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2007年01月09日

【本】夜の蝉

夜の蝉 (蝉の字は旧字体(虫+單))
著者:北村薫
表紙:(イラスト)高野文子、(デザイン)小倉敏夫
解説:吉田利子
出版:創元推理文庫 M-き-3-2 P270 ¥480 初版1996/2 20版2001/7
ISBN:4-488-41302-1
入手:BOOK・OFF ¥300

■内容(カバーより):
呼吸するように本を読む主人公の「私」をい取り巻く女性たち――ふたりの友人、姉――を核に、ふと顔を覗かせた不可思議な事どもの内面にたゆたう論理性をすくいとってみせてくれる錦繍の三編。色あざやかに紡ぎ出された人間模様に綾なす巧妙な複線が読後の爽快感を誘う。第四十四回日本推理作家協会賞を受賞し、覆面作家だった著者が素顔を公開するきっかけとなった第二作品集。

■収録:
朧夜の底
六月の花嫁
夜の蝉

■感想
 前作より収録作品がすくなくなったぶん、一話あたりは長くなっています。短編というより中篇という印象。
 「朧夜~」は長さのわりには事件の内容が浅くてちょっと冗長に感じましたが、他の2作は「私」のとても親しい二人の女性(友人と姉)の日ごろは窺い知れない機微が見事に描かれていて、うならされました。
  前作(空飛ぶ馬)まで、ちょっとしか触れられていなくて、読む側としてもあまり意識していなかった「姉」について、本作では実に丁寧に踏み込んで人間として掘り下げて描いているのに関心しました。
 ただ、前作同様、文学・文芸関係の薀蓄が豊富にでてくるのですが、それを主人公のふつうの女子大生らしからぬ特徴をあらわすものと素直に読めればいいのですが、作者から読者への薀蓄と感じてしまうとちょっと鼻についてしまうかも。

 興味をもたれたかたは、ぜひ第一作「空飛ぶ馬」から読んでみてくださいなー

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆★
《薦》☆☆☆

夜の蝉 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)

投稿者 niimiya : 2007年01月09日 23:07