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2004年12月22日

【本】ワンダフル・ライフ バージェス頁岩と生物進化の物語

ワンダフル・ライフ バージェス頁岩と生物進化の物語
[著者]スティーヴン・ジェイ・グールド
[訳者]渡辺政隆
[出版]早川文庫 NF236 \940 P571 初2000/3
[入手]古本屋 \600
[内容](カバーより)
 1909年、カナダで5億年前の不思議な化石小動物群が発見された。
 当初、節足動物と思われたその奇妙奇天烈、妙ちくりんな生きもの
 たちはしかし、既存の分類体系のどこにも収まらず、しかもわれわ
 れが抱く生物進化観に全面的な見直しを迫るものだった……100点
 以上の珍しい図版を駆使して化石発見と解釈にまつわる緊迫のドラ
 マを再現し、歴史の偶発性と生命の素晴らしさを謳いあげる、進化
 生物学の旗手グールドの代表作。

[感想]
 どうも、この地球ではカンブリア紀の始まりにいっきに多種多様の多細胞生物が、わっと増えたらしいのですよ。 (生物がわっと増えたところで先カンブリアとカンブリアを分けているといったほうが正確なのかも。)
 で、この本がとりあげるバージェス頁岩ってのは、その直後の化石群のことで、これが骨だけじゃなくて内部の構造も残していて(ペッタンコなんですが)なかなか興味深いんですわ。
 
 復元画でみるとどいつもナウシカの腐海にいそうな奇妙奇天烈な姿形なんですが、興味深いのは外見よりもそいつらの中に現存種の分類体系から根本的にはずれてる(ように見える)やつがわんさかいる点のようです。
 (まぁ、あとがき読むと、この本が出た後の研究でその辺りもまた変わっては来ているようですが)

 で、その研究結果から導かれる進化のシナリオってのが、地球上の生命は最初にものすごい多様性があったのだけれども、その中のいくつを残してあとは絶滅して、たまたま生き残ったやつが再びいろいろと枝分かれしていったというモデル…っと作者は考えていて。
 だから、いま人類が進化の頂点にいるのはなんも必然でなくて偶然で、進化のテープをカンブリアまで巻き戻して再生したら、今度はどんな展開するかはわからんぞと熱心に主張してます。
 どうも、キリスト教圏のアメリカでは、人類進化は必然って考えが根深いみたいでねぇ、くどいくらいに上の結論にこだわってるんだよねぇ。
 日本人からすると(すくなくとも私は)、このオッサン(失礼)の理屈も結構普通に「まぁそうかもねぇ」と思えちゃうんですけどね。
 
 まぁ全体的にかなり個性的な文章(特に話の展開の仕方が)で好き嫌いはわかれるかとも思いますが、古生物博物学(?)の世界に触れるには非常にいい本だと思います。

 4章はなんかどうでもいい話だったんで飛ばし読みしました。。

[評価]
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆★

ワンダフル・ライフ―バージェス頁岩と生物進化の物語 (ハヤカワ文庫NF)

投稿者 niimiya : 00:18 | コメント (0) | トラックバック

2004年12月03日

【本】学生街の殺人

学生街の殺人
[著者]東野圭吾
[出版]講談社文庫 ひ17-3 \750 P482 初1990/7
[初出]単行本(1987/6)
[入手]32刷(2004/1)
[内容](カバーより)

[感想]
喰わず嫌いをしていたわけでもないんですが、この作者の本読むの初めてです。
読みやすいし、オチもきちんとしてるしで、おすすめ。

[評価]
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆☆

学生街の殺人 (講談社文庫)

投稿者 niimiya : 00:17 | コメント (0) | トラックバック

2004年12月01日

【本】怪談 -不思議な事の研究と物語-

怪談 -不思議な事の研究と物語-
[著者]ラフカディオ・ヘルン
[出版]岩波文庫 ¥80 P173 初1940/10 8刷(1951/6) 絶版中
[入手]古本屋 \125 
[内容](HPより)
 日本を終生愛してやまなかったハーン(一八五〇―一九〇四)が我が国古来の文献や民間伝承に取材して創作し
 た短編集.『怪談』は俗悪な怪奇小説の類から高く抜きんでて,人間性に対する深い洞察力につらぬかれている.
 有名な『耳なし芳一のはなし』『雪おんな』など十七編の他に『虫の研究』三編を収めた.

[感想]
 怪談といっても、怖い話ではなくて、不思議な話なのだな。
 「耳なし芳一」やら「雪をんな」もよいのですが、個人的に「をしどり」ってが気に入りました。
 あと、「怪談」じゃねーんだけど、併録の「蟲の研究」が結構おもしろかったぞえ。
 
[評価]
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆

[引用](P84 「雪をんな」より)
 かう叫んでゐるうちに、お雪の聲は次第に風のひゞきのやうに細くなつて行き、やかてその姿
が白くきらめく霧となつて屋根の棟木の方へのぼつて行くと見る間に、引窓から顫(ふる)ふがごとくに
消え去つて行つた。それきり、お雪の姿は再び見ることが出來なかった。


改訂版↓
怪談―不思議なことの物語と研究 (岩波文庫)

投稿者 niimiya : 00:16 | コメント (0) | トラックバック