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2004年02月01日
【本】スクリーンの夢魔
スクリーンの夢魔
[著者]
澁澤龍彦
[出版]
河出文庫(し1-16) P171 \440 初版1988/2 絶版
[初出]
潮出版 1978年
[入手]
古本(東京書房@自由ヶ丘) \300
[解説](カバーより)
偏愛する映画作家ブニュエル、ベルイマンなどの諸作品をめぐって独特の批評をくりひろげ、
愛する女優カトリーヌ・ドヌーブの妖しい魅力を分析し、はたまたお得意のドラキュラ物をは
じめとする怪奇・恐怖映画の数数をとりあげながら、そのおもしろさについて薀蓄を傾ける、
映画エッセイ集。「書斎派ダンティ」として知られた著者がまとめた唯一の映画の本!!
[感想]
澁澤龍彦が主に『映画評論』誌などに書いたエッセイをまとめたものです。
解説にも書かれているとおり、ブニュエルにドヌーヴと著者の趣味がおもいっきり伝わってくるのが面白いです。
オレなんか「アンダルシアの犬」なんかみての「???」だったけど、この人くらい知識と教養があると、
あの映像からいろいろなものくみとるもんですなぁ。
ちなみにカバーの絵はそのアンダルシアの犬の強烈な1シーン。
澁澤龍彦と映画の両方好きな人にだけお薦め。
[引用](P64 『ルイス・ブニュエルの汎性欲主義』より)
利いた風な説明をつけないと何事も納得しないひとのために、このブニュエルのやみく
もの暴力への衝動を、文明の告発とか、確立された秩序に対する反逆とか、呼んでも差支
えないと思うけれども、そう呼んだところで、暴力の本質が一向に解明されるわけのもの
でもないことは、銘記しておく必要があろう。ブニュエルは説明され解釈される作家では
なく、強迫観念のように私たちに呼びかけてくる作家なのである。
[評価]
《俺》☆☆☆
《薦》☆☆
スクリーンの夢魔 (河出文庫)