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2004年03月14日

【本】マークス山 上・下

マークス山 上・下

[著者]
 高村薫

[出版]
 講談社 (上)2003/1 P374 \648 
     (下)2003/1 P348 \648
[初出]
 単行本刊行 1993/3 早川書房

[入手]
 古本屋 各290円

[解説](講談社HPより)
俺は今日からマークスだ! マークス!いい名前だろう!――
精神に〈暗い山〉を抱える殺人者マークス。南アルプスで播かれた犯罪の種子は16年後発芽し、東京で連続殺人事件として開花した。被害者たちにつながりはあるのか?
姿なき殺人犯を警視庁捜査第1課第7係の合田雄一郎刑事が追う。直木賞受賞作品。

[感想]
映画を先にみてたのでだいたいストーリーはわかっていたんですが、ストーリーテリングの旨さに引きこまれました。
マークス…
切ないねぇ…
いろいろ解決されないままのこともあるので、人によってはちょっと消化不良のこるかも。
崔洋一が監督してる映画版もお薦め。

[評価]
 《俺》☆☆☆
 《薦》☆☆☆

[引用(冒頭部より)]
 この暗い壁は何だろう――――――――。ぼくは目を見開き、上も下もない闇が割
れるような音を立てているのを聞く。
 山だ。黒一色の山だ。顔に刺さる冷たい棘は風か、雪か。覚えているのは、少し前
まで身体じゅうの穴という穴を塞いでいたガス臭だ。夢中でその臭いから逃れた後、
気がつくとぼくはそそり立つ真っ黒な垂壁の底におり、足の下の凍ったアスファルト
が微かに光っていたのだった。しかし辺りは暗すぎ、道路らしいものがどこへ続いて
いるのかも見えなかった。

マークスの山(上) 講談社文庫

マークスの山(下) 講談社文庫

投稿者 niimiya : 01:11 | コメント (0) | トラックバック

2004年03月02日

【本】豆腐小僧双六道中 ふりだし

豆腐小僧双六道中 ふりだし

[著者]
 京極夏彦
[出版]
 講談社 2003/11 P656 \2000
[初出]
 週刊現代連載「本朝物怪盛衰緑」(1999/4~2000/4)
[入手]
 新刊購入 初版
[解説](講談社HP(http://shop.kodansha.jp/bc2_bc/search_view.jsp?b=2122146)より)
これぞ妖怪。
私は誰、此処は何処。小僧は彷徨(さまよ)う。小僧は進む。
妖怪豆腐小僧がアイデンティティーを捜す!?
「なぜ、手前は豆腐を持っているんでしょうか?」自己の存在理由、存在意義にうすーく不安を抱く小さな妖怪が数々の異種妖怪に出会い、「世間」を知る立志篇。
 
[感想]
おとぼけの豆腐小僧とともに珍道中を歩んでいくと、いつのまにやら「妖怪」というものが段々とわかっていくという、この作者じゃなけりゃ絶対書けない小説ですなぁ

UMAのような実体としてではなく、概念としての「妖怪」を描いていくところに奥の深さがありますなぁ
講談口調と妖怪の位置付けに最初はちょっと戸惑いましたけど、後半はのめりこんで読むことができました。

とかく妖怪小説の第一人者(二人目がいるのかどうか知りませんが)と目される京極夏彦ですが、
実際に「妖怪」が出てきて話す小説って初めてのような…

妖怪学(?)の入門書(?)として最適かも

[評価]
 《俺》☆☆☆
 《薦》☆☆★

豆腐小僧双六道中ふりだし

投稿者 niimiya : 01:09 | コメント (0) | トラックバック