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2007年01月01日

【本】国家の品格

国家の品格
著者:藤原正彦
出版:新潮新書 P191 ¥714 初2005/11 23刷2006/4
ISBN:4-10-610141-6

■感想
あまり興味なかったんですが、帰省中に他に読む本なかったんで、親から借りて読みました。

講演の内容を文章におこしたものなので、ずいぶんとあっさりした内容ですぐ読めます。
この内容ならもうちょっと薄い本でもいいんじゃないかなという気もしますが、そのあたりは売れる本の厚さというのがあるのでしょう。

帯にでかいフォントで「画期的日本論」などと朱記してあるわりには、そんなに目新しさはなく、わりと正論というか、よく読み聞きするような主張に感じました。

内容は、えーっと、戦後日本がありがたがって戴いていた資本主義・民主主義・自由・平等なんっつお題目は決して完全・万能・普遍の原理じゃないっすよって話で、その欠けてる部分を補うに、この作者は「武士道精神」が必要と説いています。(あってる?)

そういや、学生時代によんだ呉智英も同じようなことをいってたような気がします。
あれは武士道じゃなくて、封建主義の復権だっけな?

まぁたいした根拠もなくイラクに戦争しかけちゃったり(根拠があれば攻めていいってもんでもないと思うが)、ファンドだデリバティブだと自分の儲けのためなら、他国の金融不安引き起こしても知ったこっちゃねぇみたいな、いわゆる「アメリカ的な価値観」に辟易している人には受け入れやすい論理だと思います。

私もアンチ=アメリカ民主主義万能説には大いに賛成なのですが、でも今の日本に「武士道」から、いいところだけもってくるようなことできるんですかねぇ
なんかマイナス(差別とか階級とかね)なもんも一緒についてきちゃうような気もするなぁ

まぁそんな心配しなくても、やっぱり、歴史は良くも悪くも後ろに戻ることはないんで、失われてしまったものはなかなか戻ってくることはないんだろうね。
この本がたくさん売れたことでなんかかわるんだったら、それはそれで見てみたい気もするけど・・・

全体的に「日本は特別」みたいな感じな漂っててね。
そこはちょっとやだったなぁ
まぁ日本人よ自信をもて!ってことなんだと思うけど。

古典を読むことを奨励してるんですが、自分のこういう軽く読める本がベストセラーになっても、対して古典文学復権の兆しがまったく見られないってのは作者にしてみると、結構複雑な気持ちかもね。
でも、読書が大事ってのは同感。

論理の限界を論理だてて書いてあるところは、面白かった。
曰く、現実社会は数学とは違って、100%正しいってことはほとんどないので、長いステップを踏む論理なんか信用できんよと。
(たしかに、90%正しいロジックでも5回書けたら確率50%くらいだもんね)
ついでに(?)ハイデガーなんかもちだしてきちゃったりして、さすが数学者!

まぁ長々ととりとめもなく感想かいたわりには、とくにお薦めもしませんし、逆に読むなともいいません。
でも、1冊しか読む時間しかないなら、新渡戸稲造の「武士道」読んだほうが面白いかも・・・

■評価(満点は☆☆☆☆、普通は☆☆、★は1/2)
《俺》☆☆
《薦》☆☆

国家の品格 (新潮新書)

投稿者 niimiya : 2007年01月01日 23:04

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