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2005年09月19日

【本】暗黒日記

暗黒日記
著者:清沢洌(きよさわきよし)
出版:岩波文庫 青178-1 ¥620 P343 初版1990/7 
入手:古本屋(ブックワンダー@神保町) ¥420
内容(表紙より):
 太平洋戦争下,豊かな国際感覚と幅広い交友をもとに,当時の政治・経済状況や身辺の生活をいきいきと記した希有な記録(原題「戦争日記」).外交評論家・清沢洌(一八九〇―一九四五)は,将来日本現代史を書くための備忘録として,この日記を書きつづけたが,その鋭い時局批判はリベラリズムの一つの頂点を示している.人名・事項索引を付す.

■感想
南米の密林で消息をたった冒険家の残した日記。
邪教の存在、一人一人消えていく仲間達、そしてたどりついたのは邪神ダゴンの神殿…
とかいう本ではなくて!

外交評論家 清沢洌が、太平洋戦争中に書いていた日記の抜粋。

この人まさにザ・リベラリスト。

あの時代にここまでしっかりと世界も見つめられている人がいたとは…

戦後復興に欠くべからず人物と思われた清沢ですが終戦3ヶ月前に肺炎で命を落としてしまうのでした。
無念であったでしょうなぁ…

戦後60年たって、官吏の無責任主義はいまだ健在なり…
(とか青いこと言ってみたりして)

■評価
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆

■引用
(1944 1/4より)
 東条は官吏を昔の士族と心得ている。したがって民間を一歩下の被統治階級と心得ている。
 大東亜戦争――満州事変以来の政情は、軍部と官僚との握手である。戦争を目的とする者と、一部しか見えない事務家、しかも支配意識を有している者とが混合妥協した結果生れたものである。

(1944 4/30より)
 日本はこの興亡の大戦争を始むるのに幾人が知り、指導し、考え、交渉に当たったのだろう。おそらく数十人を出でまい。秘密主義、官僚主義、指導者原理というようなものがいかに危険であるかがこれでも分る。
 来るべき組織においては言論の自由は絶対に確保しなくてはならぬ。また議員選挙の無干渉も主義として明定しなくてはならぬ。官吏はその責任を民衆に負うのでなくては行政は改善出来ぬ。

(1944 11/4より)
 神風特攻隊が、当局その他から大いに奨励されている。ガスリンを片方しか持っていかないのらしい。つまり、人生二十何年を「体当り」するために生きて来たわけだ。人命の粗末な使用ぶりも極まれり。しかも、こうして死んで行くのは立派な青年だけなのだ。

(1944 11/16)
 この世界から戦争をなくすために、僕の一生が捧げられなくてはならぬ。

暗黒日記―1942‐1945 (岩波文庫)

投稿者 niimiya : 2005年09月19日 21:45

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