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2005年03月23日
【本】文章読本
文章読本
[著者]谷崎潤一郎
[出版]中公文庫 A1-8 初1975/1 19刷1985/2 P186 ¥260 新カナ
[解説]吉行淳之介
[入手]古本屋 150
[内容](カバーより)
正しく文学作品を鑑賞し、一行でも美しい文章を書こうと願うすべての人々の必読書。
■感想
よい文章のための技術ではなく、心構えとでもいうべき部分が書かれています。
読めばすぐに素晴らしい文章が書けるようになるわけはないのですが、美しい日本語を読むための心得はある程度得られた気がします。
記憶に残っている内容だと
曰く、日本語は欧米の言語のように文法がしっかりしていない所が長所。
曰く、過度の形容、難しい言葉はなるべく少なく、使う言葉は吟味して。
曰く、多くを語りすぎず、含蓄・余韻を大事に。
てなことが書いてあったでしょうか
はっきりいって耳が痛いです… ^^;
時代も違うのでそのまま通用するものばかりでもないのですが、本質的な部分では教えられる部分が大きかったです。
しかし、ひとかどの文筆家ってのは非常に深く考えて書いているんですねぇ
ちなみに、技術面での教授を求める方は『日本語の作文技術(本田勝一)』や『理科系の作文技術(木下是雄)』をおすすめいたします。
そういえば谷崎潤一郎の本読んだの初めてでした。
小説のほうはどうも食指が動きませんので…
HPのタイトルぱくってた癖に… ^^;
■評価
《俺》☆☆☆☆
《薦》☆☆☆
■引用(P86 「三 文章の要素」より)
そのことについて思い出しますのは、たしか佛蘭西(フランス)の或る文豪の云ったことに、「一つの場所に当て嵌まる最も適した言葉は、たゞ一つしかない」と云う意味の言がありますが、この、最適な言葉はたゞ一つしかないと云うことを、よくよく皆さんは味わうべきでありまして、数箇の似た言葉がある場合に、孰れでも同じだとお思いになるのは、考え方が緻密でないのであります。なお注意して思いを潜め、考えを凝らして御覧になると、必ず孰れか一つの言葉が、他の言葉よりも適切であることがお分かりになります。
投稿者 niimiya : 00:37 | コメント (0) | トラックバック
2005年03月10日
【本】玉川兄弟 江戸上水ものがたり
玉川兄弟 江戸上水ものがたり
[著者]杉本苑子
[出版]文春文庫す-1-19 初版1994/12 ¥670
[初出]新聞「赤旗」連載1973/4~1974/5。 単行本 朝日新聞社 1975 ※絶版
[入手]古本 初版 ¥320
[内容](カバーより)
若年ながら包容力のある穏和な兄・庄右衛門。男気で人を集めるいな
せな弟・清右衛門。二人を玉川上水開鑿に駆り立てたものは何か!?
立ちはだかる自然の猛威に二度も工事中断を強いられながら、幕府
の仕掛けた思わぬワナ、信頼する普請奉行の切腹など多くの困難を
乗り越え、江戸に命の水をひいた兄弟の感動巨編
[感想]
玉川から水不足の江戸まで上水をひっぱてきた兄弟の話です。
工藤兄弟、吉田兄弟、堂本兄弟、LLブラザースと世に兄弟は多かれど(兄弟じゃないのも入ってますが)、兄弟界の元祖といったらなんといっても玉川兄弟ですわな。あ、蘇我兄弟のが古いか…
えーたわごとはさておき、歴史・時代小説というと、史実の解説などに重きをおき、半分ノンフィクションっぽいのもありますが、この作品はかなり創作部分の比重が大きかったです。
もっと史実に即してるほうが好きなんですが、あとがきを読むとそもそも玉川兄弟に関する資料ってのはあんまり残ってないみたいですね。
小説に徹している分、逆に普段、現代小説しか読まない人にもとっつきやすいかもしれません。
余談ですが、先日、三鷹のほうまで自転車でぷらぷら行った折に、玉川上水脇を通りましたが、お役目を終えた今はちょろちょろとしか流れていないんですねぇ…
あれでは太宰さんもくるぶしくらいまでしかつかれなそうです…
まぁそんなわけで(?)、お薦め度ちゅうくらい。
[評価]
《俺》☆☆★
《薦》☆☆☆