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2005年05月25日

【本】君主論

君主論
[原題]IL PRINCIPE
[著者]マキアヴェッリ(Nicollo Machiavelli)
[訳者]黒田正利
[出版]岩波書店 白3-1 初1935/8、18改刷1959/11 39刷1976/9 P171 \200
[入手]古本屋

■感想
 名前だけは妙に有名な、ご存知、君主のHowTo本。
 いかにして国を広げ、克つ安定させるかという方法論が、系統だって説明されています。
 予想外にわかりやすくて、おもしろい。
 私も兵を起こそうかなって気になっちゃうなぁ(オイオイ)
 
 この頃は、著者の故郷のイタリアが小国乱立で戦争が絶えず、大国にいいようにやられていた時期で、悪名高き「ボルジアの毒薬」ことチェーザレ・ボルジアがもうすこしでイタリア平定しかけたのにあっさり死んじゃった、ちょっと後にこの本を書いたそうな。
 
 著者もチャーザレ本人から話を聞いたりしたこともあって、だいぶこの人から影響を受けているのが見受けられます。
 時に苛烈な彼の行動を(ある状況下では)理想的な君主の行動と賞賛しています。

 また、この乱れたイタリアを統べる強力な君主の出現を待望する気持ちが、この本を書く動機にもなってるそうです。。

 「マキャベリズム」とか「マキャベリスト」なんて言葉のイメージで、「苛政のススメ」のような本かと思っていましたが、そこまでではなかったですね。
 まぁ領土拡大のための戦争などを肯定している辺りは今の人の感覚で読むと違和感はありますが…

 ところどころ、現代でもあてはまるなぁと思うところがあったりもしますが、あんまり古い本から安易に教訓とかひっぱりだすのはやめときますわー

 君主論の話とか持ち出されてもびびらないためには読んでおいたほうがいいかもー
 まぁ私の場合、今まで生きてきてそういう場面に出会ったことはまだないですが…

 よし、次はクラウセヴィッツ(?)の戦争論じゃ
 でも、厚いんだよなぁ…あれ。

■評価
《俺》☆☆☆★
《薦》☆☆☆

■引用(P51 第7章 他人の武力を借りて、または僥倖によって得た新主権について)

 そこで今大公の取ったあらゆる処置を想い合わせて見るとき、彼を非難することはできない。それどころか、上に述べたように、幸運とかつ他人の兵力によって政権を握るようになった人々の鑑として、この人を推薦したいと思う。何となれば、いかに高慢な志と遠大な目的を持っていた彼でも、これ以外のことはできるものではないからである。ただアレクサンデル法王の短命であったことと彼自身の病気とが計画を中絶させたまでのことである。これによって見るに、必要欠くべからざることは、新しく獲得した領土においては、敵におびやかされる心配をなくすこと、自分の味方を造ること、実行でもいいし詐術をもってしてもいいから敵に勝つこと、領民に愛せられると同時に畏れられること、軍人にはなつかれるとともにうやまわれること、自分に危害を加えまたはそのおそれのある者を除いてしまうこと、旧制度を新制度によって革新すること、寛にして厳なること、寛大で物おしみをしないこと、不忠実な軍隊を廃して新たに軍隊を造ること、諸君主と誼(よしみ)を結び、彼らをして喜んで自分を助けるようにし容易に背くことがないようにすることである。この大公の行状ほど生々しい模範は他にあり得ない。

《引用終わり》

 ※大公とはチェーザレ・ボルジア。アレクサンデル法王はその父。
 
 
新訳版↓
君主論 (岩波文庫)

投稿者 niimiya : 2005年05月25日 21:24

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