« 2004年05月 | メイン | 2004年07月 »
2004年06月22日
【本】物理学者はマルがお好き
<数理を愉しむ>シリーズ
物理学者はマルがお好き
―牛を球とみなして始める物理学的発想法
[著]ローレンス・M・クラウス(Lawrence M. Krauss)
[出]ハヤカワ文庫 NF291 \800 P335 初2004/5
[初出]原書1993「FEAR OF PHYSICS ― A Guide for the Perplexed」
単行本1996/4「物理の超発想―天才たちの頭をのぞく』講談社
[入手]新刊 初版
[内容](カバーより)
高速で移動する人の時計が遅れたり、波であり粒子でもる物体がみつかったり、物理学の超絶理論
は常識の遥か高みをいく、ファンタスティックな現象の目白押しだ。しかし、それを唱えるに至った物
理学者たちの考えは、ジョークの種になるほどシンプルないくつかの原則に導かれている。その一つ
が「牛を球とみなす」ことだ……天才物理学者が備える物理マインドの秘密を愉しみながら共有でき
る傑作科学読本。解説・佐藤文隆
[感想]
なんかタイトルはいまいちですが、中身は目茶目茶おもしろいっす。
物理学者が如何なる発想で既知世界を拡張していったかが非常に判り易く書いてあります
またいわゆる古典のニュートン力学・電磁気学から相対論・量子論・素粒子理論まで網羅して取上げられているので、
「物理学」というものを(つまりこの「世界」を)俯瞰で眺めるのにも最適な一冊かな。
後半はスケーリング則やら量子色物理やら、専門で物理とってないとちょっと難しい話になってくるんですが、前半だけでも是非、非物理専攻の人たちによんでほしいなぁ。
「天才の突然のヒラメキで全く新しい理論が出来て、過去の理論が捨て去られて進歩していく」っていう物理のイメージを壊してくれまっせ。
惜しむらくは、原著が10年前ということもあり、ちょっと古いとこがあってねぇ
今回の文庫版の際に現時点での最新情報をいれこんでほしかったなぁ
[評価]
《俺》 ☆☆☆☆
《薦》 ☆☆☆★
[引用]
ただし、「アインシュタインだって、はじめは頭がおかしいと言われたんだぞ!」などと言って自分の アイデアを売り込みたい人にひとこと忠告しておこう。アインシュタインは、実地の試練に耐えた物理 法則が間違っているなどとは決して言わなかった。彼は、それらの物理法則から、従来気付かれていなかった意味が引き出せることを示したのである。
投稿者 niimiya : 22:41 | コメント (0) | トラックバック
2004年06月20日
【本】五重塔
五重塔
[著者]幸田露伴(蝸牛露伴)
[出版]岩波文庫 \100 P88 初1927/7 改1956/11
[初出]新聞「国会」連載(明治24年11月~明治25年3月)
[入手]古本屋 \100 63刷1979/3
[内容](帯より)
谷中感応寺五重塔の造営をめぐるのっそり十兵衛の意地と義理の物語、その塔をゆるがす
嵐の夜の描写は日本文学中の名文と謳われる。
[感想]
国語の授業で名前くらいは聞いたことある五重塔。
代表作…だよね。多分。よーしらんが…
まぁうだつのあがらん職人が、義理のある親方の顔にも泥をぬってでも、念願の五重塔を建てる。
ってだけの話なんすがね。
文章がめちゃめちゃいいんだわ。
粋で鯔背なリズムが江戸っ子丸出しの職人世界に嵌っちゃうんだわ。
くぅ~源太親方かっこよすぎるぜぇ
古本屋で買ったんで旧仮名旧字だったんだけど、これがまたこの文章にめちゃめちゃあっててねぇ
旧仮名旧字好きで、現代仮名をディスっちゃう人の気持ちがちょっとわかった。^^;
今日みたいな嵐の日に、嵐のシーンを読みなおしちゃったらますますよいねぇ
ちなみに谷中の感応寺はいまは天王寺となっておりまして、件の五重塔は昭和三十二年の放火心中で焼失していらい
再建されてないそうです。(迷惑な死に方…)
[評価]
《俺》☆☆☆★
《薦》☆☆☆
投稿者 niimiya : 22:39 | コメント (0) | トラックバック
【本】三月は深き紅の淵を
三月は深き紅の淵を
[著者]恩田陸
[絵]北見隆
[出版]講談社文庫 お83-1 \667 P431 2001/7
[初出]1997/7 単行本刊行
[入手]新刊 9刷(2004/3)
[内容](カバーより)
鮫島巧一は趣味が読書という理由で、会社の会長の別宅に2泊3日の招待
を受けた。彼を待ち受けていた好事家たちから聞かされたのは、その屋
敷内にあるはずだが、10年以上探しても見つからない稀覯本(きこうぼ
ん)「三月は深き紅の淵を」の話。たった1人にたった1晩だけ貸すこと
が許された本をめぐる珠玉のミステリー。
[感想]
この間読んだ、「麦の海に沈む果実」の中にも出てきた謎の小説「三月
は深き紅の淵を」を廻る四つの中編からなる連作集。
話の中にでてくる「三月は深き~」も四つの中編からなっており、それ
ぞれ話に共通性があるという、なかなか凝ったつくり。
それぞれの話、単独でもいろんなパターンがあって面白かったっす。
[評価]
《俺》 ☆☆☆
《薦》 ☆☆
投稿者 niimiya : 22:07 | コメント (0) | トラックバック
2004年06月10日
【本】がんになる人ならない人
がんになる人ならない人
[著者]津金昌一郎
[出版]講談社 ブルーバックスB1437 P264 \980
[入手]新刊 初版
[内容](帯/カバーより 抜粋)
国立がんセンター予防研究部長が自ら書いた!
がん予防をうたった健康食品や特殊な民間療法が人気を集めているが、
大半のものには科学的根拠はない。疫学研究者として、がん予防研究に
長年従事してきた著者が提唱するがん予防法を実践すれば、わずかな努
力で、発がんリスクは確実に低減できる。
[感想]
去年あたりから、疫学(統計的に病気のリスク等を研究する学問)に関する判り易い本を探
してて、たまたま見つけたこの一冊。
帯/カバーのコピーをみるとちょっと胡散臭いですが、科学的で非常に判り易い本でした。
上記のとおり、元々がんの予防に興味があったわけじゃないんですが、一冊読んでみると
結構思うところがあったりして。
結論としては、タバコはやめて、お酒、塩分は控えめにしてバランスのいい食事(とくに野菜)
をとれ…って、思いっきり内容なんですが、しっかりしたデータで語られると、重みがちがうねぇ
この辺りは世間よりは知ってるつもりになってたけど結構、誤解してること多かったねぇ…ためになりました。
あるある大辞典でとりあげられた食材に殺到してしまう方々に是非読んでいただきたい一冊。
[評価]
《俺》 ☆☆☆☆
《薦》 ☆☆☆☆(みんなに是非よんで欲しい一冊)
投稿者 niimiya : 22:37 | コメント (0) | トラックバック
2004年06月05日
【本】言葉につける薬
言葉につける薬
[著者]呉智英
[出版]双葉文庫 P219 \457 1998/1
[初出]クロスワード・デイ連載(1990/5~1994/1)、単行本刊行1994/9
[入手]ブックオフ \300 2刷(2000/5)
[内容](カバーより)
日本語が乱れている。単語の混乱ではない。「名」の混乱なのである。だから
孔子にならい、呉智英も言う。「必ずや名を正さんか」と。誤字を笑い、誤文に怒
ながら、著者は、言葉と思想について、言葉と文化について、根源的な「知」の面
白さを開示する。目からウロコが落ちまくる。知的エッセイの名著。
[感想]
まぁ上にもあるとおり、言葉関係のエッセイっす。
相変わらずいろいろ知ってんねぇ
さらっと読めるんでお薦めですが、著者の衒学的なとこが鼻につく人もいるかも。
忘備メモもかねて、ちょっとホォ~とおもったことをちょっと抜粋。
・「大山鳴動して鼠一匹」の由来って紀元前のローマの書物からなんだってさ
てっきり中国って思ってたっしょ、俺もそうじゃ。
だから「泰山鳴動して~」は由来からいったら正しくないらしい。(泰山は中国の有名な山ね)
・でもって、「笛吹けど踊らず」は聖書(マタイ福音書)からだってー
・長野の「白馬」はもともと「しろうま(代馬)」
・英語のRiceと日本語のうるちは同語源(古代インド語Vrihih)という説がある(岩波古語辞典)。
[評価]
《俺》 ☆☆★
《薦》 ☆☆★
投稿者 niimiya : 22:36 | コメント (0) | トラックバック
2004年06月01日
【本】半七捕物帳(三)
半七捕物帳(三)
[著者] 岡本綺堂(おかもときどう)
[出版] 光文社時代小説文庫 \648 P416 2001/11初版
[入手] ブックオフ\300(初版)
[内容](カバーより)
歌舞伎を好んだ著書綺堂は、江戸の風土と季節感を巧みに描きながら、随所に江戸っ子のしゃれた会話をもりこんでいる。
一話一話が今なお新鮮で、推理小説の先駆として生きつづける、捕物帳の最高傑作!
「雪達磨」「雷獣と蛇」「一つ目小僧」等十四編収録。(全六巻)
江戸のシャーロック・ホームズ、半七が活躍する!不朽の名作をより読みやすく新装刊。
[感想]
半七捕物帖第三巻。
あいかわらずいいやね。
[評価]
《俺》☆☆☆
《奨》☆☆☆
投稿者 niimiya : 01:17 | コメント (0) | トラックバック
【本】麦の海に沈む果実
麦の海に沈む果実
[著者]恩田陸
[絵]北見隆
[出版]講談社文庫 お83-2 \714 P493 2004/1初版
[初出]2000/7 単行本刊行
[内容](カバーより)
三月以外の転入生は破滅をもたらすといわれる全寮制の学園。二月最後の
日に来た理瀬の心は揺らめく。閉ざされたコンサート会場や湿原から失踪した生
徒たち。生徒を集め交霊会を開く校長。図書館から消えたいわくつきの本。理瀬
が迷いこんだ「三月の国」の秘密とは?この世の「不思議」でいっぱいの物語。
■感想
人が死んでも警察出てこないド直球の学園ファンタジー
おれにもまだこんなジャンルを楽しめる部分が残っておったんやねぇ…
おもしろかったっす
この人はイメージを浮かばせる言葉の選び方が非常に上手っすね。
レイブラッドベリっぽい世界だなぁと思ったら、本人も意識してるみたいで
章の名前にブラッドベリの作品名を使っていたりしました。
カバーと挿絵の北見隆の絵がまた幻想的な世界に合っていてよかね。
■評価
《俺》☆☆☆★
《薦》☆☆☆