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2003年05月20日
【本】ほらふき男爵の冒険
ほらふき男爵の冒険
編 ビュルガー
訳 新井皓士
出 岩波文庫 赤422-1 P240 ¥350 (絶版)
■感想
ご存知、実在したミュンヒハウゼン男爵のちょいっとばかり脚色された冒険譚。
子供の頃のジュビナイルで読んで、読んだつもりになってたけど、全然違うね。
べらぼうに面白い!
もともとの話の面白さもさることながらですなァ。
巨匠ギュスターヴ・ドレーの手による豊富な挿絵に、思わず声に出して読みたくなる軽妙な訳文!
ワガハイ、この場を借りまして、岩波文庫のお歴々に再版を強く働きかけたい所存であります。
■評価
評価 ☆☆☆☆
お奨め ☆☆☆
■引用 P42(ミュンヒハウゼン自男爵身の話)から
(狩の途中、銃の手入れで、着火用の燧石を銃からはずしていた男爵、折しもそこを熊におそわれ、
慌てて木の上に、しかし、ナイフを刃を木の下に落としてしまい、燧石が取り付けられない。
という場面)
そのとき遂にワガハイは、奇抜かつ目出度きひとつのアイデアに逢着したのであります。大いなる
不安あるとき必ずや大量に溜まりくる例のお水ですな、あれをわがナイフの柄頭にぴたりと当たる
よう方向を定め、一条ワガハイは放射した。折しもすさまじい寒気であったからして、水はたちま
ち凍りつき、瞬き二つ三つするうち、ナイフの上に氷がニョキニョキ伸びて、樹の一番下の大枝ま
で達したもんだ。そこでワガハイ、ひょろしと成長したる柄をつかみ、易々と、とはいえそれだけ
一層慎重にです、わがナイフをひきあげた。こいつを使ってワガハイが燧石をねじで装着した、と
思う間もなく、熊公が上に登ってきたのでありました。「まっこと」、ワガハイは思ったね、「タ
イミングをこうもうまく合わすには、熊公なみの分別はせにゃならんわい。」そこでワガハイ、大
粒霰弾を大判振舞い、褐色の親方を懇ろにお出迎えしたので、大将、木登りを永久に忘却したもう
たのであります。
投稿者 niimiya : 2003年05月20日 22:15
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