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2007年05月06日

【本】後巷説百物語

後巷説百物語(のちのこうせつひゃくものがたり)

著者:京極夏彦
表紙:(造形製作)荒井良、(デザイン)FISCO
解説:小野不由美
出版:角川文庫 き 26-4 ¥857 P779 初2007/4
ISBN:978-4-04-362004-3
初出:単行本刊行 2003/11
入手:新刊 台湾紀伊国屋 NTD420

■内容(カバーより)
 文明開化の音がする明治十年。一等巡査の矢作剣之進らは、ある島の珍奇な伝説の真偽を確かめるべく、東京のはずれに庵を結ぶ隠居老人を訪ねることにした。一白翁と名のるこの老人、若い頃怪異譚を求めて諸国を巡ったほどの不思議話好き。奇妙な体験談を随分と沢山持っていた。翁は静かに、そしてゆっくりと、今は亡き者どもの話を語り始める。第130回直木賞受賞の妖怪時代小説の金字塔!

■収録
 赤えいの魚(うお)
 天火(てんか)
 手負蛇(ておいへび)
 山男
 五位の光
 風の神

■感想
百物語シリーズ第3弾。
2作目で綺麗に終わってたんでシリーズもおしまいかと思ってたら、3作目もありましたなぁ
1作目は仕置き人風だなぁとおもったのですが、本作では、なんとなく半七捕物帳を思い出しましたよ。ご一新後に、若者が尋ねていって、隠居した年寄りが回顧して語りだす形などがね。
一作ごとにスタイルを変えてくるのはさすがですなぁ

京極夏彦の本でシリーズ3作目ともなると、設定などがいろいろと複雑になってきてたりしますが、栞と一緒に挟まってた「巷説百物語シリーズ解説書」なるものがなかなか理解を助けてくれました。

今回は最後に百介が仕掛けて百物語をやるのですよねぇ
で、円朝なんかもでてきたりしちゃって。
ちょうど、去年見に行ったのよね、谷中の全生庵に円朝の幽霊画コレクション。
http://niimiya.akatsukinishisu.net/blog/archives/2006/08/26/

そんなわけもあって、なかなか興味深く読めました。
百物語(小豆洗い)で始まり、百物語(風の神)で終わるっと。
綺麗じゃないですか。

他にも由良伯爵の祖先もでてきたりして、京極堂シリーズといろいろつながってるのがわかったのも面白かったです。
狂骨の夢などには、背景に直接関係してたのですなぁ…
又市があんなこといわなかったら、狂骨事件もおこらなかった????
今後の京極堂シリーズにも、まだまだ百物語の登場人物の子孫とか(山岡ナントカとか)でてきそうですなぁ

ちなみに、綺麗に終わったとおもいきや、
第4弾として、前日譚も出版されてるそうですな… ^^;
まぁ、こちらも文庫になるのが楽しみでござんす。
(その前に「覘き小平次」かな。)
4作目も一通り読み終わったら、そのうち時系列にそって読み直してみたいですなあぁ
(ということを「半七」読みわった後にも思ったなぁ…)

あ、どうでもいいけど、直木賞の受賞はこの本が対象だったのね。
忘れてました。

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆☆★
《薦》☆☆☆

■引用(P771 「風の神」より)

 その時。
 百介は微かに、りんという音を聞いた。
 そして。
 
 ――御行奉為。
 
 そう。
 又市の声を、その時山岡百介は慥かに聞いたのだった。
 
後巷説百物語 (角川文庫)

投稿者 niimiya : 2007年05月06日 00:46

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