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2010年01月24日
【本】前巷説物語
前巷説物語
著者:京極夏彦
装丁:FISCO、荒井良
解説:宇江佐真理
出版:角川文庫 き 26-5 P729 ¥857
版数:初版2009/12
初出:単行本刊行 2007/4 角川書店
入手:新刊購入(台北 紀伊国屋書店@微風廣場)
読んだ日:2010/1/10
感想書いた日:2010/1/24
■内容(カバーより)
理由あって上方から江戸へ流れてきた双六売りの又市は、根岸の損料屋「ゑんま屋」の手伝いをすることに。この店はれっきとした貸物業、しかし裏では、決して埋まらぬ大損を大金と引き替えに仕掛けであがなう……という稼業を営んでいた。渡世仲間らと共に、若き又市が江戸に仕掛ける妖怪からくりの数々。だがついに、とてつもない強敵が又市らの前に立ちふさがる。やるせなさが胸を打つシリーズ第4弾、百物語はじまりの物語。
■収録
寝肥(ねぶとり)
周防大蟆(すおうのおおがま)
二口女(ふたくちおんな)
かみなり
山地乳(やまちち)
旧鼠(きゅうそ)
■感想
巷説百物語の最新刊がようやく文庫版になったので買ってきました。
前半は上方から江戸に流れてきた又市が、損料屋「ゑんま屋」の手伝いを始めしかけの世界に足を踏み入れるところを描いています。
後半からは「続~」で語られた、稲荷坂の祇右衛門との因縁が話の中心になってきます。
前日譚といはいえ、後の話に繋げるための、つじつま合わせな感じは一切せず、この本だけでも、妖怪仕掛けモノ(?)として十分楽しめる内容でした。
百介さんが仲間になってないかわりに、久瀬棠庵という本草学者がいろいろと蘊蓄語ってくれます。
京極堂シリーズでも最近あまりみれなくなった、妖怪ルーツ話もあったりして、嬉しかったです。
あと、又市とおちかや林蔵の会話がテンポが良くて、読んでて気持ちが良かった。
これで前日譚と後日譚が語られたわけですが、本作で打ち止めなんですかね。
「続~」と「後~」の間などにはまだまだ語られてないこともありそうなんで、続編期待してもいいのかな?
(「新~」とか)
全部出たら、一度、時系列順で読み直してみたいところです。
ちなみに「嗤う伊右衛門」と「覘き小平次」は時系列的にはどこに入るんだろうか・・・
本作から読み出しても十分面白いと思いますが、できれば出版順に「巷説百物語」→「続~」→「後~」→「前~」と、読むことをお薦めします。
■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆★
《薦》☆☆☆
投稿者 niimiya : 2010年01月24日 17:08
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