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2004年07月26日

【本】米内光政

米内光政
[著者]阿川弘之
[出版]新潮文庫 草110-6 \520 P551 初1982/5 6刷1984/9
[初出]1977~73「週刊読売」連載、1978/12 単行本刊行(新潮社)
[入手]父蔵書
[内容](カバーより)
 「米内光政は国に事がなければ、或いは全く世人の目につかないままで終る人であったかも知れない」(小泉
 信三)。海軍兵学校の席次は中以下、無口で鈍重と言われた人間が、日本の存亡のときに当り、自らの手で帝
 国海軍七十余年の栄光を葬り去った。一億玉砕よりも、未来ある敗戦に賭けて……。最後の海相の人物と識見
 を描いて、危機に際しての真の指導者とは何かを問う、感動の記録文学。

[感想]
 海軍提督3部作の2作目っす(他は「山本五十六」と「井上成美」)。
 何故かよりによって一番地味な(失礼)人から読んでしまっております。

 無口で底が伺えない人物の生き様をさまざまな逸話で描きだしてて面白い。
 
 米内大将って総理大臣もやってたんですね、さっぱりしらなんだ。
 日本史はとってなかったせいか、どうも常識的なところでポツポツしらんことあるなぁ・・・
 
 余談ですが、著者の阿川弘之はTVタックルでお馴染みの阿川佐和子のお父上。
 末の息子さんと中学時代同級だったんですが、わっしと違って文武両道のハンサムガイでした。はい。
 
 さらに余談ですが、「井上成美」を古本の特価本コーナーでみつけたので100円で買いました。
 そのうち読みます。はい。
 
[評価]
《俺》☆☆☆★
《薦》☆☆☆

米内光政 (新潮文庫)

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2004年07月21日

【本】チョコレート工場の秘密

チョコレート工場の秘密
[著者]ロアルド・ダール
[挿絵]ジョセフ・シンデルマン
[訳者]田村隆一
[出版]評論社 てのり文庫 \600 P277 初1988/7
[入手]新刊 ビレッジバンガード 6刷 2004/5
[内容](カバーより)
 まずしい少年チャーリーに、世界一のお菓子工場見学の金券が当たった。一緒に招待された5人のこどもたちに次々と明かされる、アッとおどろく工場のものすごい秘密ー!?笑いと涙と心にしみる感動がいっぱいの傑作童話。

[感想]
 いい歳してなに読んでんだ? と笑われてしまいそうですが…
 おもいっきり児童本です
 それもハリポッターのような「大人にも子供にも」ではなく、本当に児童のための児童本です
 もちろん大人でも好きな人はいるでしょうが…
 
 ちょっと前に読んだ恩田陸の「三月は深き紅の淵を」の巻頭にこの本からの引用があってね
 たまたま本屋で見かけたんで、俺にも意外にこういう本に感動できる感性が残ってるんじゃないかと変な期待をして買ってしまいました

 が、駄目だねぇ
 どうも筋ばっか追っちゃって…
 チョコレートとか甘いものが好きじゃないってのもあるかもなぁ…
 実際に子供の時に読んで感動した本だとまた違うんだろうけど残念ながら心動かなかったねぇ
  
 ちなみに子供向けってわりには、結構、差別的とみられかねない際どい部分も結構あったりする… ^^;
 
[評価]
《俺》☆☆
《薦》☆☆

チョコレート工場の秘密 (てのり文庫 (566C008))

投稿者 niimiya : 22:54 | コメント (0) | トラックバック

2004年07月20日

【本】ポトマック

ポトマック
[著者]ジャン・コクトー
[訳者]澁澤龍彦
[出版]河出文庫 P202 \680 
[入手]新刊 ビレッジバンガード自由ヶ丘店
[内容](カバーより)
 ロマネスクな筋や構成を全く無視して、全篇を一種の散文詩、寓話、アネクドット、対話、ア
 フォリズムのようなものから成り立たしめているのが、この変ったスタイルの小説『ポトマッ
 ク』の第一の特徴であろう。さらに本文と同時に描かれた、六十四のデッサンがこれに加わっ
 て、この風変わりな小説はいよいよユニークなものとなる。……       ――澁澤龍彦

[感想]
 名前はなんとなく有名な(?)ジャン・コクトーのデビュー作。

 う~~ん、わけわんねーっす。
 でも、なんか、時たまわけわかんない本とか映画とかが欲しくなるんだよね。
 で、わけわからなきゃなんでもいいってんじゃなくて、俺には理解できないけどなんか確固たる思想
 が背景にあるんだろうなぁってのがいいんだよね、所々ちょっと理解できた気になったりして。
 そんな私にゃ、最適な本だったよ。
 文章も平易で、最後まで読めたし(バロウズの『裸のランチ』とかと違って^^;)。
 これは訳者の澁澤の力による部分が大きかったかも。
 
 ちなみに、コクトーの本では「ぼく自身あるいは困難な存在」ってのが先に読み出したんだけど、
 こちらは読みかけのままここ数年本棚に置きっ放し。
 「ポトマック」と違ってわけはわかるんだけど、文章が堅くて消化しながら読むのが疲れてね
 これを気に引っ張りだしてきて布団の横においておこー。
 近日中に感想が上がるか否か、請うご期待(まぁ否だろうけど)
  
 たまたま同時に読んでた芥川龍之介の「或阿呆の一生」に神を信じれない自分(芥川)とコクトーを
 比較する部分があって、ちょっと感慨深いものがありやした。

[評価]
《俺》☆☆★
《薦》☆★

ポトマック―渋澤龍彦コレクション   河出文庫

投稿者 niimiya : 22:53 | コメント (0) | トラックバック

2004年07月18日

【本】河童・或阿呆の一生

河童・或阿呆の一生
[著者]芥川龍之介
[出版]新潮文庫 \100 P198 初版1968/12
[入手]古本 \100 八刷1972/6
[内容]珍妙な河童社会を通して自身の問題を切実にさらした「河童」、自らの芸術と生涯を凝縮した「或阿呆の一生」等、最晩年の傑作6編
[初出]
 ・大導寺信輔の半生 1925/1 『中央公論』
 ・玄鶴山房     1927/1~2 『中央公論』
 ・蜃気楼      1927/3 『婦人公論』
 ・河童       1927/3 『改造』
 ・或阿呆の一生   1927/10 『改造』(死後発表)
 ・歯車       1927/10 『文芸春秋』(死後発表)

[感想]
 中学とか高校の頃って専らSFやらスパイ小説とかばっか読んでて、
 国語の教科書に出てくるような方々は食わず嫌いしてたんですが、
 そんななかでも芥川は比較的親しみやすかった方で、わりと当時も読んでました。
 ただ、『河童』とか『或阿呆』はねぇ、なんか自殺直前の作品だけに、妙に暗そうで読む気はしなかったなぁ…
 
 今回は古本屋で100円で売ってたのを何かの縁として読んでみたわけです。
 
 まぁたしかに暗いっちゃぁ暗くて、特に『歯車』なんぞ、遺書に近いものがあるんだけど、つまらないかというと、そうでもない。
 
 『或阿呆~』はスタイリッシュにシニカル(??)でかなり気に入りました。
 
 「信じる者は救われる」ってことが逆説的にわかるなぁ…

 そういえば学生時代に先輩が「河童はSFだぜ」って言ってたのを思い出した。

[評価]《俺》☆☆☆
   《薦》☆☆

[引用](P155 『或阿呆の一生』より)
 彼はすっかり疲れ切った揚句、ふとラディゲの臨終の言葉を読み、もう一度神々の笑い声を感 じた。それは「神の兵卒たちは己をつかまえに来る」と云う言葉だった。彼は彼の迷信や彼の感 傷主義と闘おうとした。しかしどう云う闘いも肉体的に彼には不可能だった。「世紀末の悪鬼」は実際彼を虐んでいるのに違いなかった。彼は神を力にした中世紀の人々に羨しさを感じた。しかし神を信ずることは――神の愛を信ずることは到底彼には出来なかった。あのコクトオさえ信じた神を!

河童・或阿呆の一生 (新潮文庫)

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2004年07月09日

【本】芭蕉臨終記 花屋日記

芭蕉臨終記 花屋日記
[著者]文曉
[校訂]小宮豊隆
[出版]岩波文庫 黄246-1 \250 P102 初1935/10  【絶版】
[入手]祖父蔵書 11刷(1986/4)
[収録]
 花屋日記
 芭蕉翁終焉記(其角)
 前後日記(支考)
 行状記(路通)

[内容](カバーより)
 芭蕉翁最後の旅・病中・終焉・葬送・追悼・遺物などについて、
 翁を囲む門人たちの手記・物語・書簡を日記体で記したもの。

[感想]
 花屋でアルバイトしながら、舞台役者としての成功を夢見る若者の話…
 ではなくて、芭蕉が旅の途中で倒れそのまま不帰の人となった花屋の主人が芭蕉の最後を綴った日記、
 と見せかけて、その実、江戸後期の文曉って人が書いた真っ赤なニセモノ。
 
 ニセモノとはいえ、芭蕉の人柄が偲ばれてねぇ
 しんみりさせてくれるんだこれが…
 まぁ「芭蕉に興味が!!」って人以外には全くお薦めはしませんが… ^^;
 
 ちなみに弟子達(十哲ってやつか?)によるホンモノの臨終記も収められてますのでご安心を(?)
 
[評価]
《俺》☆☆★
《薦》★

[引用](P23より)
  大勢の集會なりければ、よろこび興じて師を慰め申しけり。木節、
 去來に申けるは、今朝御脈を伺見申に、次第に氣力も衰給ふと見え
 て、脈體わろし。最初に食滞より起りし泄瀉なれども、根元脾腎の
 虚にて、大虚の痢疾なり。故に逆逸湯主方なり。猶又加減して心を
 直すといえども、薬力とゞかず。願はくは、治法を他醫にもとめん
 とおもふ。去來、師にまうす。師曰、木節が申條尤なれども、いか
 なる仙方ありて虎口龍鱗を醫すとも、天業いかんかせん。我かく悟
 道し侍れば、我呼吸の通はん間は、いつまでも木節が神方を服せむ。
 他に求むる心なしとののたまひける。風流・道徳人みな間然すること
 なし。
 
芭蕉臨終記花屋日記―附・芭蕉翁終焉記・前後日記・行状記 (岩波文庫 黄 246-1)
芭蕉臨終記花屋日記―附・芭蕉翁終焉記・前後日記・行状記 (岩波文庫 黄 246-1)

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2004年07月06日

【本】六番目の小夜子

六番目の小夜子
[著者]恩田陸
[出]新潮文庫 お-48-2 \514 P323 初版2001/2
[初出]1992/7新潮文庫ファンタジーノベルシリーズとして発表、加筆のうえ1998年単行本化
[入手]ブックオフ \300 6刷(2003/5)
[内容](カバーより)
 津村沙世子――とある地方の高校にやってきた、美しく謎めいた転校生。高校には十数年間にわたり、奇妙な
 ゲームが受け継がれていた。三年に一度、サヨコと呼ばれる生徒が、見えざる手によって選ばれるのだ。そし
 て今年は、「六番目のサヨコ」が誕生する年だった。学園生活、友情、恋愛。やがては失われる青春の輝きを
 美しい水晶に封じ込め、漆黒の恐怖で包みこんだ、伝説のデビュー作。

[感想]
 最近、はまり気味な恩田陸のデビュー作。
 デビュー作がいちばん面白いって人もままいたりしますが
 この作者はそういうことは無いようで、やっぱり最近の作品のほうが断然完成度は高いっすね。

 いきおいにまかせて書いてて、収まるところに収まってない感じ。
 とはいえ魅力的な世界を描く能力はこのころからしっかりあったようです。

 前によんだ「象と耳鳴り」の主人公(関根多佳雄)の息子が主役(?)でした。
 親父もちょっとでてます。

[評価]
《俺》☆☆★
《薦》☆☆★

六番目の小夜子 (新潮文庫)

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2004年07月02日

【本】レター教室

レター教室
[著者]三島由紀夫
[出版]ちくま文庫 み-13-1 \520 P221 1991/12初版
[入手]ブックオフ \100
[内容](カバーより)
 職業も年齢も異なる5人の登場人物が繰りひろげるさまざまな出来事をすべて手紙形式
 で表現した異色小説。恋をしたりフラレたり、金を借りたり断られたり、あざけり合っ
 たり、憎しみ合ったりと、もつれた糸がこんがらかって……。山本容子のオシャレな挿画を
 添えて、手紙を書くのが苦手なあなたに贈る粋な文例集。

[感想]
 三島由紀夫の小説はねぇ…
 ちょっと読まず嫌いな作家なんですよ…
 「仮面の告白」とか「美徳のよろめき」なんていわれちゃうと、どうにも手が伸びなくて…
 そんなわけで、俺にも読めそうなのをちょっとよんでみましたわ。

 全て手紙で物語をみせるって手法は斬新で飽きずに読めました。
 三島好きの人からすると、変化球にみえる作品なんだろうけどね。
 
[評価]
《俺》☆☆★
《薦》☆☆

三島由紀夫レター教室 (ちくま文庫)

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2004年07月01日

【本】大誘拐

大誘拐
[著者]天藤 真
[出版]創元推理文庫 408-09 P444 \840 初版2000/7
[初出]単行本 カイガイ出版 1978/11
[入手]新刊 7刷 2001/7
[内容](カバーより)
 三度目の刑務所生活で、スリ師戸波健次は思案に暮れた。しのぎ稼業から足を洗い社会復帰を果たすには元手が要
 る。そのためには――早い話が誘拐、身代金しかない。雑居房で知り合った秋葉正義、三宅平太を仲間に、準備
 万端調えて現地入り。片や標的に定められた柳川家の当主、お供を連れて持山を歩く。……時は満ちて、絶好の
 誘拐日和到来。三人組と柳川としの熱い日々が始まる!

[感想]
 岡本喜八の映画でお馴染みの「大誘拐」の原作小説。
 傑作の呼び声どおりやっぱりおもしろいねぇ。
 犯罪小説でありながら、根っから悪人はでてこないし、最後もめでたしめでたしでいい読後感でした。
 万人にお薦め。

[評価]
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆☆★

大誘拐―天藤真推理小説全集〈9〉 (創元推理文庫)

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