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2006年11月21日

【本】自転車とろろん銭湯記

自転車とろろん銭湯記
著者:疋田智
出版:早川文庫 NF298 ¥580 P270 初2005/5
入手:BOOKOFF ¥105

内容(カバーより):
自転車通勤暦7年のヒキタは、妻と一人息子を養う38歳のサラリーマン。テレビ局のディレクターとして仕事三昧の日々を送っている。そんなヒキタの趣味は銭湯巡り。会社帰りや散歩の途中で見つけた銭湯でほっと一息つくのが何よりの楽しみなのだ。東京都内に残る銭湯の魅力を「自転車ツーキニスト」こと疋田智が小説風エッセイでご紹介。庶民文化研究の第一人者、町田忍博士の薀蓄コラムが付録についた、憩いの銭湯読本!

■感想
 遠出してゆったり温泉ってのも好きですが、街歩きの途中に銭湯はいるのも大好きです。
 銭湯を目的にしてどこかいくってことはないですが、自転車でぶらぶらしてる途中でたまに銭湯によったりもしてました。別に風呂の準備なんてしてなくてもどうにかなるもんです(タオル1枚くらいもってるとよいね)。
 そういう意味ではこの作者の趣味「自転車での銭湯巡り」には大いに共感できるのです。

 都内の銭湯の紹介に終始する本かとおもいきや、意外に銭湯にまつわるエピソードがいろいろでてきて面白かったすねぇ
 ゆで蛸三匹やら、銭湯で知り合った証券会社社長やら
 特に戦艦長門の話はちょっとできすぎだけどよかったねぇ、

 一人称じゃなくて三人称(ヒキタ)で書いてるのが、初めのほうはちょっと鼻につきましたが、途中からあまり気にならなくなりました。

 銭湯とは関係ないけど、ワイドショーをつくる側の人の考えなどを読めたのも貴重でしたね。
 まぁ、それでもワイドショー好きになれないけどね。

■評価
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆★

■引用 P120より
 日々、次の次の事件を追っていく。理不尽なイジメを受けて死を選んだ少年、単なる人違いで暴走族に殺された青年。コノ野郎と思って、原稿を書いて、でも、そのいっときが過ぎると、やはり視聴者もメディアも忘れてしまうのだ。
 サウナから出て、広い湯に浸かる。アタマの中の色々なよしなしごとが浴槽に溶けていく。忘れてしまいたいような悲惨な事件も、いつの間にか過去のものとして流れていく。自らのため息と、お湯の流れる音しか聞こえない浴室。
 都会の未明。浴槽に漂う孤独。だけどその孤独は必ずしも悪いものというわけじゃないとヒキタは思う。ここで孤独になれるから、人はその人に戻れる。その人に戻り、そして、忘れていきたいものを置いていく。

自転車とろろん銭湯記 (ハヤカワ文庫 NF)

投稿者 niimiya : 2006年11月21日 23:51