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2009年08月30日

【本】官僚たちの夏

官僚たちの夏

著者:城山三郎
解説:神崎倫一
出版:新潮文庫 し 7 11 ¥360 P283
版数:初版1980/11、18刷1988/7
ISBN:4-10-113311-5
入手:古本屋20元(60円)
初出:週刊朝日連載「通産官僚たちの夏」。1975年単行本刊行(新潮社)
読んだ日:2009/8/13
感想書いた日:2009/8/26

■内容(カバーより)
「国家の経済政策は政財界の思惑や利害に左右されていはならない」という固い信念で通産行政を強引、着実に押し進め、次官への最短コースを疾走する“ミスター・通産省”風越信吾。高度成長政策が開始された60年代初めの時期に視点をすえ、通産省という巨大複雑な官僚機構の内側における、政策をめぐる政府・財界との闘いと、人事をめぐる官僚間の熱い闘いをダイナミックに捉える。

■感想
うちでは映らないのですが、ドラマで今やってる(やってた)みたいですね。
台北の古本屋でちょうど見つけたの読んでみました。
舞台は戦後から高度成長期にさしかかる日本。
通産省を舞台に、ばりばりワーカホリックな官僚達が、天下国家を思いながらも、政治家や産業界との駆け引きや、省内の軋轢などもありつつ暑い暑い夏を駆け抜けていくのですな。

主人公は大臣の前でも態度を変えない剛腕の風越。
彼も彼を慕う後輩たちも昼も夜もひたすら働くのですな。
彼らの対極にいる象徴的な存在として、あまり出番はないものの、残業はほどほど、趣味もたしなみ飄々と生きる片山という人物がでてきます。
最後のほうでこれからは彼のような人々の時代かななんて示唆もあったりしますが、どうも又聞きするところでは、今でもキャリア官僚の方々は深夜残業当然みたいな世界みたいですね。

その他の部分でも40年前の話にもかかわらず、今でもあまりかわってないなぁと思う部分は多かったです。

まぁ、時代背景はだいぶ違うので風越らがこだわっていた保護的な官僚主導政策は、今読むとだいぶ古く感じはしましたが。

しかし、現実に取材して描いた企業小説(本作は官庁が舞台ですが)は、展開が現実的ではあるのですが、物語的な起承転結はないので、読み終わったあと、ちょっと突き放されたような気分になりますね。
(読んでるときは手に汗を握ってるのですが…)
ま、そこが魅力のひとつでもあるのでしょう。

なお、出てくる大臣は実在の政治家をモデルにしてるみたいなんで、戦後政治に詳しい人はそれを想像して読むのも面白いかも。
池内、須藤、九鬼あたりは名前からすぐわかったけど。
田河は田中角栄、矢沢は宮澤喜一だったのか。
というか、官僚も含めて、みんなモデルがいるんすね。
Wikipedia

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆☆

官僚たちの夏 (新潮文庫)

投稿者 niimiya : 2009年08月30日 16:25

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