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2009年06月29日
【本】家出のすすめ
家出のすすめ
著者:寺山修司
装画:林 静一
解説:竹内 健
出版:角川文庫 て 1-1 ¥420 P230
版数:初版1972/3 58刷2001/8
ISBN:4-04-131502-6
初出:新聞連載(1962頃)
入手:古本
読んだ日:2009/6/27
■内容(カバーより)
「書を捨て、街に出よう」――若者の未来の自由は、親を切り捨て、古い家族関係を崩すことから始まる――。愛情過多の父母、精神的に乳離れできない子にとって、本当に必要なことは何なのか?「家出のすすめ」「悪徳のすすめ」「反俗のすすめ」「自立のすすめ」と4章にわたって現代の矛盾を鋭く告発する現代の青春論。
■感想
中学の時に学校の図書室で「地獄変」という怪しげな詩集に出会ってから、私はこの寺山修司という人が好きになってしまいました。
以来、古本屋で見かけるたびに買い求めて、わりと読んできたつもりなのですが、基本中の基本、デビュー作にして代表作の本作は今まで読んだことなかったのです。
先日(といっても去年)、ついに古本屋で出会ったので、これを機に今更、読んでみました。
絶版本じゃあるまいし、新刊で買えよというつっこみは冷静なツッコミは無用です。
「処女作にその作家のすべてが現れる」ってな批評・感想に便利な言葉がありますが、この本でも彼の生涯を通してのテーマの一つとなった、自立・親離れ(母離れ)が述べられているのです。
まぁこの本が処女作がどうかしらなかったりもするんですが…(オイオイ)
しかしこの本書いたの27才の時だってねぇ…
今の私よりだいぶ若いのに完成度がすごいなぁ。
やっぱり大好きな人ですわ。
もう半世紀近く前に書かれた本なんで、時代の差は感じるものの、「今の時代でも、いや今の時代だからこそ若い人に読んで欲しい」などとベタなことも思ったりもしました。
また、劇作家、詩人として知られた作者ですが、興味のある人はこの本あたりから入っていくのもいいのではないでしょうか。
■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆★
《薦》☆☆☆
■引用
(P49 「家出のすすめ」より)
つまり、わたしがさきにあげたように、自分の「持っているもの」などというのは、たんに自分が管理している、というだけのことであって……しかも、そのことだけを比較するならば、誰も博物館の番人ほどにはたくさんのものを「持つ」ことはできないでしょう。
けちくさい所有の単位とし「家」を考えるくらいなら、「家」などは捨てた方がよい。死体置場の番人になるくらいなら、街の群衆全体を「所有」する方が、はるかに人生に参加する意味がある。
問題は、むしろ、「家」の外にどれだけ多くのものを「持つ」ことができるかによってその人の詩人としての天性がきまるのであり、新しい価値を生みだせるのだ……と知ることです。
(P77「家出のすすめ」より)
家出の実践は、政治的な解放のリミットを越えたところでの、自立と自我の最初の里程標をしるすことになるでしょう。親との対話という名での、血的遺産のリレーを中断し、むしろ親とも「友情」を持てるような互角の関係を生みだすためには、幸福な家庭も捨てなければならないのです。自分ひとりでも歩かねばならない――むしろ、自分ひとりでこそ。わたしは、よく高群逸枝とう老詩人の望郷子守唄を思い出すが、それはこんな歌でした。
風じゃこざらぬ汽笛でござる
汽笛鳴るなよ 思い出す
おどんがこまか時や寄田の家で
朝も早から汽笛見てた
汽車は一番汽車 八代くだり
乗って行きたいあの汽車に
望郷の歌をうたうことができるのは、故郷を捨てた者だけである。そして、母情をうたうこともまた、同じではないでしょうか?
表紙変わった模様。
前のやつは林静一の絵がめちゃよかったのに…
投稿者 niimiya : 2009年06月29日 20:27
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コメント
そんなの読んでたんだー
てっきりSFオンリーかと思ってたよ。
あのときは楽しかったなー
ほんと毎日楽しかった
女がいないって 最高の環境だな!
投稿者 タムタム : 2009年06月30日 11:12
図書委員だったりもしたので ^^;
まぁ基本読んでたのはSFだけどね
あのころは、毎日楽しかったねー
いい感じにぬるま湯で (^^)
投稿者 niimiya : 2009年07月05日 22:59