2010年07月17日

【本】ラッシュライフ

ラッシュライフ

著者:伊坂幸太郎
装丁:三谷龍二
解説:池上冬樹
出版:新潮文庫 い 69 2 ¥629 P456
版数:初版2005/5 17刷2007/5
初出:単行本 新潮社 2002/7
入手:もらった
読んだ日:2010/7/14
感想書いた日:2010/7/17

■内容(カバーより)
泥棒を生業とする男は新たなカモを物色する。父に自殺された青年は神に憧れる。女性カウンセラーは不倫相手との再婚を企む。職を失い家族に見捨てられた男 は野良犬を拾う。幕間には歩くバラバラ死体登場――。並走する四つの物語、交錯する十以上の人生、その果てに待つ意外な未来。不思議な人物、機知に富む会 話、先の読めない展開。巧緻な騙し絵のごとき現代の寓話の幕が、今あがる。
■収録

■感想
交わりつつ平行で動く五つのエピソードの時系列がバラバラで、作中にも出てくるようにまさに騙し絵のような構造。
ただ、手掛りは豊富に用意されているので、読み終わってみるとあーそういうことかとわかるような仕組み。
解説にも書かれていたが、映画の「パルプ・フィクション」とか「フォールームス」を連想させるような構成です。
他の伊坂作品同様、仙台を舞台にしており、他作品へのリンクもいくつか埋め込まれているみたいですね。
著者の本を読むのはこれで4冊目だけど、ようやく熱心なファン がいる理由がわかってきた気がします。
お薦め。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆★
《薦》☆☆☆★

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ラッシュライフ (新潮文庫)
ラッシュライフ (新潮文庫)

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2010年06月27日

【本】磁力と重力の発見(全3巻)

磁力と重力の発見(全3巻)

著者:山本義隆
装画:ケプラーの考えた大洋と惑星の磁気的相互作用
出版:みすず書房
版数:
入手:新刊購入
読んだ日:2010/5/17
感想書いた日:2010/6/26

■内容(3巻カバーより)
 近代物理学成立の真のキーは力概念の確立にある。そこから<遠隔力>概念の形成過程を追跡してきた長い旅は、第3巻でようやく近代科学の誕生に立ち会う。

■感想
うやく読み終わったぞぉ!6年前くらいに全三巻まとめて買って、断続的にちまちま読んでようやく読み終わった。
磁力を追ってギリシャ時代から近代の科学史を追い切った観があるなぁ。
近代になって急に重力にスポットがあたって磁力より先に数式化されてしまうのであった。
直接作用を元にした近代の機械論より、むしろ神秘主義に近い見方が磁力・重力という遠隔作用力を解き明かすのであった。

全3巻通して、ギリシア時代の黎明期、アリストテレス教条主義による停滞期、ルネサンスによる再進展期と実に見事に描かれていました。
しかし、読むのに時間かけ過ぎた…
1巻も2巻も面白くて思うこといろいろあったのですが、すっかり忘れてしまった…

著者は駿台講師の山本義隆氏。
勝手に恩師だと思っているのです。
ファインマンとこの人に出会って、物理を選んだのです。
才能も努力も足りずに道をあきらめましたが、後悔はしてない!!

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆★
《薦》☆☆☆

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磁力と重力の発見〈1〉古代・中世磁力と重力の発見〈1〉古代・中世
山本 義隆

みすず書房 2003-05
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磁力と重力の発見〈3〉近代の始まり磁力と重力の発見〈3〉近代の始まり
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2010年06月26日

【本】大槻ケンヂが語る江戸川乱歩

大槻ケンヂが語る江戸川乱歩 私のこだわり人物伝

著者:江戸川乱歩 大槻ケンヂ
カバー写真:平井憲太郎
カバーデザイン:國枝達也(角川書店装丁室)
出版:角川文庫 わ 11-2 ¥552 P196
版数:初版2010/4
入手:新刊購入 ジュンク堂(SOGO忠孝店) 
読んだ日:2010/5/9
感想書いた日:2010/6/26

■内容(カバーより)
「少年探偵」シリーズに代表される少年ものや、怪奇浪漫文学の名品を数多く遺した江戸川乱歩―。小学2年で『電人M』を読んで以来、乱歩に惹かれ、音楽性にも多大な影響を受けた大槻ケンヂが、ロック・ミュージシャンの視点からとらえ、新乱歩論を展開する。同時収録は、乱歩の短編小説「鏡地獄」「押絵と旅する男」「踊る一寸法師」「人でなしの恋」。この1冊で評伝と作品が読める「私のこだわり人物伝」シリーズ第2弾。

■感想
「大槻ケンヂが語る」部分はあっという間に読み終えてしまった。
後半分には「鏡地獄」「押絵と旅する男」「踊る一寸法師」「人でなしの恋」が収録。
「踊る一寸法師」は初めて読んだと思う、結構、衝撃的な内容っすね。
こんなの子供の頃に読んだらトラウマになるだろうなぁ
他のはどれも何度か読んだことある話ですが、せっかくなので再読してみた。
なかなかいいチョイスなんじゃないでしょうか。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆☆

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大槻ケンヂが語る江戸川乱歩 私のこだわり人物伝 (角川文庫)
大槻ケンヂが語る江戸川乱歩 私のこだわり人物伝 (角川文庫)

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2010年05月16日

【本】ネバーランド

ネバーランド

著者:恩田陸
装丁:木村典子
解説:吉田伸子
出版:集英社文庫 お 48 2 ¥514 P271
版数:2003/5初版
初出:2000/7集英社より単行本刊行
入手:古本 ¥220
読んだ日:2010/4/21
感想書いた日:2010/5/16

■内容(カバーより)
舞台は、伝統ある男子校の寮「松籟館」。冬休みを迎え多くが帰省していく中、事情を抱えた4人の少年が居残りを決めた。ひとけのない古い寮で、4人だけの自由で孤独な休暇がはじまる。そしてイブの晩の「告白」ゲームをきっかけに起きる事件。日を追うごとに深まる「謎」。やがて、それぞれが隠していた「秘密」が明らかになってゆく。驚きと感動に満ちた7日間を描く青春グラフィティ。

■感想
冬休みの寮に残った三人+一人の男子高校生の物語。少女漫画風の汗臭くない男子高校生の描写っていいですね。面白かったです。
読んでいて映画「1999年の夏休み」(金子修介監督)を思い出しました。あれは監督は男性でしたが、男子役を女性が演じていて同じく汗臭くなかったなぁ。
「ネバーランド」の後書きに作者が「「トーマの心臓」をやりたかった」と書いてあって納得。「1999年~」の原案は「トーマの心臓」。
さらっと読めて、ほのかな懐かしさを残してくれる佳作。
お薦め。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆☆

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ネバーランド (集英社文庫)
ネバーランド (集英社文庫)

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【本】井上成美

井上成美

著者:阿川弘之
解説:佐伯彰一
出版:新潮文庫 あ 3 14 ¥680 P589
版数:1992/7初版
初出:1986/9 新潮社単行本刊行
入手:BOOK OFF ¥100
読んだ日:2010/4/17
感想書いた日:2010/5/16

■内容(カバーより)
昭和五十年暮、最後の元海軍大将が逝った。帝国海軍きっての知性といわれた井上成美である。彼は、終始無謀な対米戦争に批判的で、兵学校校長時代は英語教育廃止論をしりぞけ、敗戦前夜は一億玉砕を避けるべく終戦工作に身命を賭し、戦後は近所の子供たちに英語を教えながら清貧の生活を貫いた。「山本五十六」「米内光政」に続く、著者のライフワーク海軍提督三部作完結編。

■感想
以前同じ著者の「米内光政」を読んだ時に、こりゃ「井上成美」も読まなきゃなるまいと思ったのです。
だいぶ間隔はあいてしまいましたが、このたび読み終えました。
最後の海軍大将、井上成美の生涯が、著書の歴史観を下敷きに語られます。
元海軍の著者は、陸軍の暴走に海軍の一部も引きづられて避けるべき対米開戦に突入したという見方をしており、このような陸軍悪玉論的な見方には異論がある人もいるかもしれないですね。
私は詳しくないのでそういうもんかなと思いながら読んでました。

井上の生涯を、幼い頃から時系列にそって描くわけではなく、大戦前と大戦後を交互に描くことで、飽きずに読めました。
論理的、頑固、潔癖で毀誉褒貶の激しい井上を、過度に賛美することなく、ありのままに書こうとしていて好感がもてました。
井上氏自体も自分を英雄視されることを特に嫌う人だったようなので、この内容なら許してくれるのではないでしょうか。

非常に面白かったです。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆★
《薦》☆☆☆★

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井上成美 (新潮文庫)井上成美 (新潮文庫)

新潮社 1992-07
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2010年04月19日

【本】流れよわが涙、と警官は言った

流れよわが涙、と警官は言った

原題:FLOW MY TEARS, THE POLICEMAN SAID
著者:フィリップ・K・ディック (Philip K. Dick)
訳者:友枝康子
装画:上原徹
装丁:小倉敏夫
解説:大森望
出版:ハヤカワ文庫 SF807 SF テ-1-8 ¥720 P364
版数:初版1989/2 12刷2005/5
初出:1974
入手:借用
読んだ日:2010/3/15
感想書いた日:2010/4/19

■内容(カバーより)
三千万人の視聴者から愛されるマルチタレント、タヴァナーは、ある朝見知らぬ安ホテルで目覚めた。やがて恐るべき事実が判明した。身分証明書もなくなり、世界の誰も自分のことを覚えてはいない。そればかりか、国家のデータバンクからも彼に関する記憶が消失していたのだ! “存在しない男”となったダヴァナーは、警察から追われながら悪夢の突破口を必死に探し求める……現実の裏に潜む不条理を描く鬼才最大の問題作!

■感想
学生の頃に一度読んだような気もするんだけど内容はさっぱり憶えてなかったっす。
当時は「なんだこれ?」だった気がする…ディックが離婚後のどん底で、アンフェタミンやりまくってたときの作品らしく、内容にもそれが反映されてますね。
ディック好きなら好きだろうし、そうじゃなければ取っつきにくい作品じゃないでしょうか。
初めて読むなら他の本がいい気もするけど、名前が思いつかない…

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆
《薦》☆☆

表紙は新装されたみたい

流れよわが涙、と警官は言った (ハヤカワ文庫SF)流れよわが涙、と警官は言った (ハヤカワ文庫SF)
友枝 康子

早川書房 1989-02
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【本】アイの物語

アイの物語
Tales of One Thousand and One Nights for Machine and Man

著者:山本弘
装丁:西村弘美(角川書店装丁室)
解説:豊崎由美
出版:角川文庫 や 40-4 ¥819 P577
版数:初版2009/3
初出:単行本刊行2006/5
入手:新刊購入(Amazon)
読んだ日:2010/3/20
感想書いた日:2010/4/19

■内容(カバーより)
人類が衰退し、マシンが君臨する未来。食糧を盗んで逃げる途中、僕は美しい女性型アンドロイドと出会う。戦いの末に捕えられた僕に、アイビスと名乗るそのアンドロイドは、ロボットや人工知能を題材にした6つの物語を、毎日読んで聞かせた。アイビスの真意は何か?なぜマシンは地球を支配するのか?彼女が語る 7番目の物語に、僕の知らなかった真実は隠されていた―機械とヒトの新たな関係を描く、未来の千夜一夜物語。

■収録
第1話 宇宙をぼくの手の上に (Space on My Hands)
第2話 ときめきの仮想空間(An Exciting Imaginary Space)
第3話 ミラーガール (Mirror Girl)
第4話 ブラックホール・ダイバー (Black Hole Diver)
第5話 正義が正義である世界 (Justice Are on Our Side)
第6話 詩音が来た日(The Day Shion Come Here)
第7話 アイの物語(A Tale of i )  

■感想
タイトルがちょっとケータイ小説っぽいのがナンだなぁと思いつつ、読み終えてみると秀逸なタイトルだったことがわかりました。
アイってのは、語り部 のアンドロイドの通称であり、一人称のIであり、愛でもあり、AIでもあり、おまけに複素数のiでもあるのですね。素晴らしい。
中編の連作なのですが、最後が語り部たるアイの物語になっている、千夜一夜物語のような構成。
それぞれの作品もどれも面白く、全体をとおしても面白い。
なかなか、ないですね、こういう本は。
大満足。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆★
《薦》☆☆☆★

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アイの物語 (角川文庫)
アイの物語 (角川文庫)

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【本】ぼんくら 上・下

ぼんくら

著者:宮部みゆき
装画:村上豊
装丁:緒方修一
解説:北上次郎
出版:講談社文庫 上下分冊
初出:小説現代連載 1996/3~2000/1、単行本2000/4刊行
入手:BOOK OFF 各100円
読んだ日:2010/3/27
感想書いた日:2010/4/15

■内容(カバーより)
「殺し屋が来て、兄さんを殺してしまったんです」――江戸・深川の鉄瓶長屋で八百屋の太助が殺された。その後、評判の良かった差配人が姿を消し、三つの家族も次々と失踪してしまった。いったい、この長屋には何が起きているのか。ぼんくらな同心・平四郎が動き始めた。著者渾身の長編時代ミステリー。

■感想
宮部みゆき作「ぼんくら」読んだ。江戸時代の長屋人情話連作だと思ったら、ミステリー長編でした。
おでこや弓之介などなかなか魅力的なキャラクターが出てくるのだけど、あまり十分には生かされてなかったのがおしい。
シリーズ化しそうだなと思ったら、「日暮し」という続編がすでに出てた。
シリーズの第一作と考えたら、まぁいいのかな。
満足度は高くないけど、飽きずに読み切れたのでよしとしますか。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆★
《薦》☆☆☆

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ぼんくら(上) (講談社文庫)
ぼんくら(上) (講談社文庫)

ぼんくら(下) (講談社文庫)
ぼんくら(下) (講談社文庫)

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2010年03月13日

【本】ベルリン飛行指令

ベルリン飛行指令

著者:佐々木譲
装画:生頼範義
解説:藤田宣永
出版:新潮文庫 さ 24 1 ¥743 P536
版数:初版1993/1 17刷2010/1
初出:新潮社 1988年単行本刊行
入手:新刊購入
読んだ日:2010/3/7
感想書いた日:2010/3/13

■内容(カバーより)
1940年、欧州戦線で英国スピットファイアに苦汁をなめていたドイツ空軍は極秘情報を入手した。日本で画期的な戦闘機が開発されたというのだ。驚異的な航続距離を誇る新戦闘機、その名は“タイプ・ゼロ”。三国同盟を盾に取り日本に機体移送を求めるドイツ。日本海軍の札付きパイロット安藤、乾の二人に極秘指令が下った。張り巡らされた包囲網の下、零戦は遙かベルリンの灯を目指す!

■感想
※ちょっとネタバレ※

タイトル通り、日本から零戦をベルリンまで飛ばすというお話。
当時の情勢や実在の人物もうまく絡めて描かれていて、なかなか面白かったです。
ただ、ノンフィクションらしい導入部でしたが、そういうわけでもないと思うので、荒唐無稽でもいいから、もっと冒険小説らしくあったほうが好みですかね。
井上成美はじめ実在の人物をいろいろと出てくるのですが、ちょっとゲスト出演っぽくて、あまりメインのストーリーに絡んでこないのも物足りなかったかも。
米国の戦闘機のりは本当に出てきた意味よくわからなかった・・・
てっきり、空中戦やるんだと思ってたのに・・・
でも、設定は面白いですし、一気に読めました。
3部作らしいので、全部読んでみたいですね。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆☆

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ベルリン飛行指令 (新潮文庫)
ベルリン飛行指令 (新潮文庫)

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【本】宇宙創成

宇宙創成

原題:Big Bang
著者:サイモン・シン (Simon Singh)
訳者:青木薫
装丁:Stocktrek Images/ゲッティ イメージス
出版:新潮文庫 上下分冊 シ37-4/シ37-5
版数:2009/2 初版
初出:2006/6 新潮社 単行本刊行
入手:新刊購入
読んだ日:2010/3/1
感想書いた日:2010/3/13

■内容(カバーより)
宇宙はいつ、どのように始まったのか?人類永遠の謎とも言えるその問いには現在、ある解答が与えられている。ビッグバン・モデル。もはや「旧聞」の感さえあるこの概念には、実は古代から20世紀末の大発見へと到る意外なエピソードと人間ドラマが満ちていた―。有名無名の天才たちの挑戦と挫折、人類の夢と苦闘を描き出す傑作科学ノンフィクション。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

■感想
フェルマーの定理、暗号解読と鋭いところをついてきた、サイモン・シンが、本作ではビッグバンという、オーソドックスなテーマをとりあげてきました。
正直なんで今更という感は否めず、内容も以前読んだことあるような内容も多々あったのですが、最後に訳者のあとがきを読んで腑に落ちました。

以下に引用します

P.371 文庫版訳者あとがき より
本書は、宇宙論の最新の知見を紹介する本ではなかった。本書の真の主人公は≪科学的方法≫だったのだ。シンは、科学的方法をみんなに知ってほしかった。そしてその目的のために、誰もが一度は心に抱いたことのある問い、すなわち、「宇宙はどこから来たの?」「星はどうやって輝いているの?」という、もっとも素朴で深い問いを選んだに違いない。」

引用以上

たしかにそう考えると、ビッグバンモデルと定常宇宙モデルを常に比較して、その時点で両者がどれだけ実観測と合っているかということを明示しながら論は進むのでした。

基本的にはビッグバンが定説となるまでを中心に描かれていて、その後のさらに先を説明しようとするインフレーション理論などには軽く触れる程度だったのが残念でした(しかも佐藤勝彦氏の名前が訳注でしかでてこない・・)が、上記の本書の目的を考えると納得はできました。

例によって、科学者の人間性も焦点があたっていて、どえらくわかりやすく書いてあるので、宇宙論の入門の入門書としても最適だと思います。
各章の最後にまとめがあるのがわかりやすいです。
厚さのわり簡単に読めてしまいます。
その分、上下分冊にせず一巻にしてほしかった気はする。
お薦めです。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆★
《薦》☆☆☆★

宇宙創成〈上〉 (新潮文庫)宇宙創成〈上〉 (新潮文庫)
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宇宙創成〈下〉 (新潮文庫)宇宙創成〈下〉 (新潮文庫)
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2010年02月05日

【本】澁澤龍彦 書評集成

澁澤龍彦 書評集成

著者:澁澤龍彦
装丁:菊地信義
解説:平出隆
出版:河出文庫 し 1-52 P474 ¥1400
版数:初版2008/10
入手:新刊購入
読んだ日:2010/1/29
感想書いた日:2010/2/5

■内容(カバーより)
書評には流儀がある。澁澤流の書評は、時に厳しく時に偏愛的に書物の間を逍遥しながら、簡潔にその要諦を示し、一瞬の独自な世界をつくりあげていく。一九五八年から最晩年の一九八七年にかけて発表されたおびただした数の書評を集大成した本書は、澁澤龍彦による時評とも、澁澤自身の軌跡とも読める。待望の文庫オリジナル・アンソロジー。

■感想
書評の対象が読んだことないどころか、知らないものばかりなんですが、それでもその書評を読むと面白いのですよね。
書評といえど澁澤節ともいえる、著者らしさがあふれでていて。
優れた書評は二次創作として、元の本を知らなくても十分に楽しめますなぁ。
澁澤龍彦好きにのみお薦めの一冊です。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆

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澁澤龍彦書評集成 (河出文庫)
澁澤龍彦書評集成 (河出文庫)

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2010年01月24日

【本】前巷説物語

前巷説物語

著者:京極夏彦
装丁:FISCO、荒井良
解説:宇江佐真理
出版:角川文庫 き 26-5 P729 ¥857
版数:初版2009/12
初出:単行本刊行 2007/4 角川書店
入手:新刊購入(台北 紀伊国屋書店@微風廣場)
読んだ日:2010/1/10
感想書いた日:2010/1/24

■内容(カバーより)
理由あって上方から江戸へ流れてきた双六売りの又市は、根岸の損料屋「ゑんま屋」の手伝いをすることに。この店はれっきとした貸物業、しかし裏では、決して埋まらぬ大損を大金と引き替えに仕掛けであがなう……という稼業を営んでいた。渡世仲間らと共に、若き又市が江戸に仕掛ける妖怪からくりの数々。だがついに、とてつもない強敵が又市らの前に立ちふさがる。やるせなさが胸を打つシリーズ第4弾、百物語はじまりの物語。

■収録
寝肥(ねぶとり)
周防大蟆(すおうのおおがま)
二口女(ふたくちおんな)
かみなり
山地乳(やまちち)
旧鼠(きゅうそ)

■感想
巷説百物語の最新刊がようやく文庫版になったので買ってきました。
前半は上方から江戸に流れてきた又市が、損料屋「ゑんま屋」の手伝いを始めしかけの世界に足を踏み入れるところを描いています。
後半からは「続~」で語られた、稲荷坂の祇右衛門との因縁が話の中心になってきます。
前日譚といはいえ、後の話に繋げるための、つじつま合わせな感じは一切せず、この本だけでも、妖怪仕掛けモノ(?)として十分楽しめる内容でした。

百介さんが仲間になってないかわりに、久瀬棠庵という本草学者がいろいろと蘊蓄語ってくれます。
京極堂シリーズでも最近あまりみれなくなった、妖怪ルーツ話もあったりして、嬉しかったです。

あと、又市とおちかや林蔵の会話がテンポが良くて、読んでて気持ちが良かった。

これで前日譚と後日譚が語られたわけですが、本作で打ち止めなんですかね。
「続~」と「後~」の間などにはまだまだ語られてないこともありそうなんで、続編期待してもいいのかな?
(「新~」とか)

全部出たら、一度、時系列順で読み直してみたいところです。
ちなみに「嗤う伊右衛門」と「覘き小平次」は時系列的にはどこに入るんだろうか・・・

本作から読み出しても十分面白いと思いますが、できれば出版順に「巷説百物語」→「続~」→「後~」→「前~」と、読むことをお薦めします。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆★
《薦》☆☆☆

前巷説百物語 (角川文庫)
前巷説百物語 (角川文庫)

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2010年01月03日

【本】ポケットに名言を

ポケットに名言を

著者:寺山修司
装画:林静一
出版:角川文庫 て 1-3 P174 ¥340
版数:初版1977/8 55刷2002/6
入手:古本
読んだ日:2009/12/30
感想書いた日:2010/1/3

■内容(カバーより)
世に名言、格言集の類は数多いけれど、本書ほど型破りな名言集は珍しいのではないだろうか。畠山みどりの歌謡曲あり、懐かしい映画の名セリフあり、かと思うと、サルトル、エンツェンスゲルガー、マルクス…。しかつめらしく覚えたり、読むのではなく、Tシャツでも着るようにもっと気軽に名言を自分のものにしよう!思い出にすぎない言葉が、ときには世界全部の重さと釣合うことがあるのだから……。

■感想
寺山修司の集めた珠玉の名言の数々。
名言集なので、当然、各章冒頭の一文と、一部の引用を除いた大部分は他の人の文章や台詞なのですが、言葉の選び方、並べ方がやはり寺山修司で、読後感は寺山の本でした。
お薦めです

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆☆

■引用
P62 幸福 より
〔私のノート〕
 幸福とは幸福をさがすことである。
 ――私はこのルナアルの言葉を、高等学校の便所の落書の中で発見したのだ。私はこの大きな真理を何べんもよみながら、目にしみるような窓の青空に目をやった。
 人と人とに出会いがあるように、人と言葉のあいだにも、ふしぎな出会いがあるものだなあ、と思いながら。
 
新装版(なか見検索あり)↓

ポケットに名言を (角川文庫)ポケットに名言を (角川文庫)

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2010年01月02日

【本】旧約聖書 創世記

旧約聖書 創世記

訳者:関根正雄
出版:岩波文庫 青801-1
版数:1刷1956/5、17刷改版1967/8、41刷1987年2
入手:祖父蔵書
読んだ日:2009/12/30
感想書いた日:2010/1/1

■内容(表紙より)
罪を犯して神から追放を受けた人類とその人類に対する神の救いが聖書全体をつらぬく問題であるとすれば、旧約巻頭のこの書こそ、その問題への出発点である。天地の創造、人類のはじまり、楽園追放、ノアの洪水、その子孫の増加、そしてイスラエル民族の祖先たちの罪と罰の記録。次々に壮大な神と人類の物語が展開されてゆく。

■感想
ユダヤ警官同盟を読んで旧約聖書に興味を…
というわけではなくて、前回実家に帰った時に祖父の形見の蔵書の中から引っ張り出して読み出して、最近ようやく読み終わったところです。読み始めたのはこちらのほうが先。

創世記は旧約聖書の一番最初の部分で、天地創造の場面からユダヤの祖アブラハム~イサク~ヤコブ(イスラエルと改名)の話になっていき、ヤコブの12人の息子がユダヤ十二氏族の祖になるというところまで。
ですので、モーセの契約も、海を割って出エジプトする話もまだ出てきません。
前半は世界の成立ちを主に描いていて、アダムとイブの失楽園、カインの兄殺し、バベルの塔、ソドムとゴモラ、ノアの洪水と、どこかで見聞きしたエピソードがてんこもり。
後半はユダヤの民族の成立がメインです。

どうもこの旧約聖書というやつはいろいろな原典が入り交じって成立しているものらしく、注釈を読むと「ここは『祭司資料』、ここからは『ヤハウェ資料』と見られるなどと解説があって面白い。
用語などからどの資料から来たものか分析していくみたいですね、いわゆる聖書学ってのはこういうことをする学問なんですかね。
旧約聖書全部は読む自信ないですが、機会があれば続く出エジプト記あたりは読んでみたいっすね。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆★

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2009年12月26日

【本】ユダヤ警官同盟

ユダヤ警官同盟

原題:THE YIDDISH POLICEMEN'S UNION
著者:マイケル・シェイボン(MICHAEL CHABON)
訳者:黒原敏行
装画:影山徹
出版:上巻:新潮文庫 シ 39 1 ¥590 P312
   下巻:新潮文庫 シ 39 2 ¥629 P315
版数:上巻:初版2009/5、下巻: 初版2009/5 
入手:新刊購入
読んだ日:2009/12/18
感想書いた日:2009/12/26

■内容(上巻カバーより)
安ホテルでヤク中が殺された。傍らにチェス盤。後頭部に一発。プロか。時は2007年、アラスカ・シトカ特別区。流浪のユダヤ人が築いたその地は2ヶ月後に米国への返還を控え、警察もやる気がない。だが、酒浸りの日々を送る殺人課刑事ランツマンはチェス盤の謎に興味を引かれ、捜査を開始する――。ピューリッツァー賞受賞作家による刑事たちのハードボイルド・ワンダーランド、開幕!

■感想
イスラエルの建国が失敗して、代わりにユダヤ難民が集まったアラスカのシトカ特別区を舞台にした、架空歴史ハードボイルド小説。

架空歴史ものゆえに背景説明の多さと、翻訳ハードボイルドゆえに誰がしゃべってるのかよく分からない文章で、前半はぜんぜん面白く感じられずに、なかなか読み進みませんでした。
しかし、前巻の後半あたりからだんだんと面白くなってきて、下巻は一気に読み終わりました。

とっつきにくいですが、読み終わってみればいい話だったんじゃないでしょうか。
設定は架空ですが、SFってよりもハードボイルド小説でしたね。
タイトルから想像するような内容じゃなかったけど…

創作部分も多いとはいえ、奥深いユダヤの世界の一端を垣間見た気がします…

読み終わってみれば面白かったのですが、やはり私同様にユダヤもチェスも身近じゃない多くの日本人にはとっつきにくい本なんじゃないかも。
逆に言うと、ユダヤかチェスに興味がある人には入りやすいかもしれない。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆★

■引用 下巻 P164
「あの連中は何者なのかって?あれはユダヤ人だ。陰謀をめくらしているユダヤ人。くっつけたのは必要のない修飾語だがね」

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2009年12月20日

【本】あやしい探検隊 海で笑う

あやしい探検隊 海で笑う

著者:椎名誠
写真:中村征夫
イラスト:椎名誠
カバーデザイン:和田誠
解説:小安稔一(陰気な小安)
出版:角川文庫 し 6-10 ¥660 P323
版数:初版1994/6 10版1997/7
初出:1993年 三五館 単行本刊行
入手:BOOK OFF ¥105
読んだ日:2009/12/10
感想書いた日:2009/12/20

■内容(カバーより)
世界最大のサンゴ礁が連なるオーストリアのグレートバリアリーフで、初のダイビング体験。行きあたりばったりでニュージーランドへ。サメ大群の追跡をしてみようと飛島へ――。
キャリアを積んでぐっと国際的にあってきた探検活動は、危険も感動もダイナミックに。
が、大目標にこだわらず、ビールや食事にこだわりながら、好奇心のままつき進んでいく、”あやしい初志”は変わらない。
中村征夫撮影のすばらしいカラー写真と共に楽しめる。豪快、素朴な海の行状記。シリーズ第四弾。
■収録
 第一章 巨大魚を抱きにいく
 第二章 あやしい探検隊 南太平洋ジグザク旅
 第三章 日本海のサメ穴でサメ頭なでなで作戦に挑む
 第四章 南国快晴。第一東ケト丸の進水
 第五章 あやしい探検隊 無人島へ行く
 第六章 南の海も笑ってる
 第七章 フグとカツオの大勝負
 第八章 半漁人たちの伝説
 あとがきにかえて――ドチザメA・Bのつぶやき
 奥尻島の津波 中村征夫
 元祖怪しい探検隊「東ケト会」の頃――陰気な小安の回想 小安稔市

■感想
えーーっと、シリーズ何作目でしたっけ?
前作からだんだんと出番が減っていましたが、完全に東ケト会で出かけることはなくなってしまいましたなぁ。
みなさん仕事や家庭の都合でなかなか集まれなくなってきたそうな
そのかわり職業アウトドア―な方々が集まって「いやはや隊」としていろいろ遊びにいってます。
いやはや隊のメンバーは本作に写真も載っている、写真家の中村征夫氏や、カヌーイストの野田知佑氏などなど、今や居酒屋の権威(?)の太田和彦氏も料理班で参加してるんですねぇ。
こりゃ豪華メンバー。
文庫版にもかかわらず写真がたっぷり掲載されているのは嬉しいですね。
いい写真ばかりで楽しい気分が伝わって来ます
しかし、椎名さんは本作で初めてダイビングをやったんですね、もっと昔からやってたのかと思ってました。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆☆

あやしい探検隊海で笑う (角川文庫)
あやしい探検隊海で笑う (角川文庫)

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【本】ムーミン谷の彗星

ムーミン谷の彗星

原題:KOMETEN KOMMER
作/絵:トーベ・ヤンソン(TOVE JANSSON)
訳者:下村隆一
解説:高橋静男
出版:講談社 青い鳥文庫 21-2 P219 ¥580
版数:第1刷1981/2 第36刷1999/2
初出:1946年 1956年改訂 1968年三訂
入手:古本 永康街 地下街
読んだ日:2009/12/9
感想書いた日:2009/12/20

■内容(カバーより)
 長い尾を光らせた彗星が、地球にやってくるというので、ムーミン谷は大さわぎ。ムーミントロールは、彗星をしらべるためスニフと天文台へ出発しますが……。
 ムーミン谷の愛すべき仲間たちの困惑を暖かいユーモアでつつみこんでえがく、トーベ=ヤンソンのファンタジーの傑作。

■感想
時系列的には、前巻の「楽しいムーミン一家」より前の話みたいですね。
スナフキンやスヌークおじょうさんともに初じめて出会う場面がありました。
書かれたのもこちらが最初なのかな?
たしかに、本作では彗星におびえる終末的な世界が描かれているのでシリーズ1作目にはちょっと重いですかね。
ある意味、もっともムーミンシリーズらしい話かもしれませんが、私はもそっと明るい話のほうが好きですなぁ。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆☆

4061470450ムーミン谷の彗星 (講談社青い鳥文庫 21-2)
Tove Jansson
講談社 1981-02-10

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2009年10月25日

【本】SF英雄群像 スペース・オペラへの招待

SF英雄群像 スペース・オペラへの招待

著者:野田昌宏
装画:小森誠
出版:ハヤカワ文庫 JA119 ノ 1 2
版数:初版1979/12 4刷2004/3
ISBN:4-15-030119-0
初出:SFマガジン 昭和38年9月号~40年5月号連載
入手:amazon
読んだ日:2009/10/24
感想書いた日:2009/10/25

■内容(カバーより)
地球滅亡後、宇宙人に助けられ不老不死の機械人間となったジェイムスン教授、宇宙の正義と平和のため、仲間とともに<コメット>号で宇宙を駆けめぐるキャプテン・フィーチャー、天涯孤独の身から銀河の無法者スターウルフの一員となり冒険を重ねるケイン……アメリカのパルプ雑誌で活躍したスペース・ヒーローたちのプロフィルを紹介しつつ、そのおもしろさをわかりやすく解説したスペース・オペラ・ガイドブックの名著

■感想
1930年代、40年代のアメリカパルプSF雑誌を彩った、スペースオペラを一挙紹介。
いやはや、原作より面白いといわれるだけあって、どれも面白い!
驚くのがこれをSFマガジンに連載していた時にはまだ、これらの翻訳はでてなかったてこと。
やっぱりパルプSF雑誌の第一人者だったんですねぇ。
レンズマン、スターウルフ、キャプテン・フィーチャー、火星シリーズとだいたい読んだはずですが、内容はまったく覚えてなかった…
そりゃもう20年もまえだもんなぁ…
改めて読みたくなりました・
キャプテン・フィーチャーは野田氏の書いた外伝もふくめて、創元で復刻されてるらしいですね。
買っちゃおうかなぁ…

SF好きは全員必読の本。
で、この本読んで、紹介されてる本読みたくならなかったら、もうハードSFだけ読んでた方がいい。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆☆
《薦》☆☆☆★

SF英雄群像―スペース・オペラへの招待 (ハヤカワ文庫 JA 119)
SF英雄群像―スペース・オペラへの招待 (ハヤカワ文庫 JA 119)

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【本】特集・本の雑誌2

特集・本の雑誌2 ブックガイド篇

編者:本の雑誌編集部
装画:沢野ひとし
出版:角川文庫 ほ 9-2 ¥680 P470
版数:初版1995/11
ISBN:74-04-196702-3
初出:本の雑誌 1989~1995
入手:古本
読んだ日:2009/10/18
感想書いた日:2009/10/25

■内容(カバーより)
「本の雑誌」は一九七六年に〔書評とブックガイド誌〕として創刊されたが、当初は季刊誌。八四年から〔活字のコラムマガジン〕に方針転換し、隔月刊を経て、八八年に月刊化。今年、創刊二〇周年を迎える。
この第二巻「ブックガイド篇」には、ホラー小説から、恋愛小説、スポーツ本、時代小説、絵本、ハードボイルド、青春小説、ギャンブル本、SFまで、様々な本を紹介するブックガイド特集を収録した。

■感想
本の雑誌の特集記事をまとめた本の第二弾。
前作は未読。
本作に収録されている特集は、「ホラー」「恋愛」「スポーツ」「時代小説」「絵本」「ハードボイルド」などなど…。
どのジャンルにも読んだことない面白そうな本が山のようにあるんですなぁ
読書熱を上げてくれる本です。
まぁ、でも、古い本ですし、まずは気に入った特集があったら「本の雑誌」本誌を買うのがいいかもね。

いまでこそ、本の雑誌といったら「ダヴィンチ」かもしれませんが、もともと本の雑誌といったら「本の雑誌」なんですよね、ってややこしいわ。

私は雑誌を買うことはほとんどないんですが、「本の雑誌」だけはたまに買います。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆

特集・本の雑誌〈2〉ブックガイド篇 (角川文庫)
本の雑誌編集部
4041967023

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【本】レモン月夜の宇宙船

レモン月夜の宇宙船

著者:野田昌宏
装画:加藤直之
装丁:東京創元社装幀室
解説:高橋良平
出版:創元SF文庫 SF の 1 1 ¥1000 P498
版数:初版 2008/11
ISBN:978-4-488-73101-4
初出:連載SFマガジン他。単行本「レモン月夜の宇宙船」早川書房刊行、「SFパノラマ館」北冬書房刊行
入手:新刊購入 AMAZON
読んだ日:2009/10/18
感想書いた日:2009/10/25

■内容(カバーより)
SF研究家、翻訳家、作家として活躍し愛された野田昌宏。その作家活動の第一歩となった作品を表題とした第一短編集を大幅増補、書籍初収録短編一編と初期の傑作エッセイの数々を加えて贈る。生涯の名台詞となる「SFってなァ、結局のところ絵だねェ」が誕生したエッセイ、生涯の愛称となった「宇宙郡大元帥」を初めて名乗った小説風記事も収録した。詩情に満ちた名品ぞろいである。

■感想
故野田昌宏さんの、初期短編とエッセイをあわせた本。
短編はすべて自分を主人公として、日常の延長線上に黄金時代のSFが展開される作りで、作者のSF愛が伝わってきます。
エッセイ部分からは、なおいっそうパルプ誌時代のSF(スペースオペラ)への愛があふれ出してますが、内容的に「スペース・オペラの読み方」とかぶりまくってしまっているのはちょっと残念。

でも、タイトルもカバーもいいし、オールドSF好きは買うべし。

あ、今気づいたんですが、この本、創元から出てるんですね、初出誌もSFマガジンが多いし、てっきりハヤカワ文庫だと思ってました(元々はハヤカワJAから出てたようです)。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆★
《薦》☆☆☆

レモン月夜の宇宙船 (創元SF文庫)
レモン月夜の宇宙船 (創元SF文庫)

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2009年10月24日

【本】ホームレス中学生

ホームレス中学生

著者:田村裕
装丁:lil.inc
出版:ワニブックス ¥1300 P191
版数:初版2007/9 14版2008/1
ISBN:978-4-8470-1737-7
入手:古本 永康街 地下街

読んだ日:2009/10/18
感想書いた日:2009/10/24

■感想
永康街の古本屋でトイレ借りて、そのまま帰るのは申し訳なくて購入。
今更内容の説明はいらないと思いますが、麒麟の田村さんの一家離散した過酷な中学時代から吉本に入るまでを描いてます。
ハードカバーですが、字も行間も大きいので、あっという間に読了。
このエピソード自体はTVで本人が語っているのを聞いてたので知ってはいましたが、あらためて大変なこと経験してるなぁと思いますな。
でも、偉いのは、悲壮感がまったくなくて、誰も責めずに、まわりへの感謝に溢れた内容であること。
人気商売の人なんで、好感度意識してるといえばそれまでですが、単純な私は彼が好きになりましたよ。
家に済ましてくれたり、みんなでお金だして、部屋かりてくれたりと、周りの人もいい人やなぁ。
そして、なにより兄ちゃんが偉いなぁ。
ただ、これだけあっさり読めてしまう分量の本をハードカバー&新刊で買うのは、貧乏性の私には無理だなぁ
でも、こういう利益率よさげな本がベストセラーになることで、出版社も書店も(取り次ぎも?)潤って、儲からない本も扱えるようになるんですよね、きっと。感謝せにゃ。
ついでに一家離散しないでくれた、両親にも感謝。

段ボール風の装幀は凝ってて面白いですね、剥がすとまきふん公園の写真ってのもいいですね。
こりゃ、たしかにまきふんだわ。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆★
《薦》☆☆★

ホームレス中学生
ホームレス中学生

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2009年10月21日

【本】町奉行日記

町奉行日記

著者:山本周五郎
装画:村上豊
出版:新潮文庫 や 2 29 ¥440 P388
版数:初版 1979/3 
ISBN:4-10-113430-8
入手:BOOK OFF ¥250
読んだ日:2009/9/30
感想書いた日:2009/10/21

■内容(カバーより)
着任から解任まで一度も奉行所に出仕せずに、奇抜な方法で藩の汚職政治を摘発してゆく町奉行の活躍ぶりを描いた痛快作『町奉行日記』。藩中での失敗事をなんでも<わたくし>のせいにして、自己の人間的成長をはかる『わたくしです物語』。娘婿の過誤をわが身に負ってあの世に逝く父親の愛情を捉えた短編小説の絶品『寒橋』。ほかに『金五十両』『落ち梅記』『法師川八景』など10編収録。

■感想
山本周五郎の本を読むのは「さぶ」以外では初めてです。
つまり初の山本周五郎の短編集ってことです。
BOOK OFFで見かけて適当に買ったんですが、内容も書いた時期もバラバラで入門としてはいいチョイスだったかもしれません。
戦国の名残の忠臣の話や、堪え忍ぶ信念の女性など、様々な人々が描かれています。
表題作は痛快な破天荒奉行の国直しのお話。

他にも作者の短編集いろいろ読んでみたくなりました。
また日本帰ったときに古本屋でいろいろ探してみよっと。
その前に、長編の「樅ノ木は残った」を読みたいのではあるけれど…

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆☆

町奉行日記 (新潮文庫)
町奉行日記 (新潮文庫)

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2009年10月17日

【本】ま・く・ら

ま・く・ら

著者:柳家小三治
装丁:南伸坊
解説:矢野誠一
出版:講談社文庫 や 44 1 ¥667 P411
版数:初版1998/6 27刷2006/4
ISBN:4-06-263777-4
入手:BOOK OFF ¥400
読んだ日:2009/10/17
感想書いた日:2009/10/24

■内容(カバーより)
枕は落語のイントロ。バイクの車庫に居ついたホームレス、英語留学の顛末、玉子かけご飯まで小三治にかかるとたまらなく面白い。旺盛な好奇心と確かな目、磨いた話術がくり出す枕は枕を超えた。長短18篇を取りそろえてご機嫌伺います。人生っていいなと心温まる、「まくらの小三治」の真骨頂、お楽しみの程を。

■感想
以前、続編の「もひとつ ま・く・ら」を人からもらって、すごく面白かったもんで、前作の「ま・く・ら」も探してたんですが、先日ようやく見つけました。
続編同様面白かったです。
アメリカに行く話が中心になってますね、全然英語できないのに、アメリカいって無理矢理短期留学しちゃうあたりとか、たくましい…
オーディオマニアらしい話もいろいろあって、CDに傷いれたらとか、二回出し入れしたらとか、冷蔵庫いれたら音がよくなるとか、そういう話ありましたなぁ
未だに本当??って思ってるんですが、どうなんでしょね…
他に定番のバイクや句会の話に加えて、借りてる屋外駐車場に浮浪者に住まれちゃった話がご本人のちょっとお人好しな性格が出てて面白かったです。

落語好きにも、そうでもない人にもお薦め。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆★
《薦》☆☆☆★

ま・く・ら (講談社文庫)
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2009年09月30日

【本】朝霧

朝霧

著者:北村薫(きたむら かおる)
装画:高野文子
出版:創元推理文庫 M き 3 5 ¥560 P247
版数:初版2004/4、再版2004/5
ISBN:4-488-41305-6
初出:オール讀物1995~1997、東京創元社 単行本刊行1998年
入手:新刊購入(Amzon)
読んだ日:2009/9/27
感想書いた日:2009/9/28

■内容(カバーより)
前作『六の宮の姫君』で着手した卒業論文を書き上げて、巣立ちの時を迎えたヒロインは、出版社の編集者として社会人生活のスタートを切る。新たな叙情詩を奏でていく中で、廻り合せの妙に打たれしばし呆然とする《私》。その様子に読み手は、従前の物語に織り込まれていた絲の緊密さに陶然とする自分自身を見る想いがするだろう。幕切れの寥亮たる余韻は次作への橋を懸けずにはいない。

■収録
山眠る
走り来るもの
朝霧

■感想
前作の「六の宮の姫君」は芥川龍之介の同名小説を俎上に、芥川と菊池寛の関係を追求した番外編的な存在でしたが、本作では本来の路線の日常謎解き連作集に戻りました。
このシリーズでは落語家円紫さんの謎解き小説でありつつ、同時に「私」の成長小説でもあるのですが、本作では『謎解き』より『成長』の部分に重きが置かれていたように感じました。
いよいよ、大学を出て就職した「私」の初々しい働きっぷりと、ちょっとずつ現れるすこし気になる男性。
続編が気になるところですが、えらい長いこと続きでてないんですよねぇ
もう書かないのでしょうか…

相変わらず、文学や落語のペダンチックなネタが満載なのですが、全然、鼻につかずに書くのがさすがですな。

好きなシリーズなんですが、最初の二冊のほうが謎解き部分が面白くて好みでした。
前作を読んでからだいぶ開いてしまったので、主人公に対する思い入れがちょっと薄まってしまってたかもです。

読むのであればシリーズ一作目「空飛ぶ馬」からどうぞ!
文学/落語好きには特にお薦め。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆★
《薦》☆☆☆

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2009年09月27日

【本】横溝正史読本

横溝正史読本

編者:小林信彦
装画:杉本一文
解説:権田萬治
出版:角川文庫 よ 5-200 ¥514 P286
版数:初版1979/1、改版初版2008/9
ISBN:978-4-04-138216-5
入手:新刊(台北 紀伊国屋)
読んだ日:2009/9/27
感想書いた日:2009/9/27

■内容(カバーより)
 名探偵金田一耕助のモデルは?『獄門島』『八つ墓村』ほかのトリックはどのように思いついたのか?――作家小林信彦を相手に、主要作品の詳細な舞台裏を初めて明かした、巨匠みずから空前絶後の内容と称する<対談四部作>、貴重なエッセイ<探偵茶話>、乱歩、安吾、彬光による横溝正史作品論と、資料的価値も高い伝説の名著が、ここに甦る。今回、新たに現代までの詳細な横溝正史年譜を加えた。ミステリファン必読の書。

■収録
横溝正史の秘密
資料1 探偵茶話
資料2 作品評

■感想
小林信彦による、横溝正史のロングインタビューを中心にまとめられた本で、横溝正史ファンなら必読の書。
でも、そうじゃない人でも、戦前・戦後の新青年まわりの出版事情に興味がある人なら、面白く読めると思います。
他に横溝の手による探偵小説についてエッセイや、乱歩による「本陣殺人事件」批評なども収録されています。
ニッチな本なので、万人にお薦めというわけにはいきませんが、興味のある人はどうぞ。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆
《薦》☆★

横溝正史読本 (角川文庫)

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【本】素粒子物理学をつくった人びと 上・下

素粒子物理学をつくった人びと

原題:THE SECOND CREATION Makers of the revolution in 20th-Century Physics
著者:ロバート・P・クリース&チャールズ・C・マン
訳者:鎮目恭夫、林一、小原洋二、岡村浩
装画:いずもり・よう
装丁:守先正
出版:ハヤカワ文庫 ノンフィクション NF347/348 各¥1200、P525/P538
版数:初版2009/4
ISBN:978-4-15-050347-5/050348-2
初出:原著初版発行 1986年、翻訳版早川書店発行 1991年、原著改訂版(底本)1996年
入手:
読んだ日:2009/9/26
感想書いた日:2009/9/27

■内容(上巻カバーより)
広大な実験施設で大量のエネルギーを投入し、加速した粒子同士をぶつけて壊す。何のために?それh万物の成立ちの究極理論を実証するためだ。素粒子物理学と呼ばれ、数々のノーベル賞学者を輩出するこの学問は、20世紀初め、原子の構造の解明に頭を悩ませた学者が、波でも粒子でもある「量子」を発見したことから始まる……理論と実験の最先端でしのぎを削る天才たちの肉声で構成された、決定版20世紀物理学史(全2巻)

■感想
いやはや、なかなか読み応えありました。
実に面白かったです。
文庫本に拘わらず上下分冊それぞれ1200円となかなかのお値段ですが、買った甲斐がありました。
大学で物理を学んでいたにも拘わらず、素粒子論はいつも入り口で挫折をしてしまうのですが、本作は人々のエピソードが豊富で、理論についていけてなくなっても、楽しんで最後まで読めました。

アメリカ中心で、日本人の扱いがちいさいんじゃないって不満もなくもないですが、量子力学の誕生から弱電理論、標準模型、超弦理論へと素粒子物理の歩みを読みやすい形で提示してくれています。

上巻はボーア、ハイゼンベルグ、シュレディンガー、ディラックと慣れ親しんだ名前が出てきて、彼らの知らなかった一面が見られて実に面白かったです。
下巻はいよいよザ・素粒子論な話なので、出てくる人もあまりなじみがなかったのですが(ファインマンは別として)、こちらもみんな人間くさくていいですねぇ。

人間くさい物理学者がこの本にはつまっています。
試行錯誤し、間違ったアイデアにみんなで飛びつき、離れていきと…
そしてまた、理論と実験は科学の両輪なんだなぁとつくづく思いました。
理論で予想した結果を確かめるために実験する。
そして実験であらわれた現象を説明するために理論を作る。
こうして、素粒子論は前に前に進んできたのでした。
(でも、超弦理論など究極の統一理論は、現時点では実験では実証するすべがないそうな…うーん、こまったね。)

原著の初版が書かれたのは1986年とだいぶ前なのですが、今回の文庫化にあたり付録として、その後の素粒子物理の歩みも載っているのが親切です。

下巻は理論的な部分はぜんぜんついていけてなかったので、そのうち再読したいですね。
(といってしないのがいつものパターンですが…)

お薦めなんですが、ある程度、科学に対する素養がないと、読みにくいかもです。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆★
《薦》☆☆☆

■引用(P285 8ヒドラ退治(その1)から)

一九四八年三月三〇日の火曜日、第二回シェルターアイランド会議が開かれた。今度の会場はペンシルバニア州ポコノ・マナーのポコノ・マナー・インだった。前回の会議のメンバーの大部分が参加したが、新来者の中にニールス・ボーアがいた。今回の呼び物はジュリアン・シュウィンガーによる異例の五時間講演だった。ホテルのラウンジに置かれた携帯用黒板を方程式で埋めながら、彼は集まった物理学者たちに、量子電磁力学のめのくらむような完全な再構成を順々に示していった。それにより、あらゆる無限大は電子の観測される電荷と質量の中にくり込まれ、「裸」の質量と「裸」の電荷という概念と、それらに伴う電磁気的な付属物はすべて回避された。≪中略≫ その場にいた物理学者の一部は、シュウィンガーの駆使するきらびやかな数学的技術の列にアンビバレントな反応を示した。彼らは、彼の講演を、名演奏の極致だが、音楽よりは技術的な誇示、美しいが冷たい独唱曲と評した。彼が黒板に書いていったものの大半は、この理論にたどりついた道の記録に過ぎず、本当は物理ではない、と彼らは言った(シュウィンガーはそうは思わなかった)。とはいえ、居合わせた人は誰もが、自分は歴史的な場面に居るのだと感じた。新しい世代の物理学者がついに支配権を握った。ニールス・ボーアの眼前で、一人の若者――シュウィンガーはまだ三〇歳になったかならないか――が場の理論の正当性を立証し、量子電磁力学のくり込みに成功したのだった。

素粒子物理学をつくった人びと〈上〉 (ハヤカワ文庫NF―数理を愉しむシリーズ)

素粒子物理学をつくった人びと〈下〉 (ハヤカワ文庫NF―数理を愉しむシリーズ)

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2009年09月21日

【本】方丈記

方丈記

著者:鴨長明
校訂:山田孝雄
出版:岩波文庫 黄100-1 ¥100 P74
版数:初版1928/10、14刷改版1939/6、54刷1979/6
初出:鎌倉時代?
入手:古本
読んだ日:2009/9/20
感想書いた日:2009/9/21

■感想
今更、説明などはいらないと思いますが、なんとなく読んでみました。

岩波の古い版の古本で読んだので、注釈などはあまりなく、分からない部分も多々ありましたが、それでも頭の中で音読して読んでいくとリズムがよくて気持ちがいいですな。

ただ、内容は前半は当時続けざまに起きた厄災の様が描かれていて、ちょっと暗い気持ちになりました…
こりゃ、鴨長明の厭世観も納得。

およそ800年前に書かれたものですが、人の世の悩みは今と変わらないのですなぁ…

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆★
《薦》☆☆☆

現在の版はこちら↓
方丈記 (岩波文庫)
4003010019

投稿者 niimiya : 21:27 | コメント (0) | トラックバック

【本】放送禁止歌

放送禁止歌

著者:森達也
出版:光文社 も 2-1 ¥648 P256
版数:初版2003/6、11刷2005/4
ISBN:4-334-78225-6
初出:「放送禁止歌」解放出版社 2000/7刊行
入手:古本
読んだ日:2009/9/上旬
感想書いた日:2009/9/21

■内容(カバーより)
岡林信康『手紙』、赤い鳥『竹田の子守唄』、泉谷しげる『戦争小唄』、高田渡『自衛隊に入ろう』……。これらの歌は、なぜ放送さえなくなったのか?その「放送しない」判断の根拠は?規制したのは誰なのか?著者は、歌手、テレビ局、民放連、部落解放同盟へとインタビューを重ね、闇に消えた放送禁止歌の謎に迫った。感動の名著、待望の文庫化。

■感想
フジテレビの深夜枠で放映された30分のドキュメンタリー「放送禁止歌~唄っているのは誰?規制するのは誰?」のディレクターが、自ら番組を背景も含めて書籍化したものです。

結局、お上の規制なんてもんはなくて、「規制」の正体はテレビ/ラジオ局側の「事なかれ主義」に過ぎなかったという事を描き出しています。

本で読むからにはもう少し深掘りして欲しかった気もしますが、今まで知らなかった(知ろうとしなかった)ものに触れられました。

この本がもともとは解放出版社から出てたというのも興味深いところです。

元のドキュメンタリーが放映されたのは、10年前だそうですが、その後、テレビの世界はどうかわったのでしょうか?
ヨイトマケの唄はTVで聴けるようになったかもしれませんが、他のタブーはむしろ増えているような気もします…

それにしても、プロローグに書かれている岡林信康の「手紙」の歌詞は沁みる…(Youtubeで検索すると、このドキュメンタリーのエンドロールで流れているものが見つかります)

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆★

放送禁止歌 (知恵の森文庫)

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2009年08月30日

【本】官僚たちの夏

官僚たちの夏

著者:城山三郎
解説:神崎倫一
出版:新潮文庫 し 7 11 ¥360 P283
版数:初版1980/11、18刷1988/7
ISBN:4-10-113311-5
入手:古本屋20元(60円)
初出:週刊朝日連載「通産官僚たちの夏」。1975年単行本刊行(新潮社)
読んだ日:2009/8/13
感想書いた日:2009/8/26

■内容(カバーより)
「国家の経済政策は政財界の思惑や利害に左右されていはならない」という固い信念で通産行政を強引、着実に押し進め、次官への最短コースを疾走する“ミスター・通産省”風越信吾。高度成長政策が開始された60年代初めの時期に視点をすえ、通産省という巨大複雑な官僚機構の内側における、政策をめぐる政府・財界との闘いと、人事をめぐる官僚間の熱い闘いをダイナミックに捉える。

■感想
うちでは映らないのですが、ドラマで今やってる(やってた)みたいですね。
台北の古本屋でちょうど見つけたの読んでみました。
舞台は戦後から高度成長期にさしかかる日本。
通産省を舞台に、ばりばりワーカホリックな官僚達が、天下国家を思いながらも、政治家や産業界との駆け引きや、省内の軋轢などもありつつ暑い暑い夏を駆け抜けていくのですな。

主人公は大臣の前でも態度を変えない剛腕の風越。
彼も彼を慕う後輩たちも昼も夜もひたすら働くのですな。
彼らの対極にいる象徴的な存在として、あまり出番はないものの、残業はほどほど、趣味もたしなみ飄々と生きる片山という人物がでてきます。
最後のほうでこれからは彼のような人々の時代かななんて示唆もあったりしますが、どうも又聞きするところでは、今でもキャリア官僚の方々は深夜残業当然みたいな世界みたいですね。

その他の部分でも40年前の話にもかかわらず、今でもあまりかわってないなぁと思う部分は多かったです。

まぁ、時代背景はだいぶ違うので風越らがこだわっていた保護的な官僚主導政策は、今読むとだいぶ古く感じはしましたが。

しかし、現実に取材して描いた企業小説(本作は官庁が舞台ですが)は、展開が現実的ではあるのですが、物語的な起承転結はないので、読み終わったあと、ちょっと突き放されたような気分になりますね。
(読んでるときは手に汗を握ってるのですが…)
ま、そこが魅力のひとつでもあるのでしょう。

なお、出てくる大臣は実在の政治家をモデルにしてるみたいなんで、戦後政治に詳しい人はそれを想像して読むのも面白いかも。
池内、須藤、九鬼あたりは名前からすぐわかったけど。
田河は田中角栄、矢沢は宮澤喜一だったのか。
というか、官僚も含めて、みんなモデルがいるんすね。
Wikipedia

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆☆

官僚たちの夏 (新潮文庫)

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2009年08月08日

【本】経済ってそういうことだったのか会議

経済ってそういうことだったのか会議

著者:佐藤雅彦 竹中平蔵
出版:日本経済新聞社 日経ビジネス文庫さ4-1
版数:第1刷2002/9 第15刷2005/8
ISBN:4-532-19142-4
初出:日本経済新聞社 単行本刊行 2000/4
入手:古本(台北 永康街「地下街」)
読んだ日:2009/8/7
感想書いた日:2009/8/8

■内容(帯より)
あの竹中平蔵と、あの佐藤雅彦がこの地球の経済をやさしくするどく解き明かす、新・経済の入門書。

■目次
 第1章 お金の正体…貨幣と信用
 第2章 経済のあやしい主役…株の話
 第3章 払うか 取られるのか…税金の話
 第4章 なにがアメリカをそうさせる…アメリカ経済
 第5章 お金が国境をなくす…円・ドル・ユーロ
 第6章 強いアジア、弱いアジア…アジア経済の裏表
 第7章 いまを取るか、未来を取るか…投資と消費
 第8章 お金儲けはクリエイティブな仕事
 第9章 人間とは「労働力」なのか…労働と失業
 終章  競争か共存か
 会議を終えて
 会議 その後 

■感想
あぁ、経済ってそういうことだったのね。
どえらく今更のチョイスですが、最近古本屋で見つけたので買って見ました。
実にわかりやすくて、読みやすくいいですねぇ。

まぁ、読みやすすぎて、実は単行本が出た時点と、文庫本が出た時点でほとんどの章を立ち読みでよんじゃってたりもするのですが、改めて読んでみると、なかなか新しい発見がありますね。

詳しい人が読んだら「違う!」ってなとこもあるかもしれませんが、私のような素人には実に面白く読めました。

妙に湖池屋の話がよく例ででてくるなぁと思ったんだけど、よく考えたら、佐藤さんってポリンキーとかドンタコスのCM作った人か。
あのCM大好きでした。

デザインも秀逸。

経済ってわかったような…わかってないような…な人にはもれなくお勧め。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆☆
《薦》☆☆☆★

経済ってそういうことだったのか会議 (日経ビジネス人文庫)

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2009年08月02日

【本】劒岳 <点の記>

劒岳 <点の記>

著者:新田次郎(1912~1980)
装画:唐仁原教久
出版:文春文庫 に 1 34 ¥686 P407
版数:新装1刷2006/1 16刷2009/6
ISBN:4-16-711234-5
初出:1981/1単行本刊行
入手:新刊購入 石垣島のマックスバリューの並びの本屋
読んだ日:2009/7/26

■内容(カバーより)
日露戦争直後、前人未踏といわれ、また、決して登ってはいけない山と恐れられた北アルプス、劔岳山頂に三角点埋設の至上命令を受けた測量官、柴崎芳太郎、器材の運搬、悪天候、地元の反感など様々な困難と闘いながら柴崎の一行は山頂を目ざして進んでゆく。そして、設立間もない日本山岳会隊の影が。山岳小説の白眉といえる。

■感想
映画「劒岳」の原作。
普段は、映画化されたからといって原作読んでみようとかあんまり思わないのですが、これは興味をそそられまして、石垣島いったついでに買ってきました。
自分では山登りなぞとてもしようとは思わないのですが、山岳小説って結構好きなんですよね。
(まぁ好きと言えるほど読んでないのはいつものことですが…)

まぁよく知らないのですが、北アルプスに劔岳ちゅう険しい山があって、だれも登ってなかったんですわ。
とはいえ、Google Earthとかない当時のことなんで、地図をつくるために、測量のためにはいつかは登らないといけないわけなんですなぁ
そんなおりに日本山岳会なんて趣味登山の団体もできて、劔岳に食指をのばしちゃってるもんですから、参謀本部の陸地測量部さんとしては、「民間人に先を越されるわけにはイカン!」みたいなことになるんですな。

そんなわけで、本作の主人公の柴崎さんってのが、プレッシャーを受けながらも、地元のシェルパ(みたいな人)長次郎とともに頂上を目指すという、実話をもとにしたお話。

ただ、まぁ普通の山岳小説みたいに頂上へ頂上へってわけでもなくて、そこはあくまで目標は測量なわけで、そのあたりの仕事にむけてのストイックさがなかなかいい味をだしてるわけです。

山登りのシーンはわりとあっさり描写で、夢枕獏みたいに流れる汗が伝わるような感じではないのですが、三角測量のやり方などを丁寧に描いてて面白かったです。

実話を元にしているので、フィクションのような派手なサスペンスはないですが、それでもさまざまな葛藤の中で、劔岳を目指す主人公に感情移入して一気に読み終えてしまいました。

映画もぜひみてみたいですねぇ。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆☆

劒岳―点の記 (文春文庫 (に1-34))

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2009年07月25日

【本】ふらんす物語

ふらんす物語

著者:永井荷風
注解:三好行雄
解説:中村光夫
出版:新潮文庫 草69A ¥220 P248
版数:初版1951/7 18刷改版1968/11 29刷1974/9
初出:雑誌「新潮」「早稲田文学」ほか
入手:古本 ¥150
読んだ日:2009/7/13

■内容(カバーより)
フランスに来て初めて自分はフランス気候が如何に感覚的であるかを知った――。青年永井荷風が体験した「西洋」をつづったこの小品集は、その異国趣味と新鮮な近代感覚とで耽美派文学の源流となった。フランス渡航に先立ってアメリカ生活を送った荷風は、ヨーロッパをほとんどアメリカ人の眼で観察し、その独特な視野から西洋文化の伝統性と風土との微妙な調和を看破している。

■収録
船と車
ローン河のほとり
秋のちまた
蛇つかい
晩餐
祭りの夜がたり
霧の夜
おもかげ
再会
ひとり旅

巴里のわかれ
黄昏の地中海
ポートセット
新嘉坡の数時間
西班牙料理
橡の落葉
裸美人
恋人
夜半の舞踊
美味
ひるすぎ
舞姫

■感想
永井荷風って青年時代にフランスで1年ほどすごしているんですな。
で、帰ってきた後に発表したフランスを題材とした作品群がこの本。
もうほぼ全編から荷風のフランスへの愛が満ち溢れております。

そして、なにより描写が美しい!
普段は筋ばかり追ってて、文章を味わうなんてこと碌にしない私ですが、この本はスルメを食べるように、噛み締め噛み締め読みました。
成熟して時に退廃的なフランスの文化や風景が若き日の荷風の瑞々しい文章で描かれています。

アメリカからフランスに到着したところから始まり、最後にはついにフランスをさる場面がやってくるのですが、この時の惜別の想いが胸をうつのです。
今みたいに、その気になったらいつでもいけるという時代じゃないですから、今生の別れなわけですよ。

もう断然おすすめです。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆★
《薦》☆☆☆

■引用
P172 「巴里のわかれ」より

 朝日が早くもノートルダームの鐘楼に反射するのを見ながら、自分はとぼとぼとカルチェーラタンの宿屋に帰った。窓の幕を引き室中を暗くして、直様眠りに就こうとしたが、巴里に居るのもこの日一日と思えば、とても安々寝付かれるものではない。リュキザンブルの公園の森に勇ましく囀る夜明の小鳥の声とソルボンの時計台から鳴る鐘の音が聞える。市場(アール)に行くらしい重い荷車の音が遠くに響く。
 自分は寝台の上から仰向きに天井を眺めて、自分は何故一生涯巴里に居られないのであろう。何故仏蘭西に生まれなかったのであろうと、自分の運命を憤るよりははかなく思うのであった。自分には巴里で死んだハイネルやツルゲネフやショーパンなどの身の上が不幸であったとはどうしても思えない。とにかくあの人たちは駐まろうと思った芸術の首都に生涯滞在し得た芸術家ではないか。自分はバイロンの如く祖国の山河を罵って一度は勇ましく異郷に旅立ちはしたものの、生活という単純な問題、金銭という俗な煩いの為に、迷った犬のように、すごすご、おめおめ、旧の古巣に帰って行かねばならぬ。ああ何と云う意気地のない身の上であろう。

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2009年06月29日

【本】家出のすすめ

家出のすすめ

著者:寺山修司
装画:林 静一
解説:竹内 健
出版:角川文庫 て 1-1 ¥420 P230
版数:初版1972/3 58刷2001/8
ISBN:4-04-131502-6
初出:新聞連載(1962頃)
入手:古本
読んだ日:2009/6/27

■内容(カバーより)
「書を捨て、街に出よう」――若者の未来の自由は、親を切り捨て、古い家族関係を崩すことから始まる――。愛情過多の父母、精神的に乳離れできない子にとって、本当に必要なことは何なのか?「家出のすすめ」「悪徳のすすめ」「反俗のすすめ」「自立のすすめ」と4章にわたって現代の矛盾を鋭く告発する現代の青春論。

■感想
中学の時に学校の図書室で「地獄変」という怪しげな詩集に出会ってから、私はこの寺山修司という人が好きになってしまいました。
以来、古本屋で見かけるたびに買い求めて、わりと読んできたつもりなのですが、基本中の基本、デビュー作にして代表作の本作は今まで読んだことなかったのです。
先日(といっても去年)、ついに古本屋で出会ったので、これを機に今更、読んでみました。
絶版本じゃあるまいし、新刊で買えよというつっこみは冷静なツッコミは無用です。

「処女作にその作家のすべてが現れる」ってな批評・感想に便利な言葉がありますが、この本でも彼の生涯を通してのテーマの一つとなった、自立・親離れ(母離れ)が述べられているのです。
まぁこの本が処女作がどうかしらなかったりもするんですが…(オイオイ)

しかしこの本書いたの27才の時だってねぇ…
今の私よりだいぶ若いのに完成度がすごいなぁ。
やっぱり大好きな人ですわ。

もう半世紀近く前に書かれた本なんで、時代の差は感じるものの、「今の時代でも、いや今の時代だからこそ若い人に読んで欲しい」などとベタなことも思ったりもしました。

また、劇作家、詩人として知られた作者ですが、興味のある人はこの本あたりから入っていくのもいいのではないでしょうか。


■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆★
《薦》☆☆☆

■引用
(P49 「家出のすすめ」より)
 つまり、わたしがさきにあげたように、自分の「持っているもの」などというのは、たんに自分が管理している、というだけのことであって……しかも、そのことだけを比較するならば、誰も博物館の番人ほどにはたくさんのものを「持つ」ことはできないでしょう。
 けちくさい所有の単位とし「家」を考えるくらいなら、「家」などは捨てた方がよい。死体置場の番人になるくらいなら、街の群衆全体を「所有」する方が、はるかに人生に参加する意味がある。
 問題は、むしろ、「家」の外にどれだけ多くのものを「持つ」ことができるかによってその人の詩人としての天性がきまるのであり、新しい価値を生みだせるのだ……と知ることです。


(P77「家出のすすめ」より)
 家出の実践は、政治的な解放のリミットを越えたところでの、自立と自我の最初の里程標をしるすことになるでしょう。親との対話という名での、血的遺産のリレーを中断し、むしろ親とも「友情」を持てるような互角の関係を生みだすためには、幸福な家庭も捨てなければならないのです。自分ひとりでも歩かねばならない――むしろ、自分ひとりでこそ。わたしは、よく高群逸枝とう老詩人の望郷子守唄を思い出すが、それはこんな歌でした。

 風じゃこざらぬ汽笛でござる
 汽笛鳴るなよ 思い出す

 おどんがこまか時や寄田の家で
 朝も早から汽笛見てた

 汽車は一番汽車 八代くだり
 乗って行きたいあの汽車に

 望郷の歌をうたうことができるのは、故郷を捨てた者だけである。そして、母情をうたうこともまた、同じではないでしょうか?


家出のすすめ (角川文庫)
表紙変わった模様。
前のやつは林静一の絵がめちゃよかったのに…

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2009年06月28日

【本】シャングリ・ラ

シャングリ・ラ

著者:池上永一
装丁:デザイン:大久保伸子、Photo:The Bridgeman Art Library/AFLO
解説:筒井康隆
出版:角川文庫 
    上巻 い 51-4 ¥743 P502
    下巻 い 51-5 ¥743 P508
版数:上巻 2008/10初版、下巻2008/10初版
ISBN:上巻 ISBN978-4-04-364704-7、下巻ISBN978-4-04-364705-7
初出:単行本 角川書店 2005/9刊行
入手:新刊購入 紀伊国屋@台北
読んだ日:2009/6/27

■内容(カバーより)
加速する地球温暖化を阻止するため、都市を超高層建造物アトラスへ移して地上を森林化する東京。しかし、そこに生まれたのは理想郷ではなかった!CO2を削減するために、世界は炭素経済へ移行。炭素を吸収削減することで利益を生み出すようになった。一方で、森林化により東京は難民が続出。政府に対する不満が噴き出していた。少年院から戻った反政府ゲリラの総統・北条國子は、格差社会の打破のために立ち上がった。

■感想
裏カバーの内容紹介と装丁(ブリューゲルのバベルの塔)を見て、骨太な近未来SFかと思って買ったのですが、今風なのりのドンパチドタバタ活劇でしたね。
ブーメランをもった女子高生が主人公で、オカマさんやら、マッドサイエンティストな女医やらが、入り交じって戦って、関係ない人は死にまくりって感じ。
漫画でいうとブラックラグーンみたいなトリガーハッピー感。
まぁ重くてまじめなのが偉くて、軽いドタバタが偉くないってこともないので、別にこれはこれでいいんですが…
だったら表紙はもっとアニメ調の絵で登場人物書くとか、中身がわかりやすくしてほしかったなぁ。
まぁ作者のせいじゃないけど…

こういう話は、好きな人にはいいだろうけど、私みたいな脳内映像化が苦手なタイプには、展開が追えなくてつかれちゃいますな。
でも、それなりに引き込まれて一気に読み終えたりはしましたが…
漫画やアニメ向きな話っすね。(と思ったら、すでに漫画にもアニメにもなってる様子っす)

来るべき世界の話かとおもってたら、土台はなんか帝都物語みたいで目新しさがなかった。
あと、やたらギリシャ神話から名前もってくるのも、今時はチープに感じてしまうよのよぉ。
でも、そのわりにタイトルはシャングリ・ラなんだよなぁ…
表紙の絵はバベルの塔やし…

炭素経済が実質経済からはずれて暴走していくとことかは面白かったね、実際そんな感じになりそうな気配もあるしねぇ。

筒井康隆が解説書いてるんだけど、本作よりも次作「テンペスト」を持ち上げてて笑った。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆
《薦》☆☆

シャングリ・ラ 上 (角川文庫)

シャングリ・ラ 下 (角川文庫)

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2009年06月23日

【本】猫のいる日々

猫のいる日々

著者:大佛次郎(おさらぎじろう)
出版:六興出版 ¥1000
版数:初版1978/9 6刷1987/5
ISBN:4-8453-7023-9
入手:実家蔵書(祖父蔵書?)
読んだ日:2009/1/30

■感想
恥ずかしい話、大佛次郎って歴史小説の大家のわりに「だいぶつじゃないよ」ってくらいしか知らなかったりします。
著作も小学校のころに鞍馬天狗を1~2冊読んだくらい。
それもいまとなっては本作だったかどうかも記憶があやしい…
で、大人になってからの初大佛なわけですが、これが時代小説ではなく猫にまつわるエッセイ。
実家に転がってもんで…、猫好きとしてはほっておけんかと。

しかし、この人もえらい猫好きだったんですなぁ。
同じ猫好きといっても、内田百閒みたいに一匹の猫をとことん耽溺するのではなくて、大佛夫妻はもう来る者拒まずで、家中猫だらけ。

百閒先生と較べると個々の猫への思い入れは薄いなぁとは思うけど、これはこれですごい猫愛よのぉ…
しかも大佛次郎本人より奥様のほうが上手の猫好きっぽくていいですわ。
鎌倉のご自宅で猫に邪魔されながら、彼らの食い扶持を稼ぐために執筆活動に没頭する大佛氏を想像するとなんか楽しくなってきますな。

これを機会にひとつ彼の歴史物も読んでみようと思いましたわ。
はい。

猫好きは本屋や古本屋で見かけたら手に取ってみてくださいな。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆★

猫のいる日々 (徳間文庫)
猫のいる日々 (徳間文庫)
(私が読んだのは六興出版のでしたが絶版のようなので)

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2009年05月24日

【本】ネクロポリス 上・下

ネクロポリス 上・下

著者:恩田陸
装画:藤田新策
装丁:鈴木成一デザイン室
解説:萩尾望都
出版:朝日文庫 お 60-1/2
版数:上下とも 初版2009/1
ISBN:978-4-02-264469-5/264470-1
入手:新刊購入(茅ヶ崎 長谷川書店)
読んだ日:2009/5/10

■内容(上巻カバーより)
懐かしい故人と再会できる場所「アナザー・ヒル」。ジュンは文化人類学の研究のために来たが、多くの人々の目的は死者から「血塗れジャック」事件の犯人を聞きだすことだった。ところがジュンの目の前に鳥居に吊るされた死体が現れる。これは何かの警告か。ジュンは犯人捜しに巻き込まれていく―。

■感想
最初はちょっとぼんやりとした設定説明が多くて、なかなかはいりこめなかったですが、上巻の途中くらいから引き込まれてきました。
しかし、終わってみると…うーん、なんだったん?という感じは否めず。
謎解き小説なのかとおもったら、後半冒険的になりかけて、尻すぼみ…実に残念…
折角、時間かけて、架空のアナザーヒルを描いてきたんだから、もうちょっと大事にしてあげてもよかったような…
今作は単に「鋼鉄都市」みたいに、異世界での謎解き推理小説にしておいて、自作からその世界そのものの謎にせまるようにしておけばいいのに。

「血塗れジャック」って語呂の悪いネーミングセンスもどうかと思うしなぁ…

といいつつ、読んでるときはおもしろくて、一気によんでしまいましたわ。

後半の展開の評価はわかれるとは思いますが、ちょっと長めだけど読みやすい本など探してる方はどーぞ。

カバーのデザインはかなり好き。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆★
《薦》☆☆


ネクロポリス 上 (朝日文庫)

ネクロポリス 下 (朝日文庫)

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【本】愚か者死すべし

愚か者死すべし

著者:原尞
出版:ハヤカワ文庫 JA912
版数:初版2007/12
ISBN:978-4-15-030912-1
入手:新刊購入(茅ヶ崎 長谷川書店)
読んだ日:2009/5/3

■内容(カバーより)
大晦日の朝、私立探偵・沢崎のもとを見知らぬ若い女、伊吹啓子が訪れた。銀行強盗を自首した父の無実を証明してほしいという。彼女を父親が拘留されている新宿署に送り届けた沢崎は、狙撃事件に遭遇してしまう。二発の銃声が轟き、一発は護送されていた啓子の父親に、もう一発は彼を庇おうとした刑事に命中した! 9年もの歳月をかけて完成した、新・沢崎シリーズ第一弾。巻末に書き下ろし掌篇「帰ってきた男」を収録。

■感想
いっつのまにか1年以上も前に出てたんだなぁ、沢崎シリーズの新刊…
日本のハードボイルドものってたいして読んではないのですが、その中では文句なしに原尞の沢崎シリーズがいっちゃん好きですわ。
しかし、惜しむらくは、やたら寡作家なんですよねぇ…
前作から、えーっと、10年くらいはたっとるんかねぇ
すっかり内容も、その存在もわすれていましたが、ふと立ち寄った本屋で最新作をみつけてしまいましたよ。
いやぁうれしいねぇ。

買ったその日のうちに読んでしまいましたよ。
今作はちょっと展開はありがちではあったけど、雰囲気やセリフまわしは相変わらずでいいっすね。

その後も、あいかわず続刊でてないみたいですが、気長に待ちますか。

未読の人はシリーズ第一作「私が殺した少女」からどうぞ。大傑作っす。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆★
《薦》☆☆☆

愚か者死すべし

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【本】世界ケンカ旅

世界ケンカ旅

著者:大山倍達
装画:生賴範義
装丁:矢島高光
解説:平岡正明
出版:徳間文庫 お 11-1 ¥476 P209
版数:初版1985/3 12刷2008/3
ISBN:978-4-19-597822-1
初出:1968/11 KKベストセラーズより刊行
入手:新刊購入(成田空港TSUTAYA)
読んだ日:2009/5/6

■内容(カバーより)
 一九五二年、シカゴでの初リング以来、剛腕、怪力、凄腕の外人ファイターと数多くの死闘を演じてきた極真空手・大山倍達。香港の陳老人の円月殺法に教えられ、ボルネオで見た魚取りの少年の足技からついに必殺技『三段蹴り』を完成。空手の父として極真空手を世界に拡めた。
 本書は、空手一筋に生きてきた大山倍達の“男のためのケンカ術”である。その心構え攻撃法など絶好の参考書。

■感想
空港のTUTAYAでふと見つけて、思わず買ってしまった。
たわいもない内容だけど、飛行機の中で読むにはちょうどよかったかな。
極真空手を世界中に普及させたマス・オーヤマこと、大山倍達がアメリカいってはギャングにかこまれたり、ブラジルではナイフ使いと戦ったり、香港では拳法達人に弟子入りしたりとそういうお話。
で、各地での美女との出逢いや別れもふくめて赤裸々に書いてあります。
正直、どこまで本当なの?って気もしなくもないけど、そんなことを気にしながら読む本じゃなくて、「ワハハ、すげーな、マス・オーヤマ」って笑いながら読む本なんだろうな。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆
《薦》☆☆

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2009年04月21日

【本】白の鳥と黒の鳥

白の鳥と黒の鳥

著者:いしいしんじ
装画:池田進吾
解説:春日武彦
出版:角川文庫 P231 ¥476
版数:初版1998/11
ISBN:978-4-04-391801-0
初出:単行本刊行 角川書店 2005/1
入手:新刊購入
読んだ日:2009/4/19

■内容(カバーより)
たとえば某日。ねじまわしに導かれ、太ったひとばかりが住む村に行く。某夜、上野の立飲み屋台で国民作曲家のよた話をきく。またある日、謎の珍味“こぎゅんぱ”に随喜し、獰猛な巨大モミジをみんなで狩りに行く――いしいしんじが聴き取った、ちょっと奇妙な世界の消息をお届けします。生きていることの不思議さと不気味さ、そして愛しさがくるくるときらめく、万華鏡のようなショート・ストーリー集。

■収録
肉屋おうむ
しろねずみ
せみ子の黄色い傘
カラタチとブルーベル
薄い金髪のジェーン
オールド・ブラック・フォスター
赤と青の双子
魔法のリコーダー
紫の化粧
紅葉狩り顛末
すげ替えられた顔色
ボウリングピンの立つ所
緑春
私の千食一夜
白黒の鳥の声
おっとせいを飼う
薄桃色の猫たち

■感想
カバーの紹介文にもあるように、「不思議さ」と「不気味さ」のいりまじった短編集です。

稲垣足穂みたいにもそっと不思議側に倒れたほうが、私にはドンピシャだったかな。
そういう意味では収録作のうち「緑春」や「透明に関する四つの小話」などはよかったです。
逆に「赤と青の双子」とか「薄桃色の猫たち」などの不気味系はちょっと苦手だな。

別の本が出たら、すぐ買いに行くか?と聞かれれば行きませんが、電車の待ち時間に駅の本屋をぶらついてるときに見かけたら買ってしまいそうな感じっす。
うーん、わかりにくい。

ただ、はまる人はめちゃはまりそうな気はします。
でも、この本より長編だけど「ぶらんこのり」から入ったほうが入りやすいかも。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆★
《薦》☆☆★

白の鳥と黒の鳥 (角川文庫)

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2009年04月18日

【本】鴨川ホルモー

鴨川ホルモー

著者:万城目学
装画:石居麻耶
装丁:岩瀬聡
解説:金原瑞人
出版:角川文庫 ま 28-1 ¥514 P294
版数:初版2009/2
ISBN:978-4-04-393901-5
初出:単行本 産業編集センター刊行 2006/4
入手:新刊購入(台北 紀伊国屋 微風店)
読んだ日:2009/4/5

■内容(カバーより)
このごろ都にはやれるもの、勧誘、貧乏、一目ぼれ、葵祭の帰り道、ふと渡されたビラ一枚。腹を空かせた新入生、文句に誘われノコノコと、出向いた先で見たものは、世にも華麗な女(鼻)でした。このごろ都にはやるもの、協定、合戦、片思い。祇園祭の宵山に、待ち構えるは、いざ「ホルモー」。「ホルモン」ではない、是れ「ホルモー」。戦いのときは訪れて、大路小路にときの声。恋に、戦に、チョンマゲに、若者たちは闊歩して、魑魅魍魎は跋扈する。京都の街に巻き起こる、疾風怒濤の狂乱絵巻。都大路に鳴り響く、伝説誕生のファンファーレ。前代未聞の娯楽大作、碁盤の目をした夢芝居。「鴨川ホルモー」ここにあり!!

■感想
「ホルモー」という競技をのぞけばとりたて特別なことはない青春小説なわけですな。
青春小説というジャンルがあるのかどうかは知らないのですが、普段そういう類の小説はさっぱり読まないので、この本の「青春」部分がいかほど優れているかというところはひとつよくわからなかったりします。
まぁ変わった主人公に、これまた変わった友達がいて、変わったヒロインが出てくるわけですな。
どうでしょうか、それなりに楽しめたようなきもしますが、もう少し前半から盛り上がってくれるとよかったかもねぇ。

はてさて、「ホルモー」についてなんですが、これはあれかね、鬼をつかった「ボコスカウォーズ」みたいなもんっすかね。
はたまたピグミン?(やったことないのでCMで見たイメージのみでそう思いました)

私はどうも想像力が貧困なもので、あんまり架空の競技の描写をされても、イマイチおもしろさがわからなかったりするんですわ。
そういう意味では、先にもうすぐ公開という映画をみてから読んだ方がよかったかもなぁ

先日読んだ「夜は短し歩けよ乙女」と同じく、京都を舞台にしているのですが、「夜は~」の方が(虚構も交えつつ)上手に舞台をつかっていたような気もします。
較べるもんでもないですが。

表紙はいいですな。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆★
《薦》☆☆☆

鴨川ホルモー (角川文庫)

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2009年03月28日

【本】夜は短し歩けよ乙女

夜は短し歩けよ乙女

著者:森見登美彦
装画:中村祐介
装丁:高柳雅人
解説:羽海野チカ(はちみつとクローバー)
出版:角川文庫も19-2 P320 ¥552
版数:初版2008/12 再版2009/1
ISBN:978-4-04-387802-4
初出:2006/11単行本刊行(角川書店)
入手:新刊購入
読んだ日:2009/1/29

■内容(カバーより)
「黒髪の乙女」にひそかに想いを寄せる「先輩」は、夜の先斗町に、下鴨神社の古本市に、大学の学園祭に、彼女の姿を追い求めた。けれど先輩の想いに気づかない彼女は、頻発する“偶然の出逢い”にも「奇遇ですねえ!」と言うばかり。そんな2人を待ち受けるのは、個性溢れる曲者たちと珍事件の数々だった。山本周五郎賞を受賞し、本屋大賞2位にも選ばれた、キュートでポップな恋愛ファンタジーの傑作!

■感想
京都にいくときに駅で買って、京都のホテルで読んだんです。
ちょっとオタクっぽい内容で、最初ついていけてなかったんですが…
章を進むうちに結構はまっていってる自分に気づきましたわ。
現実と幻想がごっちゃになって展開するスラップスティックラブコメディっぷりは、マンガっぽいなと思いましたよ。(けっして小説である必要ないという意味ではなくて)。
しかし京都ってのは、現代の小説でも、なかなか舞台になるもんですな。
続編もありそうですが、読んでみたいと思わされました。
好き嫌いわかれる気もしますが、マンガ好きと京都好きにはおすすめかな。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆☆

夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫)

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【本】蒸発した男

蒸発した男

原題:THE MAN WHO WENT UP IN SMOKE
著者:マイ・シューヴァル&ペール・ヴァールー
訳者:高見浩
装画:日暮修一
出版:角川文庫 赤520-5 ¥380 P
版数:初版1977/5 6刷1984/4
ISBN:4-04-252005-7
初出:原著刊行1966年
読んだ日:2009/1/25

■内容(カバーより)
 取材でハンガリーを訪れたルポ・ライター、アルフ・マトソンは、そのまま消息を絶ってしまった。ハンガリーを出国した形跡もない。
 この失踪事件が表沙汰になれば、両国の関係にひびが入りかねない。単身ブダペストに飛び、マトソン蒸発の真相を探るのが、マルティン・ベックに課せられた使命だった。(以下略)

■感想
マルティン・ベック シリーズ第2弾
前作はオーソドックスな警察小説でしたが、本作はやや国際的そしてミステリーらしいトリックも盛り込まれてます。でも、最後は社会派なのだな。
休暇から呼び出されちゃったベックさんはハンガリーに出張です。
その地で消えたジャーナリストを捜し出さなければならないのです。
共産圏の異国の地で、謎のヤングガールに誘惑されながらも、一人孤軍奮闘なベックさん。

そして最後はいつものように切ない結末。

このシリーズ、やっぱ、おもしろいわ。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆★
《薦》☆☆☆

蒸発した男 (角川文庫 赤 シ 3-2)

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【本】シャドー81

シャドー81

原題:SHADOW 81
著者:ルシアン・ネイハム (Lucien Nahum)
訳者:中村圭二
装丁:ハヤカワ・デザイン 写真:Yasuhide Fumoto/Getty Image
出版:ハヤカワ文庫 NV1180 ¥1000 P491
版数:初版2008/9
ISBN:978-4-15-041180
初出:原著刊行1975年、新潮文庫1977/4
入手:新刊購入
読んだ日:2008/11/30

■内容(カバーより)
ロサンゼルスからハワイに向かう747ジャンボ旅客機が無線で驚くべ通告を受けた。たった今、この旅客機が乗っ取られたというのだ。犯人は最新鋭戦闘爆撃機のパイロット。だがその機は旅客機の死角に入り、決して姿を見せなかった。犯人は二百余名の人名と引き換えに巨額の金塊を要求、地上にいる仲間と連携し、政府や軍、FBIを翻弄する。斬新な犯人像と周到にして大胆な計画――冒険小説に新たな地平を切り拓いた名作

■感想
機体の外からハイジャックってのはアイデアっすな。
準備段階から緻密に描写するスタイルは読ませますな。

残りページも少なくなってきて、ここから事件はどう解決するのかと思ってたら…
なんと、そうきましたか。

ちょっと、それでいいの??って思わないこともないエンディングですが、それもあの時代をならではなんですかねぇ

ネタバレしないように書いたら、なんかさっぱりわからん感想になってしまった…

まぁ復刊されるだけあって、なかなか面白いので読んでみてくださいな。

あと、表紙がいかすね。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆☆

シャドー81 (ハヤカワ文庫NV)

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【本】嵐の眼

嵐の眼

原題:EYE OF THE STORM
著者:ジャック・ヒギンズ (Jack Higgins)
訳者:黒原敏行
装画:生頼範義
出版:ハヤカワ文庫 NV852 初版1997/10 P386 ¥720
版数:初版1997/10
ISBN:4-15-040852-1
読んだ日:2009/3/28

■内容(カバーより)
狙いは英国首相官邸――! 湾岸戦争のさなか、西欧に力を誇示しようとするイラクのフセイン大統領の指嗾によって、希代の国際テロリストが動きだした。ショーン・ディロン、演技と変装の名人で元IRA闘志。いっぽう、危険を察知した英国国防情報部は、かつてIRAに属していた大学教授マーティン・ブロスナンに協力を求めた。因縁ある二人の男に対決の時が迫る!現実に起きた官邸迫撃事件をもとに描く冒険アクション

■感想
湾岸戦争の直前、イラクの富豪の依頼で、イギリス官邸を狙う元IRA闘志と、それを阻止しようとするこれまた元IRA闘志。という、いかにもジャック・ヒギンズらしい話。
(まぁ「鷲は舞い降りた」くらいしか読んだことないんだけど…)

まぁ多少手に汗にぎらないこともないですが…目新しさもない話なんで、「ヒギンス大好き!」って人向けの本かな…

肝心の官邸迫撃のシーンがやけにあっさりと失敗するんですが、どうもその部分は実際にあった事件のようですね。

いかにもな敵役の変装の名人ショーン・ディロンですが、1作で捨てるのがもったいなくなったのか、このあと主人公に転身して何作か書かれてるらしいです。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆
《薦》☆☆

嵐の眼 (ハヤカワ文庫 NV (852))

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2009年03月17日

【本】方法序説

方法序説

原題:DISCOURS DE LA METHODE
著者:デカルト
訳者:落合太郎
出版:岩波文庫 青613-1
版数:初1953/8 改1967/3 41刷1985/8
入手:祖父蔵書(1985/11/5購入)

読んだ日:2009/1/30

■内容(カバーより)
理性はすべての人間に平等に備わっており、正しく用いれば人は誰でも自分の精神を最高の点まで高め得るという『方法序説』の言葉は、中世的迷妄主義からの独立宣言であり、近代精神の確立を告げる画期的なものであった。徹底的な疑いを通じて確実な真理に迫ろうとしたデカルト(1596-1650)の体験と思索が集約された思想的自叙伝。

■感想
タイトルからの連想で、デカルト版の考え方ハウツー本みたいなんかと、勝手に思い込んでましたが、そうでもなかったっす。

自分の考え方をちょっと説明させてもらいます、でも、別に強制するわけじゃなくて、あくまで、えーっと、なんか私が教会にたいして不遜な考え方をしてるんじゃないかって人もいるので、でも、そんなことはなくてですねぇ…

ってな本なんだな。

もそっと、ちゃんとした本だそうとしてたみたいなんだけど、ガリレオさんが破門されちゃったもんで、どうも奥歯にものの挟まったような表現のこの本が出たのかな。

とはいえ、デカルトの考え方は提示されております。

いろいろ信じちゃってるものはいろいろあるけど、ここで根拠のないもんは全部いったん否定してゼロベースで考え方を構築しようじゃないか!
ということで、やってみました。
どんどん否定してったら、そう考えてる自分は否定できんじゃないか。
(ここで、自分すら疑っちゃうと懐疑主義になるのかな?違う?)
よっしゃ、まずはそこを肯定してみて、そっから再構築だっ!ってことなんだよね、きっと。
これがかの有名な「我思う故に我あり」なんですな。
ま、そんなことはWikipediaのデカルトの項目を読めばもっとわかりやすく書いてあったりするんですが、わざわざ本を読むと当時の雰囲気が伝わってくるのがいいですな。
近代思想の夜明けの時期、まだまだ好きなことをなんでも言える時代ではなかったのでしょうね。

そして、彼の考え方の延長線上に今日の科学的な思考もあると思うのですよね。
なので、ここで全理系諸君、デカルト先輩に最敬礼しておきましょう。

デカルトは敬虔なクリスチャンだったんですな。
神の存在を見事に論理的に述べてくれるのですが、ちょっと途中からついていけなくった…

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆★

方法序説 (岩波文庫)

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2009年03月03日

【本】ロゼアンナ

ロゼアンナ

原題:ROSEANNA
著者:マイ・シューヴァル/ペール・ヴァールー
訳者:高見浩
装画:日暮修一
出版:角川文庫 赤520 4
版数:初版1975/3 12版1985/4
読んだ日:2009/1/?

■内容(内カバーより)
 さんさんと照る夏の日の午後、うら若い女性の死体が、遊覧船の行きかう運河から上った。
 何一つ身にまとわぬ無惨な姿。被害者の身元は?犯行現場は?容疑者は?綿密な聞き込みと手配にも拘わらず、僅かな手掛りもなく時は過ぎていく。やがて事件発生後三ヶ月、憔悴したマルティン・ベックの下に一通の電報が届く。“名前はロゼアンナ。アメリカ人……”。遙か海を隔てたアメリカ人刑事の協力を得て、マルティン・ベックは被害者の異常な性格が自ら死を招いたことを知る。”ミステリー界に君臨するキングとクィーン”と評されるヴァールー=シューヴァル夫妻のデビュー作。

■感想
ヴァールー&シューヴァル夫妻のマルティン・ベックシリーズの1作目。

読んだのは四作目の「笑う警官」のほうが読んだのは先だったんですが、遅ればせながら、最初の話を読んでみました。

運河で若い女性の死体があがるのですが、いくらたっても彼女が誰なのかの手がかりが得られない…という始まりのお話。

「笑う警官」同様こちらもおもしろかったです。
やるせない読後感もいいっ。

やはり、私には探偵小説より警察小説のが趣味にあう気がするなぁ。
エド・マクベインの72分署とかも読み出してやろうかなぁ

あぁ…「笑う警官」で悲しくスポットライトがあたるステンストルム君が、ちょい役で出てきてるでないですか…

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆★
《薦》☆☆☆

■引用(P368より)
 小刻みに揺れ動く白い霧の中を、マルティン・ベックは肩を丸め、口笛を吹き吹き地下鉄の駅めざして歩いていった。彼を見やる人々が、そのとき彼の心中にあった思いを知ったなら、さぞかし驚いたにちがいない。
 さあマルティン・ベックのお帰りだぞ、と彼は胸の中でつぶやいていたのである。帽子には雪が積み、おれは歌をうたい、よろけながら歩いていく!元気かね、きょうだいや友人たち、足の下で雪が鳴る、冬の夜をおれは歩いていく。元気かね、人間たち。さあ電話をかけてストックホムの南に帰ろうじゃないか!地下鉄に乗って、おれの住むバガモッセンに。
 彼は家路についた。

ロゼアンナ (角川文庫 赤 520-4)

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2009年02月25日

【本】革命戦争回顧録

革命戦争回顧録

原題:Reminiscences of the Cuban Revolutionary War(英語版)
著者:チェ・ゲバラ
訳者:平岡緑
装丁:中央公論新社デザイン室
解説:伊高浩昭
出版:中公文庫 ケ 3 2 895円 P420
版数:初2008/2 再2008/12
ISBN:978-4-12-204981-9
初出:Pasajes de la Guerra Revolucionarra
入手:新刊
読んだ日:2009/2/7

■内容(カバーより)
カストロとの運命的な出逢いからキューバ革命を達成するまでを回想する。困難を乗り越えて、状況分析、人心掌握の才を発揮する軌跡を克明に描く。本書はゲバラ本人による加筆訂正を反映した二部構成の決定版。過去の戦いを追想する一方で思慮深い政治的分析を加えている。生誕80年を記念し訳し下ろし。

■収録
編集ノート
エルネスト・ゲバラの伝記覚書
序文 アレイダ・ゲバラ
第一部 キューバ革命戦争回顧録
第二部 キューバ革命戦争について
小事典
訳者あとがき
解説 伊高浩昭
関連写真

■感想
先頃、日本でも公開された映画(Che)の前編(Part1)の原作にあたります。
ボリビア時代の日記(ゲバラ日記 Part2の原作)は読んだことあったのですが、キューバ革命について書いた本書は気になりつつも未読でした。
今回、映画の公開にあわせて新訳版が書店にならんでいたので買ってみました。
新訳というだけあって、平易な文で読みやすかったです。
なれないラテン系の人の名前がいっぱいでてきて、混乱しっぱなしなところは、ゲバラ日記と一緒なんですが…
なかなか面白かったですが、やはりゲバラ日記のほうが結末が結末だけに印象は深いですな。

グランマ号でのキューバ上陸から、革命戦争の勝利までを当時の日記をもとに記しているのですが、前半の試練の時期について筆を多く費やし、映画ではクライマックスとなるバチスタ軍を倒すあたりは実にあっさりとしか触れていません。
このあたり、ゲバラが革命の課程のどこを重要視していたかが現れているようで面白いですね。

革命というとかく誇大的、喧伝的になりがちなものを、虚栄心を捨ててできるだけ正確に記そうとしているところが理想主義者のゲバラらしくて好感が持てます。
映画版ではあっさりとしか取り上げられなかった、革命の暗い部分、処刑/粛正/内部闘争/誤爆についても、詳細とは言わないまでも、隠すことなくとりあげていました。(子犬のエピソードとても切ない…)

その粛正や内部闘争の部分を読みながら、ふと、同じく武力闘争で革命を勝ち取ろうとしながら、自滅の道を選んだ連合赤軍のことを考えました。
南米と日本では社会の状況がまるっきり違うので単純に比較などもちろんできないのですが、何が彼らとカストロ/ゲバラ達との違いだったのだろうかと。
民衆からの乖離といえば簡単かもしれないけど、後のボリビア時代のゲバラ一行も同様な状況にありながら力のベクトルはつねに外(政府軍)に向かっていたのに対して、連合赤軍がどうして内ゲバ殺人という内のベクトルをもってしまったのかな。
うむむ。

それにしても、本書からも伝わってくる、この人の人間的な魅力は大きいですね。
理想主義で、高潔で、男前で、ジャングルの中でも葉巻と文学を愛し続けた男。
ぬるま湯日本で育った私には、彼が選んだ武力による革命はどうしても肯定できないのですが、それでも人として惹かれてしまいますよ。
世界中の若者達に現在でも支持され続けているのも頷けます。

映画を見る前に読み終わりたかったのですが、結局、読んでる途中に見てしまいました。
まぁそれでも多少はわかりやすかったかな。

なお、映画を見る前に読んどいた方が、映画はわかりやすいでしょう。
でも、本を読む前に映画を見といた方が、本はわかりやすいでしょう。
当たり前だっちゅうの。

これから映画を見ようとしている人、映画を見たけどよくわからなかった人、もれなく読もう。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆☆

革命戦争回顧録 (中公文庫)

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2009年01月18日

【本】スペース・オペラの読み方

スペース・オペラの読み方

著者:野田昌宏(のだ まさひろ)
装画:加藤直之
出版:ハヤカワ文庫 JA ノ 1 26 P446 ¥840
版数:初版2008/8
ISBN:978-4-15-030932-9
初出:1994/5 早川書房刊行『愛しのワンダーランド』
入手:新刊(アマゾン)
読んだ日:2008/12/7

■内容(カバーより)
稀代の“スペオペ大王”にして伝道師が、SF作家志望者のためにSF黄金時代の必読書を紹介するブックガイド。また、海外書籍の入手に奮闘した、日本SF黎明期の想像を絶する爆笑話や落涙必至の感動エピソードも多数収録した。「作品そのものより、野田氏のストーリー紹介のほうが面白い」とまで噂された、野田節全開の痛快エッセイ、名著『スペース・オペラの書き方』の姉妹篇!(『愛しのワンダーランド』改題文庫化)

■感想
昨年、惜しくも亡くなられた野田元帥。
私がいちばんSFを読んでた高校生のころにSFマガジンでよくコラムなど書いてたんですよね。
とはいえ、いままでちゃんと著作を読んだことはなかったのです。
古本屋で銀河乞食軍団シリーズなどちょこちょこ買ってたんだけど、全部そろったら読もうと思って読まずじまいになってしまいましたよ。
お亡くなりになられて今更ですが、初めて本を買って読みました。
全編からSFへの愛がにじみ出てる、というかしたたり落ちてますなぁ。
タイトルは前作(?)「スペースオペラの書き方」にならい「スペース・オペラの読み方」となっていますが、スペオペというよりも古き良きSF黄金時代の巨匠への思いが綴られています。
クラーク、アシモフ、ハインラインの三巨頭から、ブラッドベリ、ブラウン、シェクリィと・・・(ね、どこがスペオペやねん!でしょ)。
それぞれの作品が氏の独特の語り口で面白く解説されてて、もうひさびさにSFがむさぼり読みたくなってしまいましたよ。

かつてのSF少年たちにうむを言わせずお勧め。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆★
《薦》☆☆☆

スペース・オペラの読み方 (ハヤカワ文庫JA)

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2009年01月17日

【本】チャイルド44

チャイルド44

原題:Child 44
著者:トム・ロブ・スミス(Tom Rob Smith)
訳者:田口俊樹
解説:田口俊樹
出版:新潮文庫  
    上巻 ス 25 1 P394 ¥705
    下巻 ス 25 2 P373 ¥667
版数:初版2008/9 4刷2008/12
ISBN:978-4-10-216932-2
入手:新刊
読んだ日:2008/12/6

■内容(上巻カバーより)
 スターリン体制下のソ連。国家安全省の敏腕捜査官レオ・デミドフは、あるスパイ容疑者の拘束に成功する。だが、この機に乗じた狡猾な副官の計略にはまり、妻ともども片田舎の民警へと追放される。そこで発見された惨殺体の状況は、かつて彼が事故と遺族を説得した少年の遺体に酷似していた……。ソ連に実在した大量殺人犯に着想を得て、世界を震撼させた超新星の鮮烈なデビュー作!

■感想
タイトルとカバーの解説から、実在した連続殺人犯チカティロを逮捕するまでを小説家したのかとおもって読んだのですが、チカティロからはアイデアを得た程度で内容は創作でした。
連続殺人ものを読むときには、捜査線かいくぐり犯行を続ける犯人と執念で追い詰める捜査陣(官)の息詰まる駆け引き、なんてのを期待してしまうのですが、本作では、スターリン時代の恐怖政治の下、体制側からはずれて追われる側に回りながらも犯人を捜す捜査官自体に焦点があたっています。
それなりに読ませてくれますし、一気に読み切ってしまったのですが、ちょっと好みとは違ったかな。
サスペンスというよりはアクション小説って印象でしょうか。
同じく圧政下で犯人を捜す「頭蓋骨のマントラ」をちょっと思い出しましたよ。
どちらも作者が舞台となった国の人ではないのが読んでて伝わってきて、ちょっとだけ違和感。

まぁそれなりに手に汗にぎって読ませますので、興味ある方は読んでみてもいいのではないでしょうか。
「このミステリーがすごい」の2008年海外版1位みたいですし。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆★
《薦》☆☆☆

チャイルド44 上巻 (新潮文庫)

チャイルド44 下巻 (新潮文庫)

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【本】タウ・ゼロ

タウ・ゼロ
原題:TAU ZERO
著者:ポール・アンダース(Pail Anderson)
訳者:浅倉久志
装画:Dave Archer/Edgerly Associates
出版:創元SF文庫 SF ア 2 5 P365 ¥580 
版数:1992/2
ISBN:4-488-63805-8
初出:1970年アメリカ
入手:BOOK OFF ¥100
読んだ日:2009/1/7

■内容(カバーより)
50人の男女を乗せ、32光年彼方のおとめ座ベータ星第三惑星をめざして飛びたった恒星船。だが不測の事態が発生する。生まれたばかりの小星雲と衝突s、その衝撃で場サード・エンジンの減速システムが破壊されたのだ!亜光速の船を止めることもできず、彼らはもはや大宇宙を果てしなく飛び続けるしkないのだろうか……?現代SF史上に一時代を画したハードSFの金字塔登場!

■感想
この本は私が大学にはいるかはいらないかのころの日本で翻訳が出て、当時、SF好きの間ではかなり話題になったと記憶しています。
その頃は、新刊で本買う余裕もあまりなかったんで、気になりつつも古本屋で出回ってきたら読もうと思いつつ、早幾とせ。
数年前に古本屋で出会ったときは、めっきりSF読まなくなってしまってたんで、買ったものの積ん読棚にほおりこみっぱなしになってました。
しかし、先日、野田元帥の「スペースオペラの読み方」読んだら、またぞろSF熱が蘇ってきたもんで、引っ張り出し的と読んでみました。
いやはや、読みだしてみたら、これがめっぽう面白い。
出張先のホテルで明日も仕事なのに夜更かしして読み切ってしまいましたよ。

簡単にいうと、恒星間宇宙船の減速システムが故障して、限りなく加速してしまうお話です。
一見そりゃもうおしまいだろって気がしますが、主人公がへこたれない男でして、失敗しても次から次に解決策をおもいつくんですな、そのアイデアがまさにセンス・オブ・ワンダー。
こりゃぁ、SFでしか味わえない醍醐味ですなぁ。

タイトルのタウ・ゼロの意味ですが、タウ(τ)ってのは、相対性理論の運動方程式に出てくる因子で、ある物体(宇宙船)が速度Vで移動してるときに、τはルート[1-(v^2/c^2)]になるんですな(cは光速)。
で、物体の速度Vが光速に近づいていくとτは0に近づくわけです。
まぁ質量のある物質は光速にはなれないので、実際はτはゼロにはならないのですが、限りなくどこまでもそれに近づいていくと。
で、τがゼロにちかづいてくと、なにがおこるかというと、宇宙船の外の系(地球)からみると、宇宙船の質量はどんどん大きくなっていって、船内の時間はどんどんゆっくりになっていくんですなぁ(いわゆるウラシマ効果)。
なもんで加速がすすんで、光速に近づけば近づくほど、外の世界の時間の流れがどんどん早くなってしまうというところがこの小説の胆です。
船内で何気なくすごす1日、1時間、1分、1秒がやがて地球の1日、1月、1年、10年…となっていく、この切なさ。
まさにSFでなければ描けない世界です。

日本で出版されたがのが1992年なんで、その数年前くらいに書かれたのかと思ってたんですが、アメリカでは1970年に出版されているんですね。
翻訳が新しいせいもあると思いますが、恒星間宇宙せんの原理描写などもふくめて全然古い感じがしないのはたいしたもんです。
ただ、背景に描かれる宇宙論が膨張/収縮宇宙論(っていうのかな)なんですよね。
そんなわけで、後半は現在支持されているビッグバン宇宙論とは相容れない展開なんですが、それでもこの作品の魅力はそこなわれていないです。(このあたりは巻末の役者による解説に詳しいです)
その時代にしか生み出し得なかった名作中の名作だと思います。

未読でしたら、ぜひ一読を。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆☆
《薦》☆☆☆☆

タウ・ゼロ (創元SF文庫)

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2008年10月11日

【本】ハリウッド・サーティフィケイト

ハリウッド・サーティフィケイト

著者:島田荘司
装丁:Getty Images
出版:角川文庫 し 9-7 ¥952 P828
版数:初版 2003/10
ISBN:4-04-168207-X
初出:単行本 2001年
入手:新刊
読んだ日:2008/10/4

■内容(カバーより)
LAPDに持ち込まれたスナッフフィルム。そこにはハリウッドの有名女優、パトリシア・クローガーが惨殺される様が映っていた。そして発見された死体からは、子宮と背骨が奪われていた!彼女の親友で女優のレオナ・マツザキが犯人探索を始めた。その過程で、女優志望のジョアンと出会う。彼女は記憶を失っており、何者かの手によってその体から子宮が摘出されているというのだ。事件との奇妙な符号を覚えるレオナ。そして第二の殺人が発生し……。なぜ女優の子宮は奪われたか?「虚構の都」ハリウッドを舞台に奇才が放つ長編本格ミステリ!!


■感想
この作者の御手洗潔シリーズは学生のころ好きでよく読んだのですが、本作はそのスピンオフ作品ってのかな。
御手洗シリーズの「水晶のピラミッド(だったかな)」にでてきたレオナ・マツザキが主人公となってます。

この本、5年ほど前に文庫化されてすぐに買ったのですが、なんども途中で投げ出して、ようやく読み終えました。

別に難しい内容なわけじゃないんですが、スナッフフィルムとか臓器売買とか、いまいち気が滅入る題材なものでねぇ、どうも入り込めなくて…
まぁ半分すぎてからようやく面白くなってきましたが…

それに、よく調べてハリウッドの暗部を描いてるのですが、正直あんまり興味がないというか…
また、ケルトの話もはいってくるのですが、いまいち、現代ハリウッドの舞台とはなじんでなかったような。

読み終わってもどうもしっくりこないというかねぇ
トリックなどは良くできた話なんですけどね(そうでもない?)。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆
《薦》☆☆

ハリウッド・サーティフィケイト (角川文庫)

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【本】美女と野球

美女と野球

著者:リリー・フランキー
装画:リリー・フランキー
出版:河出文庫 り 1-1 ¥520 P260
版数:7刷 2005/11 (初版 2005/10)
ISBN:4-309-40762-5
初出:雑誌「クロスビート」他、単行本刊行 1998年
入手:古本
読んだ日:2008/10/11

■内容(カバーより)
 好きなものは美女と野球。のんべんだらりんと、底の浅い濁流のような毎日。タキシードを着て司会をし、双子の姉妹やコントの国の人に会い、レコード会社を作り、オカンとオトンと三人で夜の東京タワーを見て……コク深くて笑いに満ちた、愛と哀しみのエッセイ集。「とっても思い入れのある本です」――リリー・フランキー

■感想
リリー・フランキーの本はじめて読みました。
書かれた時期的にはもっとも古い時代のものだそうです。
主にクロスビートに連載してたものをまとめたエッセイ集。

下ねたぶっちゃけ系のエッセイが苦手なもんでねぇ
いくつかかなり面白い話もあったけど、それ以上にちょっぴく話がおおかったなぁ

連載時にちょっと軽く読むくらいならいいっすけど。
まとめたのをいっきに読むとちょっとあくが強すぎて、お腹がもたれるねぇ

ただ、作者が、ミラクルタイプでみる以上に、奥の深い面白い人だとはわかりました。

東京タワー(未読)の下敷きになったと思われる、オカン(リリー・ママンキー)とのやりとりものってました。
(そこはわりと面白かった。)

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆
《薦》☆☆

美女と野球 (河出文庫)

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2008年08月23日

【本】完全復刻 妖怪馬鹿

完全復刻 妖怪馬鹿

著者:京極夏彦 多田克己 村上健司
装丁:妖怪製作 荒井良、デザインFISCO
出版:新潮文庫 き 31 1 ¥629 P413
版数:初版2008/8
ISBN:978-4-10-135351-7
初出:2001/2 新潮OH!文庫『妖怪馬鹿』
入手:新刊購入
読んだ日:2008/8/18

■内容(カバーより)
妖怪馬鹿――お化けを愛してやまぬ者どものこと。本書は小説家・京極夏彦が、盟友である多田克己、村上健司と、妖怪という文化現象

■感想

タイトルどおり自他共に認める妖怪馬鹿の三人が妖怪について語りあう対談集。

鼎談のはずなんですが、進行役の(この本の企画人でもある)青木って編集者も話にはいりこんでいて、実際のところ四人でだべってるのを本におこしたって感じっすね。

まぁバカ話が多かったりするんですが、その隙間から三人三様の妖怪観が垣間見えてきて興味深い。(バカ話自体もそれなりに面白いんですが。)
一口に「妖怪」といっても奥が深くて、それ以上にとらえどころのないモノなのだなぁ。

しかし、この三人が話しをしていると、なにかっていうと水木しげる御大の話になるのね、これが。
この世界だともう別格なんだね。
生きている妖怪だそうな。

妖怪好きにはお勧め。

ちなみに京極夏彦自身がいろんな漫画家のパロディで書いたイラストが豊富に収録されていて、それを見てるだけでも結構面白い。
芸達者な人だわ、ホントに。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆★

妖怪馬鹿 完全復刻 (新潮文庫 き 31-1)

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【本】どちらかが彼女を殺した

どちらかが彼女を殺した

著者:東野圭吾
装丁:石倉ヒロユキ
解説:西上心太(推理の手引き)
出版:講談社文庫 ひ 17 20 ¥590 P355
版数:38刷 2008/1 (初版 1997/7)
ISBN:4-06-264575-0
初出:1996/6 講談社ノベルス
入手:新刊購入 台北 紀伊国屋 微風広場店 NT$289
読んだ日:2008/8/7

■内容(カバーより)
最愛の妹が偽装を施され殺害された。愛知県警豊橋署に勤務する兄・和泉康正は独自の“現場検証”の結果、容疑者を二人に絞り込む。一人は妹の親友。もう一人は、かつての恋人。妹の復讐に燃え真犯人に肉迫する兄、その前に立ちはだかる練馬署の加賀刑事。殺したのは男か?女か?究極の「推理」小説。

■感想
推理小説はちょくちょく読むのですが、基本的に頭つかわない(つかえない)ので、読者に挑戦系の推理小説はこまっちゃうんですよねぇ
探偵さんか刑事さんか早く謎解きしてよーって人任せスタンス。

ところが、この本はまさに読者に挑戦系のさいたるもの、なんてったって最後まで犯人明示されないんですから・・・
(ま、巻末の袋とじのヒントみるとだいたいわかりますけどね。)

でも文章が読みやすいのと、自力で犯人をつきとめようとする被害者兄と加賀刑事との頭脳戦が面白かったので、そんな私でも面白く読めました。

犯人あてが好きな人には是非お勧めしたい作品です。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆☆

どちらかが彼女を殺した (講談社文庫)

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【本】覗き小平次

覗き小平次

著者:京極夏彦
装丁:造形製作 荒井良、デザイン FISCO
解説:宇月原晴明
出版:角川文庫 き 26-12 ¥629 P407
版数:初版2008/6
ISBN:978-4-04-362006-7
初出:2005/2 中央公論社 C★NOVELS
入手:新刊購入
読んだ日:2008/8/16

■内容(カバーより)
押入で死んだように生きる木幡小平次は、天下随一の幽霊役者。ある時、旅巡業の声がかかるが、それは凝り続けた愛と憎しみが解き放たれる修羅の幕開けであった。女房・お塚をはじめ、小平次の周りに蠢く生者らの欲望、悲嘆、執着が十重二十重に渦巻き絡み合い炸裂し――やがて一つの異形の愛が浮かび上がる。人間という哀しい華が圧倒的に咲き乱れる、これぞ文芸の極み。古典怪談に材を取った『嗤う伊右衛門』に続くシリーズ第二弾。

■感想

小平次ものってのはオリジナルをよくしらないんのですが、悪妻と間男に殺された幽霊役者が化けて出るって話ですよね、たぶん。

前作の『嗤う伊右衛門』同様、設定は押さえつつ京極流に新しい物語に仕上がっています。
もとの話が話しだけに、伊右衛門のように綺麗にできあがってはないような気もしますが、なかなか読ませてくれます。

小平次、お塚、多九郎、歌仙、動平と登場人物それぞれが複雑な内面を持っているんですが、だれにも共感できんかった。

彼らを通して人の在ること、在り様(ハイデガーっぽく言うならSeinか?)を描こうとしたのではないかと感じました。

ちなみに『怪』シリーズの又市が直接は登場しないのですが、裏で仕掛けをやっています。事触れ治平は堂々と登場。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆☆

覘き小平次 (角川文庫 き 26-12 怪BOOKS)

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【本】オタク学入門

オタク学入門

著者:岡田斗司夫
装丁:新潮社装幀室
出版:新潮文庫 お 71 1 ¥629 P415
版数:初版2008/4
ISBN:978-4-10-134451-5
初出:1996年5月 太田出版、2000年10月新潮社OH!文庫
入手:新刊購入
読んだ日:2008/8/23

■内容(カバーより)
 1980年代に発生し、今や世界中の若者に浸透した「オタク」文化。本書は、第一人者がその本質を明らかにした、教養としての「オタク学」の金字塔である。「うる星やつら」「スター・ウォーズ」などを教材にした生態研究から見えてくるのは、ジャンルを超えることを恐れず、努力を厭わない、知的冒険者の姿である。「ガンダム」総監督・富野由悠季氏との対談「『ガンダム』は何を教えてくれるのか」収録。

■感想
レコーディングダイエットで有名な(???)著者の10年以上前の著作の再文庫化。
書き下ろされた当時と今では、世の中の状況や、「オタク」に対する世間の見方などもだいぶかわってきていて、ちょっと今更な部分もあるんですが、概ね楽しく読めました。
当時は「オタク」に対する世間の風当たりが強い時期でその擁護のためにも本書はかかれているそうな。

オタクってのは単に「マンガ」「アニメ」が好きな人のことではない、その本質は対象へのモノの見方にある。ってな、ことをいってるんですな。

ただ個人的にはあまり「オタクとは」的なことには興味はなくて
例としてでてくる「2001年宇宙の旅」や「ブレードランナー」の撮影方法や、少年マンガ誌変遷とかが「へ~」「ほ~」と単純に面白かったです。

昔、単行本出たての頃に買って読んだ気もするんだけど・・・
内容に覚えはまったくなかった…

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆★

オタク学入門 (新潮文庫 (お-71-1))

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2008年07月06日

【本】星々の悲しみ

星々の悲しみ

著者:宮本輝
装画:佐藤忠良
解説:饗庭孝男
出版:文春文庫 348-1 ¥300 P230 初1984/8
ISBN:4-16-734801-4 C0193
初出:別冊小説新潮ほか(1979-1981)
単行本 1981/4 文藝春秋刊
入手:BOOK・OFF ¥100
読んだ日:2008/6/13

■内容(カバーより)
 喫茶店の壁にかかっていた一枚の絵「星々の悲しみ」。この薄命の画家の作品を盗み出し、ひとり眺め入る若者を描く表題作のほか、不思議なエネルギーをもつ輝かしい闇の時代・青春のさなかに、生きているあかしを、はげしく求める群像を、深い洞察を巧みな物語展開で、みごとに描いた傑作短編の数々。

■収録
 星々の悲しみ
 西瓜トラック
 北病棟
 火
 小旗
 蝶
 不良馬場

■感想
私世代にはネスカフェのCMでおなじみの宮元輝氏。
こんな著名な人なのに、著作を読むの初めてだったりします。
まぁとくに食わず嫌いをしてたわけでもないんですが縁がなかったというか…
んで、先日、Bookoffの100円コーナ漁ってたときに、大学のころ後輩のムラ君に薦められた記憶がふとよみがえたので、買ってきました。

タイトルが気に入ってこれを選んだので、代表作かどうかはしらないっす。
(代表作は「優駿」なのか??)
他の作品もこういう話なのかどうかもしらないっす。

表題作は実によかったですなぁ。

表題作以外にも他にも全体的に死をみつめた作品が多かったです。
結核をあつかった話もいくつかあったので、作者もかつて病んだことあるのかなぁって
ちょっと思いました。

こういう文学っぽいの普通よめるようになったんだなぁ
俺。
すごいぞ。

学生のころなら読み終わった後に間違いなくいってるなぁ
「で、オチは??」って。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆★

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【本】ナインスゲート

ナインスゲート
原題:EL CLUB DUMAS
著者:アルトゥーロ・ペレス・レベルテ(Arturo Perez-Reverte)
訳者:大熊榮
出版:集英社文庫レ5-1 初2000/4 ¥895 P562
ISBN:4-08-760373-3 C0197
初出:1993年原書出版、1996年 集英社単行本『呪いのデュマ倶楽部』
入手:BOOK・OFF ¥100
読んだ日:2008/6/15

■感想
昔、映画版を見たときに、「原作はもっと面白いに違いない!」とセンサーが働きまして。
先日、ブックオフの100円コーナーで発掘して買ってまいりました。

まぁ面白かったです。
面白かったですが…
ちょっと想像してたのと違ってたなぁ
もそっとオカルトな話かと思ってましたよ。

映画は『九つの扉』にまつわる話がメインでしたが、原作ではそれと同時にデュマの『三銃士』の肉筆原稿の話もからんできます。

原題の直訳は『デュマ倶楽部』だそうなんで、作者的にはデュマがメインだったんかな。(まぁタイトルは作者が決めてるとは限りませんが…)

この二つのネタがからんできつつ最後でうまくリンクするのかとおもいきや…
まぁネタばれになるんで詳しくは書きませんが…
最後まで二つの話が平行し続けたような小説でしたなぁ

オカルトネタが少なくてちょっと残念でしたが、そのぶんデュマがらみの薀蓄が豊富でそこは面白かったです。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆★

ナインスゲート (集英社文庫)


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2008年07月05日

【本】硫黄島 / 菊村到

題名:硫黄島
著者:菊村到(きくむら いたる)
表紙:生頼範義(カバーイラスト)
解説:三好徹
出版:角川文庫 き 29-1 ¥590 P309 初2005/9 4刷2007/2
ISBN:4-04-380001-0-C0193
初出:1957~1958 文学界、別冊文芸春秋、三田文学
入手:忘れた…
読んだ日:2008/7/1頃

■内容(カバーより)
 終戦から六年後のある日の夕方、ひとりの男が新聞社に勤める私のところに訪ねてきた。投稿前に硫黄島の岩穴にうずめてきた日記を米軍当局の許可を得て掘り出せることになった。そのことを記事にしてほしいという。
 私はいくつか疑念を抱きながらも記事にした。ところが、後日、彼は硫黄島に渡り、現地で自殺してしまう。男を死に向かわせたものは何だったのか。私は男の足跡を辿りはじめる。昭和文学史に名を残す不朽の戦争文学。

■収録
 硫黄島(芥川賞受賞作)
 しかばね衛兵
 奴隷たち
 きれいな手
 ある戦いの手記
 不法所持(文学界新人賞受賞作)

■感想
 戦争で文学なんですなぁ
 どれも戦争中の話か戦争が終わった後でも戦争を引きづった男のお話。
  
 しかし、残念ながら、まったくもって私のこころまで届いてくるものがなかったのですよ。
 波長があわなかったのか…
 私が戦争をしらない世代のせいか…
 
 ひとつ明確な理由は字の大きさ…
 最近の大手の文庫本はどれも比較的字は大きいですが、それにしてもこの本はデカイ、そして行間も広い… 
 お年よりや子供にも読みやすいという配慮なのかもしれないので、文句をつけるつもりはないんですが…
 小さい字がギュッとつまったような本のが好きなもんで、ここまでスカスカだと全然頭に内容がはいってこない…
 うーむ、こまったもんだ。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆
《薦》☆☆

硫黄島 (角川文庫)

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2008年04月11日

【本】Q&A / 恩田陸

題名:Q&A
著者:恩田陸
解説:森川嘉一郎(建築学者)
出版:幻冬舎文庫 お 7 8 ¥600 P374 初版2008/4/10
ISBN:978-4-344-40936-1
初出:単行本 2004/6 幻冬舎
入手:新刊購入
読んだ日:2008/4/10

■内容(カバーより)
都下郊外の大型商業施設において重大死傷事故が発生した。死者69名、負傷者116名、未だ原因を特定できず――多数の被害者、目撃者が召還されるが、ことごとく食い違う証言。防犯ビデオに写っていたのは何か?異臭は?ぬいぐるみを引きずりながら歩く少女の存在は?そもそも、本当に事故なのか?Q&A

■感想
会話形式で出来てる話とはしってましたが、謎解き系の推理小説だと思ってました。
これがじんわり怖いお話でした・・・
対話により輪郭は語られるのですが、核心は藪の中…
群盲象をなでるとはこのことか
結局なんだったぁぁ
まぁどんな内容にしろ、ネタあかしをしちゃうと「な~んだ」になってしまうんでしょうけどね。
最後の一章の意図はいまいち読みきれず…

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆☆

Q&A

投稿者 niimiya : 00:01

2008年04月10日

【本】ネコを撮る

ネコを撮る

著者:岩合光昭(いわごう みつあき)
出版:朝日新聞社 朝日新書033 ¥720 P206 初2007/3
ISBN:978-4-02-273133-3
入手:戴き物
読んだ日:2008/4/10

■感想
動物写真家として著名な岩合さん。
トーシロの私が知ってるくらいだから、その世界では超有名なはず。
が、ネコを撮る心得をしたためた本。

技術論というより、猫に対する思いや撮影時の心構えといった内容がメイン。

作者の猫に対する愛情もつたわってきます。

写真もいくつかのってるんですが…
やっぱうまいわー(←あたりまえ)

軽く読めるので、下記のような人にはお薦め。
岩合さんが好きな人。
ノラ猫みかけるとついカメラ向けちゃう人。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆

ネコを撮る (朝日新書 33)

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2007年11月29日

【本】チーム・バチスタの栄光

題名:チーム・バチスタの栄光
著者:海堂尊(かいどう たける)
表紙:赤津美和子(イラスト)、松崎理(デザイン)
解説:茶木則雄(書評家)
出版:宝島社文庫 上・下巻 599/600 ¥476/476 P237/261
ISBN:978-4-7966-6161-4 / 978-4-7966-6163-8
初出:2006/2 宝島社 単行本刊行
入手:新刊 紀伊国屋 台北微風広場店 NT$233/233

■内容(上巻カバーより)
東城大学医学部付属病院の“チーム・バチスタ”は心臓移植の代替手術であるバチスタ手術専門の天才外科チーム。ところが原因不明の連続術中死が発生。高階病院長は万年講師で不定愁訴外来の田口医師に内部調査を依頼する。医療過誤死か殺人か。田口の聞き取り調査が始まった。第4回『このミス』大賞受賞、一気にベストセラー入りした話題のメディカル・エンターテイメントが待望の文庫化。

■感想
文庫化されたようなのでさっそく読んでみました。
評判どおりおもしろいっすね。

現役医師ならではの専門的な描写もさることながら、インタビューが中心に進んでいく展開が、個人的には目新しくてよかったです。(今までなかったわけでもないと思いますが…)

専門表現もちりばめながら、この読みやすさはなかなか見事ですな。ベストセラーになるのも納得。

あっ!とおどろくオチがあるわけでもないのですが、それでも、ものたりなさはなく、読後感も満足。

ちらりちらりと現役のお医者さんならではの問題意識などが、登場人物の口を借りて覗いてて、興味深かったです。

結構早く文庫化されたのは映画化のおかげでしょうか?
ハードカバーが苦手な身にはありがたいこってす。
でも、たかがこのページ数で二分冊するのはやめてほしいなぁ・・・
まぁ営業的にはわけたほうがいいのかもしれんが・・・

シリーズ続編も早期の文庫化希望!

えらいいまさら感がありますが…一応、万人にお薦め。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆★
《薦》☆☆☆★

チーム・バチスタの栄光(上) 「このミス」大賞シリーズ [宝島社文庫] (宝島社文庫 599)

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2007年11月17日

【本】ぬしさまへ

ぬしさまへ

著者:畠中恵
装画/挿画:柴田ゆう
解説:藤田香織
出版:新潮文庫 は 37 2 ¥476 P311
版数:初版2005/12 22刷2007/10
ISBN:978-4-10-146122-9
初出:2003年5月
入手:古本
読んだ日:2007/11/17
感想書いた日:2010/1/3

■内容(カバーより)
きょうも元気に(?)寝込んでいる、若だんな一太郎の周囲には妖怪がいっぱい。おまけに難事件もめいっぱい。幼なじみの栄吉の饅頭を食べたご隠居が死んでしまったり、新品の布団から泣き声が聞こえたり…。でも、こんなときこそ冴える若だんなの名推理。ちょっとトボケた妖怪たちも手下となって大活躍。ついでに手代の仁吉の意外な想い人まで発覚して、シリーズ第二弾、ますます快調。

■感想
前作「しゃばけ」にははまらなかったのですが、あわせて買っていたので、続けて読みました。
こちらは中編の連作で、このスタイルのほうがあっているように感じました。
連作を通して家を出た腹違いの兄さんのエピソードなどが絡んできます。
シリーズ2作目として、いい作りなんではないでしょうか。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆
《薦》☆☆★

ぬしさまへ (新潮文庫)

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2007年11月04日

【本】何を根拠に

何を根拠に

著者:ナンシー関
版画:ナンシー関
装丁:坂本志保
出版:角川文庫 な 30-1 P245 ¥514
版数:初版2007/3
ISBN:978-4-04-198614-1
初出:
 徳間書店「SFアドベンチャー」、講談社「Hot-dog PRESS」連載
入手:古本
読んだ日:2007/11/4
感想書いた日:2010/1/3

■内容(カバーより)
「でっちあげられた評判の嘘をあばいていこう」テレビ局のキャンペーンCMのみっともなさ、秋葉原への不可解な幻想、ファミリーレストランの「とほほ」、乱立するクイズバラエティの中身の無さ…。冴え渡るメディア批評に加えて、激レアな映画批評も収録。『エルム街の悪夢』『ダイ・ハード2』から『男はつらいよ』まで。人類史上至高の消しゴム版画家による、幻の批評コラム集。
■収録
 でたとこ映画
 メディアジャンキー

■感想
ナンシー関の映画評とTV評。
ナンシー関といえばTVのイメージで、映画は結びつかないんですが、実際にあんまり見ないらしい。
それが、今はなきSFアドベンチャーの連載企画として映画評をやることになったようです。
映画素人を隠そうともしないながら、ナンシー関らしい鋭いかつ面白いつっこみでなかなか楽しいです。
とりあげる映画も「あぁ、そういえばこんなのあったなぁ」というトホホ路線が多いのも楽しいです。

後半のTV評はこちらも今はなきHotDogPressの連載のようです。
こっちは本業(?)だけ切れ味抜群。

どちらも、もう20年前の連載なんで、ネタはかなり古いですが、今読むと懐かしさも加味されてなかなか良かったです。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆☆

■引用
何を根拠に (角川文庫)

投稿者 niimiya : 20:20 | コメント (0) | トラックバック

【本】しゃばけ

しゃばけ

著者:畠中恵
装画/挿画:柴田ゆう
解説:小谷真理
出版:新潮文庫 は 37 1 ¥514 P335
版数:初版2004/4、29刷2007/10
ISBN:978-4-10-146121-2
初出:2001年 単行本刊行
入手:BOOK OFF ¥300
読んだ日:2007/11/4
感想書いた日:2010/1/3

■内容(カバーより)
江戸有数の薬種問屋の一粒種・一太郎は、めっぽう体が弱く外出もままならない。ところが目を盗んで出かけた夜に人殺しを目撃。以来、猟奇的殺人事件が続き、一太郎は家族同様の妖怪と解決に乗り出すことに。若だんなの周囲は、なぜか犬神、白沢、鳴家など妖怪だらけなのだ。その矢先、犯人の刃が一太郎を襲う…。愉快で不思議な大江戸人情推理帖。日本ファンタジーノベル大賞優秀賞。

■感想
妖怪ものと時代小説をあわせるのはなかなかいいアイデアですね。
どちらも好きなので買ってみました。
京極夏彦の妖怪ものは結局いるのかいないのかはっきりしないまま、それこそが妖怪というスタンスですが、本シリーズはもうはっきりといるんですねぇ。
妖怪が見えるひ弱な主人公をささえる犬神と白沢と、漫画家出身らしい上手い設定だと思いました。
本書は長編ですが、この設定だと中編連作のほうが向いていそうですね。
ただ、良くも悪くも漫画っぽさを感じてしまって、ちょっと私は肌があわないところもありました。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆★
《薦》☆☆☆

しゃばけ (新潮文庫)

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2007年11月01日

【本】裁判狂時代

裁判狂時代

著者:阿曽山大噴火
装丁:五十嵐たかし
出版:河出文庫 あ 15-1 P272 ¥680
版数:初版2007/2 5刷2007/9
ISBN:978-4-309-40833-0
初出:単行本「裁判大噴火~若手芸人渾身の裁判傍聴記~」 2004年
入手:新刊
読んだ日:2007/11/1
感想書いた日:2010//

■内容(カバーより)
「石原裕次郎の弟」を自称する窃盗犯、エロに暴走する検察官、極刑を望む痴漢など、法廷では日々、実にリアルな人間ドラマが炸裂している。新聞やテレビ報道では決してわからない事件の裏側を、「傍聴ブーム」の火付け役が独自の視点で活写。究極のオモシロ裁判全二十五編で、今日からあなたも傍聴マニア。

■感想
大川興業の芸人さん(?)で、著者は知る人ぞ知る裁判傍聴マニア。
どこかのサイトで連載している、裁判傍聴記が面白くて、本書を買ってみました。
期待してたのは世間的に注目されていない事件の裁判の光景を淡々と描写してくれるような内容を期待してたんだけど、なんか下手に話をふくらませようとしてて、あまり面白くなかった。
ちょっと、期待と内容がうまく合致しませんでしたね。残念。
まぁあっさり読めるので、新幹線乗る前とかにKIOSKでとりあえず買ったりするのはいいかも…(ひどい薦め方)。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆★
《薦》☆★

■引用
裁判狂時代―喜劇の法廷★傍聴記 (河出文庫)

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2007年10月27日

【本】変な映画を観た!!

変な映画を観た!!

著者:大槻ケンヂ
装丁:原条令子
解説:江戸木純
出版:ちくま文庫 ¥680 P290
版数:初版2007/6
ISBN:978-4-480-42324-5
入手:新刊 台北 紀伊国屋書店
読んだ日:2007/10/27
感想書いた日:2010/1/3

■内容(カバーより)
大槻ケンヂが目撃した変テコ映画を一挙公開。カルト、怪獣、エロ、不条理、狂気…。知られざる必笑ムービーから爆眠必至の文化的作品の意外な見どころまで。オーケン・セレクション・シネマを、ご案内します。オーケンの創作の源泉は、この映画体験から生まれた?!
三留まゆみのイラスト多数。

■感想
容易に想像できますが、オーケンはいろいろカルト(というかトンデモ)な映画みてるなぁ。
なんかオカシイ映画がオーケン節で語られるとノホホンとしていいですな。
B級映画好きとオーケン好きは絶対読むべき本ですね。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆☆

変な映画を観た!! (ちくま文庫)

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2007年10月15日

【本】パンドラアイランド

パンドラアイランド
著者:大沢在昌
出版:徳間書店

■内容(Amazonより)
南海の孤島で“保安官”として平穏に暮らすことを望んだ元刑事・高州。だが、一人の老人の死をきっかけに、キナ臭い秘密が浮かび上がる…。島の人間が守ろうとする“秘密”とは。

■感想
ギュウさんに借りてよんだ久々の大沢在昌作品。
しかも、久々のハードカバー!
久々すぎて、最初、ちょっと手がつかれた(オイオイ)

元警官が主人公の和製ハードボイルドは珍しくないですが(というか、和製だとこれ以外の設定は無理があるかも…)、いいキャラで読ませてくれました。

日本国内で保安官って、一見無茶な設定も、わりとちゃんと成立させてたかな。

プロットもそこそこ凝ってて面白かったですよー

読み終わってからもともとは新聞(東中)連載作品だって知りました。
私、あまり新聞連載の作品ってどうも展開が唐突な気がしてあまりいい印象ないんですが(実際、同じ作者の新宿鮫シリーズのどれかもイマイチに感じたし)、この作品はそんな感じ全然なくて、普通に楽しめたなぁ。


■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆☆

パンドラ・アイランド

文庫版もあり↓
パンドラ・アイランド〈上〉 (徳間文庫)

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2007年10月07日

【本】博士の愛した数式

博士の愛した数式
著者:小川 洋子
出版:新潮社 P255
読んだ日:2007/10/7
感想書いた日:2009/11/16

■内容(出版社HPより)
彼のことを、私と息子は博士と呼んだ。そして博士は息子を、ルートと呼んだ。ルート記号の中に数字をはめ込むとどんな魔法が掛かるか、三人で試した日のことはよく覚えている――。記憶を失った天才数学者と幼い息子を抱えて働く私の出会いと幸福な一年。小説の奇跡とも言える、上質でせつなく知的な、至高のラブ・ストーリー。

■感想
世間的には今更かもしれませんが、実家にあったのでようやく読みました。
フェルマーの最終定理から意図したわけでないのですが、最近数学づいてます。
映画化もされてたので、だいたいあら筋は知っていたのですが、改めて読むと想像してたよりいい話です。
何度も読みたくなりますね。
とりあげられる数学ネタもかみ砕かれてて、おもしろわかりやすいし。
そして、表紙がまたいい。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆★
《薦》☆☆☆★

博士の愛した数式 (新潮文庫)

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2007年10月06日

【本】暗号解読 / サイモン・シン

題名:暗号解読 上・下
原題:The Code Book
著者:サイモン・シン(Simon Singh)
訳者:青木薫
表紙:新潮社装幀室
出版:新潮文庫 上巻 シ-37-2 ¥590 P340 初2007/7
 下巻 シ-37-3 ¥629 P366 初2007/7
ISBN:978-4-10-215972-9, 978-4-10-215973-6
入手:紀伊國屋 台北微風店(289元、308元)

■内容(上巻カバーより)
 文字を入れ換える。表を使う。古代ギリシャの昔から、人は秘密を守るため暗号を考案してはそれを破ってきた。密書を解読されて処刑された女王。莫大な宝を今も守る謎の暗号文。鉄仮面の正体を記した文書の解読秘話・・・・・・。カエサル暗号から未来の量子暗号に到る暗号の進化史を、『フェルマーの最終定理』の著者が豊富なエピソードとともに描き出す。知的興奮に満ちた、天才たちのドラマ!

■目次
 上巻
 第Ⅰ章 スコットランド女王メアリーの暗号
 第Ⅱ章 解読不能の暗号
 第Ⅲ章 暗号機の誕生
 第Ⅳ章 エニグマの解読

 下巻
 第Ⅴ章 言葉の壁
 第Ⅵ章 アリスとボブは鍵を公開する
 第Ⅶ章 プリティー・グッド・プライバシー
 第Ⅷ章 未来への量子ジャンプ
 
■感想
 先日読んでベラボーに面白かった「フェルマーの最終定理」の作者の新作(といってもオリジナルが発行されたのは1999年ですが・・・)が文庫になったので買ってまいりました。
 前作よりボリューム増ですが、あいかわらず面白い!!
  
 「フェルマー~」もそうだったけど、この作者の魅力は、専門的で難解な事柄を非常にわかりやすく書いてくれることと、今まであまり光の当たらなかった人たちも丁寧に描いていることですな。
 本作でも暗号作成者と解読者の人間ドラマに引き込まれます。
 特にエニグマ(WW2のドイツ軍の暗号)の解読にまつわる、ポーランドとイギリス(ブレッチレー)の栄光無き暗号解読者達の努力が読ませますなぁ。もちろんアラン・チューリングも出てきまっせ。

 上巻は古代ギリシャからはじまり、カエサル暗号、メアリー女王の処刑、エニグマ解読、そしてチューリングの最期で終わります。
 初めて知ったんだけど、ビール暗号っちゅう、金の隠し場所を示したといわれる未解読暗号(一部解読ずみ)の暗号があるんね。日本の徳川埋蔵金みたいなのりでいまだに探しているマニアがいるらしい。
 さらに19世紀にようやく解読された17世紀のルイ14世の宮廷文書にはかの鉄仮面とおぼしき人物の記述があるそうな。敵前逃亡した将軍らしい。結構がっかりな正体です・・・。
 さらにさらに、ワンタイムパッド(平文と同じ長さの使い捨てキーワードをつかった暗号)は原理的に絶対解読不可能だそうな。
 でも実用性ないからほとんど使われない(鍵の配送問題は残るしね)らしい、米露のホットラインくらいだそうな。うーむ、ためになる(か?)。
  
 下巻はWW2のときの米軍のナバホ語の暗号(映画「ウィンドトーカーズ」になった話やね)から始まり、古代言語解読(ヒイエログリフ、線文字B)、そして現代のDES暗号、RSA暗号へとつづきます、そして話題は未来へと・・・量子コンピューターと量子暗号。
 解決不可能かとおもわれた鍵配送問題の解決のくだりは興奮しますなぁ。
 
 そして、いまいちわかってるようでわからんかった、一方向関数(素因数分解)を用いた公開鍵と個人鍵の概念がようわかったわい。
 量子コンピューターと量子暗号については今まで読んだ本の中で一番わかりやすかった。

 いやはや、もりだくさん。
 それぞれの暗号そして解読の仕組みを丁寧に説明してくれているので、そのぶん前作よりもちょっと読みにくい部分はあったかも。
 未読の方はまずは「フェルマーと竜」・・・じゃなくて「フェルマーの最終定理」からお勧めしますわ~。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆★
《薦》☆☆☆

■引用(上巻 P339 エニグマの解読より)
 アラン・チューリングもまた、世間の認知を待たずに死んだ暗号解読者の一人だった。英雄として歓呼されるどころか、チューリングは同性愛者として迫害を受けたのである。
(中略)
 1945年6月7日、チューリングは青酸カリ溶液の入ったビンとりんごを一個もって寝室に入った。16年前、彼は悪い魔女の呪文を歌うように口ずさんでいた――魔法の秘薬にりんごを浸けよう、永遠の眠りがしみ込むように。そして今、彼は自らその呪いにかかろうとしていたのだ。チューリングはりんごを青酸カリに浸けると、何口かかじった。こうして、暗号解読における真の天才の一人は、わずか41歳にして自ら命を絶ったのである。 


暗号解読 上巻 (1) (新潮文庫 シ 37-2)

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2007年08月12日

【本】陽気なギャングが地球を回す

陽気なギャングが地球を回す

著者:伊坂幸太郎
装丁:松 昭教
解説:村上貴史
出版:祥伝社文庫 い 14-1 ¥629 P381
版数:初版2006/2 18刷2007/6
読んだ日:2007/8/12
感想書いた日:2009/11/16

■内容(カバーより)
嘘を見抜く名人、天才スリ、演説の達人、正確な体内時計を持つ女。この四人の天才たちは百発百中の銀行強盗だった……はzが、思わぬ誤算が。せっかくの「売上」を、逃走中に、あろうことか同じく逃走中の現金輸送車襲撃犯に横取りされたのだ!奪還に動くや、仲間の息子に不穏な影が迫り、そして死体も出現。映画化で話題のハイテンポな都会派サスペンス!

■感想
伊坂幸太郎の本、初めて読んだ。
期待が高すぎたのか、ちょっとあっさりすぎた気もするけど、なかなかテンポがあって一気に読めました。
ひと癖ふた癖あるスペシャリスト四人組ってのがいいですね。
続編も出てるみたいなんで、機会があれば読みたし。


■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆☆

■引用

陽気なギャングが地球を回す (祥伝社文庫)

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2007年08月07日

【本】フェルマーの最終定理

フェルマーの最終定理

原題:Fenmat's Last Theorem
著者:サイモン・シン(Simon Singh)
訳者:青木薫
出版:新潮文庫 シ 37 1 ¥781 P495
ISBN:978-4-10-215971-2
初出:単行本刊行 新潮社 2000年
読んだ日:2007/8/7
感想書いた日:2009/10/25


■内容(カバーより)
17世紀、ひとりの数学者が謎に満ちた言葉を残した。「私はこの命題の真に驚くべき証明をもっているが、余白が狭すぎるのでここに記すことはできない」以後、あまりにも有名になったこの数学界最大の超難問「フェルマーの最終定理」への挑戦が始まったが――。天才数学者ワイルズの完全証明に至る波乱のドラマを軸に、3世紀に及ぶ数学者たちの苦闘を描く、感動の数学ノンフィクション!


■感想
フェルマーの最終定理にまつわる物語。
これまでの数学のテクニック総動員だったんですねぇ
つまりフェルマーの最終定理証明にまつわるアレコレを描いているうちに、数学そのものの発展を描いていることになってるわけです、こりゃすげぇ。
もう手に汗にぎって、興奮しまくりました。
こんな面白い本にはなかなか出会えないですなぁ
数学者達の人間ドラマが豊富にもりこまれてますので、(たぶん)文系の人にも面白くよめるはず。
そして、人間ドラマの中でもある日本人数学者の悲劇が胸をうちます・・

もう、絶対のお薦め!!

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆☆
《薦》☆☆☆☆

フェルマーの最終定理 (新潮文庫)

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2007年07月23日

【本】人質カノン

人質カノン

著者:宮部みゆき
装画:井筒啓之
解説:西上心太
出版:文春文庫 み 17 4 P309 ¥476
版数:初版2001/9
ISBN:4-16-754904-2
初出:オール讀物、小説新潮 1993~1995
   単行本刊行 文藝春秋社 1996
入手:BOOK OFF ¥250
読んだ日:2007/7/?
感想書いた日:2009/9/23

■内容(カバーより)
「動くな」。終電帰りに寄ったコンビニで遭遇したピストル強盗は、尻ポケットから赤ちゃんの玩具、ガラガラを落として去った。事件の背後に都会人の孤独な人間模様を浮かび上がらせた表題作、タクシーの女性ドライバーが遠大な殺人計画を語る「十年計画」など、街の片隅、日常に潜むよりすぐりのミステリー七篇を収録。

■収録
 人質カノン
 十年計画
 過去のない手紙
 八月の雪
 過ぎたこと
 生者の特権
 漏れる心

■感想
オール讀物と小説新潮に掲載した作品を集めた短編集。
宮部みゆきの短編は、すかっと爽快なものも多いけど、この本に収録された作品はいじめや裏切りなどが背景にあるものが多く、やり切れなさが残るものがいくつかありました。
それでも、全体的には前向きに終わる話が多いのは救われます。
相変わらずのストーリーテラーで、あっという間に読み終わってしまいました。
「代表作」や「一番すきな作品」を選んだ時に、名前が挙がるような作品ではないかもしれませんが、ちょっと心に残るいい本だと思います。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆☆

■引用
人質カノン (文春文庫)

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2007年07月13日

【本】極大射程

極大射程

原題:Point of Impact
著者:スティーヴン・ハンター(Stephen Hunter)
訳者:佐藤 和彦
出版:新潮文庫 上下分冊
入手:古本
読んだ日:2007/7/13
感想書いた日:2009/9/21

■内容(Amzonより)
ボブはヴェトナム戦争で87人の命を奪った伝説の名スナイパー。今はライフルだけを友に隠遁生活を送る彼のもとに、ある依頼が舞い込んだ。精密加工を施した新開発の308口径弾を試射してもらいたいというのだ。弾薬への興味からボブはそれを引受け、1400ヤードという長距離狙撃を成功させた。だが、すべては謎の組織が周到に企て、ボブにある汚名を着せるための陰謀だった…。

■感想
出版当時はだいぶ評判になったので、読んでる人も多いと思いますが、映画化もされたことですし読んでみました。

世捨て人のように暮らすベトナム戦争の元英雄が、騙されて陰謀に荷担させられ、罪をきせられ、復習するっという、もう王道すぎる筋立てなんですが、王道だけに興奮して読ませます。
新しいところといえば、主人公がいかにもな南部の白人男なんですねぇ。
私の読んだ冒険小説の中では他にちょっと思いつかないです。
なかなか、上手に描いていて、南部男の不器用さが好印象です。

映像化には向いてそうな話なので、ぜひ映画のほうもいずれ見たいところです。
小説のほうもシリーズ化されてるそうなので、そちらもそのうち読みたいですね。

あんまり難しいこと考えずにスカッとしたい時におすすめ。
上下分冊ですが、あっという間に読めます。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆★
《薦》☆☆☆★

極大射程〈上巻〉 (新潮文庫)

極大射程〈下巻〉 (新潮文庫)

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2007年06月28日

【本】華やかな食物誌

華やかな食物誌

著者:澁澤龍彦
出版:河出文庫 P228
ISBN:978-4309402475
入手:古本屋
読んだ日:2007/6/28
感想書いた日:2009/8/30

■内容(amazonより)
美食家の中にはたんに食欲が肥大し、味覚が鋭敏になっただけでなく、美味なものを食べたいという欲望を上まわる妄想や衝動に憑られた人たちがいる。表題作「華やかな食物誌」は、古代ローマやフランスの宮廷の豪華なる食卓へと読者をいざないながら、そういった美食に憑かれた奇人たちのさまざまな奇行や妄想を物語る。表題作他絵画や寺院などに関する18篇のエッセイを収録。

■感想
表題のほか中編程度のエッセイをいくつか収録されています。
作者の相変わらずの博覧強記ぶりが堪能できて面白かったですが、表題作以外はちょっと知識が届かなすぎて難しかったかな。
初めての人は手帳シリーズなどテーマが一貫している作品から読まれたほうが入りやすいと思います。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆★
《薦》☆☆

華やかな食物誌 (河出文庫)

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2007年06月18日

【本】黄昏の百合の骨

黄昏の百合の骨

著者:恩田 陸
装画:北見隆
出版:講談社
読んだ日:2007/6/18
感想書いた日:2009/8/30

■内容(Amazonより)
強烈な百合の匂いに包まれた洋館で祖母が転落死した。奇妙な遺言に導かれてやってきた高校生の理瀬を迎えたのは、優雅に暮らす美貌の叔母二人。因縁に満ちた屋敷で何があったのか。「魔女の家」と呼ばれる由来を探るうち、周囲で毒殺や失踪など不吉な事件が起こる。将来への焦りを感じながら理瀬は―。

■感想
「麦の海に沈む果実」の続編。
講談社から出てる恩田陸の本は少女漫画趣味満開で読んでてなかなか楽しいのですが、どうも背景の設定は現実ばなれしすぎててちょっと苦手…
本作も非常に面白く展開するんですが、最後にその設定が表にでてきて、ちょっと引いた…
図書館の海にも前日譚がでてきたし、作者的にはまだまだ展開させたい話なんかな?

まぁでも、話の大筋自体は面白かったです。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆☆

黄昏の百合の骨 (講談社文庫)

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2007年05月06日

【本】後巷説百物語

後巷説百物語(のちのこうせつひゃくものがたり)

著者:京極夏彦
表紙:(造形製作)荒井良、(デザイン)FISCO
解説:小野不由美
出版:角川文庫 き 26-4 ¥857 P779 初2007/4
ISBN:978-4-04-362004-3
初出:単行本刊行 2003/11
入手:新刊 台湾紀伊国屋 NTD420

■内容(カバーより)
 文明開化の音がする明治十年。一等巡査の矢作剣之進らは、ある島の珍奇な伝説の真偽を確かめるべく、東京のはずれに庵を結ぶ隠居老人を訪ねることにした。一白翁と名のるこの老人、若い頃怪異譚を求めて諸国を巡ったほどの不思議話好き。奇妙な体験談を随分と沢山持っていた。翁は静かに、そしてゆっくりと、今は亡き者どもの話を語り始める。第130回直木賞受賞の妖怪時代小説の金字塔!

■収録
 赤えいの魚(うお)
 天火(てんか)
 手負蛇(ておいへび)
 山男
 五位の光
 風の神

■感想
百物語シリーズ第3弾。
2作目で綺麗に終わってたんでシリーズもおしまいかと思ってたら、3作目もありましたなぁ
1作目は仕置き人風だなぁとおもったのですが、本作では、なんとなく半七捕物帳を思い出しましたよ。ご一新後に、若者が尋ねていって、隠居した年寄りが回顧して語りだす形などがね。
一作ごとにスタイルを変えてくるのはさすがですなぁ

京極夏彦の本でシリーズ3作目ともなると、設定などがいろいろと複雑になってきてたりしますが、栞と一緒に挟まってた「巷説百物語シリーズ解説書」なるものがなかなか理解を助けてくれました。

今回は最後に百介が仕掛けて百物語をやるのですよねぇ
で、円朝なんかもでてきたりしちゃって。
ちょうど、去年見に行ったのよね、谷中の全生庵に円朝の幽霊画コレクション。
http://niimiya.akatsukinishisu.net/blog/archives/2006/08/26/

そんなわけもあって、なかなか興味深く読めました。
百物語(小豆洗い)で始まり、百物語(風の神)で終わるっと。
綺麗じゃないですか。

他にも由良伯爵の祖先もでてきたりして、京極堂シリーズといろいろつながってるのがわかったのも面白かったです。
狂骨の夢などには、背景に直接関係してたのですなぁ…
又市があんなこといわなかったら、狂骨事件もおこらなかった????
今後の京極堂シリーズにも、まだまだ百物語の登場人物の子孫とか(山岡ナントカとか)でてきそうですなぁ

ちなみに、綺麗に終わったとおもいきや、
第4弾として、前日譚も出版されてるそうですな… ^^;
まぁ、こちらも文庫になるのが楽しみでござんす。
(その前に「覘き小平次」かな。)
4作目も一通り読み終わったら、そのうち時系列にそって読み直してみたいですなあぁ
(ということを「半七」読みわった後にも思ったなぁ…)

あ、どうでもいいけど、直木賞の受賞はこの本が対象だったのね。
忘れてました。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆★
《薦》☆☆☆

■引用(P771 「風の神」より)

 その時。
 百介は微かに、りんという音を聞いた。
 そして。
 
 ――御行奉為。
 
 そう。
 又市の声を、その時山岡百介は慥かに聞いたのだった。
 
後巷説百物語 (角川文庫)

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2007年04月16日

【本】地獄変・邪宗門・好色・藪の中 他7篇

地獄変・邪宗門・好色・藪の中 他7篇

著者:芥川竜之介
解説:中村眞一郎
出版:岩波文庫 P234 初1956/1 15刷1970/6
初出:1917-1923 大阪毎日新聞ほか
入手:古本
読んだ日:2007/4/16

■収録

道祖問答
袈裟と盛遠
地獄変
邪宗門(未完)

往生絵巻
好色
藪の中
六の宮の姫君
二人小町

■感想
 芥川の作品の中で、今昔物語や宇治拾遺などから題材をとった平安時代を舞台にした一群の短編を王朝物と呼ぶそうです。
 これはその王朝物を集めた岩波文庫の2冊目。
 1冊目のほうには「鼻」とか「羅生門」が収録されております。
 
 先日、芥川の王朝物にまつわる、北村薫の小説(そのものズバリのタイトル「六の宮の姫君」)を読んだ際に、気になって買おうとおもってたら…
 部屋の片隅の未読書棚の中にひっそりあった…
 買ったのすっかりわすれてたんですねぇ
 しかも、旧字旧仮名版じゃないですか!
 えらすぎるぞ>俺
 
 はてさて、上にも書いたとおり舞台は平安時代なのですが、人間は非常に近現代的に描かれていて、芥川の小説らしく、悩み深い、業深い人ばかり。
 内容の重さはあるものの、文章が実に美しいので読みにくいということはまったくないです。
 文体は伝聞や独白や戯曲風だったりするのですが、どれも読んでるのに耳に心地よい感じを受けました。
 この文章の素晴らしさを存分に堪能したい人には、古本屋をめぐって旧字旧仮名版を入手することを俄然お薦めしたい。

 まぁとにもかくにもお薦め!
 
 しかし、邪宗門が未完なのが実に惜しいなぁ…
 
 ちなみに、岩波は「竜之介」表記なのだな…
 世間的には「龍之介」のが一般的か?
 どうでもいいけど

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆★
《薦》☆☆☆

地獄変・邪宗門・好色・薮の中 他七篇 (岩波文庫)

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2007年04月04日

【本】山口組三代目 / 飯干晃一

山口組三代目 1野暮篇/2怒涛篇

著者:飯干晃一
出版:1:徳間文庫 426-1 P186 ¥240 初1982/8 3刷1985/4 絶版中
2:徳間文庫 426-2 P185 ¥240 初1982/8 絶版中
ISBN:4-19-597344-9 / 4-19-597345-7
初出:アサヒ芸能連載、単行本刊行1971/2(徳間書店)
入手:古本屋

■内容(1巻カバーより)
 淡路島出身の山口春吉が作業員50人を擁して神戸に山口組の看板をかけたのが大正4年3月。それが三代目田岡一雄の昭和39年には、424団体、9450人を配下にもつ最強最大の軍団になっていた。それはまた荷役、興行等、暗黒の巨大コンツェルンでもあった。英国製の高級背広を着用し、日に3度理髪店に行くという田岡一雄がいかにして地下王国を築いていったのか――アウトローの歴史を活写した気魄の野心作!

■感想
初代と二代目のことも描かれていますので、山口組の発祥から日本全国に拡大する黎明期の様子を知ることができます。

なんとなくしかしらなかった、美空ひばりや田端義男との関係や、鶴田浩二の襲撃の件、今話題(??)の吉本興業との初期の関係などが、ちょいとわかりましたよ。

アサヒ芸能に連載してたということもあってか、いまいち、暴力団肯定なのか否定なのか作者のスタンスがよくわからないんですけど…(暴力団否定の任侠礼賛なのかな???)
まぁ、そこはこの手の本には珍しいこっちゃないですかな。
あんまり、否定口調で書いてたら襲われちゃうしね(って、実際襲われたことあったよね飯干さんって)。

今の世の中からはなかなか想像できないですが、一昔前はこういう方々が表舞台を肩で風切って歩いていた時代がたしかにあったのですよねぇ。(裏の世界では引き続き肩で風切ってると思いますが…)

仁義なき戦いとか好きな人にはお勧めっす。
(ちなみに「仁義~」のほうも原作は飯干晃一っす。)

そうそう、上にも写しましたが、カバーに「日に3度理髪店~」って書いてあるのは本文だと「月に3度」なんですよねぇ、たぶんカバーが間違ってると思います。
どうでもいいことですが…

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆★

■引用(P141より)
 法の裏側に、一つの王国が着々と建設されつつあった。彼らは合法的な世界から王国の資産を蓄積していた。その王国の帝王こそ山口組三代目であった。
 その王国を華やかに彩るものは、美空ひばり、田端義夫らの歌手や、また俳優たちであった。そして王国を支える底辺には、船倉のなかに閉じこめられ、重量物とホコリと疲労のなかで働くアンコたちがいた。
 山口組三代目は感傷にふけるわけにはいかなかった。田岡一雄は山口組の棟梁として、法の裏側の王国を築かねばならない運命を背負っていた。
 人間とはいったい何だろう。

山口組三代目 (1) (徳間文庫)

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2007年04月03日

【本】禁じられた楽園

禁じられた楽園
著者:恩田陸
出版:徳間文庫 お 30-2 ¥800 P518 初2007/3
ISBN:978-4-19-892569-7
初出:2004/4 単行本刊行(徳間書店)
入手:新刊

■内容(カバーより)
 平口捷は、若き天才美術家の烏山響一から招待され、熊野の山奥に作られた巨大な野外美術館を訪れた。そこは、むせかえるような自然と奇妙な芸術作品、そして、得体の知れない“恐怖”に満ちていた。現代の語り部が贈る、幻想ホラー超大作。

■感想
本編にも名前がでてきますし、後書きにも書かれていますが、恩田版「パノラマ島奇談」なわけですな。

本家のパノラマ島読んだときもおもったんだけど、私はどうも想像力が貧困でねぇ…
折角の奇想天外な楽園風景が、なかなかビジュアルで頭の中にでてこないんですよねぇ
そんなわけで、あまり楽しめなかったなぁ
それなりに読ませてくれましたが、今まで読んだ恩田陸作品のなかでは一番好みにあわなかったような気がします。
タイトルも安直な感じが…

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆
《薦》☆☆

禁じられた楽園 (徳間文庫)

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2007年03月31日

【本】つかぬことをうかがいますが…

つかぬことをうかがいますが…

原題:The Last Word
編者:ニュー・サイエンティスト編集部
訳者:金子浩
表紙・挿画:水玉蛍之丞
出版:早川文庫 NF232 P336 ¥720 初1999/7
ISBN:4-15-050232-3
初出:初出New Scientist、単行本Oxford University Press 1998刊行
入手:新刊

■内容(カバーより)
 くしゃみをすると目をつぶってしまうのはなぜ? 魚っておならをするの? 瞬間接着剤はどうしてチューブの内側にくっつかないのかな? ふと疑問に思っても、なかなか人に聞けずにいる、“つかぬこと”をみなさんお持ちのはず。そんな疑問が本書を読めば解消します!各分野の専門科学者からSF作家、在野の一言居士まで、あらゆる識者が身近な科学上の疑問にこぞって回答を寄せた、いつでもどこでも楽しめる究極の雑学Q&A本。

■感想
ニュー・サイエンスという雑誌にのっている読者が質問して、読者が答えるというコーナーを本にしたものなんですが、これが、まさに「はてな」とかと同じ人力検索なんですなぁ
ちなみに、現在はWebでも回答を募集してるそうな。
http://www.newscientist.com/lastword.ns

ちなみに最新の質問はこれでした
"Have you ever wondered how long it would take to fill the Grand Canyon with milk?"
く、くだらん…(失礼)

科学雑誌だけあって、読者も専門家が多いわけで、回答もかなり詳しいです。
でも、感心した、その後に、「それは間違いです」とか他の回答者の投稿がのってたりして侮れない。

中にはあきらかにウケねらい(これがたいてい面白くない…)や、茶化した答えもあって、ますます「はてな」などとそっくり。

ひとつ感心したのが、錯覚に関する下記の例題。
Fはいくつあるでしょー

FINISHED FLIES ARE THE RE-
SULT OF YEARS OF SCIENTIF-
IC STUDY COMBINED WITH
THE EXPERIENCE OF YEARS.

私しゃ、3回目まで3つしかみつけられませんでした…
正解はもちろん6つ

あと、冷凍庫の中のお湯は水よりも早く氷になることとか(本当っぽい)はお勉強になりました。

イギリスの雑誌だけあって(?)、紅茶をいれるときはくみたての水を使ったほうがいいのか?については喧々諤々でした。

まぁ軽くよめて、内容はところどころ深かったので、よかったかな。
まぁ、ここまでネットでいろいろ調べられる世の中でわざわざ本でこういう本を読む価値があるかどうかは定かでないですが…

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆★
《薦》☆☆

■引用(P21より)

Q 暗いところからまばゆい光のなかに出たとき、くしゃみをする人が多いようです。どうして? 
 D・ブースロイド
 ハーフォードシャー州ハーペンデン

(中略)

A 明るい光にさらされるとくしゃみをするという反応は、“光くしゃみ”と呼ばれます。これは世代から世代へと受け継がれる遺伝的な形質で、総人口の約18から35パーセントが因子をもっています。くしゃみが出るのは、目の防御反射(この場合はまばゆい光にさらされたせい)で、鼻も密接にかかわっています。そのうえ、くしゃみをするとき、人は目を閉じ、涙を流してしまいます。そのため、光くしゃみは戦闘機パイロットのあいだでは事故要因として恐れられています。とくに太陽の方向へ旋回したときや、夜間に対空砲火の炎にさらされたときに出やすいのです。
 R・エクルズ
 風邪と鼻研究所
 カーディフ

つかぬことをうかがいますが…―科学者も思わず苦笑した102の質問 (ハヤカワ文庫NF)

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2007年03月11日

【本】吉田電車

題名:吉田電車
著者:吉田戦車
表紙:吉田戦車、(デザインVERSO)
挿絵:吉田戦車
解説:酒井順子
出版:講談社文庫 よ 32 2 ¥514 P235
ISBN:978-4-06-275631-0
初出:Web現代 2002/12-2003/5 単行本2003/9
入手:新刊

■内容(カバーより)
 人気漫画家が鉄道の気配と麺を求めて全国を巡る「電車の旅」エッセイ。懐かしいセンスあふれる近鉄特急で「いつもと違う感」を満喫。伊勢うどんをすすれ!大江戸線では異様な駅名「面き番」に困惑し、西部多摩川線で八王子系ラーメンに邂逅。健康的イラスト&写真満載の○車シリーズ第2弾。解説・酒井順子

■感想
 自転車でぶらぶらして麺(じゃなくてもいいのだが)を喰らう楽しさを教えてくれた、俺の心のバイブル「吉田自転車」の続編。
 タイトルはズバリ「吉田電車」……ってオイ^^;
 まぁ、電車も好きだったのかと、読み進めて見れば、別に鉄道マニア的に好きというわけでもないみたい。
 
 そんなわけで、ぶらぶら電車のって、どうでもいいものに感心して、麺くってという内容。
 
 こういうエッセイって文章の上手下手ってのも大事なんだと思いますが、本人らしさ(オリジナリティといってもいいかも)が肝要だわね。

 その点では、この人の書く文章は上手というわけではないのですが、文字と文字の間からも「吉田戦車」が滲み出てて、実にいいねぇ

 ぶらっとしてるだけなのに、目のつけどころが実に面白いのよのぉ

 えらいあっさり読めるので、疲れた方に、また、どこかにぶらっとでかけたい人にお勧め。

 第3弾も期待!こんどは世界の戦車にのりまくる、「吉田戦車の吉田戦車」か!??

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆★

■引用(P186 「第17回 毛の謎! 前厄軍団がゆく)

 俺は昭和三十八年生まれで、今年前厄だ。
 前厄とはなんだろうか。
 いうまでもなく本厄が一番気をつけなければならない年だが、辞書を調べると、前も後も「本厄についでやばいので、気をつけろ」ということだった。
 つまり前厄後厄は、厄の野郎のいわばウォーミングアップ、クールダウンなのであろうと考えた。
 うかうかしてはいられない。厄の体がまだ暖まらないうちに、先制の一撃を加えることにした。

吉田電車

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2007年02月25日

【本】職業としての政治

職業としての政治
原題:POLITK ALS BERUF
著者:マックス・ヴェーバー Max Weber
訳者:脇 圭平
出版:岩波文庫 白209-7 ¥260 P116 初1980/3 15刷1989/4
ISBN:4-00-342097-7
入手:古本屋(自由が丘 西村文生堂) ¥70

■内容(カバーより)
 あらゆる政治行動の原動力は権力(暴力)である。政治は政治であって倫理ではない。そうである以上、この事実は政治の実践者に対して特別な倫理的欲求をつきつけずにはいない。では政治に身を投ずる者のそなうべき資格と覚悟とは何か。ヴェーバー(1864-1920)のこの痛烈な問題提起は、時代をこえて今なおあまりに生々しく深刻である。

■感想
 す、すんません・・・
 あんま、わかんなかったっす・・・
 
 あとがきによると、奇しくも「君主論」と本作は政治学の古典の二大名著だそうですな。君主論はめっちゃ面白かったんだけどなぁ、こっちはよくわからんかった…
 
 話の内容が、二つの世界大戦の間のドイツという特殊な背景に密接に結びついているので、そこから現在の状況でも通用する主張を吸い出す能力が私にはちと、足りなかったですなぁ。(ドイツ料理屋でビールガブガブ飲みながら読んでたことにも原因があるやも…)
 
 政治家というものは、当然権力を行使し、一側面なのか本質なのかは別として「暴力」(「警察」であったり「軍隊」であったり)を行使するものであるわけで、それに適した人間とはいったいどういう人物であろうか?
ということを述べた本であるわけですね、これは。(大学での講演をおこしたものだそうです)。
 で、結論としては、それは「挫けない人」なわけですな。
 うむうむ。(いいのかそんなシンプルな解釈で…)
 
 つまり、私はすぐ挫けちゃうから、政治家はムリ!!
 …という個人的な結論で読み終えてしまって、とりあえずはいいでしょうか。
 うむむ。
  
■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆
《薦》☆☆

■引用(P105より)
 政治とは、情熱と判断力の二つを駆使しながら、堅い板に力をこめてじわじわっと穴をくり貫いていく作業である。もしもこの世の中で不可能事を目指して粘り強くアタックしないようでは、およそ可能なことの達成も覚束ないというのは、まったく正しく、あらゆる歴史上の経験がこれを証明している。しかし、これをなしうる人は指導者でなければならない。いや指導者であるだけでなく、――はなはだ素朴な意味での――英雄でなければならない。そして指導者や英雄でない場合でも、人はどんな希望の挫折にもめげない堅い意思でいますぐ武装する必要がある。そうでないと、いま、可能なことの貫徹もできないであろう。自分が世間に対して捧げようとするものに比べて、現実の世の中が――自分の立場からみて――どんなに愚かであり卑俗であっても、断じて挫けない人間。どんな事態に直面しても「それにもかかわらず!(デンノッホ)」と言い切る自信のある人間。そういう人間だけが政治への「天職(ベルーフ)」を持つ。


職業としての政治 (岩波文庫)

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2007年02月20日

【本】地を這う虫 / 高村薫

地を這う虫
著者:高村薫
装画:西口司郎
装幀:多田和博
出版:文春文庫 た-39-1 P227 ¥448 初1999/5 3刷1999/6
ISBN:4-16-761601-7
初出:単行本(文藝春秋刊)1993/12
入手:BOOK・OFF ¥100

■内容(カバーより)
 「人生の大きさは悔しさの大きさで計るんだ」。拍手は遠い。喝采とも無縁だ。めざすは密やかな達成感。克明な観察メモから連続空き巣事件の真相に迫る守衛の奮戦をたどる表題作ほか、代議士のお抱え運転手、サラ金の取り立て屋など、日陰にありながら矜持を保ち続ける男たちの、敗れざる物語です。深い余韻をご堪能ください。

■収録
 愁訴の花
 巡り逢う人びと
 父が来た道
 地を這う虫
 
■感想
 上の内容にうまくまとめられてる通りのお話です。
 社会の傍流に押しやられて、日のあたらない人たちを主人公に据えて、高村薫らしいタッチで描写しております。
 長編向きの作家さんだとおもってましたが、短編もなかなかいいっすね。
 

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆☆

地を這う虫 (文春文庫)

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2007年02月10日

【本】哀愁の町に霧が降るのだ

哀愁の町に霧が降るのだ
著者:椎名誠
表紙・挿絵:沢野ひとし
解説:嵐山光三郎
出版:上巻 新潮文庫 し 25 6 ¥520 P371 初版2001/10
   下巻 新潮文庫 し 25 7 ¥520 P355 初版2001/10
ISBN:上4-10-144807-8 下4-10-144806-X
初出:単行本 情報センター出版局 1981年 上・中・下巻
入手:古本屋 上下セット¥520

■内容(上巻カバーより)
脚本学校に通い、小さな雑誌社でアルバイトをしている椎名誠、大学生の沢野ひとし、弁護士をめざす木村晋介、唯一の給料取りイサオ。東京のはずれ、江戸川区小岩の中川放水路近くにあるアパート〈克美荘〉の、昼でも陽のささない汚い六畳の部屋で、四人の男たちの共同生活ははじまった……。椎名誠とその仲間たちの、悲しくもバカバカしく、けれどひたむきな青春の姿を描いた長編。


■感想
椎名誠の自伝的な小説を読むのは「本の雑誌血風録」「新橋烏森口青春篇」につづいて3作目になるのですが、描いてる時代は高校生から社会に出て行くまでと、一番早い時期なんですな。

読む順番バラバラや…

「克美荘」ってボロ(失礼)アパートの一室での男4人で共同生活が話の中心なんですが、実に楽しそう。
例によって(というか、他の本よりはるかに激しく)、話は過去・現代とあちこち飛びますが、そこもなかなか椎名誠らしく、楽しいでした。

俺もここまでじゃないけど、大学徒歩0分のところで、下宿してて毎日楽しかったなぁ~ (^^)
青春やったなぁ
と、過去を美化しつつ、お勧め。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆★
《薦》☆☆☆

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【本】牌の魔術師 / 阿佐田哲也

牌の魔術師
著者:阿佐田哲也
表紙:黒鉄ヒロシ
解説:伊集院静
出版:角川文庫 あ 4-15 P274 ¥514 初2002/2 絶版中
ISBN:4-04-145968-0 
初出:角川文庫1980/7刊行
入手:BOOKOFF ¥105

■内容(カバーより)
 終戦後間もない、昭和二十年代。巷では、驚異的な技術を誇るプロのイカサマ師たちが、その悪魔のような腕を競いあっていた。"二の二の天和"、エレベーター、ガン牌、三色爆弾、切返し・・・・・・。「麻雀放浪記」の坊や哲と、"牌の魔術師"たちとの息詰まる死闘の数々。麻雀の面白さ、勝負の醍醐味を味わい尽くせる不朽の名作が、今、時代を超えて新装刊!

■収録
 天和の職人
 捕鯨船の男
 ブー大九郎
 黒人兵キャブ
 赤毛のスーちゃん
 イッセイがんばれ
 まんしゅうチビ
 留置場麻雀
 ベタ六の死
 山谷雀ゴロ伝
 ブー大九郎の復讐
 左打ちの雀鬼
 イーペイコウの女
 ごきぶりタミイ
 "切返し"の寒三郎
 南の三局一本場

■感想
 阿佐田哲也の本は高校のころに麻雀放浪記からはいって何冊か読んだのですが、今になってみるとどれが読んだやつだかさっぱり忘れてしまいました。

この本はタイトルに覚えがなかったので初読のつもりだったんですが、どの話もなんとなく記憶に残っていたので、読んだことあったみたい。
まぁ、何度読んでも面白いのは面白いけどね。

 ブー大九郎にダンチに柴久と味のあるバイニンたちが、しのぎを削るやり取りがねぇ、実にいいのですよ。
 
 手に汗にぎるわー
 あー、麻雀やりたいなぁ…
 
 麻雀好きなすべての人にお薦め。
 
■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆★
《薦》☆☆☆★

牌の魔術師 (角川文庫)

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2007年02月06日

【本】オトナ語の謎。

オトナ語の謎。
監修:糸井重里
編者:ほぼ日刊イトイ新聞
イラスト:森川幸人
デザイン:清水肇
出版:新潮文庫 い-36-2 ¥552 P398
ISBN:4-10-118312-0
初出:ほぼ日刊イトイ新聞
入手:BOOKOFF(川崎モアーズ) ¥105

■内容(カバーより)
「バンザイ」と「バンバンザイ」の違いとは何か。家でも学校でも教わらないが、カイシャのオトナたちが、自由自在に使いこなす不思議で奇怪な言葉の数々。全国津々浦々のオフィスで密かに増殖していた未確認言語を大発見! オトナはときに「とんでもございません」とへりくだり、ときに「無理は承知」で果敢に攻める。言葉に込めたオトナの意図、意志、謀略を伝授する社会人の新教養。

■感想
ほぼ日のコーナーをまとめた本です。
オトナ語ってのは、社会人が仕事の中で駆使する、文法的にはちょっとどうかわからないけど、なにかと便利な言葉たちのこと。

「たしかに使ってる!」ってのから、「うちの業界ではつかわないなぁ」ってのや、「あ、これって全国区だったの?うちの会社だけかと思ってた」まで、いろんな言葉が網羅されて、気の利いた(?)説明がついております。

そういえば、私も会社はいりたてのころは結構とまどった言葉あったなぁ。
「これ焼いといて(コピーしといて)」とかねぇ
そんな私も今ではこの本読みながら「うん、うん、使う、使う」とうなずいてしまいますよ、うむ光陰矢のごとし。

でも、オトナ語を使いこなすのもなかなか達成感あるのだよね、普通にいったら角が立つ話も、オトナ語で丸めて丸めてね、うまい文章かけたときみょうに達成感が… ^^;

えらくあっさり読めますんで、社会人が暇つぶしにうなずきながら読むのがいいんじゃないでしょーか。
学生さんが読んでも面白いかどうかは判断つきませんが、就職した後の予習にはなるかもしれません。
まぁ、そもそも予習なんてする必要あるのかどうかはよくわかりませんが… ^^;

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆☆

■引用
某(P55より)
 会社や個人の名称を伏せて伝えたいときに使う言葉だが、オトナが「某大手代理店が・・・・・・」などというふうに使う場合は、その場にいる全員がその名称を知っていることがほとんどである。ということは、「某」なんて言わなくていいわけなんだけど、なんか、そうやったほうが、秘密っぽいし、業界っぽいし、言ったほうも言われたほうも「にひひ」って感じがするので、いいのだよ。

名刺を切らす(P73)
 出先で、自分の名刺を忘れてきたことに気づいた。もちろんオトナは自分のミスを告白したりしない。
「ただいま名刺を切らしておりまして・・・・・・」
 ひょっとしたらこれ、名刺を持ってくるのを忘れてしまったビジネスマンが100パーセントに近い確率で口にしている言葉かもしれない。

マスト(P97より)
 船やヨットで帆をはる柱のこと、ではない。非常に重要で外せないものごとを指す。
「この項目はマストです!」
 合ってるのか?じゃあ、ナニか?ヨットの話を続けて悪いけど、「ヨットの件では帆がマストです」ってなやり取りもありえるのか?なんの話だ?

なにしてる人?(P170より)
 今日の夜ってなにしてる人?明日の午後ってなにしてる人?来週の・・・・・・いいからさっさとたのんでくれ


オトナ語の謎。 (新潮文庫)

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2007年01月25日

【本】六の宮の姫君 / 北村薫

六の宮の姫君
著者:北村薫
表紙:(イラスト)高野文子、(デザイン)小倉敏夫
解説:佐藤夕子
出版:創元推理文庫 M-き-3-4 P268 ¥480 初版1999/6 再版1999/7
ISBN:4-488-41304-8
入手:BOOKOFF ¥300

■内容(カバーより)
最終学年を迎えた〈私〉は、卒論のテーマ「芥川龍之介」を掘り下げていくかたわら、出版社で初めてのアルバイトを経験する。その縁あって、図らずも文壇の長老から芥川の謎めいた言葉を聞くことに。《あれは玉突きだね。・・・・・・いや、というよりはキャッチボールだ》――王朝物の短編「六の宮の姫君」に寄せられた言辞を巡って、〈私〉の探偵が始まった・・・・・・。

■感想
 いやいや、こうきましたか…
 日常の些細な謎を解く連作で始まったこのシリーズも、前巻ではついに大きな出来事がおきる長編になりましたが、本巻では事件らしい事件は一切なく、ひたすら芥川龍之介が「六の宮の姫君」という作品を執筆するにいたった動機を「私」がいろいろな本から探る過程が描かれています。
 ダヴィンチ・コードなんかに比べりゃはるかに地味なんですが、文献をいろいろ掘り起こすところなんか丁寧に書いてあって、謎解き(ってほどでもないけど)の過程は私にはこっちのほうが面白く感じられました。
 「文学」を研究する醍醐味ってのはこういうところにあるんですかねぇ
 ちなみに、あとがきによると、この作品のテーマは実際に作者が卒論でとりあげたものだそうな。
 うーん、ナイスリサイクル!
 
 芥川の「六の宮の姫君」って未読なんですが、ずいぶん壮絶な話なのね…、タイトルからはなんか西洋のお伽の世界想像してました…
 
 文学謎解きだけじゃなくて、その合間に、いよいよ社会にでようとする「私」の成長もしっかり描かれているので、そっちに興味がある人も一安心。
 
 しかし、芥川と菊池寛ってこんな親しかったんだねぇ
作家同士の交友なんて全然知らんもんで、この二人の関係も初耳でしたよ。
 まぁ、たしかに考えてみれば芥川賞も直木賞も菊池寛がつくったわけだし、そんな驚くようなことではないのか…

 菊池寛ってまったく興味なかった(失礼・・・)けど、ちょっと興味がわいてきましたよ。
 こんど日本に帰って古本屋よることあったら、ちょっと探してみるかな。
 まぁ、真珠婦人はちょっと…、あれですが…
 (好きな人。読まず嫌いですみません。趣味の問題です)

 そういうわけで、普通の推理小説からはだいぶかけはなれていますが、今までのシリーズを順に読んできた人には楽しめるでしょう。
 あと本好きだったら、この巻だけでもおもしろいかもしれませね。
 ただ、主人公の成長を追う意味では、できればシリーズの最初から読むほうがいいと思いますが。
 
■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆★
《薦》☆☆☆

六の宮の姫君 (創元推理文庫)

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2007年01月21日

【本】柿の種

柿の種
著者:寺田寅彦
表紙:矢崎芳則
解説:池内了
出版:岩波文庫 緑37-7 P287 ¥600 初版1996/4 18刷2004/5
ISBN:4-00-310377-7
初出:俳句雑誌「渋柿」掲載 大正9年~昭和10年。単行本 小山書店『柿の種』『橡の実』。
入手:古本 ¥320

■内容(カバーより)
 日常のなかの不思議を研究した物理学者で,随筆の名手としても知られる寺田寅彦の短文集.大正9年に始まる句誌「渋柿」への連載から病床での口授筆記までを含む176篇.「なるべく心の忙(せわ)しくない,ゆっくりした余裕のある時に,一節ずつ間をおいて読んでもらいたい」という著者の願いがこめられている.

■収録
 自序
 短章 その一 (「渋柿」掲載作)
 短章 その二  

■感想
 著者が「渋柿」という俳句雑誌に連載していた小編と晩年の短い随筆をまとめた作品です。
 著者の他の随筆より短いですし、それほど難しい話題でもないので、枕のとなりにおいておいて、寝る前にちょっと読むのに最適でした。
 また、とっつきやすいので入門篇としても適しているのではないでしょうか?
 ただ、寺田寅彦という人物の思想、人となり、そして科学と文学の絶妙な混ざり具合をじっくりと味わうなら、やはり随筆集のほうが好いかなとも思います。
 一編が短いこともあり、大正9年から晩年の昭和10年までと比較的長い期間にわたった作品が収録されているので、全体をとおして著者の後半生が伝わってきました。特に大震災後の記述は興味深かったです。また、晩年に近い作品は自分の死や戦争へすすんでいく国家情勢への予感が感じとれ胸を打つものがありました。
 
 著者に興味はあるけど、他の著作にちょっと手をだしにくい人は、まずはこれから読んでみてはいかがでしょうか?
 
■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆☆

■引用(P21より)
 気象学者がcirrusと名づける雲がある。
 白い羽毛のようなのや、刷毛で引いたようなのがある。
 通例券雲(けんうん)と訳されている。
 私の子供はそんなことは無視してしまって、勝手にスウスウ雲と命名してしまった。
(大正九年十二月、渋柿)

柿の種 (岩波文庫)

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2007年01月14日

【本】秋の花

秋の花
著者:北村薫
表紙:高野文子
解説:北村暁子
出版:創元推理文庫 M-き-3-2 P256 ¥480 初版1997/2 17版2004/4
ISBN:4-488-41303-X 
入手:BOOK・OFF ¥300

■内容(カバーより):
 絵に描いたような幼なじみの真理子と利恵を過酷な運命が待ち受けていた。ひとりが召され、ひとりは抜け殻と化したように憔悴の度を加えていく。文化祭準備中の事故と処理された女子高生の墜落死――親友を喪った傷心の利恵を案じ、ふたりの先輩である《私》は事件の核心に迫ろうとするが、疑心暗鬼を生ずるばかり。考えあぐねて円紫さんに打ち明けた日、利恵がいなくなった・・・・・・

■感想
 前作どおり短編または中篇集だと思って読んでたら長編だった…
 しかも、本作ではついに死者が…
 
 人が死ぬなんて推理小説のほとんど必要条件のようなもんで、普通たいして心が動くこともないですが、このシリーズでは、いままで日常の些細な謎を扱ってたので、読者としてもちょっと吃驚です。
 しかも、亡くなったのが前作にちょっと仲良さげ出てきてた二人のうち一人としって、登場人物のように「え、あの人が?」と思わされてしまいました。
下種な見方をするとこのあたり実にうまいなぁ。

 一見、密室殺人のような設定で、今回は普通の推理小説のようにすすむのかとおもいきや、そこは最後まで読むと、やはり「私と円紫さん」シリーズなんですなぁ

  人を亡くす喪失感、そして取り返しのつかない後悔の念(ネタバレのため秘す)が胸を打ちます。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆★
《薦》☆☆☆

■引用 P244より
「私達って、そんなにもろいのでしょうか」
 円紫さんは回しかけたエンジンキーを停めて、私を見た。深い目だった。そして私のために真剣に言葉を探してくれている目だった。
「もろいです。しかし、その私達が、今は生きているということが大事なのではありませんか。百年生きようと千年生きようと、結局持つのは今という一つの時の連続です。もろさを知るからこそ、手の中から擦り抜けそうな、その今をつかまえて、何かをしようと思い、何者かでありたいと願い、また何かを残せるのでしょう」
「でも――」と私はいっていた。「明日輝くような何かをしようと思った、その明日が消えてしまったら、どうなのですか。その人の《生きた》ということはどこに残るのです」
 円紫さんは、大切なものを運ぶように、静かに、ゆっくりと答えた。
「それでも、その意思が残ると思います。(後略)」

秋の花 (創元推理文庫)

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【本】李陵・山月記

李陵・山月記
著者:中島敦
解説:瀬沼茂樹
注解:吉田精一
出版:新潮文庫 草-77 P115 ¥140 シ初版1969/9 13刷1976/6
入手:BOOK・OFF ¥105

■内容(カバーより):
 中島敦は、幼時よりの漢学の教養と広範な読書から得た独自な近代的憂愁を加味して、知識人の宿命、孤独を唱えた作家で、三十四歳で歿した。彼の不幸な作家生活は太平洋戦争のさなかに重なり、疑惑と恐怖に陥った自我は、古伝説や歴史に人間関係の諸相を物語化しつつ、異常な緊張感をもって芸術の高貴性を現出させた。本書は中国の古典に取材した表題作のほか『名人伝』『弟子』を収録。

■収録:
 山月記
 名人伝
 弟子
 李陵

■感想
 「山月記」は、国語の教科書にのってたか、読書感想文の宿題の対象になってたかして、若い時分に読んだ記憶があります。
 当時は随分奇妙な話だなとしか思いませんでしが、あらためて読んでみると、余計なものが一切ない文章が虎に変身してしまった男の痛切と、古き友の哀憫を見事に描きだしてますなぁ。
 収録作はどれも、良かったですが、子路に視点をあわせて孔子一門を描いた「弟子」が一番気に入りました。
 また、最近ちょこちょこと史記読んでるので、「李陵」の中でで描かれる司馬遷が興味深かったです。

 しかし、作者は今の私とほぼ同じ歳で夭逝してしまったのですね…
 中国古典の英雄のように短い人生でありました…
 合掌。
      
■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆★
《薦》☆☆☆

李陵・山月記 (新潮文庫)

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【本】山伏地蔵坊の放浪

山伏地蔵坊の放浪
著者:有栖川有栖
表紙・挿絵:北見隆
解説:戸川安宣
出版:創元推理文庫 M-あ-2-4 P345 ¥640 初版2002/7
ISBN:4-488-41404-4
入手:BOOK・OFF ¥105

■内容(カバーより):
 地蔵坊先生お気に入りのカクテル『さすらい人の夢(ボヘミアン・ドリーム』の二杯目が空く頃、物語は始まる。土曜の定例会で山伏の先生が聞かせてくれる体験談ときたら、ローカル線の犯人消失、崖に住む新興宗教家の死、トリュフに端を発する真夏日の事件、雪と共に降って湧いた博士邸の怪など、揃いも揃って殺人譚。ことごとく真相を看破したという地蔵坊が、名探偵行脚さながらの見聞を語る七話を収録。

■収録(初出):
 ローカル線とシンデレラ (コットン)
 仮装パーティーの館   (コットン)
 崖の教祖        (小説NON)
 毒の晩餐会       (コットン)
 死ぬ時はひとり     (コットン)
 割れたガラス窓     (小説推理)
 天馬博士の昇天     (書き下ろし)

■感想
 主人公が山伏ってのが新しいです。
 で、その山伏が酒場でとりまいた皆に語るというスタイルなんで、実際ありえないような設定でも、なんとなくまぁ納得させられるという仕掛け。
 実際、作品の中でも聞き手は実際にあったかどうかはともかく面白い話として受け取ってるスタンスです。
 まず、これこれこういう事件に巻き込まれたと、あらましを語って、後半謎解きすることになってまして、謎解きの前には聞き手(と読者)がいろいろ考えるのですな。
 でも、私はまったく考えずにすぐ答えを知りたがっちゃう性分なもんで、こういうパズル系の推理小説とはどうも相性が悪いのですよねぇ…
 そんなわけで、この作品にもあんまりのめりこめなかったかな。

 主人公のモデルは実際に山伏の修行をしていた編集者で、この本の解説書いてる人がズバリその人だそうな。

  なお解説によると、探偵が一人称で語る推理小説(しかもシリーズ通して)というのは珍しいらしいです。
 たしかに言われてみると、心当たりないね。
 
■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆
《薦》☆☆

山伏地蔵坊の放浪 (創元推理文庫)

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2007年01月11日

【本】聞く猿

聞く猿

著者:ナンシー関
装画:ナンシー関
装丁:出下武司
出版:朝日文庫 な 14-3 P213 ¥520 初版1999/5 5刷2002/11
ISBN:4-02-264191-6
初出:「週間朝日」連載 1995/9~1997/2、単行本 朝日新聞社刊行 1997/7
入手:BOOK・OFF ¥105

■内容(カバーより):
『週刊朝日』の人気連載「小耳にはさもう」文庫版、第3弾登場。今回も、辛口なのに笑わせる独特の語りが冴える。テレビ界65人の何気ない「ひとこと」が見事に突っ込まれて痛快至極。木村拓哉 神田うの タモリらを次々と俎上にのせる。版画はケビン・コスナーに注目(似てない、とは著者の弁)

■感想
 このあいだ読んだ「聞いて極楽」と一緒に買ってきました。
 連載時期も「聞いて~」の次にあたるわけですが、分析も語り口もだいぶずいぶん研ぎ澄まされていて、完成度が高い。
 とりあげられる話題も95~97年となると、わり記憶にも残っていて面白です。
 ちょうどアトランタオリンピックやったり、アムラーがはやったり、藤田朋子がヘアヌードだしてたころっす。
 あ、あと、水野晴郎のシベ超が公開になってたり・・・

 まぁ、テレビとかみてて、イライラすること多い人は、読んでくださいな。
 著者と思考・視点の波長があえばたぶんはまります。

 しかし、毎度、毎度、同じこというのもなんですが、本当に惜しい人を亡くしたなぁ…

 ちなみにケビン・コスナーの版画は本当に似てないっす
 
■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆★
《薦》☆☆☆

■引用(P74より)
「いいんです、知らなくて。それをやれって言われたらやるけれど、そんなのつまんないじゃないですか」神田うの発言

 本当に、自分が敬語もソツなく使えるキチンとした人間であることを「いいんです、知らなくて」と思うのであれば、いっさい「キチンとしたところ」など見せるべきではないと思う。
 とりあえず、神田うののキャラクターを「非常識」としよう。しかし「非常識を意識的に自分の役割として認識して振舞っている常識ある私」を語るのは、「非常識」で稼いでいる限りは禁じ手のはずだ。わかっていながら「演じている」ことをエンターテインメントだと思っているなら大間違いだ。いわゆる舞台上の芸ではなく、ある程度の私生活をも含めた「芸能人としての芸能界の泳ぎ方」を見てもらうことで芸能が成り立っている現状を考えれば、「演じている」というネタばらしを墓の中まで持っていってこそ、エンターテインメントは成立するのではないのか。
 (中略)
 私には「うのでーす」と叫ぶ神田うのを、芸能界の一風景として認めるくらいの度量はあるけど、それ以上の「本当の神田うの」を消費する気はない。

聞く猿 (朝日文庫)

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2007年01月09日

【本】夜の蝉

夜の蝉 (蝉の字は旧字体(虫+單))
著者:北村薫
表紙:(イラスト)高野文子、(デザイン)小倉敏夫
解説:吉田利子
出版:創元推理文庫 M-き-3-2 P270 ¥480 初版1996/2 20版2001/7
ISBN:4-488-41302-1
入手:BOOK・OFF ¥300

■内容(カバーより):
呼吸するように本を読む主人公の「私」をい取り巻く女性たち――ふたりの友人、姉――を核に、ふと顔を覗かせた不可思議な事どもの内面にたゆたう論理性をすくいとってみせてくれる錦繍の三編。色あざやかに紡ぎ出された人間模様に綾なす巧妙な複線が読後の爽快感を誘う。第四十四回日本推理作家協会賞を受賞し、覆面作家だった著者が素顔を公開するきっかけとなった第二作品集。

■収録:
朧夜の底
六月の花嫁
夜の蝉

■感想
 前作より収録作品がすくなくなったぶん、一話あたりは長くなっています。短編というより中篇という印象。
 「朧夜~」は長さのわりには事件の内容が浅くてちょっと冗長に感じましたが、他の2作は「私」のとても親しい二人の女性(友人と姉)の日ごろは窺い知れない機微が見事に描かれていて、うならされました。
  前作(空飛ぶ馬)まで、ちょっとしか触れられていなくて、読む側としてもあまり意識していなかった「姉」について、本作では実に丁寧に踏み込んで人間として掘り下げて描いているのに関心しました。
 ただ、前作同様、文学・文芸関係の薀蓄が豊富にでてくるのですが、それを主人公のふつうの女子大生らしからぬ特徴をあらわすものと素直に読めればいいのですが、作者から読者への薀蓄と感じてしまうとちょっと鼻についてしまうかも。

 興味をもたれたかたは、ぜひ第一作「空飛ぶ馬」から読んでみてくださいなー

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆★
《薦》☆☆☆

夜の蝉 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)

投稿者 niimiya : 23:07

2007年01月08日

【本】池波正太郎の映画日記

池波正太郎の映画日記 1978・2~1984・12

著者:池波正太郎
編者:山口正介(映画評論家・山口瞳の息子)
表紙:(カット)池波正太郎、(デザイン)多田進
解説:山口正介
出版:講談社文庫 い-4-23 P451 ¥680 初版1995/10 絶版中
ISBN:4-06-263073-7
初出:講談社刊行「最後のジョン・ウェイン」(1980/7)、「ラストシーンの夢追い」(1983/4)、「スクリーンの四季」(1985/2)から編集
入手:古本 ¥290

■内容(カバーより):
 スクリーンに男と女がめぐり合い、時が流れる。あふれる生活感と隙のない脚本、心うつ見事な演出。さまざまな感懐を胸に、銀座に酒飯して帰る……。どのような映画でも、楽しむ術を知っていた池波正太郎が、息づまる執筆の間に堪能した映画と、面白い身近の出来事をつづった、興趣尽きない好読物。全一巻。

■感想
池波正太郎が映画好きとは知らなんだ。それも、時代物に限らずアメリカ・ヨーロッパ・日本と実に幅広くいろいろ見てるですなぁ。
それも劇作家としての経験も長いせいか、作る側の目線も併せ持った論評がなかなか的確です。
かといって、辛口のぶった切りってわけじゃなくて、どの作品もいいところを見つけようとしていて、映画全体への愛がとても感じられます。
配給会社の試写にウキウキしながら向かうところが眼に浮かんできます。
映画日記とありますが、他の日常のことなどもいろいろ綴られていて、そのあたりも読んでいて楽しいです。(中には映画のことにはまったく触れられてない日もあったり…)
当然、試写おわりで銀座の店で一杯やったり、家でいろいろ料理つくったりと、食道楽な一面も描かれています。
でも、ちょっと食べすぎだったのかなぁ。
もっと健康に気使って長生きしてほしかったです・・
(そして梅安を完結させてほしかったなぁ)

お酒のんでご飯たべるときに、「酒飯」って表現をしばしつかってるんですが、なかなか味があって良い言葉だねぇ
真似して、これからちょくちょく使うことにしよっと。

映画が好きな人にも池波正太郎の小説が好きな人にもお薦め。
どっちもな人にはなおさらお薦め。
どちらでもない人は…う、うーん。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆★

■引用
(P31より) 
 *月*日

 夕飯後、ベッドで転寝をしていたら、足許で猫が鳴く。聞きなれぬ鳴声だとおもって見たら、一度も見たことがない三毛猫が二階の書斎までのこのこと入って来たのだ。捨て猫らしい。このように人懐かしげにされると、追い出す気にもなれぬ。
 捨てるくらいなら、飼わなければいいのだ。
 これで、合わせて五匹の猫を食べさせなくてはならぬ。さあ、稼がなくてはと起き出し、机に向う。

(P86より) 
 *月*日
 
 朝、眠っているところをM新聞からの電話に起される。柴田錬三郎氏が急に亡くなられたという。びっくりするというより、がっかりしてしまう。柴田氏とは一度だけ雑誌の対談をしただけなのだが、そのときの柴田氏が好きだった。今月は茂出木心護、尾上多賀之丞、柴田錬三郎と、好きな人が三人も亡くなってしまった。好きな人の葬式には行きたくない。
 その中でも今朝のショックが最も大きかった。まだ亡くなる年齢ではなく、それに私と同じ時代小説家だからだろう。
 午後からヘラルドへ行き〔兵士トーマス〕の試写を観たが、観ながら、柴田氏のことをおもい浮かべたりしている。
 第二次世界大戦のクライマックスの一つ、ノルマンディ上陸作戦に呆気なく流弾に即死する二十一歳の新兵トーマス。
 イギリスの戦争博物館に秘蔵されている未公開の戦争フィルムの迫力の中に、この若い一人の兵士の出征と訓練と淡い恋愛と戦死が、空しく寂しく、そして恐ろしいまでの簡明さで語られていく。
(イギリスの兵士も、日本の兵士と同じだったのだ・・・・・・)
 それは、まぎれもなく、私の年代の青春の一ページだった。
 
池波正太郎の映画日記 (講談社文庫)

投稿者 niimiya : 23:39

2007年01月05日

【本】夜のピクニック

夜のピクニック
著者:恩田陸
表紙:唐仁原教久
解説:池上冬樹(文芸評論家)
出版:新潮文庫 お-48-6 ¥629 P447 初2006/9/5 4刷2006/9/30
ISBN:4-10-123417-5
初出:単行本(新潮社)2004/7
入手:新刊(成田空港の三省堂)

■内容(カバーより):
 高校生活最後を飾るイベント「歩行祭」。それは全校生徒が夜を徹して80キロ歩き通すという、北高の伝統行事だった。甲田貴子は密かな誓いを胸に抱いて、歩行祭にのぞんだ。三年間、誰にも言えなかった秘密を清算するために――。学校生活の思い出や卒業後の夢など語らいつつ、親友たちと歩きながらも、貴子だけは、小さな賭けに胸を焦がしていた。本屋大賞を受賞した永遠の青春小説。

■感想
歩行祭!
いやー一晩中ただ歩くだけとは、すごい行事だね。
Wikipediaで調べてみたら、実際に著者の母校(水戸一校)ではこういう行事をやってるんだそうな。
たしかに実際に経験してないと、これをネタに一冊青春小説を書いたろうとは、なかなかおもいつかんよな。

しかし、ひたすら歩く(ちょっと休憩もありますが)だけで、よくもここまでドラマを描けますなぁ
宮部みゆきを読み出したころ、たいそう物語るの上手な人がいるもんだと思いましたが、この人も実に上手いねぇ
物語の中心を安直に男女の淡い恋心などにもってこないあたりが、たいしたもんだ。

恩田陸の小説でいままで読んだのは、わりと幻想的な話が多かったんですが、今回はそういう要素一切なしですな。
でも、ちょっとどこかそういう香りが漂っているのがよいね。

個人的には幻想的な話や事件がらみの話のが好みだったりしますが、比較的、誰にでもお薦めできるんじゃないでしょーか。

あー俺にもこんな輝いた青春があったなぁ・・・・・ん?
あれ?あったっけか??んんんーん??

あ、内容と一切関係ないけど、ファンは「夜ピク」とか略したりするのだろうか?
・・・と思って、ググったら既に映画の公式サイトでもそう略されてた。
まぁそうだろうねぇ

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆☆★

夜のピクニック (新潮文庫)

投稿者 niimiya : 23:09 | コメント (0) | トラックバック

2007年01月02日

【本】聞いて極楽

聞いて極楽
著者:ナンシー関
表紙:出下武司
出版:朝日文庫 な14-2 ¥520 P211 初1998/7 5刷2002/8
ISBN:4-02-261233-9
初出:週間朝日連載 1994/4~1995/8 単行本
入手:BOOK・OFF ¥105

■内容(カバーより):
「週刊朝日」大人気連載中の痛快・抱腹絶倒エッセイの文庫化第2弾。小室哲也から小柳ルミ子、羽田孜ら、テレビ界に棲息する旬の人・時の人64人の思わず漏らした“ひとこと”の、本音のホンネ、裏のウラを鋭くえぐり、辛辣にブッタ斬る。消しゴム版画付「芸能版」社会時評は、超ド迫力の面白さ。

■感想
 ナンシー関の本は古本屋でみかけるたびちょこちょこと買って、読んだ後、人にあげちゃうことが多いので、自分でもどれを読んでて、どれを読んでないのかよくわからなくなってます。
 が、この本はたぶん初めて読んだような気がします。
 週間朝日で連載していた、芸能人のひと言をとりあげてつっこむコラムの94/4~95/8にかけての分です。
 分析力もツッコミ力も晩年の作品のが鋭いと思いますが、それでも十分おもしろいっすね。
 10年以上前の話なんで、懐かしかったり、完全に忘れてたりして、愉快愉快。
 94年から95年というとちょうどオウム騒動があり、羽賀研二と梅宮アンナがごちゃごちゃしてたりしたころです。
 取り上げられてる人も「きよ彦」など、最近はテレビではお見かけしなくなった人なんかも含まれてて、なんとも懐かしく感じられます。
 飛行機の中で軽く読むのなどに最適(実際、飛行機の中で読みました)。
 
■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆☆

聞いて極楽 (朝日文庫)

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【本】新橋烏森口青春篇

新橋烏森口青春篇

著者:椎名誠
表紙:イラスト沢野ひとし、デザイン平野甲賀
出版:新潮文庫 し-25-5 ¥440 P265 初1991/5 12刷1994/6 
ISBN:4-10-144805-1
初出:単行本刊行 新潮社1987/12
入手:BOOK・OFF ¥105

■内容(カバーより):
 偶然見た新聞の求人広告が、二十三歳のシーナマコトに新しい世界をひらいた。彼は友人たちとの共同下宿ぐらしとアルバイトの日々に別れを告げて、小さな業界新聞社に編集者として入社した。そこで出合った怪しく個性的な人物たち。そして、淡い恋の挫折と一人の女性との決定的な出会い・・・・・・。明るくおかしくて、でも少しかなしい青春を描いた<愛と勇気と闘魂>の自伝的青春小説。

■感想
 著者がモラトリアムを終え、初めて社会に足を踏み出した時期を描く自伝的小説。
 この前の話が「哀愁の町に霧が降るのだ」で、この後の話が「銀座のカラス」で、そのさらに後の話が「本の雑誌血風録」になるわけですな。
 シーナの就職した業界新聞社という、ちょっとあやしい会社のちょっとあやしい面々の姿が克明に描かれています。
大企業じゃなくて、中小企業の内幕ってとこが新鮮でなかなか面白いですな。
 自伝小説の中では、本作だけ上下巻にわかれていず分量も少ないので、内容はわりとあっさりとした印象。
 
■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆★


新橋烏森口青春篇 (新潮文庫)

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2007年01月01日

【本】国家の品格

国家の品格
著者:藤原正彦
出版:新潮新書 P191 ¥714 初2005/11 23刷2006/4
ISBN:4-10-610141-6

■感想
あまり興味なかったんですが、帰省中に他に読む本なかったんで、親から借りて読みました。

講演の内容を文章におこしたものなので、ずいぶんとあっさりした内容ですぐ読めます。
この内容ならもうちょっと薄い本でもいいんじゃないかなという気もしますが、そのあたりは売れる本の厚さというのがあるのでしょう。

帯にでかいフォントで「画期的日本論」などと朱記してあるわりには、そんなに目新しさはなく、わりと正論というか、よく読み聞きするような主張に感じました。

内容は、えーっと、戦後日本がありがたがって戴いていた資本主義・民主主義・自由・平等なんっつお題目は決して完全・万能・普遍の原理じゃないっすよって話で、その欠けてる部分を補うに、この作者は「武士道精神」が必要と説いています。(あってる?)

そういや、学生時代によんだ呉智英も同じようなことをいってたような気がします。
あれは武士道じゃなくて、封建主義の復権だっけな?

まぁたいした根拠もなくイラクに戦争しかけちゃったり(根拠があれば攻めていいってもんでもないと思うが)、ファンドだデリバティブだと自分の儲けのためなら、他国の金融不安引き起こしても知ったこっちゃねぇみたいな、いわゆる「アメリカ的な価値観」に辟易している人には受け入れやすい論理だと思います。

私もアンチ=アメリカ民主主義万能説には大いに賛成なのですが、でも今の日本に「武士道」から、いいところだけもってくるようなことできるんですかねぇ
なんかマイナス(差別とか階級とかね)なもんも一緒についてきちゃうような気もするなぁ

まぁそんな心配しなくても、やっぱり、歴史は良くも悪くも後ろに戻ることはないんで、失われてしまったものはなかなか戻ってくることはないんだろうね。
この本がたくさん売れたことでなんかかわるんだったら、それはそれで見てみたい気もするけど・・・

全体的に「日本は特別」みたいな感じな漂っててね。
そこはちょっとやだったなぁ
まぁ日本人よ自信をもて!ってことなんだと思うけど。

古典を読むことを奨励してるんですが、自分のこういう軽く読める本がベストセラーになっても、対して古典文学復権の兆しがまったく見られないってのは作者にしてみると、結構複雑な気持ちかもね。
でも、読書が大事ってのは同感。

論理の限界を論理だてて書いてあるところは、面白かった。
曰く、現実社会は数学とは違って、100%正しいってことはほとんどないので、長いステップを踏む論理なんか信用できんよと。
(たしかに、90%正しいロジックでも5回書けたら確率50%くらいだもんね)
ついでに(?)ハイデガーなんかもちだしてきちゃったりして、さすが数学者!

まぁ長々ととりとめもなく感想かいたわりには、とくにお薦めもしませんし、逆に読むなともいいません。
でも、1冊しか読む時間しかないなら、新渡戸稲造の「武士道」読んだほうが面白いかも・・・

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆
《薦》☆☆

国家の品格 (新潮新書)

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2006年12月28日

【本】長いお別れ / レイモンド・チャンドラー

長いお別れ
原題:THE LONG GOODBYE
著者:レイモンド・チャンドラー(Raymond Chandler)
訳者:清水俊二
出版:早川ミステリ チ 1-1 ¥660 初1976/4 47刷1992/7
ISBN:4-15-070451-1

■内容(カバーより):
 コーヒーをつぎ、タバコに火をつけてくれたら、あとはぼくについてすべてを忘れてくれ――妻を殺したと告白して死んだテリー・レノックスからの手紙にはそう書かれていた。彼の無実を信じ逃亡を助けた私立探偵マーロウには、心の残る結末だった。だが、別の依頼でテリーの隣人の失踪の理由を探るうち、マーロウは再度事件の渦中へと・・・・・・ハードボイルドの巨匠が瑞々しい文体と非情な視線で男の友情を描きだす畢生の傑作。

■感想
 ハードボイルド探偵の代名詞フィリップ・マーロウ(と書くと、サム・シェパードファンに怒られたりするのだろうか?)が主人公のチャンドラーの最長編(かな)。

 これぞ、ハードボイルド!ですなぁ
 脅されようが、殴られようが、友達は裏切らないし
 絶世の美女にいいよられてもやせ我慢だし
 すぐ相手怒らすようなこというし(乾いたユーモアってやつ?)

 長編だけあって、そんな世界に、どっぷり、たっぷり、肩まで浸れます。

 レノックスとのバーでのやりとりなんていいね。
 俺も似合わないの承知でギムレットのみてぇなぁ
   
 でも、ちょっと独特の文章なんで、慣れないと話の筋追いにくいかも・・・
 なもんで、初めての人はまずは短い話から入ったほうがいいかもしれません。
 早川じゃなかったと思うけど、どっかからチャンドラー短編集みたいなのが出てたような気がします(絶版かも)。
 
■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆★

長いお別れ (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 7-1))

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2006年12月20日

【本】星は、昴 / 谷甲州

星は、昴
著者:谷甲州(たに こうしゅう)
表紙:浅田隆
解説:水樹和佳
出版:ハヤカワ文庫 JA586 P361 ¥600 初1997/9 (絶版中?)
ISBN:4-15-030586-2
初出:徳間書店SFアドベンチャー掲載(1988~91)
   「猟犬」のみ早川書店SFマガジン95年秋の増刊号掲載
入手:ブックマート ¥100

■内容(カバーより):
 君の国では、あの星をすばると呼んでいるのか・・・・・イギリス人のターナー博士の声が、遠い宇宙空間から流れてくる。博士と日本人の私は、ともに隔たった観測基地の研究室。孤独のなかで通信をかわすうちに友情がめばえたのだが、やがて私は、規則正しかった博士からの受信時間がずれていくことに気づく。表題作『星は、昴』をはじめ、ハードSFの旗手が、宇宙を舞台に多彩なアイディアと雄大なスケールで贈る、傑作短編集

■収録:
 フライデイ
 私の宇宙
 コズミック・ピリグリム
 敗軍の将、宇宙を語らず
 星は、昴
 時の檻
 道の道とすべきは
 ホーキングはまちがっている・殺人事件
 星殺し
 猟犬

■感想
 実に久方ぶりのSF。
 この著者の航空宇宙軍史シリーズは好きなんですが、それ以外のSF作品読むのは初めてでした。
 航空宇宙軍史は緻密で地味な設定での話が多かったですが、本作に収められてる話は実にスケールが大きいですなぁ
 まさにセンス・オブ・ワンダー・・・
 「宇宙論」や「情報」などもろハードSFな小道具がもりだくさんなんですが、全然堅苦しくない話ばかりです
 連作短編集ではないので、収録作のバリエーションはいろいろで、わりとふざけた話もあったりしますが、表題作は宇宙SFに真正面からとりくんだ傑作です。
 SFじゃなきゃできない話ってのはありますなぁ
 実にいい話です。

■評価
《俺》☆☆☆★
《薦》☆☆☆

星は、昴 (ハヤカワ文庫JA)

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2006年12月08日

【本】続百鬼園随筆 / 内田百閒

続百鬼園随筆
著者:内田百閒
表画:芥川龍之介
出版:新潮文庫 う-12-2 P254 ¥438 初2002/5
ISBN:4-10-135632-7
初出:三笠書房 1934/9刊行
入手:新刊

■内容(カバーより):
 好評を博した『百鬼園随筆』に続く内田百閒の第二随筆集。早熟の百閒17歳の作品「文章世界入選文」、親友の死を悼む「鶏蘇仏」「破軍星」、理不尽な世間の仕打ちに怒りが爆発する「立腹帖」「続立腹帖」等、初期の作品を中心に33篇を収録。諧謔精神に富む練達の文章と、行間に滲む我儘で頑固で、羞恥心いっぱいの百閒の素顔。ファン必読の名著が、読みやすい新字新かな遣いで復活。

■感想
作者の「のら」や「クルツ」にまつわる話は猫好きを大いに涙させてくれましたが、本作には友人の死を悼む稿が3作ほどのっていて、こちらもどうもしんみりときてしまいます。

 また、17歳のときの作品も掲載されてたりするのですが、これが実にしっかりした文章…
 歳はダブルスコアだっちゅうのに、わたしゃこの一割もまともな文章かけないっすヨ…

 どの文章にも本人の人柄・性格が滲み出ていて実によいですなぁ。

 しかし、本人も旧字旧仮名にこだわりもってたようですが、やはりこの人の文章はそちらで読んだほうがきっといいですなぁ。
 繁体字の中でくらしているせいかなおさらそう思います。
 日本にいたころころから古本屋でさがしてるんだけど、やっぱり人気あるのか結構高いのよねぇ…
 
 あ、あと、前作同様、表紙がいいねぇ。
 画 芥川龍之介っすよ。
 質感もよいし、これだけで買う価値あるんじゃない?

■評価
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆☆

■引用(P152 「鶏蘇仏」より)

 鶏蘇仏の遺友は、君が生前の友誼のかたみとして、若き日と分れた。これから後の年月に、蚊柱の夕、落葉の暁を数えつくして、黄壌の君が僕を忘れる時があろうとも、僕は嘗て君と共に花を踏んで惜しんだ少年の春をいつまでも偲ぶであろう。

 入る月の波きれ雲に冴え返り

続百鬼園随筆 (新潮文庫)

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2006年12月07日

【本】もひとつ ま・く・ら / 柳屋小三治

もひとつ ま・く・ら
著者:柳屋小三治
カバーデザイン:南伸坊
出版:講談社文庫 や-44-2 P467 ¥733 初2001/5
ISBN:4-06-264791-5

■内容(カバーより):
お待たせしました!小三治まくら。出演料の代わりにマタギから手に入れた熊の胆に始まり、芸者屋の娘・笑子(えみこ)との切ない、数奇な縁、句会、パソコンはバカだ!!まで、いよいよ面白く、辛口で温かい長短21編。再度、ご機嫌伺います。少しお高い枕ですが読み心地抜群。人生の滋味あふれるスーパーエッセイ、お楽しみの程を。

■感想
 まくらってのは本来は落語の本筋にはいる前の導入部分であって、それだけ集めても面白いわきゃないはずなんですが…
 これが、しっかり面白いんですなぁ
 著者の趣味や興味の範囲の広さから繰り出されるたわいもない話の数々が実に楽しいのですわ
  
 しかし、こんなに枕が長くていいのかね ^^;
 
 前作「ま・く・ら」も是非読みたくなってしまいました。
 今度、帰国したおりに古本屋でさがそう。
 
■評価
《俺》☆☆☆★
《薦》☆☆☆★

もひとつま・く・ら (講談社文庫)

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2006年11月23日

【本】活字探偵団 増補版

活字探偵団 増補版
編 :本の雑誌編集部
出版:角川文庫 ほ9-4 ¥648 P346 初版2000/1
初出:連載「本の雑誌」、単行本(本の雑誌社)1994/10
入手:古本
内容(カバーより):
 結論。防御率のいちばん悪い探偵は金田一耕助である!
 戦慄。ミステリー作家は一年間に何人殺すか?
 煩悶。渋谷駅で待ち合わせの人々は何を読んでいるのか?
 ――活字界のさまざまな領域に広がる謎と疑問を、本雑誌特別取材班が好奇心だけを頼りに東奔西走、徹底調査。
 「本の雑誌」人気連載企画四年分の汗と涙と笑いの成果六十二件に、秘蔵の十八件をええい、豪華に補充。
 活字を愛する人も、疎む人も、思いも寄らぬ活字界の奥深さに仰天必死は間違いなし。

■感想
 京都の丸善にはいまだに月に数個の檸檬が置かれていること(梶井基次郎やね)やら東京の東西南北の端っこの本屋はどこも苦戦してることなどがわかっておもろいだす。
 結構バカバカしいこと調べてたりもするんですが、本(とその周辺)に対する愛情がひしひしと伝わってきてます。
 ちなみに、本屋に行くとトイレにいきたくなる現象は「青木まりこ現象」らしいぞ、知らなかった。

■評価
《俺》☆☆☆★
《薦》☆☆☆

活字探偵団 (角川文庫)

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2006年11月21日

【本】自転車とろろん銭湯記

自転車とろろん銭湯記
著者:疋田智
出版:早川文庫 NF298 ¥580 P270 初2005/5
入手:BOOKOFF ¥105

内容(カバーより):
自転車通勤暦7年のヒキタは、妻と一人息子を養う38歳のサラリーマン。テレビ局のディレクターとして仕事三昧の日々を送っている。そんなヒキタの趣味は銭湯巡り。会社帰りや散歩の途中で見つけた銭湯でほっと一息つくのが何よりの楽しみなのだ。東京都内に残る銭湯の魅力を「自転車ツーキニスト」こと疋田智が小説風エッセイでご紹介。庶民文化研究の第一人者、町田忍博士の薀蓄コラムが付録についた、憩いの銭湯読本!

■感想
 遠出してゆったり温泉ってのも好きですが、街歩きの途中に銭湯はいるのも大好きです。
 銭湯を目的にしてどこかいくってことはないですが、自転車でぶらぶらしてる途中でたまに銭湯によったりもしてました。別に風呂の準備なんてしてなくてもどうにかなるもんです(タオル1枚くらいもってるとよいね)。
 そういう意味ではこの作者の趣味「自転車での銭湯巡り」には大いに共感できるのです。

 都内の銭湯の紹介に終始する本かとおもいきや、意外に銭湯にまつわるエピソードがいろいろでてきて面白かったすねぇ
 ゆで蛸三匹やら、銭湯で知り合った証券会社社長やら
 特に戦艦長門の話はちょっとできすぎだけどよかったねぇ、

 一人称じゃなくて三人称(ヒキタ)で書いてるのが、初めのほうはちょっと鼻につきましたが、途中からあまり気にならなくなりました。

 銭湯とは関係ないけど、ワイドショーをつくる側の人の考えなどを読めたのも貴重でしたね。
 まぁ、それでもワイドショー好きになれないけどね。

■評価
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆★

■引用 P120より
 日々、次の次の事件を追っていく。理不尽なイジメを受けて死を選んだ少年、単なる人違いで暴走族に殺された青年。コノ野郎と思って、原稿を書いて、でも、そのいっときが過ぎると、やはり視聴者もメディアも忘れてしまうのだ。
 サウナから出て、広い湯に浸かる。アタマの中の色々なよしなしごとが浴槽に溶けていく。忘れてしまいたいような悲惨な事件も、いつの間にか過去のものとして流れていく。自らのため息と、お湯の流れる音しか聞こえない浴室。
 都会の未明。浴槽に漂う孤独。だけどその孤独は必ずしも悪いものというわけじゃないとヒキタは思う。ここで孤独になれるから、人はその人に戻れる。その人に戻り、そして、忘れていきたいものを置いていく。

自転車とろろん銭湯記 (ハヤカワ文庫 NF)

投稿者 niimiya : 23:51

2006年11月19日

【本】邪魅の雫 / 京極夏彦

邪魅の雫
著者:京極夏彦
出版:講談社ノベルズ キF-13 ¥1600 P817

■内容(カバーより):
 「殺してやろう」「死のうかな」「殺したよ」「殺されて仕舞いました」「俺は人殺しなんだ」「死んだのか」「――自首してください」「死ねばお終いなのだ」「ひとごろしは報いを受けねばならない」
 昭和二十八年夏。江戸川、大磯、平塚と連鎖するかのように毒殺死体が続々と。警察も手を拱く中、ついにあの男が登場する!「邪なことをすると――死ぬよ」

■感想
 京極堂シリーズ久々の新刊だよー
 「陰摩羅鬼の瑕」が「姑獲鳥の夏」系の話だったとすると、本作は「絡新婦の理」系のお話かな。
 私はこっちの系統のが好きですな、久々に複雑にからまった糸が最後にほどけるお話で大満足。

 今回の事件の中心は榎木津でした。
 彼が珍しくシリアスだったりします
 そして今まで脇役感の強かった益田と青木が結構活躍!
 
 「塗り仏~」で登場した、あの邪な男の影もちらりとでてきます。

 そういえば、京極堂によるタイトル妖怪の解題のシーンなかったけど、あれはもうやらなくなっちゃったのかなぁ、好きだったのに…

 次回作は「鵺の碑」だそうです。
 はて次は何年後でしょうか?
 
■評価
《俺》☆☆☆★
《薦》☆☆☆★

■引用(P12より)
 貴女の呉れた雫が果たして邪悪なものだったのか否か、私には判断することが出来ない。ただ、それがどれだけ邪なものであったとしても、勘違いをしていた私にとって、それは限りなく魅惑的な一滴であったことは疑いようがないことである。

 邪魅の雫――。
 
 私は邪魅の雫に吸われてしまったようだ。
 

邪魅の雫 (講談社ノベルス)


文庫版↓ 
文庫版 邪魅の雫 (講談社文庫)

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2006年11月06日

【本】蛇を踏む

蛇を踏む
著者:川上弘美
表紙:河原朝生(画) 大久保明子(AD) 
出版:文春文庫 か 21-1
ISBN:4-16-763101-6
初出:文学界・野生時代、単行本 文芸春秋刊 1996

■内容(カバーより):
 藪で、蛇を踏んだ。「踏まれたので仕方ありません」と声がして、蛇は女になった。「あなたのお母さんよ」と、部屋で料理を作って待っていた……。若い女性の自立と孤独を描いた芥川賞受賞作「蛇を踏む」。〝消える家族〟と〝縮む家族〟の縁組を通して、現代の家庭を寓意的に描く「消える。」ほか「惜夜記」を収録。

■収録:
 蛇を踏む
 消える
 惜夜記

■感想
 そうそう、これこれ。
 こういうわけわからん(大変失礼… ;)のが俺のでの芥川賞のイメージ。
 前に読んだパークライフが淡々とした本だったんで、なんとなく安心しました(←なんでや?)。
 まぁ、何賞とってようが内容とはまったく関係ないんですけどね…^^;
 内容は上手に説明できないのですが、まぁ簡単にいうとわけわからん話(だから…悪い意味じゃなくてね)なんですな。
 
 上っ面ばっか読んじゃってるので、カバーに書いてある「若い女性の自立と孤独~」「現代の家庭を寓意的に~」なんてのは当然読み取れず、結局の感想が…わけわからんのぉ…でした。
 でも、わけわかんないのは基本的に嫌いじゃないです。
 ただ、狙いだと思いますが、「蛇を踏む」と「消える」はちょっと気持ち悪いわけわからなさなんですな、どうも腸の奥のほうがモヤモヤする感じ…
 なんかいや~~な感触がしばらく残りました
 「惜夜記」は短い話が19話つまってる、「一千一秒物語」みたいな構成で、この本の中では一番好きかな。

■評価
《俺》☆☆★
《薦》☆☆★

蛇を踏む (文春文庫)

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2006年10月15日

【本】淋しい狩人 / 宮部みゆき

淋しい狩人
著者:宮部みゆき
表紙:方緒良
出版:新潮文庫 み-22-7 ¥514 P318 初版1997/2 14刷1999/4
ISBN:4-10-136917-8
初出:単行本 新潮社刊 1993
入手:ブックマート ¥100
内容(カバーより):
 東京下町、荒川土手下にある小さな共同ビルの一階に店を構える田辺書店。店主のイワさんと孫の稔で切り盛りするごくありふれた古書店だ。しかし、この本屋を舞台に様々な事件が繰り広げられる。平凡なOLが電車の網棚から手にした本に挟まれていた名刺。父親の遺品の中から出てきた数百冊の同じ本。本をきっかけに起こる謎をイワさんと稔が解いていく。ブッキッシュな連作短編集
目次:
 六月は名ばかりの月
 黙って逝った
 詫びない年月
 うそつき喇叭
 歪んだ鏡
 淋しい狩人

■感想
 古本屋の親父(と孫)が主人公のミステリー連作。
 主人公が古本屋の親父だけあって、本好き好み(←ややこしい)のお話です。
 同じ古本がらみのミステリでも紀田ナントカさんのだと珍しいキコウ本をめぐっての諍いなどが原因で事件がおきたりしますが、こちらは身近で起こったものばかりです。
 とはいえこないだ読んだ「空飛ぶ馬(北村薫)」などとは違って、しっかり(?)人は殺されたりしてます。
 物騒だなぁ荒川区…(ちがう?)
 シリーズ化しそうだけどいまのところ続編はないみたいね
 ところで、ブッキッシュってどういう意味??

■評価
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆☆

淋しい狩人 (新潮文庫)

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2006年10月14日

【本】あやしい探検隊 不思議島へ行く

あやしい探検隊 不思議島へ行く
著者:椎名誠
表紙:沢野ひとし
出版:角川文庫 し6-8 ¥560 P299 初版1993/7 6刷1994/11
ISBN:4-04-151008-2
初出:単行本 光文社刊 1985/9
入手:BOOK OFF ¥105
内容(カバーより):
 日本の最南端、与那国島でカジキマグロの漁に出る。北端のイソモシリ島でカニ鍋に満足しながら、国境という厳しい現実を知る。スリランカで純正ニッポンカレーの勝負にでたり、お説教島浮島に愛想をつかす。東ケト会の面々が心と足の赴くままに、さいはてや無人の島々にワッセワッセと出かけて行った、ユニークな探検記である。
 東ケト会の黄金期といえる80年代姑0う半、原始的手作りの、焚火、酒宴の夜は、陽気に、あやしく、更けていくのであった――。「あやしい探検隊」シリーズ、第三弾!

■感想
 椎名誠と仲間達がどっかでかけてワイワイするシリーズの…えーっと、第3弾だ
 タイトルどおり島がメイン(そういや、いままでもそうだっけ?) 
 あぁ!私もどっか行きたいわぁ…
 みんなと焚火かこんでわいわいしたいわぁ…
 っと、例によって思わせてくれる本です。
 東ケト会でわいわいする話もありますが、半分くらは少人数での旅行記だったね。
 スリランカとかいってみたいなぁ
 アーサー・C・クラークとか住んでんだっけ?

■評価
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆★

あやしい探検隊 不思議島へ行く (角川文庫)

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2006年10月10日

【本】水域

水域
著者:椎名誠
出版:講談社文庫 し-32-5 ¥480 P278 初版1994/3
入手:BOOK OFF ¥105
初出:BRUTUS連載 1989/3~1990/2
   単行本 講談社刊行 1990/9

■内容
 いつのころからか水に覆われた地球。忿怒奔流に翻弄され、広大な水平線を漂う青年ハル。美しいズーとのつかのまの愛の暮しは黒い男たちの襲撃で終焉し、絶望するハルは7本鰭の怪魚に勇気づけられるのだった。そして嵐に運ばれた新空間で出会ったのは――。椎名誠(シーナ・ワールド)の贈物、水の国の不思議な愛と冒険の物語(ファンタスティック・アドベンチャー・ロマンス)。

■感想
いわゆる椎名SF3部作の最後の一作を読みました。

アド・バード、武装島田倉庫でも水際の話はいろいろでてきましたが、
今度はタイトルどおり最初から最後までほとんどず~~~っと水の上。

この世界では陸地はもうほとんど沈んじゃってるみたいで、どこもかしこも水水水(現在の海水ほどしょっぱくないみたい)。

当然、前作以上に危険な世界…かと、おもいきや、わりと調和のとれたところでもあるんですよね。いろいろ危険な動植物などもでてきますが、どれも慎重にしていれば避けられる(避けられないにしてもめったにでくわさない)でしたから。
前2作の舞台は世界がどんどん崩壊していく過程にあったけど
本作の崩壊しきって平衡状態にたっした、それなりに調和のある世界だからでしょうか。
個人的には一番この世界が好きです。

よく出来たロードムービーのように、いろいろな人に出会って、裏切られたり、恋に落ちたり、悲しい別れがあったりしますが、前向きな話です。
おすすめー

ウォーターワールドと較べて読んでみたりしてもおもしろいかもねー
(私は映画しか見たことないですが)

■評価
《俺》☆☆☆☆
《薦》☆☆☆

水域 (講談社文庫)

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【本】螢・納屋を焼く・その他の短編 / 村上春樹

螢・納屋を焼く・その他の短編

著者:村上春樹
表紙:安西水丸
出版:新潮文庫 む 5-3 ¥320 P189 初版1987/9 14刷1991/5
ISBN:4-10-100133-2
初出:単行本 新潮社 1984/7
入手:古本 ¥80
内容(カバーより):
 秋が終り冷たい風が吹くようになると、彼女は時々僕の腕に体を寄せた。ダッフル・コートの厚い布地をとおして、僕は彼女の息づかいを感じとることができた。でも、それだけだった。彼女の求めているのは僕の腕ではなく、誰かの腕だった。僕の温もりではなく、誰かの温もりだった……。もう戻っては来ないあの時の、まなざい、語らい、想い、そして痛み。リリックな七つの短編。

目次:
 螢
 納屋を焼く
 踊る小人
 めくらやなぎと眠る女
 三つのドイツ幻想
  1 冬の博物館としてのポルノグラフィー
  2 ヘルマン・ゲーリング要塞1983
  3 ヘルWの空中庭園
 あとがき
 
■感想
 は、恥ずかしい…
 いやなに、別にこの本の内容が恥ずかしいわけでなくて…
 今更、こんな初期(なんだよね?)の村上春樹を読んで
 今更、いいなぁとか思ってることをだねぇ
 今更、Blogに書いたりするわけですよ
 それが、ちょっと恥ずかしかったり
 
 食わず嫌いしないで学生時代に読んでおけばよかったなぁとあらためて思いましたよ。
 まぁあのころ読んでたらそれはそれで鼻についていよいよ本格的に嫌いになってたのかもしれませんが…
 なにしろ、こんな洒落た生活してなかったからねぇ ^^;
 
 まぁそんなわけで、今更ですが、まだ村上春樹読んだことない人などいたりしたら、短編集なんで読みやすいし、いろんな種類の話が入ってるので、この作品あたりからはいって、相性をはかるのもいいのじゃないでしょうか?

■評価
《俺》☆☆☆★
《薦》☆☆☆★

螢・納屋を焼く・その他の短編 (新潮文庫)

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2006年10月09日

【本】空飛ぶ馬 / 北村薫

空飛ぶ馬
著者:北村薫
カバー:高野文子
出版:創元推理文庫 M-き-3-1 初版1994/4 26刷1999/2 ¥580 P347
入手:BOOK OFF ¥105
初出:1989 東京創元社 単行本
内容(カバーより):
 どの一編もごく日常的な観察の中から、不可解な謎が見出される。本格推理小説が謎と論理の小説であるとするなら、殺人やことさら事件が起こらなくとも、立派に作品は書ける。勿論、これは凡百の手の容易になし得るものではないが。北村氏の作品は読後に爽やかな印象が残り、はなはだ快い。それは、主人公の女子大生や円紫師匠の、人を見る目の暖かさによるのだろう。鮎川哲也

目次:
 織部の霊
 砂糖合戦
 胡桃の中の鳥
 赤頭巾
 空飛ぶ馬

■感想
殺人も傷害も誘拐もおきない推理小説。
謎解き役が落語家ってのもなかなか面白い設定ですね。

前に読んだ恩田陸の「象と耳鳴り」もこんな感じでしたが、とにかく人が死なないってのはいいやね。

表題作の「空飛ぶ馬」は謎自体は一番シンプルですが、謎が解けた後ほのぼのと幸せになる一品でした。

対してその前の「赤頭巾」はぞくりと怖くなる話。
最後の一行がうまいねぇ。

話の順番が逆じゃなくてよかったよかった…

高野文子の表紙もいとよろしい。
(まぎらわしい名前に加えてこの拍子のせいで長らく作者を女性だと思っていたのだな、きっと)。

■評価
《俺》☆☆☆★
《薦》☆☆☆★

■引用(P77 「織部の霊」より)
 また、研究室はしんと静まった。円紫さんの話は終わった。
 織部の像は明るい光の中にある。謎めいた思い出の霧をはらわれたせいか、その姿はむしろ日向ぼっこをしている無骨な老人のように見えた。
 やがて、遠く潮騒のように、学生達の声や足音が響き始めた。午前の授業が終わったのだ。先生は顔を上げた。
「いや、これは、これは――」
 先生はいった。涙をながしてはいないのに、何だか泣き笑いのような表情だった。
 七十に遠くない先生は、そのままゆっくりと立ち上がった。そして窓辺に向かい、指の太い手を後ろに組むと、硝子や金属を光らせて広がる東京の街と、そこに残された柔らかい緑とに目をやった。がっしりとした背中が暖かそうだった。
 先生はきっと今あの夏の日の松風の音を聞いているのだろう、と私は思った。

空飛ぶ馬 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)

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2006年09月15日

【本】破獄

破獄
著者:吉村昭(よしむらあきら)
出版:新潮文庫 よ-5-21 ¥552 初版1986/12 38刷2002/12
ISBN:4-10-111721-8
入手:BOOKOFF ¥105

■内容(カバーより)
 昭和11年青森刑務所脱獄。昭和17年秋田刑務所脱獄。昭和19年網走刑務所脱獄。昭和23年札幌刑務所脱獄。犯罪史上未曽有の4度の脱獄を実行した無期刑囚佐久間清太郎。その緻密な計画と大胆な行動力、超人的ともいえる手口を、戦中・戦後の混乱した時代背景に重ねて入念に追跡し、獄房で厳重な監視を受ける彼と、彼を閉じこめた男たちの息詰る闘いを描破した力編。読売文学賞受賞作。

■感想

 昭和の脱獄王 白鳥栄の話。
 ノンフィクションタッチの描写ですが、あくまで小説ということで、登場人物の名前も仮名です。
 戦中の刑務所の描写がすごかった。
 網走は苛酷な印象があるが、戦争中はむしろ広大な土地で農作物がつくれたため内地の刑務所よりはるかによかったらしい。
 また、受刑者から志願者をつのり舞台を編成して南方戦線などにも出征していた話など、初めて見聞きする話が豊富にありました。
お薦め。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆★
《薦》☆☆☆

破獄 (新潮文庫)

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2006年09月01日

【本】麻雀狂時代

麻雀狂時代
著者:阿佐田哲也
出版:角川文庫 ¥560 初版1981/5 13刷1993/3
ISBN:4-04-145960-5
入手:BOOKOFF ¥105

■内容(カバーより)
博打打ちは例外なく、皆、臆病である。何千万、何億あろうと、スッカラカンになるかもしれず、明日、また復活して倍になるかもしれない。博打で生きている限り、現金以外は武器にならない。彼らにとっての恐怖は負け続けることではなく、負けて現金が尽きることである。――
絶対ガン札は出来ないといわれているヴァイスクルの封切版カードを使って、日本ギャンブラーを手玉にとるメリケンお玉。韓国のカジノで15分で1500万稼ぎ、勝ち役の名が鳴り響いている空野とノミ屋ゴロシのプロ車券師、通称関プロの壮絶な闘い。ギャンブルを通して、人間の切なさ、哀しさ、凄まじさを描いた阿佐田哲也の傑作小説。

■感想
前半は作者目線の実録ギャンブル日記風で、それもかなりおもしろいのですが、後半の空野と関プロの競輪のノミ勝負(関プロが賭けて、空野がのむ)に焦点あてたとこがこれまたべらぼうに面白い。

いやはや、すごい世界だよ、本当に。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆★
《薦》☆☆☆

麻雀狂時代 (角川文庫 緑 459-60)

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2006年08月30日

【本】ぶらんこ乗り

ぶらんこ乗り
著者:いしいしんじ
出版:新潮社 い-76-1 P269 ¥476 初版2004/8 3刷2004/11
ISBN:4-10-106921-0
入手:新刊購入(ヴィレッジ・ヴァンガード 自由が丘店)

■内容(カバーより):
 ぶらんこが上手で、指を鳴らすのが得意な男の子。声を失い、でも動物と話ができる、つくり話の天才。もういない、わたしの弟。――天使みたいだった少年が、この世につかまろうと必死でのばしていた小さな手。残された古いノートには、痛いほどの真実が記されていた。ある雪の日、わたしの耳に、懐かしい音が響いて……。物語作家いしいしんじの誕生を告げる奇跡的に愛おしい第一長篇。

■感想
 不思議な小説だなぁ。
 一見、子供向けの本かとおもったけど、そうでもなさそうねぇ
 大人向けの童話といってもいいかもしれん…
 つたないながら、ときどき胸の奥をぐっとつかむ表現はすごい

 わかり易い話じゃないので、賛否分かれるかもしれませんが、すぐ読みおわるので、試してみる価値はあるのじゃないでしょーか
 人によっては、宝物のように大切な一冊になる気がします。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆☆★

ぶらんこ乗り (新潮文庫)

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2006年08月15日

【本】後宮小説

後宮小説
著者:酒見賢一
出版:新潮文庫 さ-25-1¥440 初版1993/4
ISBN:4-10-128111-4

■内容(カバーより)
 時は槐暦元年、腹上死した先帝の後を継いで素乾国の帝王となった槐宗の後宮に田舎娘の銀河が入宮することにあいなった。物おじしないこの銀河、女大学での奇抜な講義を修めるや、みごと正妃の座を射止めた。ところが折り悪しく、反乱軍の蜂起が勃発し、銀河は後宮軍隊を組織して反乱軍に立ち向かうはめに…。さて、銀河の運命やいかに。第一回ファンタジーノベル大賞受賞作。

■感想
古代ヨーロッパ風のファンタジー小説が掃いて捨てるほどあるなかで、古代中国風ってのはあんまりなかったので新鮮かな。
でも、個人的には、架空の世界を描いた本作より、実際の古代中国を描いた「墨攻」のが面白かったかな。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆★
《薦》☆☆★

後宮小説 (新潮文庫)

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2006年07月18日

【本】パーク・ライフ / 吉田修一

パーク・ライフ
著者:吉田修一
出版:文春文庫 よ-19-3 ¥390 P177 初版2004/10
入手:BOOK OFF ¥100
初出:パーク・ライフ 文学界 2002/6月号、flowers 文学界 1999/8月号
   単行本 2002/8月 文芸春秋刊
 
内容:(カバーより)
 公園にひとりで座っていると、あなたには何が見えますか?スターバックスのコーヒーを片手に、春風に乱れる髪を押さえていたのは、地下鉄でぼくが話しかけてしまった女だった。なんとなく見えていた景色がせつないほどリアルに動きはじめる。日比谷公園を舞台に男と女の微妙な距離感を描き、芥川賞を受賞した傑作小説。

■感想
うーん、感想書きにくい本読んじゃったなぁ
こまっちゃうなぁ
素直に書いたら「ふ~ん、だからどうしてん?」で終わりなんだけどなぁ
なんか、バカっぽいしなぁ…(まぁ否定はしませんが…)
どうしようかなぁ…

どうも、ついつい話の筋を追ってしまう性質で、昔はこういう特に大事件がおきるわけでもない小説って存在意義がまったくもって理解できませんでした。

それでも、最近は文章の味わいなんてもんをいっちょまえにわかった気になってきたつもりだったんですが、それはちょい昔の人の書いたものであったり、現代の作家でも表現が独特だったりした場合なんですよねぇ

どうもこういう自然体な文章で、大きな出来事もない日常を切り取って描かれちゃうとねぇ、「ふ~~ん」以外の感想がでてこない…

もっと主人公なりだれかに共感とか抱いたりして読まないといけんのかねぇ?

まぁ、この自然体の文章を書くってのはじつは自然にはできないことで、結構すごいことだったりするのかもしれませんなぁ、芥川賞もとってるくらいだし。

余談ですが、なんとなく芥川賞って小難し~い作品がとるものかとおもってましたがそんなこともないんですね(以前読んだ「日蝕」って受賞作はわりと小難しかったな)。

表題作以外に「flowers」って話も収録されてまして、そちらはわりと出来事があったりします。そっちのほうが多少印象が残ってるかな?

あ、あと内容とは関係ないですが、文庫本のデザインがすごくよいね。

■評価
《俺》☆☆
《薦》☆☆

パーク・ライフ (文春文庫)

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2006年07月17日

【本】頭蓋骨のマントラ

頭蓋骨のマントラ
原題:THE SKULL MANTRA
著者:エリオット・パティスン
訳者:三川基好(みかわきよし)
出版:早川書房 HM244-1 上下2分冊 各¥660 初2001/3
ISBN:(上)4-15-172351-X, (下)4-15-172351-8
入手:古本 上下¥700

■内容(上巻カバーより):
 中国経済部の主任監察官だった単道雲(シヤン・タオユン)は大物が絡んだ汚職事件を追求したことから北京を追われ。今はチベットの奥地、ラドゥン州の強制労働収容所で苛酷な日々を送っていた。ある日、作業現場で首なしの死体が発見された。折悪しく州の検察官は不在、しかも司法部の監査が入る予定になっていた。困惑した州の軍最高責任者は、単に事件の解決を命じるが・・・・・・アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀処女長篇賞を受賞した話題の大作

■感想
どうも、展開がちょっとわかりにくくて、字幕なしの外国映画をみているようなもどかしさがありました。

しかし、チベットほど日本と欧米での注目度の違う地域もめずらしいね
なんでだろ…
日本では極端にとりあげられる機会が少ないように思うけどなんでだろ?
中国への遠慮???

本作はいかにもアメリカ人の目からみたチベット像なんで、新鮮ではありました。どこまで実像に迫れているかはわかりませんが…

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆★
《薦》☆☆★

頭蓋骨のマントラ〈上〉 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

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2006年07月11日

【本】偽史冒険世界 ――カルト本の百年

偽史冒険世界 ――カルト本の百年
著者:長山靖生(ながやまやすお)
解説:鹿島茂
出版:ちくま文庫 な-29-1 P288 ¥700 初版2001/8 絶版中
ISBN:4-480-03658-X
入手:古本

■内容(カバーより):
 どうしてカルトにはまるのか?義経=ジンギスカン説、日ユ同祖論、ムー大陸・・・・・・。だれもが少年時代に一度は胸躍らせて読んだトンデモナイ歴史や奇想天外な冒険の世界を、大人になっても抜け出せない人もいる。それらの人々のバイブルともいうべきカルト本とその背景を日本近代百年のなかにさぐる。大衆文学研究賞受賞作。

■感想
 いわゆる「トンデモ本」研究の本なんですが、とりあげられているのは主に戦前の本。
 現代の「トンデモ本」を扱う本は、どちらかというと「笑い飛ばす」というスタンスが多かったんですが、この本は結構真面目に、そういう思想にいたった経緯やそれをささえた時代背景などをしっかりと研究してかかれています。
 特に戦前の日本のおおっていた雰囲気と、それとトンデモ思想のかかわりなど、なかなか読み応えあって面白かったです。 
  
■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆★

偽史冒険世界―カルト本の百年 (ちくま文庫)

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2006年07月02日

【本】板垣恵介の激闘達人烈伝

板垣恵介の激闘達人烈伝
著者:板垣恵介
表紙:板垣恵介
出版:徳間文庫 ¥552 初版2005/12
ISBN:4-19-892345-0
初出:単行本刊行(徳間書店)2001/1
入手:BOOKOFF ¥105

■内容(カバーより):
「強さ」とは何かと追い求め続けている、格闘マンガの第一人者が、武道にたどり着いたのはある意味必然だった。拳の意味を、技の重みを、ただただ極めようとする心に武は宿っている。フィクションではない伝説が、人による神業が、いまここに甦る!

■感想
漫画家さんなので、文章はやはりつたないところもあるのですが、取り上げられてる人達が凄すぎるので、一気によまさせられます。
「バキ」や「餓狼伝」に出てくる、スゴイ人たちのルーツはここにあったのか…

どのくらいすごいのかというと、咽頭ガンを焼き火箸で直しちゃったりするくらいなのですわ…

「それ本当?」とか思わず、素直に吃驚しながら読んだほうがおもしろいでせう。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆★

板垣恵介の激闘達人烈伝 (徳間文庫)

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2006年07月01日

【本】ドンキホーテのリボン

ドンキホーテのリボン
著者:鴻上尚史
表紙・挿絵:中川いさみ
出版:扶桑社文庫 ¥600 初版2000/8 ※絶版中※
ISBN:4-594-02965-5
入手:BOOK・OFF ¥105

■内容(カバーより):
鴻上尚史の人気エッセイ「ドン・キホーテのピアス」文庫化第3弾。なぜ伝言ダイヤルに電話しただけなのに、イスラエルに国際電話をかけたことになり、KDDから料金支払いのお知らせが来るのか?このなぞを解き明かすべく、著者はKDDに問い合わせをする。普通だったら、「んっ」と思うだけで流してしまう日常のなにげないエピソードが、著者の目を通すと1つの物語となるのだ。毎回話題を呼ぶ芝居を作り続ける鴻上尚史のストーリーテラーとしての原点がここにある。

■感想
このシリーズ読むのは3作目くらいかな?
他の作品同様楽によめてよいねぇ
中川いさみの絵も楽しいしねぇ

太田和彦氏と劇評をめぐって論争になってたんだえねぇ
結局どーなったんでしょ
太田氏って居酒屋に詳しいだけじゃなくて、演劇評論なんかする人だったのですねぇ…しらなんだ。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆★
《薦》☆☆☆★

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2006年06月25日

【本】ダ・ヴィンチ・コード

ダ・ヴィンチ・コード
原題:THE DA VINCI CODE
著者:ダン・ブラウン
訳者:越前俊弥
装丁:片岡忠彦
出版:角川文庫 上中下3分冊 各¥580 (上)初2006/3 中)初2006/3 6刷2006/4 (下)初2006/3
■感想
まぁ正直、こんなもの?って感じは否めなかったなぁ
謎といっても、最後の晩餐の絵の謎解きくらいで、あとは作中で死んじゃったおじさんが自分で作ったものばっかりだったからねぇ
作り物の謎解きにはあんまり興奮しなかった。

肝心の最後の晩餐の謎解きも、映画の紹介のために、あちこちでばらされまくりだしねぇ
この謎ときを知らずに読めばもう少しおもしろかったのかなぁ

正直、キリスト圏に生きていない身としては、衝撃の真実が全然衝撃的じゃないのよねぇ。「ふ~ん、まぁそういうこともあるかもねぇ」ってなもんでねぇ^^;。

まぁ映画向きな話ではありますな。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆★
《薦》☆☆★

ダ・ヴィンチ・コード(上) (角川文庫)

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