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2009年02月25日
【本】革命戦争回顧録
革命戦争回顧録
原題:Reminiscences of the Cuban Revolutionary War(英語版)
著者:チェ・ゲバラ
訳者:平岡緑
装丁:中央公論新社デザイン室
解説:伊高浩昭
出版:中公文庫 ケ 3 2 895円 P420
版数:初2008/2 再2008/12
ISBN:978-4-12-204981-9
初出:Pasajes de la Guerra Revolucionarra
入手:新刊
読んだ日:2009/2/7
■内容(カバーより)
カストロとの運命的な出逢いからキューバ革命を達成するまでを回想する。困難を乗り越えて、状況分析、人心掌握の才を発揮する軌跡を克明に描く。本書はゲバラ本人による加筆訂正を反映した二部構成の決定版。過去の戦いを追想する一方で思慮深い政治的分析を加えている。生誕80年を記念し訳し下ろし。
■収録
編集ノート
エルネスト・ゲバラの伝記覚書
序文 アレイダ・ゲバラ
第一部 キューバ革命戦争回顧録
第二部 キューバ革命戦争について
小事典
訳者あとがき
解説 伊高浩昭
関連写真
■感想
先頃、日本でも公開された映画(Che)の前編(Part1)の原作にあたります。
ボリビア時代の日記(ゲバラ日記 Part2の原作)は読んだことあったのですが、キューバ革命について書いた本書は気になりつつも未読でした。
今回、映画の公開にあわせて新訳版が書店にならんでいたので買ってみました。
新訳というだけあって、平易な文で読みやすかったです。
なれないラテン系の人の名前がいっぱいでてきて、混乱しっぱなしなところは、ゲバラ日記と一緒なんですが…
なかなか面白かったですが、やはりゲバラ日記のほうが結末が結末だけに印象は深いですな。
グランマ号でのキューバ上陸から、革命戦争の勝利までを当時の日記をもとに記しているのですが、前半の試練の時期について筆を多く費やし、映画ではクライマックスとなるバチスタ軍を倒すあたりは実にあっさりとしか触れていません。
このあたり、ゲバラが革命の課程のどこを重要視していたかが現れているようで面白いですね。
革命というとかく誇大的、喧伝的になりがちなものを、虚栄心を捨ててできるだけ正確に記そうとしているところが理想主義者のゲバラらしくて好感が持てます。
映画版ではあっさりとしか取り上げられなかった、革命の暗い部分、処刑/粛正/内部闘争/誤爆についても、詳細とは言わないまでも、隠すことなくとりあげていました。(子犬のエピソードとても切ない…)
その粛正や内部闘争の部分を読みながら、ふと、同じく武力闘争で革命を勝ち取ろうとしながら、自滅の道を選んだ連合赤軍のことを考えました。
南米と日本では社会の状況がまるっきり違うので単純に比較などもちろんできないのですが、何が彼らとカストロ/ゲバラ達との違いだったのだろうかと。
民衆からの乖離といえば簡単かもしれないけど、後のボリビア時代のゲバラ一行も同様な状況にありながら力のベクトルはつねに外(政府軍)に向かっていたのに対して、連合赤軍がどうして内ゲバ殺人という内のベクトルをもってしまったのかな。
うむむ。
それにしても、本書からも伝わってくる、この人の人間的な魅力は大きいですね。
理想主義で、高潔で、男前で、ジャングルの中でも葉巻と文学を愛し続けた男。
ぬるま湯日本で育った私には、彼が選んだ武力による革命はどうしても肯定できないのですが、それでも人として惹かれてしまいますよ。
世界中の若者達に現在でも支持され続けているのも頷けます。
映画を見る前に読み終わりたかったのですが、結局、読んでる途中に見てしまいました。
まぁそれでも多少はわかりやすかったかな。
なお、映画を見る前に読んどいた方が、映画はわかりやすいでしょう。
でも、本を読む前に映画を見といた方が、本はわかりやすいでしょう。
当たり前だっちゅうの。
これから映画を見ようとしている人、映画を見たけどよくわからなかった人、もれなく読もう。
■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆☆
投稿者 niimiya : 2009年02月25日 23:55
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