年12月06日

【本】象と耳鳴り

象と耳鳴り

[著者]
 恩田 陸
[出版]
 祥伝社文庫 お13-3 P311 \562 初 2003/2
[入手]
 新刊 2刷 2003/3  
[初出]
 単行本刊行 1999/11
[内容](上記URLより)
 「あたくし、象を見ると耳鳴りがするんです」退職判事関根多佳雄(せきねたかお)が立ち寄った喫茶店。
 上品な婦人が語り始めたのは少女時代に英国で遭遇した、象による奇怪な殺人事件だった……。 表題作を
 はじめ、子供たちの会話、一枚の写真、携帯電話など、なにげないテーマに潜む謎を、鮮やかな手さばきで
 解き明かす論理の芳醇なる結晶。幻惑と恍惚の本格推理コレクション!

[感想]
 普通の「推理小説」のように、判り易い事件や犯人もでてこないのだが、
 何気ない会話から始まる「推理」が見せ所。
 むしろ「推理」小説と言った方がいいかもしれない。 
 中には事件が本当にあったかどうかすら分からないまま終わっていく物語もある。
 どの話も最後に残る余韻が素晴らしい…

 強くお奨め!!

[評価]
 《俺》☆☆☆☆
 《奨》☆☆☆☆

象と耳鳴り―推理小説 (祥伝社文庫)

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【本】90くんところがったあの頃

90くんところがったあの頃

[著者]
 大槻 ケンヂ
[出版]
 角川文庫 初 2003/9 
[入手]
 新刊 
[初出]
 週刊アスキー連載。単行本『90くん』 2000/3 
[内容](上記URLより)
 1999年7の月、空から恐怖の大王は降りてこなかった・・・。(「ノストラダムスの大予言 大はずれ」)
 90年代に起こったあれこれを鬼才オーケンが気ままに綴る。 21世紀を生き抜くための叡智がここにある!?

[感想]
 例によってのノホホン調で90年代の出来事を綴ったエッセイ。
 筋少脱退の理由の一端なども垣間見えて個人的には面白かった。
 まぁ人に薦めるつもりはないですけど。


[評価]
 《俺》☆☆★
 《奨》☆★
 
90くんところがったあの頃 (角川文庫)

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2003年11月14日

【本】東大落城 安田講堂攻防七十二時間

東大落城 安田講堂攻防七十二時間

[著者]
 佐々淳行
[出版]
 文春文庫 さ-22-2 P329 \476 初1996/1
[入手]
 上野の古本屋 \200 11刷 2002/3  
[初出]
 文藝春秋(1992)連載に加筆。単行本刊行 1993/1。
[内容](上記URLより)
 放水に煙る時計台、炸裂するガス弾……昭和四十四年一月十八日、
 学園紛争の天王山といわれた東大安田講堂の攻防を自ら投石を受けながら指揮した著者が再現したドキュメント!
[感想]
 前に『連合赤軍「あさま山荘」事件』を読んだ時にも思ったけど、同じ事件でも視点が変わるとガラリと変わるねぇ。
 全共闘関連の本は探せばゴマンとありますが、体制側からここまで克明に描きだしてるものは他にないねぇ。
 なんにせよ多角的に物事を見ることはいいことだと思いますよ。
 お奨め~

 またまた余談ですが…
 本書にもでてくる東大全共闘の山本議長は、予備校時代のオレの恩師っす。
 思えばあの人とファインマンに憧れて、才能を度外視して物理の道を選んだのであった…しみじみ。

[評価]
 《俺》☆☆☆
 《奨》☆☆☆
 
東大落城―安田講堂攻防七十二時間 (文春文庫)

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2003年11月13日

【本】幻談・観画談 他三篇

幻談・観画談 他三篇

[著者]
 幸田露伴
[出版]
 岩波文庫 緑12-8 P185 \410
[入手]
 古本 \280 初版 1990/11  
[底本]
 岩波書店版 露伴全集
[内容](上記URLより)
 蒼茫と暮れゆく海上,その薄暗い水面にふっと現れてはまた消える細長いもの.不審に思った釣客が舟をよせると――.
 斎藤茂吉に「このくらい洗練された日本語はない」と絶賛された「幻談」の語りは,まさに円熟しきった名人の芸というに値する.
 ほかに「骨董」「魔法修行者」など,晩年の傑作五篇を収録.

[感想]
情景が浮かんでくる心地よい文章でした。
 中でも特に「骨董」と「蘆声」が気に入りました。
 読みやすいお奨めです。


[評価]
 《俺》☆☆☆
 《奨》☆☆☆
 
幻談・観画談 他三篇 (岩波文庫)

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2003年10月20日

【本】濃厚民族 15大対談集

濃厚民族 15大対談集

[著者]
 浅草キッド
[出版]
 スコラマガジン P316 \1500 初2003/10
[入手]
 新刊 初版  
[内容](上記URLより)
 15大対談
 深作欣二氏,田原総一朗氏,山城新伍氏,テリー伊藤氏,力也氏,松井章圭氏,古舘伊知郎氏,百瀬博教氏,
 石倉三郎氏,佐々淳行氏,野村克也氏,甲本ヒロト氏,高橋がなり氏,萩本欽一氏,ビートたけし氏

[感想]
 普段は雑誌の対談記事でさえ滅多に読まないのに、何を考えたんだが対談集を買っちまいましたよ。
 TV見てても思うけど、浅草キッドのヨイショの仕方はすでに芸だなぁ、
 現代の幇間(ほうかん いわゆる「たいこもち」ね)といってもいいかもしれん。
 この本も読んでて、対談相手がキッドにのせられていい気分になってるのがビシビシ伝わってきますわい。
 キッドの二人もちゃんと相手のこと勉強してるしなぁ
 
 濃い~オジサン達(ヒロトのぞく)の自慢話が延々続くんで、向いてない人にはダメかもね。
 (おれも正直あまり得意じゃないし…)
 まぁ本屋で見かけたら、自分の興味のある人のとこだけ立読みするくらいのがいいかも…

[評価]
 《俺》☆☆★
 《奨》☆★

濃厚民族

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2003年10月19日

【本】砂の女

砂の女

[著者]
 安部公房
[出版]
 新潮文庫 初1981/2 \476 P268
[初出]
 新潮社より単行本刊行 1962/6
[入手]
 新刊 54刷(2003/5) 
[内容](上記URLより)
 砂丘へ昆虫採集に出かけた男が、砂穴の底に埋もれていく一軒家に閉じ込められる。考えつく限りの方法で脱出を試みる男。
 家を守るために、男を穴の中にひきとめておこうとする女。そして、穴の上から男の逃亡を妨害し、二人の生活を眺める村の人々。
 ドキュメンタルな手法、サスペンスあふれる展開のうちに、人間存在の極限の姿を追求した長編。20数ヶ国語に翻訳されている。

[感想]
 作品の本質とは何ら関係が無いのですが、活字でかすぎ行間もとりすぎで、読みにくいったらありゃしない。
 安部のような作家は小さな字がギチギチにつまってないとイマイチ読む気がしねー。 
 読みやすいレイアウトなんて人それぞれだから、単なるエゴなんですがね…
 まぁ内容に引き込まれてしまえば、そんなことは気にならなくはなるんですが、今回はそうじゃなかったと。 
 前に読んだ狸でてくるやつ(『壁』か?)のが私にゃむいてましたな。
 後半はほとんど斜め読み…

[評価](後半飛ばし読みのため)
 《俺》―
 《奨》―

砂の女 (新潮文庫)

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2003年10月15日

【本】ぼくの浅草案内

ぼくの浅草案内

[著者]
 小沢昭一(おざわ・しょういち)
[出版]
 ちくま文庫 初2001/10 P201 \880  
[初出]
 講談社より単行本刊行 1978/6
[入手]
 新刊 2刷(2002/11) 
[内容](裏表紙より)
 当代きっての浅草通・小沢昭一による、浅草とその周辺の街案内。東京の川が埋め尽くされる中、ここには川がある。
 露地や横町には人のぬくもりがあり、歴史と人情とうまいもの、そして芸能と”いろ”のにおいが色濃く漂う。
 「浅草の街にまぎれこむと、私の心はじんわりと休まる」そんな街を限りない郷愁をこめて描く。伝説の名著が今、よみがえる!

[感想]
 小沢昭一の浅草案内。
 小沢昭一がわからない人はグーグルででも写真さがしてください、顔みれば思い出します。)
 初刊行が78年なので情報はだいぶ古くなってしまっていますが、そんなことは気にしちゃいけません。
 その辺のガイドブックなんかよりよっぽど浅草が好きになれること請け合い。
 いますぐ、浅草にいきたくなるなぁ 
 筑摩は岩波ほど固くないんだけど、いい本を復刻してくれると思います。
 そんな出版社に応える意味でも定価で買いたい本。
 ひとつ残念なのは、著者が下戸なので、居酒屋の案内がほとんどないこと。
 神谷バーですら、本編では触れてないのだ…
 無念。

[引用](P158より)
 田原町の地下鉄を出て浅草に向かおうとすると、すぐに左に焼ソバ屋が二軒並んでいて、戦後ずうっとソースの湯気が道に流
れ出ている。私は田原町といえばあの焼ソバのニオイを想い出す。浅草は、まず焼ソバのソースを嗅いで入って行く町であった。 

[評価]
 《俺》☆☆☆☆
 《奨》☆☆

ぼくの浅草案内 (ちくま文庫)

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2003年10月13日

【本】小さき者へ・生れ出づる惱み

小さき者へ・生れ出づる惱み

[著者]
 有島武郎(ありしま・たけお)
[出版]
 新潮文庫 初1955/1 P94  
[入手]
 古本 50円 7刷(1957/3) 

[感想]
 神田の古本屋の店頭ワゴンから買いました、大分年季の入った文庫本で、中身も旧仮名でした。
 しかし、彼の文体には旧仮名旧字があっていて実にいいです。
 有島武郎は今まで読んだことがなくて、もっとドロドロした情念の世界を描いている人かと思っていましたが。
 この二作品に関しては、人間の善なる部分、高貴な側面を描いています。
 近頃、心が荒れてたので、その荒廃に、砂漠に降った雨のように染み入りました。
 お奨めです。
 機会があれば、「小さき者へ」だけでもいいので是非読んでみてください。
 
[評価]
 評価  ☆☆☆☆(満点)
 お薦め ☆☆☆☆

[引用] (小さき者へ P15より)
 愈々H海岸の病院に入院する日が來た。お前たちの母上は全快しない限りは死ぬともお前たち
に逢はない覺悟の臍(ほぞ)を堅めてゐた。二度と着ないと思はれる。――而して實際着なかつた――晴
着を着て座を立つた母上は内外の母親の目の前でさめざめと泣き崩れた。女ながらに氣性の勝(すぐ)れ
て強いお前たちの母上は、私と二人だけゐる場合でも泣顔などは見せた事がないといつてもいゝ
位だつたのに、その時の涙は拭くあとからあとから流れ落ちた。その熱い涙はお前たちだけの尊
い所有物だ。それは今は乾いてしまつた。大空を亙(わた)る雲の一片となつてゐるか、谷河の水の一滴
となつてゐるか、大洋の泡の一つとなつてゐるか、又は思ひがけない人の涙堂に貯へられてゐる
か、それは知らない。然しその熱い涙は兎も角もお前たちだけの尊い所有物なのだ。

小さき者へ・生れ出づる悩み (新潮文庫)

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2003年09月29日

【本】村上春樹 羊をめぐる冒険 上・下

村上春樹 羊をめぐる冒険 上・下

[著者]
 村上春樹
[出版]
 講談社文庫 
[初出]
 『群像』1982/8月号
[入手]
 古本 上100円 下200円

[感想]
(僕と<鼠>に耳の綺麗な彼女に羊博士に先生に星型の羊に黒服の秘書に羊男にジェイに別れた妻に運転手にイワシに相棒に…)

「羊をめぐる冒険はSFだぜ」といっていた大学時代の友人(北村君)をおもいだした。
あるいはそんなことはいってなかったのかもしれないけど…

昨日、寝る前にふと上巻を読み始めてしまい、今日はお酒を飲みながら下巻を読みきった。
お酒はなぜかアクアビットでした、本のなかに出てくるのはウィスキーとビールばっかりなのに。
お酒を飲みたくさせる本はきっといい本だね。
うん、これはとてもいい本だ。

と、こうして感想書いてる横で、今、グラスの中の氷が綺麗な音をたてて崩れた!

[評価]
 《俺》☆☆☆☆
 《奨》☆☆☆

羊をめぐる冒険〈上〉 (講談社文庫)

羊をめぐる冒険〈下〉 (講談社文庫)

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【本】岡山女

岡山女

[著者]
 岩井志麻子
[出版]
 角川ホラー文庫 H82-3 P237 \476 初2003/7
[初出]
 角川書店 単行本 2001/11
[入手]
 新刊購入 (初版) 
[内容〕(http://www.kadokawa.co.jp/bunko/bk_search.php?pcd=200103000694 より)
 隻眼の霊媒師タミエが見た、亡霊たちの哀しみと怨み。
 明治期の岡山を舞台に彼岸と此岸のあわいを濃密な文体で描いたホラー連作短編集

[感想]
著者は「ぼっけぇ、きょうてい」の書いた人です。
あいかわらず、雰囲気のある文体で、そんなに怖くはないのだけど、何気ない箇所で背筋がヒンヤリとしたりしました。

[評価]
 《俺》☆☆☆
 《奨》☆☆☆

岡山女 (角川ホラー文庫)

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【本】陰陽師~生成り姫~

陰陽師~生成り姫~
作 夢枕獏
出 文春文庫

■感想
新聞連載だったんだねー
しらなんだー

そのわりには破綻なく全体像がしっかりとしてたねー

ただ、いわずもがなのことに筆を多く費やしてるなぁという印象はもちました。

内容はまぁいいんじゃないでしょうか。
長編ってよりは中編くらいのボリュームしかなかったけど…

■評価
☆☆★

陰陽師生成り姫 (文春文庫)

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2003年09月17日

【本】マルタの鷹 (The Maltess Falcon)

マルタの鷹 (The Maltess Falcon)

[著者]
 ダシール・ハメット
[出版]
 創元推理文庫 \260 P341 (初)1961/8 
[入手]
 学生時代に古本屋で購入 \200 (12刷)1974/5 
[内容〕(裏表紙より引用)
 私立探偵サム・スペイドは、若い女からある男の見張りを依頼された。しかし見
 張り役を買って出た同僚はその夜、射殺され、続いて問題の男もホテルの正面
 で惨殺される。事件の口火を切った若い女、彼女を追って東地中海から来た謎の
 男、ギャング一味の暗躍――その昔、マルタ島騎士団がスペイン皇帝に献上した
 純金の鷹の彫像。その血みどろの争奪戦に介入したタフ・ガイ、スペイドの大活
 躍。

[感想]
 ハードボイルドです。
 ハードボイルドいうたら、ハメットかチャンドラーですが(他しらないし…)。
 ハメット読むのは初めてだったりします。
 主人公のサム・スペイドは一言でいうと「不敵」な奴。
 顔のパーツ(眉毛とか鼻の輪郭とか)が全部 Vの字です。(どんなやねん)
 悪党どもを軽くあしらうさまはなかなか魅力的です
 でも、おいらはチャンドラーのマーロゥのが好きだねぇ
 

[評価]
 《俺》☆☆☆
 《奨》☆☆☆

マルタの鷹 (創元推理文庫 130-2)

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2003年09月14日

【本】爆笑問題の日本原論

爆笑問題の日本原論

[著者]
 爆笑問題
[出版]
 宝島社文庫 \400 P223 初1999/4 
[初出]
 『宝島30』連載(1994/4~96/6)、単行本1997/2、文庫1994/4 
[入手]
 BOOKOFF \100(初版)

[感想]
 出た当時はかなり売れてて書店に平積みになってました。
 買いはしませんでしたが、本屋で何度か立読みしてるうちに最後まで読んでしまった記憶があります。(コラコラ^^;)

 雑誌連載が7~9年も前。
 阪神大震災にオウム事件といろんなことが起きた時期でもありました。
 今読むと隔世の感がありますなぁ…
 フランスの核実験やら旧二信組乱脈融資事件など、当時は結構さわいでたのに、今よむと「あ~あったなぁ」って感じ。
 細川首相とか村山首相とかも懐かしくてナミダメ…
 時事ネタを扱った本は暫く寝かせてから読むとまた一際違った味わいがあってよいですねぇ

 内容は実際の時事漫才風に二人のセリフから全てなりたっていて、二人のキャラクタが分かった上で読むと、
 頭の中で実際に漫才を再現できておもしろいです。

 実際に人が死んでる事件でもきわどくネタにもってちゃったりしてちょっと引く部分もありますが全般的におもしろいです。


[評価]
 《俺》☆☆☆
 《奨》☆☆☆
 
爆笑問題の日本史原論 (幻冬舎文庫)

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2003年09月10日

【本】続巷説百物語

続巷説百物語

[著者]
 京極夏彦
[出版]
 中央公論新社 C★NOVELS 73-3 \1300 P763 初2003/ 
[初出]
 単行本 2001/5 角川書店刊行
[入手]
 新刊(初版)
[内容] (http://www.chuko.co.jp/new/20038/500816.html より)
 打ち首にしても三度首が繋がって生き返る悪党、行き合うと命を落とすという七人みさき。
 怪異の裏に人世の悪がある――人心を巧みに弄して物怪を現出せしめる御行の又市が裁かれぬ悪を裁く!

[感想]
 タイトルどおり巷説百物語の続編で、今回も裁けぬ悪を妖怪仕掛けで退治してしまう連作集であります。
 続編といってもそこは京極夏彦、単純に前作の後日譚ではなく時系列的に交差する出来事を描いてます。
 前作では1作目の出会いの後いきなり又市に協力していた百介ですが、今回の1作目ではそこにいたる経緯が描かれています。
 さらにお銀の過去、又市の因縁なども描かれて、より深い話になってきてます、ただその分騙しのカタルシスはあまり感じられなかったのが残念。
 
 2冊まとめて読むのがおすすめ~

[評価]
 《俺》☆☆☆
 《奨》☆☆☆(前作といっしょに読もう~)
 
続巷説百物語 (C・NOVELS BIBLIOTHEQUE)

文庫版はこちら↓
続巷説百物語 (角川文庫)

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【本】バイバイ、エンジェル

バイバイ、エンジェル

[著者]
 笠井潔
[出版]
 創元推理文庫 \640 P387 
[初出]
 1979年5月『野性時代』に掲載。1979年7月角川書店より刊行。1984年3月角川文庫より刊行。1995年5月創元推理文庫より刊行。
[入手]
 新刊(渋谷 大盛堂文庫タワー)
[内容] (裏表紙 より)
 ヴィクトル・ユゴー街のアパルトマンの広間で、血の池
 の中央に外出用の服を着け、うつぶせに横たわっていた
 女の死体には、あるべき場所に首がなかった! こうし
 て幕を開けたラルース家を巡る連続殺人事件。司法警察
 の警視モガールの娘ナディアは、現象学を駆使する奇妙
 な日本人矢吹駆とともに事件の謎を追う。ヴァン・ダイ
 ンを彷彿とさせる重厚な本格推理の傑作、いよいよ登場。

[感想]
 デビュー作かつ矢吹茂シリーズの第1作だそうです。
 血文字の脅迫状に首なし死体と道具立ては王道本格派ですが、
 主人公の人物(推理方法含む)や犯人の動機は従来の探偵小説へのアンチ。
 哲学的な描写が多く、いろいろと深読みできそうでしたが、
 残念ながら知識が足らず表層をなぞっただけでした。

 読み解けないとそれほど面白くもない話なので、続きは読まないと思います。  

 ちなみに巻頭歌はストーンズの悪魔を哀れむ歌からの引用。

[評価]
 《俺》☆☆
 《奨》☆☆

バイバイ、エンジェル (創元推理文庫)

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2003年09月09日

【本】バカドリル いくよ

バカドリル いくよ

[著者]
 天久聖一 タナカカツキ
[出版]
 扶桑社文庫 0213 \476 P170 
[初出]
 「GOMES」連載 平成6年12月単行本刊行
[入手]
 BOOK・OFF 100円 15刷(2002/2)
[内容] (裏表紙 より)
 パルコのフリーペーパー「GOMES」から生まれたバカドリル。体
重計ののり方、カレンダーのめくり方、メガネのかけ方など、これ
までまったく気がつかなかった、目からうろこの実用ギャグが満載。
モダンでやさしいミネラーゼをイメージしたカバーの本書には、書
き下ろしの「バカドリル問題集」がついて、内容的にさらにお得!
オレンジのカバーのバカドリル・くるよもヨロシク。

[感想]

 上の「内容」に書いてある通りの本です。
 ちょっと古い言い方をするとナンセンス系の笑いですな。
 はまる人にはたまらないと思われますが、そうじゃない人には「何?コレ?」な世界。

 「すもうの決まり手」はかなり笑った。
 発想の飛躍でわらかしていくやり方はダウンタウンのまっちゃんの笑いに近いかも(『一人ごっつ』とかね)。
 ネタを繰りすぎて逆に笑えなくなっちゃってるのも多かったりするけど…

 TV雑誌は断然TVブロスだ!って人にはお奨めかな。

  
[評価]
 《俺》☆☆☆
 《奨》☆☆
 
バカドリル いくよ (扶桑社文庫)

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2003年08月28日

【本】1973年のピンボール

1973年のピンボール

[著者]
 村上春樹
[出版]
 講談社文庫 \240(今は\371) P175 初1983/9
[初出]
 『群像』 1980年3月号掲載 同年6月単行本発行
[入手]
 BOOK・OFF 100円 16刷(1988/7)
[内容] (http://shop.kodansha.jp/bc2_bc/search_view.jsp?b=1831003 より)
 さようなら、3(スリー)フリッパーのスペースシップ。さようなら、ジェイズ・バー。
 双子の姉妹との〈僕〉の日々。女の温くもりに沈む〈鼠〉の渇き。
 やがて来る1つの季節の終わり――
 『風の歌を聴け』で爽やかに80年代の文学を拓いた旗手が、ほろ苦い青春を描く3部作のうち、大いなる予感に満ちた待望の第2弾。

[感想]

 風の歌を聴けの続きです。
 なんら深読みせずにたんたんと文章をあじわっただけですが、これもかなりいいです。 
 
[評価]
 《俺》☆☆☆★
 《奨》☆☆☆★

1973年のピンボール (講談社文庫)

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2003年08月27日

【本】半七捕物帳(二)

半七捕物帳(二)

[著者]
 岡本綺堂(おかもときどう)
[出版]
 光文社時代小説文庫 \600 P367 初1986/3
[入手]
 上野の古本屋で200円くらい(10刷 1996/10)
[内容](http://www.kobunsha.com/book/HTML/bnk_73230_5.html より)
 ご存知、半七老人が語る捕物談傑作集。著者綺堂が探偵役の半七に「江戸時代のシャーロック・ホームズ」
であれと願っただけに、奇怪な事件も、論理的な推理手法で解決されている。捕物帳の原典!「鷹のゆくえ」
「向島の寮」「小女郎狐」等十三編収録。(全六巻)
 本格推理小説と江戸の風物詩が一体となった文学史上の一大傑作、より読みやすく新装刊。

[感想]

 1巻よんでから1年以上たってしまった。
 2巻が長いことみつからなかったので、
 WEB(↓参照)で途中まで読んでたんだけど、
 やっぱり紙じゃないとダメダネ~
 先日上野の古本屋でみつけたので、買ってきました。
 やっぱおもろいなぁ…

 3巻~5巻はすでに購入済みなんですが
 全部で6冊しかないんだから、大事に読まなきゃ
 とりあえず1年後か…な。

 ちなみに著作権はとっくにきれているので、青空文庫で全作品よめます。↓
 http://www.aozora.gr.jp/index_pages/person82.html#sakuhin_list_1

[評価]
 《俺》☆☆☆
 《奨》☆☆☆

半七捕物帳〈2〉 (光文社時代小説文庫)

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【マンガ】増補 ハナコ月記

増補 ハナコ月記

[著者]
 吉田秋生(よしだあきみ)  ←『BANANA FISH』の人。
[出版]
 ちくま文庫 \680 P141 初1996/12
[初出]
 『Hanako』 1988年6月9日号~1994年9月29日号 掲載
[入手]
 BOOK・OFF 100円

[感想]
 ハナコでなが~~いこと連載されてた漫画エッセイでやんす。(毎月2P)
 20代後半同棲カップル ハナコさんとイチローさんの生活が描かれてます。

 なかなか男女の機微を上手に捉えてたりするので、ボンクラな私なんざが読むと
 女心がちょっとわかった(ような気)がしたりして・・・

 連載が続くにつれてイチローさんがだんだんとオジサン化してくるんだけど、
 それでも俺より年下なんだよなぁ
 う~~む、まいった。

 連載してた時期が時期だけに、時代を感じさせることも描いてあったりもします、
 スキーしにいって苗場まで渋滞で15時間かかったとかね。^^;

[評価]
 《俺》☆☆☆
 《奨》☆☆☆
 
ハナコ月記 (ちくま文庫)

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2003年08月26日

【本】新耳袋 現代百物語 第一夜

新耳袋 現代百物語 第一夜

[著者]
 木原浩勝 中山市朗
[出版]
 角川文庫 \590 P297 初版2002/6 (オリジナルは1998/4 メディアファクトリーより)
[入手]
 新刊購入
[内容]( http://www.kadokawa.co.jp/bunko/bk_search.php?pcd=200106000697 より)
 古来より百話を完結させると怪しいことが起こると語り継がれる「百物語」。
現代を代表する怪異蒐集家、木原・中山両氏が命懸けで取材した怪異現象の数々を収録した稀代の怪談実話集!

[感想]
 実話風の怪談が99話!

 もともとはA5版くらいで出ていたものの文庫化です。
 オリジナルのほうはちょくちょく立読みしてたんですが、
 文庫版が出てたので買ってみました。
 当然、前半は立読みしていたので、うっすらと覚えている話ばっかりでした。
 そのうち知らない話も出てくるだろうとおもって読んでいたんだけど、これがいっこうに出てこない。
 あれよ、あれよというままに、そのままあとがきに突入してしまった…
 これも怪談か?とおもいきや・・・
 単に立読みのときに読みきってただけでした。

 オチのある怪談(「後で知った話ですが、その場所では…」みたいなのが入るやつ)はよう読まんのですが、
 この本にのってるようなオチのない話はいいねぇ
 星新一のショートショートのようにナイトキャップのように気軽に読めますわい。

 ちなみにタイトルの元になっている「耳袋」ってのは江戸時代に根岸鎮衛(やすもり)という人が江戸の怪異を聞き集めて編纂したものです。
 それの平成版ちゅうこっちゃね。

[評価]
 《俺》☆☆☆
 《奨》☆☆★

[引用](P82 第三章より)

 第二六話

 ある雪の降った朝。アニメーターのOさんは都内を歩いていて妙なものを見つけた。
 人間が入り込むのは不可能と思えるビルとビルの狭い隙間に、うっすらと雪が積もって
いる。その真ん中にぽつっと、子供の素足の足跡がひとつだけついていた。


新耳袋―現代百物語〈第1夜〉 (角川文庫)

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2003年08月25日

【本】ニッポンの猫

ニッポンの猫

[著者(写真と文)]
 岩合光昭 (いわごう・みつあき)
[出版]
 新潮文庫 \590 P162 2003/8(文庫)オリジナルは2000/3
[入手]
 新刊購入
[内容] (http://shinchosha.co.jp/cgi-bin/webfind3.cfm?ISBN=119816-0 より)
 愛おしい。何回見ても、もっと見た~い。 
地球上どこへ行っても、気にするのはそこに猫がいるかいないか、この可愛さをどうしたらうまく写真に撮れるんだろう──猫は世界のイワゴ

ーの原点です。ヒトと深く関わりながら生きてきたニッポンの猫を求めて、北海道から沖縄まで日本中を歩きました。谷中の墓地猫、東大寺の

二月堂猫、ニッポンの猫は古い町によく似合います。その〈かわいい〉を、たっぷりとお楽しみください。

[感想]
 猫の可愛い写真と他愛ない文からなる本など世に腐るほど氾濫しておりますが。
(そもそも、猫の写真なんてもんはどんなもんでも可愛いにきまっとるのだ・・・)
 この本はそんじょそこらの猫写真本とはワケが違うね。
 南は沖縄から北は函館までイワゴーさんが猫をさがして旅をした結果、その土地土地の顔をした猫写真集が出来上がってます。
 猫なんてどこでとろうが同じじゃねーかって思う人もおるかもしれんが、
 猫とその土地との関係性も同時にフィルムに収められておるんですなぁ
 うそだと思ったら↓の立読みのURLいって竹富島の猫をみてみんしゃれー

[評価]
 《俺》☆☆☆★
 《奨》☆☆(まぁ猫バカのいうことですから)
 
ニッポンの猫 (新潮文庫)

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2003年08月23日

【本】カメレオンは大海を渡る

カメレオンは大海を渡る
 サイエンス・コラム110

[著者]
 橋元 淳一郎
[出版]
 早川文庫 NF276 \693 P293 2003/6
[内容] (http://www.hayakawa-online.co.jp より)
 [サイエンス・コラム110〕幽体離脱時に活性化する脳の部位とは? 鳥の祖先は4枚翼の恐竜だった? 植物の葉緑体は強い光を当てる

と逃げる? ナノテクで原子のメビウスの輪ができた!?……小説よりも奇なる研究成果のオイシイところを、軽やかな文章にくるんで振舞う、

大好評サイエンス・コラム集第2弾。

[感想]
 いつの時代もサイエンスの一番おもしろところは学校の教科書にのっているところではなく、その最先端の部分なわけです。
いろんな内容の論文が出され、反証されたり追試保証されたりして、やがて証明されていくわけですが、
その一番おもしろいところを、抽出してわかりやすく解説してくれてるのが本書。
 先端の話なんで中には間違ってるものもあると思われますが、それもふまえて断定調をさけあくまでサイエンティストの目線からの紹介が小気味いいっす。
 1年遅れくらいで、この本のネタを特命リサーチとかでやったりするんだろうなぁ…
 人類のミッシングリンクがみつかった話とEPRパラドックスの話が面白かったです。
 表題にまつわる話も同然のっておりますヨ。

[評価]
 《俺》☆☆☆★
 《奨》☆☆☆

[引用](P56 1-5 人類はどこから来たのか)
 (前略)
 ところが、2001年にチャドで発掘されたサヘラントロプス・チャデンシスは学界により大きな波紋を投げかけた。
 まず、この猿人の化石はラミダスやオロリンよりさらに古く、およそ670万年前のものと判明した。つまりヒトとチンパンジーが分岐してか

らすぐに誕生した、いわば最古の人類と呼ぶべきものなのである。
 しかし、より大きな問題は、発見された場所である。チャドは、アフリカの中央部にあり、有名な東アフリカ大地溝帯より2500キロも西なの

である。これまでの猿人の化石は、すべて東アフリカ地溝帯より東で見つかっており、人類は東アフリカで誕生したというのが定説である。
 何らかの理由で大地溝帯を東に渡ったチンパンジーが独自に進化して、ヒトになったと考えられているのである。
 ところが、最古の人類であるサヘラントロプスが大地溝帯より西にいたとなると、人類東アフリカ誕生説が根本的に覆されることになる。こ

うして、人類進化の筋書きは大混迷に陥ることとなったのである。
 (後略)

カメレオンは大海を渡る―サイエンス・コラム110 (ハヤカワ文庫NF)

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2003年08月18日

【本】陰摩羅鬼の瑕(おんもらきのきず)

陰摩羅鬼の瑕(おんもらきのきず)
著者: 京極夏彦
出版: 講談社ノベルズ \1500 P750 2003/08/08

●内容(shop.kodansha.jp/bc2_bc/search_view.jsp?b=1822934 より引用)
凄い!京極小説。
あの「夏」の衝撃が甦る。未体験の京極ワールド。
白樺湖畔に聳える洋館「鳥の城」は、主の5度目の婚礼を控えていた。過去の花嫁は何者かの手によって悉く初夜に命を奪われ

ているという。花嫁を守るよう依頼された探偵・榎木津礼二郎は、小説家・関口巽と館を訪れる。ただ困惑する小説家をよそ

に、館の住人達の前で探偵は叫んだ。――おお、そこに人殺しがいる。

●感想
正直言って期待はずれ・・・
理由は…

 1.オチが読めすぎ…著者も犯人を隠す気はないんだろうけど、動機の部分もかなり読めてしまってねぇ
  こっちの想像を越えるラストを期待してただけに、ちょっとがっかり

 2.今回の妖怪「陰摩羅鬼」が中国(宋代「清尊禄」)から直輸入されてほとんど変化がないので、
  お楽しみの妖怪謎解きがあんまりないのよね(かわりに産女の謎解きがありましたが)
  
 3.個人的に今回の題目の儒教(儒学)にあんまり興味ないんだよねぇ。
  林羅山の陰謀とかいわれても燃えないっす…

 4.京極堂の憑き物おとしの切れ味がわりぃ。
  いつものカタルシスがないのさ、伯爵はしょうがないにしても、伊庭さんの憑き物をズバっと落としてほしかったなぁ。

 5.人物関係が淡白!
  もっともっと、いっぱいのヒトだして、ごちゃごちゃしてもらわんとぉぉ!!
  

 結局、私がこのシリーズでいちばん好きなところは、さまざまに錯綜するいくつものプロットが終局で見事に収束するところなのですよ。
今回は屋敷のなかでの出来事が主なため錯綜具合がたりなかったなぁ

とはいえ、関口君を治療するためには本作が必要だったのかもしれないねぇ
うむうむ。
邪魅の雫に期待じゃ!!

いつになく、読んでないヒトにはわからん感想で、スマン。

●評価
《俺》 ☆☆☆
《薦》 ☆☆☆(未経験者はウブメの夏から読みましょう)

陰摩羅鬼の瑕(おんもらきのきず) (講談社ノベルス)

文庫版↓
文庫版 陰摩羅鬼の瑕 (講談社文庫)

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2003年07月27日

【本】尻啖え孫市

尻啖え孫市

[著者] 司馬遼太郎
[出版] 角川文庫 し3-2 P645 \760 (BOOKOFFで\100)
[発行] S44/12/30
[内容] 信長の居城岐阜城下にふらりと姿を現わした男、真赤な袖無し羽織、二尺の大鉄扇、日本一と書いた旗を持つ従者。紀州雑賀党の若き領主・雑賀孫市である。戦国の快男児を痛快に描く。

■感想
前半はおもしろかったんだけどなぁ
後半はどうも…
はりっぱなしの伏線とかも多かったし

やっぱり新聞連載の本は好かんです。

でも、いっきにはよめたから、まぁまぁかな。

■評価
《俺》☆☆★
《薦》☆☆

尻啖え孫市 (角川文庫 緑 290-2)

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2003年07月04日

【本】情報系 これがニュースだ

情報系 これがニュースだ

■データ
[著者] 日垣 隆(『「買ってはいけない」は嘘である』、『敢闘言』)
[出版] 文春文庫 P520 \676(BOOKOFFで\100で購入) 
[発行] 2001/3/10
[HP] http://bunshun.topica.ne.jp/search/html/7/65/50/4167655012.html)
[内容] '90年代、湾岸戦争から阪神大震災やオウム真理教事件を経てペルーでの人質事件に至るまでの、現代
    日本を描くに不可欠な出来事を、当代きってのノンフィクション作家が徹底的にルポタージュした
    作品集。各章毎に叙述法を変え、前後で共鳴しあうよう意図されており、ノンフィクション方法論の
    集成でもあり、画期的ルポといえる。(引用元:文庫裏表紙)

■感想

どっかで連載→単行本→文庫ときているので、内容はだいぶ古い(連載開始は94年)。
予測が現実によって検証できるので、古いノンフィクションを読むのもなかなか楽しい。
当然、作者はより厳しい目で見られることになると思うのだが、視点は決して古くはなっておらず、予測も概し
て妥当であったと思う、とくにネット関連の記事はインターネット人口率が1%だったころに書かれたとは思えない。
しかし、ルポの手法って、こんなにあったんね…勉強になりました。
タイトルはイマイチ。

■評価

《俺》☆☆☆
《薦》☆☆

情報系 これがニュースだ (文春文庫)

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2003年07月01日

【本】発掘捏造

発掘捏造

[著] 毎日新聞旧石器遺跡取材班
[出] 新潮文庫 \476 P303 発行2003/06/01

[内容] 「あっ、埋めている!」二〇〇〇年十月二十二日早朝、ひとけのない宮城県上高森遺跡の発掘現場で撮影された驚愕ビデオ。
考古学界はもとより、日本中の話題をさらったこのスクープはいかにして生まれたのか。「神の手」と呼ばれた男「F」の疑惑を追っ
て極秘取材が始まる。張り込み、隠し撮り、また張り込み。粘り強い記者たちの執念と息詰まる取材現場のすべてをお届けする――。
(http://shinchosha.co.jp/cgi-bin/webfind3.cfm?ISBN=146823-0 より)


■感想
・2年前に世間を騒がせた旧石器遺跡の石器捏造事件をスクープした毎日新聞社取材班がその取材の内幕を記したノンフィクション。
・取材班はいかにして捏造疑惑を白日のもとにさらしたか、何故、日本考古学界は藤村氏の成果を無批判に受け入れつづけたのか、
 今後の旧石器時代の研究はどうなっていくのか?

・(自称)ジャーナリスト達にはうんざりさせられることのほうが多いけど、この本を読む限りまだまだ日本のジャーナリズムも捨て
たもんじゃないなと思えます。
・この事件が残した傷跡はわしら門外漢が想像するよりはるかに大きかったみたいね、事件の後の考古学界にフォーカスあてた本も
よんでみたくなりました。

■評価
《おれ的に》 ☆☆☆
《おすすめ》 ☆☆☆

発掘捏造 (新潮文庫)

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2003年06月12日

【本】哲学

哲学
著 島田紳介 松本人志
出 幻冬舎文庫 P269 \495(BOOKOFFで\250)
http://shop.gentosha.co.jp/Book.asp?prid=1913&alfa=qz3zMzTzjzzzPz73

■感想
古本屋でみかけたんで、なんとなく買ってみた。
実家に帰る電車の中で読み終わる程度の量。
内容は「ふ~ん」って感じ。
著者のどちらか(あるいは両方)が好きじゃなければ、特に読むこともないと思います。

やっぱり、お笑いは語るモノじゃなくて、とるものだね。

■評価
評価  ☆☆
お奨め ☆

哲学 (幻冬舎文庫)

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【本】数の悪魔 算数・数学が楽しくなる12夜

数の悪魔 算数・数学が楽しくなる12夜

著 エンツェンスベルガー
絵 ベルナー
訳 丘沢静也
出 晶文社 \1600 P254

■感想
まぁサブタイトルどおりの本です。
数学のことが、絵つきでわかりやす~くかいてある良くあるタイプの本。

この手の本ついかっちゃうんだよなぁ。

まぁ例によって素数の話やら、フィボナッチ数の話がのってたりします。

でもって、これまた例によって、数学ぎらいの人にお奨め。
って、いっても数学きらいの人は絶対読まないってわかってんだけどね(~_~;)

■評価
評価  ☆☆★
お奨め ☆☆☆

数の悪魔―算数・数学が楽しくなる12夜

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【本】ナンシー関の顔面手帖

ナンシー関の顔面手帖

著 ナンシー関
出 角川文庫 P181 \430 (BOOKOFFで\100) 初:平成8年

■感想
ふと気付くとナンシー関読んでるな…オレって。
ま、いっか。
中味はかなり初期の作品です。
なつかしいネタばっかり。
晩年の切れ味はまだない。

■評価
感想  ☆☆★
お奨め ☆★

■引用(P160 ラジャ・ライオン より)

 数年前、パキスタンの空手チャンピオン、ラジャ・ライオン(身長226センチ)が東洋の巨人、ジャイアント馬場(身長209センチ)に異種格闘技戦の挑戦状をたたきつけ、意気揚揚と来日した。その時、G・馬場と会って開口一番「ババはかなり小さい」と言ったというエピソードが、私は異常に好きである。
 もうひとつ、アンドレ・ザ・ジャイアント(身長223センチ)のお父さん(身長185センチぐらいらしい)が、息子アンドレに「ちょっとぐらい大きいからといってテング
になってはいけない・おまえのお祖父さんはもっと大きかったんだぞ」と説教したという話もたいへん好きだ。
 どちらも選ばれた者にだけカマすことが許される大ブロシキである。どちらも美しいまでに見事なエピソードである。私も死ぬまでに一度でいいから、これくらい見事な大ブロシキを広げてみたい。

ナンシー関の顔面手帖 (角川文庫)

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【本】X-メン パーフェクトガイド

X-メン パーフェクトガイド
著 ピーター・サンダースン
訳 小高早等
出 小学館プロダクション \3500 P184 フルカラー

■感想
40年にわたる人気アメコミX-MENのストーリー、キャラクター、背景などがきっちり書かれてます。

熱で会社休んでるときに暇だからパラパラと読んでたら熱中して、そのまま一気に読みたおしてしまった
そのまま寝たら、夢にミュータントが出てくる出てくる…
なんかアポカリプスにすんごい手術された悪夢をみました。

しかし、原作の設定ではミスティークとナイトクロウラーが母子とは知らなかった…

■感想
評価  ☆☆☆☆
お奨め ☆☆☆☆(→北村君限定)

X-MEN パーフェクト・ガイド

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2003年05月23日

【本】十二支考(下)

十二支考(下)
著 南方熊楠
出 岩波文庫 青 139-2 \760 P397

青空文庫「南方熊楠」
http://www.aozora.gr.jp/index_pages/person93.html#sakuhin_list_1

■感想
いやーついに読み終わりましたよ。
読み始めたのが、ちょうど去年の今ごろなんで、まるっと一年かかりました…
(途中、本がどっかいってた時期もあったりしましたが)
文庫1冊読むのにこんなにかかったのは、下の引用文を見てもらえればわかると思うけど、
かなり癖のある文章なんですわい。
ま、このとっつきにい文章がだんだん中毒になってきたりもするんですが…

内容は十二支にまつわる、民俗・伝説などを古今東西から紹介しまくるというものです。
ためしに一章読んだら、熊楠のすごさがわかるはず。
なにしろ、情報量がものすごいんだわ。
この本の一頁を切り取って、そこらの雑学本とバネ秤の両皿にそれぞれのせたら、そのままつりあいそうな感じ。
碩学とはこういうことをいうもんかね。

ちなみに上巻を読んだのは高校三年のころ(最後まで読んだかかなり怪しいけど…(^_^;))だから、
全巻読破するのに、十二支ひとまわりかかってしまった…

当時ほどは、難解さをあまり感じなかったとこを、みると少しは読解力成長してるのかもね。
(読む速さはガタ落ちですが)

非常におもしろいエピソードてんこもりですが、おしむらくはもうすでにほとんど忘れてしまったので、
あまり披露することはなさそうです…(-_-;)

おもしろいはおもしろいんですが、何度もいうようにかなり読みにくいです。
(それでも新仮名になって、ルビも多用されてるのでだいぶましですが)
なもんで、あまりお奨めしません…<(_ _)>

■評価
評価  ☆☆☆★
お奨め ☆★

■引用(P7 「羊に関する民俗と伝説」 より)

 一九〇三年板アボットの『マセドニア民俗記』に言う。カヴァラ町の東の浜を少し離れて色
殊に白き処あり、黄を帯びた細い砂で、もと塩池の底だったが、日光に水を乾し尽されてかく
なったらしい。昔美なる白綿羊を多く持った牧夫あり、何か仔細あってその羊一疋を神に牲
(にえ)すべしと誓いながら然(しか)せず、神これを嗔(いか)って大波を起し牧夫も羊も
捲き込んでしまた。爾来そこ常に白く、かの羊群は羊毛様の白き小波と化って今も現わる。
羊波(プロパタ)と名づくと。これに限らず曠野に無数の羊が草を食いながら起伏進退するを
遠望すると、糞蛆の群行するにも似れば、それよりも一層よく海上の白波に似居る。近頃何と
かいう外人が海を洋といたり、水盛んなる貌を洋々といったりする洋の字は、件の理由で羊と
水の二字より合成さると釈いたはもっともらしく聞える。しかし王荊公が波はすなわち水の皮
と牽強(こじつけ)た時、東坡がしからば滑とは水の骨でござるかと遣り込めた例もあれば、
字説毎(つね)にたやすく信ずべきにあらずだ。

十二支考〈下〉 (岩波文庫)

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2003年05月20日

【本】ほらふき男爵の冒険

ほらふき男爵の冒険
編 ビュルガー
訳 新井皓士
出 岩波文庫 赤422-1 P240 ¥350 (絶版)

■感想
ご存知、実在したミュンヒハウゼン男爵のちょいっとばかり脚色された冒険譚。
子供の頃のジュビナイルで読んで、読んだつもりになってたけど、全然違うね。

べらぼうに面白い!

もともとの話の面白さもさることながらですなァ。
巨匠ギュスターヴ・ドレーの手による豊富な挿絵に、思わず声に出して読みたくなる軽妙な訳文!
ワガハイ、この場を借りまして、岩波文庫のお歴々に再版を強く働きかけたい所存であります。

■評価
評価  ☆☆☆☆
お奨め ☆☆☆

■引用 P42(ミュンヒハウゼン自男爵身の話)から

(狩の途中、銃の手入れで、着火用の燧石を銃からはずしていた男爵、折しもそこを熊におそわれ、
慌てて木の上に、しかし、ナイフを刃を木の下に落としてしまい、燧石が取り付けられない。
という場面)

そのとき遂にワガハイは、奇抜かつ目出度きひとつのアイデアに逢着したのであります。大いなる
不安あるとき必ずや大量に溜まりくる例のお水ですな、あれをわがナイフの柄頭にぴたりと当たる
よう方向を定め、一条ワガハイは放射した。折しもすさまじい寒気であったからして、水はたちま
ち凍りつき、瞬き二つ三つするうち、ナイフの上に氷がニョキニョキ伸びて、樹の一番下の大枝ま
で達したもんだ。そこでワガハイ、ひょろしと成長したる柄をつかみ、易々と、とはいえそれだけ
一層慎重にです、わがナイフをひきあげた。こいつを使ってワガハイが燧石をねじで装着した、と
思う間もなく、熊公が上に登ってきたのでありました。「まっこと」、ワガハイは思ったね、「タ
イミングをこうもうまく合わすには、熊公なみの分別はせにゃならんわい。」そこでワガハイ、大
粒霰弾を大判振舞い、褐色の親方を懇ろにお出迎えしたので、大将、木登りを永久に忘却したもう
たのであります。

ほらふき男爵の冒険 (岩波文庫)

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2003年05月12日

【本】日蝕

日蝕
著 平野啓一郎
出 新潮文庫 P204 \400

■感想
なんか感想かきにくい本よんじゃったなぁ…
最年少芥川賞受賞作らしいけど…
「だからなに?」とかいっちゃだめなんかなぁ

文章語を多用しているわりには、難解ではなくあっというまに読み終わってしまいます。
これが現役大学生が書いたのかと思うと、舌をまく程の文章ではありますが、
ルビの多用と、でかいフォントと行間の広さのせいかどうも安っぽい。
この手の本はもっと文字をギュッとつめこんで、読みにくくして欲しかった…
(まぁルビ以外は著者の責任ではないのかもしれんけど)

神学とかキリスト教史に興味がある人は読んでみてもいいかも。

余談、著者は「三島由紀夫の再来」と評されているらしいけど…
だったら芥川賞じゃなくて、三島賞あげりゃいいのにな。
なかったけ?そんなの。

■評価
評価  ☆☆★
お奨め ☆☆

日蝕 (新潮文庫)

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2003年04月23日

【本】 150cmライフ。

150cmライフ。
著 たかぎなおこ
出 メディアファクトリー P106 \880

■感想
著者は150cmのイラストレータ。
150cmの目線でみた世界を描くイラストエッセイ。
企画した編集者が「150cm」「イラストレーター」で検索して見つけ出したそうな。
まんまだね…(~_~;)

「満員電車でおぼれそうになった」とか「ワンピースをきたら幼稚園児みたいなった」とか
ま、ネタ自体に新らしさはないんですが、ほんわかタッチのイラストが気持ちいいね。

しかし、イラストエッセイってすぐに読み終わっちゃっうので、ちょっと損した気分。
学生時代だったら絶対買ってないなぁ…(10分で立読み可)

ちなみに編集者が見つけたのは↓かなぁ
http://muku.moo.jp/index.html
日記がけっこうおもろい。

■評価
評価  ☆☆☆
お奨め ☆☆☆

150cmライフ。

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2003年04月16日

【本】さかさま博物誌 青蛾館

さかさま博物誌 青蛾館
著 寺山修司
出 角川文庫 P248 \300 (絶版)

■感想
だいぶ前に自由が丘の古本屋で買った寺山修司のエッセイ集です。
こないだ実家にもどったときに、ひっぱり出してきてました。

寺山修司が好きな人にはお奨め。

■評価
評価  ☆☆☆
お奨め ☆★

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2003年04月08日

【本】陰の季節

陰の季節
著 横山秀夫
出 文春文庫 よ-18-1 P241 \448

■感想
「半落ち」の作者、横山秀夫の作品です。
「半落ち」はまだまだ文庫化しそうにないので、その前にこちらから。

D県警を舞台にした連作4篇からなる警察小説。
各話ごとに主人公が替わるのですが、
それが人事課課長に監察官に県議会対策担当員と、
従来の小説ではまったく光のあたらない人たち。

そんな難しい設定にもかかわらず、見事にトリックもまぜて
エンターテイメントに仕立て上げてます。
お見事!
お奨めです。

■感想
評価  ☆☆☆★
お奨め ☆☆☆★

陰の季節 (文春文庫)

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2003年04月02日

【本】風の歌を聴け

風の歌を聴け
著 村上春樹
出 講談社文庫 む-6-1 ¥220 P152

■感想
村上春樹のデビュー作。

この人の作品はなんか気取ったイメージがあって、
長いこと読まず嫌いをしていたんですが。
読んでみると、なかなかよいです。

昔、読みかけて鼻についた文体やら表現も、今、読むとあまり気にならない。
むしろ、ちょっといいなぁと思えてしまうから不思議なもんだ。

これを気に他の作品も読んでみることにしませう。

■評価
評価  ☆☆☆★
お奨め ☆☆☆

風の歌を聴け (講談社文庫)

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2003年03月23日

【本】慟哭

慟哭
作 貫井徳郎
出 創元推理文庫 ¥720 P411

■感想
社会派な描写と叙述トリックの融合っすかね。
読ませる文章で一気にラストまでもっていく。
オチもよくできてる、
でも、どうも後味わるいっす。

また、人物の描写はこまかく書いてあるのだけど、
行動の動機としての説得力には欠けていたようにおもう。

■評価
評価   ☆☆★
おすすめ ☆☆★

慟哭 (創元推理文庫)

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【本】東一局五十二本場

東一局五十二本場
作 阿佐田哲也
出 角川文庫 あ 4-11 \430 P247

■感想
先日、BOOKOFFの100円コーナでみつけまして、懐かしさのあまり買ってきてしまいました。
かつて一時、阿佐田哲也にはまっておったのですよ。
高校から浪人時代にかけて古本屋で角川の小豆色の背表紙を見つけては買い漁ったものです…トオイメ。
「カムイの剣」も同じ色でいつも間違えてイライラさせられたものです。

本作はタイトル作も含む、麻雀短編8作からなる短編集。
タイトルがいいのよ。
麻雀やったことあるひとなら、おもわず「なに!?」っておもっちゃうよね。(^_^)

内容なんざすっかり忘れてたつもりだけど、ひさびさに読んだら結構覚えてた。
当時は暗いなぁとおもって好きじゃなかった話が今は結構よかったりして、なかなかおもしろい。

■評価
評価  ☆☆☆★
お奨め ☆☆☆★(雀士) ☆★(非雀士)

東一局五十二本場 (角川文庫 緑 459-61)

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【マンガ】ピンポン

ピンポン
作 松本大洋
出 小学館

■感想
ヨッチャン家にこないだでた全話収録の雑誌がおいてあったので、
久々に読みふけってしまった…

スマイル ペコ アクマ ドラゴン チャイナ バタフライ・ジョー・・・

みんなが主人公なんだなぁ
傑作です。

評価  ☆☆☆☆
お奨め ☆☆☆☆

新装版↓
ピンポン A 新装版  ビッグコミックススペシャル

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2003年03月16日

【本】臨機応答・変問自在 2

臨機応答・変問自在 2
著 森 博嗣(もり ひろし)
出 集英社 0088G ¥680 P237

いきおいで続編を買ってみたけど…
早まった。
飽きた。

評価  ☆★
お奨め ☆☆

臨機応答・変問自在〈2〉 (集英社新書)

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2003年03月02日

【本】アホでマヌケなアメリカ白人

アホでマヌケなアメリカ白人
著 マイケル・ムーア
訳 松田和也
出 柏書房 ¥1600 P301

■感想
一気に読めます、おもしろかったですよ。
ジャーナリスト兼映画監督(「ボウリング・フォー・コロンバイン」)である著者が、
アメリカ恥部をさらけ出しちゃってます。鉾先はおもに、ブッシュ2世。
先の大統領選のゴタゴタの裏側などがみえてなかなか笑えます。

著者の論理は強引で短絡なとこも多いんですけど、結構、含蓄のあることもいっちゃったりしてます。
批判するだけじゃなく、ちゃんと解決策を提示してくれてるのがいいね。
かなり無茶なのもあるけど…(~_~;)

しかしあの国もホントに病んでるねぇ
ま、別に初めて知ったわけでもないし、今にはじっまったこっちゃないけどね…

哀れなのはイラクの民か…

■評価
評価  ☆☆☆
お奨め ☆☆☆
(※注意:政治的にかなり偏った意見なので影響されやすい人は要注意)
   
アホでマヌケなアメリカ白人

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2003年02月27日

【本】臨機応答・変問自在

臨機応答・変問自在
著 森 博嗣(もり ひろし)
出 集英社 0088G ¥680 P237

■感想
著者は「すべてはFになる」などで有名なミステリ作家で、同時に某国立大学(ヒント:えびふりゃ~)の建築学部の助教授でもある。
この人、なんでも授業のたびに質問を集め、それに基づいて成績をつけてるそうな。
そんでその質問とそれに対する著者の回答から、ユニークなものを選んでまとめたのが本書です。
(安易そうだけど、毎授業毎授業全員の学生の質問に答えるのってかなり大変そう。)

あっさり読めて、結構おもしろいです。
中には「お~!!」って思うような、質疑もあります(数は多くないけど)。

しかし、質疑もこれだけ並ぶと回答者の人物像を如実に浮かび上がらせるね。
(もちろん、こういう人物に見られたいというバイアスもかかっているだろうけど…)
著者の哲学が垣間見えて、そのへんが興味深い。

意外にも一般的な質問より、専門的(建築学)な質問のほうがおもしろいモノが多かった。

■評価
評価  ☆☆☆
お奨め ☆☆☆

■以下引用
(P115より)
Q 読んでおくと将来自分のためになるような本を教えて下さい。別にジャンルは何でもいいです。
A それは君が選ばないと意味がありません。

(P145より)
Q 物理を勉強してて良かったと思うときはいつですか?
A 勉強しているとき

臨機応答・変問自在―森助教授VS理系大学生 (集英社新書)

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2002年12月26日

【本】陰陽師 付喪神ノ巻

陰陽師 付喪神ノ巻
作 夢枕獏
出 文春文庫 ¥476 P341

■感想
例のシリーズ第三弾

今までの中では一番完成度が高いかも。
中編が七作のっておりますが、「鉄輪」って話がよかったです。

ちなみに「迷神」という話から、ついに芦屋道満が登場…

評価  ☆☆☆★
お勧め ☆☆☆


■引用(P175 「迷神」より

 すでに暗くなりかけた空には星が点々と光りはじめ、迫ってくる夕闇の中に、静かに道満の笑い声が響いていた。
 「おもしろい。これは久しぶりにおもしろいぞ、晴明……」
 
 陰陽師―付喪神ノ巻 (文春文庫)

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2002年12月19日

【本】ウロボロスの偽書

ウロボロスの偽書
著 竹本健治
出 講談社ノベルス \1200 P561 ※絶版

■感想
同じ著者の『匣のなかの失楽』が面白かったので、がんばって古本屋を探し歩いて買いました。

で、読み始めてすぐに気づいたのですが…
この本、去年の春先に図書館で借りたのに、1ヶ月近く延滞したあげく読み終わらずに返却した本でした…

でも、今回はがんばって最後までよむことにしました。
前半は前回同様あんまおもしろくないんだけど、
我慢してよんでると中盤から徐々にはまってくる。
『匣のなかの失楽』同様、メタ構造で頭のなかはグルグル~

でも、ラストはしっくりこないなぁ
(それが作者の狙いなんだろうけどね…)

作者自身を始め、実在作家がわんさか出てきます。
実名小説って内輪ネタっぽくなってやっぱ好きじゃないです。

例によって一読では読みきれてない感いっぱいですが、もう一度読むずく(気力)はないなぁ

結論としては、『匣の~』のが好き。
でも、続編『ウロボロスの基礎理論』もがんばって読んでみまーす。

■評価
☆☆★

ウロボロスの偽書 (講談社ノベルス)

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2002年12月15日

【本】四十七人目の浪士

四十七人目の浪士
著 池宮彰一郎
出 新潮文庫 \438 P286 ※絶版

■感想
赤穂四十七士の中でただひとり生き残った、足軽・寺坂吉右衛門の討ち入り後を描く中編連作4篇。
同じ著者の「四十七人の刺客」の後日譚的な作品。
内蔵助から生き残ることを命ぜられた吉右衛門が、彼なりの侍の一分をたてて生きていく様を描く。

討入り後の寺坂吉右衛門の行動については、討ち入り後に命が惜しくなって逃げたとする「逃亡説」と
討ち入り仔細を後世に伝えるためとする「使命説」などがあるが。
本作では、逃亡説を否定し、使命説をとっている。

前作のような興奮はないが、消化不良だったところが、すっきりした感じで読む価値あり。
柳沢吉保との決着もついて溜飲もさがったしね。

■評価
評価  ☆☆★
お勧め ☆☆☆(四十七人の刺客を読んだ人限定)


■引用(P21 仕舞始より)

 出て行きかける吉右衛門に、内蔵助は、最後の言葉をかけた。
「寺坂吉右衛門。そちの盟約は解かぬ。そちは何年何十年生き延びようと、四十七名の一人である」

四十七人目の浪士 (新潮文庫)

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2002年12月08日

【本】四十七人の刺客

四十七人の刺客
作 池宮彰一郎
出 新潮文庫 \743 P558 ※絶版

■感想
古本屋で探してたんだけど、全然みつからんので新刊で買っちゃった。
映画「十三人の刺客」の脚本家の小説デビュー作にして全く新しい忠臣蔵。

攻めるは元赤穂浅野家家老大石内蔵助。
護るは上杉家江戸家老色部又四郎安長。
共に侍の面目を賭けて静かに水面下で繰り広げられる智と智の戦い
そして迎える討ち入り当日.
武門を誇る上杉侍の待ち受ける吉良家に向かう四十七人の刺客!!

すげーー
燃えるぜー!!
興奮してねつけ~~ん!

映画版もみたいなぁ
DVDレンタルしてないかなぁ

■評価
評価  ☆☆☆☆(満点)
お勧め ☆☆☆☆(満点)

■引用(P502より)

 剣戟が起こった。五対三の数の差は気力が埋めた。木村岡右衛門が素早く
打ちつけた百匁蝋燭(ひゃくめろうそく)のか細い灯影の下に、白刃が閃き、
肉を斬り骨を断つ凄まじい斬撃戦が展開し、血糊が飛んだ。打つも必死、防
ぐも必死、いのちを一毛の差に賭けて霜刃をふるった。

--
新刊で入手できるのは角川文庫版(上下分冊)のようです↓
四十七人の刺客〈上〉 (角川文庫)

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2002年12月02日

【本】切り裂きジャック・百年の孤独

切り裂きジャック・百年の孤独
作 島田荘司
出 集英社文庫 ¥440 P271 ※絶版※

■感想
 ”1988年の西ベルリンで発生した連続娼婦殺人事件。
 それは100年前のロンドン切り裂きジャック事件ととてもよく似た事件だった…”

 なんなく憶えていますが、1988年って年は切り裂きジャック100周年ってことでいろいろ関連書籍が本屋に並んでた年。
 で、本作も同じ年に出てます。
 「御手洗潔」シリーズの島田荘司が創作側の立場から切り裂きジャックに挑んだ本って位置付けかな?
 著者が本作で描く犯人像はなかなか斬新。
 その手があったかぁ~ 

 「御手洗潔」シリーズの読者に最後でニヤリとさせる仕掛けもあったりする。
 島田荘司が好きな人は読んでみてもいいんじゃないでしょうか? 
 それ以外の人にはそんなに薦めないけど…

■評価
 評価   ☆☆★
 おすすめ ☆☆★
 
切リ裂きジャック・百年の孤独 (集英社文庫)

新刊で買えるのは文集文庫版↓
切り裂きジャック・百年の孤独 (文春文庫)

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2002年11月29日

【本】もし僕らのことばがウィスキーであったなら

もし僕らのことばがウィスキーであったなら
作 村上春樹
出 新潮文庫 \476 P125

■感想
著者(とその奥さん)がスコットランドのアイラ島とアイルランドを巡る紀行エッセイ。
奥さんのとった写真もなかなか良いのです。
読むとウィスキーが飲みたくなる。
そして、読むと旅に出たくなる、もちろんスコットランドへ。

じつは、村上春樹の本を読むのは初めてだったりする…
なんか、読もうかなぁ
お薦めある?
ねじまき鳥なんちゃらあたりがなんとなくよさげなんですが長そうで…

■評価
☆☆☆

■引用(P13 「前書きのようなものとして」から)

 でも例外的に、ほんのわずかな幸福な瞬間に、僕らのことばはほんとうにウィスキーにな
 ることがある。そして僕らは――少なくとも僕はということだけれど――いつもそのよう
 な瞬間を夢見て生きているのだ。もし僕らのことばがウィスキーであったなら、と。

 もし僕らのことばがウィスキーであったなら (新潮文庫)

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【本】テレビ消灯時間 2

テレビ消灯時間 2
作 ナンシー関
出 文春文庫 P207 \419

■感想
 先日、亡くなったナンシー関の毒舌TVコラム(「週刊文春」連載)の文庫化。
 例によってネタは97~98年とちょっと古いのだが、今読んでもおもろい、おもろい。
 この人のような文章かけるようになりたいけど、無理だろうねぇ(体型だけは近づいてるけどね…)
 しかし、ほんとに惜しい人をなくしたなぁ
 C= (-。- )
 
■評価
 ☆☆☆★
 
テレビ消灯時間〈2〉 (文春文庫)

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2002年11月19日

【本】とびきりお茶目な英文学入門

とびきりお茶目な英文学入門
原題 A RIOT OF WRITERS
著 テランス・ディックス
訳 尾崎寔(おざきまこと)
出 ちくま文庫

■感想
イギリス文学(ちょっとアメリカも含む)の文豪をイラスト入りでおもしろおかしく紹介している本
例えばこんな感じ。

■引用■(P208 第20章オスカー・ワイルド より)

 彼はいわゆる「唯美主義者」というやつ――今ならテレビ
の芸術番組に出てくる若者といったところだね。一八八一年
には詩集を出し、一八八二年にはアメリカに講演旅行に出か
けている。アメリカの税関を通る時、「何か申告するものが
ありますか?」とたずねられてワイルドが何て言ったと思
う?肩をそびやかしてこう言ったね、「何も、才能以外は」
だって。【引用おわり】

ってね。
ま、おもしろおかしくといっても、たいしておもしろくないんですけどねぇ…
英文学って全然読んだことないもんで、この本をとっかかりになんか読んでやろうとおもってたんだけど、これってのはなかったなぁ。
英文学って、戯曲も詩もNGだと、選択肢少ないこと…
とりあえずチョーサーのカンタベリーかしら。(古っ!)

ま、オスカー・ワイルドやらバーナード・ショーやら名前だけはよー聞くおっちゃんらがどんな人だったかを知るにはいいかも。

■感想
評価  ☆☆★
お薦め ☆☆

とびきりお茶目な英文学入門 (ちくま文庫)

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2002年11月13日

【本】匣の中の失楽

匣の中の失楽
作 竹本健治
出 双葉文庫 た 22-01 ※絶版※

■感想
長いこと読みたかった『匣の中の失楽』が単行本化されたので、この機会にと読んでみました。

すごいなこの本、京極の「うぶめの夏」を読んだとき以来の衝撃
(書かれたのは『匣の~』がだいぶ前ですが…) 

こういう、ペダンチックでメタフィクショナルなの好きなんでよねぇ

人物のかき分けなどに難点はあるもののこれが22歳のときの作品とは…
いやはや、すごいねぇ

■評価
評価   ☆☆☆☆(満点)
お薦め  ☆☆☆★

匣の中の失楽 (双葉文庫)

講談社ノベルス版↓
匣の中の失楽 (講談社ノベルス)

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2002年11月05日

【本】古本でお散歩

古本でお散歩
作 岡崎 武志
出 ちくま文庫 \780 P366

■感想
 古本と古本屋が大好きな作者の想いがひしひしとつたわってくる本。
 わかるなぁぁ~~その気持ち!
 と、うなずくこと多し。
 おいらも受験生時代はお昼代もつぎ込んで均一棚を漁っていた口なもんでねー。
 とはいえ、好みのジャンルが全然違うので退屈な部分も多かったな。
 
 ちなみに古本好き以外には面白くないとおもわれる…この本

■評価
 評価  ☆☆★
 お薦め ☆

■引用(P291より)

 何かをとことん極めようと思ったら、人から呆れられるくらいでないとダメだろう。
 感心されてる間はまだ半人前なのだ。
 
古本でお散歩 (ちくま文庫)

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2002年10月29日

【本】ノーライフキング

ノーライフキング
作 いとうせいこう
出 新潮文庫 P198 \320 ※絶版※

■感想
ブックオフの100円コーナーにあったもんで、いまさら読んでみた…

売れてた当時は、ありがちなゲームの世界に吸い込まれちゃった子供達の話だと思ってた…
全然違ったんだねぇ…はい。

つい最近のようで、ずいぶん懐かしい世界があるなぁ
10年一昔とはよおいったもんだ


評価 ☆☆☆

■引用(巻頭より)
ノーライフキングが、その情報網の上を静かに通り抜けた時、彼らは、確かに王の姿を見た。

河出文庫版↓
ノーライフキング (河出文庫)

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2002年10月27日

【本】世界は密室でできている

世界は密室でできている
作 舞城 王太郎
出 講談社ノベルズ P211 \760

■感想
こないだ読んだ『煙か土か食い物』の舞城王太郎の本をもう2冊従弟から借りてきた。
『煙か~』の続編ではなく、番外編(作中人物の書いた小説なのかな?)
改行なしの言葉の連打は健在
名探偵ルンババって…
相変わらず好き嫌いは激しくわかれそうですが、今作は結構楽しめた。

■評価
 評価  ☆☆☆
 お薦め ☆☆

世界は密室でできている。 (講談社ノベルス)

文庫版↓
世界は密室でできている。―THE WORLD IS MADE OUT OF CLOSED ROOMS (講談社文庫)

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【本】暗闇の中で子供 The Childish Darkness

暗闇の中で子供 The Childish Darkness
作 舞城 王太郎
出 講談社ノベルズ \1200 P471

■感想
舞城王太郎 3冊目!
こちらは『煙か~』の直接の続編
主人公は前作の主人公奈津川四朗の兄貴の奈津川三朗
このまま一朗の話と、二郎の話が続いて4部作なんだろうか?

今作はどうもいまいち…
主人公がヘタレでどーも気に食わん

読んだのが徹夜明けでなければ もそっと評価高かったかも…

■評価
評価  ☆☆
お薦め ☆★
 
暗闇の中で子供―The Childish Darkness (講談社ノベルス)

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【本】「ガロ」編集長

「ガロ」編集長

作 長井勝一
出 ちくま文庫

■感想
『ガロ』の名物編集長 故・長井勝一氏の自伝
なかなか破天荒な生き方してますねぇ
小学館がビックコミックを創刊するとき、長井氏ごとガロを丸ごと吸収して創刊しようとしていた…という話は初耳でした。

評価  ☆☆★
お薦め ☆☆

「ガロ」編集長 (ちくま文庫)

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2002年10月22日

【本】煙か土か食い物  Smoke,Soil or Sacrifices

煙か土か食い物  Smoke,Soil or Sacrifices
作 舞城 王太郎 
出 講談社NOVELS P365 \1000

■感想
 圧倒的な文字文字文字文字、改行無しで繰り出される言葉の嵐!
 自分なりのリズムで読んでいくと癖になるかも
 ダメな人はダメかもしらんが…

 非の打ち所は多々あれど、いわゆる「荒削りだが光るモノがある!」ってやつだなこりゃ
 一読の価値はあるんじゃないっすかねぇ

 ダサダサな表現が多いのはわざとなんだろうか?

 第19回メフィスト賞受賞作
 こないだの「ぼっけえきょうてぇ」も受賞作だったことみると、メフィスト賞受賞作って当りが多のかも…
 ちなみにバトルロワイヤルはたしか最終選考落選作

 タイトルは「人間死んだら結局、煙(火葬)か土(土葬)か食い物(野垂れ死にで動物の餌)」ってとこから 

■評価
 評価  ☆☆☆
 お薦め ☆☆☆

煙か土か食い物 (講談社ノベルス)

文庫版↓
煙か土か食い物 (講談社文庫)

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2002年10月15日

【本】梅安最合傘

梅安最合傘

作 池波正太郎
出 講談社文庫 P309 \480

■感想
仕掛人・藤枝梅安の第三弾。

・相変わらずおもしろいのですが、あまり一度に読みすぎると飽きるな。
 次作を読むのはしばらくたってからにしましよう。

・しかし、池波正太郎はすきっ腹で読むと毒だのぉ
 ハラヘッタ…

■評価
 ☆☆☆
 
 
新装版↓
梅安最合傘―仕掛人・藤枝梅安〈3〉 (講談社文庫)

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【本】秋山仁の数学渡世

秋山仁の数学渡世

作 秋山仁
出 朝日文庫 ¥500 P212

■感想
・1992年ごろに週刊朝日で連載していたエッセーの類を集めたもの。
 1~3章までは当時の教育界への批判が主題で、いまでもその批判がそのまま通用してしまうのが哀しい…
 4章は数学にちなんだエッセイ、この章はおもしろい。
 5章は田島陽子(!)などとの対談(この章はいまいち)。

・ブックオフの100円コーナーで買ったけど、その分の価値は十分あった。

■評価
 ☆☆★

■引用(4章 P114から)

 ▽
 「博士号とかけてなんと解く?」
 「足の先のご飯粒と解く」
 「その心は」
 「取らないと気になるが、取っても食えない」
 △

秋山仁の数学渡世 (朝日文庫)

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2002年10月08日

【本】壁


作 安部公房
出 新潮文庫 P258 \438

■感想
第2部の「バベルの塔の狸」を読んでる途中で思い出した、読んだことあるわ、これ。
でも、坂口安吾の作品だと思ってた…
いつも混同しちゃうんだよなぁこの二人…
とほほ…

シュールレアリスムの絵画に迷い込んでしまったかのような不条理世界
メタファに富んでいていろいろ深読みできそー
ま、おれはしなかったけど…なっ。

■評価
評価  ☆☆☆★
お薦め ☆☆☆

■引用

見渡すかぎりの曠野(こうや)です。
その中でぼくは静かに果てしなく成長してゆく壁なのです。

壁 (新潮文庫)

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【本】梅安蟻地獄

梅安蟻地獄
作:池波正太郎
出 講談社文庫 

■感想
仕掛人・藤枝梅安シリーズ第二弾
いやー
あいかわらずおもろいばい。
形ができてきた感がありますね。
続きが早く読みたいっす。

■評価
 ☆☆☆★

新装版↓
梅安蟻地獄―仕掛人・藤枝梅安〈2〉 (講談社文庫)

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2002年10月07日

【本】銀河おさわがせマネー

銀河おさわがせマネー

作:ロバート・アスプリン
出 早川文庫 SF

■感想

・学生時代にね、このシリーズの前2作を読んでね。
 面白かったわけですよ。
 で、こないだ書店で久々に続編が出てるのを見かけてね。
 買ってきたのですよ。
 んでもって、そこそこおもしろかったんですが、
 昔ほどおもしろさは感じなかったなぁ

・続編も一緒に買っちゃったんだが…
 読むずくねーなー
 どうしてくれよう。

■評価  ☆☆★

銀河おさわがせマネー (ハヤカワ文庫SF)

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2002年10月05日

【本】ヒトラー時代のデザイン

ヒトラー時代のデザイン
作:柘植久慶
出:小学館文庫

■評価
引用→『本書は、デザインが「国家の意志」に利用され、過ちを犯した歴史の経過を伝えるためのガイドである。 』

てなことを書いてありますが…

実際は自分のコレクションを見せびらかしたいだけじゃないの?

てなことを思ったりもしますが…

たしかに、数々のポスターや絵葉書を見ていると、ナチスの宣伝のたくみさは伝わってきます。
こりゃ、煽動させるよな~

作者の柘植久慶って人はオレが中学生くらいのときに、元グリーンベレーってことでかなり話題になっった人。
当時は精鋭特殊部隊といえばグリーンベレーみたいなイメージがあったのだ。

書いてる本はそんなにおもしろくなかったかも…

■評価
評価  ☆☆★
お薦め ☆★

ヒトラー時代のデザイン (小学館文庫)

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2002年10月03日

【本】美と共同体と東大闘争

美と共同体と東大闘争
著 三島由紀夫 / 東大全共闘
出 角川文庫

■感想
70年安保闘争さなかの東大教育学部で開かれた三島と全共闘との討論会の内容を収録。

・い、いつのまに文庫化されてたんだ…
 しかも角川文庫とは、全然、知らなかった。(ーー;)

・面白いでっせー
 抽象的な観念論が多いのでなにやら煙にまかれているようではありますが…
 こちらの知識レベルが、だいぶ低いんでこりゃショウガナイ…

・討論のテーマは「暴力」「美」「時間」「天皇」などにわたり、
 単純な左右のイデオロギ対立はあまりみられなかったのは意外。
 (単純じゃないイデオロギ対立はあるけどね)

・三島と盾の会の立場、全共闘の立場、実存主義などについて、ある程度の前提知識を仕入れてから読まないとわけわからないかも…

・三島も全共闘も、今のヒトからみると、「なんであんなことを…」と思われがちですが、
 この本を読めば少しは見方が変わるかもしれませんぜ。
 お薦め。

■評価
 評価  ☆☆☆★ 
 お薦め ☆☆☆★

美と共同体と東大闘争 (角川文庫)

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【本】花嫁化鳥

花嫁化鳥
作 寺山修司
出 角川文庫 P229 \260 絶版

■感想
<あとがき>より引用
↓↓↓
 この紀行文は一九七三年一月号から雑誌「旅」に一年間連載されたものである。
 私は犬神や風葬、鯨の墓などを訪ね、ノートと、二、三冊の書物を持って、あちこちと旅をしてまわった。
 そして、私自身を金田一耕助探偵になぞらえながら、自分の思いついた謎を、自分で解いてまわったのだった。
↑↑↑

てな、本です。
寺山修司版 風俗・民俗学ってとこかなぁ
おいらは有名な「家出のすすめ」や「書を捨てよ~」よりこっちのが好きだなぁ~
おもしろかったよ。

■感想
評価  ☆☆☆
お薦め ☆☆★

今買えるの中公文庫版のようです。↓
花嫁化鳥 (中公文庫)

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2002年10月01日

【本】濹東綺譚

濹東綺譚
作者:永井荷風
出版:岩波文庫

■感想
三十路も近いしたまには有名な本も読むぞー!第1弾

たまには「良い文章」に触れるのもよいではないですか。
うむうむ。

ちなみに「ボク」の字は「サンズイ+墨」で隅田川のことです。
はい。

評価  ☆☆☆
お薦め ☆☆★

〓東(ぼくとう)綺譚 (岩波文庫)

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2002年09月25日

【本】ほんまにオレはアホやろか

ほんまにオレはアホやろか

作 水木しげる
出 新潮文庫 ¥438 P242

■感想
鬼太郎の水木しげるの自伝。
この人ほんと大変な人生歩んでるのに、全然大変そうじゃないんだよなぁ
そこが好き~

ただ、自伝的なマンガなどで読んだことあるエピソードが多かったので目新しさはなかった。

水木しげるについて、あまり知らない人にはお薦め。

評価  ☆☆★
お薦め ☆☆☆

■引用

「自分でおどろいたことを発見したら、ソレをやるのも悪いことではない。」

ほんまにオレはアホやろか (新潮文庫)

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2002年09月19日

【本】理由

理由
著 宮部みゆき
出 朝日文庫 ¥857

クロスファイアに続いて宮部みゆき二連荘
こっちもおもしろーい。
ルポ形式なんで多少好き嫌いわかれるかもしれないですが、おいらは大好物。
脇役も含めすべての登場人物が人間としてしっかり描かれてます。

評価  ☆☆☆☆(満点)
お薦め ☆☆☆★

理由 (朝日文庫)

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2002年09月18日

【本】クロスファイア

クロスファイア

著 宮部みゆき
出 光文社文庫 上下分冊

■感想
クロスファイアが文庫になったんで買ってみました。
去年あたりに映画にもなったんで結構有名かな?

「発火能力者が法で裁けない悪人をボンボン燃やしちゃう」
って話はわりとありがちですが…
これが宮部みゆきにかかると…う~ん、おみごと。
めっさおもしろかったぁ~

例によって1ページ目からラストまで一気にひっぱってく手腕はすごいなぁ。
終わり方には賛否あるかも。

■評価
評価  ☆☆☆☆(満点)
お薦め ☆☆☆★ (先に「鳩笛草」を読んどこー)

クロスファイア(上) (光文社文庫)

クロスファイア(下) (光文社文庫)

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2002年09月09日

【本】ボクはこんなことを考えている

ボクはこんなことを考えている
著 大槻ケンヂ
出 角川文庫

ブックオフの100円コーナーで購入。
初読のはずなんだけど、ところどころ読んだ記憶がある。
大学のとき友人の部屋で麻雀の抜け番のときに読んだのかなぁ…

タイトルどおりのエッセイ集。

評価  ☆☆★
お薦め ☆☆★

ボクはこんなことを考えている (角川文庫)

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2002年09月01日

【本】さぶ

さぶ
著 山本周五郎
出 新潮文庫 P360

■感想
なぜ唐突に山本周五郎なんぞ読んでるかといいますと、
宮部みゆきの「理由」を、帰省中に読もうと買ってたんですが、
読む前に母上に持ってかれてしまいまして、読むもんがなくなっちまったんで、
かわりに山本周五郎好きの母の本棚からもちだしたのがこの『さぶ』だったわけです。
ほんとは『樅ノ木は残った』が読みたかったんだけどね…
無かったの。

知らんかったけど『さぶ』の主人公は「さぶ」じゃなくて、「英二」だったのだね。
『AKIRA』の主人公が「金田」なのといっしょだな。うん。

こないだ、藤原竜也(だっけ?)がTVドラマでやってみたいだけど、彼はどっち役だったんでしょー。

「さぶ」と「英二」の友情を軸に主に「英二」の精神的な成長が描かれています。

うーん、有名なわりにはイマイチ感動しなかったりして…
そこそこおもしろいんだけどね。

■評価
評価  ☆☆☆
お薦め ☆☆☆

さぶ (新潮文庫)

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2002年08月25日

【本】ノラや

ノラや
作  内田百閒
出版 中公文庫

■感想
再読。

猫好きの人。
猫を飼ったことある人。
その猫がいなくなったことがある人、または病気で死んでしまったことがある人。

必読です。
泣いてしまいます。

我が家も代々猫を飼ってまして、何匹か帰ってこなくなったり、死んだりしましたが、百鬼園先生にくらべて、おれは随分薄情だったなぁ…と、思ったりしました。

■評価
評価   ☆☆☆★
おすすめ ☆☆☆

ノラや (中公文庫)

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2002年08月19日

連合赤軍「あさま山荘」事件

連合赤軍「あさま山荘」事件
著 佐々淳行
出 文春文庫 P339 ¥514

■感想
映画「突入せよ!!あさま山荘事件」の原作

かつて学生時代に多少、連合赤軍の本を読んだりもしたんですが…
ここまで警察の内側から書いたものを読むのは初めて
同じ事件でも視点が変わるとガワリと見え方がかわるなぁ~

ちょっと自己美化しすぎな気もするけど、気にせず感情移入できればおもしろいよ~

おすすめ!

■評価
評価  ☆☆☆★
お薦め ☆☆☆

連合赤軍「あさま山荘」事件―実戦「危機管理」 (文春文庫)

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2002年08月17日

【本】斧


作:D・E・ウエストレイク
訳:木村 二郎
出:文春文庫

■感想
リストラされた男が再就職の妨げになる同業者をつぎつぎと殺していくというお話。

ブラックユーモアなんじゃろうか?
読ませるのですが、いまいち、面白がっていいのかよくわからんかった…

■評価
評価  ☆☆★
お薦め ☆☆★

斧 (文春文庫)

投稿者 niimiya : 14:30 | コメント (0) | トラックバック

【本】不思議図書館

不思議図書館
作 寺山修司
出 角川文庫 P288 ¥390

■感想
詩人で劇団「天井桟敷」の主宰で知られる寺山修司が、
自身の持つ珍書・奇書のコレクションを紹介したもの。

少々長いが著者のあとがきを引用すると

(引用開始)
 古本屋の片隅で見つけた、不思議な本の数々を紹介しながら、私の考え方を整理してみよう、
というのが本書の意図である。
 吸血鬼のベストテンについて考察したり、古い少女雑誌のヒロインの生き方に疑問を抱いたり、
シャム双生児の実話におどろいたりしながら、現実と非現実のあいだを狩猟してまわった本書は、
読書論というよりは、むしろ旅行記といった類に属するものだと言ってもいいだろう。
(引用終了)

という本であります。

題材は街頭魔術師から髭女・だまし絵・ポォ・少女雑誌と古今東西幅広く興味深いものばかり。
なかなか楽しく読めました。
まる。

■評価
評価  ☆☆☆
お薦め ☆☆☆

新装版↓
不思議図書館 (角川文庫)

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2002年07月28日

【本】吉田自転車

吉田自転車
作 吉田戦車
出 講談社 P194 \1400

■感想
作者は『感染るんです。』の吉田戦車の自転車エッセイ。
自転車で都内を疾走して起こった事件、出会ったモノを徒然と書いてます。
同じ自転車ブラブラ好きとしては共感する部分多し。
文章がうまい人ではないのだけれど、独特のスタイルがあってよろしい。

もともとはWeb上(Web現代ってとこ)で連載してたものらしい。

■評価
評価  ☆☆☆
お薦め ☆☆★

吉田自転車

文庫版↓
吉田自転車 (講談社文庫)

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2002年07月07日

【本】カレーライフ

カレーライフ
作 竹内真
出 集英社 \1900 P460

■感想
帯に「史上初、大盛カレー小説!!」ってあるけど
まさにそのとーり。
他に付け加えること一切無し!!

めっさおもろいでっせ~
で、読んだら絶対カレー食いたくなる

■評価
評価  ☆☆☆★
お薦め ☆☆☆☆

カレーライフ

※追記※
文庫版も出てるようです。↓
カレーライフ (集英社文庫)

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2002年06月30日

【本】新しい単位

新しい単位
篇 世界単位認定協会
出 扶桑社

■感想
ふた昔ほど前に、「鼻毛を抜いた時の痛みを基準として「ハナゲ」という痛みの単位が出来た」というチェーンメールが出回ったのおぼえてます?
そのノリでいろいろと新しい単位を作ってしまったのがこの本。
いかにも、80~90年代のフジTVの深夜番組っぽいテイストですが、
BSフジで放送中の「宝島の地図」って番組の1コーナーが元になってます。
奥付の企画も片岡Kという、フジの深夜枠でよく見慣れたディレクターが。

この手の、1年も経ったらブックオフに山積になってそうな企画モノを買うのは好きじゃないんですが、
イラストがじつにいい味だしてるもんで、ついつい衝動買い。

ちなみに、たくましさの単位の基準は「非通知通話にでるたくましさ=1ht(ヒツーチ)」
水なしで薬をのむたくましさ=3ht
おでこで卵を割るたくましさ=8ht
雪山で眠らないたくましさ=1780ht
だって
ふ~~ん。

■評価
 ☆☆☆

新しい単位―カラー版 (扶桑社サブカルPB)

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2002年06月23日

【本】旨い!本格焼酎―匠たちの心と技にふれる旅

旨い!本格焼酎―匠たちの心と技にふれる旅
作 山同敦子
出 ダイヤモンド社 ¥1200 P229

■感想
「村尾」の村尾酒造や「百年の孤独」の黒木酒造やら
有名な蔵元さんの元に著者が実際に訪れてルポしてます。

蔵元、それぞれの焼酎に対する思い入れがつたわってきます。

■評価
評価  ☆☆☆
お薦め ☆☆☆

旨い!本格焼酎―匠たちの心と技にふれる旅

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2002年06月13日

【本】百鬼園随筆

百鬼園随筆
作 内田百閒
出 新潮文庫 ¥514 P353

■感想
まず、カバーデザインみてみて。
このかっちょいいイラストは芥川龍之介。
デザインは新潮社装幀室だって。
センスいいなぁ。
見直したぞ。

中身はタイトルどおり百鬼園こと百閒先生の随筆集です。
おとくいの借金話やら屁理屈やらがよんでて気持ちいい。 
内田百閒がどういう人か知りたい人は
黒沢明の「まあだだよ」をみるとわかりやすいです。
映画としてはあんまおもしろくはないけど…

■評価
評価  ☆☆☆★
お薦め ☆☆★

百鬼園随筆 (新潮文庫)

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2002年06月01日

【本】半七捕物帳(1)

半七捕物帳(1)
作 岡本綺堂
出 光文社文庫(新装版)

■感想
いわゆる「~~捕物帳」やら「~~捕物控」なんて本を本屋でよく見かけますが。
これはその元祖。
岡引の半七の事件モノ。
1巻には中編が7本くらい収録されてます

しかし、大正時代に書かれたモノがなんでこんなにおもろいんだー
今読んでも、まったく古さが感じられない…

2巻も早くかおっと。

■評価
評価  ☆☆☆☆(満点)
お薦め ☆☆☆★

半七捕物帳〈1〉 (光文社時代小説文庫)

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【本】トンデモ一行知識の世界

トンデモ一行知識の世界
作 唐沢俊一 
出 ちくま文庫 ¥580 P233

■感想
「パソコンのマウスの移動距離の単位を「ミッキー」という」
「世界中のタクシー料金メーターの9割が品川区大井で作られている」
「人間国宝の定員は70名」

てな、豆知識を一行知識という(らしい)。

子供のころからの一行知識コレクターである著者が、
自身のHPなどに寄せられた新たな一行知識なども加えて、
書いた一行知識の本。

という認識で私はこの本を買った…

実際に最初の書き下ろし部分はそういう内容なのだが、
半分以上は、むりやり一行知識っぽい表題をつけて、
いろんな雑誌に書いた文章を再録したものでした…

その部分は歴史雑学っぽいことからトンデモ系の話までのってるけど
あんまりおもしろくなかった。

なかには
「悪女の世界ナンバーワンはイタリアの大富豪カトリーヌ・ド・メディチである。」
って見出しもある…

これって一行知識か?

単なる主観じゃない??

(話はそれるが…)
だいたいなにをもって、カトリーヌドメディチを悪女世界ナンバーワンといってるのかわからん…
聖バーソロミューの虐殺はたしかに大惨事だけど、
宗教的狂信に基づいて起した行為をもとに悪女って断ずるのはちょっと違う気がするぞ。
物欲色欲が動機の中心にあってこそ、悪女だとおもうのだが…

自分の子供二人を謀殺した(疑いがある)ってのもあるけど、
それだったら則天武后のが上だろ…

だいたい、カトリーヌ・ド・メディチって題材がちょっとありがちだよなぁ…
飽きた…

■評価
評価  ☆☆
お薦め ☆☆

トンデモ一行知識の世界 (ちくま文庫)

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2002年05月18日

【本】世界のたね~真理を追いもとめる科学の物語

世界のたね~真理を追いもとめる科学の物語
作 アイリック・ニュート
訳 猪苗代栄徳
出 NHK出版 ¥2000 P345

■感想
子供向けにやさしくかかれた科学史の本。
でも、大人がよんでも十分に知見があるとおもいます。
特に文系の人に強く推薦!

■評価
評価  ☆☆☆★
お薦め ☆☆☆☆

世界のたね―真理を追いもとめる科学の物語

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【本】バカにつける薬

バカにつける薬
作 呉智英
出 双葉文庫 ¥514 P305

■感想
「危険な思想家」と一緒に買ったもの。
こっちは昔よんだやつだった。

内容はだいぶん古いんで、作者のファンとかでなければ、今買ってわざわざよむこともないかなぁと思います。

■感想
評価  ☆☆★
お薦め ☆★

バカにつける薬 (双葉文庫)

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2002年05月13日

【本】危険な思想家

危険な思想家
著 呉智英
出 双葉文庫 ¥495 P254

■感想
 呉智英の評論です。双葉文庫でフェアをやってたんで購入。

 内容は本来政治体制の一つである民主主義(とその中身である人権思想・平等思想)を神聖視する世間への警鐘(ちゅうか嘲笑かな?)が主題になってます。
 
 この人もいろいろ出してますが、この本が一番、著者の思想を簡潔にわかりやすくかいてあるかも。

 頷ける部分も多いです。
 ま、本書では、民主主義の否定的側面ばかり語られてますが、個人的には得がたい肯定的な部分も多いと思ってはおりますよ。
 とはいえ、たんなる政治体制の一つにすぎないってのはまったくそのとおりなんだよなぁ
 刷り込みがきつくて、無思考で絶対視しすぎだよね、おれら。 

 余談ですが、 アジモフ(クラークかも)のSF小説を思い出しました.
 専制的な銀河帝国を滅ぼす古代地球の失われた兵器をめぐる話なんですが
 最後にあかされるその兵器が実は合衆国憲法だったというオチ.
 やっぱアメリカ人好きなんだなぁ~

 閑話休題

 ま、そんなわけで、なかなか読みやすくておもしろいので、お薦めかな
 ただ、この著者、碩学な人なんだけど、そのすごい知識にちょっとふりまわされてるとこがあるかなぁ
 合わない人にはペダンチック臭が鼻につくかも…

■評価
 評価  ☆☆☆☆
 お薦め ☆☆☆
 
危険な思想家 (双葉文庫)

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2002年05月06日

【本】ブラックホーク・ダウン―アメリカ最強特殊部隊の戦闘記録 上・下

ブラックホーク・ダウン―アメリカ最強特殊部隊の戦闘記録 上・下
作 マーク・ボウデン
出 ハヤカワ文庫

■感想
映画ブラックホークダウンの原作でがすぅ。
こちらもおもろいですぅ。

映画ではほとんど描かれなかったソマリ族側からの視点もありますわい。
映画だと理解しにくかった、軍編成やら、バカラマーケットの地形なども詳しく書いてあります。
併せて読むとより理解が深まるでしょー

本よむともう一回、映画みたくなるなぁ~

■評価
評価  ☆☆☆★
お薦め ☆☆☆

ブラックホーク・ダウン〈上〉―アメリカ最強特殊部隊の戦闘記録 (ハヤカワ文庫NF)

ブラックホーク・ダウン〈下〉―アメリカ最強特殊部隊の戦闘記録 (ハヤカワ文庫NF)

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【本】それは違う!

それは違う!
作 日垣 隆
出 文春文庫 P248 \524

■感想
長野新幹線に乗るときに、読む本がなかったので、東京駅の本屋で購入。
時間がなかったんで、こないだ読んでおもしろかった日垣隆の本を中身も見ずに買ってしまったら…

前に読んだことある本(『「買ってはイケナイ」は嘘である』)の文庫版だった…

今よんでもおもしろいんですけど、一度読んだことある内容ですし、
買ってはイケナイ騒動も懐かしい話になっちゃってるんで…

再読なんで評価なし。

お薦め ☆☆

それは違う! (文春文庫)

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2002年05月04日

【本】敢闘言~さらば偽善者たち

敢闘言~さらば偽善者たち
作 日垣 隆
出 文春文庫 P457 \667

■感想
著者がエコノミスト誌上に1993~99年にわたり連載していた闘うコラム『敢闘言』を単行本化したもの。

めっちゃおもろいです、この本。
古い記事だと、9年前のものなのに今よんでも全然まとはずれてない。
これはすごい事、ほんとに。
批判もすべて実名で行っているので、よんでて不快感もない。

作者の日垣隆ってヒトは、かつて「買ってはいけない」がフィーバーしていたとき、
文芸春秋誌上で初めて表立っての反駁を加えた人。
(「『買ってはいけない』はインチキ本である」)
モノの見方が近いせいか、好きなノンフィクション作家の一人です.

予断を挟まない徹底した取材から得られる、膨大な情報を論理的に整理・構成した文章は
全盛期の立花隆に近いかな。(文体は全然違うけどね…)

■感想
評価  ☆☆☆☆
お薦め ☆☆☆

敢闘言―さらば偽善者たち (文春文庫)

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2002年04月21日

【本】漂流街

漂流街
作者 馳 星周
出版 徳間文庫

■感想
『不夜城』の馳 星周のノワール小説。

追い詰められた日系ブラジル混血のマーリオ達が襲ったのは
関西ヤクザと新宿を根城にする福建マフィアのシャブの取引現場。

例によって銃弾飛び交って、人死にまくり
で、結末はいつもいっしょなんだよなぁ
でも、おもろいけどね。
馳 星周の本がハッピーエンドだったら気持ち悪いし…

しかし、前に見た三池崇の映画って原作と全然ちがってたんね。
ほとんど原型ないくらい…
映画も暴走してておもしろけどね。(吉川晃司と及川光博がいい味だしてんだ。)

■評価  
 評価  ☆☆☆
 お薦め ☆☆☆
 
漂流街 (徳間文庫)

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2002年04月17日

【本】新宿鮫8 風化水脈

新宿鮫8 風化水脈
作者:大沢在昌
出版:光文社 KAPPA NOVELS

■感想
新宿鮫の最新刊 風化水脈が新書化されたので買いました。

ま、毎日新聞で連載してたんだ・・・
知らなかった・・・

そのせいかずいぶんと穏やかでまーるいお話になってました。
こんな、話もあってもいいけど・・・新宿鮫っぽくないね~

やっぱ『毒猿』(シリーズ2作目)が一番おもしろかったなぁ 

■評価
 ☆☆★

風化水脈―新宿鮫〈8〉 (カッパ・ノベルス)

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【本】ニッポン居酒屋放浪記 疾風編

ニッポン居酒屋放浪記 疾風編
作 太田和彦
出 新潮文庫 P294 \514

グラフィックデザイナーで工科大学の教授でもある著者が
日本各地で、居酒屋を飲み歩き。
その土地ならではの肴、酒、店に染み付いた匂い。
いい本です。
いますぐ、酒飲みに旅にいきたくなります。

評価  ☆☆☆★
お薦め ☆☆☆

ニッポン居酒屋放浪記 疾風篇 (新潮文庫)

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2002年04月10日

【本】古書収集十番勝負

古書収集十番勝負
作 紀田順一郎
出 創元推理文庫 \600 P287

古本ミステリ3冊目

■あらすじ
今度は死にかけの古書店主が二人の娘婿(どっちも従業員)に、
「指定の10冊の稀覯本のうち多くを仕入れたものに店を譲る」
といいだしたから、さぁたいへん…

愛書家連中をまきこんで血みどろの争奪戦が始まる…

■感想
誰も死にません。
平和でいいねぇ~
前半はもりあがったんだけど、後半はちょっと尻切れトンボ…

■評価
評価  ☆☆★
お薦め ☆☆

古書収集十番勝負 (創元推理文庫)

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2002年03月27日

【本】CIAを創った男ウィリアム・ドノバン

CIAを創った男ウィリアム・ドノバン
作 吉田一彦
出 PHP文庫 ¥914 P528

■感想
CIAの前身組織OSS(戦略事務局)を創設したウィリアム・ドノバンの生涯を描くノンフィクション。
このドノバンってなかなかの人物だったようです。
名前だけはよくきくOSSの第2次大戦中の活動がいろいろと詳しくのってて勉強になりました。
FBIのフーバーとの確執などもいろいろわかって◎

■評価
評価  ☆☆☆
お薦め ☆☆☆

CIAを創った男ウィリアム・ドノバン (PHP文庫)

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2002年03月21日

【本】造物主(ライフメーカー)の選択

題名 造物主(ライフメーカー)の選択
原題 The Immortality Option
作 ジェイムズ・P・ホーガン
訳 小隅 黎
出 創元SF文庫 P477 ¥800

■感想
ハードSFの大傑作。
『造物主の掟』の続編です。
だいぶ前に買ったままどっかいってたんだけど、先日、出張の折に実家で発掘!

前作はホントに面白かった。
アシモフのファウンデーションシリーズ
ブリンの知性化シリーズ
とならんで、私の中のベストオブハードSF!!

どんな話かっちゅーと
2020年ごろ、人類は土星の衛星タイタンで、独自の文化を築く機会生命(タロイド)と出会うの。
彼らは、一部の王族と教会に支配された地球のルネッサンス以前のような状態で、
自分たちは機械でない偉大な存在(ライフメイカー)に創られたという信仰をもっているわけ。
知的水準は大したことないんだけど、もともと機械なもんだから、そっちのレベルはやたら高い。
そこに目をつけた地球の悪い連中が、タロイドの支配階級と結託して、
植民地にして、バンバンいろいろつくらせよーとおもうのね。

そこで、活躍するのが、何故か探査船にのってるインチキ霊媒師のザンベンドルフ。
この人、インチキ霊媒師のくせにみょーに正義感の強い、彼と彼の仲間は、タロイドの民衆のために、
きゃつらの野望をくだこーと、得意のインチキを駆使して真っ向から立ち向かう…ちゅう話。

そんな、前作から12年後にかかれたのが今作。
ついにタロイド達をつくった存在(ライフメイカー!)が登場…
さらに、まだまだ悪巧みはすててなかった悪い連中…
そして、またしても、タロイドたちのために立ち上がるザンベンドルフチーム。
ってな話です。

残念ながら前作の興奮はよみがえってきませんだしたが。
なかなかよく出来てましたよー
やっぱ、主人公のキャラがいいなぁ~

■評価
評価  ☆☆☆
お薦め ☆☆★(まずは前作よんでから)

造物主(ライフメーカー)の選択 (創元SF文庫)

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2002年03月14日

【本】仕掛け人藤枝梅安 殺しの四人

仕掛け人藤枝梅安 殺しの四人
作者:池波正太郎

■感想
TV版は必殺シリーズの元祖(かな)でございます。
やってたのは緒方拳。
最近では渡辺謙もやってた(必殺シリーズじゃなかったけど)。

どっちもいい味だしてるけど
原作のイメージは緒方拳のほうが近いかな。

ま、昔、大学の先輩に借りて読んだことあったんですが…
忘れて新刊かっちゃったんで、読み直しました。
んなわけで、一応のせときます。

しかし、食通だけあって、池波正太郎の小説は食いもんがうまそーだなーおい。

■評価
評価  ☆☆☆
お薦め ☆☆☆

新装版↓
殺しの四人―仕掛人・藤枝梅安〈1〉 (講談社文庫)

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【本】古本街の殺人

古本街の殺人
作者:紀田順一郎
出版:創元推理文庫

こないだ読んだ「古本屋探偵の事件簿」の作者の古本ミステリ。
続編だと思って買ったら、独立した長編ミステリでした。

神保町の古書ビルを舞台にした古書店主殺人事件

ま、ふつうによめました。

評価  ☆☆☆
お薦め ☆☆


古本街の殺人 (創元推理文庫)

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2002年03月07日

【本】パイド・パイパー -自由への越境

パイド・パイパー -自由への越境
作者:ネビル・シュート
装画:杉田比呂美
翻訳:池 央耿
出版:創元推理文庫 Mシ-8-1

■感想
ドイツ軍が不穏な動きをみせる第2次大戦直前の南フランス。

旅行中のイギリスの老人ドノバンは、国連職員の夫婦から、
彼らの二人の子供をイギリスまで送り届けて欲しいと頼まれる。
しかたなしに引き受けた彼は三人で、イギリスに向かうが、
ついにドイツ軍の電撃作戦がはじまる…

戦火のフランス中を子供をつれて逃げるドノバン…
途中で行く先をなくした子供たちを連れてさらに旅は困難になっていく…

SF好きにはおなじみの「渚にて」と同じ作者ですが、こちらはSFではないです。
でも作品の底辺を流れる反戦思想は共通かな。

古いお話でもあるのでちょっとあっさりしすぎかな。
でも、いい話っすよ。

タイトルのパイドパイパーはハーメルンの笛吹きのこと。
キングラットといい最近笛吹きづいてるな…
あちらでは悪者でしたが…

表紙がすてき

■評価
評価  ☆☆
お薦め ☆☆

パイド・パイパー - 自由への越境 (創元推理文庫)

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2002年03月04日

【本】巷説百物語

巷説百物語
作者:京極夏彦
出版:中央公論新社 P513 ¥1208

感想:

『嗤う伊衛門』に続き、『巷説百物語』も新書化されたんで、早速買いました。
伊衛門で狂言廻し的な存在だった、又市が仲間と供に、御上が裁けぬ悪を仕置きする、さしずめ京極版仕掛人といった内容の中編集です。

本家の仕掛け人とは違って、実際に手をくださずに、大掛かりな仕掛けで、悪人を罠にはめます。
しかも、その仕掛けがみんな妖怪にちなんでいるのも京極夏彦らしいとこです。

かなりおもしろかったです。。
この作者の作品のなかでは、講談社の百鬼夜行シリーズ本編を除いたなかでは一番好きです。
映画のスティングのような騙しのカタルシス!!
又市の口先三寸は、京極堂の憑物落しに通じるものがあるね、爽快です。

WOWOWでドラマ化(もともとドラマ用に書いたのかも…)されてましたが、そっちはイマイチ。

評価  ☆☆☆★
お薦め ☆☆☆★

巷説百物語 (C・NOVELS BIBLIOTHEQUE)

文庫版↓
巷説百物語 (角川文庫)

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【本】キング・ラット

KING RAT (キング・ラット)
作 Cina Mieville
訳 村井 智之
出 BOOK PLUS(発行 アーティストハウス 発売 角川書店) 
¥1000 P382

◆はじめに◆
去年あたりから、アーティストハウスってとこと角川が手を組んで、
BookPlusって、ちょっと気取った海外現代文学の翻訳書シリーズをだしてます。
少し厚手の紙をつかって、新書よりちょっと大きめのこのシリーズ。
さしずめ日本版ペーパーバックといったところですが、
その第一弾として去年の頭あたりに何冊か出た中の一冊がこのKING RAT。

◆ストーリー◆
ドラムンベース(音楽の一種ね)を愛し、ロンドンに住む若者サウル。
ある日突然、彼の父親が殺され、その容疑者として逮捕されてしまう。
警察署の独房に入れられた彼のもとに、忍び込んできたのは異臭を漂わす汚れた男。
サウルを警察から連れ出した彼は、サウルの伯父だといい、鼠たちの王KING RATと名乗った。

そして、サウルの命を狙う恐るべき敵の存在を告げる。
それは、700年前ハーメルンの街で鼠たちと子供たちを葬り去った、あの笛男…

ロンドンの裏側で、ドラムンベースのビートにのって繰り広げられる、サウルと笛吹き男の戦い。
決着は如何に!?

◆感想◆
軽快なリズムであっというまに読めてまいます。
鼠男と笛男の戦いって、アイデアがいいね。
文脈から作者のドラムンベースに対する愛が伝わってきます。

評価  ☆☆☆
お薦め ☆☆★

キング・ラット (BOOK PLUS)

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2002年02月25日

【本】タイタス・グローン

タイタス・グローン
著者:マーヴィン・ピーク
訳者:浅羽莢子
出版:創元推理文庫 Fヒ-1-1 P646

■感想
ゴーメンガースト三部作

物語のほとんどは巨大な城『ゴーメン・ガースト』の中で語られます。
七十七代目の城主としてうまれたタイタス・グローンの物語だと思います。(たぶん)
1巻ではまだ子供のままですが…

なんか読み終わるのにだいぶかかった…
読み始めたのはまだ川崎にいたころですな~
2巻買う可能性はだいぶ薄い…

■評価
評価  ☆☆★
お薦め ☆

タイタス・グローン―ゴーメンガースト三部作 1 (創元推理文庫 (534‐1))

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2002年02月24日

【本】高野聖・眉かくしの霊

高野聖・眉かくしの霊
著者:泉鏡花
出版: 岩波文庫 緑 27-1 P141 \400

■感想
ここんとこ、なにかと縁があったので泉鏡花!

文体がいいですね。
頭の中で声をだして読むと、なんともいえない味わいがあります。

二作品収録されていますが、「眉かくしの霊」の方が好きです。
有名な作品だけに、あまり適当な感想かくと、アホがばれるのでこの程度におさえとこっと…
ま、いまさら隠しても…ですが…

■評価
 評価  ☆☆☆
 お薦め ☆☆

(余談)
 文体からもわかるように、言葉・文字というものをとっても大事にする鏡花先生、字の書いてあるものは喩え新聞の切れ端でも跨がなかったそうな。
 さらに先生は、生ものは一切口にしない方で、果物も煮てから食べたそうな。

高野聖;眉かくしの霊 (岩波文庫)

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2002年02月23日

【本】古本屋探偵の事件簿

古本屋探偵の事件簿
著者:紀田順一郎
出版:創元推理文庫 M き 2-1 P646 \980

■内容(カバーより)
神田神保町にある古書店「書肆・蔵書一代」主人須藤康平が出した「本の探偵-何でも見つけます。」という広告につられ、次々とやってくる奇妙な依頼人。
誰も見たことがない、という幻の稀覯書『ワットオの薄暮』の紛失事件を扱った「殺意の収集」をはじめ、「書鬼」「無用の人」の三中編に、長編「夜の蔵書家」を収めた。
鬼気迫る愛書家の執念が、読むものを慄然とさせる傑作揃い。

■感想
本筋よりも、その過程ででてくる古書・稀覯本業界のいろいろな裏話がおもしろいです。

他の大抵の業界と同じで、本業界(印刷・出版・販売・古書)ってのもなかなか突っ込むとおもしろいですな。
以前、北尾トロって人の「銀座八丁目探偵社」と「ぼくはオンライン古本屋のおやじさん」なんてのを読んで以来、
この辺にはちょっと興味がわいてたんで、かなり興味深く読めました。

長編よりも中編のが出来がよい。

■評価
評価☆☆☆
お薦め☆☆

古本屋探偵の事件簿 (創元推理文庫 (406‐1))

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2002年02月11日

【本】怪奇探偵小説傑作選 久生十蘭集(ハムレット)

怪奇探偵小説傑作選 久生十蘭集(ハムレット)
著者:久生十蘭
編者:日下三蔵
出版:ちくま文庫 か 35 3 P496 ¥998 
収録:
「湖畔」
「墓地展望亭」
「海豹島」
「地底獣国」
「ハムレット」
「刺客」
 他、全14編

■感想
ひさお・じゅうらん と読みます。
「新青年」系の小説家。
夢野久作・小栗虫太郎とか好きな人にはお薦め…
って↑好きな人は大抵よんでるよな…

■評価
評価  ☆☆☆
お薦め ☆★

怪奇探偵小説傑作選〈3〉久生十蘭集―ハムレット (ちくま文庫)

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2002年02月05日

【本】ヤクザが店にやってきた ―暴力団と闘い続けた飲食店経営者の怒濤の日々

ヤクザが店にやってきた ―暴力団と闘い続けた飲食店経営者の怒濤の日々
著者:宮本照夫
出版:朝日文庫 P263 ¥660

■感想
ヤクザ・暴力団お断りを貫きつづけてる、キャバレー経営者の体験談。
川崎のキャバレーやってる人だそうで。
その世界で黒社会と関係たってやるってのは大変なことなんですなぁ
天晴!

どうでもいいが、作者の名前が宮本輝に似てる。

■評価
評価  ☆☆
お薦め ☆☆

ヤクザが店にやってきた―暴力団と闘い続けた飲食店経営者の怒濤の日々 (朝日文庫)

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2002年02月03日

【本】撃て!そして叫べ!!

題名:撃て!そして叫べ!!
著者:ダグラス・E. ウィンター (Douglas E. Winter)
訳者:金子 浩
出版:講談社文庫 P442 絶版中

■感想
CSのミステリーチャンネルの2001年ミステリーベスト10(海外版)の輝く第一位。

武器密売組織の中年幹部が主人公のドンパチ小説。

悪党同士の裏切り、友情、復讐…
とにかく弾がどびかいます。
悪人も警官もストリートギャングもATFの役人も撃ちまくり撃たれまくり…

上の番組のコメントで小説版「レザボアドッグス」と形容されていたけど、まさにそのとおり。

タランティーノ映画すきには絶対おすすめ。

ものごっつおもしろかったですわい。

■評価
評価    ☆☆☆☆
おすすめ  ☆☆☆☆(タランティーノ好き限定…)

撃て、そして叫べ (講談社文庫)

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【本】妖怪十二支参り

題名:妖怪十二支参り
著者:村上健司
出版:同朋舎 P206

■感想
最近、小学生のとき以来の妖怪マイブーム。
ちゅうわけでこの本。

十二支の動物、それぞれの項からできていて、
伝説、妖怪、怪異、民話などがわかりやすーく書いてあります。

ちなみに一番ページが多いのが 牛の項の 26P
少ないのは、未の項は5Pだけ…
日本には羊の妖怪は全然いないのでした…

熊楠の「十二支考」は難しくて挫折しちゃうような人にお薦め
って、おれのことか…!?

■評価
評価  ☆☆☆
お薦め ☆☆☆

妖怪十二支参り (ホラージャパネスク叢書)

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【本】シンシナティ・キッド

題名:シンシナティ・キッド
原題:THE CINCINNATI KID
著者:リチャード・ジェサップ (Richard Jessup)
訳者:真崎義博
出版:扶桑社ミステリー文庫

■感想
若きギャンブラー シンシナティ・キッドと スタッドポーカーの”帝王”ランシー・ホッジスとの対決を描く賭博小説の傑作中篇。

ただひたすらに、淡々とポーカーをしています。
小説でも、映画でも、漫画でもいいから、麻雀放浪記が好きな人にはお薦め。

去年、出た本ですが、原作は1963年刊行。

(余談)
スタッドポーカーは、われわれがよく知ってるポーカー(ドロウポーカー)とは違って、
どちらかというとブラックジャックに近いです。
ファイブスタッドポーカーは
1枚だけ伏せて、あとはすべてオープンで配られます.
1枚配られるたびに、賭けていきます。
5枚配られて賭けが成立した時点で、伏せたカードオープンして、勝負が決します。
といっても、ほとんどの場合そうなる前に、勝算のないメンバーがおりて終わる。
心理戦がメインでかなり奥が深そうでやんす。

■評価
評価    ☆☆☆
おすすめ  ☆☆★

シンシナティ・キッド (扶桑社ミステリー)

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2002年01月14日

【本】神は銃弾

題名:神は銃弾
原題:GOD IS A BULLET
著者:ボストン・テラン (Boston Teran)
訳者:田口 俊樹
出版:文春文庫 P573

■感想
そのうち、感想かこうと思ってたら半月もたってしまった…
正月に読んだ小説ですー

去年の「このミステリーがすごい」の1位になってたんで、とりあえず読んどきました.
ま、大抵の本屋で平積みでおいてあるんで見たことあると思いますが…

カルト集団(マンソンファミリーみたいな人たちね)元妻を殺され、娘を誘拐された刑事(デスクワーク担当)が、
カルト集団の元メンバーの女性(とうぜん元ジャンキーでもある)の手助けを借りて、娘を取り返すって話です。

ノワール小説なんで暗いです、見たくない現実みせられます、つかまった娘もひどいことされちゃったりします…
そのへんが、ちょっと…

■評価
評価  ☆☆★
お薦め ☆★

神は銃弾 (文春文庫)

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【本】騙し絵の檻

題名:騙し絵の檻
原題:THE STALKING HORSE
作者:ジル マゴーン(Jill McGown)
訳者:中村 有希
出版:創元推理文庫 Mマ-11-3 P314 ¥660

■感想
こちらは「このミス」の8位あたり。
タイトルが気に入って買いました(原題はぜんぜん違うみたい…)。

16年間無実の罪で投獄されていた男が、仮釈放とともに故郷に戻り、真犯人を探すって話です.

王道、正統派謎解きミステリー。
よくできた海外の2時間ドラマ(けっして映画ではなく)をみてるような気にさせる小説です。
最後には関係者全員あつめてでの謎解きシーンもあり!
おすすめです。

それにしても神の銃弾にくらべて、ずいぶん平和だこと…
小説内での死者は16年前の殺人の被害者2人と事故死(?)が一人だけ…

■評価
評価   ☆☆☆★
おすすめ ☆☆☆★

騙し絵の檻 (創元推理文庫)

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2001年12月19日

【本】コンセント

題名:コンセント
著者:田口ランディ
出版:幻冬舎文庫

■感想
ハードカバーんときから読みたかったんですが、
このたび文庫化されたんで買いました。

うまいっすねー
巻頭からぐいぐい読ませます。

でもねー後半の展開は好きじゃないなー
ありがちかな・・・
ま、精神世界が好きな人にはおすすめかも。

続編「アンテナ」もでてるらしいけど。
もういいやって感じ・・・
なんか「らせん」みたいになってそうで…

■評価
評価   ☆☆☆
お薦め度 ☆☆☆★

コンセント (幻冬舎文庫)

投稿者 niimiya : 17:25 | コメント (0) | トラックバック

2001年12月16日

【本】嗤う伊右衛門

題名:嗤う伊右衛門
著者:京極夏彦
出版:角川書店

■内容(出版社HPより)
鶴屋南北「東海道四谷怪談」と実録小説「四谷雑談集」を下敷きに、伊右衛門とお岩夫婦の物語を怪しく美しく、新たによみがえらせた、京極版「四谷怪談」

■感想
四谷怪談も京極にかかるとこーなっちゃうんですなー
伊右衛門も、岩も、梅も、宅悦も今までのイメージとは全然違う人間像。
しかも、みんな人間が描けてる。
あと、会話の調子が気持ちいいっす。

ただ、怪談っても怖くはないです。
でも、おもろいけどね。

■評価
評価  ☆☆☆★
お薦め ☆☆☆

嗤う伊右衛門 (C・NOVELS BIBLIOTHEQUE)

投稿者 niimiya : 17:22 | コメント (0) | トラックバック

【本】蒲生邸事件 / 宮部みゆき

題名:蒲生邸事件
著者:宮部みゆき
出版:光文社 Kappa Novels  初版1999/1 ¥952
■内容
受験のために泊った安ホテルで火事にあった浪人生尾崎孝司。
逃げ場を失った孝司を救ったのは平田となのる時間旅行者だった。
謎の男に連れられて時間をとんだ先は、雪の降る帝都、おりしも226事件の起きる前日の蒲生元陸軍大将の邸宅であった。

■感想
SFがかった推理小説かとおもってたんですが、推理小説がかったSFでした。
少年の内面が徐々に変化していくとことかよくかけてたんだとおもいます。
でも、私、あんまりそーいう部分にそそられんのでねー
ちょっと、展開が遅く感じてしまいました・
ちゅーても、やっぱり、うまいっすね。
ラストはしっかりしめてくれます。

ちなみに日本SF大賞受賞作らしいっす。

■評価
評価   ☆☆☆
お薦め度 ☆☆☆★

蒲生邸事件 (カッパ・ノベルス)

投稿者 niimiya : 17:02 | コメント (0) | トラックバック

2001年11月13日

【本】山猫の夏

ブラジルを舞台にした活劇小説
先住民が白人に裏切られ惨殺された地エクルウ…
現在のその街では、二つの豪族が対立し殺し合いを続けていた。
街の住民もほとんどがどちらかの陣営に組していて、双方の私兵が小競り合いを続ける中、
ある日、突然、両家の娘と息子が手を取り合って駆け落ちした。
片方の親から娘の捜索を依頼されたのは山猫(オセロット)とよばれる日本人だった…
と、ロミオ&ジュリエットと用心棒を会わせたような展開です。
おもろいっす。
ブラジルにくわしくなるっす。
ピンガ飲みたくなるっす。

投稿者 niimiya : 06:31 | コメント (0) | トラックバック

2001年11月08日

【本】涅槃の王 全4巻

完結しない作家夢枕獏のシリーズものでいまのところ唯一完結した作品じゃなかるか。
ちなみに主人公はシッダールダ(のちの仏陀)。
夢枕獏らしさが、前面にでててなかなか面白かったです。

投稿者 niimiya : 06:11 | コメント (0) | トラックバック

2001年09月20日

また花火

また花火やってた。
長野の花火は9月が本場?

投稿者 niimiya : 04:25 | コメント (0) | トラックバック

【本】『「Shall We Dance?」アメリカを行く』

 「Shall We Dance?」の周防監督がプロモーションで全米18都市を周ったときのことを書いてる本
 ハリウッドのショウビズ界の裏側がわかってなかなかおもしろい

投稿者 niimiya : 04:23 | コメント (0) | トラックバック

2001年09月07日

【本】猫を背負って街を出ろ

タイトルと体裁が変わってるから気付かなかったが、読んだことある本。
ムガーーー!!

投稿者 niimiya : 04:11 | コメント (0) | トラックバック

2001年08月30日

【本】業界紙諸君!

 題字どおり業界紙について、いろいろ書いてある本ですが、これがやたら、うさんくさい業界でおもしろい。
 たったひとりで40年間、「蒟蒻新聞」をだしつづけた男や、
 鰻業界の二大業界紙の熾烈なライバル争いなど興味深い(?)題材が目白押し。

投稿者 niimiya : 04:01 | コメント (0) | トラックバック

2001年08月28日

【マンガ】花男

漫画です。 
野球馬鹿の父(30歳こえていまだに巨人入団を夢見てます)と賢い息子の絆を描いてます。
はっきりいって、大傑作です。
機会があれば是非よみませう。

投稿者 niimiya : 03:54 | コメント (0) | トラックバック

2001年08月19日

【本】封印再度(Who Inside)

理系大学(院)生の描写が秀逸なことで有名(?)な推理小説。シリーズ5作目
 それもそのはず、作者は名古屋大の現役助教授。
 んで、主人公はN大助教授と学生のカップル(?)オイオイ
 
 ま、そんなにおもしろわけじゃないんですが、読みやすいんで惰性で5巻まで読んじゃってます。
 本作はいままで読んだなかではなかなかおもしろい方だったようなきがします。

 理系出身者には多少お勧め。。
 あと、この人タイトルのつけ方がうまい。
 たとえば、『すべてがFになる』『冷たい密室と博士たち』『微小と有限のパン』など。なんか読みたくなるでしょ。特に理系の人。   

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2001年07月30日

【本】夜のフロスト

R・D・ウィングフィールド
東京創元社
発売日:2001-06-08

  (あらすじ)
  インフルエンザの流行で、署員が半分になったデントン署。そこにつぎつぎに巻き起こる事件。
  連続老女刺殺事件、猥褻ビデオ販売、老人の自殺未遂、少女の自殺、とびかう脅迫文、放火、乱闘、墓あらし、窃盗…  
  さらに行方不明の少女が他殺体で発見
  下品なジョークを心の糧に仕事中毒のフロスト警部の奮戦はつづく…
  
  (評価)
  あいかわらずおもしろかったです。

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2001年07月24日

【本】鳩笛草

超能力をもった女性の日常と苦悩を描いた中篇を3本を収録。
そのうちの一つでファイアスタータの女性を描いた「燔祭」の続編が映画化された「クロスファイア」。
なかなかおもしろかったですよー、宮部みゆきはよみやすーいので、おすすめぇ。
この人ほんとに、話つむぐのうまいなぁ~

投稿者 niimiya : 03:20 | コメント (0) | トラックバック

2001年07月11日

【本】知識人99人の死に方

   題の通り、知識人の死に方が99人分のってる。
   うらやましいのやら、真似したくないのまで。
   普段、目を叛けている「死」についていろいろ考えさせられました。
   一度に読むと考えすぎて鬱に入りそう…
   寺山修司と主治医の友情がいいなぁ~

投稿者 niimiya : 02:58 | コメント (0) | トラックバック