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2004年09月15日

【本】日本の選択9 「ヒトラー」に派遣されたスパイ

日本の選択9 「ヒトラー」に派遣されたスパイ
[編者] NHK取材班
[出版] 角川文庫ん3-11 \480 P234 初(1995/8)絶版
[入手] 古本屋(ナンタマ) ¥220 初版
[内容](カバーより)
 日独防共協定――国際連盟を脱退し、世界の孤児となった日本とナチス・ドイツの同盟。緊迫
 の続く国際外交の舞台裏では、常に何層幾重もの思惑が交差し、権謀術数が行き交う。誰が、ど
 のように仕組んだのか。普段は巧妙に糊塗されたものが、ある時僅かな綻びを見せ、歴史の背
 景が顔を出す。
 ハックもクリビッキーも、そしてゾルゲも、それぞれの信ずるものに導かれ、悲劇の歴史を駆
 け抜けた。

[感想]
 ソ連への牽制として日本との協定を必要としたドイツのために、日独接近の立役者となったドクター・ハック。
 その日独の防共協定の行方を探るべく暗躍したソレンのクリビッキー
 かのゾルゲ同様、彼らも 互いに信念に基づき諜報活動を行い、やがて信じた祖国から背信していく…
 ってな内容ですな。
 
 NHKスペシャルの書籍化なんですが、NHKのドキュメンタリー作成の経緯が垣間見えて面白い
 何かと評判の悪い昨今ですが、取材のフットワークの軽さと、信頼に裏打ちされた取材力の強さは
 なかなか民法には真似の出来ないところだねぇ
 あくまで一次資料を追求する姿勢は立派(当たり前か…^^;)

 歴史となってから振り返ってみると、日独防共協定はやはり世界大戦突入への大きな一里塚だったんだね。
 その舞台裏が上記の二人のスパイを中心に描かれていて面白い。
 
 正規外交ルート(外務省)シカトで、対独協調を推し進める陸軍
 と慎重な海軍、そして真っ向から反対する駐英大使 吉田茂(お!)。
 
 歴史の必然だったのかもしれませんが、この協定を機に日本は破滅を突き進んでしまったのかも知れません。
 
 薄くて読みやすいので、ノンフィクション苦手な人にもお薦め。
 
[評価]
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆☆

[引用](P221 スパイたちがたどった道 より)
  日章旗とハーケンクロイツ、ともにおよび腰ではじめた日独防共協定であった。そして
 締結当時は、米英を敵にまわすことになろうとは夢想だにしなかった日独両国であったが、
 ついには国家の破滅にまでいたる。まんさにこれは、ナチス・ドイツと日本の軍部独裁によ
 る、素人外交がもたらした悲劇であった。
 
日本の選択〈9〉「ヒトラー」に派遣されたスパイ (角川書店)
日本の選択〈9〉「ヒトラー」に派遣されたスパイ (角川書店)

投稿者 niimiya : 2004年09月15日 23:04

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