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2007年10月06日
【本】暗号解読 / サイモン・シン
題名:暗号解読 上・下
原題:The Code Book
著者:サイモン・シン(Simon Singh)
訳者:青木薫
表紙:新潮社装幀室
出版:新潮文庫 上巻 シ-37-2 ¥590 P340 初2007/7
下巻 シ-37-3 ¥629 P366 初2007/7
ISBN:978-4-10-215972-9, 978-4-10-215973-6
入手:紀伊國屋 台北微風店(289元、308元)
■内容(上巻カバーより)
文字を入れ換える。表を使う。古代ギリシャの昔から、人は秘密を守るため暗号を考案してはそれを破ってきた。密書を解読されて処刑された女王。莫大な宝を今も守る謎の暗号文。鉄仮面の正体を記した文書の解読秘話・・・・・・。カエサル暗号から未来の量子暗号に到る暗号の進化史を、『フェルマーの最終定理』の著者が豊富なエピソードとともに描き出す。知的興奮に満ちた、天才たちのドラマ!
■目次
上巻
第Ⅰ章 スコットランド女王メアリーの暗号
第Ⅱ章 解読不能の暗号
第Ⅲ章 暗号機の誕生
第Ⅳ章 エニグマの解読
下巻
第Ⅴ章 言葉の壁
第Ⅵ章 アリスとボブは鍵を公開する
第Ⅶ章 プリティー・グッド・プライバシー
第Ⅷ章 未来への量子ジャンプ
■感想
先日読んでベラボーに面白かった「フェルマーの最終定理」の作者の新作(といってもオリジナルが発行されたのは1999年ですが・・・)が文庫になったので買ってまいりました。
前作よりボリューム増ですが、あいかわらず面白い!!
「フェルマー~」もそうだったけど、この作者の魅力は、専門的で難解な事柄を非常にわかりやすく書いてくれることと、今まであまり光の当たらなかった人たちも丁寧に描いていることですな。
本作でも暗号作成者と解読者の人間ドラマに引き込まれます。
特にエニグマ(WW2のドイツ軍の暗号)の解読にまつわる、ポーランドとイギリス(ブレッチレー)の栄光無き暗号解読者達の努力が読ませますなぁ。もちろんアラン・チューリングも出てきまっせ。
上巻は古代ギリシャからはじまり、カエサル暗号、メアリー女王の処刑、エニグマ解読、そしてチューリングの最期で終わります。
初めて知ったんだけど、ビール暗号っちゅう、金の隠し場所を示したといわれる未解読暗号(一部解読ずみ)の暗号があるんね。日本の徳川埋蔵金みたいなのりでいまだに探しているマニアがいるらしい。
さらに19世紀にようやく解読された17世紀のルイ14世の宮廷文書にはかの鉄仮面とおぼしき人物の記述があるそうな。敵前逃亡した将軍らしい。結構がっかりな正体です・・・。
さらにさらに、ワンタイムパッド(平文と同じ長さの使い捨てキーワードをつかった暗号)は原理的に絶対解読不可能だそうな。
でも実用性ないからほとんど使われない(鍵の配送問題は残るしね)らしい、米露のホットラインくらいだそうな。うーむ、ためになる(か?)。
下巻はWW2のときの米軍のナバホ語の暗号(映画「ウィンドトーカーズ」になった話やね)から始まり、古代言語解読(ヒイエログリフ、線文字B)、そして現代のDES暗号、RSA暗号へとつづきます、そして話題は未来へと・・・量子コンピューターと量子暗号。
解決不可能かとおもわれた鍵配送問題の解決のくだりは興奮しますなぁ。
そして、いまいちわかってるようでわからんかった、一方向関数(素因数分解)を用いた公開鍵と個人鍵の概念がようわかったわい。
量子コンピューターと量子暗号については今まで読んだ本の中で一番わかりやすかった。
いやはや、もりだくさん。
それぞれの暗号そして解読の仕組みを丁寧に説明してくれているので、そのぶん前作よりもちょっと読みにくい部分はあったかも。
未読の方はまずは「フェルマーと竜」・・・じゃなくて「フェルマーの最終定理」からお勧めしますわ~。
■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆★
《薦》☆☆☆
■引用(上巻 P339 エニグマの解読より)
アラン・チューリングもまた、世間の認知を待たずに死んだ暗号解読者の一人だった。英雄として歓呼されるどころか、チューリングは同性愛者として迫害を受けたのである。
(中略)
1945年6月7日、チューリングは青酸カリ溶液の入ったビンとりんごを一個もって寝室に入った。16年前、彼は悪い魔女の呪文を歌うように口ずさんでいた――魔法の秘薬にりんごを浸けよう、永遠の眠りがしみ込むように。そして今、彼は自らその呪いにかかろうとしていたのだ。チューリングはりんごを青酸カリに浸けると、何口かかじった。こうして、暗号解読における真の天才の一人は、わずか41歳にして自ら命を絶ったのである。
投稿者 niimiya : 2007年10月06日 15:09
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コメント
かなり暇を持て余してるようやね
このブログでこんな文字数はじめてちゃうん!?
投稿者 万三朗 : 2007年10月06日 22:26